JPH085588A - 導電性被検査材の誘導加熱探傷装置 - Google Patents

導電性被検査材の誘導加熱探傷装置

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JPH085588A
JPH085588A JP13977894A JP13977894A JPH085588A JP H085588 A JPH085588 A JP H085588A JP 13977894 A JP13977894 A JP 13977894A JP 13977894 A JP13977894 A JP 13977894A JP H085588 A JPH085588 A JP H085588A
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temperature
conductive
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JP13977894A
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Inventor
Toshio Endo
敏夫 遠藤
Tomiichi Yagi
富一 八木
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Daido Steel Co Ltd
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 疵の形状に拘わらず、疵判定の信頼性が得ら
れる誘導加熱探傷装置を提供する。 【構成】 表面温度変化量算出手段81により、放射温
度測定装置78a乃至78dから出力された温度検出信
号STに基づいて、導電性被検査材10の表面の局部的
な温度変化量信号SΔTが算出されると、疵判定手段8
3は、温度変化量信号の絶対値|SΔT|が予め設定さ
れた判断基準値Thを超えたか否かに基づいて疵判定を
行う。したがって、導電性被検査材10の局部的表面に
おいて表面温度の負の変化量に基づいて判定できなかっ
た疵であっても、表面温度の正の変化量に基づいて疵判
定を行うことができるので、疵の形状に拘わらず疵が検
出されて、疵判定の信頼性が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電性被検査材の表面
を誘導加熱したときの表面温度の不均一性に基づいて表
面疵を探傷する誘導加熱探傷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】導電性被検査材に電磁誘導により誘導電
流を発生させることによって導電性被検査材の表面を加
熱するとともにその導電性被検査材の表面温度を測定
し、その表面温度の不均一性に基づいて導電性被検査材
の表面疵を探傷する導電性被検査材の誘導加熱探傷装置
が提案されている。このような探傷装置では、電磁誘導
によって発生する渦電流が表皮効果によって表面に集中
させられると、導電性被検査材の表面が渦電流損失など
によって加熱されるが、表面疵が存在する部分は他の部
分よりも渦電流の流れが変化させられてその部分の発熱
量も変化するので、表面温度が他の部分よりも局部的に
変化した部分が表面疵として判定されるようになってい
る。
【0003】ところで、従来の誘導加熱探傷装置は、導
電性被検査材の表面において渦電流が表面疵により阻害
されると、その表面疵の部分の表面温度が局部的に低く
なるという前提で構成されていることから、表面温度の
変化量が所定の判断基準値よりも低くなった場所を疵で
あると判定する疵判定手段が設けられていた(特開平2
−298846号)。
【0004】
【発明が解決すべき課題】しかしながら、上記導電性被
検査材の表面疵には、ビレットの長手方向に伸びる線状
疵、曲線状の小さなヘゲ疵、コーナ部分において幅方向
に発生するコーナ疵などの種々のものがあるが、疵の形
状によっては従来の誘導加熱探傷装置の疵判定により検
出できず、疵判定の信頼性が得られない場合があった。
【0005】本発明者等は、上記の事情を背景として種
々研究を重ねた結果、導電性被検査材の表面に切れ込む
溝の開口端縁の近傍が誘導加熱時において僅かに温度が
高くなる性質(エッジ効果)がある一方、たとえば導電
性被検査材の表面の切れ込みが傾斜している形状であっ
てその切れ込みを覆うように一方の開口端縁が突き出す
部分を有する疵では、その庇のように突き出す部分の表
面温度が上記の性質によって局部的に高くなると同時
に、局部的に温度が低くなる部分は上記突き出す部分の
下側に位置して検出し難くなるという事実、更には、径
が2〜3mmφ程度の穴状の疵については、穴底部分では
温度が低く穴の縁部分では温度が高くなるという事実を
も見出した。本発明はこのような知見に基づいて為され
たものである。
【0006】すなわち、本発明の目的とするところは、
疵の形状に拘わらず、疵判定の信頼性が得られる誘導加
熱探傷装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明の要旨とするところは、電磁誘導により誘導電
流を発生させることによって導電性被検査材の表面を加
熱し、その導電性被検査材の表面温度を測定し、その表
面温度の不均一性に基づいて導電性被検査材の表面疵を
探傷する導電性被検査材の誘導加熱探傷装置であって、
(a)前記導電性被検査材の表面温度を検出し、その表面
温度を表す温度信号を出力する放射温度測定装置と、
(b)その放射温度測定装置により測定された前記導電性
被検査材の表面温度に基づいて、その導電性被検査材の
表面の局部的な温度変化量を算出する表面温度変化量算
出手段と、 (c)その表面温度変化量算出手段により算出
された局部的な表面温度変化の負の変化量が予め設定さ
れた第1判断基準値を超えたことを以て疵判定を行うと
共に、その局部的な表面温度変化の正の変化量が予め設
定された第2判断基準値を超えたことを以て疵判定を行
う疵判定手段とを、含むことにある。
【0008】
【作用】このようにすれば、表面温度変化量算出手段に
より、放射温度測定装置により測定された前記導電性被
検査材の表面温度に基づいて、導電性被検査材の表面の
局部的な温度変化量が算出されると、疵判定手段は、そ
の表面温度変化量算出手段により算出された局部的な表
面温度変化の負の変化量が予め設定された第1判断基準
値を超えたことを以て疵判定を行うと共に、その局部的
な表面温度変化の正の変化量が予め設定された第2判断
基準値を超えたことを以て疵判定を行う。
【0009】
【発明の効果】したがって、本発明によれば、上記疵判
定手段により、導電性被検査材の局部的表面において表
面温度の負の変化量に基づいて判定できなかった疵であ
っても、表面温度の正の変化量に基づいて疵判定を行う
ことができるので、疵の形状に拘わらず疵が検出され
て、疵判定の信頼性が得られる。
【0010】ここで、好適には、前記表面温度変化量算
出手段により算出された局部的な表面温度変化量の絶対
値を算出する絶対値算出手段をさらに備え、前記疵判定
手段は、その絶対値算出手段により算出された局部的な
表面温度変化の絶対値が共通の判断基準値を超えたこと
を以て疵判定を行うように構成される。このようにすれ
ば、共通の判断基準値を用いて1回の判定が行われるだ
けでよいので、判定アルゴリズムが簡単となる利点があ
る。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図1は、本発明の一実施例の誘導加熱探
傷装置を示す平面図である。図において、導電性被検査
材10は、1辺が10数センチ程度の矩形断面を有し且
つ10メートル程度の長さを有する圧延されたビレット
であり、鋼などの磁性金属材、或いはステンレス鋼、ア
ルミニウム合金、銅合金などの非磁性金属材から成るも
のである。
【0012】導電性被検査材10は、図示しない搬送ロ
ーラや2つのピンチローラユニット12および14によ
って支持され且つ図示しない駆動装置によってそれらピ
ンチローラユニット12および14などが回転駆動され
ることにより、その断面の対角線が略垂直および水平と
なる状態でその長手方向に一定の速度で搬送され、その
搬送過程で粉体塗布装置16、誘導コイル18、粉体除
去装置20を順次通過させられるようになっている。
【0013】図2は、上記粉体塗布装置16をその出口
側から見た斜視図である。粉体塗布装置16には、導電
性被検査材10を通過させるためにその断面より僅かに
大きい貫通穴22が備えられており、高周波数電源装置
24には、その貫通穴22から出た導電性被検査材10
を通過させるためのその断面より僅かに大きな形状の貫
通穴26を有する誘導コイル18が立設されている。ま
た、ピンチローラユニット14は、図示しない駆動装置
によって回転駆動される駆動ローラ28と、この駆動ロ
ーラ28に対して導電性被検査材10を押圧する押圧ロ
ーラ30とから構成されている。なお、前記ピンチロー
ラユニット12もこのピンチローラユニット14と同様
に構成されている。また、粉体除去装置20にも上記粉
体塗布装置16と同様に貫通穴32が備えられている。
【0014】上記粉体塗布装置16は、たとえば図3に
示すように箱状の本体17と、その本体17内において
所定の距離を隔てた導電性被検査材10の4つの側面に
向かって放射率均等化粉体34をそれぞれ放出する4つ
の塗布ガン36とを備えている。この塗布ガン36は導
電性被検査材10の各側面の幅方向の中心の真上におい
て一定の距離を隔てて位置させられている。また、この
塗布ガン36は、図4に示すように、図示しないホッパ
に接続される粉体供給ポート38と、圧縮空気が供給さ
れる圧縮空気接続ポート40と、放射率均等化粉体34
を吐出する吐出ポート42と、100kV程度の負の高
電圧を出力する高圧電源44と電気的に接続されて吐出
ポート42に設けられた静電電極46とを備えており、
負に帯電した放射率均等化粉体34を噴射するように構
成されている。導電性被検査材10は、図示しない搬送
ローラや2つのピンチローラユニット12および14な
どを介して接地されているので、放射率均等化粉体34
はクーロン力によって吸引され、静電塗装の原理にした
がって導電性被検査材10の表面に均一に塗布される。
粉体塗布装置16内で余った放射率均等化粉体34はダ
クト48を介して回収されるようになっている。
【0015】また、上記粉体除去装置20は、たとえば
図5に示すように箱状の本体21と、その本体21内に
おいて所定の距離を隔てた導電性被検査材10の4つの
側面に向かって4kg/cm2程度の圧縮空気をそれぞれ放出
する4つの空気噴射ガン50とを、備えている。この空
気噴射ガン50は、導電性被検査材10の側面に向かっ
て突き出すようにその側面の幅方向に配列された複数本
のノズル52を備えており、そのノズル52から噴射さ
れた圧縮空気によって、導電性被検査材10の表面に静
電的に塗布された放射率均等化粉体34が容易に除去さ
れるようになっている。除去された放射率均等化粉体3
4は、ダクト54を介して回収されるようになってい
る。
【0016】上記粉体塗布装置16のダクト48および
粉体除去装置20のダクト54は、図1に示すように、
集塵装置56に接続されており、粉体塗布装置16内に
おいて余った放射率均等化粉体34や粉体除去装置20
内において除去された放射率均等化粉体34が集塵装置
56において回収され、再使用され得るようになってい
る。
【0017】すなわち、上記集塵装置56は、上記ダク
ト48および54に接続された一次集塵機58と、この
一次集塵機58にダクト60を介して接続された二次集
塵機62と、それら一次集塵機58および二次集塵機6
2を通して粉体塗布装置16や粉体除去装置20内の空
気を吸引する吸引ブロア64とから構成されている。上
記一次集塵機58は、吸入空気を逆テーパ状の空間内で
回転させることにより遠心力に従って放射率均等化粉体
34を連続的に能率よく除去する形式のものである。ま
た、上記二次集塵機62は、濾布を通して吸入空気を吸
引することにより空気中に混在する比較的微細な粒径の
放射率均等化粉体34を除去する形式のものである。上
記一次集塵機58および二次集塵機62により回収され
た放射率均等化粉体34は、定期的に取り出され、清浄
化処理された後に、再使用される。
【0018】ここで、上記放射率均等化粉体34は、カ
ーボン粒子、チタン粒子などの40乃至100μm程度
の粒径の粒子がエボキシ樹脂或いはアクリル樹脂などの
絶縁樹脂により被覆されたものである。カーボン粒子が
樹脂被覆されたものは黒色であり、チタン粒子が樹脂被
覆されたものは白色乃至灰色であるが、いずれも表面温
度に対応したエネルギ放射をすることにより、導電性被
検査材10の表面状態に起因する赤外線放射率のばらつ
きを防止して均一化するとともに放射率を高める。上記
絶縁樹脂は、カーボン粒子、チタン粒子などを電気的に
絶縁するためのものであるが、比較的低い温度で軟化或
いは溶融開始するために、導電性被検査材10の表面加
熱温度が最高でも100℃程度以下に制限される。
【0019】前記粉体塗布装置16においては、矩形断
面の1辺が150mmである導電性被検査材10を40m
/分程度の速度で搬送しながら、90g/分程度の放射
率均等化粉体34が導電性被検査材10の表面に塗布さ
れるように、各塗布ガン36からの放射率均等化粉体3
4の吐出量が設定されている。このときの導電性被検査
材10の表面における放射率均等化粉体34の平均塗布
厚みは7μmであるから、放射率均等化粉体34の平均
粒径の1/6の厚みとなる。すなわち、放射率均等化粉
体34は導電性被検査材10の表面においてまばらに付
着している状態となるように設定されているのである。
【0020】上記放射率均等化粉体34の塗布厚みが大
きくなり過ぎて相互に積み重なる状態となると、導電性
被検査材10の表面から最も外側の放射率均等化粉体3
4までの熱伝導が低下して導電性被検査材10の温度に
対応したエネルギの赤外線放射ができなくなる。また、
放射率均等化粉体34の塗布厚みが小さくなり過ぎる
と、放射率均等化粉体34の塗布効果すなわち導電性被
検査材10の表面において相互の擦れ跡のように光沢が
あるために放射率が低い部分に起因して温度が低く検出
される場所の放射率を高めて放射率を均一化するととも
に全体の放射率を高めるという効果が得られなくなる。
このような意味から、放射率均等化粉体34の塗布量
は、その平均粒径の1/15乃至1/30の厚みとされ
ることが望ましい。
【0021】図6および図7に示すように、前記誘導コ
イル18は、導電性被検査材10の断面形状よりも僅か
に大きい貫通穴26を形成するように20乃至40mm
程度の幅寸法の銅などの帯状金属部材が環状に曲成され
た環状部70と、その帯状金属部材の両端部がセラミッ
ク製或いは樹脂製の絶縁板72を介して相互に固定され
た直線部74とから構成されている。上記帯状金属部材
の誘導コイル18の長手方向に平行な幅方向の中央部に
は、たとえば5乃至10mm程度の幅寸法のスリット7
6が厚み方向に貫通して環状部70の全周に対応する長
さで形成されている。このため、図8に示すように、図
示しないフレームにより支持された2台の放射温度測定
装置78a、78bにより、スリット76を通して導電
性被検査材10の1対の側面の温度が測定されるととも
に、同様に図示しないフレームにより支持された2台の
放射温度測定装置78c、78dにより、スリット76
を通して導電性被検査材10の2つのコーナ部の表面温
度が測定されるようになっている。上記放射温度測定装
置78a〜78dにより導電性被検査材10の上半分の
側面が同時に測定されるが、残りの側面は導電性被検査
材10を180°回転し再搬送して測定する。もちろ
ん、全側面を一度に測定できるように放射温度測定装置
を所定数設けてもよい。
【0022】上記放射温度測定装置78a、78b、7
8c、78dは、導電性被検査材10の表面から放射さ
れる赤外線を図示しない一次元方向に多数の検出素子が
検出面に配列された赤外線検出センサのその検出面に集
光し、導電性被検査材10の長手方向に直角な方向にた
とえば200Hz程度の周波数で走査される測定点の表
面温度を測定するものである。図9の上段は、上記放射
温度測定装置78a、78bによりスリット76を通し
て検出された導電性被検査材10の側面の幅方向の温度
分布に対応する温度検出信号STを示している。なお、
図6に示すように、上記誘導コイル18は、その長手方
向に連通する冷却液通路79を内部に備えており、高周
波駆動電流によって発生する熱を冷却するようになって
いる。
【0023】導電性被検査材10の表面疵を探傷するこ
とを目的として、高周波電源装置24からは、100k
Hz程度の周波数の高周波駆動電流が上記誘導コイル1
8に供給される。これにより、導電性被検査材10が磁
性金属材料であれば渦電流損失などによって表面から5
0μm程度まで加熱され、非磁性金属材料であれば渦電
流損失によって表面から1.5mm程度まで加熱され
る。すなわち、導電性被検査材10の表面における渦電
流をI0 、周波数をf、透磁率をμ、導電率をσとする
と、導電性被検査材10内に発生する渦電流Iは、数式
1に示すように、表面からの距離xに関連して減衰し、
数式1の指数部が−1となるxの値(浸透深さ)をδm
mとすると、数式2により表される。このように、表皮
効果によって渦電流Iが表層に集中することにより、導
電性被検査材10の表面が加熱されるのである。
【0024】
【数1】
【0025】
【数2】
【0026】図1の探傷制御装置66は、CPU、RO
M、RAMなどを有するよく知られたマイクロコンピュ
ータを備えており、ROMに予め記憶されたプログラム
に従って入力信号を処理することにより、放射温度測定
装置78a、78b、78c、78dから出力される温
度検出信号STに基づいて導電性被検査材10の表面
疵、たとえばビレットの長手方向に伸びる線状疵、曲線
状の小さな割れであるヘゲ疵、コーナ部のコーナ割れな
どを判定し、疵位置を出力するとともに、導電性被検査
材10の表面の疵位置をインクで表示する図示しない疵
マーカを作動させる。
【0027】図10は、上記探傷制御装置66の制御機
能の要部を示す機能ブロック線図である。図において、
平均処理手段80では、放射温度測定装置78a〜78
dにより測定された導電性被検査材10の表面温度を表
す温度検出信号STが平均化され、平均温度信号STAV
が出力される。表面温度変化量算出手段81では、放射
温度測定装置78a〜78dにより測定された導電性被
検査材10の表面温度を表す温度検出信号STから平均
温度信号STAVが差し引かれることにより導電性被検査
材10の表面の局部的な温度変化量が算出され、その温
度変化量を表す温度変化量信号SΔTが出力される。絶
対値算出手段82では、表面温度変化量算出手段81に
より算出された局部的な表面温度変化量の絶対値|SΔ
T|が算出される。疵判定手段83では、上記表面温度
変化量算出手段81により算出された局部的な表面温度
変化或いはその絶対値に基づいて、表面温度変化の負の
変化量が予め設定された第1判断基準値を超えたことを
以て疵判定を行うと共に、その局部的な表面温度変化の
正の変化量が予め設定された第2判断基準値を超えたこ
とを以て疵判定が行われる。
【0028】図11は、上記探傷制御装置66の演算制
御作動の要部、すなわち導電性被検査材10の走行中に
おける疵検出作動を説明するフローチャートである。
【0029】先ず、図示しない起動操作が行われること
により、導電性被検査材10が図1の矢印方向へ一定の
速度で搬送されると同時に、粉体塗布装置16が作動さ
せられて放射率均等化粉体34が導電性被検査材10の
側面に塗布され、誘導コイル18に高周波電流が供給さ
れ、粉体除去装置20において放射率均等化粉体34が
除去される。このとき、上記誘導コイル18により、導
電性被検査材10の表面が常温よりも20乃至50℃程
度加熱される。
【0030】この状態において、図11のステップSS
1では、放射温度測定装置78a、78b、78c、7
8dから出力される温度検出信号STの1単位である1
走査分の信号が入力されたか否かが判断される。図9の
上段は、導電性被検査材10の所定の側面における1走
査分の温度検出信号STを例示している。このステップ
SS1の判断が否定された場合は1走査分の信号が入力
されるまで待機させられるが、肯定された場合は、ステ
ップSS2の平均処理以下が実行される。上記放射温度
測定装置78a、78b、78c、78dにおいて電気
的に決められる温度測定点の走査周期に同期して、上記
ステップSS2以下の処理が実行されることになる。
【0031】ステップSS2では、入力された温度検出
信号STの平均値が、よく知られた適当な区間内におけ
る移動平均演算処理、或いは適当な遮断周波数を有する
ローパスアクティブフィルタ演算処理などが実行される
ことにより、平均温度信号STAVに変換される。この平
均温度信号STAVは疵が存在しない場所の表面温度とし
て取り扱われるものであり、図9の上から2段目はその
平均温度信号STAVを例示している。このステップSS
2は前記平均処理手段80に対応している。
【0032】続くステップSS3では、前記温度検出信
号STから上記平均温度信号STAVを差し引く差分演算
が実行されることにより、導電性被検査材10の表面に
おける局部的な温度変化量を示す温度変化量信号すなわ
ち疵信号SΔT(ST−ST AV)が算出される。図9の
上から3段目はこの疵信号SΔTを例示している。この
ステップSS3は前記表面温度変化量算出手段81に対
応している。
【0033】次いで、ステップSS4では、疵判定を容
易とするために、疵信号SΔTの絶対値|SΔT|が算
出される。図9の下段はこの疵信号SΔTの絶対値|S
ΔT|を例示している。このステップSS4は前記絶対
値算出手段82に対応している。
【0034】そして、ステップSS5では、上記疵信号
SΔTの絶対値|SΔT|が予め設定された判断基準値
Thを超えるか否かが判断される。この判断基準値Th
は、導電性被検査材10の表面疵を判定するために予め
実験的に求められた値であり、たとえば2℃程度の値が
採用される。このステップSS5は前記疵判定手段83
に対応している。
【0035】上記ステップSS5の判断が否定された場
合は、本ルーチンが終了させられてステップSS1以下
が再び実行されるが、肯定された場合は、ステップSS
6において疵判定信号が図示しない疵マーカ等へ出力さ
れると同時に疵位置が記憶されてから、本ルーチンが終
了させられる。
【0036】上述のように、本実施例によれば、表面温
度変化量算出手段81に対応するステップSS3によ
り、放射温度測定装置78a乃至78dから出力された
温度検出信号STに基づいて、導電性被検査材10の表
面の局部的な温度変化量信号SΔTが算出されると、疵
判定手段83に対応するステップSS5は、温度変化量
信号の絶対値|SΔT|が予め設定された判断基準値T
hを超えたか否かに基づいて疵判定を行う。すなわち、
ステップSS5は、温度変化量信号SΔTの負の値(負
の変化量)が予め設定された判断基準値Th(第1判断
基準値)を超えたことを以て疵判定を行うと共に、温度
変化量信号SΔTの正の値(正の変化量)が予め設定さ
れた判断基準値Th(第2判断基準値)を超えたことを
以て疵判定を行う。したがって、本実施例によれば、導
電性被検査材10の局部的表面において表面温度の負の
変化量に基づいて判定できなかった疵であっても、表面
温度の正の変化量に基づいて疵判定を行うことができる
ので、疵の形状に拘わらず疵が検出されて、疵判定の信
頼性が得られる。
【0037】図12は導電性被検査材10のコーナ部に
発生するコーナ疵84を示し、図13は導電性被検査材
10の横断面の対角線に沿った縦断面において上記コー
ナ疵84を示している。このようなコーナ疵84は、導
電性被検査材10の表面の切れ込み85が傾斜している
形状であってその切れ込み85を覆うように一方の開口
端縁が突き出す部分86を有するので、その庇のように
突き出す部分86の表面温度がエッジ効果によって局部
的に高くなると同時に、切れ込み85近傍の局部的に温
度が低くなる部分87は上記突き出す部分86の下側に
位置しているために、表面温度の負の変化量に基づく判
定では検出できなかったが、本実施例によれば、表面温
度の正の変化量に基づく判定も行われるので、上記のよ
うなコーナ疵84も判定できるようになり、疵判定の信
頼性が高められたのである。
【0038】また、本実施例によれば、局部的な表面温
度変化の絶対値|SΔT|を算出する絶対値算出手段8
2がさらに備えられており、疵判定手段83に対応する
ステップSS5では、その絶対値算出手段82により算
出された局部的な表面温度変化の絶対値|SΔT|が共
通の判断基準値Thを超えたことを以て疵判定を行うよ
うに構成される。このようにすれば、共通の判断基準値
Thを用いて1回の判定が行われるだけでよいので、判
定アルゴリズムが簡単となる利点がある。
【0039】図14は本発明の他の実施例における探傷
制御装置66の制御作動の要部を説明するフローチャー
トであって、図11と相違する部分を示している。図の
ステップSS5−1では、導電性被検査材10の表面に
おける温度変化量を表す温度変化量信号SΔTが予め設
定された第1判断基準値−Th1 を下まわったか否か、
すなわち負の変化量が第1判断基準値Th1 を超えたか
否かが判断される。この判断が肯定された場合は、ステ
ップSS6において疵判定が出力されるが、否定された
場合は、ステップSS5−2において温度変化量信号S
ΔTが予め設定された第2判断基準値+Th2 を上まわ
ったか否か、すなわち正の変化量が第2判断基準値Th
2 を超えたか否かが判断される。この判断が肯定された
場合は、ステップSS6において疵判定が出力される
が、否定された場合は、本ルーチンが終了させられる。
本実施例では、上記ステップSS5−1およびSS5−
2が疵判定手段83に対応している。
【0040】本実施例においても、前述の実施例と同様
の効果が得られるとともに、第1判断基準値Th1 およ
び第2判断基準値Th2 を、負の温度変化量および正の
温度変化量の性質に対応して相互に異なる値に設定する
ことができる利点がある。
【0041】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
説明したが、本発明はその他の態様においても適用され
る。
【0042】たとえば、前述の実施例の導電性被検査材
10は断面矩形であったが、断面円形であってもよい
し、長手状でなくてもよい。
【0043】また、前述の実施例の放射率均等化粉体3
4は、カーボン粒子或いはチタン粒子が樹脂により絶縁
被覆されたものであったが、放射率が比較的高い物質の
粒子であれば他の粒子が用いられてもよいし、放射率均
等化粉体34が用いられなくても一応の本発明の効果が
得られる。
【0044】なお、上述したのはあくまでも本発明の一
実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲にお
いて種々変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の誘導加熱探傷装置を示す平
面図である。
【図2】図1の粉体塗布装置および誘導コイルを示す斜
視図である。
【図3】図1の粉体塗布装置の内部構造を説明する図で
ある。
【図4】図1の粉体塗布装置内の塗布ガンおよびその粉
体塗布作動を説明する図である。
【図5】図1の粉体除去装置の内部構造を説明する図で
ある。
【図6】図1の誘導コイルの要部の一部を切り欠いて示
す拡大正面図である。
【図7】図6の側面図である。
【図8】図1の誘導加熱探傷装置に備えられた放射温度
測定装置を示す図である。
【図9】図8の放射温度測定装置から得られた温度検出
信号波形、および図10の作動により信号処理された波
形をそれぞれ示す図である。
【図10】図1の誘導加熱探傷装置に備えられた探傷制
御装置の制御機能を説明する機能ブロック線図である。
【図11】図1の誘導加熱探傷装置に備えられた探傷制
御装置の作動の要部を説明するフローチャートである。
【図12】導電性被検査材に発生するコーナ疵の一例を
示す斜視図である。
【図13】図12のコーナ疵を示す、導電性被検査材の
横断面の対角線に沿った縦断面図である。
【図14】本発明の他の実施例の探傷制御装置の作動を
説明するフローチャートの要部である。
【符号の説明】
10:導電性被検査材 78a〜78d:放射温度測定装置 ステップSS3:表面温度変化量算出手段 ステップSS4:絶対値算出手段 ステップSS5,SS5−1,SS5−2:疵判定手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁誘導により誘導電流を発生させるこ
    とによって導電性被検査材の表面を加熱し、該導電性被
    検査材の表面温度を測定し、該表面温度の不均一性に基
    づいて該導電性被検査材の表面疵を探傷する導電性被検
    査材の誘導加熱探傷装置であって、 前記導電性被検査材の表面温度を検出し、該表面温度を
    表す温度信号を出力する放射温度測定装置と、 該放射温度測定装置により測定された前記導電性被検査
    材の表面温度に基づいて、該導電性被検査材の表面の局
    部的な温度変化量を算出する表面温度変化量算出手段
    と、 該表面温度変化量算出手段により算出された局部的な表
    面温度変化の負の変化量が予め設定された第1判断基準
    値を超えたことを以て疵判定を行うと共に、該局部的な
    表面温度変化の正の変化量が予め設定された第2判断基
    準値を超えたことを以て疵判定を行う疵判定手段とを含
    むことを特徴とする導電性被検査材の誘導加熱探傷装
    置。
  2. 【請求項2】 前記表面温度変化量算出手段により算出
    された局部的な表面温度変化量の絶対値を算出する絶対
    値算出手段をさらに備え、前記疵判定手段は、該絶対値
    算出手段により算出された局部的な表面温度変化の絶対
    値が共通の判断基準値を超えたことを以て疵判定を行う
    ものである請求項1の導電性被検査材の誘導加熱探傷装
    置。
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