JPH0878782A - 発光素子 - Google Patents

発光素子

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JPH0878782A
JPH0878782A JP23842494A JP23842494A JPH0878782A JP H0878782 A JPH0878782 A JP H0878782A JP 23842494 A JP23842494 A JP 23842494A JP 23842494 A JP23842494 A JP 23842494A JP H0878782 A JPH0878782 A JP H0878782A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 半導体レーザ発振領域が1次元または2次元
のアレイ状に集積された注入同期により、該複数のレー
ザ発振領域が波面の揃った光を射出する発光素子におい
て、安定した注入同期動作と高い光出力を併せもつ素子
を安価に提供する。 【構成】 半導体基板4の一つの面に、該基板から離れ
た位置にある第一の反射層1と、該基板に近い位置にあ
る第二の反射層2と、第一の反射層1と第二の反射層2
との間にある活性層と、電流注入等のためのいくつかの
層と、からなるレーザ発振領域6を複数形成し、半導体
基板4の他の一つの面は複数の凸型形状が配列された形
状と成し、該凸型形状の表面に第三の反射層5を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体レーザ発振領域
が1次元または2次元のアレイ状に集積された発光素子
のうち、アレイを構成する各レーザ発振領域間で注入同
期(インジェクションロッキング)を行わせ、アレイ全
面から波面の揃った光を放射する発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザ素子は、小形であること
や、直接に出力光強度を変調することが容易であること
などの特徴をもち、レーザ光を必要とする数多くの産業
機械に使用され、その機能向上に役立っている。しか
し、半導体レーザ素子は出力光エネルギが小さいという
問題があり、応用の範囲を狭める大きな原因の一つにな
っている。
【0003】半導体レーザの出力を増加させるための一
方法として、半導体レーザを1次元または2次元のアレ
イ状に集積し、個々のレーザ発振領域から放射される光
の波面を揃えるように工夫を施し、等価的に大出力の半
導体レーザ素子を作製する試みがなされているが、未だ
実用上満足できる性能を有する素子は得られていない。
【0004】半導体レーザ発振領域が1次元または2次
元のアレイ状に集積された発光素子において、アレイを
構成する各レーザ発振領域間から放射される光の波面を
揃えるには、注入同期(インジェクションロッキング)
とよばれる手法が用いられる。従来、注入同期を行わ
せ、アレイ全面から波面の揃った光を放射する発光素子
を製作する方法には次の二つがある。
【0005】これらは、個々の半導体レーザ発振領域
から横方向に放射される微弱な光を利用する方法と、
アレイ状に集積された発光素子の外部に置いた光学系を
利用する方法である。以下にその詳細を説明する。
【0006】個々の半導体レーザ発振領域から横方向
に放射される微弱な光を利用する方法: 一般に半導体レーザは、二つの反射層と、これらに挟ま
れた活性層とを有し、電流注入等による励起状態からの
遷移によって活性層から放射された光が二つの反射層で
形成される共振器内に閉じ込められ、誘導放射が行われ
ることにより該共振器内に波面の揃った光束を生じさせ
るものである。通常は、二つ反射層のうち、一方の反射
層にはほぼ完全な反射を行うように高い反射率をもた
せ、他方の反射層は共振器内の利得を損なわない程度に
若干反射率を下げ、共振器内で生成された波面の揃った
光束の一部を外部に取り出すようになっている。
【0007】前記活性層において放射される光は、放射
される方向には特定の方向性をもっていないから、二つ
の反射層で形成される共振器の方向と直交する方向、い
わゆる横方向にも放射される。横方向に放射された光は
レーザ発振には寄与せず損失となるから、通常、単独の
半導体レーザ素子においては活性層を取り囲むように屈
折率の低い層を設けるなどして光の閉じ込めを行い、横
方向へは光が漏れないようにしている。このように屈折
率差による光の閉じ込めを行っているので、活性層と、
活性層のまわりの低屈折率の層との屈折率差で定まる臨
界角より大きな角度で放射された光、つまり該共振器方
向と直角に近い角度をなす方向に放射された光は、共振
器内に閉じ込められることなく半導体レーザ素子外部に
放射される。
【0008】半導体レーザ発振領域をアレイ状に集積し
た発光素子では、個々のレーザ発振領域から横方向にこ
のような光が放射されるから、この光をなかだちとして
各レーザ発振領域が光学的に結合されるように素子構造
及び動作条件を定めれば、注入同期が図られ各レーザ発
振領域から放射される光の波面を揃えることができ、こ
の方法が、アレイ全面から波面の揃った光を放射する発
光素子の製作に、従来最も多く試みられてきた方法であ
る。
【0009】しかし、この方法の欠点は、一般に注入同
期を行わせる際には、注入同期の動作を安定させるため
に個々の半導体レーザ発振領域間の光学的結合を強くす
る必要があるのに対して、この方法は、本来、共振器内
に閉じ込められることなく半導体レーザ共振器の方向と
直交する方向に放射される光、いわばレーザ発振に寄与
しない漏れ光を用いて個々の半導体レーザ発振領域間の
光学的結合を図っている方法であるため、個々のレーザ
素子間に強い光学的結合をもたせることが難しく、安定
した注入同期動作が得られないことである。
【0010】注入同期動作が安定しているか否かは、レ
ーザ発振領域の中の一つが何らかの原因で発振に位相が
ずれた場合に、どれくらいの位相ずれまでを本来の注入
同期動作へ引き戻すことができるかで判断することがで
きるが、この方法では、レーザ発振領域間の光結合が弱
いので、許容される位相ずれが小さくそれを越えた位相
ずれをもって発振しているレーザ発振領域を注入同期動
作に引き込む能力が小さく、この方法により作製された
実際の発光素子では、アレイ上の異なるいくつかのレー
ザ発振領域ごとに異なる位相に注入同期されているとい
う現象も生じ、アレイ全体から波面の揃ったレーザ光を
射出させることは難しい。
【0011】この方法により、安定した注入同期動作を
行わせるべく、レーザ共振器の横方向へ放射される光強
度を増加させることは、素子構造をレーザ発振領域への
光閉じ込めが緩やかとなるようにすることにより可能で
ある。しかし、このような方法をとればレーザ発振領域
からの漏れ光を著しく増加させることになり、レーザ素
子としての発振効率そのものが損なわれるから、個々の
レーザ発振領域のレーザ光出力が低下し、これらを集積
化しても本来の目的である大きな光出力が得られないこ
ととなる。従ってこの方法、つまり個々の半導体レー
ザ発振領域から横方向に放射される微弱な光を利用する
方法によっては、実用に供することが出来る程度に安定
した注入同期動作を行い大きな光出力をもつ発光素子は
製作出来ないのである。
【0012】アレイ状に集積された発光素子の外部に
おいた光学系を利用する方法:この方法は、ガスレーザ
等において従来から用いられている方法をそのまま半導
体レーザに適用したもので、その構成を図3に示す。こ
の図において11は半導体レーザ素子、12は集光レン
ズ、13は反射鏡であり、一つの半導体レーザ発振領域
の光射出面の反対面からレーザ光の一部を射出させ、集
光レンズ12を通して共通の反射鏡13に導く。共通の
反射鏡13を介して各レーザ発振領域から放射された光
は相互に行き来するので本来の注入同期動作が行われ、
取り出された光もいずれかのレーザ発振領域へ戻される
ので、レーザ発振の効率も損なわれることはない。
【0013】しかし、この方法で注入同期動作を行わせ
る際には、集光レンズ12と共通の反射鏡13と半導体
レーザ素子11との、それぞれの配置を極めて正確に定
めなければならない。動作中に光軸の傾きや各部品間の
距離の変動があると光出力等に変動を来す。安定した注
入同期動作を行わせるには、これらの部品を強固に固定
して振動や温度変化等に対してもこれらの配置の変位を
発振波長に対して無視できる程度に小さくする必要があ
り、保持機構の精度を極端に高める必要がある。このた
め保持機構のコストは非常に大きなものとなり、また種
々の調整機構等が付加されるので機械的にも大きなもと
のならざるを得ず、低価格、小形という半導体レーザ素
子の利点が全て失われてしまう。またこれらの部品を保
持機構に組み付ける段階では、これらの光軸を一致させ
るため精密な調整工程が必要であり、多くの調整コスト
と製造時間がかかるという問題もある。
【0014】このように、アレイ状に集積された発光
素子の外部に置いた光学系を利用する方法には、素子生
産上の欠点が多く、この方法は実用的な素子を実現する
手法としては採用できないものである。また、素子の構
造上、発光素子基板両面から光を射出する必要があるの
で、発光素子基板は空中に保持することとなる。一般的
な半導体発光素子では、半導体基板の裏面を低融点合金
など熱伝導性の高い接合材料によって直接金属ステムに
固定し最大限の放熱を図る必要があるのに対して、従来
の方法による構造の素子では半導体基板が空中にある
ため、発光素子基板の放熱が極めて悪くなる。
【0015】一方、発光素子基板において許容される消
費電力量は、素子温度上昇をある範囲内に収める必要性
から発光素子基板の放熱が極めて悪い状態ではかなり小
さく制限されるので、従来の方法による構造の素子で
は、発光光量の小さな素子しか作製できない。従ってこ
の方法では注入同期動作の安定性および動作効率は高め
られるものの、素子冷却が困難な構造をとることになる
ので、結果として高光出力の発光素子を実現することは
困難である。
【0016】以上のように、従来の技術によっては、安
定した注入同期動作を行い、且つ高出力のレーザ光を射
出する素子を小形、且つ安価に提供することは出来ない
という問題があった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明が
解決しようとする課題は、半導体レーザ発振領域が1次
元または2次元のアレイ状に集積された注入同期によ
り、該複数のレーザ発振領域が波面の揃った光を射出す
る発光素子において、安定した注入同期動作と高い光出
力を併せもつ素子を安価に提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
請求項1に係る発明では、半導体基板の一つの面に、該
基板から離れた位置にある第一の反射層と、該基板に近
い位置にある第二の反射層と、前記第一の反射層と第二
の反射層との間にある活性層と、電流注入等のためのい
くつかの層と、からなる複数のレーザ発振領域が形成さ
れ、該半導体基板の他の一つの面は複数の凸型形状が配
列された形状を成し、該凸型形状の表面に第三の反射層
が形成された構成の発光素子とした。
【0019】請求項1の発光素子の構成を図1に示す。
図中、1は第一の反射層、2は第二の反射層、3は電流
注入等のためのいくつかの層および活性層のある領域、
4は一つの面に複数の凸型形状が配列された半導体基
板、5は第三の反射層である。1から3の部分によりレ
ーザ発振領域6が形成される。7はレーザ発振領域6か
ら半導体基板4中に放射される光線の範囲を示す境界で
ある。図中の矢印は、光線の放射される方向を示す。
【0020】半導体基板4には主にガリウム砒素単結晶
が用いられる。前記活性層は放射する光の波長により種
々のものが用いられるが、主にガリウム、アルミニウ
ム、砒素、インジウム、リン等のうちのいくつかよりな
る化合物半導体層が用いられる。第一の反射層1は反射
率を調整して作製でき、活性層の動作に影響を及ぼさな
いものであれば、どの様なものでも使用可能であるが、
誘電体多層膜や分布型ブラッグ反射層(以下DBRと記
載する)が用いられる。第二の反射層2は、前記活性層
をエピタキシャル成長させる必要があるので、殆どの場
合DBRが用いられる。
【0021】第三の反射層5は、第一の反射層1と同じ
く種々のものが使用可能であるが、半導体基板を傷めな
いものであればよいので広範囲のものが適用でき、殆ど
の場合、反射率が高いほど素子の特性が向上するので、
金属膜等も使用可能である。前記電流注入などに関わる
層は、前記活性層の材質等との適合性等を考慮して適切
に選択したものであれば、どのようなものでもよく、第
一、第二、第三の反射層1,2,5にその機能の一部或
いは全部を持たせてもよい。第一の反射層1と第二の反
射層2のそれぞれの反射率は、レーザ光の一部をそれぞ
れ発光素子外部と半導体基板4中に取り出すため適当な
値に設定する。
【0022】第三の反射層5の反射率はできるかぎり高
くしておく。前記凸型形状とレーザ発振領域6とは、各
々の配列ピッチを等しくし、凸型形状の中心点が隣合う
二つのレーザ発振領域6,6間の中点に対応するよう
に、半導体基板4の両面における両者の位置関係を定め
る。完成した発光素子は、第三の反射層5を低融点合金
等で金属ステムに固定し、動作時の発生熱の放熱を行
う。
【0023】請求項2に係る発光素子は、半導体基板の
一つの面に、該基板から離れた位置にある第一の反射層
と、該基板に近い位置にある第二の反射層と、前記第一
の反射層と第二の反射層との間にある活性層と、電流注
入等のためのいくつかの層と、からなる複数のレーザ発
振領域が形成され、該半導体基板の他の一つの面は平面
とされ、一つの面は複数の凸型形状が配列された形状を
成し、該凸型形状の表面に第三の反射層が形成され、他
の一つの面は平面である透明基板と、前記半導体基板と
が、各々の平面を対向して光学的に結合されていること
を特徴とするものである。
【0024】請求項2において、ある面にレーザ発振領
域が形成された半導体基板は、他の面が平面であること
を除いて、請求項1の発光素子における半導体基板と同
様のものである。前記透明基板は、レーザ発振領域の発
振波長において透明な材質によるものであり、かつ機械
的特性等が発光素子の使用環境に適合するものであれ
ば、どの様なものでもよい。第三の反射層は透明基板の
上に形成されるが、これについても請求項1の発光素子
における半導体基板と同様である。一つの面は平面であ
る半導体基板と、一つの面は複数の凸型形状が配列され
た形状を成し、該凸型形状の表面に第三の反射層が形成
され、他の一つの面は平面である透明基板とは密着した
状態、または透明媒質で充填された間隙を挟んで配置さ
れた状態におき、光学的に結合させる。
【0025】請求項3に記載の発光素子は、請求項1ま
たは2において前記複数の凸型形状は、その各々が球面
を方形により切り出した形状を有し、これらが格子状に
配列された様態を成し、前記レーザ発振領域は個々の凸
型形状の境界の交点のいくつか、または全てに対応して
形成されていることを特徴とする。
【0026】請求項4に記載の発光素子は、請求項1ま
たは2において前記複数の凸型形状は、その各々が球面
を正六角形により切り出した形状を有し、これらがハニ
カム状に配列された様態を成し、前記レーザ発振領域は
個々の凸型形状の境界の交点のいくつか、または全てに
対応して形成されていることを特徴とする。
【0027】請求項5に記載の発光素子は、請求項1〜
4のいずれか一つの項において、一つの凸型形状と前記
第三の反射層とにより形成される凹面鏡の焦点が、該凹
面鏡の中心に最も近いある二つの前記レーザ発振領域に
同時に一致するように、前記半導体基板の厚さと、レー
ザ発振領域の間隔と、凸型形状の曲率半径とを定めたこ
とを特徴とする。
【0028】半導体基板は一般的な導電材料として使用
される金属に比べて熱伝導率が小さいため、高い光出力
の発光素子を実現しようとする場合、半導体基板の熱抵
抗で光出力が制限される。請求項6に記載の発光素子で
は、その放熱度合を最大限に高め、従来の発光素子では
達成できなかった高い光出力を得ることができる。この
発光素子の構造を図2に示す。すなわち、請求項6に記
載の発光素子は、請求項1〜5のいずれか一つの項にお
いて、レーザ発振領域の形成された面の反対面に、複数
の凸型形状がレーザ発振領域に対応した位置に平面の間
隙をもって配列され、完全な反射を行う場合を1、無反
射を0として反射率を0から1までの数値により表した
場合、第三の反射層の反射率と第一の反射層の反射率と
がほぼ1であり、且つ第三の反射層は凸型形状の領域の
みに形成された構造を有している。
【0029】請求項7に記載の発光素子は、請求項6に
おいて、前記複数の凸型形状が形成された半導体基板の
全面に前記レーザ発振領域が放射する光波長に対応した
低反射率層が形成され、この上部に、且つ前記凸型形状
の部分のみに前記第三の反射層が形成されていることを
特徴とする。
【0030】
【作用】請求項1の発光素子においては(図1参照)、
前記活性層への電流注入により該活性層から放射される
光は、第一の反射層1と第二の反射層2との間で繰り返
し反射され、各反射層からはレーザ光が放射される。一
つのレーザ発振領域6から半導体基板4中へ放射された
光は、半導体基板4の反対面にある第三の反射層5によ
り反射される。このとき第三の反射層5が形成された面
は、複数の凸型形状が配列された形状となっており、一
つのレーザ発振領域6の正面には複数の凸型形状の境界
が相対しているから、ある一つのレーザ発振領域6から
放射されたレーザ光は、これら複数の凸型形状と第三の
反射層5とにより半導体基板4内面に形成される複数の
凹面鏡によって、隣合ういくつかのレーザ発振領域6へ
分配して導かれる。
【0031】このようにして隣合うレーザ発振領域間で
レーザ光が行き来して注入同期が行われ、順次隣のレー
ザ発振領域アレイが注入同期された状態となり、最終的
には全てのレーザ発振領域間で注入同期のかかった状態
が達成される。レーザ発振領域の注入同期への応答は極
めて高速であるので、発光素子は動作開始後、アレイ全
面での注入同期の状態へ瞬時に到達する。
【0032】請求項1の発光素子は以上のような作用に
より、アレイ状に配列された全てのレーザ発振領域に注
入同期動作を行わせるので、注入同期のために、あるレ
ーザ発振領域から取り出された光は、隣合ういくつかの
レーザ発振領域に取り入れられるから、失われることは
ない。従って、従来の方法に見られたような注入同期
のためレーザ発振領域間の光結合を図る光が発光素子動
作にとっては損失となって高効率の発光素子が実現でき
ないという問題は生じない。
【0033】また、注入同期のためレーザ発振領域間の
光結合を図る光は、第三の反射層で反射されることによ
り他のレーザ発振領域へ導かれるのであるが、第三の反
射層の反射率は非常に高いので、請求項1の発光素子に
おいては、レーザ発振領域間の光結合の度合いは非常に
大きい。
【0034】従来の方法ではレーザ発振領域からの漏
れ光により該レーザ発振領域間の光結合を図っていたた
め、その光結合の度合は非常に小さく、安定な注入同期
動作は得られなかったのに対し、請求項1の発光素子は
上記のような特徴をもっているので、安定な注入同期動
作が容易に得られる。また、この発光素子は、従来の方
法で必要とされた外部の光学素子等は用いないので、
方法で問題となっていたのと違い、素子寸法が大きく
なることはなく、小形であるという半導体レーザ素子の
利点は損なわれない。
【0035】また、従来の方法においては、外部に配
置した光学部品との配置のわずかな変動が素子の動作に
影響するという問題があったが、請求項1の発光素子に
おいては、注入同期のためレーザ発振領域間の光結合を
図る光が反射される第三の反射層は、半導体基板の反対
面にレーザ発振領域と一体化されて形成されているの
で、その配置の変動は生じず、従って素子の動作が変動
することもない。
【0036】請求項1の発光素子においては、凸型形状
とレーザ発振領域とは各々の配列ピッチを等しくし、凸
型形状の中心点が隣合う二つのレーザ発振領域間の中点
に対応するように、半導体基板両面における両者の位置
関係を定めるが、配列ピッチや半導体基板両面における
位置関係は半導体作製時のアライメント精度から定まる
ので、通常の機械加工に比べて高い精度が得られ、ま
た、これらに多少のズレを含んで作製されたとしても、
注入同期のための光結合の度合がわずかに変わった素子
が作製されただけであり、これは素子動作中に変動する
ものではないので、素子の特性に影響を与えないから、
従来の方法において必要であった精密な調整工程は必
要なく、安価なコストが可能になる。
【0037】製造コストの点では請求項1の発光素子
は、従来の方法において必要であった外部の光学部品
及びこれらの保持機構等は全く必要とせず、従来の方法
のような単純なレーザアレイ素子の作製工程に、裏面
の凸型形状と第三の反射層を作製する工程を加えるのみ
であり、これは一般的な半導体プロセスで可能なもので
あるので、従来の方法のような単純なレーザアレイ素
子と殆ど変わらない製造コストで作製でき、安価な素子
が提供できる。
【0038】また、素子の冷却に関しても、請求項1の
発光素子は第三の反射層がほぼ完全な反射を行うので、
凸型形状の面から射出する光はなく、この面の外部は素
子の光学的動作に無関係であるので、この面を、従来の
半導体発光素子と同じく良好な熱伝導が行える方法によ
り金属ステムにボンディングでき、従来の方法におけ
る素子の放熱不良という問題も生じないので、高出力の
発光素子が実現できる。
【0039】請求項1の素子構造によって、より安定し
た注入同期動作が可能となり、アレイチップが大きい場
合でも、アレイ全面から波面の揃った光を放射する発光
素子が実現できるが、アレイのチップサイズが概ね10
mm四方以上の大きい素子を作製する場合には、アレイ
チップの機器実装後の耐震動性を高めるために、アレイ
チップの半導体基板厚さを厚くする必要がある。半導体
基板として、発光波長に対して透明であるものを選択す
るものの、半導体としての電気的物性が最も重要である
から、必ずしも光透過率を優先できるとは限らず、若干
の光吸収をもつ場合もある。この光吸収は、通常の基板
厚さにおいては、請求項1の発光素子の作用に影響する
ことはないが、上記のように基板厚さを厚くしなければ
ならないときは、基板での光吸収による損失が生じる。
このため若干ではあるが、発光素子の光出力が減少する
こととなる。
【0040】請求項2の構造は、このような場合に発光
素子の光出力を減少させることなく本発明の発光素子の
特徴である、安定した注入同期動作と高光出力を低コス
トで両立させるためのものである。請求項2の発光素子
は、一つの面は複数の凸型形状が配列された形状を成
し、該凸型形状の表面に第三の反射層が形成され、他の
一つの面は平面である透明基板が、レーザ発振領域の形
成された半導体基板と密着した状態、または透明媒質で
充填された間隙を挟んで配置された状態にあり、光学的
に結合しているから、半導体基板の厚さを増加させるこ
となくアレイチップの機械的強度を透明基板により高め
ることができる。従って、請求項2の素子構造によれ
ば、アレイのチップサイズが大きい場合でも、半導体基
板の厚さは薄いままでよく、半導体基板による光吸収を
非常に小さくできるから、光出力の低下という問題が生
じることなく、本発明の特徴である安定した注入同期動
作と、高光出力を低コストで両立させることができる。
【0041】半導体レーザ領域が1次元または2次元の
アレイ状に集積された発光素子のうち、アレイを構成す
る各レーザ発振領域間で注入同期を行わせ、アレイ全面
から波面の揃った光を放射する発光素子を光シャッタア
レイ、光検出器アレイ等と組み合わせて光を信号として
情報処理を行う光演算装置に用いる場合、半導体レーザ
発振領域は格子状または直線状に配置される。
【0042】請求項3に記載の発光素子は、このような
場合において最も効率良く動作する特徴をもつものであ
る。複数の凸型形状は、その各々が球面を方形により切
り出した形状を有し、これらが格子状に配列された様態
を成し、レーザ発振領域は個々の凸型形状の境界の交点
のいくつか、または全てに対応して形成された構造をと
ることにより、一つのレーザ発振領域から基板内方向に
放射された光は、隣接するいくつかのレーザ発振領域へ
導かれる際に均等に分配されるので、アレイ全面での注
入同期動作の安定度が最も高められ、最も効率の良い動
作が可能になる。また、このことは、注入同期動作の余
裕度が増すことであるので、レーザ発振領域の設計の自
由度が増加し、様々な素子仕様において、本発明の発光
素子の適用範囲が広がるという利点もある。
【0043】半導体レーザ領域が1次元または2次元の
アレイ状に集積された発光素子のうち、アレイを構成す
る各レーザ発振領域間で注入同期を行わせ、アレイ全面
から波面の揃った光を放射する発光素子において、単位
面積当たり最大の光圧力を得ようとする場合、半導体レ
ーザ領域は最密の状態であるハニカム状の配列すること
が求められる。
【0044】請求項4に記載の発光素子は、このような
場合において最も効率良く動作するものであり、複数の
凸型形状は、その各々が球面を正六角形により切り出し
た形状を有し、これらがハニカム状に配列された様態を
成し、レーザ発振領域は個々の凸形形状の境界の交点の
いくつか、または全てに対応して形成された構造をとる
ことにより、一つのレーザ発振領域から基板内方向に放
射された光は隣接するいくつかのレーザ発振領域へ導か
れる際に均等に分配されるので、アレイ全面での注入同
期動作の安定度が最も高められ、最も効率の良い動作が
可能になる。また、このことは、注入同期動作の余裕度
を増すことであるので、レーザ発振領域の設計の自由度
が増加し、様々な素子仕様において、本発明の発光素子
の適用範囲が広がるという利点もある。
【0045】請求項5の発光素子においては、一つの凸
型形状と前記第三の反射層とにより形成される凹面鏡の
焦点が、該凹面鏡の中心に最も近いある二つのレーザ発
振領域に同時に一致するように、半導体基板の厚さと、
レーザ発振領域の間隔と、凸型形状の曲率半径とを定め
ることにより、一つのレーザ発振領域から基板内方向に
放射された光は、隣接するレーザ発振領域へ導かれる際
に、そのレーザ発振領域へ集光されるので、注入同期動
作の安定度を最も高めることができる。このようにして
定めた半導体基板の厚さが厚く、その光吸収が問題とな
る場合には、請求項2の構造をとることにより、請求項
5の発光素子の効果が達成される。
【0046】請求項6の発光素子においてレーザ光は、
レーザ発振領域に対応した位置に設けられた平面部分か
ら素子外部に放射される。レーザ発振領域から凸型形状
部分に放射された光によって各レーザ発振領域間の光結
合が図られ、注入同期動作が行われる。
【0047】この発光素子では第一の反射層の反射率が
1であるから、この面の外側に他の材料が接しても素子
の光学的動作には影響がないので、レーザ発振領域が完
成した後、表面に薄い絶縁膜を設けてその上を、蒸着な
どにより金属材料との濡れ性が良い膜で被覆し、この面
を、低融点金属等の熱伝導の良い接合材料を用いて金属
ステムに固定することができる。このような固定方法を
とれば、レーザ発振領域発振で生じた熱は、半導体基板
を介することなく直接金属ステムに放熱されるから、半
導体基板の熱抵抗は素子の許容電力量の制限とはなら
ず、放熱度合を最大限に高められる。従って、レーザ発
振領域への注入電力を増やすことができ、高い光出力の
発光素子が実現される。
【0048】発光素子の光取り出し効率を高めるために
素子表面に低反射率層を設ける場合、請求項6の発光素
子においては、表面に低反射率層を堆積すると第三の反
射層の外周部が段差となっている影響で、この付近に堆
積した低反射率層は、厚さが所定のものから変化し低反
射率層としての機能を果たさなくなり、発光素子の光取
り出し効率が低下するという問題がある。請求項7の発
光素子は、複数の凸型形状が形成された半導体基板の全
面にあらかじめレーザ発振領域が放射する光波長に対応
した低反射率層を形成し、この上部に、且つ前記凸型形
状の部分のみに第三の反射層を形成することにより製作
されるから、低反射率層の厚さが第三の反射層の外周部
付近において変化するという問題は生じず、全ての領域
が低反射率層としての機能を果たすという特徴がある。
【0049】
【実施例】つぎに本発明の実施例について説明する。 実施例1 請求項1の構造の発光素子を製作し、その効果を確かめ
た。ガリウム砒素半導体基板の上に、いずれも分子線エ
ピタキシー法により下部反射層として厚さ70nmのガ
リウム砒素層と、厚さ85nmのアルミニウム砒素層と
を交互に25層ずつ積層して第二の反射層を形成した。
活性層として厚さ48nmのインジウムガリウム砒素層
を形成し、厚さ70nmのガリウム砒素層と、厚さ85
nmnのアルミニウム砒素層とを交互に20層ずつ積層
して第一の反射層を形成した。
【0050】凸型形状とレーザ発振領域の配置とは、請
求項4に記載の最密配列をとり、レーザ発振領域は凸型
形状の境界の全てに対応させて形成した。レーザ発振領
域は配列ピッチを250μm、上面より見た寸法は50
μm×50μmとし、10個×10個配列で100個形
成した。半導体基板の厚さと、凸型形状の曲率半径は上
記配列ピッチと請求項5の条件とから定め、概ね基板厚
さは150μm、凸型形状の曲率半径は250μmとし
た。凸型形状は、感光性樹脂をフォトリソグラフィ手法
により円柱状にパターニングし、これを加熱・流動化さ
せて表面張力により前記該円柱体状の樹脂を球面形状に
変化させ、ドライエッチングにより該球面形状をガリウ
ム砒素基板へ転写して形成した。
【0051】電流供給のための電極は、金チタン合金を
真空蒸着により第一の反射層の外周部と凸型形状の表面
に形成し、第三の反射層は凸型形状表面の電流供給層に
より兼用した。この発光素子を動作させ、レーザ光を第
一の反射層の電極の開口部から取り出し、アレイ全体の
波面の状態を干渉計により調べた。
【0052】その結果、100個のレーザ発振領域から
殆ど波面の一致したレーザ光が射出されていることが分
かった。またレーザ光出力の総和は、一つのレーザ発振
領域のほぼ100倍となっており、注入同期のための損
失は殆ど無いことが分かった。更に注入同期動作の安定
性を調べるため、レーザアレイの一部にCO2 レーザ光
を集束して照射し、一部のレーザ発振領域のみを加熱し
て注入同期動作に擾乱を与え、干渉計により波面の変化
を見た。その結果、波面の乱れは生じず、この発光素子
は優れた安定性をもった注入同期動作を行っていること
が分かった。
【0053】実施例2 ガリウム砒素基板上にレーザ発振領域を配列ピッチ25
0μmで50×50個形成した、実施例1と同様の発光
素子を製作すると、発光素子の大きさは15mm角度程
度となり、ガリウム砒素は脆い材料であるので基板厚さ
は、完成した素子の機械強度の点から1mmとする必要
がある。この発光素子と請求項2の構造による発光素子
の性能を比較した。
【0054】請求項2の構造による発光素子は、次の手
順で作製した。厚さ100μmのガリウム砒素基板上に
実施例1と同じ構成で50×50の配列で2500個の
レーザ発振領域を形成し、反対面には凸型形状を作らず
に平面のままとした。この平面には金チタン合金を蒸着
した後、金チタン合金膜を、別に接合される凸型形状の
境界に相当するメッシュ状にパターニングし電流供給層
とした。透明基板としては、機械的強度が優れレーザ発
振波長において透明なゲルマニウムの厚さ200μmの
板を用い、一つの表面に実施例1と同様な方法で凸型形
状を形成した。上記レーザ発振領域が形成されたガリウ
ム砒素基板と凸型形状の形成されたゲルマニウム基板と
を、赤外線CCDカメラにより位置合わせしてアクリル
系接着剤により接着した。接着剤層は厚さを薄くして光
吸収が無いようにした。
【0055】この発光素子と、実施例1と同様の構造で
厚さ1mmのガリウム砒素基板を用いて製作した発光素
子の光出力を比較した結果、実施例1と同様の構造の発
光素子では、一つのレーザ発振領域の光出力の総和に対
して注入同期された全レーザアレイの光出力は5%の低
下が見られたが、この実施例の発光素子では、ほぼ同じ
光出力が得られ、ガリウム砒素基板が厚くなったことに
よる注入同期動作の損失は回避されていることが分かっ
た。
【0056】実施例3 請求項6の構造の発光素子を次の手順により形成した。
ガリウム砒素半導体基板の上に、いずれも分子線エピタ
キシー法により、下部反射層として厚さ70nmのガリ
ウム砒素層と、厚さ85nmのアルミニウム砒素層とを
交互に25層ずつ積層して第二の反射層を形成し、活性
層として厚さ48nmのインジウムガリウム砒素層を形
成し、厚さ70nmのガリウム砒素層と、厚さ85nm
のアルミニウム砒素層とを交互に20層ずつ積層し、最
上部に金チタン合金を蒸着して反射率をほぼ1とした第
一の反射層を形成した。第一の反射層により上部の電流
供給を行った。凸型形状とレーザ発振領域の配置は請求
項4の最密配列をとり、レーザ領域は凸型形状の境界の
全てに対応させて形成した。
【0057】レーザ発振領域の反対位置である3個の凸
型形状が集まる箇所には、直径70μmの平面部を設け
た。レーザ発振領域は、配列ピッチを250μm、上面
から見た寸法を50μm×50μmとし、10個×10
個配列で100個形成した。半導体基板厚さと凸型形状
の曲率半径は、上記配列ピッチと請求項5の条件とから
定め、概ね基板厚さは150μm、凸型形状の曲率半径
は250μmとした。凸型形状は、感光性樹脂をフォト
リソグラフィ手法により円柱状にパターニングし、これ
を加熱・流動化させて表面張力により前記円柱状の樹脂
を球面形状に変化させ、ドライエッチングにより前記球
面形状をガリウム砒素基板へ転写して形成した。
【0058】平面部は円柱状にパターニングした感光性
樹脂の直径を若干小さくすることにより形成できる。こ
の表面にフッ化カルシウムの低反射率層を設け(請求項
7)、この上に第三の反射層を、凸型形状表面に金チタ
ン合金を蒸着して形成し、電流供給のためにメッシュ状
に連結し、平面部の上部には第三の反射層が無い形状に
パターニングした。レーザ発振領域の側壁を絶縁するた
めシリコンオキシナイトライド膜をレーザ発振領域の形
成された面のみにプラズマCVD法により堆積し、上部
の金チタン合金部が露出するようにレジストマスクをフ
ォトリソグラフィで形成した後、緩衝フッ酸でエッチン
グし側壁のみに絶縁膜が残るようにした。この後、上部
チタン合金膜をインジウム合金により金属ステムにボン
ディングした。
【0059】このようにして形成した請求項6の構造の
発光素子について、駆動電流を変化させてその光出力の
変化を測定した結果、同様のアレイである実施例1の発
光素子に比べて、より高い駆動電流まで光出力が直線性
よく増加し、レーザ素子の放熱効果が高められ高い光出
力が得られることが分かった。
【0060】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よって半導体レーザ領域が1次元または2次元のアレイ
状に集積された注入同期により、複数のレーザ領域領域
の波面の揃った光を射出する発光素子において、従来の
構造では両立できなかった安定した注入同期動作と高い
光出力を併せもつ素子を、安価に提供できるようになっ
た。本発明の各請求項の発光素子には、それぞれ次のよ
うな利点があり、用途に応じて最適な構造をとることが
できる。 請求項1:広い範囲の用途について本発明の効果をもた
らすことができる基本的な構造の発光素子である。 請求項2:請求項1の構造にあっては半導体基板が厚く
なり、これによる光吸収が問題となる。これに対し請求
項2の構造では、半導体基板の厚さを増加させることな
くアレイチップの機械的強度を高めることができるの
で、レーザアレイ寸法が大きい場合において半導体基板
による光吸収を回避し、発光素子の光出力低下をなくす
ことができる。但し、製造工程が増加するから、薄い基
板ですむ小形の素子の場合は請求項1の構造が適してい
る。 請求項3:半導体レーザ発振領域が1次元または2次元
のアレイ状に集積された発光素子のうち、アレイを構成
する各レーザ発振領域間で注入同期を行わせ、アレイ全
面から波面の揃った光を放射する発光素子が正方格子状
に配列された光シャッタアレイ、光検出器アレイ等と組
み合わせて光を信号として情報処理を行う光演算装置に
用いる場合に適する。 請求項4:半導体レーザ領域が1次元または2次元のア
レイ状に集積された発光素子のうち、アレイを構成する
各レーザ発振領域間で注入同期を行わせ、アレイ全面か
ら波面の揃った光を放射する発光素子において、単位面
積当たり最大の光出力を得ようとするときにとられる構
造である、半導体レーザ発振領域が最密の状態であるハ
ニカム状に配列された場合に適する。 請求項5:半導体基板の厚さと、レーザ発振領域の間隔
と、凸型形状の曲率半径とを比較的自由に定めることが
可能である場合、請求項5の構造により注入同期動作の
安定度が最も高められた発光素子が得られる。 請求項6:特に高い発光出力が必要である場合、請求項
6の構造によれば請求項1または2の発光素子に比べ
て、半導体基板からの放熱が良くなり発光出力が高めら
れる。但し、レーザ発振領域が金属ステムに一括してボ
ンディングされるので、例えばレーザ発振領域の選択し
た一部のみを発光させたい場合には適さず、この場合は
個別の配線が可能な請求項1または2の構造が適してい
る。 請求項7:請求項6の発光素子表面に低反射率層を設け
て光取り出し効率を高めようとする場合、請求項7の構
造により光取り出し部である凸型形状に囲まれた平面部
周辺での低反射率層の膜厚変化が回避され、光取り出し
効率の低下をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1に係る発光素子の構造を示す
説明図である。
【図2】本発明の請求項6に係る発光素子の構造を示す
説明図である。
【図3】アレイ状に集積された発光素子の外部に置いた
光学系を利用する従来の発光素子を示す説明図である。
【符号の説明】 1 第一の反射層 2 第二の反射層 3 電流注入のための層及び活性層の領域 4 半導体基板 5 第三の反射層 6 レーザ発振領域 7 半導体基板中に放射される光の範囲を示す境界 11 半導体レーザ素子 12 集光レンズ 13 反射鏡

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板の一つの面に、該基板から離
    れた位置にある第一の反射層と、該基板に近い位置にあ
    る第二の反射層と、前記第一の反射層と第二の反射層と
    の間にある活性層と、電流注入等のためのいくつかの層
    と、からなる複数のレーザ発振領域が形成され、該半導
    体基板の他の一つの面は複数の凸型形状が配列された形
    状を成し、該凸型形状の表面に第三の反射層が形成され
    ていることを特徴とする発光素子。
  2. 【請求項2】 半導体基板の一つの面に、該基板から離
    れた位置にある第一の反射層と、該基板に近い位置にあ
    る第二の反射層と、前記第一の反射層と第二の反射層と
    の間にある活性層と、電流注入等のためのいくつかの層
    と、からなる複数のレーザ発振領域が形成され、該半導
    体基板の他の一つの面は平面とされ、一つの面は複数の
    凸型形状が配列された形状を成し、該凸型形状の表面に
    第三の反射層が形成され、他の一つの面は平面である透
    明基板と、前記半導体基板とが、各々の平面を対向して
    光学的に結合されていることを特徴とする発光素子。
  3. 【請求項3】 前記複数の凸型形状は、その各々が球面
    を方形により切り出した形状を有し、これらが格子状に
    配列された様態を成し、前記レーザ発振領域は個々の凸
    型形状の境界の交点のいくつか、または全てに対応して
    形成されていることを特徴とする請求項1または2に記
    載の発光素子。
  4. 【請求項4】 前記複数の凸型形状は、その各々が球面
    を正六角形により切り出した形状を有し、これらがハニ
    カム状に配列された様態を成し、前記レーザ発振領域は
    個々の凸型形状の境界の交点のいくつか、または全てに
    対応して形成されていることを特徴とする請求項1また
    は2の記載発光素子。
  5. 【請求項5】 一つの凸型形状と前記第三の反射層とに
    より形成される凹面鏡の焦点が、該凹面鏡の中心に最も
    近いある二つの前記レーザ発振領域に同時に一致するよ
    うに、前記半導体基板の厚さと、レーザ発振領域の間隔
    と、凸型形状の曲率半径とを定めたことを特徴とする請
    求項1〜4のいずれか一つの項に記載の発光素子。
  6. 【請求項6】 前記複数の凸型形状は前記レーザ発振領
    域に対応した位置に平面の間隔をもって配列され、完全
    な反射を行う場合を1、無反射の場合を0として反射率
    を0から1までの数値で表したときに、前記第三の反射
    層の反射率と前記第一の反射層の反射率とがほぼ1であ
    り、且つ前記第三の反射層は凸型形状の領域のみに形成
    されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一
    つの項に記載の発光素子。
  7. 【請求項7】 前記複数の凸型形状が形成された半導体
    基板の全面に前記レーザ発振領域が放射する光波長に対
    応した低反射率層が形成され、この上部に、且つ前記凸
    型形状の部分のみに前記第三の反射層が形成されている
    ことを特徴とする請求項6に記載の発光素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001067563A3 (en) * 2000-03-06 2002-04-25 Novalux Inc Coupled cavity high power semiconductor laser
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JP2019165198A (ja) * 2018-03-19 2019-09-26 株式会社リコー 面発光レーザアレイ、検出装置およびレーザ装置

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