JPH0873968A - 高強度・高延性チタン合金 - Google Patents

高強度・高延性チタン合金

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JPH0873968A
JPH0873968A JP6212385A JP21238594A JPH0873968A JP H0873968 A JPH0873968 A JP H0873968A JP 6212385 A JP6212385 A JP 6212385A JP 21238594 A JP21238594 A JP 21238594A JP H0873968 A JPH0873968 A JP H0873968A
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厚 小川
Akira Kato
彰 加藤
Masakazu Niikura
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた強度−延性バランスを有するチタン合
金を提供する。 【構成】 化学組成が重量%で、N:0.05〜0.1
5%、O:0.25%以下、Al:0.5〜6.0%、
Fe:0.5〜1.5%であり、残部がTiおよび不可
避的不純物からなる高強度・高延性チタン合金。これら
の化学成分に、更に、Fe:0.5〜1.5%、Crお
よびMnのうち少なくとも一種以上、かつ、Fe,Cr
およびMnの合計で4%以下添加し、残部がTiおよび
不可避的不純物からなる高強度・高延性チタン合金。ま
た、[Al]+18.8[O] +24.7[N] ≧7.0 か
つ、0.03[Al]− 33.73[O] − 23.59[N] ≧− 9.0 ([A
l],[O] ,[N] は、Al,O,Nの重量%)とすること
により、更に強度−延性バランスが向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、強度が高く延性に優
れた高強度・高延性チタン合金に関する。
【0002】
【従来の技術】チタン合金は、その優れた比強度を利用
して、主として宇宙航空分野において構造部材として利
用されてきた。また、この他にも優れた耐腐食性から、
化学プラント用材料としても利用されはじめてきた。し
かし、最近のチタン合金市場の動向をみると、冷戦終結
後の軍縮傾向に伴う航空宇宙産業の停滞や世界的な景気
の低迷により、政府調達関連あるいは産業用の需要につ
いては頭打ちとなっているのが現状である。
【0003】こうした現状を踏まえて、チタン合金の他
分野、特に民生用途の開拓が活発化している。例えば、
自動車エンジン用部品、工具、スポーツ用品、日用雑貨
などへの適用はよい例であり、既に一部で実用化されて
いる。また、その優れた生体適合性なども注目され、イ
ンプラント用材料としても利用されはじめている。
【0004】しかし、こうした民生分野への進出は、必
ずしも順調に進展しているとはいい難い。その最大の理
由は、チタン合金の製造コストが、鉄鋼材料、アルミニ
ウム合金などの従来材料と較べて非常に高価である点に
ある。チタン合金の場合、原料であるスポンジチタンが
高価であるのに加えて、変形抵抗が高いことからプロセ
スも高価なものとなる。
【0005】また、化学成分もコストに影響を及ぼす重
要な因子であり、高価な添加元素や高純度の原料の使用
はコストの上昇につながる。現在実用化されているチタ
ン合金の約90%を占めるといわれる、Ti-6Al-4V 合金
は変形抵抗が高く、また高価なバナジウムを含有してい
ることから民生用途への使用に適しているとはいい難
い。こうしたことから、今後チタン合金の用途を拡大す
るためにはより安価なチタン合金製品を製造する必要が
ある。
【0006】このような状況を鑑みて、チタン合金を低
コストにて製造する方法がいくつか報告されている。そ
れらの中で、化学成分について検討されているものを見
ると、特公平5−72452号公報記載の技術(以下、
従来技術と呼ぶ)には、鉄、酸素、窒素を添加するこ
とにより高強度・高延性化を図った合金が提案されてい
る。また、特開平4−358036号公報記載の技術
(以下、従来技術と呼ぶ)にはTi-6Al-4V 合金と同等
以上の強度を有し、高価なバナジウムに代えて鉄を含有
した合金が提案されている。
【0007】表1は、これらの従来技術に記載されてい
るチタン合金の化学成分を示す。従来技術には、鉄
0.21〜0.72%、酸素0.20〜0.31%、窒
素0.05〜0.23%のチタン合金が、開示されてい
る。従来技術には、アルミニウム5.95%、鉄3.
31%、酸素0.10%のチタン合金が、開示されてい
る。
【0008】表2は、これらの従来技術に記載されてい
る引張試験結果を示す。従来技術では、引張強さ76
0〜1040MPaで伸び24〜13%の強度−延性バ
ランスを示している。また、従来技術では、引張強さ
980〜1260MPaで伸び17〜8%の強度−延性
バランスを示している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来技術は、
高価なバナジウムを必要とせずコスト削減の道を開いた
点は評価できるが、次の問題点があった。それは、チタ
ン合金は他の金属材料と同様に強度の上昇にともなって
延性の劣化が生じるため、強度−延性バランスが良くな
いということである。
【0010】従来技術では、引張強さ760MPaで
も伸びは24%であり、引張強さ800MPa以上では
伸びは20%以下に低下している。また、従来技術で
は、引張強さ980〜1060MPaの領域で伸びが1
7〜15%程度であり、やはり延性が低い。従来技術
、では強度レベルは確保されているが、延性が不足
しており、民生用の用途開発に当たってはこの点を解決
する必要がある。
【0011】チタン合金において、延性の劣化を抑制し
強度−延性バランスを向上することができれば、より材
質的に優れた材料となる。しかも、安価な合金元素の添
加によりこの目標を達成できれば今後のチタン材料の市
場開拓に有益な材料となる。以上のことから、本発明が
解決しようとする課題は、延性の低下を抑制しつつTi-6
Al-4V 合金並の強度を有し、しかも優れた強度−延性バ
ランスを有する、安価なチタン合金を提供することにあ
る。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、化学
組成が重量%で、N:0.05〜0.15%、O:0.
25%以下、Al:0.5〜6.0%、Fe:0.5〜
1.5%であり、残部がTiおよび不可避的不純物から
なる高強度・高延性チタン合金である。
【0015】請求項2の発明は、化学組成が重量%で、
N:0.05〜0.15%、O:0.25%以下、A
l:0.5〜6.0%、Fe:0.5〜1.5%、Cr
およびMnのうち少なくとも一種以上、かつ、Fe,C
rおよびMnの合計が4%以下であり、残部がTiおよ
び不可避的不純物からなる高強度・高延性チタン合金で
ある。
【0016】請求項3の発明は、化学組成のうちAl,
O,Nの含有量(重量%)が、2つの不等式 [Al]+18.8[O] +24.7[N] ≧7.0 および 0.03[Al]− 33.73[O] − 23.59[N] ≧− 9.0 を満足する範囲内にあることを特徴とする請求項1又は
請求項2の高強度・高延性チタン合金である。但し、[A
l],[O] ,[N] は、Al,O,Nの含有量(重量%)を
それぞれ表す。
【0017】
【作用】この発明は、チタン合金の成分系について鋭意
研究を重ねた結果得られたものであり、アルミニウム、
窒素、酸素を適量添加することで強度−延性バランスを
向上させることに成功した。以下に各元素の成分限定理
由および請求項に示した条件式について説明する。
【0018】(1)窒素 窒素Nは、チタンの強度を上昇させる上で重要な元素で
ある。強度上昇の観点から0.05%は必要であり、こ
れを下限とする。上限については、今回、窒素の添加に
よる強度の上昇と延性の低下について、特徴的な効果を
示すことが新たに発見された。それは、特に0.15重
量%までの添加は、他の強化元素であるアルミニウムや
酸素と比較して、延性の低下が少ないということであ
る。これに基づき、窒素の上限を0.15重量%とす
る。
【0019】このように、窒素は、高強度・高延性、高
延性チタン合金を製造する上で、添加量を適切に設定す
ることにより積極的に利用することができる。これらの
ことから、窒素は、0.05〜0.15重量%に規定す
る。
【0020】(2)酸素 酸素Oはチタン合金の強度を上昇させる効果がある。ま
た、酸素添加量が増加できれば、低グレードスポンジチ
タンの利用が可能となり、材料コスト面で有利である。
【0021】しかし酸素は、上述した窒素とは異なり、
添加量の増加にともない延性の低下を引き起こす。ま
た、より高強度・高延性を得る場合や低純度のスポンジ
チタンやスクラップの利用を考慮する場合にも、酸素を
過剰に増加させることは延性の観点から好ましくない。
特に、酸素添加量が0.3%前後からは、延性が大きく
低下する。従って、酸素の上限を0.25重量%以下と
する。
【0022】なお、酸素については特に下限を限定しな
いが、酸素はチタンとの親和力が強く、チタン合金には
不可避的に含まれる。従って、一般には酸素の含有量を
0.06%未満とすることは困難であり、工業的には酸
素の下限を0.06%とするのが好ましい。
【0023】(3)アルミニウム アルミニウムAlは比較的安価な添加元素でありチタン
の強度を上昇させる効果がある。したがって、本発明に
おいて目的とする強度を得るためにはアルミニウムの添
加は必須であり、少なくとも0.5%必要である。
【0024】しかし、強度の上昇に伴って延性も低下す
るので、過剰の添加は上述した窒素の効果を損なうこと
になりかねない。特に、アルミニウムの添加量が7%前
後になると、この傾向が顕著となるので、工業的には6
%が上限である。以上より、アルミニウムは0.5〜6
重量%とする。
【0025】(4)鉄 鉄Feは、チタン合金に対してβ相安定化元素であり、
β相を固溶強化する。また、微量に添加することにより
β相を微細に分散させるので、組織の微細化を図ること
ができる。これらの効果により、鉄はチタン合金の強度
及び延性を向上せしめる。この効果を得るには、鉄は
0.5%は必要である。
【0026】また、鉄は安価な添加元素でありコスト面
でも有利である。しかし鉄は偏析しやすい元素であり、
過剰に添加すると偏析の影響でミクロ組織が不均一とな
ったり、機械的性質がばらつくなどの弊害を生じやすく
なる。鉄を1.5%以上添加すると、この影響が大きく
なり好ましくない。以上より、鉄は0.5〜1.5重量
%とする。
【0027】(5)クロムおよびマンガン 更に、合金成分を増やし、合金設計の自由度を高くする
ことも可能である。それらの中で、クロムCrおよびマ
ンガンMnは、鉄と同様β相を生成し、組織を微細化す
ると同時にβ相を固溶強化する効果がある。しかし、多
量に添加するとβ相が安定化し過ぎるため、過度の強度
上昇および延性の劣化を招く。そこで、この発明では、
鉄、クロム、マンガンの総添加量について検討し、これ
を規定することで、延性の大きな劣化を防止することに
成功した。
【0028】前述のように、鉄のみの添加では添加量は
1.5%が上限であるが、これらの元素は、総添加量に
して4.0%まで延性を大きく劣化することなく、添加
が可能である。以上より、鉄、クロム、マンガンの総添
加量を、4.0重量%以下と規定する。
【0029】なお、この発明で、残部がTiおよび不可
避的不純物からなるというのは、通常の工業的な製造方
法で製造する場合、原料に含まれている元素や製造過程
で混入する元素を含むということである。例えば、この
発明の構成元素であるAl,Fe,Mn,Cr等の合金
元素の原料には他の元素が含まれているが、これらは不
可避的不純物となる。また、精錬の過程で用いる副原料
や反応容器から溶け出してくる元素、その他塵埃や製造
設備の脱落等による混入物等、発明の目的を損なわない
限り不可避的不純物となるのは言うまでもない。
【0030】また、原料として、チタンやチタン合金の
スクラップを用いた場合は、スクラップの素性や等級に
より種々の元素が含まれるが、これらはこの発明に規定
する以外の元素であれば不可避的不純物となる。例えば
Mo,V,Sn,Si等の元素はその例であり、これら
の元素も少量であれば不可避的不純物となる。ここで、
少量というのは、この発明のチタン合金の目的を損なわ
ない程度の量であり、具体的には、Mo,V,Snにつ
いてはそれぞれ0.3重量%以下、Siについてはそれ
ぞれ0.02重量%以下であればよい。
【0031】(6)Al,N,O 次に、チタン合金の強度と延性については、Al,N,
Oの3つの元素と強い関係があることを見出した。種々
検討の結果、アルミニウムと同等の強度上昇となる酸
素、窒素の添加量があることを突き止めた。
【0032】そこで、強度に対する一種のアルミニウム
等量として、指標を定義して解析を進めた。指標をAと
し、Al,O,Nの含有量(重量%)をそれぞれ[Al],
[O],[N] で表すと次のようになる。
【0033】A=[Al]+Ao[O] +An[N] [Al],[O] ,[N] を独立変数、強度TSを従属変数と考
えて重回帰分析を行い、その結果を用いて指標Aの係数
Ao,Anを求めた。その結果、Ao=18.8、An
=24.7となった。従って、指標Aは次の式で表され
る。
【0034】 A=[Al]+18.8[O] +24.7[N] (1) 図1は、この指標Aと引張強さTS(MPa)の関係を
表す図である。図中、○印と△印は後述の実施例の合
金、●はこの発明と類似の成分系(発明の範囲外)の合
金を示す。この図より、引張強さは指標Aによく対応し
ていることがわかる。指標Aに対応する引張強さTSの
値をこの図から読み取ると、A=7.0以上でTS=7
00MPa以上となっている。また、図中の直線は、引
張強さTSと指標Aの関係を直線近似したもので、 TS=69.87A+255.78 (MPa) (2) と表すことができる。
【0035】同様に、延性に対する一種のアルミニウム
等量として、指標を定義して解析を進めた。指標をBと
すると次のようになる。
【0036】B=[Al]+Bo[O] +Bn[N] 指標Aの場合と同様に、重回帰分析の結果を用いて指標
Bの係数Bo,Bnを求めた。その結果、Bo=35.
0、Bn=36.3となった。従って、指標Bは次の式
で表される。
【0037】 B=[Al]+35.0[O] +36.3[N] (3) 図2は、この指標Bと伸びEl(%)の関係を表す図で
ある。図中、○印と△印は後述の実施例の合金、●印は
この発明と類似の成分系であるが発明の範囲外の合金を
示す。この図より、伸びElは指標Bによく対応してい
ることがわかる。指標Bに対応する伸びElの値をこの
図から読み取ると、B=16.0以下でEl=20%以
上となっている。また、図中の直線は、伸びElと指標
Bの関係を直線近似したもので、 El=−2.14B+54.35 (%) (4) と表すことができる。
【0038】図3は請求項1の合金のTS−Elバラン
スを示す図である。図中、○印と△印は後述の実施例の
合金、●印はこの発明と類似の成分系であるが発明の範
囲外の合金を示す。図中の直線は、従来技術に比べて概
略5%の伸びの向上を目標として引いた線である。但
し、高強度領域(TS:1000MPa以上)では、伸
びの差はあまり大きくないので、ここではTSが100
0MPa以下の場合について考える。
【0039】この直線よりTS−Elバランスを良くす
るために、Al,O,Nの含有量(重量%)が満足すべ
き条件を求める。まず、この直線を式で表すと、 El=−0.0313×TS+52.38 と表すことができる。図3では、この直線より上の領域
で伸びElが良好となるのであるから、この図示された
領域は、 El≧−0.0313×TS+52.38 (5) という不等式で表されることになる。
【0040】次に、この式のTSとElを、式(2)と
(4)を用いて指標A,Bで表す。すると不等式(5)
は、 −2.14B+54.35≧−2.19A+44.37 となり、両辺を整理すると、 2.19A−2.14B≧−9.98 となる。伸びのばらつきを考慮して、範囲(下限)を多
少狭めて、 2.19A−2.14B≧−9.0 (6) とする。
【0041】この不等式(6)の左辺を変数Cとし、式
(1)、(3)により、[Al],[O],[N] で表すと次の
ようになる。
【0042】C=2.19A−2.14B C=0.03[Al]− 33.73[O] − 23.59[N] (7) これより、不等式(6)は、 C≧−9.0 0.03[Al]− 33.73[O] − 23.59[N] ≧−9.0 (8) と表すことができ、良好な強度−延性バランスを得るた
めの条件が求まる。また、既述したように、引張強さT
Sを700MPa以上とするには、指標Aを7.0以上
とすればよいが、これも[Al],[O] ,[N] で表すと次の
ようになる。
【0043】A≧7.0 [Al]+18.8[O] +24.7[N] ≧7.0 (9) これらの不等式(8)と(9)とを満足する範囲内の化
学成分であれば、引張強さTSが700MPa以上で、
従来技術による合金よりもTS−Elバランスが顕著に
(伸びが5%前後以上)向上した合金が得られる。
【0044】
【実施例】
(実施例1)チタン合金を非消耗電極式アルゴンアーク
溶解により溶解した。原料には、純度99.9%のスポ
ンジチタンを用い、必要に応じて酸素量を調整するため
TiO2 を添加した。この実施例は比較的高い純度を要
求される場合を想定しており、酸素量を0.15%以下
に抑えてある。
【0045】表3は、これらの合金の化学組成を示す表
である。この表で、Aは前述の強度に対するAl等量
(指標A)、Cは式(7)で定義された変数である。表
3に示すこれらの合金は、比較的酸素量の低いものであ
り、合金No. 1〜5は請求項1に対応し、合金No. 6〜
19は請求項2に対応する。また、いずれの合金も請求
項3の範囲内の合金でもある。
【0046】これらのインゴットをβ単相域にて分塊鍛
造した後、α+β域にて板厚6mmに圧延した。次い
で、900℃で1h加熱後空冷(AC)する熱処理(再
結晶焼鈍)を施し、常温引張試験を実施した。
【0047】表4は、この引張試験の結果を示す表であ
る。発明の合金(合金No. 1〜19)は、いずれも引張
強さが700MPa以上で伸びが25%以上であり、良
好な強度−延性バランスを示している。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】(実施例2)実施例1と同様、チタン合金
を非消耗電極式アルゴンアーク溶解により溶解した。こ
の実施例でも、原料には純度99.9%のスポンジチタ
ンを用い、必要に応じて酸素量を調整するためTiO2
を添加した。この実施例は、スクラップを多量に使用
し、比較的低純度の場合を想定しており、酸素量は0.
15%以上0.25%未満の範囲となっている。これ
は、チタンスクラップを60から80%使用したことに
相当する。
【0051】表5は、これらの合金の化学組成を示す表
である。記号その他は表3に同じである。これらの合金
は、チタンスクラップを多量に用いた場合を想定してい
るので比較的酸素量の高い。ここで、合金No. 20〜2
4は請求項1に対応し、合金No. 25〜40は請求項2
に対応する。また、合金No. 41〜44の合金は請求項
1又は請求項2には対応しているが、請求項3の範囲か
らは外れている合金である。合金No. 45、46の合金
は、この発明の化学成分の範囲から外れている合金であ
る。
【0052】これらのインゴットをβ単相域にて分塊鍛
造(分塊圧延)した後、α+β域にて板厚6mmに圧延
した。その後、900℃で1h加熱して空冷(AC)す
る熱処理(再結晶焼鈍)を施し、常温引張試験を実施し
た。
【0053】表6は、引張試験の結果を示す表である。
合金No. 20〜40の合金は請求項3の範囲内であり、
これらはいずれも引張強さが800〜900MPaで伸
びが25%以上、同900MPa以上でも伸びが20%
以上であり、良好な強度−延性バランスを示している。
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】図4は、この発明の合金と従来技術の合金
の強度−延性バランスを示す図である。図中、○印と△
印は実施例、●印は比較例、■印は従来技術、□印は
従来技術の合金をそれぞれ示す。図から両者の特性差
は明らかであり、発明の合金は、従来技術およびと
比較して優れた強度−延性バランスを有していることが
わかる。このように、この発明では、原料としてチタン
又はチタン合金のスクラップを多量に使用した場合で
も、良好な強度−延性バランスが得られる。これに対し
て従来技術およびに示す合金は強度が不足している
か、または強度−延性バランスにおいて優位性が認めら
れない。
【0057】更に、実施例の中で○印の合金は、請求項
1又は請求項2の範囲内であると同時に請求項3の範囲
内でもあり、Al,O,Nの含有量をこの発明が提供す
る関係で制御することにより、従来技術や比較例の合金
に比べて顕著に優れた強度−延性バランスが得られるこ
とがわかる。
【0058】
【発明の効果】この発明は、AlとFe又は更にMnと
Crを適切に添加し、その他の化学成分を所定の量に限
定することにより、強度−延性バランスの良好なチタン
合金が得られる。
【0059】更に、強度と延性に及ぼすAl,Oおよび
Nの影響を明らかにし、これらの間で満たすべき関係を
提案することにより、強度−延性バランスの優れたチタ
ン合金が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の指標Aと引張強さTS(MPa)の関係
を表す図。
【図2】発明の指標Bと伸びEl(%)の関係を表す
図。
【図3】発明の合金の強度−延性バランスを示す図。
【図4】発明の合金と従来技術の合金の強度−延性バラ
ンスを示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新倉 正和 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学組成が重量%で、N:0.05〜
    0.15%、O:0.25%以下、Al:0.5〜6.
    0%、Fe:0.5〜1.5%であり、残部がTiおよ
    び不可避的不純物からなる高強度・高延性チタン合金。
  2. 【請求項2】 化学組成が重量%で、N:0.05〜
    0.15%、O:0.25%以下、Al:0.5〜6.
    0%、Fe:0.5〜1.5%、CrおよびMnのうち
    少なくとも一種以上を含有し、かつ、Fe,Crおよび
    Mnの合計が4%以下であり、残部がTiおよび不可避
    的不純物からなる高強度・高延性チタン合金。
  3. 【請求項3】 化学組成のうちAl,O,Nの含有量
    (重量%)が、2つの不等式 [Al]+18.8[O] +24.7[N] ≧7.0 および 0.03[Al]− 33.73[O] − 23.59[N] ≧− 9.0 を満足する範囲内にあることを特徴とする請求項1又は
    請求項2の高強度・高延性チタン合金。但し、[Al],
    [O] ,[N] は、Al,O,Nの含有量(重量%)をそれ
    ぞれ表す。
JP6212385A 1994-09-06 1994-09-06 高強度・高延性チタン合金 Expired - Lifetime JP3052746B2 (ja)

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