JPH0876416A - 二成分系現像剤 - Google Patents

二成分系現像剤

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JPH0876416A
JPH0876416A JP6207415A JP20741594A JPH0876416A JP H0876416 A JPH0876416 A JP H0876416A JP 6207415 A JP6207415 A JP 6207415A JP 20741594 A JP20741594 A JP 20741594A JP H0876416 A JPH0876416 A JP H0876416A
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JP
Japan
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toner
resin
particles
carrier
weight
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Application number
JP6207415A
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English (en)
Inventor
Hideaki Kawada
秀明 川田
Seijirou Ishimaru
聖次郎 石丸
Kazuya Nagao
一也 永尾
Tomohide Iida
智英 飯田
Hidekazu Tamura
英一 田村
Kazuhiko Fujii
和彦 藤井
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Kyocera Mita Industrial Co Ltd
Original Assignee
Mita Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤で
あって、トナーはトナー粒子を含有し、トナー粒子は定
着用樹脂およびこの樹脂中に分散された磁性粉末を含有
し、定着用樹脂は、アニオン性極性基を有する樹脂を含
む組成物でなる。磁性粉末は、所定の割合で該トナー粒
子中に含有される。キャリアの粒子は、コア粒子とコア
粒子を被覆する被覆層とを有し、このコア粒子は、所定
の磁性材料でなる。被覆層は、熱硬化性樹脂を含有する
樹脂組成物でなり、硬化度は85%以上である。 【効果】 複写時におけるスペントの主な発生原因とな
る帯電制御剤を全く含有しない二成分系現像剤が提供さ
れる。このような現像剤は帯電性が充分であり、複写時
にトナーが飛散することがなく、転写効率が充分であ
り、必要とされる濃度の複写画像が長時間にわたり安定
して得られる。さらに、フィルミングも発生せず、転写
像の定着性も充分である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は二成分系現像剤に関し、
より詳細には、帯電制御剤をトナー中に含有しないにも
かかわらず、転写効率が良く、長時間にわたり所望の濃
度の複写画像が得られる長寿命の二成分系現像剤であ
り、静電式複写機、レーザービームプリンタなどの電子
写真式画像形成装置において好適に用いられる、現像剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真式画像形成装置において、感光
体上の静電潜像を現像するための現像剤のひとつとし
て、二成分系の現像剤が用いられている。この二成分系
現像剤は、カーボンブラックなどの着色剤および定着用
樹脂を含むトナーと、鉄粉、フェライト粒子などを含む
磁性キャリアとを含有する。
【0003】現像時においては、このトナーとキャリア
とを混合することによりトナーを所定の極性に帯電さ
せ、次いでこの混合物は磁気ブラシの形で感光体に搬送
される。感光体はこの磁気ブラシにより摺擦され、感光
体表面の静電潜像にトナーが付着する。付着するトナー
量を一定にし、安定した画像を提供するためトナーに所
定の帯電量を与えるべく、トナー粒子中には帯電制御剤
が含有されるのが一般的である。負帯電性のトナーに
は、クロムのような金属を含有する含金属錯体染料(例
えばアゾ系染料)、オキシカルボン酸金属錯体(例えば
サリチル酸金属錯体)などの負電荷制御剤が使用され
(特開平3−67268号公報)、そして正帯電性のト
ナーにはニグロシンのような油溶性染料、アミン系制御
剤などの正電荷制御剤が使用されている(特開昭56−
106249号公報)。
【0004】従来より使用されている帯電制御剤は、ク
ロム含有錯体のように重金属を含有する化合物が多い。
そしてこれらの使用に際しては、環境安全性の観点から
各種毒性テストや安全テストをクリアした化合物が選択
されている。しかし、化合物として、あるいはトナー中
に含有させた形態での安全性には問題がないにしても、
これら重金属を含有する帯電制御剤の使用をさけること
は一層望ましいと考えられる。さらに、帯電制御剤はト
ナーを構成する材料である定着用樹脂やカーボンブラッ
クなどの着色剤に比べて単価が高いため、数%程度の含
有率にもかかわらず、トナーの単価を押し上げている。
従って、このような重金属を含有する帯電制御剤を含有
しないトナーの開発が望まれている。
【0005】さらに、従来のトナーにおいては、長時間
の使用によりキャリアの粒子表面にトナー成分が付着す
るスペントを生じ、そのためにキャリアの粒子表面の帯
電状態がトナー粒子表面の帯電状態に類似してくる。そ
の結果、トナー飛散の発生や転写効率の低下が引き起こ
されるという欠点も存在する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
課題を解決するものであり、その目的とするところは、
帯電制御剤を全く含有していないにもかかわらずトナー
が良好な帯電性能を有するため、トナーの飛散が少なく
かつ画像品質に優れた二成分系現像剤を提供することに
ある。本発明の他の目的は、長期間の使用においてもス
ペントを起こさず、その結果、良好な画像品質を維持
し、転写効率が安定し得る二成分系現像剤を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、トナーとキャ
リアとを含む二成分系現像剤であって;該トナーは、ト
ナー粒子を含有し;該トナー粒子は、定着用樹脂および
該樹脂中に分散された磁性粉末を含有し;該定着用樹脂
は、アニオン性極性基を有する樹脂を含む組成物でな
り;該磁性粉末は、該定着用樹脂100重量部に対して
0.1から5重量部の割合で該トナー粒子中に含有さ
れ;該キャリアの粒子は、コア粒子と該コア粒子を被覆
する被覆層とを有し;該コア粒子は、次式(A)で示さ
れる磁性材料でなり: MOFe23 (A) ここでMはCu、Zn、Fe、Ba、Ni、Mg、M
n、AlおよびCoでなる群から選択される少なくとも
1種の金属である、該被覆層は、熱硬化性樹脂を含有す
る樹脂組成物でなり;そして、該被覆層の硬化度は、8
5%以上であり;そのことにより上記目的が達成され
る。
【0008】好適な実施態様においては、上記トナーを
メタノールで抽出したときの抽出液は、280から35
0nmの領域に実質的に吸収ピークを有さず、かつ40
0から700nmの領域における吸光度は実質的にゼロ
である。
【0009】好適な実施態様においては、上記磁性粉末
は、上記定着用樹脂100重量部に対して0.5から3
重量部の割合で含有される。
【0010】好適な実施態様においては、上記トナー粒
子の体積基準平均粒径は5から15μmであり、該トナ
ー粒子表面には体積基準平均粒径が0.05から1.0
μmのスペーサー粒子が付着している。
【0011】好適な実施態様においては、上記コア粒子
の粒径は、50から150μmである。
【0012】好適な実施態様においては、上記被覆層の
重量は、上記コア粒子100重量部に対して0.001
から2.5重量部である。
【0013】好適な実施態様においては、上記熱硬化性
樹脂は、変性または未変性のシリコーン樹脂、熱硬化性
アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、フェノール樹
脂、ウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂、エポキ
シ樹脂、およびアミノ樹脂からなる群から選択される少
なくとも1種である。
【0014】
【作用】本発明の二成分系現像剤は、アゾ系染料、オキ
シカルボン酸金属錯体などの帯電制御剤をいっさい含有
しない。従って後述のように帯電制御剤に起因するスペ
ントが発生しないため長期間にわたり高画像品質の複写
が行われ得る。現像剤中のトナーは帯電制御剤をいっさ
い含有しないため、該トナーからはあらゆる化学的ある
いは物理的手段によってもこのような帯電制御剤、つま
り染料系の化合物は全く検出されない。例えば本発明の
現像剤に使用されるトナーからは、これらの化合物は化
学反応により検出されない。あるいは、本発明の現像剤
に使用されるトナーの有機溶媒抽出液からは、これらの
化合物に起因する吸収ピークが全く検出されない。例え
ば本発明の現像剤に使用されるトナーを有機溶媒、例え
ばメタノールで抽出すると、該抽出液は、280〜35
0nmの領域に実質的に吸収ピークを有さず、かつ40
0〜700nmの領域における吸光度が実質的にゼロで
ある。ここで、実質的に吸収ピークを有さずとは、トナ
ー0.1gをメタノール50mlで抽出した抽出液につ
いて、吸収ピークが全く検出されないか、検出されたと
してもそのピーク位置における吸光度が0.05以下で
あることをいう。同様に、吸光度が実質的にゼロである
とは、トナー0.1gをメタノール50mlで抽出した
抽出液の吸光度が0.05以下であることをいう。
【0015】本発明の二成分系現像剤においては、トナ
ー中に上記帯電制御剤が含有されないことに起因する帯
電量の不安定性を次の事柄により補っている。まずその
第1にはトナー粒子中の定着用樹脂にアニオン性極性基
を有する樹脂を用いることであり、第2には、トナー粒
子中に磁性粉末を所定の割合で含有させることであり。
さらに必要に応じて、トナー粒子の表面に所定の粒径の
スペーサー粒子を付着させることにより、感光体から転
写紙上への転写効率が高められる。本発明においては、
さらに現像剤の機能を高めるために、キャリアの粒子の
被覆層に熱硬化性樹脂を含有させ、かつ該被覆層の硬化
度を85%以上としている。このことによりスペントの
発生がより一層低減されるとともに、感光体ドラムへの
フィルミングの発生しない、優れた画像安定性を有する
現像剤が得られる。
【0016】上記について、以下に詳細に説明する。
【0017】本発明の現像剤に使用されるトナーのメタ
ノール抽出液の200〜700nmにおける吸光度曲線
を図1に示す。この曲線に示されるように、この抽出液
は各帯電制御剤に起因するピークを全く有していない。
つまり280〜350nmの領域に実質的に吸収ピーク
を有さず、かつ400〜700nmの領域における吸光
度が実質的にゼロである。これに対してアゾ系クロム金
属錯塩染料を帯電制御剤として含有するトナーのメタノ
ール抽出液の吸光度曲線は400〜700nm、特に5
50〜570nmの範囲の領域にピークを有し(図
2)、そして、サリチル酸金属錯体を帯電制御剤として
含有するトナーのメタノール抽出液の吸光度曲線は28
0〜350nmの範囲の領域にピークを有する(図
3)。
【0018】上記帯電制御剤を含有するトナーのメタノ
ール抽出液に、帯電制御剤に起因する吸収が認められる
ということは、トナー粒子表面に帯電制御剤がかなりの
高濃度で存在しているためである。
【0019】スペントの発生によりキャリアの帯電性が
不充分となった現像剤のキャリアをメタノール抽出し、
その400〜700nmにおける吸光度を調べると、そ
の領域において、帯電制御剤に起因するピークが認めら
れる。例えば、図2に、その吸光度曲線が示される、ア
ゾ系クロム錯塩染料を含有するトナーを長時間使用し、
スペントが発生したときの、そのキャリアのメタノール
抽出液の吸光度曲線を図4に示す。図4においては、図
2における帯電制御剤と同様の位置にピークが認められ
る。従来においては、スペントは、トナーの定着用樹脂
がキャリアの粒子表面に付着して樹脂膜を形成するため
に生じると考えられていたが、上記事実により、スペン
ト発生の主な原因のひとつは帯電制御剤のトナー粒子か
らのキャリアの粒子表面への移行にあるということがわ
かった。
【0020】発明者らは、さらに帯電制御剤とスペント
との関係を調べるために、次の実験を行った。まず帯電
制御剤としてアゾ系クロム錯塩染料を1.5重量%の割
合で含有するトナー粒子を有するトナーと、キャリアと
を混合し、現像剤とした。この現像剤のトナーとキャリ
アとの混合・攪拌操作を続けたときの経過時間とスペン
トによりキャリアの粒子表面に付着した付着物の重量と
の関係を図5に示す。付着物の重量は、付着物を有する
キャリアの総重量に対する百分率でスペント率として図
5に示す。さらに、経過時間とトナーの帯電量との関係
を図6に示す。さらに上記帯電制御剤を含有しないトナ
ー粒子を有するトナーとキャリアとを含む現像剤につい
ても、同様の測定を行った。その結果もあわせて図5お
よび6に示す。図5および6において、黒丸のプロット
は帯電制御剤を含有するトナーの測定値、白丸のプロッ
トは帯電制御剤を有していないトナーの測定値を示す。
図5および6から帯電制御剤を含有するトナーは帯電制
御剤を含有しないトナーに比べて、スペントによりキャ
リアの粒子表面に付着物が多く形成され、帯電量の低下
の度合も大きいことがわかる。
【0021】スペントによりキャリアの粒子表面に付着
したトナー成分の重量を経時的に測定し、これを横軸に
(スペント量として示す)、そしてそのトナー成分中に
おける帯電制御剤の量を縦軸にとったグラフを図7に示
す。点線は、スペントにより付着したトナー成分が、ト
ナー粒子を形成する成分と同一であると仮定した場合に
おける帯電制御剤の量を示す。図7から、現像剤使用の
初期において帯電制御剤が大量に析出し、キャリアの粒
子表面に付着することがわかる。図7において、スペン
ト量の増大に伴って、測定値が点線で示される計算値に
近づくのは、これがトナーの補給のない閉鎖系での実験
結果であるためであり、複写機内でのトナーの入れ換え
がある場合には、両者の差は、さらに広がると考えられ
る。
【0022】さらに発明者らは、トナー粒子を構成して
いる成分とスペントとの関係を調べるため、帯電制御
剤、定着用樹脂、着色剤であるカーボンブラック、およ
びワックスと、キャリアとを各々混合・攪拌したときの
時間経過により生じたキャリアの粒子表面の付着物の重
量を測定した。その結果を図8に示す。図8において、
白丸は帯電制御剤、黒丸はカーボンブラック、四角は定
着用樹脂、そして三角はワックスを用いて試験を行った
ときの結果を示す。図8から帯電制御剤が最もスペント
によるキャリアの粒子表面への付着を起こしやすいこと
がわかる。
【0023】以上の事実から従来の二成分系磁性現像剤
のスペントによる帯電不良は次のように説明される。ま
ず、図9の上部に示すように現像剤の使用初期において
は、キャリアの粒子1がプラスに、そしてトナー2がマ
イナスに帯電しており、トナーは、負極性トナー21と
して存在している。この現像剤を使用しているとトナー
粒子中の帯電制御剤を主成分とするトナー成分がキャリ
アの粒子1の表面に付着する。このスペントにより形成
された付着物201はマイナスに帯電するためこの付着
物201に対してプラスの電荷を有するトナー、つまり
逆極性トナー22が形成される。この逆極性トナー22
がキャリアの粒子1表面に形成されるためトナー飛散が
発生したり、転写効率が低下する。
【0024】このように帯電制御剤は、上記のように、
重金属を含有する場合もあるため含有されないことが好
ましく、さらに上記のようにスペントの主な原因とな
り、トナー飛散の発生、転写効率の低下などを引き起こ
すため、本発明の現像剤に使用されるトナーにおいて
は、この帯電制御剤を全く含有しない。
【0025】この帯電制御剤を含有しないことに伴う帯
電量の不安定性、主として帯電量の不足は、上記のよう
に、第1にはアニオン性極性基を有する定着用樹脂をト
ナーに用いることにより補われる。アニオン性極性基に
より定着用樹脂自体に負電荷が付与されるためトナー粒
子の帯電量の不足が補われる。この極性基は樹脂自体の
骨格に結合して存在するため、帯電制御剤のようにキャ
リアの粒子表面に移行し、スペントの原因となることは
ない。しかし逆に、トナー粒子の表面付近の帯電性は、
それ程大きくないので、現像時の磁気ブラシにおけるト
ナー粒子とキャリアの粒子とのクーロン力による結合は
未だ不充分である。従って、高速複写が行われるとキャ
リアの粒子との結合性が弱いため、トナーの飛散が充分
に抑制されない。トナーの飛散により複写機内が汚染さ
れ、複写物の画像にいわゆるカブリを生じるという欠点
がある。
【0026】本発明においては、上記のように第2の要
件としてトナー粒子中に磁性粉末を所定の割合で、つま
り定着用樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部の
割合で含有させることを採用しており、このことにより
トナー粒子の帯電量の不足を補っている。トナー粒子中
に磁性粉末が含有されるため、トナー粒子とキャリアの
粒子との間に磁気的な吸引力が生じる。このようにトナ
ー粒子とキャリアの粒子との間のクーロン力に加えて磁
気的な吸引力が生じるため、トナーの飛散が防止され
る。一般にトナー粒子1個あたりの帯電量が少ない程、
所定の静電潜像に付着するトナー粒子の数が増加するの
で、みかけの現像感度が増大する。
【0027】上記磁性粉末のトナー粒子中の含有量は、
前述のように定着用樹脂あたり0.1〜5重量部であ
る。磁性粉末の含有量が0.1重量部を下まわると上記
のようにトナーの帯電量が不充分であるため、キャリア
の粒子と充分に結合せず、そのためトナーが飛散しやす
い。つまり複写物の画像に、いわゆるカブリを生じると
いう欠点がある。磁性粉末の含有量が5重量部を上まわ
るとキャリアの粒子とトナー粒子との結合力が大きくな
りすぎ、そのため静電潜像に充分にトナーが付着せず、
その結果、画像濃度が低くなる。
【0028】これまでに画像の解像度の向上などを目的
としてトナー粒子中に磁性粉末を含有させる(内添す
る)試みがなされている。例えば特開昭56−1062
49号公報には、10重量%のフェライトを含有するト
ナー粒子が開示され、特開昭59−162563号公報
には、5〜35重量%の磁性微粉末を含有するトナー粒
子が開示されている。しかし、いずれの場合においても
磁性粉末の量が過剰であるため、得られる複写物の画像
濃度が低くなる。特開平3−67268号公報には磁性
粉末を0.05〜2重量%の割合で外添したトナーが開
示されている。しかし、磁性粉末は、トナー粒子中に内
添されていないのでトナー粒子表面に不均一に付着しや
すく、トナー粒子とキャリアの粒子との間の磁気的吸引
力が不足する。上記いずれの従来技術においてもトナー
中に帯電制御剤が含有されているためスペントが生じる
などの問題を生じ得る。
【0029】本発明においては、さらにトナー像の転写
効率を高めるため、好ましくはトナー粒子表面に、粒径
が0.05〜1.0μmのスペーサー粒子を付着させ
る。このスペーサー粒子は、トナー粒子の流動性改良剤
として作用し得るとともに感光体の静電潜像に付着した
ときに感光体とトナー粒子との間に間隙を形成する。そ
のため長時間の複写によりトナーの帯電量が高くなった
としてもトナーが感光体表面から容易に転写され得るた
め転写効率が高くなる。このスペーサー粒子がトナー粒
子に内添されるのと同様の磁性粉末の粒子である場合に
は、トナー粒子とキャリアの粒子との結合能力がより高
くなり、トナー飛散およびカブリをより低減できる。
【0030】従来のトナーの流動性改良剤として粒径
0.015μm程度の微粒子が外添剤として用いられて
いるが、このような粒子は感光体とトナー粒子との間に
充分な間隙を形成しないため上記の目的のスペーサー粒
子としては機能しない。
【0031】本発明においては、キャリアのコア粒子の
素材として特定のマグネタイトまたはフェライトが用い
られる。これらの化合物は、環境変化あるいは経時変化
による電気抵抗の変化が少ないため、現像剤に安定した
帯電性を付与し得る。さらに、現像装置内において磁場
がかけられると柔らかい穂を形成し得るため、感光体に
形成されるトナー像が乱れにくくなり、複写物の画像に
いわゆる白スジが生じない。
【0032】本発明においては、さらに現像剤としての
機能を高めるために、キャリアの粒子の被覆層に熱硬化
性樹脂を含有させ、かつ該被覆層の硬化度を85%以上
とする。キャリアの粒子の被覆層として熱硬化性樹脂を
用いることは、キャリアの耐摩耗性、硬度、非粘着性、
耐熱性、および耐久性を向上させるため好ましい。本発
明においては、硬化度を85%以上とすることで、硬化
物がより緻密な構造となり、得られる被覆層表面の均一
性が向上し、被覆樹脂の脱落やスペントの防止効果がさ
らに高まる。さらに、被覆層の硬度が向上するため、感
光体ドラムへのフィルミングおよびスペントが発生しに
くくなる。
【0033】ここで硬化度とは以下の式で定義される値
であり、コア粒子に被覆層を形成して硬化させた後、得
られたキャリアの粒子を溶媒(被覆層に使用される樹脂
組成物を溶解もしくは分散させ得るもの)で洗浄し、溶
媒で除去されずにコア粒子に残った被覆層の割合であ
る。
【0034】
【数1】
【0035】ここでCは元素分析などで測定した炭素の
量である。
【0036】
【発明の好適態様】以下に、本発明の好適態様について
記載する。以下、本明細書において「低級アルキル基」
とは、炭素数1〜5のアルキル基をさしていう。
【0037】(定着用樹脂)本発明の二成分系現像剤の
トナー粒子に含まれる定着用樹脂はアニオン性極性基を
有する樹脂を含有する組成物でなる。このような樹脂
は、アニオン性極性基を有する単量体を含む単量体を重
合することにより得られ、得られる樹脂は単独重合体で
あっても、共重合体であってもよい。
【0038】定着用樹脂に用いる樹脂は、好適にはアニ
オン性極性基を有する単量体と他の単量体との共重合体
である。例えば、アニオン性基を有する単量体と他の単
量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体あるいは
グラフト共重合体であり得る。アニオン性極性基を有す
る単量体としては、カルボン酸基、スルホン酸基、また
はホスホン酸基を有する単量体が挙げられ、カルボン酸
基を有する単量体が汎用される。カルボン酸基を有する
単量体としては、エチレン性不飽和カルボン酸が用いら
れ、それには、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸、マレイン酸、フマール酸などがあり、無水マレイン
酸のようなカルボン酸基を形成し得る単量体、あるいは
マレイン酸やフマール酸のようなジカルボン酸の低級ア
ルキルハーフエステルも使用され得る。スルホン酸基を
有する単量体としては、スチレンスルホン酸、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げ
られる。ホスホン酸基を有する単量体としては、2−ア
シッドホスホキシプロピルメタクリレート、2−アシッ
ドホスホキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−
アシッドホスホキシプロピルメタクリレートなどが挙げ
られる。
【0039】これらのアニオン性極性基含有単量体は、
遊離の酸であっても、ナトリウム、カリウムなどのアル
カリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土
類金属、亜鉛などの塩であってもよい。
【0040】上記アニオン性極性基を有する単量体と必
要に応じて重合される他の単量体は、得られる重合体が
トナーに要求される定着性と帯電性とを有するように選
択され、エチレン性不飽和結合を有する単量体の1種ま
たはそれ以上の組み合わせが使用される。このような単
量体としては、アクリルエステル系単量体、モノビニル
芳香族系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエー
テル系単量体、ジオレフィン系単量体、モノオレフィン
系単量体などがある。
【0041】アクリルエステル系単量体は、次の一般式
(I)で示される:
【0042】
【化1】
【0043】ここで、R1は水素原子または低級アルキ
ル基、R2は炭素数11以下の炭化水素基または炭素数
11以下のヒドロキシアルキル基である。
【0044】このような単量体としては、アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、
アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−
ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−ヒドロキシアクリル
酸プロピル、δ−ヒドロキシアクリル酸ブチル、β−ヒ
ドロキシメタクリル酸エチルなどがある。
【0045】モノビニル芳香族系単量体は、次の一般式
(II)で示される:
【0046】
【化2】
【0047】ここで、R3は水素原子、低級アルキル基
またはハロゲン原子であり、R4は水素原子、低級アル
キル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、ニト
ロ基などであり、Φはフェニレン基である。
【0048】このような単量体としては、スチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレ
ン、o−、m−、またはp−クロロスチレン、p−エチ
ルスチレンなどがある。
【0049】ビニルエステル系単量体は、次の一般式
(III)で示される:
【0050】
【化3】
【0051】ここで、R5は水素原子または低級アルキ
ル基である。
【0052】このような単量体としては、ギ酸ビニル、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどがある。
【0053】ビニルエーテル系単量体は、次の一般式
(IV)で示される:
【0054】
【化4】
【0055】ここで、R6は炭素数11以下の1価の炭
化水素基である。
【0056】このような単量体としては、ビニルメチル
エーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル−n−ブチル
エーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキ
シルエーテルなどがある。
【0057】ジオレフィン系単量体は、次の一般式
(V)で示される:
【0058】
【化5】
【0059】ここで、R7、R8、およびR9は各々独立
して水素原子、低級アルキル基またはハロゲン原子であ
る。
【0060】このような単量体としては、ブタジエン、
イソプレン、クロロプレンなどがある。
【0061】モノオレフィン系単量体は、次の一般式
(VI)で示される:
【0062】
【化6】
【0063】ここで、R10、およびR11は各々独立して
水素原子または低級アルキル基である。
【0064】このような単量体としては、エチレン、プ
ロピレン、イソブチレン、ブテン−1、ペンテン−1、
4−メチルペンテン−1などがある。
【0065】上記単量体を重合して得られる(共)重合
体であるアニオン性極性基を有する樹脂の具体例として
は、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイ
ン酸共重合体、アイオノマー樹脂などがある。さらに、
アニオン性極性基を有するポリエステル樹脂などを用い
ることができる。このような樹脂は、アニオン性極性基
が遊離酸の形で存在する場合には、その酸価が2〜3
0、好ましくは5〜15となるような割合でアニオン性
極性基を有していることが望ましい。アニオン性極性基
の一部または全部が中和されている場合には、それが遊
離酸の形で存在したときに上記酸価を有するような割合
でアニオン性極性基を有することが好ましい。上記樹脂
の酸価、つまりアニオン性極性基の濃度、が上記範囲よ
りも低いときには、トナーの帯電性が不充分であり、逆
に上記範囲よりも高いと、トナーが吸湿性を有するた
め、好ましくない。好適な定着用樹脂には、上記のアニ
オン性極性基を有する単量体と、式(I)のアクリル系
単量体の少なくとも1種を必須成分として含有し、必要
に応じて、式(II)から式(VI)の単量体を任意成分と
して含有する共重合体が用いられる。上記各単量体は、
上記樹脂を調製するために1種または2種以上が組み合
わせて用いられ得る。
【0066】本発明に用いられる定着用樹脂には、上記
樹脂を含む樹脂組成物が用いられ、この組成物中には、
上記樹脂に加えて、アニオン性極性基をもたない重合体
が含有されていてもよい。その場合には、組成物全体と
してのアニオン性極性基の含有割合は、好適には上記範
囲にある。
【0067】(磁性粉末)トナー粒子に含有(内添)さ
れる磁性粉末としては、従来において一成分系の磁性ト
ナーに使用されている磁性粉末のいずれもが用いられ得
る。磁性粉末の素材としては、例えば、四三酸化鉄(F
34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄亜鉛
(ZnFe24)、酸化鉄イットリム(Y3Fe
512)、酸化鉄カドミウム(CdFe24)、酸化鉄
ガドリウム(Gd3Fe512)、酸化鉄銅(CuFe2
4)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル
(NiFe24)、酸化鉄ネオジウム(NdFe
3)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マ
グネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnF
24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄(F
e)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などが用い
られ得る。特に好適な磁性粉末は微粒子状四三酸化鉄
(マグネタイト)である。好適なマグネタイトは正8面
体状で、粒子径が0.05〜1.0μmである。このマ
グネタイト粒子は、シランカップリング剤、チタン系カ
ップリング剤などで表面処理されていてもよい。トナー
粒子に含有される磁性粉末の粒子径は、一般に1.0μ
m以下、好ましくは0.05〜1.0μmである。
【0068】上記磁性粉末のトナー粒子中の含有量は、
定着用樹脂100重量部あたり、0.1〜5重量部、好
ましくは0.5〜4重量部、さらに好ましくは0.5〜
3重量部である。磁性粉末の量が過少であると前述のよ
うに、現像時におけるトナーの飛散が生じたり、転写効
率が低下する。
【0069】(トナー粒子中の配合剤)トナー粒子は、
上記のように、定着用樹脂および磁性粉末を必須成分と
して含有し、さらに必要に応じて通常トナー中に配合さ
れ得る配合剤を含有させることができる。
【0070】配合剤としては、着色剤、離型剤などがあ
る。
【0071】着色剤としては、例えば次の顔料が使用さ
れ得る。
【0072】黒色顔料 カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラッ
ク、アニリンブラック。
【0073】体質顔料 バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイト
カーボン、タルク、アルミナホワイト。
【0074】上記顔料は、定着用樹脂100重量部に対
して、通常2〜20重量部、好ましくは5〜15重量部
の量で使用される。
【0075】離型剤としては、各種ワックス類や低分子
量オレフィン系樹脂などが使用される。上記オレフィン
系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロ
ピレン−エチレン共重合体などが使用され得るが、ポリ
プロピレンが特に好適である。
【0076】(トナーの調製)本発明の二成分系現像剤
に用いられるトナー粒子は、トナー粒子製造のための一
般的な方法、例えば、粉砕分級法、溶融造粒法、スプレ
ー造粒法および重合法により製造され得、通常、粉砕分
級法により製造される。
【0077】例えば、上記トナー粒子を形成するための
成分を、ヘンシェルミキサーなどの混合機で前混合した
のち、二軸押出機などの混練装置を用いて混練し、これ
を冷却した後、粉砕し、分級してトナー粒子とする。ト
ナー粒子の粒径は、一般に体積基準平均粒径(コールタ
ーカウンターによるメジアン径)が5〜15μm、特に
7〜12μmの範囲内にあるのが好ましい。
【0078】トナー粒子の表面には、外添剤として必要
に応じて疎水性気相法シリカ粒子などの流動性改良剤を
付着させてトナーの流動性を改善することができる。上
記シリカ粒子などの流動性改良剤の粒子径は通常、一次
粒子径が約0.015μm程度であり、トナーの総重
量、つまりトナー粒子と外添剤との合計重量あたり0.
1〜2.0重量%の量で外添される。
【0079】さらに本発明においては、好適には、上記
流動性改良剤粒子よりも大きい粒径のスペーサー粒子が
外添される。このスペーサー粒子としては、0.05〜
1.0μm、好ましくは0.07〜0.5μmの有機ま
たは無機の不活性粒子のいずれもが用いられ得る。この
ような不活性粒子の素材としては、シリカ、アルミナ、
酸化チタン、炭酸マグネシウム、アクリル樹脂、スチレ
ン樹脂、磁性材料などが挙げられる。このスペーサー粒
子は、流動性改良剤として機能し得るとともに、前述の
ように転写効率を高める働きを有する。スペーサー粒子
としては、一般には、上記トナー粒子に含有されるのと
同様の磁性粉末、特に微粒子状四三酸化鉄(マグネタイ
ト)粒子を使用するのが好ましい。スペーサー粒子とし
て磁性粉末の粒子を用いると、前述のようにトナー飛散
に対して有効に作用する。スペーサー粒子は、トナーの
総重量あたり10重量%以下、好ましくは0.1〜10
重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%の量で含有
される。過剰であると複写画像の濃度が不充分となる。
スペーサー粒子として磁性粉末を使用する場合には、ト
ナー粒子内に含有される磁性粉末との合計量が、定着用
樹脂100重量部に対して10重量部以下であることが
望ましい。過剰であると画像濃度が低くなる場合があ
る。
【0080】流動性改良剤およびスペーサー粒子をトナ
ー粒子に外添するには、例えば流動性改良剤とスペーサ
ー粒子とを充分に混合し、この混合物をトナー粒子に添
加して充分に解砕するのがよい。これによりスペーサー
粒子は、トナー粒子表面に付着する。ここで、付着と
は、粒子表面に接して担持されること、あるいは粒子表
面から内部に一部打ち込まれたような状態で固定される
こと、のいずれの状態をもさしていう。このようにし
て、本発明の現像剤に用いられるトナーが得られる。
【0081】(キャリアの粒子)本発明の現像剤に用い
られるキャリアの粒子は、コア粒子と該コア粒子を被覆
する被覆層とを有する二重構造の粒子である。このコア
粒子は、次式(A)で示される磁性材料でなる: MOFe23 (A) ここでMはCu、Zn、Fe、Ba、Ni、Mg、M
n、AlおよびCoでなる群から選択される少なくとも
1種の金属である。
【0082】上記式(A)で示される化合物は、マグネ
タイト(MがFeの場合)あるいはフェライト(MがF
e以外の金属の場合)であり、MがCu、Zn、Mn、
Ni、Mgなどのフェライトが好適に用いられる。これ
らのマグネタイトあるいはフェライトは、経時変化によ
る電気抵抗の変化率が小さく、かつ現像装置内において
磁場がかかると、柔らかい穂を形成し得る。これらの磁
性材料でなるコア粒子は、その粒子径が、30〜200
μm、好ましくは50〜150μmである。これらのコ
ア粒子は、上記磁性材料の微細な粒子を噴霧造粒などの
手段で球状に造粒し、次に焼成することにより得られ
る。このコア粒子は、その体積固有抵抗が、105〜1
9Ω・cm、好ましくは106〜108Ω・cmであ
る。コア粒子の飽和磁化は、30〜70emu/g、好
ましくは45〜65emu/gの範囲にある。
【0083】キャリアの粒子の被覆層を構成する樹脂組
成物は、熱硬化性樹脂を含む。上記熱硬化性樹脂として
は、変性または未変性のシリコーン樹脂、熱硬化性アク
リル樹脂、熱硬化性スチレン−アクリル樹脂、フェノー
ル樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂、エ
ポキシ樹脂、アミノ樹脂などがある。このような熱硬化
性樹脂は、加熱硬化することによって分子量が増大し、
溶媒に対して不溶性となる。硬化度を85%以上に調整
するためには、加熱温度および加熱時間を調整すればよ
い。本発明においては、被覆層に被覆層の特性を低下さ
せない範囲で熱可塑性樹脂を含有させることもできる。
上記熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン−
アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、オ
レフィン系共重合体樹脂などがある。これらは単独で、
あるいは2種以上混合して使用され得る。
【0084】さらに樹脂組成物中には、必要に応じて、
シリカ、アルミナ、カーボンブラック、脂肪酸金属塩、
シランカップリング剤、シリコーンオイルなどの添加剤
が含有され、これらは被覆層の特性を調整する働きを有
する。
【0085】(キャリアの調製)上記樹脂組成物は、公
知の方法によりコア粒子表面に付与されて被覆層を形成
する。例えば、上記樹脂組成物の溶液もしくは分散液と
コア粒子とを混合して、コア粒子表面に樹脂組成物の溶
液もしくは分散液をコートし、必要に応じて乾燥し、加
熱などにより硬化することにより被覆層が形成される。
被覆層の形成にあたっては、一般に利用されている浸漬
法、スプレー法、流動床法、移動床法、転動層法などが
いずれも利用され得る。樹脂組成物を溶解もしくは分散
させ得る溶媒としては、一般的な有機溶媒、例えば、ト
ルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセト
ン、、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサンなどの環状エーテル類、エタノール、
プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチル
セロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶
媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミ
ド系溶媒などが、利用する樹脂の溶解性などの性質に合
わせて適宜用いられ得る。
【0086】このようにして得られたキャリアの粒子径
は30〜200μm、好ましくは50〜150μmであ
る。キャリアの粒子の被覆層の重量は、コア粒子100
重量部に対して0.001〜2.5重量部、好ましくは
0.005〜2.0重量部である。得られたキャリアの
粒子の体積固有抵抗は、105〜1013Ω・cm、好ま
しくは107〜1012Ω・cm、そして飽和磁化は、3
0〜70emu/g、好ましくは45〜65emu/g
の範囲にある。
【0087】(現像剤の調製)上記トナーとキャリアと
を混合することにより二成分系現像剤が得られる。キャ
リアとトナーとの混合比は、一般に98:2〜90:1
0の重量比、特に97:3〜94:6の重量比であるこ
とが好ましい。
【0088】本発明の二成分系現像剤を用い、一般的な
静電写真複写法により、複写がなされ得る。例えば感光
体上の光導電層を一様に荷電した後、画像露光して静電
潜像を形成させ、次いで二成分系磁性現像剤の磁気ブラ
シを感光体と接触させることにより静電潜像の現像が容
易に行われ得る。現像により形成されたトナー像は転写
紙上に転写されて転写像を形成し、この転写像をヒート
ロールで溶融圧着することにより定着が行われる。
【0089】
【実施例】本発明を実施例により説明する。
【0090】(実施例1) 〈トナーの調製〉
【0091】
【表1】
【0092】上記各成分を二軸押し出し機にて溶融混練
し、次いでこの混練物をジェットミルで粉砕し、そして
風力分級機で分級して、平均粒径10.0μmのトナー
粒子を得た。
【0093】このトナー粒子に、流動性改良剤として平
均粒径が0.015μmの疎水性シリカ微粒子をトナー
粒子100重量部に対して0.3重量部の割合で添加
(外添)し、そしてヘンシェルミキサーで混合して、ト
ナーを得た。
【0094】〈キャリアの調製〉
【0095】
【表2】
【0096】磁性コア粒子として平均粒径100μmの
球状フェライト粒子を用いた。このフェライト粒子10
00重量部に、表2に示す組成のコーティング剤を添加
し、加熱撹拌装置を用いて混合した。得られた混合物か
ら溶媒を乾燥除去した後、180℃で1時間の熱処理を
行い被覆層を有するキャリアの粒子を得た。
【0097】上記で得られたキャリア10gをガラス容
器に入れ、トルエンを加え未硬化の樹脂を溶解させた。
次いで、ガラス容器の下から磁石でキャリアを引きつけ
た状態でトルエン溶液を捨てた。この操作を数回繰り返
した後、オーブンでキャリアを乾燥させた。「カーボン
アナライザー」(堀場社製)でトルエン処理(洗浄)前
後のキャリアのC量(炭素量)を測定し、次式により硬
化度を定義した。得られた硬化度を上記表2に示す。
【0098】
【数2】
【0099】〈現像剤の調製〉上記トナーとキャリアと
を、均一に混合してトナー濃度3.5重量%の二成分系
現像剤を得た。
【0100】(実施例2)硬化温度を200℃に変化さ
せた以外は、実施例1と同様の方法で現像剤を得た。
【0101】(比較例1)硬化温度を170℃に変化さ
せた以外は、実施例1と同様の方法で現像剤を得た。
【0102】[現像剤の評価]次の項目につき、実施例
および比較例の現像剤を評価した。試験に使用したの
は、三田工業社製の電子複写機(商品名「DC−468
5」)の改造機(評価試料を容易にサンプリングするた
めの改造を施した複写機)である。
【0103】(a)画像濃度(I.D.) 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて5万枚複写を
行った。5千枚毎に複写画像における黒べた部の濃度を
反射濃度計(型番「TC−6D」東京電色社製)を用い
て測定し、その平均値を画像濃度(I.D.)とした。
ここで、5千枚毎にサンプリングを行うために使用する
原稿は、黒べた部を含む黒色部の面積率が15%の原稿
である。評価結果を表3に示す。
【0104】(b)帯電量 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて5万枚複写を
行った。5千枚毎に現像剤200mgの帯電量を「ブロ
ーオフ粉体帯電量測定装置」(東芝ケミカル社製)を用
いて測定し、トナー1gあたりの帯電量の平均値を算出
した。評価結果を表3に示す。
【0105】(c)カブリ濃度(F.D.) 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて5万枚複写を
行った。5千枚毎に複写画像における非画像部の濃度を
反射濃度計(型番「TC−6D」東京電色社製)を用い
て測定した。その測定値と、複写前の紙(ベース紙)を
反射濃度計で測定して得られた反射濃度の値との差を算
出し、その最高値をカブリ濃度(F.D.)とした。こ
こで、5千枚毎にサンプリングを行うために使用する原
稿は、黒べた部を含む黒色部の面積率が15%の原稿で
ある。評価結果を表3に示す。
【0106】(d)トナー飛散 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて5万枚複写を
行った。この時点での複写機内のトナー飛散状態を目視
にて観察し、以下の基準で評価した。 ○:トナー飛散なし ×:トナー飛散あり 評価結果を表3に示す。
【0107】(e)転写効率 複写開始前のトナーホッパー内のトナー量と、5万枚複
写後のトナーホッパー内のトナー量とを測定し、その差
からトナー消費量を算出した。他方、5万枚複写の間に
クリーニング工程において回収されたトナー量を測定
し、これをトナー回収量とした。これらの値から、次式
(i)によりトナーの転写効率を算出した。ここで、複
写に用いた原稿は、黒色部の面積率が8%の文字原稿で
ある。
【0108】
【数3】
【0109】評価結果を表3に示す。
【0110】(f)スペントによるキャリアの粒子表面
への付着物の量 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて複写を行い、
5万枚複写した時点で、現像剤をサンプリングした。そ
の現像剤を400メッシュのふるい上にのせ、下からブ
ロアーにより吸引し、トナーとキャリアとを分離した。
ふるい上に残ったキャリア5gをビーカーに入れ、更に
このビーカー中にトルエンを加え、スペントによりキャ
リアの粒子表面に付着したトナー成分を溶解させた。そ
の後ビーカーの下から磁石でキャリアを引きつけた状態
でトルエン溶液を捨てた。これをトルエンが無色になる
まで数回繰り返した後、オーブンでキャリアに付着して
いるトルエンを蒸発させて得られた残留物の重量を測定
した。最初にビーカーに入れたキャリアの重量とトルエ
ン蒸発後の重量の差からキャリアの被覆層の溶出量を差
し引いた量が、スペントによりキャリアの粒子表面に付
着したトナー成分の量(スペント量)である。スペント
量はキャリア1gあたりに付着したトナー成分のmgで
表す。評価結果を表3に示す。
【0111】(g)フィルミング 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて、5万枚複写
を行った。この時点での複写機内のドラムの状態を目視
にて観察し、以下の基準で評価した。 ○:フィルミングなし ×:フィルミングあり 評価結果を表3に示す。
【0112】
【表3】
【0113】[評価結果の考察]実施例で得られた現像
剤は、比較例で得られた現像剤に比べて、帯電量が低
く、画像濃度が非常に良好な状態で安定し、そして転写
効率に優れていた。また、スペントによるキャリアの粒
子表面への付着物の量が比較例に比べて約2/3と少な
く、トナー飛散も認められなかった。画像濃度も優れて
いた。さらに、実施例の現像剤はフィルミングも起こら
なかった。
【0114】
【発明の効果】本発明によれば、このように、複写時に
おけるスペントの主な発生原因となる帯電制御剤を全く
含有しない二成分系現像剤が提供される。この現像剤に
含有されるトナー粒子中には、アニオン性極性基を有す
る定着用樹脂が含有される。この現像剤に含有されるキ
ャリアのコア粒子は特定の組成の磁性材料で構成され、
かつ該コア粒子を被覆する被覆層は、熱硬化性樹脂を含
む樹脂組成物でなり、該被覆層の硬化度は85%以上で
ある。さらに必要に応じてトナー粒子表面には所定の粒
径のスペーサー粒子が付着している。このような本発明
の現像剤のトナーの帯電性は充分であり、トナー粒子と
キャリアの粒子との結合も充分である。従って複写時に
スペントが発生せず、トナーが飛散することがなく、転
写効率が充分であり、必要とされる濃度の複写画像が長
時間にわたり安定して得られる。さらに上記のような特
定の被覆層を有するキャリアを用いることで、フィルミ
ングが防止される。このような二成分系現像剤は、静電
式複写機、レーザービームプリンタなどの電子式画像形
成装置において好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像剤に使用されるトナーのメタノー
ル抽出液の、波長200〜700nmにおける吸光度を
示すグラフである。
【図2】帯電制御剤としてアゾ系クロム錯塩染料を含有
するトナーのメタノール抽出液の波長200〜700n
mにおける吸光度を示すグラフである。
【図3】帯電制御剤としてサリチル酸金属錯体を含有す
るトナーのメタノール抽出液の波長200〜700nm
における吸光度を示すグラフである。
【図4】帯電制御剤としてアゾ系クロム錯塩染料を含有
するトナーを二成分系磁性現像剤に使用し、スペントよ
る帯電不良が発生したときのキャリアについて、メタノ
ール抽出を行い、この抽出液の波長200〜700nm
における吸光度を測定したときのグラフである。
【図5】帯電制御剤を含有するトナーと磁性キャリアと
を混合・攪拌し、あるいは帯電制御剤を含有しないトナ
ーと磁性キャリアとを混合・攪拌する操作を続けた場合
に、混合・攪拌時間とスペント率との関係を示すグラフ
である。
【図6】帯電制御剤を含有するトナーと磁性キャリアと
を混合・攪拌し、あるいは帯電制御剤を含有しないトナ
ーと磁性キャリアとを混合・攪拌する操作を続けた場合
に、混合・攪拌時間と帯電量との関係を示すグラフであ
る。
【図7】スペントによるトナー成分が付着したキャリア
の該付着物の量と、スペントを生じたトナー中の帯電制
御剤の量との関係を示すグラフである。
【図8】トナー中の各成分の各々と磁性キャリアとを混
合・攪拌する操作を続けた場合における混合・攪拌時間
とスペント量との関係を示すグラフである。
【図9】従来の二成分系磁性現像剤におけるスペントに
よる帯電不良の発生を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 キャリアの粒子 2 トナー 22 逆極性トナー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03G 9/113 G03G 9/10 321 351 352 (72)発明者 飯田 智英 大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田工 業株式会社内 (72)発明者 田村 英一 大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田工 業株式会社内 (72)発明者 藤井 和彦 大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田工 業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トナーとキャリアとを含む二成分系現像
    剤であって、 該トナーが、トナー粒子を含み、 該トナー粒子が、定着用樹脂および該樹脂中に分散され
    た磁性粉末を含有し、 該定着用樹脂が、アニオン性極性基を有する樹脂を含む
    組成物でなり、 該磁性粉末が、該定着用樹脂100重量部に対して0.
    1から5重量部の割合で該トナー粒子中に含有され、 該キャリアの粒子が、コア粒子と該コア粒子を被覆する
    被覆層とを有し、 該コア粒子が、次式(A)で示される磁性材料でなり: MOFe23 (A) ここでMはCu、Zn、Fe、Ba、Ni、Mg、M
    n、AlおよびCoでなる群から選択される少なくとも
    1種の金属である、 該被覆層が、熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成物でな
    り、そして、 該被覆層の硬化度が85%以上である、二成分系現像
    剤。
  2. 【請求項2】 前記トナーをメタノールで抽出したとき
    の抽出液が、280から350nmの領域に実質的に吸
    収ピークを有さず、かつ400から700nmの領域に
    おける吸光度が実質的にゼロである、請求項1に記載の
    現像剤。
  3. 【請求項3】 前記磁性粉末が、前記定着用樹脂100
    重量部に対して0.5から3重量部の割合で含有され
    る、請求項1に記載の現像剤。
  4. 【請求項4】 前記トナー粒子の体積基準平均粒径が5
    から15μmであり、該トナー粒子表面に体積基準平均
    粒径が0.05から1.0μmのスペーサー粒子が付着
    している、請求項1に記載の現像剤。
  5. 【請求項5】 前記コア粒子の粒径が、50から150
    μmである、請求項1に記載の現像剤。
  6. 【請求項6】 前記被覆層の重量が、前記コア粒子10
    0重量部に対して0.001から2.5重量部である、
    請求項1に記載の現像剤。
  7. 【請求項7】 前記熱硬化性樹脂が、変性または未変性
    のシリコーン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ス
    チレン−アクリル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹
    脂、熱硬化性ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、および
    アミノ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種で
    ある、請求項1に記載の現像剤。
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