JPH0873269A - セラミック焼結体およびその製造方法 - Google Patents

セラミック焼結体およびその製造方法

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JPH0873269A
JPH0873269A JP6207609A JP20760994A JPH0873269A JP H0873269 A JPH0873269 A JP H0873269A JP 6207609 A JP6207609 A JP 6207609A JP 20760994 A JP20760994 A JP 20760994A JP H0873269 A JPH0873269 A JP H0873269A
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JP
Japan
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silicon nitride
sialon
sintered body
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ceramic sintered
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Application number
JP6207609A
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English (en)
Inventor
Yusuke Okamoto
本 裕 介 岡
Yoshio Akimune
宗 淑 雄 秋
Naoto Hirosaki
崎 尚 登 広
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 靭性および耐摩耗性に優れた軽量なセラミッ
ク焼結体を提供する。 【構成】 焼成後にα−サイアロン相を発現する粉末を
平均粒径15μm以上150μm以下の顆粒状にしたα
−サイアロン原料造粒体と、窒化ケイ素粉末に焼結助剤
を混合した窒化ケイ素質原料粉末もしくはこの窒化ケイ
素質原料粉末を平均粒径150μm以下の顆粒状にした
窒化ケイ素質原料造粒体とを混合して焼成することによ
り、焼結体が、α−サイアロン多結晶のみから構成され
るα−サイアロン粒子群1の領域と、窒化ケイ素から構
成される窒化ケイ素粒子群2の領域を有する複合構造を
持ち、2次元断面より求めた等価円直径で表わされる平
均径が10μm以上100μm以下のα−サイアロン粒
子群1が窒化ケイ素粒子群2のマトリックス中にα−サ
イアロン粒子群1の面積が全断面積の10面積%以上4
0面積%以下の範囲で分散した微構造を有する靭性およ
び耐摩耗性に優れたセラミック焼結体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミック焼結体およ
びその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、
硬度が高く靭性と耐摩耗性が共に優れ、切削用工具など
に好適に使用される靭性および耐摩耗性に優れたセラミ
ック焼結体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】α−サイアロンは、窒化ケイ素(Si
)結晶中のSi,N原子の一部がAl,Oで置換さ
れ、さらに、結晶を構成する原子間の空隙に固溶金属元
素が侵入型固溶した構造を有するものであって、セラミ
ック焼結体の中でも特に高い硬度を有しており、研削材
料や耐摩耗材料として使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、α−サ
イアロンは、上記のように高い硬度を有しており、研削
性や耐摩耗性に優れているものの、靭性が低いため破壊
に至りやすく、実用材としては使いにくい面があったこ
とから、このような靭性が低いという欠点を改善するこ
とが課題であった。
【0004】
【発明の目的】本発明は、上記した従来の課題にかんが
みてなされたものであって、窒化ケイ素をマトリックス
とし、その中にα−サイアロン多結晶から構成される第
2相(粒子群)を分散させることにより、靭性を確保し
つつかつ硬度が高く、靭性および耐摩耗性の両方共に優
れているセラミック材料を提供することを目的としてい
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる靭性およ
び耐摩耗性に優れたセラミック焼結体は、請求項1に記
載しているように、窒化ケイ素とα−サイアロンの複合
構造を持つセラミック焼結体において、α−サイアロン
多結晶から構成されるα−サイアロン粒子群の領域と、
窒化ケイ素から構成される窒化ケイ素粒子群の領域を有
する複合構造を持ち、2次元断面より求めた等価円直径
で表わされる平均径が10μm以上100μm以下のα
−サイアロン粒子群が窒化ケイ素粒子群のマトリックス
中に分散した微構造を有する構成としたことを特徴とし
ている。
【0006】そして、本発明係わる靭性および耐摩耗性
に優れたセラミック焼結体の実施態様にあっては、請求
項2に記載しているように、焼結体の切断面において、
α−サイアロン粒子群の面積が全断面積の10面積%以
上40面積%以下であるものとすることができる。
【0007】本発明に係わる靭性および耐摩耗性に優れ
たセラミック焼結体の製造方法は、請求項3に記載して
いるように、焼成後にα−サイアロン相を発現する粉末
を平均粒径15μm以上150μm以下の顆粒状にした
α−サイアロン原料造粒体と、窒化ケイ素粉末に焼結助
剤を混合した窒化ケイ素質原料粉末もしくはこの窒化ケ
イ素質原料粉末を平均粒径150μm以下の顆粒状にし
た窒化ケイ素質原料造粒体とを混合し、請求項1または
2のいずれかの組織が発現するまで焼成する構成とした
ことを特徴としている。
【0008】そして、本発明に係わる靭性および耐摩耗
性に優れたセラミック焼結体の製造方法の実施態様にお
いては、請求項4に記載しているように、α−サイアロ
ン相を発現する粉末が窒化ケイ素、窒化アルミニウムお
よび固溶金属元素化合物の混合物であるものとすること
ができ、モル比で窒化ケイ素8−3X、窒化アルミニウ
ム9X、固溶金属元素化合物(酸化物)Xで表わされる
割合において0<X≦2の混合物であるものとすること
ができ、また、請求項5に記載しているように、窒化ケ
イ素粉末に混合する焼結助剤が周期律表第IIIa族元
素の酸化物,酸化アルミニウム,酸化マグネシウム,酸
化カルシウム,酸化ジルコニウム,窒化アルミニウムの
うちから選ばれる1種または2種以上の酸化物または窒
化物であるものとすることができる。
【0009】同じく、本発明に係わる靭性および耐摩耗
性に優れたセラミック焼結体の製造方法の実施態様にお
いては、請求項6に記載しているように、焼成温度が1
700℃以上2000℃以下であるようになすことがで
き、請求項7に記載しているように、焼成方法がホット
プレスであるものとしたり、請求項8に記載しているよ
うに、焼成方法がガス圧焼成であるものとしたり、請求
項9に記載しているように、焼成方法が熱間静水圧プレ
スであるものとしたりすることができる。
【0010】
【発明の作用】本発明に係わるセラミック焼結体は、請
求項1に記載しているように、窒化ケイ素とα−サイア
ロンの複合構造を持つセラミック焼結体において、焼結
体が、α−サイアロン多結晶のみから構成される領域
(α−サイアロン粒子群と呼ぶ)と、窒化ケイ素から構
成される領域(窒化ケイ素粒子群と呼ぶ)を有する複合
構造を持ち、平均径(2次元断面より求めた等価円直
径)が10μm以上100μm以下のα−サイアロン粒
子群が窒化ケイ素粒子群のマトリックス中に分散した微
構造を有する構成としたことにより、靭性を良好なもの
に確保したうえで硬度の向上を図りうるものとなってお
り、硬度の向上によって耐摩耗性が良好なものとなる。
【0011】図1は、本発明に係わる靭性および耐摩耗
性に優れたセラミック焼結体の組織を模式的に示すもの
であって、平均径が10μm以上100μm以下の大き
さのα−サイアロン粒子群1が窒化ケイ素粒子群2のマ
トリックス中に分散した焼結体の組織を有するものとな
っている。
【0012】本発明に係わる靭性および耐摩耗性に優れ
たセラミック焼結体では、分散相として添加するα−サ
イアロンを、通常の単一粒子ではなく、適当な大きさを
持ったα−サイアロン粒子群1として、このα−サイア
ロン粒子群1を窒化ケイ素粒子群2のマトリックス中に
分散させるようにしている。そして、焼結体のマクロな
硬度は高硬度分散相の大きさに依存し、大きいものほど
硬度が高くなることから従来のものに比べて硬度が向上
したものとなる。
【0013】このような粒子群が分散した材料を製造す
るに際しては、分散相の原料を予め顆粒状に造粒し、こ
れをマトリックス相の原料と混合して焼成する方法を採
用するのが簡便である。
【0014】そして、例えば、請求項3に記載している
ように、焼成後にα−サイアロン相を発現する粉末を平
均粒径15μm以上150μm以下の顆粒状にしたα−
サイアロン原料造粒体と、窒化ケイ素粉末に焼結助剤を
混合した窒化ケイ素質原料粉末もしくはこの窒化ケイ素
質原料粉末を平均粒径150μm以下の顆粒状にした窒
化ケイ素質原料造粒体とを混合し、請求項1または2の
いずれかの組織が発現するまで焼成する方法を採用する
ことが可能である。
【0015】顆粒を製造する方法としては、凝集してい
る原料粉末をほぐしてふるいで分級する方法を採用する
ことができ、また、スプレードライヤーなどによって造
粒したものを用いてもよい。
【0016】この場合、分散相となるα−サイアロン相
を発現する原料造粒体の大きさは15μm以上150μ
m以下とするのが適当であり、焼結体の組織中において
はα−サイアロン粒子群の平均径が10μm以上100
μm以下となるようにするのがよい。この場合、平均径
が小さすぎると硬度の向上作用が十分でなく、大きすぎ
ると靭性の低下を招く傾向となる。
【0017】一方、マトリックス相となる窒化ケイ素質
原料は、分散相と同様に造粒してから造粒体の状態で加
えてもよく、また、粒径が1〜3μm程度の粉末の状態
で加えてもよいが、造粒体の状態で加える場合には窒化
ケイ素質原料造粒体の大きさは150μm以下に留める
のがよい。すなわち、造粒体が大きすぎるとα−サイア
ロン粒子群の分散が不均一となり、局所的に硬度の低い
領域が発生する傾向となるためである。
【0018】この窒化ケイ素質原料造粒体もしくは窒化
ケイ素原料粉末と、α−サイアロン原料造粒体の混合割
合は、重量比で、6:4ないし9:1程度とするのがよ
く、請求項2に記載しているように、焼結体の切断面に
おいてα−サイアロン粒子群の占める面積が全断面積の
10面積%以上40面積%以下とするようにするのがよ
い。この場合、α−サイアロン粒子群の割合が低いと硬
度が向上せず、耐摩耗性や工具として用いた場合の研削
性が向上しがたい傾向となり、α−サイアロン粒子群の
割合が高いと靭性が低くなる傾向となるためである。
【0019】焼結を容易にするために、原料となる窒化
ケイ素粉末には焼結助剤を添加する。この窒化ケイ素粉
末に添加する焼結助剤としては、請求項5に記載してい
るように、周期律表第IIIa族元素の酸化物,酸化ア
ルミニウム,酸化マグネシウム,酸化カルシウム,酸化
ジルコニウム,窒化アルミニウムのうちから選ばれる1
種または2種以上の酸化物または窒化物を用いることが
できる。
【0020】α−サイアロンは、窒化ケイ素(Si
)結晶中のSi,N原子の一部がAl,Oで置換さ
れ、さらに結晶を構成する原子間の空隙にイットリウム
などの固溶金属元素が侵入型固溶したものである。この
固溶金属元素としては、イットリウムのほか、マグネシ
ウム,リチウム,カルシウム,あるいはランタン,セリ
ウムを除くランタノイド元素を用いることができる。
【0021】そして、焼成後にα−サイアロンを発現す
る粉末としては、請求項4に記載しているように、窒化
ケイ素、窒化アルミニウムおよび固溶金属元素化合物の
混合物を用いることができ、例えば、モル比で窒化ケイ
素8−3X,窒化アルミニウム9X,固溶金属元素化合
物Xで表わされる割合において0<X≦2の混合物であ
るもの用いることができる。
【0022】原料造粒体の混合粉末を所期の形状に成形
する方法は、従来の窒化ケイ素質セラミック製品と同様
の方法をそのまま適用できる。また、焼成はホットプレ
ス法のほか、ガス圧焼成法、熱間静水圧プレス等の方法
を用いることができ、焼成温度は、請求項6に記載して
いるように、1700℃以上2000℃以下、望ましく
は1800℃以上1900℃以下が適当である。そし
て、温度が低い場合は焼成が進まず、高い場合は焼結体
中に鬆やクラックが入るため、1700℃以上2000
℃以下とすることが望ましい。
【0023】焼成方法において、単純形状品の場合は、
請求項7に記載しているようなホットプレス法が比較的
適している。この場合は、原料混合体を黒鉛型に入れ、
1気圧以上100気圧以下の窒素雰囲気中で、5MPa
以上50MPa以下の加圧力で一軸加圧する。ここで、
雰囲気圧力が1気圧未満では原料の熱分解が起こり、1
00気圧超過では焼結体中に気孔が残る傾向となるので
好ましくなく、加圧力が5MPa未満では緻密化促進の
効果が小さく、50MPa超過では黒鉛型との反応が起
こり製品の取り出しが難しくなる傾向となるので好まし
くない。
【0024】複雑形状品の場合、あるいは大量生産品の
場合には、請求項8に記載しているように、ガス圧焼成
法が適している。この場合、焼成は1気圧以上500気
圧以下の窒素ガス雰囲気中で行うのが良く、1気圧未満
では原料の熱分解が起こり、500気圧超過では高圧の
ガス焼結体中に閉じ込められ焼結性が低下する傾向とな
る。
【0025】さらに、請求項9に記載している熱間静水
圧プレスは製造コストが高くなるものの、複雑形状品に
も対応できかつまた得られる製品が特性に優れるものと
なる特長がある。この熱間静水圧プレスには、成形体を
ガラスなどのガスを通さず熱で軟化するカプセルに封入
し雰囲気ガスで加圧して焼成する方法と、相対密度95
%以上になるまで予備焼成しその後加圧して焼成する方
法があり、いずれの方法を用いてもよい。圧力媒体とな
る雰囲気の圧力は100気圧以上2000気圧以下とす
るのが適当で、100気圧未満では緻密化促進の効果が
小さく、2000気圧超過では装置の取り扱いが煩雑と
なる傾向となるので好ましくない。また、予備焼成での
到達密度が95%未満であると、プレス中に雰囲気ガス
が侵入して緻密化が阻害される傾向となる。
【0026】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳細に説明す
る。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0027】実施例1 平均粒径約1.5μmの窒化ケイ素粉末に、焼結助剤と
して2重量%の酸化ネオジムと3重量%の酸化イットリ
ウムを添加し、エタノールを用いた湿式ボールミルによ
って約100時間混合した後ロータリーエバポレータに
よって乾燥した。この乾燥粉末を乳鉢で適宜ほぐした
後、ふるいを用いた分級によって直径38μm以上90
μm以下の範囲の窒化ケイ素質原料造粒体を抽出した。
この窒化ケイ素質原料造粒体の平均粒径をレーザ回折法
で測定したところ60μmであった。
【0028】一方、平均粒径約1.5μmの窒化ケイ素
粉末に、14重量%の酸化イットリウム粉末と23重量
%の窒化アルミニウム粉末を添加し、同様にエタノール
を用いた湿式ボールミルによって約100時間混合した
後ロータリーエバポレータによって乾燥した。この乾燥
粉末についても適宜ほぐした後、ふるいを用いた分級に
よって直径38μm以上90μm以下の範囲のα−サイ
アロン原料造粒体を抽出した。このα−サイアロン原料
造粒体の平均粒径は57μmであった。
【0029】次に、この窒化ケイ素質原料造粒体とα−
サイアロン原料造粒体とを、重量比で約75:25とな
るように調合し、さらに粒を破壊しないように注意しな
がらV型ブレンダーによって十分に混合し、この混合粉
末を断面寸法が40×50mmの黒鉛型に入れ、圧力2
00kgf/cmのホットプレス(表ではHPと表わ
す)により1800℃で2時間の焼成を行った。
【0030】このようにして得られた焼結体から3×4
×約40mmの直方体を切り出し、表面を研磨して日本
工業規格R−1607に規定される方法に基づいて破壊
靭性値を測定した。さらに、焼結体から一辺約3mmの
立方体を切り出し、表面を鏡面に研磨した後、酸素を7
%含有した四弗化炭素ガスによるプラズマエッチングを
施し、走査型電子顕微鏡によって焼結体の組織を観察し
た。また、研磨面を微分干渉顕微鏡で観察し、α−サイ
アロン粒子群の大きさを調べるにあたり、α−サイアロ
ン粒子群の形状を球と仮定して2次元断面から等価直径
(d=2(S/π)1/2;Sは粒子群の面積,πは円
周率)を決定した。
【0031】また、同じ原料造粒体を断面φ40mmの
黒鉛型に入れ、同様に圧力200kgf/cmのホッ
トプレスにより1800℃で2時間の焼成を行い、直径
約40mmで厚さ約10mmの円盤状の焼結体を得たの
ち、この焼結体の片面を研磨し、耐摩耗性評価用の試験
片とした。
【0032】そして、耐摩耗性についてはボールオンデ
ィスク法による試験を行って評価した。この評価に用い
た試験装置の構成は図2に示す通りであって、円盤状の
焼結体による試験片3の中心から15mmの位置に直径
10mmの鋼球4を10Nの荷重で押しつけ、試験片3
を矢印A方向に毎分167回の割合で5000秒間回転
軸5を中心にして回転させ、試験片3に形成された摩耗
溝6の深さと幅から摩耗体積を求めた。
【0033】この焼結体の諸特性を表の実施例1の欄に
示すが、靭性は5.0MPa√m以上、摩耗体積は0.
25mm以下となっており、従来のα−サイアロン焼
結体に比べて靭性がかなり向上していて、靭性と耐摩耗
性に優れたセラミック焼結体であることが認められた。
【0034】実施例2〜33 さらに他の実施例を併せて説明するが、以下の実施例お
よび比較例において、特に断った部分の他は実施例1と
同様にして行っている。そして、表中の焼成方法の欄
で、HPはホットプレス法、GPSはガス圧焼成法、H
IPは熱間静水圧プレス法をそれぞれ採用したことを表
わしている また、α−サイアロンは、一般式、 M(Si,Al)12(N,O)16 Mは固溶金属
元素 と表わされるが、この式中におけるxの値を表中に併せ
て示した。そして、得られた焼結体の有効性の判断基準
は、破壊靭性5MPa√m以上、摩耗体積0.25mm
以下とした。
【0035】実施例2〜6 実施例2から6までは、粉末分級時においてふるいの目
を変えることによって、α−サイアロン原料造粒体の大
きさを調整し、焼結体組織中のα−サイアロン粒子群の
大きさを変えた場合を示すものである。以下、特に断ら
ないかぎり、各実施例および比較例において、造粒体の
粒径の調整はふるい分級の目を変えて行っている。
【0036】表に示すように、実施例2〜6ではいずれ
も破壊靭性値5.0MPa√m以上、摩耗体積0.25
mm以下となっていて、従来のα−サイアロン焼結体
に比べて靭性がかなり向上していて、靭性と耐摩耗性に
優れたセラミック焼結体であることが認められた。
【0037】実施例7〜9 実施例7から9までは、原料である窒化ケイ素質造粒体
とα−サイアロン造粒体の混合割合を変えることによっ
て、切断面におけるα−サイアロン粒子群の面積割合を
変えた場合を示すものであって、この範囲ではいずれも
靭性と耐摩耗性に優れたセラミック焼結体であることが
認められた。
【0038】実施例10〜13 実施例10から13までは、窒化ケイ素質原料造粒体の
大きさを変えた場合、もしくは造粒せずに粉末をそのま
ま用いた場合を示すものであって、いずれの焼結体も靭
性と耐摩耗性に優れたものであることが認められた。
【0039】実施例14〜19 実施例14から19までは、窒化ケイ素質原料造粒体中
の添加助剤成分を変えた場合を示すものであって、いず
れの焼結体も靭性と耐摩耗性に優れたものであることが
認められた。
【0040】実施例20,21 実施例20,21は、α−サイアロンの組成パラメータ
xの値を変えた場合を示すものであって、いずれの焼結
体も靭性と耐摩耗性に優れたものであることが認められ
た。
【0041】実施例22,23 実施例22,23は、焼成温度を変えてホットプレスを
行った場合を示すものであって、いずれの焼結体も靭性
と耐摩耗性に優れたものであることが認められた。
【0042】実施例24〜28 実施例24から28までは、焼成をガス圧焼成法によっ
た場合を示すものであって、それぞれ焼成温度を変えた
場合を示している。そして、ここで使用する焼結助剤も
ガス圧焼成法に適したものとして酸化アルミニウムと酸
化イットリウムとの組み合わせとした。この実施例24
から28までにおいては、原料造粒体の混合物を準備す
るまでは実施例1と同様に行った後、この混合物を金型
で圧粉して約5×5×60mmの直方体に成形し、圧力
400MPaで冷間静水圧プレスを施してグリーン体を
得た。また、同じ混合物をやはり金型で圧粉したのち圧
力400MPaの冷間静水圧プレスを施して直径約50
mm×厚さ約15mmのグリーン体とした。
【0043】次いで、この前者および後者の2種類のグ
リーン体を10MPaの窒素雰囲気中において実施例2
4〜28毎にそれぞれ1750℃,1800℃,185
0℃,1900℃,1950℃で6時間焼成し、前者の
試験片を破壊靭性の測定に供し、後者の試験片を耐摩耗
性評価の試験に供した。各試験片の評価方法は実施例1
と同様であって、表に示すように、いずれの焼結体も靭
性と耐摩耗性に優れたものであることが認められた。
【0044】実施例29,30 実施例29,30は、熱間静水圧プレス法によって焼成
した場合を示すものである。この実施例29,30で
は、実施例24と同様の方法でグリーン体を作製した
後、ガス圧焼成法によって1800℃で2時間の予備焼
成を行い、これを圧力100MPaの窒素雰囲気中にお
いて実施例29,30毎に1800℃,1900℃で2
時間焼成して焼結体を得た。この結果、いずれの焼結体
においても靭性と耐摩耗性に優れたものであることが認
められた。
【0045】実施例31〜33 実施例31から33までは、α−サイアロン中の固溶金
属元素の種類を変えた場合を示すもので、従来のα−サ
イアロン単体の場合よりも靭性に優れたものとなってお
り、いずれの焼結体も靭性と耐摩耗性に優れたものであ
ることが認められた。
【0046】比較例1 比較例1は、α−サイアロン原料造粒体を加えることな
く、窒化ケイ素質造粒体のみを実施例1と同様のホット
プレス(HP)によって焼結したものであって、窒化ケ
イ素マトリックス中にα−サイアロン粒子群が分散して
いないものであって、耐摩耗性に劣るものとなってい
た。
【0047】比較例2 比較例2は、α−サイアロン原料造粒体の平均粒径が小
さすぎるために、マトリックス中に分散するα−サイア
ロン粒子群が小さすぎる場合を示すものであって、この
ため硬度が高くならず耐摩耗性が低下したものとなって
いた。
【0048】比較例3,4 比較例3,4は、α−サイアロン原料造粒体の平均粒径
が大きすぎたために、マトリックス中に分散するα−サ
イアロン粒子群が大きすぎる場合を示すものであって、
耐摩耗性には優れているものの靭性が低下したものとな
っていた。
【0049】比較例5 比較例5は、α−サイアロン原料造粒体の配合割合が少
なかったため、マトリックス中に分散するα−サイアロ
ン粒子群の比率が小さい場合を示すものであって、靭性
には優れているものの耐摩耗性には劣ったものとなって
いた。
【0050】比較例6,7 比較例6,7は、α−サイアロン原料造粒体の配合割合
が多かったために、マトリックス中に分散するα−サイ
アロン粒子群の比率が大きい場合を示すものであって、
耐摩耗性には優れているものの靭性に劣ったものとなっ
ていた。
【0051】比較例8,9 比較例8,9は、添加した窒化ケイ素質原料造粒体が大
きすぎる場合を示すものであって、このため靭性が低下
したものとなっていた。
【0052】比較例10,11,13,15 比較例10,11,13,15では、焼成温度が低いた
め焼結が十分でなく、靭性および耐摩耗性の両方共が劣
ったものとなっていた。
【0053】比較例12,14,16 比較例12,14,16は、焼成温度が高すぎる場合を
示すものであって、大型のポアが焼結体中に入るため耐
摩耗性および靭性が悪化しているものとなっていた。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】
【表11】
【0065】
【発明の効果】本発明に係わるセラミック焼結体は、請
求項1に記載しているように、窒化ケイ素とα−サイア
ロンの複合構造を持つセラミック焼結体において、α−
サイアロン多結晶から構成されるα−サイアロン粒子群
の領域と、窒化ケイ素から構成される窒化ケイ素粒子群
の領域を有する複合構造を持ち、2次元断面より求めた
等価円直径で表わされる平均径が10μm以上100μ
m以下のα−サイアロン粒子群が窒化ケイ素粒子群のマ
トリックス中に分散した微構造を有する構成としたもの
であるから、靭性を良好なものに確保したうえで硬度の
向上を実現することが可能であり、硬度の向上によって
耐摩耗性をさらに良好なものとすることが可能であるの
で、靭性と耐摩耗性の両方共に優れたセラミック焼結体
を提供することが可能であるという著しく優れた効果が
もたらされる。
【0066】そして、本発明に係わる靭性および耐摩耗
性に優れたセラミック焼結体の実施態様では、請求項2
に記載しているように、焼結体の切断面において、α−
サイアロン粒子群の面積が全断面積の10面積%以上4
0面積%以下であるものとすることによって、靭性の確
保と硬さの向上とがバランスよくなされることとなり、
靭性および耐摩耗性とがバランスよく優れたセラミック
焼結体を提供することが可能であるというより一層優れ
た効果がもたらされる。
【0067】本発明に係わる靭性および耐摩耗性に優れ
たセラミック焼結体の製造方法は、請求項3に記載して
いるように、焼成後にα−サイアロン相を発現する粉末
を平均粒径15μm以上150μm以下の顆粒状にした
α−サイアロン原料造粒体と、窒化ケイ素粉末に焼結助
剤を混合した窒化ケイ素質原料粉末もしくはこの窒化ケ
イ素質原料粉末を平均粒径150μm以下の顆粒状にし
た窒化ケイ素質原料造粒体とを混合し、請求項1または
2のいずれかの組織が発現するまで焼成するようしたか
ら、請求項1または2に記載された靭性および耐摩耗性
に優れたセラミック焼結体を容易に製造することが可能
であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0068】そして、本発明に係わる靭性および耐摩耗
性に優れたセラミック焼結体の製造方法の実施態様にお
いては、請求項4に記載しているように、α−サイアロ
ン相を発現する粉末が窒化ケイ素、窒化アルミニウムお
よび固溶金属元素化合物の混合物であるものとすること
によって、焼結後においてα−サイアロン相をより一層
確実に発現させることが可能であり、請求項5に記載し
ているように、窒化ケイ素粉末に混合する焼結助剤が周
期律表第IIIa族元素の酸化物,酸化アルミニウム,
酸化マグネシウム,酸化カルシウム,酸化ジルコニウ
ム,窒化アルミニウムのうちから選ばれる1種または2
種以上の酸化物または窒化物であるものとすることによ
って、窒化ケイ素質焼結体の焼結がより一層良好に行わ
れることとなり、窒化ケイ素粒子群のマトリックスの靭
性を良好なものとすることが可能である。
【0069】本発明に係わる靭性および耐摩耗性に優れ
たセラミック焼結体の実施態様においては、請求項6に
記載しているように、焼成温度が1700℃以上200
0℃以下であるものとすることによって、焼結を良好に
行うことが可能となって焼結体の靭性および耐摩耗性を
より一層向上させることが可能となり、請求項7に記載
しているように、焼成方法がホットプレスであるものと
することによって、単純形状品のセラミック焼結体の製
造に適したものとなり、請求項8に記載しているよう
に、焼成方法がガス圧焼成であるものとすることによっ
て、複雑形状品あるいは大量生産品のセラミック焼結体
の製造に適したものとなり、請求項9に記載しているよ
うに、焼成方法が熱間静水圧プレスであるものとするこ
とによって、複雑形状品に対応することができると共に
特性に優れたセラミック焼結体の製造に適したものとな
るという優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる靭性および耐摩耗性に優れたセ
ラミック焼結体の組織を説明する模式図である。
【図2】耐摩耗性評価試験の方法を説明する斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 α−サイアロン粒子群 2 窒化ケイ素粒子群
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/58 102 R 102 J

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化ケイ素とα−サイアロンの複合構造
    を持つセラミック焼結体において、α−サイアロン多結
    晶から構成されるα−サイアロン粒子群の領域と、窒化
    ケイ素から構成される窒化ケイ素粒子群の領域を有する
    複合構造を持ち、2次元断面より求めた等価円直径で表
    わされる平均径が10μm以上100μm以下のα−サ
    イアロン粒子群が窒化ケイ素粒子群のマトリックス中に
    分散した微構造を有することを特徴とする靭性および耐
    摩耗性に優れたセラミック焼結体。
  2. 【請求項2】 焼結体の切断面において、α−サイアロ
    ン粒子群の面積が全断面積の10面積%以上40面積%
    以下であることを特徴とする請求項1に記載の靭性およ
    び耐摩耗性に優れたセラミック焼結体。
  3. 【請求項3】 焼成後にα−サイアロン相を発現する粉
    末を平均粒径15μm以上150μm以下の顆粒状にし
    たα−サイアロン原料造粒体と、窒化ケイ素粉末に焼結
    助剤を混合した窒化ケイ素質原料粉末もしくはこの窒化
    ケイ素質原料粉末を平均粒径150μm以下の顆粒状に
    した窒化ケイ素質原料造粒体とを混合し、請求項1また
    は2のいずれかの組織が発現するまで焼成することを特
    徴とする靭性および耐摩耗性に優れたセラミック焼結体
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 α−サイアロン相を発現する粉末が窒化
    ケイ素、窒化アルミニウムおよび固溶金属元素化合物の
    混合物であることを特徴とする請求項3に記載の靭性お
    よび耐摩耗性に優れたセラミック焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 窒化ケイ素粉末に混合する焼結助剤が周
    期律表第IIIa族元素の酸化物,酸化アルミニウム,
    酸化マグネシウム,酸化カルシウム,酸化ジルコニウ
    ム,窒化アルミニウムのうちから選ばれる1種または2
    種以上の酸化物または窒化物であることを特徴とする請
    求項3または4に記載の靭性および耐摩耗性に優れたセ
    ラミック焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 焼成温度が1700℃以上2000℃以
    下であることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか
    に記載の靭性および耐摩耗性に優れたセラミック焼結体
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 焼成方法がホットプレスであることを特
    徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の靭性およ
    び耐摩耗性に優れたセラミック焼結体の製造方法。
  8. 【請求項8】 焼成方法がガス圧焼成であることを特徴
    とする請求項3ないし6のいずれかに記載の靭性および
    耐摩耗性に優れたセラミック焼結体の製造方法。
  9. 【請求項9】 焼成方法が熱間静水圧プレスであること
    を特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の靭性
    および耐摩耗性に優れたセラミック焼結体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100472002B1 (ko) * 2000-08-24 2005-03-07 재단법인 포항산업과학연구원 다공성 산질화규소 요업체의 제조방법

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KR100472002B1 (ko) * 2000-08-24 2005-03-07 재단법인 포항산업과학연구원 다공성 산질화규소 요업체의 제조방법

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