JPH0859699A - ウイルスに関して安全なヒト免疫グロブリンa単量体及びその製造方法 - Google Patents

ウイルスに関して安全なヒト免疫グロブリンa単量体及びその製造方法

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JPH0859699A
JPH0859699A JP7178534A JP17853495A JPH0859699A JP H0859699 A JPH0859699 A JP H0859699A JP 7178534 A JP7178534 A JP 7178534A JP 17853495 A JP17853495 A JP 17853495A JP H0859699 A JPH0859699 A JP H0859699A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 実質的にIgGを含まない、ウイルスに関し
て安全なヒトIgA単量体の提供。 【構成】 (a)IgA含有画分を、実質的にIgGを
含まないIgA単量体が得られるように精製に付し、そ
して(b)得られた生成物を、ウイルス不活性化のため
の方法に付す方法によって得られるIgA単量体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウイルスに関して
安全なヒト免疫グロブリンA(IgA)単量体、その製
造方法、及びそれを含有する安定な医薬製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】免疫グロブリン(Ig)は、全ての脊椎
動物の血液、リンパ、及びその他の体分泌物中に存在す
る、特異的な免疫能を有するタンパク質である。免疫グ
ロブリンは、Bリンパ球により合成される。免疫グロブ
リンの単量体は、それぞれ、ジスルフィド架橋により連
結された2本のL鎖(軽鎖)及びH鎖(重鎖)からな
る。免疫グロブリンは、抗体として作用し、抗原により
その分泌が誘導される糖タンパクである。量的には、こ
れらは、全血漿タンパク質の約20%を構成する。現在
までに、5種類の主な免疫グロブリンのクラスがヒトに
おいて同定されており(IgA、IgD、IgE、Ig
G及びIgM)、これらは、そのH鎖、血清中濃度、分
子量(約146,000〜970,000)、炭水化物
含有量、電気泳動による移動度、及びその生物学的特性
において異なる。主要なクラスであるIgA及びIgG
は、更にサブクラスに分けることができる(例えば、I
gA1及びIgA2)。免疫グロブリンのクラス及びサ
ブクラスの多様性は、抗原結合におけるさまざまに異な
る特異性と同様に、存在する各種遺伝子の組み合わせに
より得られるものである。能動免疫は、誘導された免疫
グロブリンの分泌に基づくものである一方、各種ウイル
ス及び細菌感染症に対する受動免疫においては、免疫グ
ロブリンは供給される。
【0003】免疫グロブリンA(IgA)は、唾液、涙
液、並びに気管支及び腸管の粘膜性分泌物などの外分泌
物中における主要な抗体クラスを示す。それに加えて、
免疫グロブリンAは、細菌及びウイルス性抗原に対する
第一の防御ラインの一つとして働く。
【0004】細菌及びウイルス性感染症の予防及び治療
には、免疫グロブリン、例えば免疫グロブリンAに基づ
く医薬組成物が提唱され、使用されてきた〔例えば、特
開昭57−59815号(JP-A-57-59815)を参照〕。
【0005】IgAは、分泌成分である受容体により、
血液側から上皮細胞を経て、細胞外の側へ移送され得
る。
【0006】純粋な単量体の形態では、IgAは、2本
のL鎖(軽鎖)及び2本のH鎖(重鎖)からなり、二量
体の分泌形態では、このような二つの単量体が、いわゆ
るJ鎖(結合鎖)により連結されている。粘膜及び腺の
分泌物中では、付加的な分泌成分(いわゆるSC成分)
を有する二量体が主に存在する。
【0007】溶液中では、IgAは、IgA二量体と平
衡状態で、IgA単量体として存在する。この平衡状態
では、IgA二量体の比率は、最高で、全IgAの約2
5%に達する。
【0008】IgAは、二つのサブクラス、IgA1及
びIgA2からなり、これらは約80重量%対約20重
量%の自然の比率で存在する。この比率は、単離の過程
で変化し得る。免疫グロブリン製剤中、U/dlで表示する
ラムダL鎖に対するカッパL鎖の自然の比率は、約1:
1である。
【0009】IgAは、正常なヒト血清の全タンパク質
の約3〜4%を占める。IgAは、精製の間に、複合体
を形成し、凝集する傾向が非常に大きいため、血清から
のIgA単量体の単離の収量は通常低く、多くの精製法
の中でも、大規模な製造にも適した方法は、わずかしか
知られていない。
【0010】IgA製剤の主な不純物は、除去する必要
のある免疫グロブリンGの各種サブクラスであり、した
がって精製が必要であり、このため更に、IgAの収量
が低下する。
【0011】公知であり、かつ良く用いられている免疫
グロブリン精製のための方法の多くは、物理的特性の違
い、例えば、水性系における溶解性の違い(分画沈殿に
よる精製)、電荷の違い(イオン交換クロマトグラフィ
ーによる精製)又は分子のサイズの違い(分子排除クロ
マトグラフィーによる精製)に基づくものである。
【0012】特開昭57−59815号(JP-A-57-5981
5)には、ヒト由来の出発物質からの免疫グロブリンの精
製が記載されている。これによると、硫酸アンモニウム
による沈殿の後に、セファクリル(Sephacryl ;登録商
標)S−200によるゲルろ過を行い、続いてIgGと
の分離のために、アフィニティクロマトグラフィーを行
う。しかし、単量体のIgA及びIgGの分子量は、非
常に近いために(IgA:162kD、IgG:153k
D、J.F. Heremans, Immunoglobulin A in: TheAntigen
s, Vol. 2〔1974〕, pages 365-522; Academic Press,
New York を参照)、IgA単量体の単離は困難であ
る。精製されたIgAは、医薬組成物において活性成分
として使用され、精製には、ヒト由来の出発物質が使用
されるが、ウイルス不活性化のための方法は、特開昭5
7−59815号(JP-A-57-59815)には記載されていな
い。更に又、IgAは、カプセル又は丸剤中に存在し、
ウイルス不活性化のための方法、特に加熱処理に付すこ
とができない。
【0013】A. Collard et al., Ann. Rech. Vet. 15
(4) (1984) 497-501 には、ウシ血清又は初乳から、セ
ファクリルS−300を用いたゲルろ過により、免疫グ
ロブリンA、G及びMを精製することが記載されてい
る。しかし、収量は低く、又、最終生成物は、IgG1
及びIgG2サブクラスにより汚染されている。更に
又、血清試料からのIgA及びIgGの分離は、初乳の
場合ほどは成功しない。初乳中では、IgAは、IgA
二量体と付加的なタンパク鎖の複合体からなる分泌型I
gAとして存在し、複合体の分子が大きいため、ゲル排
除クロマトグラフィーによる分離が容易である。
【0014】J.R. Patterson et al., J. Clin. Path.
28 (1975) 670-673 によると、2種類の異なるゲルろ過
用媒質、つまりセファデックス(Sephadex;登録商標)
G−200及びバイオゲル(Bio-Gel ;登録商標)A−
5Mが、血清からの免疫グロブリンの分離に使用され
る。この方法により得られるIgA画分は、IgA単量
体を含まず、替わりに高分子量のIgAを含む。
【0015】しかし、免疫グロブリン製造のためにヒト
由来の出発物質を用いる上での大きな問題は、得られる
生成物のウイルスに関する安全性である。ドナーを選択
し、個々のドナーの血漿をそれぞれ試験したにもかかわ
らず、ある種の試験の感度が低いため、感染性病原体、
特に肝炎ウイルス、又はHIVなどのレトロウイルス
が、ドナーのプ−ルに存在していることを否定すること
はできない。
【0016】Cohnによる分画アルコール沈殿による免疫
グロブリン製剤の製造により、1015単位以上のウイル
スを除去/不活性化することができる〔例えば、Wells
et al., Transfusion 26 (1986) 210-213 を参照〕が、
ウイルスの不活性化が不十分である危険、つまりウイル
スに関する不十分な安全性が、新たな精製法を採用した
場合、特に存在する。
【0017】ウイルスを十分に不活性化するためには、
例えば加熱処理を行うことができる。ウイルス不活性化
のためのその他の方法、例えばEP−B−013174
0における溶媒/洗剤系による処理とは反対に、加熱処
理には、脂質により被覆されていないウイルス、例えば
A型肝炎ウイルスも、不活性化されるという利点があ
る。
【0018】しかし、加熱処理及びその他のウイルス不
活性化のための方法には、かなりのIgAが多量体化及
び/又は重合してしまうという欠点がある。
【0019】ウイルス不活性化のために良く行われる方
法、及び特に加熱処理においては、免疫グロブリン凝集
物の形成が予想されるはずである。しかし、この種の凝
集物は、特に、静脈内投与後に、抗補体活性の上昇と共
に不適合反応を起こす。したがって、ウイルス不活性化
のための工程、又は特に加熱処理を含むある種の精製法
は、安定剤の存在下で実施される。
【0020】安定剤の存在下における加熱処理について
は、例えば、EP−B−0177836に記載されてお
り、それによると、水分含有率3%以下の凍結乾燥免疫
グロブリンGを、安定剤を加えて、30〜100℃で1
0分間〜200時間加熱する。安定剤により、比較的不
安定な免疫グロブリンの変性が予防され、それによりそ
の生物学的活性が保持される。
【0021】安定剤の存在下で加熱処理を行うことに
は、最終生成物中にもこれらの安定剤が存在し、それを
その後除去しなければならないという欠点がある。
【0022】安定剤を用いずに加熱処理を行うことは、
例えば、EP−B−0159311に記載されている。
これによると、血液製品を、水分を含有する(水分含有
率5〜70%)固相中で、1秒〜100時間加熱する。
水の替わりに、ヒドロキシル基含有化合物、例えば、メ
タノール、エタノール又はマンニトールを用いることも
できる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、実質
的に免疫グロブリンG(IgG)を含まない、ウイルス
に関して安全なヒト免疫グロブリンA(IgA)単量体
を入手可能とすることである。本生成物は、従来の技術
に関して明らかにされている上記の問題を避けた、簡便
かつ安全な手順により得られるものである。本目的は、
本発明の主題により解決される。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明の主題は、実質的
にIgGを含まず、免疫グロブリン含有画分を精製し、
ウイルス不活性化のための方法を実施することによって
得られる、請求項1記載の、ウイルスに関して安全なI
gA単量体である。
【0025】その好ましい実施態様は、請求項2〜6の
主題である。
【0026】別の主題は、実質的にIgGを含まないヒ
トIgA単量体の画分を含む請求項7記載の安定な医薬
組成物(安定な医薬製剤)である。
【0027】その好ましい実施態様は、請求項8及び9
の主題である。
【0028】本発明の別の主題は、本発明によるウイル
スに関して安全なIgA単量体の製造のための、請求項
10記載の方法である。
【0029】本方法の好適な実施態様は、請求項11〜
20の主題である。
【0030】本発明の方法によると、実質的にIgGを
含まず、IgA単量体として存在し、ウイルスに関して
安全であると考えられる、つまり本製品の使用後、ウイ
ルスによる感染症の発生があり得ないIgAを得ること
が、驚くべきことに可能となった。
【0031】本発明によるIgA単量体により、IgA
製剤は、IgAの総重量に対して、IgA単量体を、少
なくとも96重量%含むと理解される。
【0032】この見解は、免疫グロブリンが、ウイルス
不活性化のための方法又は加熱処理において使用される
化学物質による処理の後に、凝集物を形成する傾向が高
いことに基づく。現在までに、ウイルス不活性化のため
の処理、及び特に加熱処理に反対する見解があった。現
在では驚くべきことに、本発明の方法によれば、工程
(b)によりウイルス不活性化のための方法を行うこと
により、又は、例えば、炭水化物若しくはアミノ酸など
の通例の安定剤を添加せずに、加熱処理を行った場合
に、IgAが凝集物形成を起こさないことが見出されて
いる。本発明の好ましい実施態様としては、沈殿を起こ
さない量のポリエチレングリコールを、ウイルス不活性
化効果の向上のために用いた加熱処理、及び特に溶液中
での加熱処理がある。このためには、低分子量PEGの
使用が好ましい。
【0033】本発明による方法に用いられるヒトIgA
含有出発材料は、好ましくは、ヒト由来の血清、血漿及
び/又は血漿画分である。
【0034】血漿及び/又は血漿画分は、Cohnの方法に
より、アルコールにより処理を行い、Cohn画分II及びII
I (II+III)を用いるのが好適である。
【0035】IgA含有出発材料は、好ましくは、クロ
マトグラフィー法を用いて精製する。特に、ゲル浸透ク
ロマトグラフィー及び/又はチオフィリック・クロマト
グラフィーを用いるのが好ましい。IgA含有出発材料
は、例えば、エタノール、ポリエチレングリコール及び
/又は硫酸アンモニウムによる沈殿、及び/又は更にク
ロマトグラフィー法を用い、例えば、イオン交換体、ヒ
ドロキシアパタイト及び/又は硫酸デキストランへの吸
着、及び/又はヘパリンセファロ−ス(Sepharose ;登
録商標)による精製を用いて、予備精製することもでき
る。別の精製法は、夾雑するタンパク質を、ZnSO4
又はリバノール(Ribanol ;登録商標)により沈殿させ
ることからなる。このような予備精製を行うことによっ
て、その後の工程において使用されるクロマトグラフィ
ーの材料、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィーに使用
されるゲルを、保存することができる。それによって、
クロマトグラフィーカラムをより長く使用することがで
きるが、この理由のため、本法が、大規模な技術規模に
おける使用に特に適しているのである。
【0036】IgG二量体の分離のためには、アフィニ
ティクロマトグラフィーを、付加的に、例えば固定化プ
ロテインA若しくはG、又は固相マトリックスに結合さ
せた抗IgG抗体上で行うのが好ましい。
【0037】付加的に行うアフィニティクロマトグラフ
ィーは、工程(a)の前、工程(a)と工程(b)の
間、及び/又は工程(b)の後に行うことができ、最も
好適には、クロマトグラフィーによる精製の前又は後に
行う。
【0038】工程(b)による方法を実施するには、前
の工程において得られた生成物を、溶解した又は固体の
形で使用するのが好適である。固体の形での加熱処理に
は、加熱処理に付す生成物の水分含有率は、好ましく
は、5〜70重量%である。別の好ましい実施態様にお
いては、凍結乾燥物を、固体の形で使用する。加熱処理
を、工程(b)により行うのであれば、加熱処理は、好
ましくは、40℃〜80℃の間の温度、特に50℃〜6
5℃の間の温度で行う。加熱処理は、少なくともウイル
スの不活性化に十分な期間、好ましくは30分〜10時
間の間の期間行う。好ましくは、加熱処理は、特にEP
−A−0159311記載の方法により、蒸気処理によ
り行う。
【0039】しかし、加熱処理のほか、ウイルス不活性
化のためのいずれの方法も使用することができる。した
がって、例えば、EP−131740記載の溶媒/洗剤
処理又はEP−50061記載の洗剤処理を適用するこ
とができる。ウイルス不活性化のための方法として、β
−プロピオラクトンと共に紫外線の照射を含む方法も、
好適である。
【0040】免疫グロブリン含有画分を、感染性因子不
活性化のための方法に付すための別の方法としては、D
E−4434538に記載されているような、ポリエー
テルの存在下で化学的又は物理的処理を行う方法が有用
である。ポリエーテルとしては、ポリヒドロキシエーテ
ル、例えばポリアルキレングリコール、並びに特にポリ
エチレングリコール及びポリプロピレングリコールを、
この目的のために使用することができる。
【0041】病原性因子の不活性化のためには、例え
ば、EP−247998記載のトリプシン又はキモトリ
プシンなどの中性ペプチドヒドロラーゼの使用も考慮す
べきである。
【0042】加熱処理を、ウイルス不活性化に通例用い
られている一つ又は数種の他の公知の方法、特に紫外線
照射、界面活性剤による処理、及び/又は溶媒/洗剤系
による処理と組み合わせるのも好適である。それによ
り、それぞれの工程を、同時に(例えば、紫外線照射と
同時に加熱処理を行う)又はいかなる順序によっても行
うことができる。
【0043】加熱処理と、ウイルス不活性化のための一
つ又は数種の方法とを組み合わせることによって、これ
らの異なる不活性化手順において機能する各種作用メカ
ニズムを使用することができ、これにより生成物のウイ
ルスに関する安全性を、更に向上させることができる。
【0044】加熱処理の前に、水に対する透析を、好適
に行うこともできる。この透析には、製剤中に存在する
汚染物質の多くを除去することができるという長所があ
る。更にまた、もし適用可能であれば用いられた、又は
製剤中に存在する安定化物質を、同様に除去することが
できる。
【0045】工程(a)により、ゲル浸透クロマトグラ
フィーを行う場合には、分子の分離は、分子ふるいとし
て機能するゲルを用い、各種分子サイズの相違に基づ
く。したがって、ゲル浸透クロマトグラフィーは、適用
されるイオン強度には、通常は依存しない。ゲル浸透ク
ロマトグラフィーの材料としては、通例使用されている
ゲル浸透クロマトグラフィーのマトリックス、例えば、
スペロース(Superose;登録商標)、セファクリル、セ
ファロース又はセファデックスを使用することができ
る。
【0046】本発明の方法においては、驚くべきこと
に、ゲル浸透クロマトグラフィーに使用されるある種の
マトリックス上におけるIgA単量体からのIgGの分
離は、イオン強度にも依存していることが証明されてい
る。このような場合においては、分離されるべき物質と
ゲルマトリックスとの間の付加的な疎水性/親水性及び
/又は静電的相互作用が、役割を果たしている可能性が
あると結論される。
【0047】したがって、本発明によると、疎水性/親
水性及び/又は静電的ゲル浸透クロマトグラフィーを、
疎水性/親水性及び/又は静電的相互作用と親和性効果
とを同時に有するマトリックスにより行うのが好まし
い。これによりIgGとIgAが非常に良く分離され、
ゲル浸透クロマトグラフィーのために上述したような通
例使用されている材料を使用した場合よりも、驚く程優
れた結果が得られる。
【0048】本発明によるゲル浸透クロマトグラフィー
においては、好ましくは、例えば、スーパーデックス
(Superdex;登録商標)又はスペロース〔いずれもファ
ルマシア(Pharmacia )社製〕などの、生体分子の高速
タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)に用い
られる架橋アガロースゲルを用いるか、又は合成材料の
ゲルを用いる。
【0049】ゲル浸透クロマトグラフィーの替わりに、
チオフィリッククロマトグラフィーを用いることもで
き、両方の精製法を組み合わせることも可能である。チ
オフィリッククロマトグラフィーに好適な吸着剤は、好
ましくは、いわゆるTゲルであり、これらは、R−SO
2 −CH2 −若しくはR−S−CH2 −CH2 −SO2
−などの構造を含み、タンパク質のイオウ含有構造に向
けられた合成担体物質又は炭水化物に基づいている。
【0050】チオフィリックマトリックス上への血漿又
は血漿画分の吸着、及びそれに続くIgA単量体を含む
画分の溶離も、IgA単量体含有製剤の製造のための好
適な方法を示している。
【0051】ウイルスに関して安全であるヒトIgA単
量体としては、実質的にIgGを含まないものが製造さ
れ、使用される。
【0052】「実質的にIgGを含まない」とは、全免
疫グロブリンにおけるIgGの比率が、10重量%未
満、好ましくは5重量%未満、そして特に3重量%未満
であることを意味する。
【0053】IgA単量体は、好ましくは、IgG二量
体も実質的に含まない。「IgG二量体を実質的に含ま
ない」とは、全免疫グロブリンにおけるIgG二量体の
比率が、5重量%未満、好ましくは3重量%未満、そし
て特に放射免疫拡散法(RID)の検出限界以下である
ことを意味する。
【0054】本発明により製造され、使用される、ウイ
ルスに関して安全なヒトIgA単量体は、好ましくは、
フィブリノーゲン及び/又はプラスミノーゲンを含まな
い。フィブリノーゲン及び/又はプラスミノーゲンを含
まないというのは、これらの汚染物質が、例えば、放射
免疫拡散法(RID)、凝固試験又は繊維素溶解試験な
どの通常の試験によっては検出できないことを意味す
る。このようにして、免疫グロブリンの投与により、生
体に更に負担をかけ得る物質が、本発明による製剤及び
それを含む医薬組成物中には存在しないことが確認され
る。
【0055】本発明により製造され、使用されるIgA
においては、サブクラスIgA1及びIgA2は、好ま
しくは、天然IgAの組成に対応する比率で存在する。
【0056】本発明の主題には、本発明による、ウイル
スに関して安全なヒトIgA単量体を、場合により、通
例使用されている医薬担体及び/又は希釈剤と共に含む
医薬組成物もある。
【0057】本発明により製造することのできるIgA
を使用することによって、安定であり、ウイルスに関し
て安全であり、付加的に加熱処理することのできる医薬
組成物を入手可能とすることが可能となった。
【0058】本医薬組成物は、IgAに加えて、IgA
と適合可能であり、医薬組成物の目的に好適かつ有用で
あるかぎりにおいて、その他の活性成分(活性要素)を
含むことができる。
【0059】本発明による医薬組成物は、炎症、感染症
及び/又はアレルギーの予防及び治療に特に好適であ
る。
【0060】医薬担体及び希釈剤としては、通例使用さ
れる薬剤学的に許容しうる担体及び希釈剤を使用するこ
とができる。
【0061】医薬組成物の製造は、公知の通例使用され
る方法により行われ、意図する投与形態に特に依存する
ものである。
【0062】IgAは、局所、粘膜、例えば口腔粘膜、
又は全身的に投与することができる。
【0063】投与量は、投与モード及び投与頻度、並び
に障害、例えば炎症の程度及び重症度に依存する。Ig
Aを高い総用量で投与する場合、少量ずつ数回に分けて
IgAを投与するのが好ましいことが多い。投与量及び
投与モードに関するこれらの考察は、当業界における技
術者には、一般的に公知である。
【0064】例えば、IgAは、3回又はそれ以上に分
けて、経口投与(通常は1〜10g/日、重症の場合はそ
れ以上)するのが好ましい。
【0065】IgAは、代表的には、例えば、静脈内注
射、持続的注入、又はその両方により、全身的に投与す
るすることができる。代表的には、50〜2,000mg
IgA/kg/日を投与する。まれではあるが、IgA
を、通常は約50〜100mgIgA/kg/日の投与量で、
筋肉内に投与することもできる。
【0066】免疫グロブリンは、例えば、吸入法(最高
10ml/ 日、10〜100mg IgA/ml )により粘膜
に、又はスプレー若しくは点鼻により鼻に(15〜20
0mg/ml )、又は関節内注射(必要に応じて、10〜1
00mg IgA/ml の溶液を、1〜5ml含む)により投
与することもできる。その他の投与モードとしては、座
剤(100〜1,000mg IgA/投与)及び経皮プ
ラスターが挙げられる。経皮プラスターは、例えば、皮
膚の炎症を治療するのに使用することができる。
【0067】このような投与剤型(形態)としては、ウ
イルス感染症の予防及び治療に通例用いられる形態、及
び特に、カプセル、錠剤、顆粒、丸剤、小丸剤及びマイ
クロカプセルなどの経口投与剤型が挙げられ、これらは
腸のウイルス感染症の治療のために、好ましくは通例用
いられる胃液耐性の腸溶性コーティングを施して提供さ
れる。
【0068】更に又、本医薬製剤は、非経口投与に好適
な投与剤型、又は注射若しくは注入に好適な組成物の剤
型で存在することもできる。
【0069】ヒトの予防的及び治療的処置のための、本
発明による医薬組成物の1日当たり投与量は、本発明に
よるIgA単量体については、10〜5,000mgであ
る。しかし、これは特に、患者の全般的状態及び年齢、
及び障害の重症度により決定される。
【0070】
【実施例】以下の実施例は、本発明をより綿密に本発明
を説明するものであるが、本発明を実施例に限定するも
のではない。カラムクロマトグラフィーを示す図におい
ては、いずれの場合もX軸は溶離量をmlで示す。以下の
略語を用いた: OD...光学密度 Hp...ハプトグロビンサブユニット LC...L鎖 HC...H鎖 M ...単量体 D ...二量体 A ...凝集物 PBS..リン酸緩衝食塩水
【0071】実施例1 ヨーロッパ特許出願EP−0506651に記載されて
いるように、Cohn II+III 画分をヒト血漿より得、リン
酸酢酸緩衝液により抽出した。得られた物質を、−2℃
の温度で、pH5.3でエタノールと混合して、最終濃度
12%とし、得られた沈殿物を分離し、−20℃で貯蔵
した。このペーストを、以下の方法により処理した。1
ml当たり大豆トリプシン阻害剤〔シグマ(Sigma )社、
セントルイス、MO、USA;I−S型〕10μg を含
む0.9%NaCl溶液を、ぺ−スト1g当たり25ml
加えた。本ペ−ストを、4℃で一夜攪拌して懸濁し、そ
れによりタンパク質の一部を溶解した。非溶解成分の分
離のために、本懸濁液を、18,900×g、4℃で6
0分間遠心分離した。沈殿物は廃棄した。上清を、ヘパ
リンセファロースCL−6B(Pharmacia-LKB 社、ウプ
サラ、スエーデン)と混合し、4℃で一夜攪拌した。次
に、ゲルを、上清からナイロンフィルター(メッシュサ
イズ85μm )により分離した。ゲルを、0.9%Na
Cl溶液により2回洗浄した(各回とも、試料の体積の
1/4の溶液を用いた)。上清と洗浄液を合わせた。
【0072】ヘパリンセファロ−スCL−6Bに結合し
ない物質を、50mMリン酸ナトリウム+150mMNaC
lからなるpH7.5の緩衝液により予め平衡化しておい
たリシンセファロース4B(Pharmacia-LKB 社)カラム
(内径=2.6cm;ゲル58ml)上に、流速1.3ml/
分で流した。非結合物質を、以降のIgAの単離に用い
た。
【0073】(カラムに結合したプラスミノーゲンは、
50mMリン酸ナトリウム、0.5MNaCl及び0.2M
イプシロン−アミノカプロン酸からなる、pH7.5の
緩衝液100mlによる洗浄工程によって、溶離すること
ができる)。
【0074】リシンセファロースと結合しない物質か
ら、硫酸デキストラン(Sigma 社;ナトリウム塩;分子
量約5,000)による沈殿により、リポタンパク質を
除去した。試料1ml当たり、10%硫酸デキストラン溶
液0.08ml及び1M 塩化カルシウム溶液1mlを、これ
に加えた。混合物を、25〜30℃で30分間攪拌し、
次に遠心分離した。沈殿物を廃棄し、カルシウムイオン
を除去するために、上清を、アミコン(Amicon社、ビバ
リー、MA、USA)スパイラルモジュールS1Y30
クロスフロー(Spiral Module S1Y30 Cross Flow)を用
いて、試料の3倍量の0.9%NaClに対して室温で
透析した。
【0075】固体状の硫酸アンモニウムを、攪拌しなが
ら、透析した物質に加え、最終濃度2M とした。次に、
攪拌を30分間続け、形成された沈殿物を、1,540
×g、4℃で遠心分離した(上清は廃棄した)。
【0076】沈殿物を、pH7.4のリン酸緩衝等張食塩
水(以降、PBSと略す)に再懸濁し、アミコンスパイ
ラルモジュールS1Y30クロスフローを用いて、試料
の3倍量のPBSに対して、室温で透析した。透析した
物質を、遠心分離により澄明にし、ヒドロキシアパタイ
トカラム〔バイオラッド(BioRad)社、リッチモンド、
CA、USA;マクロプレップセラミックヒドロキシア
パタイト(macro prepceramic hydroxyapatite ); 2
0μ;ゲル50ml;内径=2.6cm〕を用いて分離し
た。2ml/ 分の流速で、1回当たり200mlの試料を、
緩衝液A(PBS、pH7.4)により平衡化したカラム
に適用した。IgAは、ヒドロキシアパタイトに結合
し、これは、pH6.8のPBS中緩衝液B(15mMNa
2 PO4 /Na2 HPO4 )140mlにより、溶離す
ることができた。
【0077】緩衝液Bによりヒドロキシアパタイトから
溶離された物質を、アミコンスパイラルモジュールS1
Y30Aクロスフローを用いて、試料の3倍量のpH5.
0の50mM酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液に対して室温で
透析した。
【0078】透析した物質を、一括工程(バッチ方法)
により、アニオン交換体と混合した。タンパク質10mg
当たり2mlのゲル懸濁液が存在するように、イオン交換
体〔フラクトゲル(Fractogel ;登録商標)EMD T
MAE650(S);粒子径0.02〜0.04mm;メ
ルク(Merck )社、ダルムシュタット、ドイツ;pH5.
0の50mM酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液中、1:2で懸
濁)を試料に加えた。懸濁液を4℃で一夜攪拌した。非
結合物質をブフナー漏斗により分離し、ゲルをpH5.0
の50mM酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液により2回洗浄し
た。次にゲルを、pH6.0の50mM酢酸ナトリウム/酢
酸+80mMNaClにより、4℃で2時間攪拌した。次
に、ゲルを、ブフナー漏斗を用いてタンパク質から分離
した。
【0079】溶離した物質を、ジアフロ(Diaflo)限外
ろ過膜YM30を装備したアミコンスタードセル(Amic
on stirred cell )により濃縮し、タンパク質濃度10
mg/ml とした。
【0080】この物質を、スーパーデックス200プレ
ップグレード(prep grade)HR35/600(Pharma
cia-LKB 社)カラムを用い、ゲルろ過により、本発明に
より分離した。各分離ごとに、試料10mlを、pH7.4
のPBSにより平衡化したゲルに、流速2.5ml/ 分で
適用し、アイソクラチックに(isocratically )溶離し
た。このカラムを用いたことにより、まだ存在している
IgGの大部分とその他の汚染成分を、IgAから除去
することができた(図1に、スーパーデックス200H
R35/600によるゲルろ過を示す)。IgA含有画
分を集め、合わせ、更に、プロテインGセファロース4
ファストフロー(Sepharose 4 fast flow )(Pharmaci
a-LKB 社;pH7.4のPBSにより平衡化)により処理
した。試料50ml当たりゲル1mlを用い、このアフィニ
ティクロマトグラフィーを一括工程(バッチ方法)によ
り行った。懸濁液を、4℃で一夜攪拌した。遠心分離に
より、ゲルを試料から分離し、PBSにより2回洗浄し
た。上清及び洗浄液を合わせ、透析バッグ〔スペクトラ
ポア(Spectrapor) MWCO 12,000-14,000 〕中で蒸留水
に対して透析した。
【0081】この方法により得られた最終生成物を分析
した。
【0082】ゲルろ過による分析を、流速0.5ml/ 分
でランニング緩衝液としてPBSを用いた分析用スーパ
ーデックス200HR10/30FPLCカラム(Phar
macia-LKB 社)により行った。光学密度(OD)は、フ
ロースルーセル(flow-through cell )中、280nmで
測定し、溶離体積(ml)に対して記録した。
【0083】図2に示した分析結果により、最終生成物
は、主として、IgA単量体、及び溶液中でIgA単量
体から形成された少量のIgA二量体5〜10%からな
るものであった。
【0084】IgA凝集物は、2%未満で存在した。>
5mg/ml に濃縮されたIgA溶液中では、IgGは、放
射免疫拡散法によっては検出されず、これは、RIDプ
レートデンシトメトリーの感度限界に基づき、0.02
5mg/ml 未満のIgGが存在していることを示す。した
がって、本発明により得られた最終生成物は、1%未満
のIgGを含有する。プラスミノーゲン及びフィブリノ
ーゲンも又、検出されなかった(表1)。出発物質(N
aCl抽出ペースト)に関するIgAの収率は、7〜1
2%に達した。
【0085】表1 IgAの精製結果(出発物質は、Cohn画分II+IIIから1
2%エタノールにより沈殿し、0.9%NaClにより
抽出されたペーストである)。IgA、IgG及びプラ
スミノーゲンは、放射免疫拡散法(Mancini, G., Carbo
nara, A.O., Heremans, J.F., Immunochemistry 2 〔19
65〕235-254 )により分析し;フィブリノーゲンは、オ
クタロニー法(Acta Path. Microbiol. Scand.26 〔194
9〕507-515 )により検出した。
【0086】
【表1】
【0087】実施例2 実施例1に記載したように、0.9%NaCl中で攪拌
することによって、Cohn画分II+IIIから12%エタノー
ルにより沈殿したペーストから、抽出物を得た。
【0088】固体状硫酸アンモニウムを加えることによ
って、抽出物を沈殿させた。溶液の最終硫酸アンモニウ
ム濃度は、2M であった。沈殿物を、1,540×g、
4℃で10分間遠心分離した。上清は廃棄した。沈殿物
を、PBSに溶解し、出発時の容量に調節した。
【0089】次に、0.9%NaCl溶液に対して透析
を行った(透析バッグ:スペクトラポアMWCO 12
〜14kD)。透析された物質は、遠心分離、及び0.2
μmのフィルターによるろ過により、清澄化した。
【0090】この方法により前処理を行った試料(2ml
のアリコート)を、本発明によりスーパーデックス20
0プレップグレード(prep grade)HR16/60カラ
ムにより分離し、IgA含有画分を単離した。
【0091】本発明により単離した試料を、還元条件下
で、SDSゲル電気泳動(Laemmli,Nature 227 〔197
0〕680-685 )により分析した。ゲルを、クマシーブリ
リアントブルーによるタンパク質染色に付し、ビデオデ
ンシトメーター(BioRad社)により評価した。バンドの
強度(OD)を、ゲル中の分離長(mm)に対して記録し
た。主要バンドは、IgAのH鎖及びL鎖を示す(図3
に、SDSゲル電気泳動のデンシトメトリーによる評価
を示し;「LC」は、L鎖であり、「HC」は、H鎖で
ある)。IgGのH鎖が少量(IgAの<10%)観察
された。残存するIgGは、次にプロテインGセファロ
ース処理を行うことによって除去することができた。
【0092】上述の方法により、出発物質を、本発明に
よるゲルろ過法により直接清澄化した後に、IgAを単
離することが可能であった。
【0093】出発物質(NaCl抽出ペースト)に対す
るIgAの収率は、約38%に達した。
【0094】実施例3 ヒト血漿のプール(少なくとも1,000人のドナー)
を、IgA単離の出発物質として使用した。
【0095】−20℃で貯蔵した血漿プ−ル800mlを
解凍し、沈殿物(低温沈殿物)を分離し、上清を、高速
遠心分離により清澄化した。清澄化された上清を、等量
の14%ポリエチレングリコール(PEG6000)
(14重量%、pH8.0の0.100M Tris、0.
150M NaClに溶解)と混合し、4℃で16時間攪
拌し(PEGの最終濃度は、7%に達した)、次に20
分間遠心分離した(18,900×g、4℃)。pH6.
5の0.10M Tris−HCl、0.150MNaC
l緩衝液を含む緩衝液中、21%(W/V )PEG600
0により、上清のPEG最終濃度を14%とし、再び4
℃で16時間攪拌し、更に一回遠心分離した(6,00
0×g、20分、4℃)。沈殿物を、0.1M Tri
s、0.15M NaCl−HCl緩衝液(pH8.0)3
00〜350mlに溶解し、各回に再蒸留水5L を用いて
4回透析した〔4℃、排除限界50キロダルトン(kD)
の透析バッグ〕。透析液を、遠心分離により清澄化し
た。沈殿した物質は廃棄した。
【0096】pH7.6の3M 硫酸アンモニウム、0.0
40M Tris、酢酸により、この遠心分離物の上清の
硫酸アンモニウムの最終濃度を2M とした。次に、4℃
で1時間攪拌し、再び遠心分離した(19,800×
g、20分間、4℃)。沈殿物を、生理食塩水150〜
170mlに溶解し、排除限界12〜14kDの透析バッグ
中、4℃で16時間、等張塩化ナトリウム5L を用いて
2回透析を行った。本溶液中の硫酸亜鉛濃度を、2.5
M ZnSO4 (蒸留水に溶解)を透析液に徐々に添加す
ることによって、0.100M とした。同時に、蒸留水
に溶解した1M Na2 CO3 を添加することによって、
pHを6〜8(好ましくは7)に保持した。次に、25℃
で2時間攪拌し、遠心分離した。沈殿物は廃棄した。上
清を、再蒸留水に対して4℃で3回透析した。
【0097】この物質(表2中、「硫酸亜鉛上清」とし
て記載されている)は、IgA及びハプトグロビンをほ
ぼ等量含み、IgGは残存していなかった。
【0098】表2 放射免疫拡散分析により求めた、各精製工程における生
成物中のIgG、IgA、IgM及びハプトグロビン
(Hp)の(総タンパク質に対する)分布%、及びIg
Aの収率(出発物質に対する%で表示)。個別に行った
5回までの試験により求めた範囲を示す。
【0099】
【表2】
【0100】1%リバノール(Rivanol ;登録商標)
(6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジン ラクテ
ートを再蒸留水に溶解したもの)により、硫酸亜鉛によ
る沈殿後に透析を行った物質の最終リバノール濃度を、
0.1%(w/v )とした。反応の間、pHは低下した。
0.010M NaOHにより、混合物のpHを、7.8〜
8.0に保持した。その後、室温で1時間攪拌し、遠心
分離した。沈殿物は廃棄した。上清を、再蒸留水に対し
て4℃で3〜6回透析した。透析液を、限外ろ過により
〔好ましくは、アミコンYM10膜、Amicon社、ビバリ
ー、MA、USAを装備したアミコンスターセル(Amic
on Stir Cell)中で〕濃縮した。
【0101】透析を行ったリバノール上清を、カチオン
交換体(S−セファロースファストフロー(S-Sepharos
e fast flow; Pharmacia-LKB社)によるバッチ処理に付
した。
【0102】S−セファロースファストフローの前処
理:ゲル懸濁液4mlを、pH8.0の0.200M Tri
s−HCl緩衝液6mlと混合し、遠心分離した。ゲル
を、pH8.0の0.010M Tris−HCl緩衝液5
0ml中に再懸濁し、遠心分離することによって、洗浄
し、pH8.0の0.01M Tris−HCl中、懸濁液
(ゲル1部、緩衝液1部)として貯蔵した。使用前に、
懸濁液の一部を遠心分離し、上清を廃棄し、得られたゲ
ルを吸着試験に使用した。
【0103】リバノール上清5mlを、2M Tris−B
aseにより、pH8に調節した。この物質を、S−セフ
ァロースファストフローゲル0.5mlと混合した。4℃
で(振とうしながら)2時間保温した後、混合物を遠心
分離し、上清を更に、ゲルろ過により精製した。上清の
2mlのアリコートを、スーパーデックス200プレップ
グレードHR16/60FPLCカラム(Pharmacia-LK
B 社)を用いて、クロマトグラフィーに付した。IgA
含有画分を集め、水に対して透析した。この物質は、放
射免疫拡散分析によると、少なくとも98%のIgAを
含有していた。IgG及びハプトグロビンは、検出する
ことができなかった(<2%)。
【0104】また、SDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動(還元条件、Laemmli の系による)及びその後行
ったデンシトメトリー(実施例2に記載)によっても、
IgAのH鎖とL鎖のバンドのみが示された(図4で
は、「IgA」及び/又は「IgG」は、IgA及び/
又はIgGのH鎖の位置を示し;「Hp」及び/又は
「Ig−LC」は、ハプトグロビンサブユニット及び/
又は免疫グロブリンのL鎖の位置を示す)。
【0105】実施例4 ヨーロッパ特許出願EP−0506651に記載されて
いるように、Cohn画分II+IIIを、リン酸酢酸緩衝液によ
り抽出したヒト血漿から得た。この物質を、−2℃、pH
5.3でエタノールと混合し、濃度12%とした。この
手順により形成された沈殿物を除去した。上清を、上記
したようにアニオン交換体により処理した。
【0106】タンパク質の結合したアニオン交換体を、
更に、本発明により処理した。ペースト100gを蒸留
水1,000mlに懸濁し、ブフナー漏斗によりろ過し
た。
【0107】保持されたゲル物質を、蒸留水2L により
洗浄した。洗浄したゲル物質を、0.5M NaCl(蒸
留水に溶解)300mlと混合し、4℃で10分間保温し
て、次に遠心分離した。
【0108】上清(表3中、「NaCl抽出物」として
示す)を保持し、滅菌ろ過した。
【0109】抽出物を、等量の、pH6.0の2M 硫酸ア
ンモニウム、0.1M 酢酸ナトリウム溶液と混合し、硫
酸アンモニウム濃度が1M であるこの混合物を、チオフ
ィリッククロマトグラフィーカラムに付した。
【0110】カラム(Pharmacia-LKB 社製のXR−16
/20型)に、Affi−Tチオフィリックアガロース
〔ケム・エン・ティー(Kem-En-Tee)社、コペンハーゲ
ン、デンマーク〕30mlを充填し、pH6.0の1M 硫酸
アンモニウム、0.05M 酢酸ナトリウム溶液により平
衡化した。
【0111】混合物を、流速0.8〜1.0ml/ 分で、
カラムに流した。非結合タンパク質を、pH6.0の1M
硫酸アンモニウム、0.05M 酢酸120mlにより洗浄
した。次に、IgA含有画分を、pH6.0の0.6M 硫
酸アンモニウム、0.03M酢酸120mlにより溶離し
た。まだ結合した状態の残存タンパク質を、pH8.0の
50mMTris 120mlにより洗浄し、カラムを、1
M 硫酸アンモニウム、0.05M 酢酸により、再び平衡
化した。
【0112】0.6M 硫酸アンモニウムにより溶離した
画分を、カットオフ値が50kDである透析バッグ中、蒸
留水に対して3回透析した。
【0113】透析した物質(表3中、「硫酸アンモニウ
ム溶離物」として示す)を、遠心分離により、約3mg/m
l まで濃縮し、10mlのアリコートで、ゲルろ過カラム
(スーパーデックスS200プレップグレードHR35
/600、Pharmacia-LKB 社)によるクロマトグラフィ
ーに付した。
【0114】IgA含有画分を集めてプールし、PBS
に対して数回透析した。
【0115】IgAの収率は、「NaCl抽出物」のI
gA含有率と比較して、約22〜30%であった(表
3)。
【0116】本発明により精製した物質は、放射免疫拡
散分析により測定したところ、最高95%のIgAを含
んでいた(表3)。図5に、Laemmli の系による還元さ
れた試料のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
と、その後のゲルのデンシトメトリー(実施例2に記
載)とを示す。IgAのH鎖(「IgA−HC」)及び
L鎖(「IgA−LC」)に特徴的なバンドのみが確認
された。
【0117】純度が>99%であるIgAは、一括工程
(バッチ工程)により、プロテインGセファロースファ
ストフロー(Pharmacia-LKB 社)による処理を更に行う
ことによって、単離することができた。
【0118】プロテインGセファロースファストフロー
の量は、バッチ中にまだ含まれるIgG10mg当たり、
ゲル物質が1ml存在するように、調節した。振とうしな
がら3〜6時間保温した後、IgGの結合したプロテイ
ンGセファロースを、遠心分離により分離した。上清
を、蒸留水に対して透析した。
【0119】この最終生成物も、分析用スーパーデック
ス200HR10/30ゲルろ過カラムを用いて分析し
た(実施例1に記載の方法)。これは、大部分がIgA
単量体からなり、少量(5〜10%)のIgA二量体も
含んでいた(図6;「D」=IgA二量体、「M」=I
gA一量体、「A」=凝集物)。IgA凝集物は、存在
しても<2%程であった。本発明により製造された最終
生成物中には、放射免疫拡散法によっては、IgGは検
出することができなかった。用いた方法の感度限界に基
づくと、これは、このIgA製剤中、IgGが1%未満
しか存在していないことを意味している。
【0120】表3 放射免疫拡散分析により求めた各精製工程の生成物中の
IgG及びIgAの分布(総タンパク質に対する%とし
て示す)、及びIgAの収率(出発物質に対する%とし
て示す)。個別に行った4回の精製手順において認めら
れた範囲を示す。
【0121】
【表3】
【0122】実施例5 精製製剤中のIgAサブクラスの組成並びにカッパ及び
ラムダL鎖の分布実施例1、3及び4において製造され
た本発明のIgA製剤を、そのIgAサブクラスの分布
について、放射免疫拡散プレート〔ザ・バインディング
サイト(The Binding Site)、バーミンガム、英国〕を
用いて(供給者の指示による方法で)試験し、血漿プー
ル(1,000人以上の健康な成人血液ドナーから得
た)と比較した。本発明により製造された生成物中のI
gAサブクラスの分布は、正常血漿のそれと、ほとんど
相違しなかった(表4)。
【0123】精製したIgAのL鎖の組成は、ベーリン
グ(Behring )社より得た放射免疫拡散プレートにより
調べた(マールブルグ、ドイツのBehring 社の指示によ
る方法)。精製したIgAと標準血漿プールとの間で、
カッパ:ラムダ比に相違は観察されなかった(全ての免
疫グロブリンクラスのカッパ:ラムダ比を調べた)(表
5)。
【0124】これらの結果により、本発明により製造さ
れたIgAは、血清中に含まれるIgAと、その組成が
一致することが示された。
【0125】表4 放射免疫拡散法により測定した精製IgA製剤のIgA
サブクラスの分布。
【0126】
【表4】
【0127】第5表 放射免疫拡散法により測定した精製IgAのL鎖の組成
(単位/dl による評価)。
【0128】
【表5】
【0129】実施例6 精製IgA製剤の生物学的有効性の試験 本発明による精製後のIgA生成物の、細菌を認識し、
結合する能力を、試験系において試験した。
【0130】E. coli 懸濁液(Nr COPO54、
1.39×1010/ml )から、20μl アリコートを採
り、本発明により製造されたIgA(1mg/ml )1.4
ml、及び/又はコントロール(対照)としてヒト血漿プ
ール(1mg/ml IgA)1.4mlに懸濁した。ウシ血清
アルブミンの1%(w/v )PBS溶液(以下PBS/B
SAと略す)0.100mlを加えた。これを、時おり振
とうしながら、4℃で60分間保温した。次にこれを遠
心分離〔エッペンドルフ(Eppendorf )社、12,00
0rpm 、5分間、4℃〕し、細菌を、各回にPBS/B
SA1mlを用いて4回洗浄した。細菌を、PBS/BS
A 0.5mlに再懸濁した。次に、懸濁液を、蛍光標識
抗ヒトIgA抗体〔フルオレセイン(DTAF)とコン
ジュゲート化したアフィピュア(affi pure )ウサギF
(ab)2 抗ヒトIgA(アルファ鎖仕様)、ジャクソ
ンイムノリサーチ(Jackson ImmunoResearch)社、ウエ
ストグローブ、PA、USA〕20μl と混合し、時お
り振とうしながら、4℃で60分間保温した。次に、細
菌懸濁液を、各回にPBS/BSA1mlを用いて、4回
洗浄し、PBS/BSA0.5mlに懸濁した。細菌に対
するIgA及び蛍光標識抗ヒトIgAの結合を、蛍光活
性化セルソーター(cell sorter )〔型:FACスター
プラス(Star-Plus )、ベクトンディキンソン(Becton
Dickinson)社、マウンテンビュー、CA、USA〕に
より測定した。
【0131】蛍光標識抗体と共に保温したが、IgA含
有生成物とは保温しなかった(替わりに、純粋なPBS
と保温した)細菌を、ブランクとした。分析の結果(図
7、X軸は蛍光強度を示し、Y軸は検出細菌数を示
す)、本発明により単離されたIgAは、血漿プールか
ら得たIgAと同様に、細菌と良好に結合することが示
された。血漿IgAと保温した細菌の74%と、本発明
により精製されたIgAと共に保温した細菌の77%
が、IgAと結合した。
【0132】これらの結果から、ある種の細菌と結合す
るIgAの生物学的機能は、本発明による精製後も保持
されることが示された。
【0133】実施例7 存在する可能性のあるウイルス性汚染物質の不活性化の
ための単離IgAの凍結乾燥及び加熱処理 本発明により製造されたIgA濃度が10mg/ml である
IgA4mlを、凍結乾燥した。その後、凍結乾燥した物
質を、凍結乾燥用バイアル中で、(試料の総重量に対し
て7%の水を加えることによって)加湿した。その後、
密閉したバイアルを、60℃で10時間加熱処理し、次
いで80℃で1時間加熱した。
【0134】加熱処理した試料を、PBSにより出発時
の容積に戻し、この方法により得た溶液を、スーパーデ
ックスS200HR10/30FPLCカラムによるゲ
ルろ過(実施例1に記載)により分析した。図8
(「M」=IgA単量体、「D」=IgA二量体、
「A」=凝集物)には、凍結乾燥及び加熱処理後、Ig
Aはまだ、IgA単量体を96%以上含有していること
が示されている。
【0135】実施例8 溶解IgAの加熱処理 本発明により単離されたIgAを、蒸留水により濃度
0.4mg/ml に溶解し、水浴中で、異なる温度で種々の
時間保温した。
【0136】その後、この物質を、実施例1に記載した
ように、スーパーデックス200HR10/30ゲルろ
過カラムにより分析した。
【0137】非処理IgA製剤(図2又は図6を参照)
と比較したところ、60℃の温度で30分間(図9)、
又は40℃の温度で8時間加熱した場合のいずれも、凝
集物は形成されなかったことが示された。40℃で8時
間加熱し、更に50℃で8時間加熱した後でさえも(図
11)、2%未満の凝集物が観察されたのみであった。
図9〜11では、「M」、「D」及び/又は「A」は、
IgA単量体、IgA二量体及び/又は凝集物の位置を
示す。
【0138】実施例9 カラム剤との親水性/疎水性、及び/又は静電的相互作
用の影響を試験するために、実質的にIgA及びIgG
からなる試料を、異なるゲル剤を充填した同じ大きさの
ゲルろ過カラムにより分析した。このために、同じ大き
さのアリコートを、カラムに適用し、同一の溶離条件
(0.5ml/ 分)で、アイソクラティックに溶離した。
【0139】リン酸緩衝0.15M NaCl溶液により
平衡化したゲルろ過カラムにより、以下の分析を行った
(流速:0.5ml/ 分、光学密度(OD)を280nmで
測定)。
【0140】スーパーデックス200HR10/30カ
ラム(Pharmacia-LKB 社)(図12)と、スペロース6
HR10/30カラム(Pharmacia-LKB 社)(図13)
を用いて、同様にIgG及びIgAを分離した。
【0141】これに対して、高イオン強度(2M NaC
l)の条件下でゲルろ過を行ったところ、タンパク質の
ピークがより接近して移動したため、スーパーデックス
200HR10/30カラムでは、分離することはでき
なかった(図14)。この結果により、スーパーデック
ス200によるIgA及びIgGの分離は、分子量の違
い(IgA:162kD、IgG:153kD、〔Heremans
J.F., Immunoglobulin IgA, in The Antigens, vol. 2
(1974) p. 365-522; Academic Press, New York〕)ば
かりでなく、IgG及びIgAのカラム剤との疎水性及
び/又は静電的相互作用の違いにも依存することが示さ
れた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1 カラム:スーパーデックス200HR35/600 Cohn III沈殿物からIgAを単離するために、分取のた
めに作動したもの。
【図2】実施例1 カラム:スーパーデックス200HR10/30 最終生成物(IgA)の分析。
【図3】実施例2 IgA:ゲル電気泳動/デンシトメトリー。
【図4】実施例3 IgA:ゲル電気泳動/デンシトメトリー。
【図5】実施例4 IgA:ゲル電気泳動/デンシトメトリー。
【図6】実施例4 カラム:スーパーデックス200HR10/30 IgA最終生成物(「M」単量体、「D」二量体、
「A」凝集物)。
【図7】実施例6 IgAにより被覆されたE. coli 。 X軸:蛍光強度 Y軸:検出された細菌数
【図8】実施例7 カラム:スーパーデックス200HR10/30 凍結乾燥後、PBS中に再構成されたIgA。
【図9】実施例8 カラム:スーパーデックス200HR10/30 熱処理(60℃、30分)後のIgA。
【図10】実施例8 カラム:スーパーデックス200HR10/30 熱処理(40℃、8時間)後のIgA。
【図11】実施例8 カラム:スーパーデックス200HR10/30 熱処理(40℃、8時間+50℃、8時間)後のIg
A。
【図12】実施例9 カラム:スーパーデックス200HR10/30 緩衝液:PBS(0.15M NaCl)によるIgA及
びIgGの分離。
【図13】実施例9 カラム:スペロース6HR10/30 緩衝液:PBS(0.15M NaCl)によるIgA及
びIgGの分離。
【図14】実施例9 カラム:スーパーデックス200HR10/30 緩衝液:PBS及び2M NaClによるIgA及びIg
Gの分離。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マルタ・エイブル オーストリア国、アー−1180 ウィーン、 グスタブ−ツェルマークガッセ 2 (72)発明者 レギーネ・トマジッツ オーストリア国、アー−1020 ウィーン、 ブルマウアーガッセ 9/8 (72)発明者 ヘルマン・ヴォルフ オーストリア国、アー−1180 ウィーン、 ヴァイトルフガッセ 15

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)実質的にIgGを含まないIgA
    単量体が得られるように、免疫グロブリン含有画分を精
    製する工程、及び(b)ウイルス不活性化のための方法
    を実施する工程によって得られる、ウイルスに関して安
    全なヒトIgA単量体。
  2. 【請求項2】 精製が、ゲル浸透クロマトグラフィー及
    び/又はチオフィリッククロマトグラフィーのようなク
    ロマトグラフィーによる精製を含むことを特徴とする、
    請求項1記載のIgA単量体。
  3. 【請求項3】 ウイルス不活性化のための方法として、
    加熱処理を実施することを特徴とする、請求項1又は2
    記載のIgA単量体。
  4. 【請求項4】 IgA1及びIgA2を天然組成比で含
    むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載
    のIgA単量体。
  5. 【請求項5】 フィブリノーゲンを含まないことを特徴
    とする、請求項1〜4のいずれか1項記載のIgA単量
    体。
  6. 【請求項6】 プラスミノーゲンを含まないことを特徴
    とする、請求項1〜5のいずれか1項記載のIgA単量
    体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項記載のヒト
    IgA単量体の画分を含むことを特徴とする安定な医薬
    製剤。
  8. 【請求項8】 実質的にヒトIgA単量体からなる請求
    項7記載の安定な医薬製剤。
  9. 【請求項9】 薬剤学的に許容しうる助剤及び添加剤を
    付加的に含む、請求項7又は8記載の安定な医薬製剤。
  10. 【請求項10】 請求項1記載のウイルスに関して安全
    なIgA単量体を製造する方法であって、(a)実質的
    にIgGを含まないIgA単量体が得られるように、免
    疫グロブリン含有画分を精製する工程、及び(b)ウイ
    ルス不活性化のための方法を実施する工程を含む方法。
  11. 【請求項11】 精製のために、ゲル浸透クロマトグラ
    フィー及び/又はチオフィリッククロマトグラフィーの
    ようなクロマトグラフィーを実施することを特徴とす
    る、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 ウイルス不活性化のための方法が、I
    gA単量体を加熱することを含むことを特徴とする、請
    求項10又は11記載の方法。
  13. 【請求項13】 免疫グロブリン含有画分として、ヒト
    血清、血漿、血漿画分又は初乳を使用することを特徴と
    する、請求項10〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. 【請求項14】 出発物質として、CohnII+III画分を使
    用することを特徴とする、請求項10〜13のいずれか
    1項記載の方法。
  15. 【請求項15】 出発物質を予備精製することを特徴と
    する、請求項10〜14記載のいずれか1項記載の方
    法。
  16. 【請求項16】 ゲル浸透クロマトグラフィーを、親水
    性/疎水性及び/又は静電的相互作用により実施するこ
    とを特徴とする、請求項11記載の方法。
  17. 【請求項17】 ゲル浸透クロマトグラフィーを、スー
    パーデックス(Superdex;登録商標)を用い、親水性/
    疎水性及び/又は静電的相互作用により実施することを
    特徴とする、請求項16記載の方法。
  18. 【請求項18】 アフィニティクロマトグラフィーを、
    更に精製の工程として実施することを特徴とする、請求
    項10〜17のいずれか1項記載の方法。
  19. 【請求項19】 ウイルス不活性化のための方法とし
    て、40℃と80℃の間(最も好ましくは50℃と65
    ℃の間)で、ウイルス不活性化に充分な期間、加熱処理
    を実施することを特徴とする、請求項10〜18のいず
    れか1項記載の方法。
  20. 【請求項20】 水に対する透析を、加熱処理の前に実
    施することを特徴とする、請求項10〜19のいずれか
    1項記載の方法。
  21. 【請求項21】 血漿又は血漿画分を、チオフィリック
    マトリックスに吸着させ、IgA単量体を含む画分を溶
    離することを特徴とする、IgA単量体を含む製剤を製
    造する方法。
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