JPH085950A - 光偏向装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 偏向器カバーを多機能化しながら構成の簡単
化を実現した光偏向装置を提供する。 【構成】 ポリゴンミラー１を覆うように設けられた偏
向器カバー１０を、透明性樹脂あるいは透明性ガラス等
の、レ−ザビ−ム８に対して透明な部材で構成すること
により、これまでは偏向器カバーの本体部とは別に必要
であった窓部専用部材の使用を廃止し、偏向器カバー１
０を唯一の部材（透明性部材）のみで構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、レーザビームを回転多
面鏡（ポリゴンミラー）で偏向して感光ドラム上に照射
する光偏向装置に係り、特に、ポリゴンミラーの防塵や
風損低減を目的として設けられる偏向器カバー部に改良
を加えることにより、構成の簡単化・多機能化を実現し
た光偏向装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】レーザビームを利用した画像記録では、
印字パターンに応じて光強度変調されたレ−ザビ−ムを
高速回転するポリゴンミラーに照射し、ポリゴンミラー
を構成する各光偏向面の瞬時の角度および位置に応じて
レーザビームを異なった方向へ反射させることにより、
回転する感光ドラム上でレーザビームが走査される。プ
リント能力が毎分３０枚程度のデジタル複写機、ファク
シミリ、あるいはプリンタ等では、ポリゴンミラーに２
００００ｒｐｍ以上の高速回転が要求されることから、
風損や風切り音の低減および防塵を目的として、ポリゴ
ンミラーを覆うように偏向器カバーが設けられている。

【０００３】従来の偏向器カバーには、レーザ光源から
放出されたレ−ザビ−ムをポリゴンミラーへ入射するた
めの入射窓、およびポリゴンミラーで反射されたレ−ザ
ビ−ムを外部へ出射するための出射窓の、少なくとも２
つの窓部が必要であったため、部品点数が多く構成や組
み立て工程が複雑であるという問題があった。さらに、
多種多様の部材から構成されるために、リサイクル時に
は分解して各部を材質別に分別する必要があるため、リ
サイクルが難しいという問題があった。

【０００４】このような問題点を解決するために、例え
ば実開昭５９−１２３８２１号公報（第１の従来技術）
では、レ−ザビ−ムの入射窓と出射窓とを共用させるこ
とにより窓部を１つとして構成を簡単化した偏向器カバ
ーが開示されている。

【０００５】一方、ポリゴンミラーで反射されたレ−ザ
ビ−ムは、ｆ−θレンズ等のレンズ手段を用いて感光ド
ラム上で結像させ、かつ等速度化する必要があるため、
従来は偏向器カバーとは別途に独立してｆ−θレンズが
設けられていたが、特開昭５８−３０７２３号公報（第
２の従来技術）では、偏向器カバー内にｆ−θレンズ等
を組み込むことにより、これらを見掛け上一体の構成と
して多機能化した偏向器カバーが開示されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記した第１の従来技
術では、窓部を一つとすることで構成の簡単化が実現さ
れるが、相変わらず偏向器カバー本体とは材質の全く異
なる窓部材を取り付ける必要があったため、構成の簡単
化が十分には達成されず、またリサイクルにも手間がか
かるという問題があった。

【０００７】また、上記した第２の従来技術では、ｆ−
θレンズ等が偏向器カバー内に組み込まれているために
部品点数が多くなり、また構成も複雑化することから、
リサイクルにも手間がかかるという問題があった。

【０００８】本発明の目的は、上記した従来技術の問題
点を解決し、偏向器カバーを多機能化しながら構成の簡
単化を実現した光偏向装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明では、以下のような手段を講じた点に特
徴がある。 (1) 偏向器カバーを、少なくともレーザビームの入出射
窓部がレーザビームを透過する、単一の部材により構成
するようにした。 (2) 偏向器カバーの入出射窓部の周囲に凸状のリブを突
設した。 (3) 偏向器カバーの入射窓部を、レーザビームに対して
コリメータレンズ機能を有する形状に成型した。 (4) 偏向器カバーの出射窓部を、レーザビームに対して
ｆ−θレンズ機能を有する形状に成型した。 (5) 偏向器カバーの出射窓部を、偏向角度にかかわらず
レ−ザビ−ムに対して均一の厚みとなる形状に成形し
た。 (6) コリメータレンズ機能を有する入射窓部を偏向器カ
バーに設け、レ−ザビ−ム光源は当該入射窓部近傍で偏
向器カバーに立設されたリブにより保持するようにし
た。

【００１０】

【作用】上記した構成(1) によれば、偏向器カバーの構
成が簡単化されるばかりか、リサイクル時に当該偏向器
カバーを一体のものとして扱うことができ、それ以上の
分別作業が不要となる。

【００１１】上記した構成(2) によれば、入出射窓部の
他の異物への接触が凸状リブによって妨げられる。

【００１２】上記した構成(3) によれば、偏向器カバー
をコリメータレンズとしても機能させることができ、コ
リメータレンズを別途に設ける必要がなくなる。

【００１３】上記した構成(4) によれば、偏向器カバー
をｆ−θレンズとしても機能させることができ、ｆ−θ
レンズを別途に設ける必要がなくなる。

【００１４】上記した構成(5) によれば、レ−ザビ−ム
が偏向器カバーを通過する際の光路長を一定に保つこと
ができるようになる。

【００１５】上記した構成(6) によれば、レ−ザビ−ム
光源を別途に設ける必要がなくなり、その位置決めも容
易になる。

【００１６】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。図１０は本発明が適用されるレーザビーム
プリンタの光偏向・走査系の一般的な構成を示した図で
ある。

【００１７】レーザ制御ユニット４は、印字パターンに
応じて光強度変調されたレ−ザビ−ム８を放出する。レ
ーザビーム８は、コリメータレンズ７により平行光束化
されて多角形のポリゴンミラー１に照射される。ポリゴ
ンミラー１の回転軸１３には、これを高速回転させるた
めのポリゴンモータ３（例えば、ＤＣブラシレスモー
タ）が連結されている。ポリゴンミラー１の各光偏向１
ａで反射されたレーザビーム６は、ｆ−θレンズ５等の
レンズ手段を介して感光ドラム２表面で走査され、回転
する感光ドラム２の表面には静電潜像が形成される。

【００１８】図１は、本発明の第１実施例である光偏向
装置のポリゴンミラー部での水平断面、図２は、図１の
垂直部分断面図であり、それぞれ前記と同一の符号は同
一または同等部分を表している。

【００１９】本実施例では、ポリゴンミラー１を覆うよ
うに設けられた偏向器カバー１０を、透明性樹脂あるい
は透明性ガラス等の、レ−ザビ−ム８に対して透明な部
材で構成することにより、これまでは偏向器カバーの本
体部とは別に必要であった窓部専用部材の使用を廃止
し、偏向器カバー１０を唯一の部材（透明性部材）のみ
で構成するようにした点に特徴がある。

【００２０】本実施例によれば、偏向器カバー１０が唯
一の部材により構成されるので、従来は必要であった窓
部の取り付け工程を廃止することができるばかりか、リ
サイクル時には、偏向器カバー１０を一体のものとして
扱うことができ、それ以上の分別作業が不要となるの
で、リサイクルを容易に行えるようになる。なお、本実
施例では偏向器カバー１０の側面がポリゴンミラー１に
対して垂直であるものとして説明したが、図３に示した
変形例のように、偏向器カバー１０の側面をポリゴンミ
ラー１に対して予定の角度だけ傾斜させるようにしても
良い。

【００２１】図４、５は、共に本発明の第２実施例であ
る偏向器カバー１０の側面図であり、前記と同一の符号
は同一または同等部分を表している。

【００２２】一般的に樹脂の硬度はガラスよりも低く、
他の異物との接触等により簡単に傷が付いてしまう。し
たがって、上記のように偏向器カバー１０を透明性樹脂
で構成すると、当該偏向器カバー１０を搬送する際や偏
向器本体部へ取り付ける際などに入出力窓部に傷が付い
てしまう可能性が高い。また、偏向器カバー１０をガラ
スで構成した場合であっても、取り付け時等に他の異物
と接触して入出力窓部が汚染される可能性が高くなる。

【００２３】そこで、本実施例では偏向器カバー１０の
側面であって、特にレ−ザビ−ムの入出射窓部として機
能する箇所１０ａの近傍に凸状のリブ１１を設け、窓部
１０ａへの他の異物の接触を防止して傷が付かないよう
にしている。リブ１１の形状は、図４に示したように偏
向器カバー１０の側面の全周にわたって設けても良い
し、あるいは図５に示したように、窓部１０ａのみを取
り囲むように設けても良い。なお、本実施例に限らず他
の実施例でも同様に、入出射窓部１０ａの表面には反射
防止用のコーティングを施しておくことが望ましい。

【００２４】図６は、本発明の第３実施例である偏向器
カバー１０の垂直部分断面図であり、前記と同一の符号
は同一または同等部分を表している。

【００２５】本実施例では、ポリゴンミラー１を角錐台
形状にすると共に、偏向器カバー１０の上面部に一対の
リブ１２を立設し、当該リブ１２によりレーザ光源４ａ
を保持するようにした点に特徴がある。また、リブ１２
の間であってレ−ザビ−ム８の入射窓部として機能する
箇所１０ｂの肉厚や形状を適宜に設定することにより、
当該偏向器カバー１０にコリメータレンズ機能を付加し
た点に特徴がある。

【００２６】本実施例によれば、レーザ光源４ａおよび
コリメータレンズ１０ｂを偏向器カバー１０と一体化す
ることができるので、レーザ光源４ａやコリメータレン
ズ１０ｂのポリゴンミラー１に対する位置決めが容易に
なるばかりか、偏向器カバー１０の多機能化により、光
偏向・走査系の構成を簡単化することができるようにな
る。

【００２７】図７は、本発明の第４実施例である偏向器
カバー１０のポリゴンミラー部での垂直断面図であり、
前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。

【００２８】本実施例では、偏向器カバー１０にコリメ
ータレンズ部１０ｂおよびｆ−θレンズ部１０ｃを設け
た点に特徴がある。本実施例によれば、偏向器カバー１
０が更に多機能化され、別途にコリメータレンズおよび
ｆ−θレンズを設ける必要がなくなるので、光偏向・走
査系の構成が更に簡単化される。

【００２９】図８は、本発明の第５実施例である偏向器
カバー１０のポリゴンミラー部での垂直断面図であり、
前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。

【００３０】本実施例には、出射窓部１０ｄにｆ−θレ
ンズ機能を付加する代わりに、その肉厚や形状を適宜に
設定することにより、当該出射窓部１０ｄがポリゴンミ
ラー１による偏向角度にかかわらず、レ−ザビ−ムに対
して均一の厚みとなるようにした点に特徴がある。

【００３１】本実施例によれば、例えば図１に関して説
明した第１実施例に比べて、レ−ザビ−ムが偏向器カバ
ー１０を通過する際の光路長を一定に保つことができる
ようになるので、感光ドラム２表面での解像度の劣化が
防止されるようになる。

【００３２】図９は、本発明の第６実施例である偏向器
カバー１０のポリゴンミラー部での垂直断面図であり、
前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。

【００３３】本実施例では、前記第１実施例に関して説
明した偏向器カバー１０の側面のうち、特に出射窓部と
して機能する部分１０ｃの肉厚や形状を適宜に設定して
当該偏向器カバー１０にｆ−θレンズ機能を付加すると
共に、ｆ−θレンズ部１０ｃを含めて偏向器カバー１０
の外周形状が真円となるようにして、高い成型精度が簡
単に得られるようにしている。

【００３４】なお、上記した各実施例では偏向器カバー
１０を唯一の透明部材のみで構成するものとして説明し
たが、本発明はこれのみに限定されず、レーザビームの
入出射窓部はレーザビームに対して透明な部材で構成
し、他の部分はリサイクル時に当該透明部材と同種とし
て扱われる他の部材で構成するのであれば、偏向器カバ
ー１０は複数種の部材から構成するようにしても良い。

【００３５】例えば、透明性樹脂により偏向器カバー１
０の全体形状を成型した後、入出力窓部のみを残して他
の部分を不透明性樹脂で２色成型すれば、レ−ザビ−ム
の不要部分への照射が完全に防止される。

【００３６】

【発明の効果】上記したように、本発明によれば以下の
ような効果が達成される。 (1) 請求項１の発明によれば、偏向器カバーがレーザビ
ームに対して透明な唯一の部材により構成されるので、
偏向器カバーの構成が簡単化されるばかりか、リサイク
ル時には偏向器カバーを一体のものとして扱うことがで
きるようになるので、分別作業が不要となってリサイク
ルが容易になる。 (2) 請求項２の発明によれば、入出射窓部の周囲に設け
られた凸状のリブにより、入出射窓部への他の部位の接
触が妨げられるので、入出射窓部の汚染や傷が防止され
る。 (3) 請求項３の発明によれば、偏向器カバーの入射窓部
がコリメータレンズとして機能するので、コリメータレ
ンズを別途に設ける必要がなくなり、光偏向系の構成の
簡単化が可能になる。 (4) 請求項４の発明によれば、偏向器カバーの出射窓部
がｆ−θレンズとして機能するので、ｆ−θレンズを別
途に設ける必要がなくなり、光偏向系の構成の簡単化が
可能になる。 (5) 請求項５の発明によれば、出射するレ−ザビ−ムに
対する出射窓部の肉厚が、偏向角度にかかわらず均一に
なるので、レ−ザビ−ムが偏向器カバーを通過する際の
光路長を一定に保つことができるようになる。 (6) 請求項６の発明によれば、レ−ザビ−ム光源は当該
入射窓部近傍で偏向器カバーに立設されたリブにより保
持されるので、レ−ザビ−ム光源を別途に設ける必要が
なくなり、その位置決めも容易になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の第１実施例の構成を示した水平断面
図である。

【図２】 本発明の第１実施例の構成を示した垂直断面
図である。

【図３】 第１実施例の変形例の構成を示した垂直断面
図である。

【図４】 本発明の第２実施例（その１）の構成を示し
た側面図である。

【図５】 本発明の第２実施例（その２）の構成を示し
た側面図である。

【図６】 本発明の第３実施例の垂直部分断面図であ
る。

【図７】 本発明の第４実施例の構成を示した水平断面
図である。

【図８】 本発明の第５実施例の構成を示した水平断面
図である。

【図９】 本発明の第６実施例の構成を示した水平断面
図である。

【図１０】 本発明が適用されるレーザビームプリンタ
の光偏向系の構成を示した図である。

【符号の説明】

１…ポリゴンミラー、２…感光ドラム、２ａ…光偏向、
３…ポリゴンモータ、４…レーザ制御ユニット、５…ｆ
−θレンズ、７…コリメータレンズ、８…レ−ザビ−
ム、１０…偏向器カバー、１０ａ…入出力窓部、１０ｂ
…コリメータレンズ機能部、１０ｃ…ｆ−θレンズ機能
部、１１、１２…リブ、１３…回転軸

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 偏向器カバーで覆われて高速回転する回
   転多面鏡によりレーザビームを順次偏向し、当該レーザ
   ビームを像担持体上で走査する光偏向装置において、 前記偏向器カバーは、少なくともレーザビームの入出射
   窓部がレーザビームを透過する、単一の部材により構成
   されたことを特徴とする光偏向装置。
2. 【請求項２】 前記偏向器カバーのレーザビームの入出
   射窓部の周囲には、凸状のリブが突設されたことを特徴
   とする請求項１に記載の光偏向装置。
3. 【請求項３】 前記偏向器カバーの入射窓部は、レーザ
   ビームに対してコリメータレンズ機能を有する形状であ
   ることを特徴とする請求項１または２に記載の光偏向装
   置。
4. 【請求項４】 前記偏向器カバーの出射窓部は、レーザ
   ビームに対してｆ−θレンズ機能を有する形状であるこ
   とを特徴とする請求項１ないし３のいずれかに記載の光
   偏向装置。
5. 【請求項５】 前記偏向器カバーの出射窓部は、偏向角
   度にかかわらずレ−ザビ−ムに対して均一の厚みとなる
   形状であることを特徴とする請求項１ないし３のいずれ
   かに記載の光偏向装置。
6. 【請求項６】 レ−ザビ−ム光源は、入射窓部近傍で偏
   向器カバーに立設されたリブにより保持されることを特
   徴とする請求項３ないし５のいずれかに記載の光偏向装
   置。