JPH0860572A - 脱墨剤 - Google Patents

脱墨剤

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JPH0860572A
JPH0860572A JP22395594A JP22395594A JPH0860572A JP H0860572 A JPH0860572 A JP H0860572A JP 22395594 A JP22395594 A JP 22395594A JP 22395594 A JP22395594 A JP 22395594A JP H0860572 A JPH0860572 A JP H0860572A
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acid
group
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mol
adduct
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JP22395594A
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English (en)
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Kuniaki Tsuruoka
邦昭 鶴岡
Rika Ikehara
理香 池原
Naomichi Matsuda
尚道 松田
Tetsuya Tamai
哲也 玉井
Masao Iwamoto
正男 岩本
Fujio Takahashi
不二夫 高橋
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NOF Corp
Original Assignee
Nippon Oil and Fats Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】下記の成分(A)と(B)とのエステルからな
る脱墨剤。 成分(A);(イ)α,β−不飽和ジカルボン酸、また
はその無水物と(ロ)炭素数3〜36の不飽和脂肪酸ま
たは分子中に少なくとも1個の二重結合を有するエステ
ルとの付加物。 成分(B);式(1)で表わされる化合物 RO{(EO)k(PO)m(BO)n }H (1) (ただし、Rは水素原子、メチル基またはエチル基を示
し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン
基、BOはオキシブチレン基であり、{ }ないはラン
ダム状付加でもまたはブロック状付加でもよく、それら
のモル比はk:m:n=1:0.2〜1:0〜0.5で
あり、かつk+m+nが5〜100である。) 【効果】古紙から残インキク数が少なく高白色度の脱墨
パルプを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は古紙再生用脱墨剤に関す
る。さらに詳しくは、フローテーション法、フローテー
ション−水洗折衷法、洗浄法などで、新聞、雑誌、OA
古紙などを脱墨処理するに際して、残インキが極めて少
なく高白色度の脱墨パルプを得るために用いる脱墨剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より製紙原料パルプの不足に対して
製紙産業資源の有効利用を計るため、使用済みになった
新聞紙、雑誌、OA古紙などの印刷古紙の脱インキを行
なって再生利用することが広く行なわれている。また近
年、ゴミ対策や環境保護の観点から、さらに利用を高め
ることが求められている。現在、脱墨方法としては
(あ)古紙をアルカリ剤、界面活性剤と共に離解するこ
とによりインキを剥離させ、この離解液に空気を吹き込
んでインキを泡に付着させて脱インキを行なうフローテ
ーション法(い)フローテーションの前後に水洗工程を
入れるフローテーション−水洗折衷法(う)多量の水で
洗浄する洗浄法があり、これらのうち(あ)と(い)の
方法が広く採用されている。使用する界面活性剤の起泡
性が良すぎるとフローテーション時に系外に取り除かれ
るフロス量が多すぎてパルプの歩留まりが悪くなる問題
がある。従来、アルカリ剤として水酸化ナトリウム、珪
酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウムなどが
用いられ、界面活性剤としては脂肪酸またはその塩、ア
ルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エス
テル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩などの陰イオン界
面活性剤;高級アルコール、アルキルフェノールおよび
脂肪酸などのアルキレンオキシド付加物、2種以上のア
ルキレンオキシドのブロック状またはランダム状付加物
などの非イオン界面活性剤などが使用されてきた。ま
た、過酸化水素水、次亜塩素酸塩などの漂白剤、EDT
Aなどの金属イオン封鎖剤、カルボキシメチルセルロー
ス、ポリビニルピロリドンなどの再汚染防止剤などを併
用して脱墨効果を高めることも行なわれてきた。
【0003】従来公知の脱墨剤では、古紙からインキを
効率よく取り除くことは困難である。特に近年普及して
いるオフセット印刷の古紙では、インキ成分の性状から
インキの除去が非常に困難であり、再汚染による残カー
ボンと未剥離インキである残インキいわゆる「ヒゲ」が
問題となっている。この問題を解決するため、次の技術
が開示されている。すなわち、 特開平3−279479号公報では、炭素数3〜24
のアルキルまたはアルケニルアルコール、炭素数3〜2
4のアルキルまたはアルケニル基を1〜2個有するフェ
ノール、炭素数3〜24のアルキルまたはアルケニル基
を1〜2個有するアリールアルコール、炭素数3〜24
のアルキルまたはアルケニル基を有するビスヒドロキシ
フェニルアルカン、炭素数3〜24のアルキルまたはア
ルケニル基を有するビスシクロヘキシルアルカン、また
炭素数3〜24のアルキルまたはアルケニル基を1〜2
個有するフェノールホルムアルデヒド縮合物にエチレン
オキシドとプロピレンオキシドを付加した化合物と多価
カルボン酸とのエステルを脱墨剤として用いることが提
案されている。 特開平3−287888号公報では、高級脂肪酸にエ
チレンオキシド、プロピレンオキシドを付加させた化合
物と、多価カルボン酸との反応物などが脱墨剤として提
案されている。 特開平4−202877号公報では、炭素数8〜24
のアルキル基またはアルケニル基を有する一価アルコー
ルの炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物のカルボ
ン酸変成物、多価アルコールと一価脂肪酸とから得られ
た炭素数8〜24のアルキル基またはアルケニル基と少
なくとも一個の水酸基を有するエステルの炭素数2〜4
のアルキレンオキシド付加物のカルボン酸変成物、多価
アルコールと一価脂肪酸とから得られた炭素数8〜24
のアルキル基またはアルケニル基と少なくとも一個の水
酸基を有するエステルのカルボン酸変成物の炭素数2〜
4のアルキレンオキシド付加物、多価アルコールの炭素
数2〜4のアルキレンオキシド付加体と一価脂肪酸とか
ら得られた炭素数8〜24のアルキル基またはアルケニ
ル基と少なくとも一個の水酸基を有するエステルのカル
ボン酸変成物が脱墨剤として提案されている。 特開平4−202880号公報では、ロジンのエチレ
ンオキシド、プロピレンオキシド付加物と、多価カルボ
ン酸との反応物が脱墨剤として提案されている。 特開平4−202881号公報では、ヒドロキシ脂肪
酸、またはヒドロキシ脂肪酸とアルコールとのエステル
へのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物と、
多価カルボン酸との反応物などが脱墨剤として提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの脱墨
剤は必ずしもパルプの収量および白色度の点から十分満
足される性能を有していない。本発明は、残インキが少
なくて高白色度のより優れた脱墨剤を提供することを目
的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の問
題点を鑑み鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至
った。すなわち、本発明は、下記の成分(A)と(B)
のエステルからなる脱墨剤を提供するものである。 成分(A);(イ)α,β−不飽和ジカルボン酸、また
はその無水物と(ロ)炭素数3〜36の不飽和脂肪酸ま
たは分子中に少なくとも1個の二重結合を有するエステ
ルとの付加物。 成分(B);式(1)で表される化合物 RO{(EO)k(PO)m(BO)n }H (1) (ただし、Rは水素原子、メチル基またはエチル基を示
し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン
基、BOはオキシブチレン基であり、{ }ないはラン
ダム状付加でもまたはブロック状付加でもよく、それら
のモル比はk:m:n=1:0.2〜1:0〜0.5で
あり、かつk+m+nが5〜100である。)
【0006】本発明に用いる成分(A)の(イ)のα,
β−不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマ−
ル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸などが挙
げられ、また本発明に用いるα,β−不飽和ジカルボン
酸の無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン
酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。脱墨剤に必要
とされる諸特性を向上させる上で、特にマレイン酸、無
水マレイン酸が好ましい。これらのα,β−不飽和カル
ボン酸、α,β−不飽和ジカルボン酸、またはその無水
物は、単独で用いても、また二種類以上を用いてもよ
い。
【0007】本発明に用いる成分(A)の(ロ)の炭素
数3〜36の不飽和脂肪酸としては、アクリル酸、メタ
クリル酸、オブツシル酸、カプロレイン酸、ウンデシレ
ン酸、リンデル酸、ツズ酸、フィゼテリン酸、ミリスト
レイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイ
ン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、バクセン酸、リ
ノール酸、α−エレオステアリン酸、β−エレオステア
リン酸、リノレン酸、γ−リノレン酸、リシノール酸、
ガドレイン酸、ゴンドイン酸、エイコサペンタエン酸、
セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ドコサヘキサ
エン酸、セラコレイン酸、キシメン酸、ダイマー酸、ト
リマー酸などが挙げられる。また、これらの不飽和脂肪
酸は、セレン触媒などで異性化して用いることも可能で
ある。これらの不飽和脂肪酸は単独で用いても、また二
種類以上を用いてもよい。本発明に用いる不飽和脂肪酸
の炭素数は、好ましくは8〜22であり、さらにより好
ましくは14〜18である。炭素数が36より多いとフ
ローテーション時に起泡性が低下してパルプシートの白
色度が悪くなるので好ましくない。
【0008】本発明に用いる成分(A)の(ロ)の分子
中に少なくとも1個の二重結合を有するエステルとして
は、次のものが挙げられる。エステルを構成する酸とし
ては、(a−1)前記の不飽和脂肪酸;(a−2)プロ
ピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、2
−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン
酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸;(a−3)アジ
ピン酸、セバシン酸などの多価カルボン酸が挙げられ
る。エステルを構成するアルコールとしては(b−1)
メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロ
パノール、n−ブタノール、2−メチルプロパノール、
n−ペンタノール、2−メチルブタノール、3−メチル
ブタノール、n−ヘキサノール、4−メチル−2−ペン
タノール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、
2−エチルペンタノール、n−オクタノール、2−エチ
ルヘキサノール、n−ノナノール、3,5,5−トリメ
チルヘキサノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノー
ル、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカ
ノール、2−ブチルオクタノール、2,6,8−トリメ
チル−4−ノナノール、n−トリデカノール、n−テト
ラデカノール、2−ペンチルノナノール、n−ペンタデ
カノール、n−ヘキサデカノール、2−ヘキシルデカノ
ール、n−オクタデカノール、9−オクタデセニルアル
コール、2−ノニルノナノール、2−ヘプチルウンデカ
ノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラ
デカノール、2−ウンデシルペンタデカノール、3−メ
トキシブタノールなどの一価アルコール;(b−2)
1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、
1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタン
ジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオー
ル、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−プロパ
ンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−
トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−
1,3−ヘキサンジオール、2−エチル−2−ブチル−
1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、
2−メチル−1,8−オクタンジオール、ネオペンチル
グリコール、グリセリン、3−メチル−1,3,5−ト
リペンタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトールな
どの多価アルコール;(b−3)アリルアルコール、9
−オクタデセニルアルコールなどの不飽和アルコールが
挙げられる。これらのうち、(a−1)の不飽和脂肪酸
と(b−1)の一価アルコ−ルのエステル、(a−1)
の不飽和脂肪酸と(b−2)の多価アルコ−ルと(a−
2)の飽和脂肪酸との三成分のエステル、(a−3)の
多価カルボン酸と(b−3)の不飽和アルコールのエス
テルなどが挙げられる。これらのエステルは(a−1)
の不飽和脂肪酸または(b−3)の不飽和アルコールを
必ず含有する。また不飽和脂肪酸エステルの場合には特
に入手しやすいのでグリセリンとのエステルが好まし
い。
【0009】本発明に用いる分子中に少なくとも1個の
二重結合を有するエステルは、後述のエステル化反応に
よって得ることができるが、グリセリンとのエステルの
場合、天然のトリグリセリド、また食品工業や家庭で用
いられたこれらの天然のトリグリセリドの廃油の回収油
なども用いることができる。このような天然のトリグリ
セリドとしては、アボカド油、あまに油、オリーブ油、
カカオ油、カポック油、からし油、桐油、けし油、胡麻
油、米油、サフラワー油、シア脂、大豆油、椿油、とう
もろこし油、菜種油、パーム油、パーム核油、ひまし
油、ひまわり油、ぶどう種子油、ホホバ油、綿実油、椰
子油、落花生油、牛脂、豚脂、魚油、鯨油などが挙げら
れる。これらのトリグリセリドは単独で用いても二種類
以上を用いてもよい。場合によっては、これらのトリグ
リセリドを微水添、エステル交換、分別、位置異性化や
幾何異性化などによって改質してもよい。またこれらの
トリグリセリドは水洗、燐酸や硫酸などの酸処理、さら
に白土処理、水蒸気脱臭、アルカリ脱酸などの精製を行
って使用しても良い。
【0010】本発明に用いる式(1)の化合物のRは、
水素原子、メチル基またはエチル基、を表す。特に好ま
しくはメチル基である。炭素数が3以上のアルキル基で
は、インキの剥離性が低下し、その結果ヒゲの増大とパ
ルプシートの白色度の低下をもたらすので好ましくな
い。本発明に用いる式(1)の化合物のEOはオキシエ
チレン基、POはオキシプロピレン基、BOはオキシブ
チレン基である。EO:PO:BOの3者のモル比は
1:0.2〜1:0〜0.5であり、より好ましくは、
1:0.3〜0.6:0〜0.2である。オキシプロピ
レン基のモル比が0.2以下となるとインキ捕集性が低
下し、その結果白色度の低下をもたらすので好ましくな
い。またフロテーション時における発泡性が高くなりす
ぎ、その結果フロス量が増えパルプの収率が低下するの
で好ましくない。オキシプロピレン基のモル比が1を超
えると、またオキシブチレン基のモル比が0.5を超え
ると、フロテーション時における発泡性が劣りインキを
系外に除けなくなり、その結果パルプシートの白色度が
低下するので好ましくない。式(1)中のk+m+nは
5〜100となる数である。好ましくは5〜70であ
り、さらにより好ましくは10〜50である。5より少
ないとインキの剥離性、捕集性が低下し、その結果パル
プシートのヒゲの増大、白色度の低下をもたらすので好
ましくない。また、100を超えるとフロテーション時
における発泡性が劣りインキを系外に除けなくなり、そ
の結果パルプシートの白色度が低下するので好ましくな
い。本発明に用いる式(1)の化合物の数平均分子量は
1,000〜5,000の範囲のものが好ましい。
【0011】本発明に用いる(イ)のα,β−不飽和ジ
カルボン酸、またはその無水物と、(ロ)の不飽和脂肪
酸または分子中に少なくとも1個の二重結合を有するエ
ステルとの付加物は、米国特許第2188882号明細
書、同第2188883号明細書に記載されているよう
に150℃以上の高温で反応する方法によって合成可能
である。また、特公昭53−7412号公報、特公昭5
3−12494号公報に記載されているようにシリカ、
アルミナなどの触媒を用いて合成することも可能であ
る。さらに、特開昭61−157508号公報に記載の
されているように燐化合物を用いて、反応時の着色を防
止することもできる。付加反応の際、不飽和脂肪酸中の
二重結合1当量に対して、α,β−不飽和ジカルボン
酸、またはその無水物を0.3〜2当量の比率で付加さ
せるのが好ましい。0.3当量より少ないと付加物の収
率が低下するので好ましくなく、2当量より多いと粘度
が高くなり実用上好ましくない。
【0012】本発明に用いる式(1)で表される化合物
は、従来公知の方法で合成できる。例えば、エチレング
リコール、メタノール、もしくはエタノールに、触媒を
用いてエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレ
ンオキシドなどを付加することによって得ることができ
る。この時、ランダム状付加、ブロック状付加いずれも
可能であるが、好ましくはランダム状付加である。触媒
としては、アルキル金属の水酸化物、また、アルコラー
トなどのアルカリ触媒、または金属のハロゲン化物など
のルイス酸触媒や酢酸が挙げられる。
【0013】本発明のエステルおよび本発明に用いる分
子中に少なくとも1個の二重結合を有するエステルを製
造する場合は、従来公知のエステル反応で合成できる。
例えば、成分(A)の付加物と式(1)で表される化合
物を50〜250℃に加温し、場合によっては反応の結
果生じる水を系外に除去することによって得ることがで
きる。反応は窒素などの不活性ガス雰囲気下で行うのが
好ましい。このエステル化反応には、p−トルエンスル
ホン酸、硫酸などのブレンステッド酸触媒や、酸化亜
鉛、活性アルミナ、酸化チタン、チタン酸テトライソプ
ロピルエステルなどのルイス酸触媒、また、水酸化リチ
ウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカ
リ触媒を用いることもできる。成分(A)の付加物と成
分(B)の式(1)で表される化合物とのエステルの酸
価は85以下が好ましい。また本発明に用いる分子中に
少なくとも1個の二重結合を有するエステルのエステル
化の際のカルボン酸とアルコール仕込み当量比は、1:
1〜5が好ましく、さらに1:1〜3がより好ましい。
未反応のカルボン酸やアルコールは蒸留などによって精
製することもできる。また、本発明のエステルおよび本
発明に用いる分子中に少なくとも1個の二重結合を有す
るエステルは、エステル交換反応によっても得ることが
できる。
【0014】本発明の脱墨剤は、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウムなどを離解時、ニーディング時に加え、溶
液をアルカリ性に調整して使用することが好ましい。ま
た本発明の脱墨剤は、従来公知の脱墨剤である脂肪酸や
その塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリ
オキシアルキレン脂肪酸エステル、高級アルコール硫酸
塩などと併用することもできる。その場合本発明の脱墨
剤の配合割合は脱墨剤の全体に対して5重量%以上が好
ましく、さらに50重量%以上が好ましい。本発明の脱
墨剤の配合割合が5重量%より少ないと効果が充分に発
現しないので好ましくない。
【0015】本発明の脱墨剤は、フローテーション法、
フローテーション−水洗折衷法、洗浄法などに使用で
き、離解工程、ニーダー処理工程、熟成工程、フローテ
ーション工程、洗浄工程などで添加されるが、離解工
程、ニーダー処理工程で添加するのが好ましい。
【0016】本発明の脱墨剤の添加量は、古紙に対して
0.01〜2重量%が好ましくさらに、0.05〜1重
量%がより好ましい。古紙に対して0.01重量%より
少ないと効果が現われず、2重量%より多いと泡の発生
が多くなり収率が劣るので好ましくない。
【0017】
【発明の効果】本発明の脱墨剤は、フローテーション
法、フローテーション−水洗折衷法、洗浄法などに用い
て、新聞、雑誌、OA用の古紙から残インキの少ない高
白色度の脱墨パルプを得ることができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例を用いて
より具体的に説明する。
【0019】製造例A1;無水マレイン酸とオレイン酸
メチルの付加物の製造 オレイン酸メチル294g(1モル)と無水マレイン酸
98g(1モル)を、500ml容量のオートクレーブ
中に仕込み190〜200℃で12時間、4〜5kg/
cm2の加圧反応を行った。得られた反応物から未反応
の無水マレイン酸を90〜100℃、4〜5mmHgの
減圧下で2時間かけて留去して39g回収し、さらに1
90〜200℃、4〜5mmHg、2時間の条件で未反
応のオレイン酸メチルを留去して117g回収し、無水
マレイン酸とオレイン酸メチルの付加物(計算より、オ
レイン酸メチル1モルに対し無水マレイン酸1モル付加
物)のA1を得た。ただし、オレイン酸メチルはオレイ
ン酸エステルの純度約70重量%、酸価11、ケン化価
195のものを用いた。
【0020】製造例B1;CH3O{(EO)20(P
O)10}Hの製造 メタノール32g(1モル)、水酸化カリウム4g(対
仕込み重量0.3%)を3リットル容量のオートクレー
ブ中に仕込み、予めエチレンオキシド924g(21モ
ル)とプロピレンオキシド605g(10.5モル)の
よく混合したものを、4〜7kg/cm2に圧力を保ち
ながら120〜130℃で徐々に添加した。添加終了後
120℃で2時間熟成した後、窒素ガスを吹き込みなが
ら未反応のエチレンオキシド、プロピレンオキシドを除
去し、酢酸でpH7に調整し、さらに100℃、100
mmHg以下の減圧下で1時間脱水し、ろ過してメタノ
ールのエチレンオキシド20モル、プロピレンオキシド
10モルのランダム状付加物(水酸基価38)のB1を
得た。
【0021】製造例C1;実施例1の化合物の製造 無水マレイン酸とオレイン酸メチルの付加物97g
(0.25モル)、B1のメタノールのエチレンオキシ
ド20モル、プロピレンオキシド10モルのランダム状
付加物369g(0.25モル)を、かき混ぜ機、温度
計、冷却管、窒素吹き込み管を付けた500ml容量の
四ツ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下140〜150
℃で3時間エステル化反応を行い、実施例No.1(酸
価30)を得た。
【0022】製造例C2;実施例2の製造 製造例A1と同様にして得た製造例A2の無水マレイン
酸とオレイン酸メチルの付加物49g(0.125モ
ル)、製造例B1と同様の方法で得た製造例B2のメタ
ノールのエチレンオキシド20モル、プロピレンオキシ
ド10モルのランダム状付加物369g(0.25モ
ル)、p−トルエンスルホン酸1gを、かき混ぜ機、温
度計、冷却管、窒素吹き込み管を付けた1リットル容量
の四ツ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下170〜18
0℃で12時間、生成した水を系外に取り除きながらエ
ステル化反応を行い実施例No.2(酸価4)を得た。
【0023】製造例C3;実施例3の製造 以下、同様にして表1に示した成分(A)と表2に示し
た成分(B)を用いて実施例No.3(酸価8)を得
た。
【0024】製造例A4;無水マレイン酸とオレイン酸
2−エチルヘキシルの付加物の製造無水マレイン酸98
g(1モル)、オレイン酸2−エチルヘキシル390g
(1モル)を、1リットル容量のオートクレーブ中に仕
込み190〜200℃で12時間、4〜5kg/cm2
の加圧反応を行った。得られた反応物から未反応の無水
マレイン酸を90〜100℃、4〜5mmHgの減圧下
で2時間かけて留去して39g回収し、無水マレイン酸
とオレイン酸2−エチルヘキシルの付加物(計算より、
オレイン酸2−エチルヘキシル1モルに対し無水マレイ
ン酸0.6モル付加物)のA4を得た。ただし、オレイ
ン酸2−エチルヘキシルはオレイン酸エステルの純度約
70重量%、酸価11、ケン化価144のものを用い
た。
【0025】製造例C4;実施例4の製造 製造例A4の無水マレイン酸とオレイン酸2−エチルヘ
キシルの付加物112g(0.25モル)と製造例B4
のメタノールのエチレンオキシド30モル、プロピレン
オキシド20モルのランダム状付加物、624g(0.
2モル)から、同様にして、実施例No.4(酸価1
7)を得た。
【0026】製造例A5;無水マレイン酸と豚脂の付加
物の製造 無水マレイン酸147g(1.5モル)、豚脂(ケン化
価198、ヨウ素価73)850g(1モル)を2リッ
トル容量のオートクレーブ中に仕込み190〜200℃
で12時間、4〜5kg/cm2の加圧反応を行った。
得られた反応物から未反応の無水マレイン酸を90〜1
00℃、4〜5mmHgの減圧下で2時間かけて留去し
て29g回収し、無水マレイン酸と豚脂の付加物(計算
から、豚脂1モルに対し無水マレイン酸1.2モル付加
物)を得た。
【0027】製造例C5;実施例5の製造 無水マレイン酸と豚脂の付加物97g(0.1モル)、
実施例1−2と同様にして得たメタールのエチレンオキ
サイド50モル、プロピレンオキシド40モルのランダ
ム状付加物544g(0.12モル)から、実施例2−
2と同様にして実施例No.5(酸価11)のエステル
を得た。
【0028】実施例6〜12 以下同様にして表1に示す成分(A)と表2の成分
(B)から実施例No.6〜12のエステルを得た。
【0029】比較製造例a1〜a10およびb1〜b
4、b6〜b10 以下、同様にして比較例の表1の成分(A)と表2の成
分(B)を得た。 比較例1〜10 以下、同様にして比較製造例a1〜a10とb1〜b1
0を用いて比較例No.1〜10を得た。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】次に、上記の実施例No.1〜No.12
および比較例1〜10を用いて、以下の方法で脱墨処理
試験を行なった。 <脱墨処理試験>朝日新聞、読売新聞、日本経済の新聞
紙(いずれも印刷後1〜2カ月経過したもの)70重量
%とチラシ30重量%とからなる古紙をシュレッダーで
切断し混合したもの350gに、水酸化ナトリウム1.
84g(古紙に対して0.5重量%)、脱墨剤1.4g
(古紙に対して0.4重量%)、および水10リットル
を加え、容量10リットルのパルパーにて10分間離解
した。離解した試料を遠心分離器で脱水(2000rp
m,5分)して古紙濃度を25〜30%まで濃縮し、過
酸化水素水3.5g(古紙に対して1.0重量%)、脱
墨剤0.35g(古紙に対して0.1重量%)を加えて
よく混ぜ合わせた後、試料をポリエチレンの袋に取り、
60℃の水浴中で2時間熟成を行なった。熟成後の試料
に水を加えて古紙濃度を1%に希釈し、2リットルパル
パーで10分間離解し、これを2リットルのフローテー
ター(極東(株)製)に注入して10分間フローテーシ
ョンを行ない、上層のインキ凝集物を除去した後、タッ
ピスタンダードシートマシンで手すきし、パルプシート
を得た。なお、フローテーション処理時に、系外に排出
された泡の重量をフロス量として測定した。次の方法に
より上記方法で得たパルプシートについて白色度、及び
残インキ数を調べ、脱墨効果を評価した。結果を表3に
示した。
【0033】<白色度の測定>光電反射率計{スガ試験
機(株)製のSMカラーコンピューターModelSM
−4}を用いて、手すきした上記の試料の青色反射率を
457μmで測定した。
【0034】<残インキ数の測定>顕微鏡(×200
倍)で、手すきした上記の試料の残インキ(ヒゲ)数を
数え、1cm2当たりの数値に換算した。
【0035】
【表3】
【0036】表3から明らかなように、比較例1、3、
5、6、8、10の脱墨剤はフロス量が少ないが残イン
キ数が多く白色度が悪い。また、比較例2、4、7、9
の脱墨剤はフロス量が多くかつ残インキ数が多く白色度
が悪い。これらに対して、本発明の脱墨剤を用いたパル
プシートは残インキ数が極めて少なく高白色度であるこ
とがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 不二夫 兵庫県西宮市東鳴尾町1−1−13−207

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の成分(A)と(B)のエステルから
    なる脱墨剤。 成分(A);(イ)α,β−不飽和ジカルボン酸、また
    はその無水物と(ロ)炭素数3〜36の不飽和脂肪酸ま
    たは分子中に少なくとも1個の二重結合を有するエステ
    ルとの付加物。 成分(B);式(1)で表される化合物。 RO{(EO)k(PO)m(BO)n }H (1) (ただし、Rは水素原子、メチル基またはエチル基を示
    し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン
    基、BOはオキシブチレン基であり、{ }ないはラン
    ダム状付加でもまたはブロック状付加でもよく、それら
    のモル比はk:m:n=1:0.2〜1:0〜0.5で
    あり、かつk+m+nが5〜100である。)
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