JPH0860220A - 低炭素鋼の効率的な転炉精錬方法 - Google Patents

低炭素鋼の効率的な転炉精錬方法

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JPH0860220A
JPH0860220A JP19643594A JP19643594A JPH0860220A JP H0860220 A JPH0860220 A JP H0860220A JP 19643594 A JP19643594 A JP 19643594A JP 19643594 A JP19643594 A JP 19643594A JP H0860220 A JPH0860220 A JP H0860220A
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JP
Japan
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steel
oxygen
carbon
concentration
gas
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JP19643594A
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Shinya Kitamura
信也 北村
Takeo Imoto
健夫 井本
Kenichiro Naito
憲一郎 内藤
Shinji Sasagawa
真司 笹川
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は上底吹き転炉を用いた、低炭素領域
まで鋼中酸素濃度を上げることのない効率的な脱炭精錬
方法に関するものである。 【構成】 上底吹き転炉を用いた精錬方法において、溶
鋼の炭素濃度が0.1%以上0.5%以下の所定の設定
濃度を境として、それよりも高い領域では酸素供給速度
(Nm3 /(Hr・ton))を、100以上300以
下とし、それよりも低い領域では20以上60以下とす
ることを特徴とする低炭素鋼の効率的な転炉精錬方法。
前記転炉精錬方法において、いずれの炭素濃度領域にお
いても、鋼浴深さL0 (m)と上吹きガスによる鋼浴面
の凹み深さL(m)との比L/L0を0.2以上0.9
以下とすることを特徴とする低炭素鋼の効率的な転炉精
錬方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は上底吹き転炉を用いた低
炭素鋼の効率的な脱炭精錬方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、低炭素鋼の溶製にはRHやDHの
如き真空精錬装置が用いられているが、設備費用が高価
な上に、真空処理を施すことにより転炉の出鋼温度が上
昇し、耐火物溶損が増大するという問題があった。ま
た、転炉で低炭素領域まで脱炭した場合には、スラグ中
の鉄酸化物濃度や鋼中酸素濃度が上昇し、歩留の低下や
脱酸剤使用量の増加を引き起こすため、精錬コストの大
幅な増加を招くという問題があった。
【0003】これに対して、特開昭60−131908
号公報や特開昭60−63307号公報では、低炭素域
で上吹き酸素ガスにArに代表される不活性ガスを混合
する技術が開示されている。しかし、この方法では多量
のArガスが必要となるために、ガスコストが大幅に増
加するという問題がある。また、特開昭56−9313
号公報や特開昭57−63616号公報では、底吹きガ
スにArに代表される不活性ガスを用いる方法が開示さ
れているが、Arガスコストが増加する上に、羽口の寿
命低下が避けられないという問題がある。
【0004】一方、鉄と鋼、第68巻(1982)、1
946ページ以降によれば、上底吹き転炉におけるスラ
グ中の鉄酸化物濃度や鋼中酸素濃度は、溶鋼重量当りの
酸素供給速度F(Nm3 /(min・ton))、均一
混合時間τ(S)、炭素濃度C(重量%)によりF/
(C/τ)なる式で構成されるBOCという指標で表さ
れるという研究結果が報告されている。しかし、この指
標に基づいて、炭素濃度の低下に伴い酸素供給速度を変
化させる場合には、Cが1/10になるとFも1/10
にする必要があるため、酸素ガスの噴流流速が極めて遅
く、吹止め時のスラグ中の鉄酸化物濃度や鋼中酸素濃度
の低下といった冶金効果は十分には得られない。
【0005】また、特開昭57−155311号公報に
は、高クロム鋼の精錬におけるクロム酸化損失を抑制す
ることを目的として、Cが0.4%程度を境に上吹きラ
ンスを吊り変えて、酸素供給速度を300Nm3 (mi
n・ton)程度から、3Nm3 (min・ton)程
度へ切り換える発明が開示されている。しかし、このよ
うに吹錬途中でランスを交換するには吹錬を中断する必
要があり、製鋼時間の延長を招く。また、切り換え後の
流量が小さいため溶鋼温度が吹錬中に著しく低下すると
いう問題が生じる。
【0006】さらに、転炉精錬においては、上吹きガス
による攪拌を表す指標として、鉄と鋼、第47巻(19
61)、165ページ以降に記載されているL/L
0 (L0は鋼浴深さ、Lは上吹きガスによるキャビティ
ー深さ)という値が用いられている。しかし、この値は
専ら転炉吹錬中の脱燐反応の制御、あるいは中炭素域で
の脱炭速度の制御に用いられており、極低炭素域での脱
炭反応の制御に用いられた例はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低炭素鋼の
溶製に際し、特開昭60−131908号公報や特開昭
60−63307号公報に開示された技術における、多
量のArガスが必要となりガスコストが大幅に増加する
という問題や、特開昭56−9313号公報や特開昭5
7−63616号公報に開示された技術における、Ar
ガスコストが増加する上に、羽口の寿命低下が避けられ
ないという問題、および鉄と鋼、第68巻(198
2)、1946ページ以降に記載された研究結果によ
り、炭素濃度の低下に伴い単に酸素供給速度を変化させ
ても、吹止め時のスラグ中の鉄酸化物濃度や鋼中酸素濃
度の低下といった冶金効果は十分には得られないという
問題、さらには特開昭57−155311号公報に開示
された技術における、製鋼時間の延を招き、溶鋼温度の
低下が著しいという問題点を解決することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、転炉で、
スラグ中の鉄酸化物濃度や鋼中酸素濃度を増加させず
に、低炭素鋼を溶製するためには、溶鋼重量当りの酸素
供給速度を、適正な炭素濃度で変化させることと、酸素
供給速度が変化しても上吹きガスの鋼浴面への衝突エネ
ルギー(キャビティー深さ)は大きくは変化させないこ
との2つが重要であることを明らかにした。
【0009】本発明はこの知見に基づきなされたもので
あり、その要旨とするところは下記のとおりである。 (1)上吹きランスより酸素ガスを吹付けるとともに、
鋼浴をガス攪拌せしめる転炉精錬方法において、溶鋼の
炭素濃度が0.1%以上0.5%以下の所定の設定濃度
を境として、当該設定濃度よりも高い領域では溶鋼重量
当りの酸素供給速度を、100Nm3 /(Hr・to
n)以上300Nm3 /(Hr・ton)以下とし、当
該設定濃度以下の領域では、20Nm3 /(Hr・to
n)以上60Nm3 /(Hr・ton)以下とすること
を特徴とする低炭素鋼の効率的な転炉精錬方法。
【0010】(2)前項1記載の低炭素鋼の効率的な転
炉精錬方法において、いずれの炭素濃度領域において
も、鋼浴深さL0 (m)と上吹きガスの鋼浴面への衝突
により形成される凹み(キャビティー)の深さL(m)
との比L/L0 を0.2以上0.9以下とすることを特
徴とする低炭素鋼の効率的な転炉精錬方法。ここで、上
吹きガスによるキャビティー深さL(m)は、溶鋼重量
当りの酸素供給速度F(Nm3 /(min・to
n))、溶鋼重量W(ton)、ノズル径d(mm)、
ランスと鋼浴面間の距離h(mm)、ノズル個数nとす
ると次式で計算される。
【0011】 L={Lh ×exp (-0.78×h/Lh )}/100 Lh =63×(F×W×60/(n×d))2/3
【0012】
【作用】図1は、350トン上底吹き転炉において、炭
素濃度がC%の時に上吹きランスからの酸素供給速度
を、約200Nm3 /(Hr・ton)から約30Nm
3/(Hr・ton)へと低下させた場合の、吹止め
(炭素濃度は0.03〜0.06%)時の鋼浴中酸素濃
度と酸素供給速度を切り換えた時点の炭素濃度Cとの関
係を示したものである。これより、切り換え時点の炭素
濃度が0.1%よりも低い場合には、吹止め酸素濃度は
切り換えずに吹錬した場合と殆ど変わらないのに対し
て、0.1%以上の場合には明確に酸素が低下してい
る。これは、以下のように考えられる。
【0013】つまり、一定の酸素供給速度で吹錬した場
合には、脱炭の進行に伴いスラグに(T.Fe)が濃化
し、本発明者らによる調査では、ある炭素濃度(図1の
実験では約0.1%)を境にスラグ中の(T.Fe)と
平衡する酸素の方が、メタル中の炭素とCO分圧が1の
条件で平衡する酸素よりも高くなる(スラグ過酸化条
件)ことが確認された。このようなスラグ過酸化条件と
なった以後に酸素供給速度を低下させても、メタル中酸
素は、炭素とCO分圧が1の条件で平衡する酸素までし
か下がらず、これが、切り換え時点の炭素濃度が0.1
%よりも低い場合には、吹止め酸素濃度は低下しない理
由である。
【0014】これとは逆に、切り換え炭素濃度を高くす
れば、スラグ中の(T.Fe)と平衡する酸素が、メタ
ル中の炭素とCO分圧が1の条件で平衡する酸素より低
い(メタル過酸化条件)ため、切り換え後にはスラグに
よるメタルの脱酸が起こり、酸素濃度が低下することに
なる。ただし、切り換え時点の炭素濃度が0.5%より
も高い場合には、酸素の低下効果はあるものの吹錬時間
が大幅に延長するため実用的でない。
【0015】このように、本発明の特徴は、スラグ中の
(T.Fe)と平衡する酸素が、メタル中の炭素と平衡
する酸素よりも低い(メタル過酸化条件)条件で酸素供
給速度を切り換え、スラグによるメタルの脱酸により酸
素濃度を低下させることである。従って、切り換える前
にスラグ過酸化条件に入れないことと、切り換え後に、
再び酸化鉄を多量に生成させてスラグ過酸化条件に入れ
ないことも同時に重要である。
【0016】切り換え前の酸素供給速度が300Nm3
(Hr・ton)よりも大きい場合には、切り換える適
正炭素濃度が0.5%よりも高くなって吹錬時間が大幅
に延長するため実用的でなく、100Nm3 (Hr・t
on)よりも小さい場合には、炭素濃度が高い領域での
吹錬時間が大幅に延長するため実用的でない。反対に、
切り換え後の酸素供給速度が60Nm3 /(Hr・to
n)よりも大きい場合には、切り換えた後にもスラグに
酸化鉄が多量に生成して酸素濃度の低下が得られず、2
0Nm3 /(Hr・ton)よりも小さい場合には、吹
錬時間が大幅に延長するため実用的でない。
【0017】これらに加えて、上吹きガスの鋼浴面への
衝突のエネルギーが重要である。図2は上吹きガスの鋼
浴面への衝突により形成される凹み(キャビティー)の
深さL(m)と浴深L0 (m)の比L/L0 と吹止め
(炭素濃度は0.03〜0.06%)時の鋼浴中酸素濃
度の関係を示したものである。ここで、酸素供給速度は
約200Nm3 /(Hr・ton)から約30Nm3
(Hr・ton)へ、炭素濃度が0.1〜0.5%の時
点で変更している。これより、L/L0 が0.2よりも
小さい場合には酸素濃度が増加している。上吹きガスの
鋼浴面への衝突により形成される2300℃を上回る高
温領域を火点とすると、このように上吹きガスの鋼浴面
への衝突流速が小さい場合には火点の温度が1800℃
程度と低く、脱炭反応が不活発となり、酸素濃度が増加
している。また、L/L0 が0.9よりも大きい場合に
はキャビティーが転炉炉底に接近するため耐火物損耗が
激しくなる。
【0018】このように、大幅に酸素供給速度を変化さ
せて、かつL/L0 を大きくするためには、例えば複数
個(好ましくは2〜7個)の大径ラバールノズルと、相
対的に小径な1個もしくは2個以上(好ましくは7個以
下)のラバールノズルを有する多孔ランスで、大径ノズ
ルと小径ノズルのそれぞれの流量・圧力を独立して制御
する機構を設けたランスを用いることが好ましい。ここ
で、切り換え前は大径ノズル、小径ノズルともに酸素ガ
スを供給し、切り換え後は、小径ノズルからは酸素ガス
を供給し、大径ノズルからは二酸化炭素、窒素、Ar等
のパージガスを流すとともに、ランスと浴面の間隔を、
L/L0 が0.2〜0.9になるように適正値に制御す
る操業となる。
【0019】ところで、溶鋼量をW(ton)とした場
合、大径ノズルの径(mm)は、0.15×W〜0.3
×Wとし、小径ノズルの径は、当該ノズルのノズル開孔
断面積の合計が、大径ノズルの開孔断面積の合計Aに対
して、A/15〜A/5となるようにすることが好まし
い。
【0020】
【実施例】実施例は350トン上底吹き転炉を用いた。
底吹きガスは酸素と羽口冷却用ガスの混合ガスを用い、
底吹き酸素流量は2000〜8000Nm3 /Hrであ
った。上吹きランスは、4個の直径60mmの大径ラバ
ールノズルと、相対的に小径なラバールノズルを有し、
大径ノズルと小径ノズルへは別々の配管でガスが供給で
きるようにすることで、それぞれの流量・圧力を独立し
て制御する機構を設けたランスを用いた。ここで、小径
ノズルの径と個数は、小径ノズルの全開孔断面積が、大
径ノズルの全開孔断面積である11304mm2 の1/
15〜1/5となるようにした。また、切り換え前は大
径ノズル、小径ノズルともに酸素ガスを供給し、切り換
え後は、小径ノズルからは酸素ガスを供給し、大径ノズ
ルからは二酸化炭素を流した。小径ノズルの直径と個数
を変化させたランスを数種類用い、ランスと浴面の間隔
を変化させた。なお、いずれの場合も吹止め炭素濃度は
0.03〜0.06%、温度は1630〜1680℃で
あった。また、流量を切り換える炭素濃度は、中間サン
プリングによる分析値と排ガス分析による脱炭量の推定
値から計算した。結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】試験番号の1〜10は本発明例である。流
量切り換え炭素濃度、切り換え前後の酸素供給速度を種
々変化させたが、いずれも低い吹止め酸素濃度が得られ
ている。また、試験番号10と他の本発明例とを比較す
ると、切り換え後のL/L0が0.2よりも小さいと吹
止酸素濃度がやや増加していることがわかる。これに対
して、試験番号の11、14、16は、それぞれ、切り
換え炭素濃度が低い場合、切り換え前の酸素供給速度が
大き過ぎる場合、切り換え後の酸素供給速度が大き過ぎ
る場合であるが、いずれも吹止酸素濃度が大幅に増加し
ている。また、試験番号の12、13、15は、それぞ
れ、切り換え炭素濃度が高い場合、切り換え前の酸素供
給速度が小さ過ぎる場合、切り換え後の酸素供給速度が
小さ過ぎる場合であるが、いずれも、吹酸時間が大幅に
長くなっている。特に、15のように低炭素濃度側で酸
素供給速度が小さ過ぎると、火点への熱供給速度が小さ
く、火点温度が低下するため脱炭に消費される酸素の比
率(脱炭酸素効率)が大きく低下する。
【0023】
【発明の効果】本発明を用いることにより、上底吹き転
炉により、多量のArガスを用いることなく、低炭素領
域まで鋼中酸素濃度を上げることなしに効率的な脱炭精
錬が可能となった。このことにより、吹錬後の脱酸剤原
単位が大幅に低減できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】吹止め時の鋼中酸素濃度と酸素供給量を切り換
えた炭素濃度との関係を示す図である。
【図2】吹止め時の鋼中酸素濃度と酸素供給量を切り換
えた後のL/L0 との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笹川 真司 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上吹きランスより酸素ガスを吹付けると
    ともに、鋼浴をガス攪拌せしめる転炉精錬方法におい
    て、溶鋼の炭素濃度が0.1%以上0.5%以下の所定
    の設定濃度を境として、当該設定濃度よりも高い領域で
    は溶鋼重量当りの酸素供給速度を、100Nm3 /(H
    r・ton)以上300Nm3 /(Hr・ton)以下
    とし、当該設定濃度以下の領域では、20Nm3 /(H
    r・ton)以上60Nm3 /(Hr・ton)以下と
    することを特徴とする低炭素鋼の効率的な転炉精錬方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の低炭素鋼の効率的な転炉
    精錬方法において、いずれの炭素濃度領域においても、
    鋼浴深さL0 (m)と上吹きガスの鋼浴面への衝突によ
    り形成される凹み(キャビティー)の深さL(m)との
    比L/L0 を0.2以上0.9以下とすることを特徴と
    する低炭素鋼の効率的な転炉精錬方法。
JP19643594A 1994-08-22 1994-08-22 低炭素鋼の効率的な転炉精錬方法 Pending JPH0860220A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998042879A1 (fr) * 1997-03-21 1998-10-01 Nippon Steel Corporation Procede servant a produire de l'acier au convertisseur sous pression
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Effective date: 20020319