JPH0867690A - 糖類の脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

糖類の脂肪酸エステルの製造方法

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JPH0867690A
JPH0867690A JP22880294A JP22880294A JPH0867690A JP H0867690 A JPH0867690 A JP H0867690A JP 22880294 A JP22880294 A JP 22880294A JP 22880294 A JP22880294 A JP 22880294A JP H0867690 A JPH0867690 A JP H0867690A
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acid catalyst
acid
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saccharide
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JP22880294A
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Hideo Ando
秀男 安藤
Ryozo Iwasaki
亮三 岩崎
Michikatsu Tamiya
理克 田宮
Shingo Uemura
慎午 植村
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 多糖又はオリゴ糖を酸触媒の存在下に水と反
応させて得られる炭素数5〜7の単糖類及びヘキソース
からなる2糖類、並びに多糖、オリゴ糖、炭素数5〜7
の単糖類又はヘキソースからなる2糖類を酸触媒の存在
下に低級アルコールと反応させて得られる低級アルキル
グリコシド及び低級アルキルポリグリコシドから選ばれ
る糖類の1種又は2種以上と、炭素数6〜22の飽和及
び不飽和脂肪酸並びにこれら脂肪酸の低級アルコールエ
ステルから選ばれる脂肪酸類の1種又は2種以上とを加
水分解酵素の存在下に反応させて、糖類の脂肪酸エステ
ルを製造するに当たり、上記糖類中に含まれる酸触媒及
び酸触媒由来物質を実質的に存在しない量まで除去した
後、該糖類を反応に供して糖類の脂肪酸エステルを製造
する。 【効果】 本発明によれば、加水分解酵素を失活させる
ことなく反応を実施し得るため、長時間の連続反応や繰
り返し回分反応を支障なく行うことができ、工業生産上
有利である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糖脂肪酸エステル、ア
ルキルグリコシド脂肪酸エステルといった糖類の脂肪酸
エステル(以下、特にことわらない限り、これらを総称
して単に糖脂肪酸エステルという)の工業生産に適した
製造方法に関し、より詳しくは酵素活性の低下を抑制
し、酵素の繰り返し使用に有利な糖脂肪酸エステルの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】グルコ
ース脂肪酸エステルやアルキルグリコシド脂肪酸エステ
ル等の糖脂肪酸エステルは、界面活性剤として優れた特
性を有することから、本出願人は先に糖脂肪酸エステル
を毛髪化粧料などに配合することを提案すると共に、糖
脂肪酸エステルを製造する方法について種々提案した
(特開平3−76593号、同4−16195号、同4
−16196号、同5−112592号、同5−176
783号公報)。
【0003】また、糖類と脂肪酸類とを有機溶媒存在下
に加水分解酵素を用いて反応させることにより糖脂肪酸
エステルを製造する方法としては、本出願人による方法
以外にも特開昭61−268192号公報やWO 89
/01480、WO 90/09451公報などに提案
がある。
【0004】しかしながら、これら従来の提案に係る糖
脂肪酸エステルの製造法を実施した場合、加水分解酵素
の失活により、加水分解酵素を繰り返し使用できない場
合がしばしば生じ、このため加水分解酵素の失活を可及
的に防止し、繰り返し使用を可能にする方法が望まれ
た。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者らは、
上記要望に応えるため鋭意検討を行った結果、加水分解
酵素の失活の原因が糖類中に残存、含有する酸触媒又は
該酸触媒由来物質にあること、このような酸触媒や酸触
媒由来物質を除去した糖類を用いることにより、加水分
解酵素の失活が防止されて、加水分解酵素を繰り返し使
用し得ることを知見した。
【0006】即ち、糖脂肪酸エステルを製造する場合、
原料の糖としては炭素数5〜7の単糖類やヘキソースか
らなる2糖類、これらの糖の低級アルキルグリコシドや
低級アルキルポリグリコシドを使用するが、炭素数5〜
7の単糖類やヘキソースからなる2糖類としては、通常
多糖又はオリゴ糖を酸触媒の存在下に水と反応させるこ
とにより得られるものを用いる。また、低級アルキルグ
リコシドや低級アルキルポリグリコシドも糖を酸触媒の
存在下に低級アルコールと反応させて得られるものを使
用する。例えば、グルコースや低級アルキルグルコシド
の場合は、硫酸やp−トルエンスルホン酸などの酸触媒
の存在下、コーンスターチ、タピオカデンプン、ジャガ
イモデンプンなどのデンプンやオリゴ糖と水を反応させ
て得られるグルコース、同じく酸触媒の存在下、デンプ
ン、オリゴ糖やグルコースとメタノール、エタノール、
プロパノール、ブタノールなどの低級アルコールとを反
応させて得られる低級アルキルグルコシドを製造原料と
して使用する。
【0007】本発明者は、このような原料糖類に含まれ
る不純物と酵素寿命の関係について鋭意検討を行った結
果、上記酸触媒が残存していると、その酸型は勿論のこ
と、中性塩の形で存在しても、加水分解酵素を徐々に失
活させることを見い出したものである。
【0008】従って、本発明は、多糖又はオリゴ糖を酸
触媒の存在下に水と反応させて得られる炭素数5〜7の
単糖類及びヘキソースからなる2糖類、並びに多糖、オ
リゴ糖、炭素数5〜7の単糖類又はヘキソースからなる
2糖類を酸触媒の存在下に低級アルコールと反応させて
得られる低級アルキルグリコシド及び低級アルキルポリ
グリコシドから選ばれる糖類の1種又は2種以上と、炭
素数6〜22の飽和及び不飽和脂肪酸並びにこれら脂肪
酸の低級アルコールエステルから選ばれる脂肪酸類の1
種又は2種以上とを加水分解酵素の存在下に反応させ
て、糖類の脂肪酸エステルを製造するに当たり、上記糖
類中に含まれる酸触媒及び酸触媒由来物質を実質的に存
在しない量まで除去した後、該糖類を反応に供すること
を特徴とする糖類の脂肪酸エステルの製造方法を提供す
る。
【0009】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の糖脂肪酸エステルの製造方法においては、原料
糖類として、多糖又はオリゴ糖を酸触媒の存在下に水と
反応させて得られる炭素数5〜7の単糖類及びヘキソー
スからなる2糖類、並びに多糖、オリゴ糖、炭素数5〜
7の単糖類又はヘキソースからなる2糖類を酸触媒の存
在下に低級アルコールと反応させて得られる低級アルキ
ルグリコシド及び低級アルキルポリグリコシドから選ば
れる糖類の1種又は2種以上を使用する。
【0010】ここで、炭素数5の単糖として、アラビノ
ース,リボース,キシロース,リキソース,キシルロー
ス,リブロース,2−デオキシリボース等が挙げられ、
炭素数6の単糖として、グルコース,ガラクトース,フ
ラクトース,マンノース,ソルボース,タロース,2−
デオキシグルコース,6−デオキシガラクトース,6−
デオキシマンノース,2−デオキシガラクトース等が挙
げられ、炭素数7の単糖として、アロヘプツロース,セ
ドヘプツロース,マンノヘプツロース,グルコヘプツロ
ース等が挙げられる。
【0011】ヘキソースからなる2糖類としては、マル
トース,シュクロース,ソホロース等が挙げられる。
【0012】低級アルキルグリコシド、低級アルキルポ
リグリコシドとしては、メチルグルコシド,エチルグル
コシド,プロピルグルコシド,メチルフラクトシド,メ
チルマンノシド,メチルマルトシド,メチルラクトシド
等のグリコシド類、メチルマルトシド,メチルイソマル
トシド等のポリグリコシド類や6−O−メチルグルコー
ス,6−O−メチルフラクトース等の糖エーテル類が挙
げられる。この場合、糖類と一価アルコールとのエーテ
ル結合位置は特に制限されず、いずれの位置でも良い。
なお、アルキルグリコシド類は、上記糖類のヘミアセタ
ール(アノマー)性水酸基にアルキル基をアグリコンと
して有するものが使用され、またヘミアセタール(アノ
マー)性水酸基のアルキル置換後の立体配置がα,β各
々単独のもの又はα及びβが任意の割合で混合している
もののいずれも使用することができる。
【0013】上述した糖類の中では、特にグルコース,
フラクトース,ガラクトース,マンノース,マルトー
ス,シュクロース,メチルグルコシド,エチルグルコシ
ド,プロピルグルコシド,ブチルグルコシド,メチルフ
ラクトシド,メチルポリグルコシド(マルトシド,イソ
マルトシド)が好適に用いられる。
【0014】なお、上記単糖類、2糖類と低級アルキル
グリコシド、低級アルキルポリグリコシドとを併用する
ことにより、その併用比率に応じた比率でしかも生成効
率よくそれぞれの脂肪酸エステルを同時に混合物として
合成することができる。
【0015】本発明において、上記単糖類及び2糖類
は、その種類に応じた多糖又はオリゴ糖を使用し、これ
を酸触媒の存在下に水と反応して得られたものを使用
し、また、上記低級アルキルグリコシド及び低級アルキ
ルポリグリコシドは、同様にその種類に応じた多糖、オ
リゴ糖、単糖類又は2糖類を使用し、これを酸触媒の存
在下に低級アルコールと反応して得られたものを使用す
る。
【0016】なお、これらの反応は、公知の方法、条件
によって行うことができる。酸触媒としても公知のもの
が使用し得、例えば硫酸やベンゼンスルホン酸、キシレ
ンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの鉱酸や有機酸
が通常量で用いられる。また低級アルコールとしては、
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールな
どの炭素数1〜4のアルコールが用いられる。
【0017】本発明では、このようにして得られる糖類
から、上記酸触媒及び酸触媒由来物質を除去し、これら
不純物を実質的に含まない糖類を原料として使用する。
なお、酸触媒由来物質としては、例えばメタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコ
ールと硫酸を用いて低級アルキルグリコシドや低級アル
キルポリグリコシドを製造する場合、低級アルコールに
触媒量の濃硫酸を添加すると、低級アルコールを硫酸が
硫酸化し、直ちに対応する低級アルキル硫酸を生成する
が、このような低級アルキル硫酸を例示することができ
る。
【0018】糖類から上記残存酸触媒や酸触媒由来物質
を低減もしくは除去する方法としては、糖類を水溶液或
いは低級アルコール溶液として種々のイオン交換樹脂で
処理する方法、糖類の結晶を冷水又は冷低級アルコール
で充分洗浄せしめる方法、或いは多糖又はオリゴ糖を酸
触媒存在下、水中で低級アルコールと反応させて得られ
た反応液を種々のイオン交換樹脂で処理する方法など、
公知の方法で行うことが可能である。
【0019】なお、上記糖類中の酸触媒、酸触媒由来物
質の存在は、液体クロマトグラフィー、イオンクロマト
グラフィー、NMRなどで検知、定量可能である。本発
明で用いる原料糖類中には、上記酸触媒及び酸触媒由来
物質が実質的に含まれていないことが必要である。より
具体的には、原料糖類中の酸触媒及び酸触媒由来物質の
含有量は、上記分析方法で50ppm以下、好ましくは
20ppm以下、更に好ましくは10ppm以下、最も
好ましくはイオンクロマトグラフィーによる分析におい
て検出されないものである。なお、残存触媒及び触媒由
来物質の検出は、便宜的な方法として、糖類の水溶液の
電気伝導度(導電率)を測定することによっても検出可
能である。便宜的指標としての電気伝導度値は、糖類2
0重量%水溶液(測定温度25℃)においては、50μ
s/cm以下、好ましくは20μs/cm以下、更に好
ましくは5μs/cm以下、最も好ましくは1μs/c
m以下であることが望ましい。
【0020】本発明の糖脂肪酸エステルの製造方法に使
用する他方の原料は、脂肪酸又は脂肪酸の低級アルコー
ルエステルである。脂肪酸は、炭素数6〜22の飽和も
しくは不飽和で直鎖もしくは分岐鎖脂肪酸であり、この
ような脂肪酸であれば、水酸基,カルボニル基,フェニ
ル基等で置換されたものでも良い。具体的には、脂肪酸
としてカプロン酸,ソルビン酸,カプリル酸,カプリン
酸,ラウリン酸,ミリスチン酸,パルミトレイン酸,パ
ルミチン酸,ステアリン酸,イソステアリン酸,オレイ
ン酸,リノール酸,リノレン酸,ペンタデカン酸,エイ
コサン酸,ドコサン酸,ドコセン酸,アラキドン酸,リ
シノレイン酸,ジヒドロキシステアリン酸等を使用する
ことができる。
【0021】脂肪酸のエステルとしては、上記炭素数6
〜22の脂肪酸と低級アルコール、例えばメタノール,
エタノール,プロパノールとのエステルを使用するもの
であり、具体的にはカプロン酸メチル,カプロン酸エチ
ル,カプリン酸メチル,カプリン酸エチル,ラウリン酸
メチル,ラウリン酸エチル,ラウリン酸プロピル,ミリ
スチン酸メチル,ミリスチン酸エチル,ミリスチン酸プ
ロピル,パルミチン酸メチル,パルミチン酸エチル,パ
ルミチン酸プロピル,ステアリン酸メチル,ステアリン
酸エチル,ステアリン酸プロピル,オレイン酸メチル,
オレイン酸エチル,オレイン酸プロピル,リノール酸メ
チル,リノール酸エチル,リノール酸プロピル,リノレ
ン酸メチル,リノレン酸エチル,リノレン酸プロピル,
エイコサン酸メチル,アラキドン酸メチル,ドコサン酸
メチル,ドコセン酸メチル等が例示される。
【0022】本発明において、上記両原料の使用量は適
宜選定されるが、通常糖類1モルに対して脂肪酸類0.
9〜20モルが使用され、好ましくは1〜10モル、更
に好ましくは2〜5モルである。この場合、脂肪酸類の
モル比を上げると反応速度が増大するが、20モルを超
えて使用しても反応速度はそれ以上増大せず、従って経
済的見地から脂肪酸類の使用量は20モル以下とするこ
とが好ましい。なお、本発明においては、糖類に対して
脂肪酸類を過剰に使用しても、モノエステルが優先して
得られ、ジエステル等の多置換体の副生が極めて低く抑
えられる。
【0023】本発明は、上記両原料を加水分解酵素を用
いて反応させるものである。ここで使用される加水分解
酵素としては、豚膵臓リパーゼ,キャンディダ属由来の
酵母リパーゼ,アスペルギルス属,ムコール属,シュー
ドモナス属由来の菌体リパーゼ等のリパーゼ類、豚肝臓
由来のエステラーゼ,トリプシン,キモトリプシン,サ
ブチリシン等のプロテアーゼなどが挙げられる。また勿
論、これらの酵母などのDNAを宿主に導入し、該宿主
に生産させたリパーゼなどであってもよい。これらの中
で、特に耐熱性を有し、また加水分解活性がpH5〜1
0、より好ましくは5.5〜9.5の範囲で最大値を有
するものが好ましい。
【0024】例えば、耐熱性加水分解酵素としては、酵
素粉末50mgを0.4mlのリン酸バッファー(0.
1M,pH7)に溶解し、70℃で30分間加熱した後
の残存活性が40%以上、好ましくは80%以上、更に
好ましくは95%以上の耐熱性を有するものであれば種
々のものを使用でき、特表平1−501120号公報記
載のリパーゼなどが好適に用いられる。具体的には、キ
ャンディダ・アンタークティカ(Candida an
tarctica)由来の耐熱性リパーゼ、キャンディ
ダ・ツクバエンシス(Candida tsukuba
ensis,ATCC 24555)由来の耐熱性リパ
ーゼ、キャンディダ・アウリクラリアエ(Candid
a auriculariae,ATCC 2412
1)由来の耐熱性リパーゼ、キャンディダ・フミコーラ
(Candida humicola,ATCC 14
438)由来の耐熱性リパーゼ、キャンディダ・フォリ
アルム(Candida foliarum,ATCC
18820)由来の耐熱性リパーゼ、ムコール・マイ
ハイ(Mucor miehei)由来の耐熱性リパー
ゼなどを挙げることができる。また、耐熱性プロテアー
ゼとしては、バチルス・サーモブロテオリキサス由来の
もの(サーモライシン ,商標)、サームス・アクアティ
カスYT−G由来のもの(アクアライシン ,商標)など
が用いられるが、勿論これらに限られるものではない。
【0025】なお、これらの加水分解酵素は精製品でも
粗製品でもよく、更に加水分解酵素を生成する菌体(処
理菌体、休止もしくは静止菌体)の乾燥品を使用するこ
ともできる。
【0026】上記加水分解酵素は、固定化して用いるこ
とができるが、その固定化方法としては、担体結合法、
架橋法、包括法のうちいずれの方法を採用してもよい。
特には、担体結合法が好適に採用できる。
【0027】固定化担体として具体的には、活性炭,多
孔性ガラス,酸性白土,漂白土,カオリナイト,アルミ
ナ,シリカゲル,ベントナイト,ヒドロキシアパタイ
ト,リン酸カルシウム,金属酸化物等の無機物質、デン
プン,グルテン等の天然高分子化合物、ポリエチレン,
ポリプロピレン,フェノールホルマリン樹脂,アクリル
樹脂,アニオン交換樹脂,カチオン交換樹脂等の合成高
分子物質などを挙げることができるが、本発明では特に
物理的形態として多孔性を有する合成高分子物質、例え
ば多孔性ポリエチレン,多孔性ポリプロピレン,多孔性
フェノールホルマリン樹脂,多孔性アクリル樹脂が最も
好ましく用いられる。なお、本発明では、酵素の活性発
現を阻害しないものであれば上記以外の種々の固定化担
体を使用しても何ら差し支えない。
【0028】固定化担体に対し固定化される加水分解酵
素量は、通常固定化担体1gに対して0.1〜500m
gの蛋白質量、特に加水分解酵素が蛋白質中に2〜50
%程度含まれている蛋白質を固定化したものが好適であ
る。
【0029】本発明において上記加水分解酵素の使用量
は、特に限定されないが、上記糖類1重量部に対し好ま
しくは0.02〜1重量部、より好ましくは0.05〜
0.8重量部、更に好ましくは0.08〜0.6重量部
である。酵素量が少なすぎると反応速度が遅くなる傾向
が生じ、一方酵素量が多すぎるとジエステル以上のポリ
エステルの副生成率が多くなる傾向にある。
【0030】糖類と脂肪酸類とを加水分解酵素を用いて
酵素反応させる際、反応条件は適宜調整し得、低温でも
反応は進行するが、反応速度を速めるため、40℃以
上、特に50〜100℃、より望ましくは60〜90℃
の温度で反応させることが好ましく、この温度条件で反
応を行うと通常2〜10時間という短時間で転化率90
%以上において反応を完結することができる。
【0031】上記酵素反応において、溶媒の使用は必須
ではなく、無溶媒で反応を行わせることもでき、溶媒を
用いても差し支えない。
【0032】溶媒としては、この種の反応に公知のもの
を使用することができ、特に制限されるものではない
が、アセチルアセトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレ
ン、γ−ブチロラクトンや下記式で示される複素芳香族
化合物が好ましく用いられる。
【0033】
【化1】 (但し、Rは炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキ
ル基又はアルケニル基である。)
【0034】このような複素芳香族化合物として具体的
には、α−ピコリン,β−ピコリン,γ−ピコリン,2
−エチルピリジン,3−エチルピリジン,4−エチルピ
リジン,2−ビニルピリジン,4−ビニルピリジン,2
−イソプロピルピリジンなどが挙げられる。
【0035】なお、溶媒の使用量は適宜選択されるが、
糖類に対して1〜10重量倍、特に2〜6重量倍が好ま
しい。
【0036】本発明方法により糖脂肪酸エステルを製造
する際は、例えば基質液と加水分解酵素を反応槽に導入
し、撹拌、振盪により反応を行う方法(回分式)、前記
回分式で反応を連続的に行う方法(連続撹拌槽式)等を
採用して行うことができる。
【0037】また、本発明方法では、酵素反応により水
又は低級アルコールが副生するが、この場合、この副生
物の系中濃度が0.5重量%以下、特に0.1重量%以
下となるように副生物を除去することが効率よく反応を
進めるために好ましい。これら副生物を除去する方法と
しては、例えばゼオライト,モレキュラーシーブス,芒
硝等を反応系外及び/又は反応系内で用いて吸着除去す
る方法、乾燥空気や不活性ガスを反応槽中に導入して気
体中に蒸発させて除去するか、あるいは反応槽内を減圧
にし、蒸発させて反応槽外に排出する方法等が挙げら
れ、これら除去方法を前述の酵素反応装置と適宜組み合
わせると効率よく合成反応を行うことができる。
【0038】ここで、分縮器を用いる場合、反応中の真
空度、分縮器の冷媒の温度及びコールドトラップの冷媒
温度は、反応温度における反応溶媒の蒸気圧と反応進行
と共に副生してくる水又は低級アルコールの蒸気圧を勘
案して選定されるが、反応速度の観点からは冷媒の適切
な温度調節によって反応溶媒のみの還流が可能である限
り、反応中の真空度は高い方が望ましい。真空度は反応
溶媒の種類、その他反応条件により適宜選ばれ、実用的
に200Torr以下が採用される。
【0039】なお、得られた反応混合物は常法に従って
精製し得、また、反応混合物中に含まれる未反応脂肪酸
類はこれを分離、回収し、再使用することができる。
【0040】本発明では、酵素を失活させることなく反
応を実施し得るため、長時間の連続反応や繰り返し回分
反応を支障なく行うことができるので、工業的に極めて
有利である。
【0041】このようにして得られた糖脂肪酸エステル
は、いずれも優れた界面活性能を有し、各種分野に有効
に使用されれる。
【0042】
【実施例】以下、実施例と比較例を示して本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるもの
ではない。
【0043】〔実施例1〜2、比較例1〜4〕撹拌器、
温度計、水銀マノメータ及び還流冷却器を備えた四つ口
丸底フラスコに、表1に示す各種のメチルグルコシド、
カプリル酸メチル、β−ピコリン及びキャンディダ・ア
ンタークティカ由来の耐熱性リパーゼをアクリル樹脂に
固定化したもの(固定化リパーゼ,NOVO社製)をカ
プリル酸メチル/メチルグルコシド=4(モル比)、β
−ピコリン/メチルグルコシド=4(重量比)、固定化
リパーゼ/メチルグルコシド=0.1(重量比)の条件
で仕込み、上記還流冷却器の出口にドライアイス・アセ
トントラップ、真空ポンプを接続し、減圧下に70℃で
反応を行った。この場合、還流冷却器の冷却水温度は反
応溶媒のβ−ピコリンのみを還流し、反応進行と共に副
生してくるメタノール及び微量含まれる水はトラップで
補集するため、真空度を考慮して25℃とした。
【0044】反応操作開始後、反応器内混合液を適時採
取し、生成物を常法によりアセチル化し、ガスクロマト
グラフィーにて分析を行い、メチルグルコシドの転化率
を算出した。結果を図1に示す。
【0045】この結果が示すように、メチル硫酸イオン
やp−トルエンスルホン酸イオンを多く含むメチルグル
コシドほど反応速度が遅い。この傾向は原料の水溶液の
電気電気伝導度にも反映されていることが認められる。
【0046】
【表1】
【0047】〔実施例3〕固定化リパーゼ/メチルグル
コシド=0.05(重量比)とした以外は実施例1と同
様にして反応を行った。反応が終了した後、室温雰囲気
下一夜放置して固定化酵素を沈降させた。次いで、上澄
みの反応液のみをピペットを用い、固定化酵素がピペッ
トに混入する直前の深さまで注意深く回収した。
【0048】次に、固定化酵素及び少量の反応液が残っ
ている四つ口丸底フラスコに表1記載のメチルグルコシ
ド(サンプルD)、カプリル酸メチル及びβ−ピコリン
を実施例1と同じ量で仕込み、酵素の繰り返し使用2回
目の反応を実施例1と同様に行った。
【0049】以下、上記と同様にして酵素を繰り返し使
用し、所定回数の反応を行った。結果を図2に示す。
【0050】このように、低級アルキルグルコシド製造
時の酸触媒及び酸触媒由来物質を実質的に除去した低級
アルキルグルコシドは、良好な酵素寿命を維持し続ける
ことが認められた。
【0051】〔比較例5〕毎回の原料仕込みのとき、p
−トルエンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業(株)
製)をメチルグルコシド仕込み量に対し、重量比で2%
仕込んだ以外は、実施例3と同様に反応を行った。結果
を図2に示す。
【0052】〔比較例6〕メタノールをコーンスターチ
(水分13重量%)に対し4重量倍、触媒としてp−ト
ルエンスルホン酸をコーンスターチに対し2重量%の割
合でオートクレーブに仕込み、150℃,2時間反応さ
せた。抜き出した反応液をNaOH水溶液で中和、濾過
し、過剰のメタノール及びコーンスターチ持ち込みの水
をエバポレーターにて留去させた。
【0053】こうして得られたメチルグルコシドを用
い、実施例1と同様の条件で反応を行った。結果を図3
に示す。
【0054】〔比較例7〕メチルグルコシド製造時の触
媒であるp−トルエンスルホン酸をコーンスターチに対
し1重量%用い、150℃,4時間反応して得られたメ
チルグルコシドを使用した以外は比較例6と同様の処理
及び条件でメチルグルコシドカプリル酸エステルの合成
反応を行った。結果を図3に示す。
【0055】〔比較例8〕メチルグルコシド製造時の触
媒としてH2SO4をコーンスターチに対し2重量%用
い、130℃,2時間反応して得られたメチルグルコシ
ドを使用した以外は比較例6と同様の処理及び条件で該
エステルの合成を行った。結果を図3に示す。
【0056】〔比較例9〕メチルグルコシド製造時の触
媒としてH2SO4をコーンスターチに対し1重量%用い
た以外は比較例8と同様に行った。結果を図3に示す。
【0057】〔比較例10〕メチルグルコシド製造時の
触媒としてH2SO4をコーンスターチに対し0.5重量
%用い、130℃,4時間反応して得られたメチルグル
コシドを使用した以外は比較例6と同様の処理及び条件
で該エステルの合成を行った。結果を図3に示す。
【0058】〔実施例4、比較例11,12〕メタノー
ル、コーンスターチ及びp−トルエンスルホン酸をメタ
ノール/コーンスターチ=4(重量比)、p−トルエン
スルホン酸/コーンスターチ=0.02(重量比)の比
率でオートクレーブに仕込んだ。150℃で2時間反応
させた後、反応液を5℃に冷却した。析出したα−メチ
ルグルコシドを濾過により回収し、乾燥処理を行って少
量含まれるメタノールを除去した。こうして得られたα
−メチルグルコシド(サンプルG)の性状を表2に示
す。
【0059】サンプルGの50重量%水溶液を調製し、
濾過後弱塩基性アニオン交換樹脂(三菱化成工業(株)
製,ダイヤイオンWA−30のOH型)で処理した。こ
の処理液から水を留去して得られたα−メチルグルコシ
ド(サンプルH)の性状を表2に示す。
【0060】サンプルGの50重量%水溶液を調製し、
濾過後、まず強酸性カチオン交換樹脂(三菱化成工業
(株)製,ダイヤイオンPA−216のOH型)で処理
を行い、次にその処理液を弱塩基性アニオン交換樹脂
(三菱化成工業(株)製,ダイヤイオンWA−30のO
H型)で処理した。この処理液から水を留去して得られ
たα−メチルグルコシド(サンプルI)の性状を表2に
示す。
【0061】
【表2】
【0062】これらのメチルグルコシドを用い、カプリ
ル酸メチル/メチルグルコシド=3(モル比)、β−ピ
コリン/メチルグルコシド=2(重量比)、固定化リパ
ーゼ(実施例1と同じもの)/メチルグルコシド=0.
05(重量比)の条件で実施例1及び実施例3と同様に
反応を行った。なお、反応に用いたメチルグルコシド
は、比較例11ではサンプルG、比較例12ではサンプ
ルH及び実施例4ではサンプルIを使用した。結果を図
4に示す。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、加水分解酵素を失活さ
せることなく反応を実施し得るため、長時間の連続反応
や繰り返し回分反応を支障なく行うことができ、工業生
産上有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】種々の酸触媒及び酸触媒由来物質含有量を有す
るメチルグルコシドを用いた場合の反応時間と転化率と
の関係を示すグラフである。
【図2】酸触媒及び酸触媒由来物質を実質的に含有しな
いメチルグルコシドと含有するメチルグルコシドを用い
た場合における加水分解酵素の繰り返し使用回数と転化
率95%に到達するまでの時間との関係を示すグラフで
ある。
【図3】酸触媒及び酸触媒由来物質を含有するメチルグ
ルコシド(比較例)を用いた場合の反応時間と転化率と
の関係を示すグラフである。
【図4】酸触媒及び酸触媒由来物質を実質的に含有しな
いメチルグルコシドと含有するメチルグルコシドを用い
た場合における加水分解酵素の繰り返し使用回数と転化
率95%に到達するまでの時間との関係を示すグラフで
ある。
フロントページの続き (72)発明者 植村 慎午 東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオ ン株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多糖又はオリゴ糖を酸触媒の存在下に水
    と反応させて得られる炭素数5〜7の単糖類及びヘキソ
    ースからなる2糖類、並びに多糖、オリゴ糖、炭素数5
    〜7の単糖類又はヘキソースからなる2糖類を酸触媒の
    存在下に低級アルコールと反応させて得られる低級アル
    キルグリコシド及び低級アルキルポリグリコシドから選
    ばれる糖類の1種又は2種以上と、炭素数6〜22の飽
    和及び不飽和脂肪酸並びにこれら脂肪酸の低級アルコー
    ルエステルから選ばれる脂肪酸類の1種又は2種以上と
    を加水分解酵素の存在下に反応させて、糖類の脂肪酸エ
    ステルを製造するに当たり、上記糖類中に含まれる酸触
    媒及び酸触媒由来物質を実質的に存在しない量まで除去
    した後、該糖類を反応に供することを特徴とする糖類の
    脂肪酸エステルの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7524798B2 (en) 2001-08-07 2009-04-28 Sudzucker Aktiengesellschaft Fuchs Petrolub Ag Use of a polyster composition as a hydraulic fluid
US7626006B2 (en) 2004-05-22 2009-12-01 Goldschmidt Gmbh Process for preparing alkylglycosides

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US7524798B2 (en) 2001-08-07 2009-04-28 Sudzucker Aktiengesellschaft Fuchs Petrolub Ag Use of a polyster composition as a hydraulic fluid
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