JPH08579Y2 - 溶融燃焼装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、不燃性物質や難燃性物質を含有する燃料の
溶融燃焼装置に関するもので、石炭焚きボイラ、スラッ
ジ焚きボイラ、各種廃棄物燃焼設備等に適用できる。

〔従来の技術〕

第４図は従来の石炭溶融燃焼装置の一例を示す縦断側
面図である。図中01は燃焼器,02は燃料投入ノズル,03は
燃焼用空気管,04は空気投入ノズル,05はスラグダップ,0
6は燃焼ガス出口ダクト,07はスラグビンをそれぞれ示
す。

燃料投入ノズル02から燃焼器01内に投入された燃料
は、空気投入ノズル04から接線方向に投入される燃焼空
気により、旋回力を付与され高速燃焼する。燃焼器01内
の熱負荷は高く、燃焼残渣物は溶融し遠心力で周壁に付
着して流下する。流下した溶融残渣はスラグタップ05を
経てスラグビン07に落下する。燃焼ガスは燃焼ガス出口
ダクト06を経て外部へ出ていく。

〔考案が解決しようとする課題〕

前記、従来型溶融燃焼装置には、解決すべき次のよう
な課題があった。

（１）分離機構が燃焼器における遠心分離機構のみであ
り、充分な分離機能が得られない。

（２）燃焼器壁面で付着溶融したスラグが、部分的に壁
面から剥離し、燃焼ガスに気流搬送されて再飛散し、ダ
クトを経て外部へ出ていく。

（３）また上記剥離とは別に、壁面に到達しない微細な
溶融スラグも、燃焼ガスに気流搬送されダクトを経て外
部へ出ていく。

（４）溶融残渣の滞留時間が充分に確保できない。

（５）スラグビンにおける熱損失、ビン貯水の蒸発が大
きい。

上記のように従来の溶融燃焼装置においては、溶融ス
ラグの分離捕集および溶融スラグ中未燃分の完全燃焼に
難点があった。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、前期従来の課題を解決するために、軸線が
ほぼ鉛直な逆円錐状で、下端にスロートが形成され、か
つ上部に軸線方向を向いた燃料投入ノズルおよび接線方
向を向いた空気投入ノズルを有する主燃焼器と、軸線が
水平に対し傾斜した円筒状で高位置端に上記スロートの
下端が接続され低位置端にスラグの排出口を有する副燃
焼器と、上記低位置端に下端が接続された縦向きのダク
トとを備えたものにおいて、上記主燃焼器の逆円錐状絞
り角が10°〜20°であり、かつ上記縦向きのダクト内の
下部の上記主燃焼室側に１段目のセキ、上記縦向きのダ
クト内の上部の同縦向きのダクトの軸線をはさんで上記
１段目のセキの反対側に２段目のセキがそれぞれ設けら
れたことを特徴とする溶融燃焼装置を提案するものであ
る。

〔作用〕

本考案は上記のとおり構成され、次の作用を有する。

（１）主燃焼器全体が逆円錐形すなわち軸対称でかつ縦
型であり、燃焼ガスと溶融スラグの流れがいずれも下向
きなので、旋回力の減衰防止と安定した旋回燃焼が達成
され、燃焼効率と溶融スラグの分離捕集効率がどちらも
高い。しかも上記逆円錐状絞り角が10°〜20°であるの
で、捕集効率が低下しスラグ再飛散により未燃分も飛散
して熱効率も低下するという不具合は生じず、また火炉
が有効に利用できず火炉を大きくしなければならないと
いう不具合もない。

（２）主燃焼器の出口に横型の副燃焼器が接続されてい
るので、副燃焼器の底部を溶融スラグが流れ、ガス中の
微粒子は副燃焼器の底部および側壁と衝突して捕集分離
される。

（３）縦向きのダクト内の下部の主燃焼室側に１段目の
セキ、同縦向きのダクト内の上部のダクト軸線をはさん
で１段目のセキの反対側に２段目のセキがそれぞれ設け
られているので、１段目のセキによってガスの流れが下
向きに抑制されて、前項の衝突分離効果が向上するとと
もに、２段目のセキによって高負荷運転時にガス流速の
増大に伴う溶融スラグの再飛散が防止される。

〔実施例〕

第１図は本考案の一実施例を示す縦断側面図、第２図
は第１図のII-II矢視平面図である。

逆円錐状で縦型の主燃焼器１の上部に燃料投入ノズル
２が装着されており、微粉炭が一次混合気として軸方向
に一定の広がり角度で投入される。一方、二次空気は燃
焼用空気管３により供給され、主燃焼器１の上部に接線
方向に取付けられた空気投入ノズル４から、接線方向に
投入される。投入された微粉炭は、二次空気と共に高速
で旋回運動をし高温下でガス化燃焼しながら、出口のス
ロートへ至る。一方微粉炭中に含まれる灰分は、溶融し
て遠心力で外方へ飛ばされて、主燃焼器壁面に付着捕集
され、壁面から部分的に剥離することもなく、壁面上を
流下するスラグ層を形成する。

副燃焼器10は、軸線が水平に対し若干傾斜した円筒状
で、その高位置端（図中左側）に上記スロート９の下端
が接続されている。主燃焼器１の周壁を流下したスラグ
は、スロート９を流下し副燃焼器10の底部へ落下する。
こうして副燃焼器底部に溶融スラグ層が形成される。ま
た、燃焼ガス中に含有される微粒スラグは、燃焼ガスが
主燃焼器スロート９から副燃焼器10内へ高速で吹き出さ
れるため慣性力を付与され、副燃焼10底部のスラグ層に
衝突し付着捕集される。更に、ここで捕集されなかった
微粒スラグは、副燃焼器低位置端（図中右側）の壁面に
衝突し分離捕集される。

副燃焼器出口に垂直に設置した燃焼ガス出口ダクト６
の入口に設けた１段目のセキ11aは、ガスの流れを下向
きに抑制し、上記衝突分離の効果を向上させる。さらに
その上方の反対側（図の右側）に設けたセキ11bは、高
負荷運転時にガス流速の増大に伴う溶融スラグの再飛散
を防止する効果をもつ。

副燃焼器10の低位置端（図中右側）にはスラグタップ
５が設置され、溶融スラグがスラグビン７へ流下して排
出される構造になっている。溶融スラグが除去されたク
リーンな燃焼ガスは燃焼ガス出口ダクト６より高温燃料
として外部へ供給される。

第３図は、空気比とスラグ捕集率との関係について、
本実施例と従来例とを比較して示した図である。この図
をみると、空気比を下げてNOxの発生を抑制しても、本
実施例では95％以上のスラグ捕集率を達成できることが
わかる。なお、主燃焼器１の逆円錐状絞り角αとして
は、10°〜20°が実用可能で本実施例では10°とした。
α＜10°では、捕集効率が低下し、スラグ再飛散により
未燃分も飛散して、熱効率も低下する不具合がある。ま
たα＞20°では、火炉が有効に利用できないので、火炉
を大きくしなければならないという不具合がある。

〔考案の効果〕

本考案においては、旋回燃焼を主体とする縦置逆円錐
型の主燃焼器と、横置形の副燃焼器とを接合一体化し、
主燃焼器における遠心分離機能と副燃焼器出入口部にお
ける衝突分離機能とにより、非常に高いスラグ分離機能
を達成できる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案の一実施例を示す縦断側面図、第２図は
第１図のII-II矢視平面図、第３図は同実施例の効果を
従来例と比較して示す図である。第４図は従来の溶融燃
焼装置の一例を示す縦断側面図である。 01……燃焼器,1……主燃焼器,02,2……燃料投入ノズル,
03,3……燃焼用空気管,04,4……空気投入ノズル,05,5…
…スラグタップ,06,6……燃焼ガス出口ダクト,07,7……
スラグビン,9……スロート,10……副燃焼器,11a,11b…
…セキ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】軸線がほぼ鉛直な逆円錐状で、下端にスロ
   ートが形成され、かつ上部に軸線方向を向いた燃料投入
   ノズルおよび接線方向を向いた空気投入ノズルを有する
   主燃焼器と、軸線が水平に対し傾斜した円筒状で高位置
   端に上記スロートの下端が接続され低位置端にスラグの
   排出口を有する副燃焼器と、上記低位置端に下端が接続
   された縦向きのダクトとを備えたものにおいて、上記主
   燃焼器の逆円錐状絞り角が10°〜20°であり、かつ上記
   縦向きのダクト内の下部の上記主燃焼室側に１段目のセ
   キ、上記縦向きのダクト内の上部の同縦向きのダクトの
   軸線をはさんで上記１段目のセキの反対側に２段目のセ
   キがそれぞれ設けられたことを特徴とする溶融燃焼装
   置。