JPH0873206A - 硫酸の精製方法 - Google Patents

硫酸の精製方法

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JPH0873206A
JPH0873206A JP23245594A JP23245594A JPH0873206A JP H0873206 A JPH0873206 A JP H0873206A JP 23245594 A JP23245594 A JP 23245594A JP 23245594 A JP23245594 A JP 23245594A JP H0873206 A JPH0873206 A JP H0873206A
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昭 中田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 硫酸中の過酸化水素をより簡便かつ経済的に
除去できる硫酸の精製方法を提供する。 【構成】 過酸化水素を含有する硫酸を、硫黄の存在下
で加熱して含有過酸化水素を分解除去するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硫酸中に含まれる過酸
化水素を分解除去する硫酸の精製方法に関し、特に、半
導体製造工程におけるフォトレジストの除去に使用され
た過酸化水素含有廃硫酸から硫酸を回収するための前処
理として行う過酸化水素の除去に有用な方法である。
【0002】
【従来技術】半導体製造工程でフォトレジストの除去に
使用された過酸化水素を含む廃硫酸の再生方法、即ち、
電子工業用グレードの濃硫酸回収方法については種々の
研究が行われている。例えば、特開平5−139707
号には、フォトレジストの除去に使用された廃硫酸をイ
オン交換膜電解により精製濃縮すると共に、過酸化水素
を生成させて再利用する方法が記載されている。また、
特公平4−24283号には、二酸化硫黄により過酸化
水素を還元除去した後、イオン交換膜を用いた拡散透析
により精製硫酸を得る方法が記載されている。この方法
では、拡散透析膜の劣化を防ぐために予め過酸化水素を
除去するものである。
【0003】なお、種々の化学工業分野で排出される廃
硫酸からの硫酸回収方法には、「ヘミーバウプロセス」
のような燃焼法が、通常実施されている。しかし、半導
体製造工程におけるフォトレジスト除去に使用された廃
硫酸には、過酸化水素の他に、過酸化水素と硫酸との平
衡反応により生じた一過硫酸、二過硫酸などの過硫酸が
存在するため、燃焼法により通常の工業廃硫酸と同様に
処理しにくい。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】前述のような半導体
製造工程で生じる廃硫酸の精製又は再生利用方法は、強
力な酸化力を有する過酸化水素含有硫酸に十分に耐え得
る実用的な膜が未だ開発されていない。また、精製硫酸
の純度を含め種々の問題点があり、工業的に十分満足で
きる方法とはいえない。
【0005】本発明者らは、以上の背景から、半導体製
造工程から排出される過酸化水素を含む廃硫酸を、一般
的な硫酸回収方法である燃焼法の原料として使用できる
よう、含有される過酸化水素の簡便な除去法について種
々検討してきた。硫酸中の過酸化水素の除去法として
は、前述のように、二酸化硫黄による方法等が知られて
いるが、本発明者らは更に簡便で経済的な方法を探索し
た。その結果、硫酸−過酸化水素の混合液中に過硫酸と
して存在する過酸化水素分を含め全過酸化水素分の分解
に、硫黄が触媒として作用することを見い出し本発明を
完成するに至った。なお、本発明の説明において、過酸
化水素分とは、過酸化水素以外に、遊離の過酸化水素と
共に存在する一過硫酸や二過硫酸の過硫酸も含む意味で
用いる。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明に係る硫酸の精
製方法は、過酸化水素を含有する硫酸を硫黄の存在下で
加熱して含有過酸化水素を分解除去するものであり、こ
れによって、例えば、半導体製造工程におけるフォトレ
ジストの除去に使用された廃硫酸等の過酸化水素含有硫
酸を、燃焼法による硫酸回収の原料として経済的に用い
ることができる。以上の本発明は、過酸化水素を含有す
る硫酸を硫黄の存在下で加熱すると、過酸化水素及び一
過硫酸及び二過硫酸として存在する過酸化水素分が、酸
素を発生してその分解が促進されることを知見し、達成
されたものである。この分解反応において、硫黄は専ら
触媒として作用するので、その量は極めて少量でよい。
【0007】ここで、本発明方法は、例えば、半導体製
造工程で使用された廃硫酸から電子工業用グレードの硫
酸を回収する処理工程の一部として組み込まれたり、ま
た、過剰の過酸化水素で脱色精製した濃硫酸等につい
て、その過酸化水素含有硫酸中の過酸化水素の除去にも
適用可能である。つまり、本発明において、過酸化水素
を含有する硫酸としては、フォトレジストの除去に使用
された過酸化水素を含む廃硫酸に限定されるものでな
く、過酸化水素を一般的に含有する硫酸であればよい。
また、その硫酸の濃度は、特に限定されないが、通常、
50重量%以上の硫酸を含む硫酸溶液に好適である。
【0008】また、使用する硫黄の量は、触媒量でよ
く、硫酸中に含まれる全過酸化水素分100重量部に対
し、通常、0.01重量部以上、好ましくは0.05〜
2重量部である。2重量部より多くても過酸化水素の分
解反応には何等問題はなく、反応装置の形態あるいは経
済的観点から適便使用量を決定すればよい。
【0009】また、加熱温度は100〜190℃、好ま
しくは110〜170℃であり、実際的には110〜1
40℃で分解反応を行った後、150〜170℃に昇温
して熟成反応を行う方法が好ましい。
【0010】本発明方法は、回分式で実施することがで
き、その具体例としては、110℃以下で過酸化水素含
有硫酸に硫黄を加え、110℃〜130℃の間を注意深
くガス発生量を見ながら昇温し、ガス発生が穏やかにな
ったら160℃に昇温し熟成反応を行う。
【0011】また、本発明の方法は連続的に実施するこ
とも可能であり、処理量が多い場合などには制御性の観
点からこの連続的方法が望ましい。連続的方法の具体例
として、直列2槽連続反応の具体例を次に説明する。第
1槽は110〜130℃に保持し、第2槽は150〜1
70℃に保持して、両槽には予め硫黄を懸濁融解させた
反応終了液で満たしておく。処理すべき過酸化水素有含
硫酸は、連続的に第1槽に注入し第2槽を経て取り出
す。第1槽への原料注入は、ガス発生量を観察しながら
行い、ガス発生と内温上昇が激しすぎる場合は注入量を
調節する。懸濁融解した硫黄は、硫酸表面に浮いてお
り、一部が硫酸に溶けて触媒作用をする。したがって、
反応液(精製硫酸)の排出は各槽の下部から行うことが
好ましく、硫黄の流出を容易に防いでその有効利用を図
ることが可能となる。反応完結までの所要時間は、回分
式で正味30分程度であるので、連続式の場合、平均滞
留時間(2槽分の合計)を2時間程度にとればよい。な
お、3槽以上の直列反応槽系列の使用も可能であるが、
不経済であり、反応促進的にはあまり改善されない。
【0012】
【発明の効果】以上の本発明方法によれば、硫酸に含ま
れる過硫酸水素を極めて簡単かつ経済的に除去できる。
そして、本発明は、通常の燃焼法による廃硫酸回収設備
に適用可能な硫酸を回収することができることから、特
に、半導体製造工程におけるフォトレジストの除去に使
用された過酸化水素含有廃硫酸から硫酸を燃焼法で回収
するための前処理とし、また、他の精製法(例えば、特
公平4−24283号の様にイオン交換膜を用いる際)
の前処理法としても優れている。なお、本発明方法は、
そのような前処理法としてではなく、過酸化水素含有硫
酸に含まれる他の不純物量あるいは硫酸の再利用用途に
よっては精製された硫酸をそのまま再使用したり、水蒸
発のみ行なって再使用することも可能な場合があること
は勿論である。
【0013】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。なお、各実施例において、硫酸中の全過酸化水
素分の分析は次のように行った。即ち、試料硫酸に過剰
の硫酸第2鉄アンモニウム水溶液を加えて反応させ、残
余の第1鉄イオンを過マンガン酸カリウム水溶液で逆適
定して、試料硫黄中の全過酸化水素分を定量した。
【0014】(実施例1)80%の硫酸203gに3
5.2%の過酸化水素水27.9gを加え、これを撹拌
しつつ油俗で加熱し、硫黄1gを添加したところ油俗温
度116℃で発泡が始まり、内温は145℃に達した。
発泡が30分で終了したので、油俗を150℃に保持し
熟成した。そして、冷却した後に残留全過酸化水素分を
分析したところ、除去率は99.6%であった。なお、
撹拌翼には未反応硫黄が多量に付着していた。
【0015】(実施例2)試薬濃硫酸188.3gに3
5.2%の過酸化水素水27.5gと試薬粉末硫黄0.
03gとを加え、油俗で加熱撹拌を開始した。内温11
5℃で発泡が始まって、発泡開始12分後には発泡が終
了した。油俗温度135℃、内温143℃であった。冷
却した後に残留全過酸化水素分を分析したところ、除去
率は100%であった。なお、撹拌翼には微量の硫黄が
固着していた。
【0016】(実施例3)200mlのフラスコ2個に
それぞれ、昇華硫黄約0.1gを固定させた石英ウール
5gを緩く詰めて第1反応器と第2反応器とした。この
各反応器に80%の硫酸を100mlずつ満たしておい
た。原料硫酸は、第1反応器に滴下し、第1反応器の底
部まで挿入したボールフィルターを経て反応液を第2反
応器に送出した。そして、反応終了液は、第2反応器底
部へ挿入したガラス管を通じて取り出しその流出液につ
いて残存過酸化水素を調べた。なお、その間、第1、第
2反応器内における液はそれぞれ100mlに保持し、
撹拌は行わなかった。また、第1の反応器の内温は約1
30℃、第2の反応器の内温は約160℃にそれぞれ調
節した。前記原料硫酸は、試料濃硫酸1830gと3
5.2%の試薬過酸化水素水278gの混合液であり、
100ml/時の速度で滴下した。
【0017】以上の条件で、2時間後の流出液の過酸化
水素分は0.00ミリmol/gとなり、6時間後の流
出液の過酸化水素分は0.002ミリmol/gとな
り、12時間後の流出液の過酸化水素分は0.00ミリ
mol/gであった。なお、第1と第2反応器から発生
する排ガスの成分を調べたところ、排ガスは酸素と水蒸
気であり、亜硫酸ガスは検出されなかった。また、6時
間後の過酸化水素分の値は精度誤差範囲に納まる程度の
値であり、除去率は時間経過に係わらず、過酸化水素分
の分解除去がほぼ完璧に行なわれることが分かった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過酸化水素を含有する硫酸を、硫黄の存
    在下で加熱して含有過酸化水素を分解除去することを特
    徴とする硫酸の精製方法。
  2. 【請求項2】 前記加熱温度が100〜190℃である
    請求項1記載の硫酸の精製方法。
  3. 【請求項3】 前記硫黄の量が、硫酸中の過酸化水素分
    100重量部に対して0.01重量部以上である請求項
    1又は2記載の硫酸の精製方法。
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