JPH0863814A - 光磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

光磁気記録媒体の製造方法

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JPH0863814A
JPH0863814A JP19980494A JP19980494A JPH0863814A JP H0863814 A JPH0863814 A JP H0863814A JP 19980494 A JP19980494 A JP 19980494A JP 19980494 A JP19980494 A JP 19980494A JP H0863814 A JPH0863814 A JP H0863814A
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Kazuoki Motomiya
一興 本宮
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低外部磁界下においても良好な磁界変調記録
が可能で光変調記録方式でも磁性感度の良い光磁気記録
媒体が得られる光磁気記録媒体の製造方法を提供する。 【構成】 基板上に、第1無機誘電体層とキュリー温度
が高く保磁力が小さい膜面に垂直方向に磁化容易軸を有
するGdFeCoからなる第1磁性層と、該磁性層に隣
接して配置され磁気的に交換結合した相対的にキュリー
温度低く保磁力が大きいTbFeCoからなる第2磁性
層と反射層、該磁性層と反射層との間に第2無機誘電体
層を有する光磁気記録媒体の製造方法において、前記磁
性層がマグネネトロンスパッタリング法により形成さ
れ、スパッタ圧が0.2〜0.4Paで、かつ該2つの
磁性層の成膜間隔が3〜300秒であることを特徴とす
る光磁気記録媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光磁気記録媒体、特
に、磁気光学効果を利用してレーザーにより情報の記録
・再生を行なう光磁気記録媒体の製造方法に関し、特に
低外部磁界下においても良好な磁界変調記録が可能な光
磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、書き換え可能な高密度記録方式と
して半導体レーザー光等の熱エネルギーを用いて磁性薄
膜に磁区を書き込んで情報を記録し、磁気光学効果を用
いてこの情報を読み出す光磁気記録媒体が注目されてい
る。
【0003】この光磁気記録媒体に使用される磁性材料
としては、Gd,Tb,Dy等の希土類元素とFe,C
o等の鉄族遷移金属とを組み合わせた非晶質合金膜が代
表的なものである。
【0004】光磁気記録媒体において、キュリー温度が
低くて記録が容易でしかも保磁力が高くて保存安定性が
高く、さらに磁気光学カー回転角が大きく読み出し特性
のよい単一の磁性材料を見いだすことは、困難である。
そのために必要な機能を分離して2つの異なる磁性材料
を積層した光磁気記録媒体が提案されている(特開昭5
7−78652号、特開昭60−177455号、特開
平1−133243号)。
【0005】また、そのような媒体において、高保磁力
層として室温とキュリー温度との間に補償温度を有する
希土類−鉄族非晶質合金を用いた媒体も提案されてい
る。近年、大容量である光磁気ディスクにおいて使用さ
れている記録方式は、CAV(一定回転数)で記録マー
ク長がディスクの内周と外周で異なる方式である。今
後、さらに大容量化が望まれているが、それに対応する
記録方式としてM−CAV(Modifeid CAV)がある。こ
れは、一定のマーク長で記録する方式である。即ち、デ
ィスクの内外周で(線速が異なる)、記録周波数を変え
る方式である。また、“0”,“1”の情報を記録され
たピットの端部に対応させるピットエッジ記録方式も提
案されている。
【0006】このM−CAV方式に対応できる媒体とし
ては磁性層の膜厚を薄くしたものが好適である。しかし
このような媒体は光磁気信号が低下するのでカー回転角
を大きくするために反射膜を設ける方法が考えられてい
る。例えば特開昭60−25036に示すような反射膜
を設けた反射膜構造の交換結合2層膜を用いた記録媒体
が提案されている。
【0007】光磁気記録媒体の記録方式には、常に弱い
直流外部磁界を印加し、信号の有無に応じてレーザー光
を照射する光変調方式と、常に一定強度のレーザー光を
照射し、信号の有無に応じて外部磁界を反転させる磁界
変調方式とがある。光変調方式については、装置構成が
比較的簡単で済むため早くから研究が行なわれてきた。
しかし、既に記録された部分に重ねて再記録を行なうオ
ーバーライトが不可能であり、新しい情報を書き込むた
めには磁化の向きを一定方向に揃えるための消去動作が
必要となる。その分だけ書き込み速度が遅くなるという
欠点を有している。
【0008】一方の磁界変調方式は、装置構成は、やや
複雑となるもののオーバーライトが可能でコンピュータ
用ハードディスクに匹敵する高速記録が可能なことか
ら、実用上の期待も大きく開発が進められている。
【0009】ところで、磁界変調方式により高密度記録
を行なおうとする場合、外部磁界の印加手段としては、
磁界を極めて高速に反転させることが可能な高周波マグ
ネットが使用されるが、かかるマグネットにより大きな
外部磁界を発生させることは困難である。また、そもそ
も磁界変調方式の場合、磁気記録と異なり磁界を小さく
絞り込む必要がないために媒体表面とマグネットとの間
のスペーシングを磁気記録と比べて1桁以上大きく確保
することができる反面、このためやはり有効外部磁界が
弱くなる。
【0010】したがって、従来、主として光変調方式用
に開発されてきた光磁気記録媒体を磁界変調方式にその
まま適用しようとしても、低外部磁界下における記録再
生特性が不十分であり実用に耐えるものとはならない。
【0011】この問題を解決するためには、光磁気記録
媒体が低外部磁界下において磁化反転を起こし易いもの
にすることが不可欠である。そこで特開平4−2812
39のように磁性層がGdFeCoとTbFeCoから
なる光磁気記録媒体が提案されている。この媒体におけ
る磁性層の合計厚さは200〜300オングストローム
である。
【0012】
【発明が解決しようとしている課題】特開平4ー281
239に開示された媒体に情報の記録が行なわれる時に
は、相対的にキュリー温度が高い第1磁性層に情報が先
ず記録されその情報が第1磁性層から第2磁性層に転写
されるので、情報が確実にしかも低外部磁界で転写され
るためには両層の間に大きな交換結合力σw即ち界面磁
壁エネルギーが働くことが必要である。前記公報に開示
されている交換結合力σwは、1.6erg/cm2
2erg/cm2 である。この交換結合力では、所望の
磁界感度、エラーレート、再生耐久性等の記録再生特性
が得られないという問題点があった。
【0013】本発明の目的は、低外部磁界下においても
良好な記録再生特性を発揮する磁界変調記録用の光磁気
記録媒体の製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、基
板上に、第1無機誘電体層とキュリー温度が高く保磁力
が小さい膜面に垂直方向に磁化容易軸を有するGdFe
Coからなる第1磁性層と、該磁性層に隣接して配置さ
れ磁気的に交換結合した相対的にキュリー温度が低く保
磁力が大きいTbFeCoからなる第2磁性層と、反射
層、該磁性層と反射層との間に第2無機誘電体層を有す
る光磁気記録媒体の製造方法において、前記各磁性層が
マグネトロンスパッタリング法により形成され、スパッ
タ圧が0.2〜0.4Paで、かつ該2つの磁性層の成
膜間隔が3〜300秒であることを特徴とする光磁気記
録媒体の製造方法によって達成される。
【0015】以下、図を用いて本発明を詳細に説明す
る。
【0016】図1は、本発明の製造方法にて製造される
光磁気記録媒体の1実施態様の構成を示す模式図であ
る。図中、1は、ガラスあるいはプラスチックからなる
光学的透明基板を示す。この基板1上には干渉効果と腐
食防止効果を得るための、SiNx 等の無機誘電体から
なる第1無機誘電体層2が設けられている。さらに、第
1磁性層3と、この第1磁性層3よりも大きい保磁力と
低いキュリー温度とを有する第2磁性層4が形成されて
いる。さらに、磁性層の腐食を防止するためと干渉効果
を生み出すためにSiNx 等の誘電体層である第2無機
誘電体層5と金属の反射層6が設けられている。これら
の膜は、真空を破らずに連続に成膜されることが望まし
い。その後、紫外線硬化樹脂等の保護コート7が形成さ
れる。基板1の材料としては、ポリカーボネート、PM
MA、ガラス2P(ガラス基板上に光重合法によりグル
ープやピット等の凹凸を有する光硬化樹脂層が形成され
た基板)等が使用可能である。
【0017】第1及び第2無機誘電体層は、耐食性の向
上や多重反射によるカー回転角の増大を目的として設け
られるものである。材料としては、SiN,SiO,S
iC等が用いられる。さらに、反射層は上記磁性層及び
各誘電体層を透過したレーザー光をも反射させることに
よりカー効果にファラデー効果を相乗させ、回転角を大
きくするために設けられる。通常、Al,Cu,Ag等
の金属が用いられる。耐食性を向上させるためにCr,
Al,Ti,Ta等の元素を添加してもよい。
【0018】第1磁性層の磁性材料は、希土類元素であ
るGdと鉄族遷移金属であるFe,Coが主体のGdF
eCoてある。GdFeCoはキュリー温度が高く保磁
力は小さい。また、耐食性を向上させるためにCr,A
l,Ti,Ta等の元素を添加してもよい。
【0019】第2磁性層の磁性材料は、希土類元素であ
るTbと鉄族遷移金属であるFe,Coが主体のTbF
eCoである。TbFeCoはキュリー温度が低く保磁
力は大きい、また、垂直磁気異方性大きく最小安定磁区
サイズが小さい。また耐食性を向上させるためにCr,
Ti,Ta等の元素を添加しても良い。この第2磁性層
は第1磁性層より大きな保磁力と垂直磁気異方性を有し
ている。この第2磁性層は、第1磁性層と交換結合によ
り磁気的に結合している。なお、第1及び第2磁性層は
光の入射方向に対してどちらの層が先に形成されてもよ
い。
【0020】このような光磁気記録媒体に対する書き込
み方法としては、光ビームの他、針形磁気ヘッド、熱ペ
ン等反転磁区を生じさせるのに必要なエネルギーを供給
できるものであれば、いかなるものでもよい。
【0021】第1磁性層の膜厚が100オングストロー
ムより薄いとスパッタ膜の場合連続膜とならないし磁性
膜の磁気特性の安定性が悪くなったり、製造時のばらつ
きにより本来の磁気特性が得られなかったり、第1磁性
層から第2磁性層への磁区の転写が確実に行なわれなか
ったりする等が生じるため、膜厚は100オングストロ
ーム以上が望ましい。
【0022】第2磁性層の膜厚が200オングストロー
ムより薄いと記録ノイズが増加するためCN比が悪くな
るので、膜厚は200オングストローム以上が望まし
い。
【0023】さらに第1磁性層と第2磁性層の合計膜厚
は、記録感度、線速度依存性の点から300〜400オ
ングストロームが望ましい。
【0024】第1磁性層の保磁力が小さいので、最小安
定磁区サイズが大きいため、第1磁性層の膜厚が第2磁
性層の膜厚より大きいとサブμmの小さいビットを安定
に記録し保存できない。サブμmのビットを安定に記
録、保存するためには、保磁力の大きな第2磁性層の膜
厚を第1磁性層の膜厚より厚くする。第1磁性層の膜厚
の第2磁性層の膜厚に対する比率は、25〜50%が望
ましい。
【0025】磁界変調記録におけるビット形成の要因と
して、外部磁界、記録時の反磁界、浮遊磁界、ブロッホ
磁壁エネルギー、磁性膜の保磁力、磁化等が挙げられ、
ビットが安定に形成されるのは、前記要因が関係してい
るゼーマンエネルギー、静磁エネルギー、異方性エネル
ギー、磁壁エネルギー、保磁力エネルギー等のバランス
がとれた場合である。これらのエネルギーは、磁性膜の
材料、膜厚、飽和磁化により変化し、かつ、光磁気記録
が熱磁気記録であるため、温度分布が存在することによ
る磁壁エネルギー、保磁力、磁化に空間分布がある。し
たがって、ビット形成過程は複雑で理解されていない。
【0026】上述の光磁気媒体において、外部磁界強度
を決定する要因が挙げられるが、一般にビットが形成さ
れる場合、そのビットの周囲から浮遊磁界が存在し、記
録方向に作用しているその大きさだけ見かけ上外部磁界
強度が大きくなった場合と同等になる。その場合、ゼー
マンエネルギーが大きくなり、記録されるビットの大き
さが、大きくなる。即ち、エッジシフトが起きる。
【0027】したがって、ジッターを小さくするため、
磁界変調記録においてビットエッジ間隔を所望の大きさ
にするためには、最小記録ビットの大きさが同じになる
ようにしなければならない。そのために記録方向に作用
する浮遊磁界が小さくなるようにする。浮遊磁界強度
は、磁性層の飽和磁化、膜厚の積、即ち、磁気モーメン
トの大きさに比例し、その磁気モーメントからの距離の
関数で近いほど大きい。一般には、着目している位置以
外の全ての磁気モーメントからの影響を考慮し、積分の
形で表現される。よって、記録時に温度が低い箇所から
の浮遊磁界を少なくするには、飽和磁化の大きさを小さ
くする。以下に、上述の媒体における記録過程を説明す
る。
【0028】第1磁性層のキュリー点TC1が、第2磁
性層のキュリー点TC2より高く設定されており、レー
ザー光が磁性層に照射されて媒体温度がTC1より高く
なる第1磁性層と第2磁性層の磁化は消失し、冷却によ
り媒体温度Tが、TC1以下になったところで第1磁性
層に磁化が現われる。このとき、第1磁性層のある微小
領域が外部磁界と反対に向こうとしても、第1磁性層の
保磁力が小さいため不安定であり、最小安定磁区サイズ
は大きい。
【0029】そのため、上記微小領域は消滅する。しか
し、第1磁性層のキュリー温度が高いため、冷却時に現
われる磁化による浮遊磁界による影響があり、かなり小
さい低磁界下で磁気エネルギーのバランスに膜のムラが
影響し均一なビットが形成されるとは必ずしも言えな
い。自ずと最小外部磁界強度には限界がある。このこと
から、わかるように第1磁性層のキュリー温度近傍にお
ける磁化の大きさが重要であり、浮遊磁界の大きさに影
響する。よって、この磁化の大きさが小さい方がよい。
この条件を満足するのは室温において第1磁性層の飽和
磁化が遷移金属副格子磁化優勢で190〜260emu
/ccであることが望ましい。第1磁性層のキュリー温
度が、高いと記録時の温度近傍における飽和磁化の大き
さが室温よりかなり大きくなるため、浮遊磁界が大き
い。したがって、第1磁性層のキュリー温度は300℃
以下が好ましい。しかし、第2磁性層のキュリー温度と
の差が60℃より小さいと第1磁性層に均一な記録領域
が形成されないため、外部磁界の低減が達成されない。
例えば、第1磁性層の材料に耐食性を向上させるため
に、Crを添加した場合、キュリー温度が低下するので
Coで補正する。しかし、Crを多量に添加するとCo
を添加してキュリー温度を補正しても異方性が低下する
のでカー回転角が低下する等による限界があり、添加量
としては、2〜5atm%が好ましい。キュリー温度
は、遷移金属中のCo量が同じであっても、飽和磁化つ
まり、組成によってキュリー温度は、変化し希土類金属
副格子磁化優勢で遷移金属の量が少なくなると低下す
る。
【0030】第1磁性層に用いられるGdFeCoのキ
ュリー温度は高いため、正確に測定するのは難しい。一
般に、GdFeのキュリー温度は約220℃、Feの一
部をCoで置換するとCo1atm%につき、キュリー
温度が約6℃上昇すると言われている。
【0031】第1磁性層の記録領域を決めるのは、第2
磁性層との交換結合が消失している媒体温度TがTC2
以上の領域である。この領域の境界は、第2磁性層の異
方性が大きいため最小安定磁区サイズが小さい。その結
果、反転領域の境界が明瞭で温度分布を綺麗に反映した
形状となる。しかし、第1磁性層に記録領域が形成され
るとき、外部磁界以外に磁性層からの浮遊磁界が大きい
場合、それが記録方向に作用していると先に述べたよう
に、記録ビットサイズが大きくなる。その結果、エッジ
シフトが起こる。エッジシフトを小さくするため、室温
における飽和磁化を小さくし浮遊磁界を小さくする。記
録時の主な浮遊磁界は膜厚が厚い第2磁性層によるもの
である。
【0032】また磁性層の膜厚が薄くなった場合、交換
結合の大きさが大きいため、第1磁性層の磁化の向きと
第2磁性層の磁化の向きが反対になっている状態にする
ことができない。両層の磁化の向きは同じで、磁化反転
は第1磁性層、第2磁性層同時に起こる。したがって、
この両層の磁化の向きを反対になるように交換結合させ
る手法により浮遊磁界を下げることはできない。
【0033】以上述べたような理由から第2磁性層の飽
和磁化を希土類副格子磁化優勢で100emu/cc以
下にすることが望ましい。
【0034】その後、さらに冷却されて上記媒体温度T
がTC2以下になると第2磁性層に磁化が現われるが、
この磁化の方向は第1磁性層との交換結合により鉄族ス
ピンが同一方向へ揃う方向となる。この過程は、温度が
早く低くなるビットの外周から当然起こる。先に述べた
ように、第1磁性層のマイクロドメインのない均一な記
録ビットが既に形成されているため、交換結合力により
第2磁性層に第1磁性層のビット形状が転写される。
【0035】この転写過程において、交換結合力が不十
分であると第1磁性層の磁化が第2磁性層に確実に転写
されない。交換結合力は、最近接原子近傍にしか作用し
ない。
【0036】そのため、第1磁性層と第2磁性層との界
面には不純物はない方がよい。そこで、第1磁性層や第
2磁性層は高真空成膜装置を用いて真空中で連続に成膜
されている。第1磁性層と第2磁性層の界面に不純物が
存在しないようにするためには、超高真空装置が必要で
ある。
【0037】しかし、この装置は高価で成膜可能な面積
が小さいため生産装置には使用できない。光磁気記録媒
体の生産装置は、高真空装置をベースにしたスパッタ装
置が用いられている。高真空装置の到達真空度は、通常
5×10-5Pa以下であるが1×10-5Pa以下である
ことが望ましい。光磁気記録媒体の各層は、この真空度
で作成される。また、生産装置は各層が独立の真空室と
なっているスパッタ室から構成されている。即ち、イン
ラインタイプの連続成膜装置である。このような装置で
各層が順次成膜されるため、必然的に第1磁性層と第2
磁性層の成膜の間に真空装置間の搬送がある。したがっ
て、第1磁性層と第2磁性層の界面にはある程度の不純
物が存在する。そのため、界面近傍の磁気特性が変化し
交換結合力が弱くなる。極端な場合働かなくなる。この
不純物の量は、到達真空度と第1磁性層成膜後から第2
磁性層成膜まで時間に関係している。この場合、当然真
空室はリークが少ないものとする。高真空装置のリーク
量は、3×10-3Pa.L/sec以下好ましくは1×
10-4PaL/sec以下が望ましい。搬送時間は短い
ほどよいが、高速搬送には限界があるので、3秒より短
くすることは現実的に困難である。従ってこの時間は装
置規模によるが、3秒から300秒が望ましい。これよ
り長いと所望の磁気特性が得られず記録再生特性が悪く
なる。また、界面の不純物は磁性層の成膜条件にも関係
している。磁性層をスパッタで形成する場合、スパッタ
圧が高いとスパッタ粒子のエネルギーが小さくなるため
膜中及び界面に存在する不純物が多くなる。スパッタ圧
が高いとスパッタ粒子のエネルギーが大きいので膜の成
長時に基板表面を叩く状態となる。これをアトミックピ
ーニングと言う。この効果により不純物が少なくなる。
使用スパッタ圧は、装置によって異なる。0.1Pa〜
0.8Paである。通常のマグネトロンスパッタ装置
は、0.1Pa以下だと放電が不安定になるので0.2
Pa〜0.4Paが用いられる。ところで先に述べたよ
うに磁性層が薄い交換結合2層膜の場合は、2層が同時
に磁化反転するため交換力即ち界面磁壁エネルギーは測
定できない。界面磁壁エネルギーが測定可能な磁性層の
膜厚での界面磁壁エネルギーは2.1〜2.8erg/
cm2 であればよい。界面磁壁エネルギーは磁性層の膜
厚が薄くても厚い場合と同じである。
【0038】界面磁壁エネルギーの大きさは、使用材料
によって異なりブロッホ磁壁エネルギーと同等と言われ
ている。ブロッホ磁壁エネルギーは、垂直磁気異方性と
相関がある。従って本発明の場合、GdFeCo、Tb
FeCoを用いた交換結合2層膜であるため、GdFe
Coの垂直磁気異方性が小さいことにより界面磁壁エネ
ルギーは、2.8erg/cm2 より大きい値は、理論
的にも得られないと考えられる。また、界面磁壁エネル
ギーは、磁性層の組成には関係しない。一般に界面磁壁
エネルギーが測定できる膜厚は、各磁性層の膜厚が30
0オングストローム以上である。組成は測定可能な組成
でよい。界面磁壁エネルギーの値σwは、σw=2Ms
×H×膜厚である。Msは、第1磁性層の飽和磁化、H
は第1磁性層の反転磁界、膜厚は第1磁性層の膜厚であ
る。これらの測定は振動試料型磁力計(以下にVSMと
略す)を用いて行なう。第2磁性層の保磁力が大きい場
合、第1磁性層の磁化反転しか観測されない場合がある
がこの場合においても界面磁壁エネルギーは上記式より
求められる。
【0039】尚、磁性層の厚さが薄いと相対的に交換結
合力の記録再生特性への影響が大きくなる。理由は交換
結合力の減少は界面の不純物によるものであるから磁性
層が薄い場合はその不純物が存在する層の厚さの磁性層
の膜厚に対する比率が大きいためである。磁性層が厚い
場合は交換結合力が小さくなっても磁気モーメントが大
きいため、磁気特性への影響は相対的に小さくなり記録
再生特性への影響は少ない。
【0040】第2磁性層のキュリー温度は使用するレー
ザーパワー、媒体の反射率、使用線速、ビット長等によ
って設定される。一方、反射膜構成の光磁気記録媒体に
おいて、再生信号強度を主に決めるのは磁性層のカー回
転角である。一般にCoが30atm%以下の場合、こ
のカー回転角はキュリー温度により一義的に決まる。し
たがって、磁性層のキュリー温度が高い方が再生特性に
優れている。即ち、第2磁性層のキュリー温度が高い方
が望ましいわけであるが、記録感度、オーバーライト特
性、繰り返し記録再生特性等から170〜200℃が望
ましい。
【0041】したがって、外部磁界強度が低減されると
共に記録ノイズが少なく同じサイズのビットが形成され
良好な磁界変調記録を行なうことが可能となる。
【0042】以上本発明の製造方法によって製造された
光磁気記録媒体を磁界変調方式に適用した場合について
説明したが、従来の光変調記録方式に適用してもよいこ
とは言うまでもない。この場合、外部バイアス磁界強度
が小さくできるためドライブの消費電力等の低減が図れ
る。
【0043】以下に本発明を実施例に基づきさらに詳細
に説明する。
【0044】
【実施例】
実施例1−1〜4 φ130mmのプリグループのついているポリカーボネ
ート(以下PCと略す)基板上に、インラインマグネト
ロンスパッタ装置を用いて、酸化防止と干渉効果を得る
ために、第1無機誘電体層としてSiNを1000オン
グストローム、第1磁性層として遷移金属副格子磁化優
勢なGd(Fe93Co7)(飽和磁化Ms=250e
mu/cc)を100オングストローム、第2磁性層と
して希土類金属副格子磁化優勢なTb(Fe88Co1
2)(キュリー温度170℃、飽和磁化Ms=50em
u/cc)を200オングストロームを形成した。この
際の各磁性層を成膜する真空室の到達真空度は、1×1
-5Paでスパッタ圧は、0.25Paである。リーク
量は、7×10-5PaL/secであった。第1磁性層
と第2磁性層との成膜間隔は、表1のように変えた。そ
の後酸化防止と干渉効果を高めるために第2無機誘電体
層としてSiNを300オングストローム、がある。ま
た、界面磁壁エネルギーは、磁性層の組成には関係しな
い。一般に界面磁壁エネルギーが測定できる膜厚は、各
磁性層の膜厚が300オングストローム以上である。組
成は測定可能な組成でよい。界面磁壁エネルギーの値σ
wは、面磁壁エネルギーが測定できる膜厚は、各磁性層
の膜厚が300オングストローム以上である。組成は測
定可能な組成でよい。界面磁壁エネルギーの値σwは、
σw=2Ms×H×膜厚である。Msは、第1磁性層の
飽和磁化、Hは第1磁性層の反転磁界、膜厚は第1磁性
層の膜厚である。これらの測定は振動試料型磁力計(以
下にVSMと略す)を用いて行なう。第2磁性層の保磁
力が大きい場合、第1磁性層の磁化反転しか観測されな
い場合があるがこの場合においても界面磁壁エネルギー
は上記式より求められる。
【0045】本発明のように磁性層の厚さが薄いと相対
的に交換結合力の記録再生特性への影響が大きくなる。
理由は交換結合力の減少は界面の不純物によるものであ
るから磁性層が薄い場合はその不純物が存在する層の厚
さの磁性層の膜厚に対する比率が大きいためである。磁
性層が厚い場合は交換結合力が小さくなっても磁気モー
メントが大きいため、磁気特性への影響は相対的に小さ
くなり記録再生特性への影響は少ない。
【0046】第2磁性層のキュリー温度は使用するレー
ザーパワー、媒体の反射率、使用線速、ビット長等によ
って設定される。一方、反射膜構成の光磁気記録媒体に
おいて、再生信号強度を主に決めるのは磁性層のカー回
転角である。一般にCoが30atm%以下の場合、こ
のカー回転角はキュリー温度により一義的に決まる。
向、即ち磁化の向きを初期化した方向に向ける方向を表
す。+は、記録方向即ち磁化の向きを初期化した方向と
反対の方向に向ける方向を表す。CNが0となる消去方
向の磁界強度を消去磁界と呼ぶ。一方、CNが飽和する
記録方向の磁界強度を記録磁界と呼ぶ。
【0047】磁界変調における測定条件は、線速度9m
/sec、記録周波数6.2MHz、記録レーザーパワ
ー8.5mw、再生レーザーパワー1.0mw、光学ヘ
ッドのNA0.55、レーザー波長は780nmであ
る。
【0048】エッジシフトの測定は、下記の方法によっ
て行った。
【0049】線速度9m/sec、記録レーザーパワー
8.5mw、再生レーザーパワー1.0mw、光学ヘッ
ドのNA0.55、レーザー波長は780nmである。
【0050】隣接溝、ランド部の磁化状態を消去方向
(記録に対して同方向に作用)と記録方向(記録に対し
て逆方向に作用)の2種類の状態とし、それぞれの状態
において、dutyを変えて、記録周波数1.55MH
zで、記録し2次高調波の片波のパルス幅を測定する。
2次高調波が最小となる片波のパルス幅の差をエッジシ
フト量とした。
【0051】比較例1−1〜2 第1磁性層の成膜と第2磁性層の成膜との間の時間を変
えた以外は、実施例1−1〜3と同じ条件、構成で光磁
気記録媒体を作成した。評価結果は、表1に示す。
【0052】実施例1−5 枚葉式のインラインマグネトロンスパッタ連続成膜装置
を用いた以外は、実施例1−1と同じ成膜条件、構成の
PC基板の光磁気記録媒体及びガラス基板の光磁気記録
媒体を作成した。成膜時間間隔は、3秒である。到達真
空度は1×10 -5Paである。評価結果は、表1に示
す。
【0053】
【表1】 実施例2−1〜5 φ130mmのプリグループのついているポリカーボネ
ート(以下PCと略す)基板上に、マグネトロンスパッ
タ装置を用いて、酸化防止と干渉効果を得るために、第
1無機誘電体層としてSiNを1000オングストロー
ム、第1磁性層として遷移金属副格子磁化優勢なGd
(Fe93Co7)(飽和磁化Ms=200emu/c
c)を100オングストローム、第2磁性層として希土
類金属副格子磁化優勢なTb(Fe89Co11)(キ
ュリー温度170℃、飽和磁化Ms=30emu/c
c)を200オングストロームを形成した。この際の各
磁性層を成膜する真空室の到達真空度は、1×10-5
aである。第1磁性層と第2磁性層との成膜条件は、表
2のようにに変えた。その後酸化防止と干渉効果を高め
るために第2無機誘電体層としてSiNを300オング
ストローム、反射層としたAl膜を500オングストロ
ーム順次真空を破ることなく連続して成膜した。その後
PC基板の光磁気記録媒体の膜表面に保護コートとして
紫外線硬化樹脂を10μmコートし、本発明の光磁気記
録媒体を作成した。PC基板の光磁気記録媒体について
光変調方式における消去磁界、記録磁界、ノイズ上昇、
磁界変調方式で記録再生したCN比が49dBとなる磁
界強度を測定した。一方、φ130mmの平坦なガラス
基板上に上記成膜条件と同じにした以外は、第1磁性層
と第2磁性層の膜厚をそれぞれ300オングストローム
とした光磁気記録媒体を作成した。紫外線硬化樹脂の保
護コートは形成していない。ガラス基板の光磁気記録媒
体についてVSMを用いて界面磁壁エネルギーを測定し
た。測定結果は、表2、表3に示す通りである。測定条
件は、表1に示す通りである。
【0054】比較例2−1〜4 各磁性層のスパッタ圧を表2のように変えた以外は、実
施例2と同じ条件で光磁気記録媒体を作成した。結果
は、表2に示す通りである。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、基板上に、
第1無機誘電体層とキュリー温度が高く保磁力が小さい
膜面に垂直方向に磁化容易軸を有するGdFeCoから
なる第1磁性層と、該磁性層に隣接して配置され磁気的
に交換結合した相対的にキュリー温度が低く保磁力が大
きいTbFeCoからなる第2磁性層と、反射層、該磁
性層と反射層との間に第2無機誘電体層を有する光磁気
記録媒体の製造方法において、前記各磁性層がマグネト
ロンスパッタリング法により形成され、スパッタ圧が
0.2〜0.4Paで、かつ該2つの磁性層の成膜間隔
が3〜300秒で製造することにより低外部磁界下にお
いても良好な記録再生特性を発揮する磁界変調記録用の
光磁気記録媒体及び光変調記録方式でも磁界感度のよい
光磁気記録媒体を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法にて製造された光磁気記録媒
体の1例を表す模式図。
【図2】光変調記録方式におけるCN比の外部磁界依存
性の1例を表す模式図。
【符号の説明】
1 基板 2 第1無機誘電体層 3 第1磁性層 4 第2磁性層 5 第2無機誘電体層 6 反射層 7 保護コート

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、第1無機誘電体層とキュリー
    温度が高く保磁力が小さい膜面に垂直方向に磁化容易軸
    を有するGdFeCoからなる第1磁性層と、該磁性層
    に隣接して配置され磁気的に交換結合した相対的にキュ
    リー温度が低く保磁力が大きいTbFeCoからなる第
    2磁性層と、反射層、該磁性層と反射層との間に第2無
    機誘電体層を有する光磁気記録媒体の製造方法におい
    て、前記各磁性層がマグネトロンスパッタリング法によ
    り形成され、スパッタ圧が0.2〜0.4Paで、かつ
    該2つの磁性層の成膜間隔が3〜300秒であることを
    特徴とする光磁気記録媒体の製造方法。
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