JPH0875257A - 湯沸器の缶体構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 湯沸器の缶体を貫通して取付けたバーナ取付
筒をもつ湯沸器において、内胴の局部的な熱変形や缶体
の水漏れ事故を防ぐものである。 【構成】 燃焼室１の周囲に内胴２と外胴３によって缶
体４を形成し、該缶体４の側壁に燃焼室１へ向けて缶体
４を貫通するバーナ取付筒６を設け、該バーナ取付筒６
の周辺の内胴２に耐火材１０を取付ける。該耐火材１０
にはバーナ取付筒６の先端をのぞませる開口１１を設
け、該開口１１から燃焼室１に炎を吹き出す構造であ
り、バーナ取付筒６の周辺の缶体４の熱効率を悪化させ
ることによって、内胴２の局部的な加熱を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は給湯機や温水暖房機に使
用される湯沸器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、湯沸器は燃焼室の周囲に内胴と外
胴とで二重筒構造の缶体を構成しており、内胴内に構成
する燃焼室の下部に耐火床を設けている。該缶体の側面
に内胴と外胴とを貫通するバーナ取付筒を設け、該バー
ナ取付筒に取付けたバーナを燃焼室にのぞませて、該燃
焼室内にバーナの送風筒の先端から炎を吹き込んで缶体
内の水を加熱するものが一般的である。

【０００３】一方、内胴内に構成する燃焼室の上部にバ
ーナ取付筒を設け、該バーナ取付筒に下吹き式のバーナ
を取付けたものでは、耐火床に向けて火炎を誘導し、か
つ、内胴内面に燃焼ガスを誘導する吊り下げ式の中心筒
を耐火材で形成して、高温となる中心筒の耐久性を高め
ることが行なわれている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】燃焼室を構成する内胴
は缶体を構成して外面が水で覆われており、バーナ取付
筒から燃焼室に吹き込まれた火炎および高温の燃焼ガス
が内胴内面に接近しても、内胴外面に接する水を高温と
することによって低温度を保つ仕組みとなっている。そ
して、燃焼室の上部や下部にバーナ取付筒を設けて、下
吹き式や上吹き式のバーナを用いる時には期待した結果
が得られている。

【０００５】しかし、最近のコンパクト化とメンテナン
ス性の向上を目的として、缶体の側面に内胴と外胴とを
貫通するバーナ取付筒を設け、横吹き式のバーナを取付
けた構成において、内胴外面に充分水があるにもかかわ
らず、内胴に局部的な熱変形が発生し、溶接部などでは
缶体の孔あき・亀裂に至る事故が報告され、原因及び対
策は不明であった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、燃焼室１の周囲に内胴２と外胴３からなる
二重筒構造の缶体４を設け、該燃焼室１の下部には耐火
床５を設け、前記缶体４の側面には内胴２と外胴３とを
貫通するバーナ取付筒６を設け、該バーナ取付筒６にバ
ーナ７を取り付け、該バーナ７と燃焼室１に燃焼空気を
送る送風筒８をバーナ取付筒６内に延ばすと共に、該送
風筒８内にバーナ７の燃焼部９を設け、送風筒８から炎
を燃焼室１内に吹き込む給湯機において、バーナ取付筒
６付近の燃焼室１壁を構成する内胴２の側面に耐火材１
０を取付け、該耐火材１０に開口１１を設けてバーナ取
付筒６をのぞませ、該バーナ取付筒６の周辺の内胴２の
熱効率を悪化させたものである。

【０００７】また、耐火材１０の開口１１の周縁には筒
状耐火材１２を設け、該筒状耐火材１２はバーナ取付筒
６と送風筒８との間隙内に延ばし、内胴２とバーナ取付
筒６との取付部を耐火材１０と筒状耐火材１２とで覆っ
て炎を遮断しているものである。

【０００８】

【作用】下吹き式や上吹き式のバーナを用いる湯沸器に
トラブルの発生がないことから、横吹き式のバーナを用
いる構造に原因があると推定され、常識的にすぐ思い付
く火炎が吹き付けられるバーナの正面に耐火材を位置す
る構造の実験では全く効果が認められないものであっ
た。その後、各種実験を繰り返すことによって、バーナ
取付筒６の周辺の燃焼室１を構成する内胴２の側面に耐
火材１０を取付け、該耐火材１０に開口１１を設け、該
開口１１に缶体２の側面に設けたバーナ取付筒６をのぞ
ませ、該バーナ取付筒６に取付けたバーナ７から炎を燃
焼室１に吹き込む構造を見いだしたものである。

【０００９】即ち、この実験結果によると、前記トラブ
ルの原因がバーナの取付け位置、及び火炎が形成する位
置にあるのではなく、内胴２と外胴３とを貫通してバー
ナ取付筒６を取付けたことによる水の流れが乱されるこ
とに原因があったと推定できる。そして、バーナ取付筒
６の周辺に耐火材１０を位置させて熱効率を劣化させれ
ば、バーナ取付筒６の存在によって促進または滞留して
いた水流が、バーナ取付筒６から離れて安定した流れが
ある部分へ進んでも、水の温度は低温度のままであり、
不規則に局部的な高温部分が発生しなくなったものであ
る。

【００１０】また、耐火材１０の開口１１の周縁に筒状
耐火材１２を設け、該筒状耐火材１２を送風筒８とバー
ナ取付筒６との間隙に設けたから、バーナ７から吹き出
す炎や燃焼ガスが、耐火材１０と筒状耐火材１２に遮ら
れてバーナ取付筒６と内胴２との取付部に直接当たらな
いようにしており、バーナ取付筒６付近でも缶体４内の
水が加熱されないものである。

【００１１】

【実施例】以下、実施例を示す図により構成を説明する
と、１は燃料を燃焼する燃焼室、２は内側に燃焼室１を
形成する内胴、３は内胴２の外周に設けた外胴、４は内
胴２と外胴３によって二重筒構造に形成した缶体であ
り、燃焼室１に送られた炎と燃焼ガスの熱により缶体４
内の水を温湯に変える。５は燃焼室１の下部に耐火材を
敷設して構成する耐火床である。

【００１２】６は缶体４の側面に位置して外方から燃焼
室１内に缶体４を貫通してのぞませたバーナ取付筒、７
はバーナ取付筒６に取付けたバーナ、８はバーナ７と燃
焼室１に燃焼空気を送る送風筒で、該送風筒８はバーナ
取付筒６内に延ばすと共に、該送風筒８内にバーナ７の
燃焼部９を設けている。該送風筒８の端にはモータ１３
・フアン１４が取付けられ、フアン１４により送風筒８
に燃焼空気を送り、燃焼部９で形成した炎が燃焼ガスと
共にバーナ取付筒６の先端から燃焼室１に吹き出してい
る。

【００１３】１０はバーナ取付筒６の周辺の燃焼室１壁
の内胴２の側面に取付けた耐火材、１１は耐火材１０に
設けた開口で、該開口１１はバーナ取付筒６をのぞませ
てあり、バーナ７から吹き出す炎と燃焼ガスは、開口１
１から燃焼室１内に吹き込まれる。そして、耐火材１０
で覆われたバーナ取付筒６の周辺の缶体４の熱交換効率
を悪化させたので、バーナ取付筒６の存在によって缶体
４の水の流れが乱れても、水温の上昇はおさえられ、缶
体４に局部的な高温部が発生しなくなったものである。

【００１４】１２は耐火材１０の開口１１の周縁に設け
た筒状耐火材で、該筒状耐火材１２はバーナ取付筒６と
送風筒８との間隙に設けてあり、送風筒８から炎を吹き
出す時、バーナ取付筒６を介して缶体４の水が加熱され
なくなった。また、この部分には多数の溶接部があり、
この溶接部に炎や燃焼ガスが直接当たらないから熱によ
る割れ防止をしている。

【００１５】尚、耐火材１０及び筒状耐火材１２の素材
は金属板系・セラミック系の素材を用い、火炎や燃焼ガ
スが直接缶体４を加熱しないようにするものである。ま
た、両耐火材１０・１２は同じ素材を用いることもでき
るが、耐火材１０をセラミック系、筒状耐火材１２を金
属板系で形成してもよく、この場合、すでに市販された
湯沸器で、バーナ取付筒６と送風筒８との間隔が狭いタ
イプのトラブル対策に効果がある。そして、送風筒８に
空気孔８ａをあけ、冷却空気が筒状耐火材１２の付近を
流れるようにすれば更に効果的である。

【００１６】また、耐火材１０及び筒状耐火材１２にセ
ラミック系の素材を用いる時は、缶体４と別部材で構成
せず、缶体４やバーナ取付筒６に直接セラミック系の素
材を吹き付けて密着させることができ、吹き付け設備さ
え所有すれば非常に簡単にかつ、強固に耐火材の取付け
ができるものである。

【００１７】１５は缶体４内へ水を供給するための給水
口、１６は缶体４内で加温された湯を出湯する給湯口、
１７は缶体４・送風筒８の外郭を囲繞する枠体である。

【００１８】

【発明の効果】本発明は以上のような構成・作用を有す
るもので、バーナ取付筒６周辺の燃焼室１の内胴２の側
面に耐火材１０を取付け、該耐火材１０に開口１１を設
けて、バーナ取付筒６をのぞませたから、バーナ取付筒
６の周辺の缶体４の熱効率が悪化するので、例えばバー
ナ取付筒６の周辺に水が滞留してもこの水は加熱され
ず、他部へ流れた時にも低温のままであるから、内胴２
に局部的な熱変形が発生せず溶接部などで孔あき・亀裂
に至る事故が防止できたものであり、内胴２の局部的な
温度上昇によって発生する釜鳴り現象も発生しなくなっ
た。

【００１９】また、耐火材９の開口１１の周縁に筒状耐
火材１２を設け、該筒状耐火材１２はバーナ取付筒６と
送風筒８との間隙に設けたから、バーナ取付筒６の先端
部と内胴２との取付部を覆うのでバーナ取付筒６によっ
て缶体４が加熱せず、また溶接部に炎や燃焼ガスが当た
ることがなく、熱による疲労破壊が生じて、取付部に孔
があく心配が防止できたものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の湯沸器の要部断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 燃焼室 ２ 内胴 ３ 外胴 ４ 缶体 ５ 耐火床 ６ バーナ取付筒 ７ バーナ ８ 送風筒 ９ 燃焼部 １０ 耐火材 １１ 開口 １２ 筒状耐火材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃焼室１の周囲に内胴２と外胴３からな
   る二重筒構造の缶体４を設け、該燃焼室１の下部には耐
   火床５を設け、前記缶体４の側面には内胴２と外胴３と
   を貫通するバーナ取付筒６を設け、該バーナ取付筒６に
   バーナ７を取り付け、該バーナ７と燃焼室１に燃焼空気
   を送る送風筒８をバーナ取付筒６内に延ばすと共に、該
   送風筒８内にバーナ７の燃焼部９を設け、送風筒８から
   炎を燃焼室１内に吹き込む給湯機において、 バーナ取付筒６付近の燃焼室１壁を構成する内胴２の側
   面に耐火材１０を取付け、該耐火材１０に開口１１を設
   けてバーナ取付筒６をのぞませ、該バーナ取付筒６の周
   辺の内胴２の熱効率を悪化させてなる湯沸器の缶体構
   造。
2. 【請求項２】 耐火材１０の開口１１の周縁には筒状耐
   火材１２を設け、該筒状耐火材１２はバーナ取付筒６と
   送風筒８との間隙内に延ばし、内胴２とバーナ取付筒６
   との取付部を耐火材１０と筒状耐火材１２とで覆った請
   求項１記載の湯沸器の缶体構造。