JPH0872778A - 自転車駆動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自転車の踏力によるトルクを増大させるとと
もに、変速段数を著しく多くできる自転車用の駆動装置
を提供する。 【構成】 クランクハンガー２に嵌合されるハウジング
１を設ける。このハウジング１の中心からずれた位置に
クランク軸６を貫通させ、ハウジング内でクランク軸６
とギヤで連結された出力回転軸８をそなえ、出力回転軸
８にハウジングの外側でスプロケット１２を連結する。
このハウジングの嵌合角度位置によってクランク軸位置
をクランクハンガー中心より高くし、ペダルアームを長
くする。また、クランク軸６に連結した複数個の一方向
クラッチ１５を設け、ワイヤの操作で一方向クラッチを
選択し、クランク軸６と出力回転軸８を連結するギヤを
変えてハウジング１内で複数段の変速を行わせる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自転車の駆動装置およ
び多段変速装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】自転車の駆動は、脚によりペダルを踏み
込んでクランク軸を回転させ、このクランク軸に取り付
けたスプロケットによりチェーンを介して車輪を駆動さ
せている。このため、上り勾配では大きな踏力を必要と
するが、脚力の弱い者や車輪の径が小さいミニサイクル
では、登坂できる勾配が制限され、また平坦地でも実用
的な速度は得られても、スピード感のある速度を得るこ
とは困難である。

【０００３】したがって、登坂時のトルク増大や、平坦
地での速度アップを得るため、実用的な面では３〜７段
程度の変速機構をそなえたものが多用されており、また
サイクリングや微低速から高速への変化を楽しむ場合
は、さらに多段の変速装置をそなえたものが用いられて
いる。しかして、このような多段変速装置は、後輪駆動
軸とペダルで回転されるクランク軸との一方あるいは両
方に、歯数の異なる複数個のスプロケットを重ねてそな
え、ワイヤーの操作によってスプロケット相互にチェー
ンの掛け替えを行う外装変速機（特開昭６３−２２７８
４など）と、クランク軸部に遊星歯車を組み込んだ変速
装置（特公平１−５９９５４号、特開平５−２３８４６
８号など）が提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このように、変速装置
を有しない自転車、とくにミニサイクルのようにクラン
クハンガーの位置が低いものではペダルアームが短く、
踏力によって大きなトルクを得ることができなかった。
また、変速装置をそなえた自転車においても、スプロケ
ットの枚数を多くすると、各スプロケットをチェーンの
幅に応じた間隔で積み重ねるため、スプロケット数が５
枚や７枚になると、側方への突出量が大きくなるだけで
なく、スプロケット相互の最大径と最小径の差が大きく
なり、チェーンのたるみ量の処理が面倒になり、また、
積み厚さに応じてチェーンが斜め方向に掛けられるた
め、こじれを生じて外れ易いなどの問題が生じる。ま
た、遊星歯車を用いたものでは、歯車部が大形になり、
遊星機構が複雑になり、変速比の選択が制限され、設計
が難しくなるなどの欠点がある。

【０００５】本発明は、クランクハンガーに嵌合させる
ハウジングを設け、ハウジングを貫通するクランク軸を
クランクハンガーの中心より高くして、必要に応じてペ
ダルアームを長くできるようにし、踏力によるトルクを
大きくさせ、また、クランク軸とともに、複数の平歯車
と一方向クラッチを用いて変速比を選択させる変速伝達
装置をハウジング内に設けることによって、突出部分を
大きくすることなく、自由な変速比を多段に設けられる
ようにしたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】このため、本発明はクラ
ンクハンガーに嵌合されるハウジングを設け、このハウ
ジングの中心からずれた位置にクランク軸を貫通させ、
前記ハウジング内のクランク軸に連結されたギヤと、こ
のギヤにかみ合うギヤを取り付けた出力回転軸をそな
え、前記出力回転軸にハウジングの外側でスプロケット
を連結させ、前記ハウジングをクランクハンガーに任意
の角度位置で嵌合固定させ、クランク軸の高さに応じて
ペダルアームの長さを変えることができるようにしてい
る。

【０００７】また、クランクハンガーに嵌合させ、任意
の角度位置で嵌合固定されるハウジングをそなえ、この
ハウジングを貫通させたクランク軸と、前記ハウジング
内でクランク軸に連結され、ギヤの選択によって数段の
切り換え変速を行う変速装置を内蔵し、前記変速装置の
出力回転軸を、ハウジングの外側に設けたスプロケット
に連結させている。

【０００８】さらに、ハウジング内にコロあるいはボー
ルからなる転子を用いた薄形の一方向クラッチを、クラ
ンク軸と平行に複数個並列に積層配置し、それぞれの一
方向クラッチに歯数の異なる選択ギヤと、前記選択ギヤ
にかみ合う伝達ギヤを取り付けた出力回転軸とを内蔵さ
せ、操作ワイヤによって一方向クラッチを選択すること
により、選択ギヤの１つをクランク軸に連結させ、前記
選択ギヤから伝達ギヤを介して回転する出力回転軸によ
り、ハウジングの外側で連結ギヤを介してスプロケット
を回転させるようにしており、このハウジングを車体の
クランクハンガーとして構成し、あるいはクランクハン
ガーとは別体にして嵌合固定させるようにしてある。

【０００９】

【作用】したがって、クランクハンガーに嵌合するハウ
ジングの嵌合角度位置を変えることにより、クランクハ
ンガー中心に対してクランク軸を高い位置にすることが
でき、ペダルアームをそれだけ長いものと交換すること
により、踏力によるトルクを大きくすることができる。
また、一方向クラッチと選択ギヤをそなえた変速伝達装
置が、クランク軸とともにハウジング内に収納されてお
り、ハウジング内で多数段の変速を行うことができ、車
体側方への突出量を少なくし、スプロケットの数を増加
させずに変速段数を一方向クラッチの数に応じて数倍に
増加させる。

【００１０】

【実施例】これを図１および図２に示す実施例について
説明する。１はハウジング、２はハウジング１を嵌合す
るクランクハンガーで外周面にメインパイプ３、立パイ
プ４、チェーンステー５を溶着などで固着させ、ハウジ
ング１を貫通させたクランク軸６の両端にペダルアーム
７を取り付けている。８はハウジング内にクランク軸６
と平行に設けた出力回転軸、９はハウジング１内でクラ
ンク軸６に取り付けたクランクギヤ、１０は出力回転軸
９に取り付けた伝達ギヤで、アイドルギヤ１１を介して
クランクギヤ９にかみ合わせている。１２は出力回転軸
８のハウジング１から突出させた一方の軸端に取り付け
たスプロケットで、図示しないチェーンあるいはタイミ
ングベルトを駆動させる。１３はクランクハンガー２に
嵌合させたハウジング１を固定する止めねじである。

【００１１】まず、ハウジング１はクランクハンガー２
に嵌合させ、クランク軸６が出力回転軸８の上方になる
角度位置で止めねじ１３で固定させる。ペダルアーム７
でクランク軸６を回転させると、クランク軸６に固着し
たクランクギヤ９でアイドルギヤ１１を介して伝達ギヤ
１０を回転させ、出力回転軸８を回転させてスプロケッ
ト１２を回転駆動させる。クランクギヤ９と伝達ギヤ１
０のギヤ比は、任意に選択することができ、アイドルギ
ヤ１１によってスプロケット１２をクランク軸６と同方
向に回転させ、クランク軸６と出力回転軸８との取付位
置を調整している。

【００１２】したがって、クランク軸６をクランクハン
ガー２の中心より高い位置に設けることができ、クラン
クギヤ９と伝達ギヤ１０のギヤ比を１にしても、ペダル
アーム７を長くして踏力によるトルクを大きくすること
ができる。なお、クランクギヤ９と伝達ギヤ１０のギヤ
比を１より大きくして、ペダルアーム７によるトルクの
増大に応じて速度を増大させ、あるいはギヤ比を小さく
して登坂力を大きくすることもできる。

【００１３】図３および図４は別の実施例を示すもの
で、ハウジング内は図１と同様に構成され、出力回転軸
８のハウジング１から突出させた軸端に、連結ギヤ１４
を取り付け、ハウジング１の外側面１５に、複数個の取
付座１６にねじ止め保持されたカバー１７を設け、前記
外側面１５とカバー１７の間に軸受１８を介して支持さ
れた内歯輪１９の内歯２０に連結ギヤ１４をかみ合わせ
て、内歯輪１９の外側にスプロケット１２を設けてい
る。この構造では、クランク軸６をスプロケット１２の
内側に配置することができるので、スプロケットの径を
大きくし、クランク軸６と出力回転軸８との間隔を小さ
くし、ハウジング１を小径にすることができる。

【００１４】つぎに図５ないし図８に示す実施例につい
て説明する。１はハウジング、２はハウジング１を嵌合
するクランクハンガーで、外周面にメインパイプ３、立
パイプ４、チェーンステー５を溶着などで固着させ、ハ
ウジング１を貫通させたクランク軸６の両端にペダルア
ーム７を取り付けている。８はハウジング内にクランク
軸６と平行に設けた出力回転軸、９はハウジング１内で
クランク軸６に取り付けたクランクギヤ、１０は出力回
転軸９に取り付けた伝達ギヤである。

【００１５】２１はハウジング１内にクランク軸６と平
行に設けた支持軸で、実施例では固定軸にしているが回
転軸でもよい。この支持軸２１と受け片２２により前記
支持軸２１を囲んで回転自由に支持されたクラッチ支持
体２３をそなえ、クラッチ支持体２３にはクランク軸６
に取り付けたクランクギヤ９とかみ合う駆動ギヤ２４を
そなえている。２５はクラッチ支持体２３の軸方向に並
列に積み重ねて設けた複数個の一方向クラッチで、図８
に示すように２５ｓ、２５ａ、２５ｂ、２５ｃの４個を
設けている。２６は操作ワイヤ２７の操作により支持軸
２１に沿って摺動し、前記一方向クラッチを選択動作さ
せるスライダー、２８はスライダー２６の操作バネ、２
９は各一方向クラッチの外周に微小な間隙ｇ（図６）で
回転自由に嵌合し、それぞれ歯数を異にする選択ギヤ
で、図８では一方向クラッチに合わせて２９ｓ、２９
ａ、２９ｂ、２９ｃをそなえている。

【００１６】一方向クラッチ２５は、図６に示すよう
に、支持軸２１上を摺動するスライダー２６を囲む円環
状のクラッチ枠２５１に、内径側の開口部を小さくし
て、コロあるいはボールからなる操作転子２５２が脱落
しないようにした半径方向の縦溝２５３を図では４個設
け、それぞれの縦溝から直角方向に、クラッチ枠の外周
面に開口する横溝２５４をそなえ、横溝２５４内に、横
溝に沿って摺動する摺動片２５５と、摺動片先端に設け
た押し片２５６と、コロあるいはボールからなる作動転
子２５７と、押し片２５６を囲む戻しバネ２５８とを収
納し、前記操作転子２５２を摺動片２５５の傾斜面２５
９に当接させている。

【００１７】したがって、スライダー２６の摺動で操作
転子２５２が押し上げられると、操作転子２５２が操作
転子の傾斜面２５９を押して、摺動片２５５を横溝２５
４に沿って直角方向に移動させ、作動転子２５７が図６
の上半部に示すようにクラッチ枠２５１の外周面から押
し出され、クラッチ枠２５１の外周に僅かな間隙ｇで設
けた選択ギヤ２９に圧接してクサビ作用で、選択ギヤ２
９とクラッチ枠２５１とを結合させる。２６０は一方向
クラッチをクラッチ支持体２３に連結保持させる連結棒
である。

【００１８】支持軸２１と平行に設けた出力回転軸８に
は、それぞれの選択ギヤ２９にかみ合う歯をそなえた伝
達ギヤ３１を固着させており、図８では選択ギヤに合わ
せて３１ｓ、３１ａ、３１ｂ、３１ｃの４つの歯をそな
えている。なお、伝達ギヤはそれぞれ別のギヤを出力回
転軸８に固着しているが、４個の歯をそなえた１つの歯
車としてもよい。

【００１９】ハウジング１の一方の外側面１５から突出
した出力回転軸８の端部に、連結ギヤ１４を取り付けて
おり、前記外側面１５に設けた複数個の取付座１６にね
じ止め保持されたカバー１７を設け、ハウジング１の一
方の外側面１５の外側にクランク軸６と前記連結ギヤ１
４を囲んで、軸受１８を介して内歯輪１９を回転自由に
支持させ、この内歯輪１９の内歯２０に連結ギヤ１４を
かみ合わせて、内歯輪１９の外側にスプロケット１２を
設けている。１３はクランクハンガー２に嵌合させたハ
ウジング１を固定する止めねじである。

【００２０】つぎに動作を説明する。ペダルアーム７で
クランク軸６を回転させると、クランク軸６に固着した
クランクギヤ９から駆動ギヤ２４によってクラッチ支持
体２３が回転する。スライダー２６が、操作ワイヤ２７
により一方向クラッチ２５ｓの位置にあれば、この一方
向クラッチ２５ｓの操作転子２５２が押し上げられた状
態（図６の上半部）になり、他の一方向クラッチ２５
ａ、２５ｂ、２５ｃの操作転子２５２はクラッチ枠２５
１から内側へ突出した状態（図６の下半部）になってい
る。したがって、一方向クラッチ２５ｓの摺動片２５５
が傾斜面２５９により押し出され、作動転子２５７が選
択ギヤ２９ｓの内面に圧接してクサビの作用を行い、他
の一方向クラッチ２５ａ、２５ｂ、２５ｃの摺動片２５
５は戻しバネ２５８で押し込まれ、作動転子２５７はフ
リーの状態になっている。

【００２１】したがって、この状態で前述のように、ク
ランク軸６によりクランクギヤ９と駆動ギヤ２４を介し
て、クラッチ支持体２３と一体に連結されているクラッ
チ枠２５１が、図６の矢印方向に回転すると、一方向ク
ラッチ２５ｓの作動転子２５７が、クラッチ枠２５１と
選択ギヤ２９ｓの内周面との間に挟まれて両者を連結
し、選択ギヤ２９ｓと伝達ギヤ３１ｓのギヤ比によって
出力回転軸８をクランク軸６と同方向に回転させる。こ
のとき、他の一方向クラッチ２５ａ、２５ｂ、２５ｃ
は、作動転子２５７がフリーな状態であるため、選択ギ
ヤ２９ａ、２９ｂ、２９ｃは、クラッチ枠２５１の外周
を空転する。出力回転軸８の回転により、連結ギヤ１４
が内歯２０を介して内歯輪１９を回転させ、スプロケッ
ト１２が回転してチェーンにより後輪を回転させる。

【００２２】変速レバーあるいはグリップによって操作
ワイヤ２７を緩め、スライダー２６を操作バネ２８によ
り一方向クラッチ２５ｓから２５ａに移すと、一方向ク
ラッチ２５ａの操作転子２５２が押し込まれて摺動片２
５５を摺動させ、作動転子２５７が選択ギヤ２９ａとク
ラッチ枠２５１とを連結させ、出力回転軸８を選択ギヤ
２９ａと伝達ギヤ３１ａとのギヤ比で低速回転させる。
また、操作ワイヤ２７を引っ張り、スライダー２６を一
方向クラッチ２５ｂ側に操作させると、一方向クラッチ
２５ｂと選択ギヤ２９ｂが連結され、出力回転軸８を選
択ギヤ２９ｂと伝達ギヤ３１ｂとのギヤ比で高速回転さ
せる。

【００２３】したがって、図７のように内歯輪１９の外
周面に２個のスプロケット１２をそなえ、後輪に３段の
スプロケットをそなえて変速する場合、従来のようにス
プロケットだけの変速では６段変速であるが、ハウジン
グ内に設けた一方向クラッチ２５の個数４に応じて、ス
プロケット相互による変速の４倍に相当する２４段の変
速を行うことができる。

【００２４】なお、図の実施例においては、説明を簡単
にするため、一方向クラッチ２５を４個設け、選択ギヤ
２９、伝達ギヤ３１も、これに合わせて４個づつ設けて
ハウジング内で４段階の変速をするようにしているが、
一方向クラッチは、転子と摺動片を収納する縦溝と横溝
を設けられる厚さがあればよく、薄形に形成できるの
で、フレームを構成するハウジングの幅寸法を従来と同
じにしたままで、さらに多くの一方向クラッチを重ねて
変速段数を増加させることができ、７組並設することに
より、前記の場合４２段の変速ができる。

【００２５】なお、図示した実施例では、クランク軸６
と別個に支持軸２１を設けてクラッチ支持体２３を、ク
ランクギヤ９、駆動ギヤ２４を介して回転させるように
しているが、クランク軸６に直接クラッチ支持体２３を
固定してもよく、この場合は選択ギヤ２９と伝達ギヤ３
１の間、あるいは連結ギヤ１４と内歯２０との間に、回
転方向を変えるためのアイドルギヤを挿入し、クランク
軸とスプロケットの回転方向を同方向にすればよい。

【００２６】図９は別の実施例を示すもので、図５ない
し図８で示した実施例と同じ部分に同一の符号を付して
いる。４０は回転方向を調整するために、クランク軸６
のクランクギヤ９とクラッチ支持体２３の駆動ギヤ２４
との間に挿入したアイドルギヤである。なお、この実施
例では、ハウジング１がクランクハンガー２を兼ねてお
り、外周面にメインパイプ３、立パイプ４、チェーンス
テー５を溶着などを固着させて車体フレームの一部を構
成している。

【００２７】４１は出力回転軸８の端部に取り付けたク
ラッチ支持体で、先の図６で示した一方向クラッチ２５
と同様の一方向クラッチ４２ａ、４２ｂをそなえ、この
一方向クラッチを介して出力回転軸８に連結される歯数
の異なる選択ギヤ４３ａ、４３ｂを設け、出力回転軸８
に沿って操作ワイヤ４４と操作バネ４５で操作されるス
ライダー４６をそなえている。４７ａ、４７ｂは内歯輪
１９の内周に設けた内歯で、調整ギヤ４８ａ、４８ｂを
介して前記選択ギヤ４３ａ、４３ｂとかみ合わせてい
る。内歯輪１９の外周には３個の歯数を異にするスプロ
ケット１２を設けている。

【００２８】クランク軸６により、クランクギヤ９およ
びアイドルギヤ４０を介して、駆動ギヤ２４でクラッチ
支持体２３が回転され、一方向クラッチ２５を介して選
択された選択ギヤ２９と伝達ギヤ３１による回転数で出
力回転軸８が回転される。操作ワイヤ４４を緩めた状態
では、スライダー４６が一方向クラッチ４２ａを動作さ
せているが、図に示すように操作ワイヤ４４を引いてス
ライダー４６が一方向クラッチ４２ｂを動作させると、
選択ギヤ４３ｂがクラッチ支持体４１を介して出力回転
軸８に連結され、選択ギヤ４３ａが空転し、選択ギヤ４
３ｂと調整ギヤ４８ｂを介して内歯３７ｂとのかみ合い
によるギヤ比で、内歯輪１９が回転してスプロケット１
２を高速回転させる。また、操作ワイヤ４４を緩め、ス
ライダー４６を一方向クラッチ４２ａの位置に戻すと、
選択ギヤ４３ａが出力回転軸８に連結され、調整ギヤ４
８ａと内歯３７ａを介して内歯輪１９を低速回転に切り
換え、選択ギヤ４３ｂは一方向クラッチ４２ｂの外周を
空転する。

【００２９】したがって、出力回転軸８の速度を低速と
高速の２段に切り換えて内歯輪１９を回転させ、変速段
数を２倍にすることができる。なお、出力回転軸８端に
設けた一方向クラッチ数を増し、選択ギヤおよびこれに
対向する内歯輪内周の内歯をそれぞれ増加することによ
り、変速段数をさらに増加させることができる。

【００３０】また、調整ギヤを省いて選択ギヤを直接内
歯にかみ合わせるなど、クランク軸６から内歯輪１９ま
でのギヤの組み合わせを適宜に増減させて、減速比を調
整することができ、ギヤの組み合わせに応じてアイドル
ギヤ４０を挿入または除いて回転方向を調整する。

【００３１】図９に示す実施例では、変速段数が多く、
ペダルアーム７を長くしない場合を示しており、クラン
ク軸６をハウジング１の中心より下方に設けているが、
一方向クラッチ２５と選択ギヤ２９および伝達ギヤ３１
の配置をハウジング内で変えることにより、クランク軸
６の位置を、ハウジング１の任意の位置に設定すること
ができ、ハウジングの上部に位置させることによりクラ
ンク軸と地面との間隔を大きくし、ペダルアーム７を長
くしてペダルの踏力によるトルクを大きくすることがで
きる。

【００３２】なお、この発明におけるハウジング１は、
図７の実施例のように、クランクハンガー２と別体に構
成し、一方向クラッチおよび各ギヤを組み立てたハウジ
ング１をクランクハンガー２に嵌合し、所定の角度位置
で止めねじ１３などで固定させるようにしてもよく、ま
た、図９の実施例のように外周にメインパイプ、立パイ
プ、チェーンステーを取り付けてクランクハンガーと一
体に兼用させるようにしてもよい。

【００３３】また、出力回転軸８のハウジング１から突
出させた端部に、スプロケットを直接取り付け、あるい
は連結ギヤ１４を取り付け、内歯輪１９を介してスプロ
ケットに連結させることもでき、直接取り付ける場合
は、ハウジング外側面の取付座１６およびカバー１９が
不要になる。

【００３４】また、ハウジング１内には、潤滑のため潤
滑オイルを封入しておくことが望ましく、クランク軸６
および出力回転軸８の貫通部は、油漏れのないようオイ
ルシールを設け、必要によっては補給のためのオイルタ
ンクをハウジング外の適宜の位置に取り付ける。

【００３５】なお、スプロケット１２は出力回転軸８の
軸端部、あるは内歯輪１９の外周面に１個あるいは複数
個設けることができ、図示されていないが、スプロケッ
ト１２からチェーンあるいはタイミングベルトを介して
回転される後輪のスプロケットも、従来と同様に複数段
のスプロケットを設けることができる。

【００３６】

【発明の効果】本発明は上述のように、クランクハンガ
ーに嵌合されるハウジングと、このハウジングの中心か
らずれた位置にクランク軸を貫通させ、前記ハウジング
内にクランク軸に連結されたギヤと、このギヤにかみ合
うギヤを取り付けた出力回転軸をそなえ、前記出力回転
軸をハウジングの外側に突出させてスプロケットを連結
し、前記ハウジングをクランクハンガーに任意の角度位
置で嵌合固定させ、クランク軸の高さに応じた長さのペ
ダルアームを設けられるようにしているので、クランク
軸の位置をクランクハンガーの中心より高くし、ペダル
アームを長くすることができ、踏力によるトルクを大き
くし、自転車の走行を軽くし、登坂力の増大や速度の増
加を得られる効果がある。また、ハウジング内のギヤ相
互の歯数比を選択してぺダルの回転数に対してスプロケ
ットの回転数を増減し、踏力によるトルクを増大させ、
あるいは速度の上昇させることができる。

【００３７】また、クランク軸を貫通させたハウジング
内に、クランク軸に連結して複数段のギヤを切り換える
ことにより変速を行う変速装置を内蔵し、その出力回転
軸をハウジングの外側でスプロケットに連結させること
により、変速段数を多くしても車体の外側への突出量が
少なく、通常の外装変速機と同様に数枚のスプロケット
を用いても、数倍の多段変速を行うことができる。

【００３８】また、ハウジング内の変速装置に一方向ク
ラッチを用いて、複数個の平歯車を選択することによ
り、遊星歯車などの複雑な機構を用いる必要がなく、ギ
ヤの組み合わせで多段の変速を行うことができ、ギヤの
組み合わせの自由度が大きく、変速段数および各変速段
の速度比を任意にかつ容易に設定することができ、製作
が容易になるとともに、ハウジング部が従来のものより
大きくなるだけで変速装置を内蔵でき、車体からの突出
量が少なく外観もクランクハンガー部が大径でユニーク
になるなどの効果が得られる。

【００３９】なお、一方向クラッチにコロまたはボール
による転子を用いてクラッチ枠と外周に設けた選択ギヤ
との連結、解放を行わせることにより、ラチェットなど
によるクラッチでは得られない円滑な操作が行われ、衝
撃が少なく、薄形で耐久性に優れた一方向クラッチを得
られ、ハウジング内に内蔵するクラッチの数を増加させ
ることができ、変速操作を軽く確実に行うことができ
る。さらに、ハウジングの外側でスプロケットに連結す
る出力回転軸の軸端に、数段の一方向クラッチによる変
速装置を加えることにより、変速段数をさらに増大さ
せ、１００段を超える変速が容易に得られ、速度変化を
楽しむことができる効果がある。

【００４０】また、ハウジングは、車体のハンガーとは
別個にし、内部にクランク軸とともに必要なギヤやクラ
ッチを組み込んで、ハンガーに嵌合固定させることによ
り、組み立てや保守を容易にし、固定位置によりクラン
ク軸の位置を調整することができ、交換あるいは段数の
異なる変速装置と取り替えることができる。また、ハウ
ジング外周にメインパイプ、立パイプ、チェーンステー
を取り付けてハンガーを兼用させ、車体と一体に組み込
むことができ、コストの低減を行うことができる。

【００４１】また、ハウジングを貫通するクランク軸
を、ハウジングの中心より上部の位置に配置することに
より、ペダルアームを長くでき、ペダルの踏力を軽くす
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す要部側面図で、一部はハ
ウジング内部を示している。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う断面図で、ペダルアーム
は両側に示してある。

【図３】他の実施例を示す要部の側面図で、図４のＢ−
Ｂ線に沿う部分を断面で示している。

【図４】図３の中央断面図である。

【図５】別の実施例を示す要部断面図で、ハウジング内
部と、ハウジングの外側の一部と、カバー外側の一部と
を示している。

【図６】一方向クラッチの構造を示す側面図である。

【図７】図５のＣ−Ｃ線に沿う断面図である。

【図８】図７の一部拡大図である。

【図９】別の実施例を示す図７相当図である。

【符号の説明】

１ ハウジング ２ クランクハ
ンガー ３ メインパイプ ４ 立パイプ ５ チェーンステー ６ クランク軸 ７ ペダルアーム ８ 出力回転軸 ９ クランクギヤ １０ 伝達ギヤ １１ アイドルギヤ １２ スプロケ
ット １３ 止めネジ １４ 連結ギヤ １５ 外側面 １６ 取付座 １７ カバー １８ 軸受 １９ 内歯輪 ２０ 内歯 ２１ 支持軸 ２２ 受け片 ２３ クラッチ支持体 ２４ 駆動ギヤ ２５、２５ｓ、２５ａ、２５ｂ、２５ｃ 一方向クラッ
チ ２５１ クラッチ枠 ２５２ 操作転
子 ２５３ 縦溝 ２５４ 横溝 ２５５ 摺動片 ２５６ 押し片 ２５７ 作動転子 ２５８ 戻しバ
ネ ２５９ 傾斜面 ２６０ 連結棒 ２６ スライダー ２７ 操作ワイ
ヤ ２８ 操作バネ ２９、２９ｓ、２９ａ、２９ｂ、２９ｃ 選択ギヤ ３１、３１ｓ、３１ａ、３１ｂ、３１ｃ 伝達ギヤ ４０ アイドルギヤ ４１ クラッチ
支持体 ４２ａ、４２ｂ 一方向クラッチ ４３ａ、４３ｂ
選択ギヤ ４４ 操作ワイヤ ４５ 操作バネ ４６ スライダー ４７ａ、４７ｂ
内歯 ４８ａ、４８ｂ 調整ギヤ

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランクハンガーに嵌合されるハウジン
   グと、このハウジングの中心からずれた位置に貫通させ
   たクランク軸をそなえ、前記ハウジング内にクランク軸
   に連結されたギヤと、このギヤにかみ合うギヤを取り付
   けた出力回転軸をそなえ、前記出力回転軸にハウジング
   の外側でスプロケットを連結し、前記ハウジングをクラ
   ンクハンガーに任意の角度位置で嵌合固定させ、クラン
   ク軸の高さに応じた長さのペダルアームを設けたことを
   特徴とする自転車駆動装置。
2. 【請求項２】 クランクハンガーに嵌合させ、任意の角
   度位置で嵌合固定されるハウジングと、このハウジング
   を貫通させたクランク軸をそなえ、前記ハウジング内
   に、クランク軸に連結され、ギヤの選択によって数段の
   切り換え変速を行う変速装置を内蔵し、前記変速装置の
   出力回転軸を、ハウジングの外側に設けたスプロケット
   に連結したことを特徴とする自転車駆動装置。
3. 【請求項３】 クランクハンガーに嵌合させ、任意の角
   度位置で嵌合固定されるハウジングと、このハウジング
   を貫通させたクランク軸をそなえ、前記ハウジング内
   に、クランク軸に連結した複数個の一方向クラッチと、
   各一方向クラッチによって選択される歯数の異なる選択
   ギヤと、選択ギヤの変速比で回転される出力回転軸を内
   蔵し、前記変速装置の出力回転軸を、ハウジングの外側
   に設けたスプロケットに連結したことを特徴とする自転
   車駆動装置。
4. 【請求項４】 クランクハンガーに嵌合させ、任意の角
   度位置で嵌合固定されるハウジングと、このハウジング
   を貫通させたクランク軸をそなえ、前記ハウジング内
   に、クランク軸と平行な軸心で回転するように支持され
   たクラッチ支持体と、クラッチ支持体に軸方向に重ねて
   支持された複数個の一方向クラッチと、それぞれの一方
   向クラッチを介してクラッチ支持体に連結される歯数の
   異なる複数の選択ギヤと、操作ワイヤによって操作さ
   れ、前記一方向クラッチを選択動作させるスライダー
   と、前記選択ギヤにそれぞれかみ合う伝達ギヤを固着し
   た出力回転軸とを設け、前記出力回転軸をハウジングの
   外側に突出させ、出力回転軸端に取り付けた連結ギヤ
   と、この連結ギヤにかみ合って回転する内歯をそなえた
   内歯輪を設け、この内歯輪の外周面にスプロケットを取
   り付けたことを特徴とする自転車駆動装置。
5. 【請求項５】 前記出力回転軸が、軸端にクラッチ支持
   体と、このクラッチ支持体に軸方向に重ねて支持された
   複数個の一方向クラッチとをそなえ、それぞれの一方向
   クラッチを介してクラッチ支持体に連結されるそれぞれ
   歯数の異なる複数個の選択ギヤと、操作ワイヤによって
   操作され、一方向クラッチを選択動作させるスライダー
   とを設け、それぞれの選択ギヤにより変速回転される内
   歯輪を設けた請求項１ないし４のいずれかに記載の自転
   車駆動装置。
6. 【請求項６】 前記ハウジングが、外周にメインパイ
   プ、立パイプ、チェーンステーを取り付けたクランクハ
   ンガーと別体に構成され、クランクハンガー内に任意の
   角度で嵌合固定されるようにした請求項１ないし５のい
   ずれかに記載の自転車駆動装置。
7. 【請求項７】 前記ハウジングが、外周にメインパイ
   プ、立パイプ、チェーンステーを取り付け、クランクハ
   ンガーを兼ねている請求項１ないし５のいずれかに記載
   の自転車駆動装置。
8. 【請求項８】 前記クランク軸を、ハウジング中心より
   上部に配置することにより、ペダルアームを長くできる
   ようにした請求項１ないし７のいずれかに記載の自転車
   駆動装置。