JPH087806A - 電子線発生装置および該電子線発生装置を用いた画像形成装置 - Google Patents

電子線発生装置および該電子線発生装置を用いた画像形成装置

Info

Publication number
JPH087806A
JPH087806A JP14463394A JP14463394A JPH087806A JP H087806 A JPH087806 A JP H087806A JP 14463394 A JP14463394 A JP 14463394A JP 14463394 A JP14463394 A JP 14463394A JP H087806 A JPH087806 A JP H087806A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron
electrode
electron source
image
emitting device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP14463394A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3113149B2 (ja
Inventor
Yoshihisa Sano
義久 左納
Hideaki Mitsutake
英明 光武
Naohito Nakamura
尚人 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP06144633A priority Critical patent/JP3113149B2/ja
Publication of JPH087806A publication Critical patent/JPH087806A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3113149B2 publication Critical patent/JP3113149B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子放出素子からの電子放出軌道を安定さ
せ、電子の到達位置ずれを防止する。 【構成】 複数の電子放出素子15がマトリクス状に搭
載された電子源1には、電子が衝突することにより発光
する蛍光膜7が設けられたフェースプレート3が対向配
置される。電子源1とフェースプレート3との間には、
外囲器10の内部の耐大気圧構造体としてスペーサ5が
設けられる。スペーサ5の表面は、それぞれ抵抗値が異
なる3種類の導電性材料5a、5b、5cで覆われ、各
導電性材料は電子源1とフェースプレート3との間に電
気的に直列に接続される。各導電性材料5a、5b、5
cの抵抗値は、電子源1とフェースプレート3との間に
印加される電圧により両者間に電流が流れないような高
い抵抗値であり、両者間の絶縁性を保っている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子線発生装置および
それを利用した画像表示装置等の画像形成装置に関わ
り、特に表面伝導型電子放出素子を多数個備える電子線
発生装置および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子としては、熱電子源
と冷陰極電子源の2種類が知られており、また、これら
の電子源を利用した画像形成装置が知られている。
【0003】熱電子源を用いた平面型の画像形成装置と
しては、図17に示すものが知られている。図17は、
熱電子源を用いた従来の画像形成装置の概略構成図であ
る。この画像形成装置は、絶縁支持体1501上に平行
に配置され、表面に電子線衝撃により発光する部材(蛍
光体)が塗布された複数の陽極1502と、陽極150
2と平行に、かつ、対向して配置された複数のフィラメ
ント1503と、陽極1502とフィラメント1503
との間に、陽極1502およびフィラメント1503と
直交して配置された複数のグリッド1504とを有し、
これら陽極1502、フィラメント1503およびグリ
ッド1504は、透明の容器1505内に保持されてい
る。容器1505は、その内部の真空を保持できるよう
に絶縁支持体1501に気密接着(以下、「封着」とい
う)され、容器1505と絶縁支持体1501とで構成
される外囲器の内部は10-6Torr程度の真空に保た
れている。
【0004】フィラメント1503は、真空中で加熱さ
れることにより電子を放出し、グリッド1504と陽極
1502に適当な電圧を印加することにより、フィラメ
ント1503から放出された電子が陽極1502に衝突
し、陽極1502上に塗布された蛍光体が発光する。陽
極1502の列(X方向)とグリッド1504の列(Y
方向)をマトリクスアドレッシングすることにより、発
光する位置の制御が可能となり、容器1505を通して
画像を表示することができる。
【0005】しかし、熱電子源を用いた画像形成装置
は、 (1)消費電力が大きい。 (2)変調スピードが遅いため、大容量の表示が困難で
ある。 (3)各素子間のばらつきが生じやすく、また構造が複
雑となるため大画面化が難しい。 という問題点がある。
【0006】そこで、熱電子源にかえて、冷陰極電子源
を用いた画像形成装置が考えられている。
【0007】冷陰極電子源には電界放出型(以下、FE
型という)、金属/絶縁層/金属型(以下、MIM型と
いう)や表面伝導型電子放出素子(以下、SCEとい
う)等がある。
【0008】FE型の例としては、W.P.Dyke & W.W.Dol
an, "Field emission", Advance inElectron Physics,
8, 89(1956)、あるいはC.A.SPindt, "PHYSICAL Propert
iesof thin-film field emission cathodes with moybd
enium coces", J.Appl.Phys., 47, 5248(1976) 等が知
られている。
【0009】MIM型の例としては、C.A.Mead, "Opera
tion of Tunnel-emission Devices", J.Appl.Phys., 3
2, 646(1961) 等が知られている。
【0010】SCEの例としては、M.I.Elinson, Radio
Eng. Electron Phys., 10, (1965)等がある。SCE
は、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に
電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用す
るものである。このSCEとしては、前記エリンソン等
によるSnO2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:"Thin Solid Films", 9, 317(1972)]、I
23/SnO2 薄膜によるもの[M.Hartwell and C.
G.Fonstad:"IEEE Trans. ED Conf.", 519(1975)]、カ
ーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、
第1号、22頁(1983)]等が報告されている。
【0011】これら表面伝導型電子放出素子の典型的な
素子構成として、前述のハートウェル(M.Hartwell)の
文献による素子構成を図182に示す。図18におい
て、絶縁性基板2011には、素子電極となる電子放出
部形成用薄膜2012が形成されている。電子放出部形
成用薄膜2012は、H型形状のパターンに、スパッタ
で形成された金属酸化物膜等からなり、後述のフォーミ
ングと呼ばれる通電処理により電子放出部2023が形
成される。また、電子放出部形成用薄膜2012のうち
電子放出部2023が含まれる部分を、電子放出部を含
む薄膜2018と呼ぶことにする。
【0012】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行なう前に、電子放出部形成用薄
膜2012を、予めフォーミングと呼ばれる通電処理に
よって電子放出部2023を形成するのが一般的であっ
た。すなわちフォーミングとは、電子放出部形成用薄膜
2012の両端に電圧を印加し、電子放出部形成用薄膜
2012を局所的に破壊もしくは変質させ、電気的に高
抵抗な状態にした電子放出部2023を形成することで
ある。なお、電子放出部2023は、電子放出部形成用
薄膜2012の一部に亀裂が発生し、その亀裂付近から
電子放出が行なわれる。以下、フォーミングにより形成
した電子放出部を含む電子放出部形成用薄膜2012
を、電子放出部を含む薄膜2018と呼ぶ。前記フォー
ミング処理をした表面伝導型電子放出素子は、上述の電
子放出部を含む薄膜2018に電圧を印加し、素子に電
流を流すことにより、上述の電子放出部2023より電
子を放出させるものである。
【0013】例えば、この種の電子放出素子を用いた画
像形成装置としては、電子放出素子が設けられた電子源
と、電子の衝突により発光する蛍光体等を備えた画像形
成部材とを支持枠を介して対向配置し、これら電子源と
画像形成部材と支持枠とで構成される外囲器の内部を真
空にしたものが知られていいる。また、画像形成部材に
は、電子源から放出された電子を画像形成部材に向けて
加速するための加速電極が備えられ、加速電極に高電圧
を印加することで放出電子が画像形成部材へ向けて加速
され、画像形成部材に衝突する。また、薄型画像表示装
置等のように扁平な外囲器を用いる画像形成装置におい
ては、耐大気圧構造体として支持柱(スペーサ)を用い
る場合もある。
【0014】多数のSCEを配列した例としては、並列
にSCEを配列し、個々の要素の両端を配線にてそれぞ
れ結線した行を多数配列した電子源が挙げられる(例え
ば、特開平1−31332号公報)。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は、SCEを
用いた画像形成装置をより簡単な構成で実現する方法と
して、複数本の行方向配線と複数本の列方向配線とによ
って、SCEの対向する1対の素子電極をそれぞれ結線
することで、行列状に、多数個のSCEを配列した単純
マトリクス型の電子源を構成し、行方向と列方向に適当
な駆動信号を与えることで、多数のSCEを選択し、電
子放出量を制御し得る系を考えている。
【0016】上記単純マトリクス型のSCE電子源を用
いた画像形成装置の検討において、本発明者らは、画像
形成部材をなす蛍光体上の発光位置すなわち電子の到達
位置や発光形状が設計値からずれる場合が生じることを
見出した。特に、カラー画像用の画像形成部材を用いた
場合は、発光位置ずれとあわせて、輝度低下や色ずれの
発生も見られる場合があった。また、本現象は電子源と
画像形成部材間に配置される支持枠または支持柱(スペ
ーサ)の近傍、あるいは画像形成部材の周縁部で起こる
ことを確認した。
【0017】そこで本発明は、電子放出素子からの電子
放出軌道を安定させ、電子の到達位置ずれのない電子線
発生装置および画像形成装置を提供することを目的とす
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の電子線発生装置は、電子放出素子が設けられた
電子源と、前記電子源に真空雰囲気中で対向配置された
電極と、前記電子源と前記電極との間に配置された中間
部材とを有する電子線発生装置において、中間部材の表
面は、前記電極に印加された電圧により前記電子源と前
記電極との間に電流が流れないような電気抵抗値を有
し、かつ、その値がそれぞれ異なる複数の導電性部分か
らなり、前記複数の導電性部分のうち少なくとも2つ
が、前記電子源と前記電極との間に電気的に直列に接続
されていることを特徴とする。
【0019】また、前記中間部材の表面の電気抵抗値
が、105 〜1012Ω/□の範囲にあるものや、前記中
間部材は絶縁性材料からなり、表面に導電性材料を設け
ることで、前記電気抵抗値を有する複数の導電性部分が
構成されているものや、前記中間部材の表面の電気抵抗
値は、前記電子源側の端部で最も小さいものであっても
よい。
【0020】さらに、前記電子源と電極との間の真空雰
囲気を維持するための外囲器の一部をなす支持枠や、前
記電子源と電極との間に設置された耐大気圧構造体や、
前記電子源と電極との間に配置された電極を支持する支
柱であってもよい。
【0021】また、前記電子放出素子は、冷陰極型電子
放出素子であってもよく、その中でも特に表面伝導型電
子放出素子を用いたものであってもよい。
【0022】この場合、前記表面伝導型電子放出素子が
2次元のマトリクス状に複数個配置され、前記各表面伝
導型電子放出素子は、複数本の行方向配線と複数本の列
方向配線とによって、それぞれ結線されているものであ
ってもよい。
【0023】本発明の画像形成装置は、上記本発明の電
子線発生装置を用い、前記電極に代えて、前記電子放出
素子から放出された電子が衝突することにより画像が形
成される部材および前記電子放出素子から放出された電
子を加速するための加速電極を備えた画像形成部材とし
たものである。
【0024】
【作用】本発明者らは鋭意研究した結果、上記課題は電
子源から放出される電子がその誘因となることを見出し
た。
【0025】電子源から放出された電子は画像形成部材
である蛍光体への衝突の他に、確率は低いが真空中の残
留ガスへの衝突が起こる。これらの衝突時にある確率で
発生した散乱粒子(イオン、2次電子、中性粒子等)の
一部が、装置内の絶縁性材料の露出した部分に衝突し、
上記露出部が帯電していることがわかった。この帯電に
より、上記露出部の近傍では電場が変化して電子軌道の
ずれが生じ、蛍光体の発光位置や発光形状の変化が引き
起こされたと考えられる。
【0026】また、上記蛍光体の発光位置、形状の変化
の状況から、上記露出部には主に正電荷が蓄積している
こともわかった。この原因としては、散乱粒子のうちの
正イオンが付着帯電する場合、あるいは散乱粒子が上記
露出部に衝突するときに発生する2次電子放出により正
の帯電が起きる場合などが考えられる。
【0027】以下に、上述の課題を解決するための手段
による作用を説明する。
【0028】上記のとおり構成された本発明の電子線発
生装置では、電子源の電子放出素子から電子が放出さ
れ、電極に衝突すると、電極からは正イオンが発生す
る。また、この他に、電子源と電極との間にあるガスに
電子が衝突して正イオンが発生することもある。これら
正イオンは、電子源と電極との間に配置された、支持枠
や耐大気圧構造体等の中間部材を帯電させ、これにより
電子放出素子から放出される電子の軌道のずれが生じ
る。しかし、中間部材の表面は電気抵抗値が異なる複数
の導電性部分からなり、このうち少なくとも2つが電子
源と電極との間に電気的に直列に接続されているので、
中間部材が帯電すると、導電性部分に電子が流れ込み、
正イオンが中和される。その結果、電子放出素子から放
出される電子の軌道のずれがなくなる。また、導電性部
分の電気抵抗値は、電極に印加される電圧により電子源
と電極間に電流がごくわずかしか流れないような値なの
で、電子源と電極との間の絶縁性は保たれる。
【0029】このような電気抵抗値として105 〜10
12Ω/□の範囲に設定すれば、より効果的に電子源と電
極との間の絶縁性を保ちつつ、中間部材の帯電が抑制さ
れる。
【0030】また、中間部材が絶縁性部材からなる場合
には、その表面に導電性材料を設けることで、上記電気
抵抗値を有する複数の導電性部分が構成される。
【0031】さらに、電子放出素子から放出された電子
は、放出直後は速度が小さく、電場の影響を受けやす
い。そこで、中間部材の表面の電気抵抗値を、電子源側
の端部で最も小さくすることで、導電性部分に流れ込む
電子は電子源側から流れ込みやすくなるので、電子放出
素子から放出された電子の軌道に影響を与えやすい部分
の帯電が効果的に中和される。
【0032】そして本発明は、複数本の行方向配線と複
数本の列方向配線とによってSCEをそれぞれ結線する
ことで、行列状に多数個のSCEを配列した単純マトリ
クス型の電子源を用いた電子線発生装置に好適である。
上記単純マトリクス型の電子源は、行方向と列方向に適
当な駆動信号を与えることで、多数のSCEを選択し電
子放出量を制御し得るので、基本的には他の制御電極を
付加する必要がなく、1枚の基板上で容易に構成でき
る。
【0033】もちろん、本発明は電子源と電極との間に
何らかの付加構造(例えば集束電極や偏向電極等)を有
する場合についても、上記の考え方を該付加構造間の各
々の空間に適用し、支持部材に設けられる複数の電極の
構成を決めることで同様の効果を与える。さらに、上記
付加構造が上記複数の電極の一部を兼ねる場合について
も適用できる。
【0034】本発明の画像形成装置では、本発明の電子
線発生装置で用いた電極に代えて、電子源に対向配置さ
れ、電子放出素子から放出された電子が衝突することに
より画像が形成される部材および電子放出素子から放出
された電子を加速するための加速電極を備えた画像形成
部材を用いているので、上述したように電子放出素子か
ら放出される電子の軌道が安定し、その結果、発光位置
のずれのない良好な画像が形成される。
【0035】
【実施例】本発明にかかわる画像形成装置は基本的に
は、薄型の真空容器内に、基板上に多数の冷陰極素子を
配列してなるマルチ電子ビーム源と、電子ビームの照射
により画像を形成する画像形成部材とを対向して備えて
いる。
【0036】冷陰極素子は、たとえばフォトリソグラフ
ィーやエッチングのような製造技術を用いれば基板上に
精密に位置決めして形成できるため、微小な間隔で多数
個を配列することが可能である。しかも、従来からCR
T等で用いられてきた熱陰極と比較すると、陰極自身や
周辺部が比較的低温の状態で駆動できるため、より微細
な配列ピッチのマルチ電子ビーム源を容易に実現するこ
とができる。
【0037】本発明は、上述した冷陰極素子をマルチ電
子ビーム源として用いた画像形成装置にかかわるもので
ある。
【0038】また、冷陰極素子のなかでもとりわけ好ま
しいのは、表面伝導型電子放出素子(SCE)である。
すなわち、前記MIM型素子は絶縁層や上部電極の厚さ
を比較的精密に制御する必要があり、またFE型は針状
の電子放出部の先端形状を精密に制御する必要がある。
そのため、これらの素子は比較的製造コストが高くなっ
たり、製造プロセス上の制限から大面積のものを作製す
るのが困難となる場合があった。
【0039】これに対してSCEは、構造が単純で製造
が簡単であり、大面積のものを容易に作製できる。近
年、特に大画面で安価な表示装置が求められている状況
においては、とりわけ好適な冷陰極素子であるといえ
る。
【0040】SCEの典型的な構成を図15に示す。図
15は、SCEの典型的な素子構成を示す図である。す
なわち図15に示すように、絶縁性基板1011上に1
対の素子電極1016、1017を設け、これら各電極
1016、1017を連絡するように金属酸化物等の薄
膜1018(以下、「電子放出部形成用薄膜」とい
う。)を成膜し、この薄膜1018をフォーミングと呼
ばれる通電処理により局所的に破壊もしくは変質させ電
子放出部1023を形成したものである。
【0041】次に、図15に示した電子放出素子の製造
方法を、本出願人による特開平2−56822、4−2
8139を参考にして、図16の製造工程図を用いて概
説する。なお、以下の工程a〜cは図16の(a)〜
(c)に対応する。
【0042】工程a:絶縁性基板1011を洗剤、純水
および有機溶剤により十分に洗浄後、真空蒸着法、スパ
ッタ法等により素子電極材料を堆積後、フォトリソグラ
フィー技術により絶縁性基板1011の面上に素子電極
1016、1017を形成する。
【0043】絶縁性基板1011としては、石英ガラ
ス、Na等の不純物含有量を減少したガラス、青板ガラ
ス、青板ガラスにスパッタ法等により形成したSiO2
を積層したガラス基板等のガラス部材及びアルミナ等の
セラミックス部材等が挙げられる。素子電極1016、
1017の材料としては、導電性を有するものであれば
どのようなものであっても構わないが、例えばNi、C
r、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等
の金属、あるいは合金、或いはPd、Ag、Au、Ru
2 、Pd−Ag等の金属や金属酸化物とガラス等から
構成される印刷導体、あるいはIn23 /SnO2
の透明導電体、あるいはポリシリコン等の半導体導体材
料等が挙げられる。
【0044】工程b:絶縁性基板1011上に設けられ
た素子電極1016、1017の間に、有機金属溶液を
塗布して放置することにより、有機金属薄膜を形成す
る。この後、有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオ
フ、エッチング等によりパターニングし、電子放出部形
成用薄膜1018を形成する。
【0045】上記有機金属溶液とは、電圧印加により電
子を放出しやすいもの、即ち仕事関数の低いもので、か
つ安定なもの、例えばPd、Ru、Ag、Au、Ti、
In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、P
b、Hg、Cd、Pt、Mn、Sc、La、Co、C
e、Zr、Th、V、Mo、Ni、Os、Rh、Ir等
の金属、AgMg、NiCu、Pb、Sn等の合金を主
元素とする有機化合物の溶液である。
【0046】なお、ここでは、有機金属溶液の塗布法に
より説明したが、これに限る物でなく、真空蒸着法、ス
パッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、ディッピン
グ法、スピンナー法等によって形成される場合もある。
【0047】工程c:素子電極1016、1017間に
電圧を不図示の電源により電圧を印加することで、先述
のフォーミングと呼ばれる通電処理を施し、電子放出部
形成用薄膜1018に、電子放出部形成用薄膜1018
の構造が変化した部位である電子放出部1023を形成
する。このようにして形成された電子放出部1023
は、導電性微粒子で構成されていることを本発明者等は
観察している。
【0048】このSCEは、素子電極1016、101
7間にある程度(しきい値電圧)以上の電圧を印加する
ことにより急激に放出電流が増加して電子放出部102
3から電子を放出し、一方、上記しきい値電圧未満では
放出電流がほとんど検出されない非線形素子である。S
CEの放出電流は素子電極1016、1017間に印加
する電圧で制御でき、また、放出電荷はこの電圧の印加
時間により制御できる。
【0049】また、本出願人は、SCEのなかでは電子
放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成したもの
が特性上、あるいは大面積化する上で好ましいことを見
出している。
【0050】そこで、以下に述べる実施例では、微粒子
膜を用いて形成したSCEをマルチ電子ビーム源として
用いた画像表示装置を、本発明の画像形成装置の好まし
い例として図面を参照して説明する。
【0051】(第1実施例)図1は、本発明の電子線発
生装置を応用した画像形成装置の第1実施例の一部を破
断した斜視図であり、図2は、図1に示した画像形成装
置のスペーサ近傍の拡大断面図である。
【0052】図1において、リアプレート2には、複数
の表面伝導型の電子放出素子(SCE)15がマトリク
ス状に配列された電子源1が固定されている。電子源1
には、ガラス基板6の内面に蛍光膜7と加速電極である
メタルバック8が形成された、画像形成部材としてのフ
ェースプレート3が、絶縁性材料からなる支持枠4を介
して対向配置されており、電子源1とメタルバック8と
の間には、不図示の電源により高電圧が印加される。こ
れらリアプレート2、支持枠4およびフェースプレート
3は互いにフリットガラス等で封着され、リアプレート
2と支持枠4とフェースプレート3とで外囲器10を構
成する。
【0053】また、外囲器10の内部は10-6Torr
程度の真空に保持されるので、大気圧や不意の衝撃など
による外囲器10の破壊を防止する目的で、耐大気圧構
造体として、外囲器10の内部には薄板状のスペーサ5
が設けられている。スペーサ5は絶縁性材料からなるも
ので、上記目的を達成するのに必要な数だけ、かつ、必
要な間隔をおいてY方向に平行に配置され、外囲器10
の内面および電子源1の表面にフリットガラス等で封着
される。
【0054】スペーサ5の表面は、それぞれスペーサ5
の表面に形成された電気抵抗値の異なる3種類の導電性
材料5a、5b、5cで覆われている。各導電性材料5
a、5b、5cはそれぞれスペーサ5の長手方向に平行
に形成され、互いに電子源1とフェースプレート3との
間に電気的に直列に接続されている。また、各導電性材
料5a、5b、5cの抵抗値は、最も電子源1側の導電
性材料5aから最もフェースプレート3側の導電性材料
5cへと、段階的に大きくなっている。
【0055】以下に、上述した各構成要素について詳細
に説明する。
【0056】(1)電子源1 図3は、図1に示した画像形成装置の電子源の要部平面
図であり、図4は、図3に示した電子源のA−A’線断
面図である。
【0057】図3および図4に示すように、ガラス基板
等からなる絶縁性基板11には、m本のX方向配線12
とn本のY方向配線13とが、層間絶縁層14(図3で
は不図示)で電気的に分離されてマトリクス状に配線さ
れている。各X方向配線12と各Y方向配線13との間
には、それぞれ表面伝導型の電子放出素子15が電気的
に接続されている。各電子放出素子15は、それぞれX
方向に間をおいて配置された1対の素子電極16、17
と、各素子電極16、17を連絡する電子放出部形成用
薄膜18とで構成され、1対の素子電極16、17のう
ち一方の素子電極16が、層間絶縁層14に形成された
コンタクトホール14aを介してX方向配線12に電気
的に接続され、他方の素子電極17がY方向配線13に
電気的に接続される。各素子電極16、17は、それぞ
れ導電性金属等からなるものであり、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等で形成される。
【0058】絶縁性基板11の大きさ及び厚みは、絶縁
性基板11に設置される電子放出素子15の個数および
個々の素子の設計上の形状や、電子源1の使用時に容器
の一部を構成する場合には、その容器を真空に保持する
ための条件等に依存して適宜設定される。
【0059】各X方向配線12および各Y方向配線13
は、それぞれ絶縁性基板11上に、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等により所望のパターンに形成された導
電性金属等からなり、多数の電子放出素子15にできる
だけ均等な電圧が供給されるように、材料、膜厚、配線
巾が設定される。また、層間絶縁層14は、真空蒸着
法、印刷法、スパッタ法等で形成されたSiO2 等であ
り、X方向配線12を形成した絶縁性基板11の全面或
いは一部に所望の形状で形成され、特にX方向配線12
とY方向配線13の交差部の電位差に耐え得るように、
膜厚、材料、製法が適宜設定される。
【0060】また、X方向配線12には、X方向に配列
する電子放出素子15の行を任意に走査するための走査
信号を印加するための不図示の走査信号発生手段と電気
的に接続されている。一方、Y方向配線13には、Y方
向に配列する電子放出素子15の各列を任意に変調する
ための変調信号を印加するための不図示の変調信号発生
手段と電気的に接続されている。ここにおいて、各電子
放出素子15に印加される駆動電圧は、当該素子に印加
される走査信号と変調信号の差電圧として供給されてい
るものである。
【0061】ここで、電子源1の製造方法の一例につい
て図5により工程順に従って具体的に説明する。尚、以
下の工程a〜hは、図5の(a)〜(h)に対応する。
【0062】工程a:清浄化した青板ガラス上に厚さ
0.5μmのシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した絶
縁性基板11上に、真空蒸着により厚さ50オングスト
ロームのCr、厚さ6000オングストロームのAuを
順次積層した後、ホトレジスト(AZ1370 ヘキス
ト社製)をスピンナーにより回転塗布、べークした後、
ホトマスク像を露光、現像して、X方向配線12のレジ
ストパターンを形成し、Au/Cr堆積膜をウエットエ
ッチングして、所望の形状のX方向配線12を形成す
る。
【0063】工程b:次に、厚さ1.0μmのシリコン
酸化膜からなる層間絶縁層14をRFスパッタ法により
堆積する。
【0064】工程c:工程bで堆積したシリコン酸化膜
にコンタクトホール14aを形成するためのホトレジス
トパターンを作り、これをマスクとして層間絶縁層14
をエッチングしてコンタクトホール14aを形成する。
エッチングはCF4 とH2 ガスを用いたRIE(Rea
ctive Ion Etching)法による。
【0065】工程d:その後、素子電極と素子電極間ギ
ャップとなるべきパターンをホトレジスト(RDー20
00Nー41 日立化成社製)で形成し、真空蒸着法に
より厚さ50オングストロームのTi、厚さ1000オ
ングストロームのNiを順次堆積した。ホトレジストパ
ターンを有機溶剤で溶解し、Ni/Ti堆積膜をリフト
オフし、素子電極間隔L1(図3参照)が3μm、素子
電極幅W1(図3参照)が300μmである素子電極1
6、17を形成する。
【0066】工程e:素子電極16、17の上にY方向
配線13のホトレジストパターンを形成した後、厚さ5
0オングストロームのTi、厚さ5000オングストロ
ームのAuを順次真空蒸着により堆積し、リフトオフに
より不要の部分を除去して、所望の形状のY方向配線1
3を形成する。
【0067】工程f:図6に示すような、素子電極間隔
L1だけ間をおいて位置する1対の素子電極16、17
を跨ぐような開口20aを有するマスク20を用い、膜
厚1000オングストロームのCr膜21を真空蒸着に
より堆積・パターニングし、その上に有機Pd(ccp
4230 奥野製薬(株)社製)をスピンナーにより回
転塗布、300℃で10分間の加熱焼成処理をした。
【0068】このようにして形成されたPdを主元素と
する微粒子からなる電子放出部形成用薄膜18の膜厚は
約100オングストローム、シート抵抗値は5×104
Ω/□であった。なお、ここで述べる微粒子膜とは、複
数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、
微粒子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が
互いに隣接、あるいは、重なり合った状態(島状も含
む)の膜をさし、その粒径とは、前記状態で粒子形状が
認識可能な微粒子についての径をいう。
【0069】工程g:酸エンチャントによりCr膜21
を除去して、所望のパターン形状を有する電子放出部形
成用薄膜18を形成した。
【0070】工程h:コンタクトホール14a部分以外
にレジストを塗布するようなパターンを形成し、真空蒸
着により厚さ50オングストロームのTi、厚さ500
0オングストロームのAuを順次堆積した。リフトオフ
により不要の部分を除去することにより、コンタクトホ
ール14aを埋め込んだ。
【0071】以上の工程を経て、X方向配線12、Y方
向配線13および電子放出素子15が絶縁性基板11上
に2次元状に等間隔に形成配置される。
【0072】そして、外囲器10(図1参照)を、不図
示の排気管を通じて真空ポンプにて排気し、十分な真空
度に達した後、容器外端子Dox1ないしDoxmとD
oy1ないしDoynを通じ、電子放出素子15の素子
電極16、17間に電圧を印加し、電子放出部形成用薄
膜18を通電処理(フォーミング処理)することにより
電子放出部形成用薄膜18が局所的に破壊して電子放出
部形成用薄膜18に電子放出部23(図4参照)が形成
される。例えば、フォーミング処理として、10-6To
rrの真空雰囲気下で、図7に示すようなパルス幅T1
が1ミリ秒、波高値(フォーミング時のピーク電圧)が
5Vの三角波を、10ミリ秒のパルス間隔T2 で60秒
間、素子電極16、17間に通電することにより電子放
出部形成用薄膜18に電子放出部23を形成できる。
【0073】このような表面伝導型の電子放出素子15
の特性を図8に示す。図8のグラフからわかるように、
電子放出素子15を構成する1対の素子電極16、17
に印加する電圧Vfがある特定値(しきい値)Vthを越
えるまでは放出電流Ieは検出されないが、Vth(例え
ば、8V)を越えると放出電流Ieが検出される。すな
わち、素子電極16、17間にしきい値電圧以上の電圧
を印加することによって、電子放出部23から電子が放
出される。
【0074】例えば、電子放出素子15が6×6のマト
リクス状に配置され、その素子番号をD(X,Y)で表
わすとする。画像を形成する場合、X軸と平行な1ライ
ンを単位としてライン順に画像を形成していく方法をと
る。画像の1ラインに対応した電子放出素子15を駆動
するには、X=1〜6のうち、表示ラインに対応する行
の端子に0Vの電圧を印加し、それ以外の端子には7V
の電圧を印加する。それと同期して、画像パターンに従
って、Y=1〜6の列のうち発光させる列に、例えば1
4Vの電圧を印加すると電子が放出される。このとき、
それ以外の電子放出素子15には7Vあるいは0Vの電
圧が印加されるが、この電圧はしきい値電圧以下なの
で、電子は放出されない。以上の説明では6×6のマト
リクスの構成としたが、実際には、これよりもはるかに
多数の画素を備えたものが用いられ、その場合でも同様
の原理で作動する。
【0075】また、電子放出素子15から放出された電
子は、素子電極16、17の負極側から正極側へ向かう
速度を持っている。放出直後の電子の速度は小さいの
で、この電子をフェースプレート3の内面に衝突させる
ためには、放出された電子をフェースプレート3側へ加
速する必要がある。そのため、図9に示すように、メタ
ルバック8との間に数kV以上の高電圧(加速電圧)を
印加することにより電子をメタルバック8側へ加速す
る。これにより、加速された電子は、電子放出素子15
の形成された面に対するする電子放出部23からの法線
に対して、正極側の素子電極16のほうに向かう放物線
軌跡をとって飛翔する。
【0076】(2)蛍光膜7 蛍光膜7は、モノクロームの場合は蛍光体のみから成る
が、カラーの場合は、図10に示されるように、三原色
(R、G、B)等の蛍光体7aの配列により構成され、
各蛍光体7aを囲むように格子状の黒色導電体7bが配
される。この黒色導電体7bは、各蛍光体7a間の塗り
分け部を黒くすることで混色を目立たなくすることと、
蛍光膜7における外光反射によるコントラストの低下を
抑制することである。黒色導電体7bの材料としては、
通常よく用いられている黒鉛を主成分とする材料だけで
なく、導電性があり、光の透過及び反射が少ない材料で
あれば適用できる。また、ガラス基板6に蛍光体を塗布
する方法はモノクローム、カラーによらず、沈殿法や印
刷法が用いられる。
【0077】本実施例では、黒色導電体7bの幅を20
0μm、各蛍光体7aの寸法を約600μm×200μ
m、画素のピッチを800μm×400μmとした。ま
た、図10では蛍光体7aのR、G、Bの配置が直線状
になっているが、これに限るものではない。
【0078】(3)メタルバック8 メタルバック8の目的は、蛍光膜7の発光のうち内面側
への光をフェースプレート3側へ鏡面反射することによ
り輝度を向上すること、電子ビーム加速電圧を印加する
ための加速電極として作用すること、外囲器10内で発
生した負イオンの衝突によるダメージからの蛍光体7a
の保護等である。メタルバック8は、蛍光膜7を作製
後、蛍光膜7の内側表面の平滑化処理(通常フィルミン
グと呼ばれる)を行い、その後Alを真空蒸着等で堆積
することで作製できる。フェースプレート3には、さら
に蛍光膜7の導電性を高めるため、蛍光膜7とガラス基
板6との間にITO等の透明電極(不図示)を設けても
よいが、メタルバック8のみで十分な導電性が得られる
場合には必ずしも必要ない。
【0079】(4)外囲器10 外囲器10は、不図示の排気管に通じ、10-6Torr
程度の真空度にされた後、封止される。そのため、外囲
器10を構成するリアプレート2、フェースプレート
3、支持枠4は、外囲器10に加わる大気圧に耐えて真
空雰囲気を維持でき、かつ、電子源1とメタルバック8
間に印加される高電圧に耐えるだけの絶縁性を有するも
のを用いることが望ましい。その材料としては、例えば
石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少したガラス、
青板ガラス、アルミナ等のセラミックス部材等が挙げら
れる。ただし、フェースプレート3については可視光に
対して一定以上の透過率を有するものを用いる必要があ
る。また、各々の部材の熱膨張率が互いに近いものを組
み合わせることが好ましい。
【0080】リアプレート2は、主に電子源1の強度を
補強する目的で設けられるため、電子源1自体で十分な
強度をもつ場合にはリアプレート2は不要であり、電子
源1に直接支持枠4を封着し、電子源1と支持枠4とフ
ェースプレート3とで外囲器10を構成してもよい。
【0081】また、外囲器10の封止後の真空度を維持
するために、ゲッター処理を行う場合もある。これは、
外囲器10の封止を行う直前あるいは封止後に、抵抗加
熱あるいは高周波加熱等により、外囲器10内の所定の
位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜
を形成する処理である。ゲッターは通常Baが主成分で
あり、該蒸着膜の吸着作用により、たとえば1×10-5
〜1×10-7Torrの真空度を維持するものである。
【0082】(5)スペーサ5 スぺーサ5としては、電子源1とメタルバック8間に印
加される高電圧に耐えるだけの絶縁性を有するものであ
ればどのようなものであっても構わないが、例えば石英
ガラス、Na等の不純物含有量を減少したガラス、青板
ガラス、アルミナ等のセラミックス部材等が挙げられ
る。ただし、その熱膨張率が外囲器10を成す部材と近
いものが好ましい。
【0083】また、スペーサ5は、図2に示したよう
に、蛍光膜7の黒色導電体7bおよびY方向配線13に
沿って配置され、蛍光体7aの発光の傷害とならないよ
うにしているとともに、各導電性材料5a、5b、5c
をフェースプレート3のメタルバック8と電子源1との
間で電気的に直列に接続している。本実施例では、外囲
器10の受ける大気圧や他の部材との熱膨張率の整合等
を考慮して厚さが400μmのガラスを用い、蛍光体7
aの10列おきに配置した。
【0084】各導電性材料5a、5b、5cには、イオ
ンプレーティング法により形成されたSnO2 膜を用
い、それぞれの抵抗値は膜の厚さおよび成膜時の条件を
変えることによって変えている。各導電性材料5a、5
b、5cの抵抗値は、電子源1とメタルバック8間に印
加される高電圧により各導電性材料5a、5b、5cを
通って電子源1とメタルバック8との間に電流が流れな
い程度の比較的高い抵抗値が必要であり、その値として
は、シート抵抗値が105 〜1012Ω/□の範囲にある
ことが好ましい。具体的には、最も電子源1に近い導電
性材料5aは酸素雰囲気で5000オングストロームの
膜厚で成膜し、次に電子源1に近い導電性材料5bはア
ルゴン酸素雰囲気で3000オングストロームの膜厚で
成膜し、最も電子源1から遠い導電性材料5cはアルゴ
ン雰囲気で1000オングストロームの膜厚で成膜し
た。これにより得られたシート抵抗値は、電子源1に近
い導電性材料5aから順に、それぞれ107 、109
1011Ω/□であった。
【0085】次に、本実施例の特徴となる機能について
図11を参照しつつ説明する。図11は、図1に示した
画像形成装置の一連の動作を説明するための、Y方向か
ら見た断面図である。
【0086】電子放出素子15に、容器外端子Dx1な
いしDxmとDy1ないしDynを通じて電圧を印加す
ると、電子放出部23から電子が放出される。それと同
時にメタルバック8(あるいは不図示の透明電極)に高
圧端子HV を通じて数kV以上の高電圧(以下、「加速
電圧」という)を印加して電子放出部23から放出され
た電子を加速し、フェースプレート3の内面に衝突させ
る。これにより、蛍光膜7の蛍光体7aが励起されて発
光し、画像が表示される(図11の(a))。
【0087】電子がフェースプレート3の内面に衝突す
ることにより、蛍光体7aの発光現象の他に、蛍光膜7
やメタルバック8から正イオンが発生する。また、空間
中の残留ガスに電子が衝突し、正イオンが発生すること
もある。特に、スペーサ5の近傍で発生した正イオン
は、スペーサ5の表面に付着する(図11の(b))。
【0088】正イオンがスペーサ5に付着することによ
ってスペーサ5が帯電し、周辺の電場の乱れが生じる。
その結果、帯電したスペーサ5の近くにある電子放出素
子15から放出される電子の飛翔軌道がずれて本来衝突
すべき位置とはと違った位置に衝突し、輝度損失や色ず
れが生じる(図11の(c))。
【0089】ところがスペーサ5の表面は、前述したよ
うに電子源1側から段階的に抵抗値が高くなるように形
成された導電性材料5a、5b、5cで覆われており、
電子源1側から電子が流れ込みやすくなっているので、
スペーサ5に正イオンが付着すると導電性材料5a、5
b、5cに電子が流れ込む。この電子によって、スペー
サ5に付着した正イオンが中和され、スペーサ5の帯電
が抑えられる(図11の(d))。
【0090】これにより、電子放出素子15からの、飛
翔軌道のずれのない安定した電子放出を維持でき、輝度
の損失や色ずれのない鮮明な画像を得ることができる。
特に、前述したように、電子放出素子15から放出直後
の電子は速度が小さくて電場の影響を受けやすいので、
各導電性材料5a、5b、5cのうち最も電子源1に近
いものの抵抗値を低くしたことで電子源1側から電子が
流れ込みやすくなり、放出直後の電子に影響を与えやす
い電子源1側の帯電を抑える効果が大きい。また、各導
電性材料5a、5b、5cの抵抗値は、最高のものでシ
ート抵抗値が1011Ω/□と大きいので、電子源1とフ
ェースプレート3との間の絶縁性は保たれる。
【0091】通常、対となる素子電極16、17間の印
加電圧は12〜16V程度、メタルバック8と電子源1
との距離は2mm〜8mm程度、高圧端子Hvを通じて
メタルバック8に印加される電圧(加速電圧)は1kV
〜10kV程度である。本実施例では、素子電極16、
17間の印加電圧を14V、メタルバック8と電子源1
との距離を4mm、メタルバック8への印加電圧を6k
Vとした。
【0092】以上述べた構成は、画像表示等に用いられ
る好適な画像形成装置を作製する上で必要な概略構成で
あり、例えば各部材の材料や配置等、詳細な部分は上述
内容に限定されるものでなく、画像形成装置の用途に適
するように適宜選択する。
【0093】また、本実施例では、スペーサがY方向配
線に沿って配置された例を示したが、X方向配線に沿っ
て配置されてもよい。
【0094】(第2実施例)図12は、本発明の画像形
成装置の第2実施例の一部を破断した斜視図である。本
実施例は、支持枠の帯電を防止するものである。そのた
め、図12に示すように、支持枠104の内面が、それ
ぞれ支持枠104の内面に形成された電気抵抗値の異な
る3種類の導電性材料104a、104b、104cで
覆われている。各導電性材料104a、104b、10
4cはそれぞれX方向またはY方向に沿って形成され、
互いに電子源101とフェースプレート103との間に
電気的に直列に接続されている。また、各導電性材料1
04a、104b、104cの抵抗値は、最も電子源1
01側の導電性材料104aから最もフェースプレート
103側の導電性材料104cへと、段階的に大きくな
っている。
【0095】各導電性材料104a、104b、104
cには、イオンプレーティング法により形成されたSn
2 膜を用い、それぞれの抵抗値は膜の厚さを変えるこ
とによって変えている。各導電性材料104a、104
b、104cの抵抗値は、電子源101とメタルバック
108間に印加される高電圧により各導電性材料104
a、104b、104cを通って電子源101とメタル
バック108との間に電流が流れない程度の比較的高い
抵抗値が必要であり、その値としては、シート抵抗値が
105 〜1012Ω/□の範囲にあることが好ましい。具
体的には、最も電子源101に近い導電性材料104a
から順に、それぞれ106 、108 、1010Ω/□とし
た。
【0096】また、本実施例でも第1実施例と同様に耐
大気圧構造体としてスペーサ105を設けたが、フェー
スプレート103自体が十分な強度を有する場合には、
スペーサ105は必ずしも必要ない。その他の構成につ
いては第1実施例と同様であるので、その説明は省略す
る。
【0097】次に、本実施例の特徴となる機能について
図13を参照しつつ説明する。図13は、図12に示し
た画像形成装置の一連の動作を説明するための、Y方向
から見た断面図である。
【0098】電子放出素子115に、容器外端子Dx1
ないしDxmとDy1ないしDynを通じて電圧を印加
すると、電子放出素子115の電子放出部から電子が放
出される。それと同時にメタルバック108(あるいは
不図示の透明電極)に高圧端子HV を通じて数kV以上
の加速電圧を印加して電子放出部から放出された電子を
加速し、フェースプレート103の内面に衝突させる。
これにより、蛍光膜107の蛍光体107aが励起され
て発光し、画像が表示される(図13の(a))。
【0099】電子がフェースプレート103の内面に衝
突することにより、蛍光体107aの発光現象の他に、
蛍光膜107やメタルバック108から正イオンが発生
する。また、空間中の残留ガスに電子が衝突し、正イオ
ンが発生することもある。特に、支持枠104の近傍で
発生した正イオンは、支持枠104の表面に付着する
(図13の(b))。
【0100】正イオンが支持枠104に付着することに
よって支持枠104が帯電し、周辺の電場の乱れが生じ
る。その結果、帯電した支持枠104の近くにある電子
放出素子115から放出される電子の飛翔軌道がずれて
本来衝突すべき位置とはと違った位置に衝突し、輝度損
失や色ずれが生じる(図13の(c))。
【0101】ところが支持枠104の内表面は、前述し
たように電子源101側から段階的に抵抗値が高くなる
ように形成された導電性材料104a、104b、10
4cで覆われており、電子源101側から電子が流れ込
みやすくなっているので、支持枠104に正イオンが付
着すると導電性材料104a、104b、104cに電
子が流れ込み、支持枠104の帯電が抑えられる(図1
1の(d))。
【0102】これにより、電子放出素子115からの、
飛翔軌道のずれのない安定した電子放出を維持でき、輝
度の損失や色ずれのない鮮明な画像を得ることができ
る。特に、前述したように、電子放出素子115から放
出直後の電子は速度が小さくて電場の影響を受けやすい
ので、各導電性材料104a、104b、104cのう
ち最も電子源101に近いものの抵抗値を低くしたこと
で電子源101側から電子が流れ込みやすくなり、放出
直後の電子に影響を与えやすい電子源101側の帯電を
抑える効果が大きい。また、各導電性材料104a、1
04b、104cの抵抗値は、最高のものでシート抵抗
値が1010Ω/□と大きいので、電子源101とフェー
スプレート103との間の絶縁性は保たれる。
【0103】また、本実施例と第1実施例とを組み合せ
れば、スペーサ105および支持枠104の両方の帯電
を抑えることができる。
【0104】上述した各実施例では、スペーサや支持枠
を覆う導電性材料の抵抗値を3段階に分けた例を示した
が、必要に応じて3段階以上に別けたりたり2段階とし
てもよいし、段階的でなく滑らかに変化させたものとし
てもよい。また、導電性材料についてもSnO2 に限ら
ず、他の材料を用いてもよい。
【0105】また、中間部材としては、スペーサや支持
枠に限らず、板状、メッシュ状、棒状等の偏光電極や、
引き出し電極、あるいは制御電極等をフェースプレート
とリアプレートとの間に固定するための支柱であっても
よい。さらに、これら中間部材は必ずしも絶縁性材料で
構成されている必要はなく、上述したような抵抗値を有
するものであれば、中間部材自体を導電性材料で構成す
ることもできる。
【0106】(第3実施例)図14は、本発明の画像形
成装置に、例えばテレビジョン放送をはじめとする種々
の画像情報源より提供される画像情報を表示できるよう
に構成した画像表示装置の一例を示すための図である。
尚、本表示装置は、例えばテレビジョン信号のように映
像情報と音声情報の両方を含む信号を受信する場合に
は、当然映像の表示と同時に音声を再生するものである
が、本発明の特徴と直接関係しない音声情報の受信、分
離、再生、処理、記憶等に関する回路やスピーカー等に
ついては説明を省略する。
【0107】以下、画像信号の流れに沿って各部を説明
してゆく。
【0108】まず、TV信号受信回路513は、例えば
電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて伝送
されるTV画像信号を受信するための回路である。受信
するTV信号の方式は特に限られるものではなく、例え
ば、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式などの
諸方式でも良い。また、これらよりさらに多数の走査線
よりなるTV信号(例えばMUSE方式を始めとするい
わゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数化に適した
本発明の画像形成装置を用いたディスプレイパネル50
0の利点を生かすのに好適な信号源である。TV信号受
信回路513で受信されたTV信号は、デコーダ504
に出力される。
【0109】また、画像TV信号受信回路512は、例
えば同軸ケーブルや光ファイバーなどのような有線伝送
系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回
路である。TV信号受信回路513と同様に、受信する
TV信号の方式は特に限られるものではなく、また本回
路で受信されたTV信号もデコーダ504に出力され
る。
【0110】また、画像入力インターフェース回路51
1は、例えばTVカメラや画像読取スキャナーなどの画
像入力装置から供給される画像信号を取り込むための回
路で、取り込まれた画像信号はデコーダ504に出力さ
れる。
【0111】また、画像メモリインターフェース回路5
10は、ビデオテープレコーダ(以下VTRと略す)に
記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取り
込まれた画像信号はデコーダ504に出力される。
【0112】また、画像メモリインターフェース回路5
09は、ビデオディスクに記憶されている画像信号を取
り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ
504に出力される。
【0113】また、画像メモリインターフェース回路5
08は、いわゆる静止画ディスクのように、静止画像デ
ータを記憶している装置から画像信号を取り込むための
回路で、取り込まれた静止画像データはデコーダ504
に出力される。
【0114】また、入出力インターフェース回路505
は、本表示装置と、外部のコンピュータ、コンピュータ
ネットワークもしくはプリンタなどの出力装置とを接続
するための回路である。画像データや文字・図形情報の
入出力を行うのはもちろんのこと、場合によっては本表
示装置の備えるCPU506と外部との間で制御信号や
数値データの入出力などを行うことも可能である。
【0115】また、画像生成回路507は、入出力イン
ターフェース回路505を介して外部から入力される画
像データや文字・図形情報や、あるいはCPU506よ
り出力される画像データや文字・図形情報に基づき表示
用画像データを生成するための回路である。本回路の内
部には、例えば画像データや文字・図形情報を蓄積する
ための書き換え可能メモリや、文字コードに対応する画
像パターンが記憶されている読み出し専用メモリや、画
像処理を行うためのプロセッサなどを初めとして画像の
生成に必要な回路が組み込まれている。
【0116】画像生成回路507により生成された表示
用画像データは、デコーダ504に出力されるが、場合
によっては入出力インターフェース回路505を介して
外部のコンピュータネットワークやプリンターに出力す
ることも可能である。
【0117】また、CPU506は、主として本表示装
置の動作制御や、表示画像の生成、選択、編集に関わる
作業を行なう。
【0118】例えば、マルチプレクサ503に制御信号
を出力し、ディスプレイパネルに表示する画像信号を適
宜選択したり組み合わせたりする。また、その際には表
示する画像信号に応じてディスプレイパネルコントロー
ラ502に対して制御信号を発生し、画像表示周波数や
走査方法(例えばインターレースかノンインターレース
か)や一画面の走査線の数など表示装置の動作を適宜制
御する。
【0119】また、画像生成回路507に対して画像デ
ータや文字・図形情報を直接出力したり、あるいは入出
力インターフェース回路505を介して外部のコンピュ
ータやメモリをアクセスして画像データや文字・図形情
報を入力する。
【0120】なお、CPU506は、むろんこれ以外の
目的の作業にも関わるものであってもよい。例えば、パ
ーソナルコンピュータやワードプロセッサなどのよう
に、情報を生成したり処理する機能に直接関わってもよ
い。
【0121】あるいは、前述したように入出力インター
フェース回路505を介して外部のコンピュータ−ネッ
トワークと接触し、例えば数値計算などの作業を外部機
器と協同して行なってもよい。
【0122】また、入力部514は、CPU506に使
用者が命令やプログラム、あるいはデータなどを入力す
るためのものであり、例えばキーボードやマウスの他、
ジョイステック、バーコードリーダー、音声認識装置な
ど多様な入力機器を用いることが可能である。
【0123】また、デコーダ504は、画像生成回路5
07ないしTV信号受信回路513より入力される種々
の画像信号を3原色信号、または輝度信号とI信号、Q
信号に逆変換するための回路である。なお、同図中に点
線で示すように、デコーダ504は内部に画像メモリを
備えるのが望ましい。これは、例えばMUSE方式をは
じめとして、逆変換するに際して画像メモリを必要とす
るようなテレビ信号を扱うためである。また、画像メモ
リを備えることにより、静止画の表示が容易になる、あ
るいは画像生成回路507およびCPU506と協同し
て画像の間引き、補間、拡大、縮小、合成をはじめとす
る画像処理や編集が容易に行なえるようになるという利
点が生まれるからである。
【0124】また、マルチプレクサ503はCPU50
6より入力される制御信号に基づき表示画像を適宜選択
するものである。すなわち、マルチプレクサ503はデ
コーダ504から入力される逆変換された画像信号のう
ちから所望の画像信号を選択して駆動回路501に出力
する。その場合には、一画面表示時間内で画像信号を切
り換えて選択することにより、いわゆる多画面テレビの
ように、一画面を複数の領域に分けて領域によって異な
る画像を表示することも可能である。
【0125】また、ディスプレイパネルコントローラ5
02は、CPU506より入力される制御信号に基づき
駆動回路501の動作を制御するための回路である。
【0126】まず、ディスプレイパネル500の基本的
な動作に関わるものとして、例えばディスプレイパネル
500の駆動用電源(不図示)の動作シーケンスを制御
するための信号を駆動回路501に対して出力する。
【0127】また、ディスプレイパネル500の駆動方
法に関わるものとして、例えば画面表示周波数や走査方
法(例えばインターレースかノンインターレースか)を
制御するための信号を駆動回路501に対して出力す
る。
【0128】また、場合によっては表示画像の輝度、コ
ントラスト、色調、シャープネスといった画質の調整に
関わる制御信号を駆動回路501に対して出力する場合
もある。
【0129】また、駆動回路501は、ディスプレイパ
ネル500に印加する駆動信号を発生するための回路で
あり、マルチプレクサ503から入力される画像信号
と、ディスプレイパネルコントローラ502より入力さ
れる制御信号に基づいて動作するものである。
【0130】以上、各部の機能を説明したが、図14に
例示した構成により、本表示装置においては多様な画像
情報源より入力される画像情報をディスプレイパネル5
00に表示することが可能である。すなわち、テレビジ
ョン放送をはじめとする各種の画像信号はデコーダ50
4において逆変換された後、マルチプレクサ503にお
いて適宜選択され、駆動回路501に入力される。一
方、ディスプレイコントローラ502は、表示する画像
信号に応じて駆動回路501の動作を制御するための制
御信号を発生する。駆動回路501は、上記画像信号と
制御信号に基づいてディスプレイパネル500に駆動信
号を印加する。これにより、ディスプレイパネル500
において画像が表示される。これらの一連の動作は、C
PU506により統括的に制御される。
【0131】また、本表示装置においては、デコーダ5
04に内蔵する画像メモリや、画像生成回路507およ
びCPU506が関与することにより、単に複数の画像
情報の中から選択したものを表示するだけでなく、表示
する画像情報に対して、例えば拡大、縮小、回転、移
動、エッジ強調、間引き、補間、色変換、画像の縦横比
変換などをはじめとする画像処理や、合成、消去、接
続、入れ替え、はめ込みなどをはじめとする画像編集を
行なうことも可能である。また、本実施例の説明では、
特に触れなかったが、上記画像処理や画像編集と同様
に、音声情報に関しても処理や編集を行なうための専用
回路を設けてもよい。
【0132】従って、本表示装置は、テレビジョン放送
の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止画像及び動画
像を扱う画像編集機器、コンピューターの端末機器、ワ
ードプロセッサをはじめとする事務用端末機器、ゲーム
機などの機能を一台で兼ね備えることが可能で、産業用
或いは民生用として極めて応用範囲が広い。
【0133】尚、上記図14は、本発明による画像形成
装置を用いた表示装置の構成の一例を示したに過ぎず、
これのみに限定されるものでないことは言うまでもな
い。例えば図14の構成要素のうち使用目的上必要のな
い機能に関わる回路は省いても差し支えない。またこれ
とは逆に、使用目的によってはさらに構成要素を追加し
てもよい。例えば、本表示装置をテレビ電話機として応
用する場合には、テレビカメラ、音声マイク、照明機、
モデムを含む送受信回路などを構成要素に追加するのが
好適である。
【0134】本表示装置においては、とりわけ本発明に
よる画像形成装置の薄型化が容易なため、表示装置の奥
行きを小さくすることができる。それに加えて、大画面
化が容易で輝度が高く視野角特性にも優れるため、本表
示装置は臨場感あふれ迫力に富んだ画像を視認性良く表
示することが可能である。
【0135】以上の実施例においては、電子放出素子と
して表面伝導型電子放出素子を用いた例を示したが、そ
れに限らず、FE型電子放出素子やMIM型電子放出素
子を用いたものでも、電子放出軌道の安定性の点では同
様の効果が得られる。ただし、素子構造が簡単で、かつ
複数の素子を容易に配置することができるという点を考
えると、表面伝導型電子放出素子を用いることが好まし
い。これは特に、大型の画像形成装置において有効であ
る。
【0136】また、本発明の画像形成装置を画像表示装
置に応用した例で示したが、本発明はこの範囲に限られ
るものではなく、光プリンタの画像形成用発光ユニット
として用いるなど、記録装置への応用も可能である。こ
の場合、通常の形態としては1次元的に配列された画像
形成ユニットを用いることが多いが、上述のm本の行方
向配線とn本の列方向配線を、適宜選択することで、ラ
イン状発光源だけでなく、2次元状の発光源としても応
用できる。
【0137】さらに、以上の実施例で用いた蛍光体のよ
うに直接発光する物質を有する画像形成部材を用いたも
のに限らず、電子の帯電による潜像画像が形成されるよ
うな部材を有する画像形成部材を用いたものであれば、
本発明は適用できる。
【0138】そして、電子被照射体は特定せず、マルチ
の平面電子源をなす電子線発生装置としての応用も可能
である。
【0139】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり構成されて
いるので、以下に記載する効果を奏する。
【0140】本発明の電子線発生装置は、電子源と電極
部材との間に配置された中間部材の表面は電気抵抗値が
異なる複数の導電性部分からなり、このうち少なくとも
2つが電子源と電極との間に電気的に直列に接続されて
いるので、この導電性部分に流れ込む電子により中間部
材の帯電を抑制できる。その結果、電子放出素子から放
出される電子の軌道のずれを防止することができる。ま
た、導電性部分の電気抵抗値は、電極に印加される電圧
により電子源と電極との間に電流が流れないような値な
ので、電子源と電極との間の絶縁性を保つことができ
る。
【0141】電子源と電極との間に電流が流れないよう
な電気抵抗値として、中間部材の表面の電気抵抗値を1
5 〜1012Ω/□の範囲に設定すれば、より効果的に
電子源と電極との間の絶縁性を保ちつつ、中間部材の帯
電を抑制することができる。
【0142】また、中間部材が絶縁性部材からなる場合
には、その表面に導電性材料を設けることで、中間部材
の表面に上記電気抵抗値を有する複数の導電性部分を構
成することができる。
【0143】さらに、中間部材の表面の電気抵抗値を、
電子源側の端部で最も小さくすることで、電子放出素子
から放出された電子の軌道に影響を与えやすい部分の帯
電を効果的に抑制することができる。
【0144】加えて、電子放出素子として冷陰極型電子
放出素子を用いることで、省電力で応答速度が速く、し
かも大型の電子線発生装置を構成することができる。そ
の中でも特に表面伝導型電子放出素子は、素子構造が簡
単で、かつ複数の素子を容易に配置することができるの
で、表面伝導型電子放出素子を用いることによって、構
造が簡単で、しかも大型の電子線発生成装置が達成でき
る。
【0145】さらに、複数個の表面伝導型電子放出素子
を2次元のマトリクス状に配置し、複数本の行方向配線
と複数本の列方向配線とによってそれぞれを結線するこ
とで、行方向と列方向に適当な駆動信号を与えること
で、多数の表面伝導型電子放出素子を選択し電子放出量
を制御し得るので、基本的には他の制御電極を付加する
必要がなく、電子源を1枚の基板上で容易に構成でき
る。
【0146】本発明の画像形成装置は、本発明の電子線
発生装置を用いているので上述したように電子の軌道が
安定し、発光位置のずれのない良好な画像を形成するこ
とができるようになる。特に、電子放出素子として表面
伝導型放出素子を用いることで、構造が簡単で、かつ、
大画面の画像形成装置が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の第1実施例の一部を破
断した斜視図である。
【図2】図1に示した画像形成装置の電子源近傍の拡大
斜視図である。
【図3】図1に示した画像形成装置の電子源の要部平面
図である。
【図4】図3に示した電子源のA−A’線断面図であ
る。
【図5】図1に示した画像形成装置の電子源の製造工程
を順に示した図である。
【図6】電子放出部形成用薄膜を形成する際に用いられ
るマスクの一例の平面図である。
【図7】フォーミング処理に用いられる電圧波形の一例
を示す図である。
【図8】表面伝導型電子放出素子の印加電圧を放出電流
の関係を示すグラフである。
【図9】表面伝導型電子放出素子から放出された電子の
飛翔の特性を説明するための図である。
【図10】蛍光膜の構成を説明するための図である。
【図11】図1に示した画像形成装置の一連の動作を説
明するための図である。
【図12】本発明の画像形成装置の第2実施例の一部を
破断した斜視図である。
【図13】図12に示した画像形成装置の一連の動作を
説明するための図である。
【図14】本発明の画像形成装置を用いた画像表示装置
の一例のブロック図である。
【図15】表面伝導型電子放出素子の典型的な素子構成
を示すであり、同図(a)はその平面図、同図(b)は
そのA−A’線断面図である。
【図16】図19に示した表面伝導型電子放出素子の製
造工程を順に示した図である。
【図17】熱電子源を用いた従来の画像形成装置の概略
構成図である。
【図18】従来の表面伝導型電子放出素子の平面図であ
る。
【符号の説明】
1、101 電子源 2 リアプレート 3、103 フェースプレート 4、104 支持枠 5、105 スペーサ 5a、5b、5c、104a、104b、104c
導電性材料 6 ガラス基板 7、107 蛍光膜 7a、107a 蛍光体 7b 黒色導電体 8、108 メタルバック 10 外囲器 11 絶縁性基板 12 X方向配線 13 Y方向配線 14 層間絶縁層 14a コンタクトホール 15、115 電子放出素子 16、17 素子電極 18 電子放出部形成用薄膜 20 マスク 20a 開口 21 Cr膜 23 電子放出部 500 ディスプレイパネル 501 駆動回路 502 ディスプレイパネルコントローラ 503 マルチプレクサ 504 デコーダ 505 入出力インターフェース回路 506 CPU 507 画像生成回路 508、509、510 画像メモリインターフェー
ス回路 511 画像入力インターフェース回路 512、513 TV信号受信回路 514 入力部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子放出素子が設けられた電子源と、前
    記電子源に真空雰囲気中で対向配置された電極と、前記
    電子源と前記電極との間に配置された中間部材とを有す
    る電子線発生装置において、 中間部材の表面は、前記電極に印加された電圧により前
    記電子源と前記電極との間に電流が流れないような電気
    抵抗値を有し、かつ、その値がそれぞれ異なる複数の導
    電性部分からなり、 前記複数の導電性部分のうち少なくとも2つが、前記電
    子源と前記電極との間に電気的に直列に接続されている
    ことを特徴とする電子線発生装置。
  2. 【請求項2】 前記中間部材の表面の電気抵抗値は、1
    5 〜1012Ω/□の範囲にある請求項1に記載の電子
    線発生装置。
  3. 【請求項3】 前記中間部材は絶縁性材料からなり、表
    面に導電性材料を設けることで、前記電気抵抗値を有す
    る複数の導電性部分が構成されている請求項1または2
    に記載の電子線発生装置。
  4. 【請求項4】 前記中間部材の表面の電気抵抗値は、前
    記電子源側の端部で最も小さい請求項1、2または3に
    記載の電子線発生装置。
  5. 【請求項5】 前記中間部材は、前記電子源と電極との
    間の真空雰囲気を維持するための外囲器の一部をなす支
    持枠である請求項1、2、3または4に記載の電子線発
    生装置。
  6. 【請求項6】 前記中間部材は、前記電子源と電極との
    間に設置された耐大気圧構造体である請求項1、2、
    3、4または5に記載の電子線発生装置。
  7. 【請求項7】 前記中間部材は、前記電子源と電極との
    間に配置された電極を支持する支柱である請求項1ない
    し6のいずれか1項に記載の電子線発生装置。
  8. 【請求項8】 前記電子放出素子は、冷陰極型電子放出
    素子である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電
    子線発生装置。
  9. 【請求項9】 前記冷陰極型電子放出素子は表面伝導型
    電子放出素子である請求項8に記載の電子線発生装置。
  10. 【請求項10】 前記表面伝導型電子放出素子が2次元
    のマトリクス状に複数個配置され、前記各表面伝導型電
    子放出素子は、複数本の行方向配線と複数本の列方向配
    線とによって、それぞれ結線されている請求項9に記載
    の電子線発生装置。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれか1項に
    記載の電子線発生装置を用いた画像形成装置であって、 前記電極に代えて、前記電子源に対向配置され、前記電
    子放出素子から放出された電子が衝突することにより画
    像が形成される部材および前記電子放出素子から放出さ
    れた電子を加速するための加速電極を備えた画像形成部
    材とした画像形成装置。
JP06144633A 1994-06-27 1994-06-27 電子線発生装置および該電子線発生装置を用いた画像形成装置 Expired - Fee Related JP3113149B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06144633A JP3113149B2 (ja) 1994-06-27 1994-06-27 電子線発生装置および該電子線発生装置を用いた画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06144633A JP3113149B2 (ja) 1994-06-27 1994-06-27 電子線発生装置および該電子線発生装置を用いた画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH087806A true JPH087806A (ja) 1996-01-12
JP3113149B2 JP3113149B2 (ja) 2000-11-27

Family

ID=15366596

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06144633A Expired - Fee Related JP3113149B2 (ja) 1994-06-27 1994-06-27 電子線発生装置および該電子線発生装置を用いた画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3113149B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005327735A (ja) * 1999-03-05 2005-11-24 Canon Inc 画像形成装置
JP2006015332A (ja) * 2004-06-03 2006-01-19 Canon Inc 成膜方法、及びそれを用いたスペーサと薄型フラットパネルディスプレイの製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005327735A (ja) * 1999-03-05 2005-11-24 Canon Inc 画像形成装置
JP2006015332A (ja) * 2004-06-03 2006-01-19 Canon Inc 成膜方法、及びそれを用いたスペーサと薄型フラットパネルディスプレイの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3113149B2 (ja) 2000-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3416266B2 (ja) 電子放出素子とその製造方法、及び該電子放出素子を用いた電子源及び画像形成装置
US5760538A (en) Electron beam apparatus and image forming apparatus
KR0144653B1 (ko) 전자소스 및 화상 형성 장치
JP3320294B2 (ja) 電子線発生装置、及び、それを用いた画像形成装置
JP3113150B2 (ja) 電子線発生装置および該電子線発生装置を用いた画像形成装置
JPH07272616A (ja) 電子源及び画像形成装置
JPH08153460A (ja) 電子源及びそれを用いた画像形成装置
JPH07235257A (ja) 電子源、電子線発生装置、及び画像形成装置
JP3320240B2 (ja) 電子線発生装置及び電子放出素子
JP3113149B2 (ja) 電子線発生装置および該電子線発生装置を用いた画像形成装置
JPH08162002A (ja) 表面伝導型電子放出素子、電子源、及びそれを用いた画像形成装置と、それらの製造方法
JPH087807A (ja) 電子線照射方法、電子線発生装置および該電子線発生装置を用いた画像形成装置
JP3572001B2 (ja) 電子線発生装置
JP3517474B2 (ja) 電子線発生装置及び画像形成装置
JP3592307B2 (ja) 電子線発生装置、画像形成装置、及び支持スペーサ
JP3185082B2 (ja) 電子放出素子、電子源及びそれを用いた画像形成装置の製造方法
JP2866307B2 (ja) 電子放出素子、電子源、及びそれを用いた画像形成装置と、それらの製造方法
JP2854532B2 (ja) 表面伝導型電子放出素子、電子源、画像形成装置、及びこれらの製造方法
JP2976175B2 (ja) 電子放出素子、電子源及びこれらの製造方法と、該電子源を用いた画像形成装置
JP2872591B2 (ja) 電子放出素子、電子源、及びそれを用いた画像形成装置と、それらの製造方法
JPH0896699A (ja) 電子放出素子及び電子源及び画像形成装置
JPH11329216A (ja) 電子線発生装置及び画像形成装置及び作製方法
JPH08162013A (ja) 電子放出素子、電子源、及びそれを用いた画像形成装置と、それらの製造方法
JPH0864113A (ja) 電子放出素子、電子源、及びそれを用いた画像形成装置
JPH08227651A (ja) 電子源及びそれを用いた画像形成装置、電子線発生装置、及び電子源の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 7

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070922

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 8

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080922

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100922

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100922

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110922

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110922

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120922

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120922

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130922

Year of fee payment: 13

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees