JPH0855774A - 露光装置用のフィルタ装置 - Google Patents

露光装置用のフィルタ装置

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JPH0855774A
JPH0855774A JP6188341A JP18834194A JPH0855774A JP H0855774 A JPH0855774 A JP H0855774A JP 6188341 A JP6188341 A JP 6188341A JP 18834194 A JP18834194 A JP 18834194A JP H0855774 A JPH0855774 A JP H0855774A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特に紫外域の光を露光光として使用する露光
装置用のフィルタにおいて、環境空気中から光学部材の
白濁の原因となる不純物を所定の手段で除去し、その手
段の寿命を簡便な方法により判定する。 【構成】 空気取り入れ口に光学部材の白濁の原因とな
る不純物を除去するケミカルフィルタ42を設置し、更
にそのケミカルフィルタ42の上流側にケミカルフィル
タ42を通過する不純物の量に比例する不純物を吸着す
るガスセンサ43を設け、有害な不純物を除去した空気
を露光装置の周囲に供給すると共に、ガスセンサ43の
共振周波数を測定する周波数測定部54及び判定部58
等によりケミカルフィルタ42の寿命を判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は露光装置に使用される空
気中の汚染物を除去するためのフィルタに関し、特に紫
外域の光を射出する光源を有する露光装置で用いる場合
に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、放電ランプからの光で被照明物体
を照明する装置が種々の分野で様々な用途に使用されて
いるが、中でもLSI等の半導体素子又は液晶表示素子
等をフォトリソグラフィ工程で製造する際に使用される
縮小投影型露光装置(ステッパー、アライナー等)にお
いては、超高圧水銀ランプ(Hgランプ、Xe−Hgラ
ンプ等)から出力される光の内の特定の波長の光(波長
365nmのi線、波長436nmのg線等)で転写用
のパターンが形成されたレチクルを照明する装置が使用
されている。
【0003】斯かる投影露光装置においては、より一層
微細なパターンを高い解像度で感光基板上に転写するた
めの研究開発が鋭意進められている。一般に、投影露光
装置の投影光学系の開口数をNA、露光光の波長をλと
すると、その投影露光装置の解像度R及び焦点深度DO
Fは次のように表すことができる。 R=k1 ・λ/NA (1) DOF=k2 ・λ/NA2 (2) 但し、上式において、k1 及びk2 はそれぞれプロセス
によって決まる係数である。上式によれば、パターンの
微細化は次の2つの手法の何れかにより達成される。 投影光学系の開口数NAの拡大 露光光の波長(露光波長)λの短波長化
【0004】これら2つの手法の内の投影光学系の開口
数については、近年開口数が0.5〜0.6といった大
きな開口の投影光学系が実現されており、これにより解
像度は向上している。しかしながら、単に投影光学系の
開口数NAを大きくすると、(2)式より、焦点深度D
OFが開口数NAの自乗に反比例して小さくなるという
不都合がある。一般に、実際の半導体プロセスにおいて
は、先工程で段差の生じたウエハ上に回路パターンを露
光する必要があり、また、ウエハ自身の平面度誤差等を
吸収する必要もあるため、焦点深度DOFとしては充分
大きな値が確保される必要がある。
【0005】これに対して、露光波長λを短波長化する
方式では、(2)式から明らかなように、焦点深度DO
Fは露光光の波長λに比例して変化する。従って、露光
波長λの短波長化によって解像度を向上させる方が焦点
深度確保の点で有利となる。このような背景から、投影
露光装置における露光光としては、従来使用されていた
水銀ランプのg線(波長436nm)と呼ばれる輝線か
ら、現在では同じ水銀ランプのi線(波長365nm)
と呼ばれる輝線を使用することが主流となってきてい
る。
【0006】図4は、従来の投影露光装置用の水銀ラン
プを光源とする照明光学装置の一例を示し、この図4に
おいて、水銀ランプ1の発光点は楕円鏡2内の第1焦点
F1上に配置されている。楕円鏡2の端部には水銀ラン
プ1の電極部を通す開口部が形成され、楕円鏡2の内面
には、例えばアルミニウム又は種々の多層の誘電体材料
が蒸着され、その内面が反射面として作用する。水銀ラ
ンプ1から放射された光Lは、楕円鏡2の内面で反射さ
れて光路折り曲げ用のミラー3に向かう。ミラー3の反
射面にもアルミニウム又は種々の多層の誘電体材料が蒸
着され、ミラー3で反射された光が、楕円鏡2の第2焦
点F2に集光され、この第2焦点F2上に光源像が形成
される。
【0007】この光源像からの発散光はインプットレン
ズ4によりほぼ平行な光束に変換されて、狭帯域のバン
ドパスフィルタ5に入射する。バンドパスフィルタ5で
選択された波長の照明光がオプティカルインテグレータ
としてのフライアイレンズ6に入射し、このフライアイ
レンズ6の後側(レチクル側)焦点面に多数の2次光源
が形成される。これら多数の2次光源からの発散光は、
光路折り曲げ用のミラー7で反射された後にコンデンサ
ーレンズ8により集光されて、被照射面としてのレチク
ル9のパターン形成面を重畳的に照明する。ミラー7の
反射面にもアルミニウム又は種々の多層の誘電体材料が
蒸着されている。
【0008】全体の光学系は、光路を折り曲げるための
ミラー3及び7によりコンパクトにまとめられている。
また、集光鏡としての楕円鏡2の内面、ミラー3の反射
面及びミラー7の反射面は、それぞれ露光光の波長で最
大の反射率が得られるように設計されている。図4の水
銀ランプ1としては、超高圧水銀ランプが使用される
が、この超高圧水銀ランプの発光スペクトル分布を図5
に示す。また、反射面にアルミニウムが蒸着されたアル
ミニウム反射鏡の反射率の波長依存性を図6(A)に、
反射面に多層の誘電体膜が蒸着された従来の代表的な誘
電体多層膜反射鏡の反射率の波長依存性を図6(B)に
示す。更に、露光光がi線(波長365nm)である場
合の図4のバンドパスフィルタ5の透過率の波長依存性
を図7に示す。このような構成により、i線の照明光が
選択され、この選択された照明光によりレチクル9のパ
ターンが均一な照度分布で照明され、レチクル9のパタ
ーンの像が図示省略された投影光学系を介して感光基板
上に結像されていた。
【0009】上記の如き従来の照明光学装置を、外界に
開放された状態で運転した場合、水銀ランプ1からバン
ドパスフィルタ5までの光学部材(図4の場合、楕円鏡
2、ミラー3、インプットレンズ4、バンドパスフィル
タ5の入射面)の表面に曇り現象が発生し、反射率、あ
るいは透過率が次第に低下して、照明効率が低下すると
いう不都合があった。この曇り現象は光学部材に曇り物
質が付着したことに起因することが分かった。そして、
イオンクロマト法による分析の結果、曇り物質の多くが
硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)であることが判明した。
【0010】また、ESCA,SEM(走査型電子顕微
鏡)等で分析した結果、酸化珪素(SiOx)がレンズ、及
びミラーの表面に付着している場合もあった。酸化珪素
が付着していると、表面が滑らかでない場合は散乱を生
じる。仮に表面が滑らかであっても、反射防止膜又は高
反射膜に酸化硅素が付着した場合には、反射防止膜ある
いは反射膜が適正条件から外れることとなり、透過率又
は反射率が低下して、結果として照度低下を招いてい
た。それらの曇り物質は、何らかの要因で存在するアン
モニウムイオン(NH4 +)及び硫酸イオン(SO4 2-)、ある
いは有機シラノールが、光学部材の遠紫外光(UV光)
の照射部に光化学反応的に付着したものと考えられる。
【0011】これらのイオンまたは化合物分子は、照明
光学系中に保持部材、及び遮蔽部材として多く使用され
ているブラックアルマイト(BAm)材等の表面から発生し
たもの、或いは空気中に元々存在するか、UV光の照射
によってイオン化したものであると考えられてきた。ブ
ラックアルマイト材の場合、ジアゾ染料が使用されてお
り、また、ブラックアルマイト処理工程で硫酸を使用す
るため、硫安の構成物質であるアンモニウム基及び硫酸
基の発生源となり得る。ブラックアルマイト材に窒素
(N2)雰囲気、酸素(O2)雰囲気、及び水蒸気を多く含
くんだ通常の空気雰囲気の中でそれぞれUV光を照射
し、光学部材の汚れを測定して比較した結果、水蒸気を
含む空気中で最も多くアンモニウム基及び硫酸基が発生
し、次に酸素(O2)雰囲気中でこれらのイオンが多く発
生した。即ち、空気中の水の介在によって汚れが促進さ
れる可能性が高いことが確認された。
【0012】また、酸素(O2)にUV光を照射すると反
応性に富んだオゾンとなり、それが保持部材等の壁面か
らのイオン発生や空気中のガスのイオン化を促進してい
ることも考えられる。しかしながら、酸化珪素の発生源
は照明光学装置内には見つけることは出来なかった。装
置の汚れ具合の設置環境依存性を調べた結果、クリーン
ルーム内にはアンモニウム基、硫酸基、硝酸基のイオン
性の物質が多く存在していることと、場所によってはH
MDS(ヘキサメチルジシロキサン)、トリメチルシラ
ノール等の有機シランが多く検出された。HMDSはウ
エハ上に感光材料を塗布するときに表面処理材としてよ
く用いられる材料であり、トリメチルシラノールはHM
DSが加水分解してできる物質である。調査の結果、光
学部材の曇り物質の量と環境中に含まれている上記不純
物の量との間に極めて良い相関関係があることが分かっ
た。このように光学部材の汚れ具合、状況を詳細に検討
してきた結果、曇り物質の源は装置内にあるのではな
く、装置を設置する環境にあることが判明した。
【0013】また、近年、半導体集積回路の集積度が更
に上がり、回路の最小線幅をサブミクロン単位で形成す
ることが要求されるようになってきた。このような回路
の微細化に対応するための一手段として、半導体集積回
路作成用の投影露光装置に波長の短い露光光を使用する
ことが考えられ、現在波長248nmのKrFエキシマ
レーザ光、或いはチタン−サファイアレーザの高調波、
波長266nmのYAGレーザの4倍高調波、波長21
3nmの5倍高調波、或いは波長213nmのArFエ
キシマレーザ光等が注目されている。
【0014】また、従来g線、i線等波長が長い光源を
使用した露光装置による半導体パターンの形成は、ウエ
ハ上にノボラック系と呼ばれるノボラック樹脂と感光材
料とからなるフォトレジスト(感光性樹脂)を塗布し、
それを露光及び現像するという既に安定したプロセスに
より行われてきた。ところが、光源の波長が例えばKr
Fエキシマレーザの波長(248nm)のように短くな
ると、樹脂の光吸収が増大する等の理由から、このノボ
ラック系フォトレジストでは形状の良いパターンを形成
することができない。そこでエキシマレーザ等の短波長
の光源を用いた露光装置向けとして、化学増幅型と呼ば
れる新しいタイプのフォトレジストが登場し、そのパタ
ーン形成特性、解像力等の特性の良さが注目され現在の
主流となってきている。化学増幅型フォトレジストは、
一般的に樹脂、感光性の酸発生剤、溶解促進剤又は架橋
剤等の成分からなり、露光によって酸発生剤から酸が発
生し、露光後のベーキング(PEB)時にその酸が触媒
となって溶解促進剤又は架橋剤の反応を促し、現像によ
ってパターンを形成するというものである。溶解促進剤
を用いたものはポジ型のパターンを形成し、架橋剤を用
いたものはネガ型のパターンを形成する。
【0015】これらの紫外光を用いた露光装置用のフォ
トレジストとして使用されている化学増幅型フォトレジ
ストは解像力の面からは優れるが、PEBの際露光時に
発生した酸の触媒作用の制御が難しく、安定性に欠ける
といった問題がある。特にポジ型のフォトレジストの場
合は、露光からPEBの間に空気中にアンモニアやアミ
ン等の塩基性のガスがあると、発生した酸が反応して空
気中に逃げ、フォトレジスト表面に難溶化層ができると
いう現象も生じている。難溶化層ができると、形成され
たパターンは上部に「ひさし」をもつT型になり(Tト
ップ現象)、エッチング等の後工程に大きな支障となっ
てしまう。クリーンルームの空気中にはこれらのガスが
存在していることも少なくないため、化学増幅型フォト
レジストの使用を妨げる要因となっていた。言い換える
と、アンモニアのように光学部材の表面の曇り物質の原
因となる物質等により、化学増幅型フォトレジストの使
用が困難となっていた。
【0016】これに関して従来より、例えば照明光学装
置の内部を流通する空気用のフィルタとして、塵除去用
のHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Ai
r Filter)が従来から使用されている。また、硫酸アン
モニウムの分解が120℃程度から始まることを利用し
て(化学大辞典編集委員会編:「化学大辞典」Vol.9,P6
90,共立出版1964参照)、上記光学部材を当該温度以上
に保つことにより硫酸アンモニウムの付着を回避する方
法が、本出願人による特開平4−128702号公報に
開示されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、HEP
Aフィルタはパーティクル除去用のフィルタであるた
め、上述の様な光化学反応を引き起こすアンモニア(ア
ンモニウムイオン)、硫酸イオン、酸化珪素等不純物を
除去することはできないという不都合があった。また、
光学部材を所定温度以上に保つ手法に関しては、水銀ラ
ンプという大きな「熱源」に近接する集光鏡は比較的容
易に高温化が可能であるが、その他の光学部材は、かな
り大きな新たな熱源を必要とすることから、特に厳重な
温度管理を必要とする半導体等を製造するための露光装
置の場合、その排熱方法が問題となる。
【0018】以上の不都合を解消して、特に問題となる
硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)の付着を回避するための
一方法として、化学吸着機構を有するフィルタ(所謂ケ
ミカルフィルタ)を用いて、空気中のアンモニア又は硫
酸イオン等を除去する方法が考えられる。また、化学増
幅型レジストに於ける表面難溶化層の形成を回避する手
法としても、化学吸着機能を有するフィルタ(ケミカル
フィルタ)により、空気中のアンモニアや塩基性ガスを
除去する方法が考えられる。
【0019】しかしながら、照明系の曇り現象や、化学
増幅型フォトレジストを使用することにより発生するT
トップ現象は、不純物ガス濃度が極めて低濃度でも起こ
ることが知られており、特にアンモニアの場合は数pp
b存在するだけでTトップ現象が発生することが分かっ
ている。このようなppbオーダーの不純物をフィルタ
リングするには、種々の技術的な困難を伴う。その内の
主な困難がケミカルフィルタの寿命の判定方法である。
ケミカルフィルタの寿命は、使用される環境により大き
く依存する。ところが、通常の半導体製造工場のクリー
ンルームにおける環境空気中の不純物ガス濃度は一定と
は言い難く、製造装置の稼働状況、工程の内容、作業者
の人数、工場の周囲の環境や季節等によって大きく変動
する。そのため、ケミカルフィルタへの通気量が一定で
あっても、フィルタを通過する不純物の量は変動する。
【0020】また、ppbレベルのガス濃度はイオンク
ロマト法や、ガスクロマトグラフ法でも測定限界付近の
濃度であることから、露光装置の周囲のガス濃度からフ
ィルタ寿命を判断するためには膨大な時間と経費を要す
るという不都合がある。更に、現在市販されている各種
のガスセンサ等の測定限界は、高々1ppm程度なの
で、それらのガスセンサをケミカルフィルタの下流側に
設置することでケミカルフィルタの寿命診断をするとい
うことは、使用用途から考えて無意味である。
【0021】本発明は斯かる点に鑑み、照明光学装置内
の光学部材に不要な曇り現象を生じ、又は化学増幅型レ
ジストを用いる際にTトップ現象を起こす不純物を極め
て低濃度レベルまで除去する手段を備え、且つその手段
の寿命を簡易的に判定することのできる露光装置用のフ
ィルタ装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明による露光装置用
のフィルタは、露光装置の周囲で所定方向に流れる気体
用のフィルタ装置において、アンモニア(アンモニウム
イオンを含む)、アミン系化合物(アミンイオンを含
む)、硫黄酸化物(亜硫酸イオン、硫酸イオンを含
む)、及び珪素酸化物(酸化珪素イオンを含む)よりな
る物質群から選ばれた所定の物質をその気体から除去す
るフィルタ手段(42)と、このフィルタ手段に対する
その気体の流入側でその所定の物質を吸着する吸着体
(43)と、この吸着体に吸着される物質の量を計測す
る計測手段(53,54,57)と、この計測手段によ
る計測結果に基づいてそのフィルタ手段(42)の寿命
を判定する判定手段(58)と、を設けたものである。
【0023】この場合、その計測手段の一例は、その吸
着体(43)の共振周波数を検出する周波数検出手段
(53,54)と、この周波数検出手段の検出結果より
その吸着体(43)に吸着された物質の量を求める演算
手段(57)とから構成されるものである。また、その
フィルタ手段(42)からのその気体の排出口に塵除去
用のフィルタ(44)を設置することが望ましい。
【0024】更に、その露光装置が外気と隔離されたチ
ャンバ(50)内に設置されている場合に、そのフィル
タ手段(42)及びその吸着体(43)をそのチャンバ
(50)に対する外気の導入口に設置してもよい。
【0025】
【作用】斯かる本発明の露光装置用のフィルタによれ
ば、所定の有害イオン及び有害な有機ガスの少なくとも
一部をフィルタ手段(42)により除去したクリーンな
空気を露光装置の周囲に導入するので光学部材の白い曇
りが減少するか、又は化学増幅型レジストを用いる際の
Tトップ現象が減少する。また、フィルタ手段(42)
の上流側に所定の不純物を吸着する吸着体(43)を設
けてその吸着体に吸着される不純物の量からフィルタ手
段(42)の寿命を判定するので、検出対象の不純物ガ
スの濃度は容易に測定できる程度に高いため(例えばp
pmオーダー)、フィルタ手段(42)の寿命を面倒な
操作なしに、高精度に判定することができる。
【0026】これに関して、フィルタ手段(42)の寿
命を判定するには、先ずフィルタ通過後の気体中に含ま
れる不純物ガスの濃度を測定する方法が考えられる。こ
こで問題としているフィルタ手段(42)の寿命とは、
フィルタ通過後の気体中の不純物ガス濃度が例えば数p
pbより大きくなってしまう時点をいう。Tトップ現象
を抑制するためにアンモニアを除去する場合に関して言
えば、フィルタ手段通過後の濃度が1ppb以上になっ
た時点が、そのフィルタ手段の寿命と考えられる。現在
のところ、アンモニア濃度を1ppb前後で測定する方
法は、イオンクロマト法しかないが、サンプリング時間
を数時間必要とし、1回の分析に要する費用も高価でフ
ィルタ寿命の判定法としては実用的な方法ではない。他
のイオンや有機ガスについても同様なことが言える。
【0027】ところが、本発明においては、フィルタ手
段(42)の上流側において且つ吸着体(43)で積算
された形で不純物のガス濃度を測定するので、従来のよ
うにフィルタの下流側で濃度自体を測定する場合に比べ
て極く微量のガス濃度であっても支障なく検出し、フィ
ルタ手段(42)の寿命を正確に判定することができ
る。
【0028】また、吸着体(43)の共振周波数からフ
ィルタ手段(42)の寿命を判定する場合には、フィル
タ手段(42)を通過する所定の不純物の量に比例して
吸着体(43)の共振周波数が変化するので、その周波
数を測定するだけでフィルタ手段(42)に流入する不
純物の積算量、ひいてはフィルタ手段(42)の寿命が
判定できる。
【0029】更に、フィルタ手段(42)からの気体の
排出口に塵除去用のフィルタ(44)を設置すれば、光
学部材に悪影響を与える金属粉等の細かい塵成分が除去
されると共に、そのフィルタ手段(42)から発生する
恐れのある塵も除去される。また、フィルタ手段(4
2)及び吸着体(43)を外気と隔離されたチャンバ
(50)に対する外気の導入口(48)に設置すれば、
チャンバ(50)内に導入される空気中の有害イオン及
び有害物質が減少するので、光学部材の汚れが防止され
るだけでなく、露光動作時のウエハ上でのアミンガスと
化学増幅型ポジレジスト被露光部の反応も低減する。
【0030】
【実施例】以下、本発明による露光装置用のフィルタ装
置の一実施例につき、図1〜図3を参照して説明する。
本実施例は半導体素子製造用の投影露光装置の照明光学
系に本発明を適用したものであり、図1及び図2におい
て図4に対応する部分には同一符号を付してその詳細説
明を省略する。また、本実施例でも照明光として水銀ラ
ンプのi線(波長365nm)を使用する場合を扱う。
【0031】図1は本実施例の露光装置の照明光学装置
の光学系の一例を示し、この図1において、水銀ランプ
1から放射された光は、楕円鏡2の内面で反射れて光路
折り曲げ用のミラー3に向かう。ミラー3としては、紫
外光を反射して可視光及び赤外光を通過させるダイクロ
イックミラーを使用する。ミラー3で反射された光がイ
ンプットレンズ4に入射する。インプットレンズ4から
射出された光がバンドパスフィルタ5に入射し、バンド
パスフィルタ5により選択されたi線よりなる照明光が
フライアイレンズ6に入射し、フライアイレンズ6の射
出面に形成される多数の2次光源像からの照明光が不図
示のリレーレンズ系に向かう。このリレーレンズ系は、
図4のフライアイレンズ6とコンデンサーレンズ8との
間に配置され、レチクル9との共役面を生成するための
レンズ系である。また、バンドパスフィルタ5としては
干渉フィルタが使用される。
【0032】また、図1において、ミラー3を透過した
光は、不図示のランプモニター、ウエハグローバルアラ
イメント(WGA)光学系、及びオートフォーカス(A
F)光学系へ導かれる。ランプモニターは水銀ランプ1
の発光量をモニターするための光電変換器、WGA光学
系はレチクルのパターンが投影されるウエハのおおまか
なアライメントを行うための光学系、AF光学系はウエ
ハ上に斜めにフォトレジストに対して非感光性の検出光
を照射して、ウエハのフォーカス位置を検出するための
光学系である。
【0033】図1中で、★印を付した面、即ち楕円鏡2
の内面、ミラー3の反射面、インプットレンズ4の両
面、及びバンドパスフィルタ5の入射面が、曇り防止対
策を講じなかった場合に、曇り現象が現れた面である。
これまで、バンドパスフィルタ5の後続の光学部材で
は、顕著な曇り面は現れていない。これより、曇り現象
は365nm未満の波長域の光が関与する光化学反応で
あることが想定できる。
【0034】本実施例では、楕円鏡2からバンドパスフ
ィルタ5の入射面までの曇り現象がみられる領域で、楕
円鏡2を除く各光学部材に、化学的にクリーンな空気か
らなるエアーカーテンを形成して、化学的なクリーン度
の落ちる雰囲気から光学部材を遮断し隔離する。ここで
いう化学的にクリーンな空気とは、後述するように一般
にケミカルフィルタと呼ばれる不純物除去フィルタを用
いて、照明系の曇り原因物質であるアンモニアイオン
(又はアンモニア)や硫酸イオン等を化学吸着機構によ
り、有機シラノール等を物理吸着機構により除去したも
のである。
【0035】ケミカルフィルタに空気を通過させる方法
としては、発塵が問題となる場合にはケミカルフィルタ
と塵除去用のHEPAフィルタ、及び送風用のファン等
をユニット化する方法がある。この場合、ケミカルフィ
ルタを効率よく使うために、空気の流れをケミカルフィ
ルタ面で均一化することが望ましい。また、ケミカルフ
ィルタを通過した後の空気でパーティクル(塵粒子)に
関してクリーン度が問題にならない場合や、1次側空
気、ケミカルフィルタ及び送風ファンの発塵性が問題に
ならない位い低い場合は、その構成からHEPAフィル
タを除いても差し支えない。また、その際に1次側空気
に十分な陽圧がある場合や、2次側に十分な陰圧がある
場合は更に送風ファンを上記構成から除いても差し支え
ない。
【0036】エアカーテンは各光学部材毎に個別に形成
しても良いし、近接した光学部材ならば、複数個の光学
部材に対してまとめて広範囲のエアカーテンを形成して
も良い。図1では、インプットレンズ4単体に対してエ
アーカーテンを形成した場合を示し、他の光学部材に対
してエアーカーテンを形成する機構は図示省略してい
る。
【0037】即ち、図1において、不図示の温調ユニッ
トからの空気をパイプ34を介してケミカルフィルタ4
2(図3参照)が搭載されたフィルタユニット35に導
き、フィルタユニット35で不純物が除去されたクリー
ンな空気を、送風ファン45、HEPAフィルタ44及
びパイプ36を介してエアカーテン形成用の吹き出し口
37に導き、吹き出し口37からインプットレンズ4の
周囲にクリーンな空気を吹き出す。その吹き出し口37
は、照明用光路の邪魔にならない位置に配されている。
【0038】即ち、フィルタユニット35の下流側に
は、塵除去用のHEPAフィルタ44が設置されてい
る。このHEPAフィルタ44では、圧力損失が大きい
のでその前に送風ファン45が設置されている。但し、
前述のようにケミカルフィルタを通過した後の空気でパ
ーティクル(塵粒子)に関してクリーン度が問題になら
ない場合や、1次側空気、ケミカルフィルタ及び送風フ
ァンの発塵性が問題にならない位い低い場合は、その構
成からHEPAフィルタ44を除いても差し支えない。
また、その際に1次側空気に十分な陽圧がある場合や、
2次側に十分な陰圧がある場合は更に送風ファン45を
上記構成から除いても差し支えない。
【0039】通常は、HEPAフィルタ44が使用され
るので、その圧力損失が大きいことから、1次側の空気
は送風ファン45等で2次側へ圧送する。その際に、フ
ィルタ通過後の空気へ、配管等からの不純物の混入がな
いように、パイプ36等材質の選定に留意する必要があ
る。また、2次側の空気の引き回しはできる限りないの
が望ましい。
【0040】更に、有害イオン発生を抑えるためには、
発生源となっている保持材及び遮蔽材をよりイオン発生
の少ない材料に変更し、また、酸素(O2)の影響を少な
くするため、高純度の窒素ガス(N2)を流すことが考え
られる。但し、照明光学系全体に窒素(N2)ガスを流す
ためには相当量の窒素(N2)が必要であり、窒息の可能
性がある等の点から、照明光学系部の排気管理を徹底さ
せる必要がある。
【0041】更に水銀ランプ1、楕円鏡2及びミラー3
を覆うようにダクト39が取り付けられ、ダクト39の
楕円鏡2の端面の近傍の吹き出し孔39aから、シロッ
コファン等を介して水銀ランプ1の冷却用の空気流40
が供給されており、この空気流40は楕円鏡2の底部の
ダクト39の排気孔39bから強制的に排気されてい
る。また、ダクト39の内部の楕円鏡2とミラー3との
間に、水銀ランプ1からの光を通過させる開口を有する
仕切り板41が固定され、ダクト39のインプットレン
ズ4に面する開口39cから流入した空気が、仕切り板
41の開口を経て排出孔39bから強制排気されてい
る。また、ミラー3を透過したランプモニター、WGA
光学系、及びAF光学系用の光は、ダクト39の側面の
透過窓を介して外部に取り出されている。
【0042】この場合、楕円鏡2には水銀ランプ1から
の熱が照射されると共に、楕円鏡2の付近に多量の冷却
用の空気流40が存在するため、ここにエアカーテンを
張ることは困難である。そのため、楕円鏡2に関しては
温度コントロールにより硫酸アンモニウムの付着を防止
する。光学部材への硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)の付
着を回避するための温度コントロールとは、前述のよう
に硫酸アンモニウムの分解が120℃程度より始まるこ
とを利用して(化学大辞典編集委員会編:「化学大辞
典」Vol.9,P690,共立出版1964参照)、その光学部材を
当該温度以上に保つ方法である。大きな熱源である水銀
ランプ1に近接する楕円鏡2は比較的容易に高温化が可
能である。
【0043】図2は、図1のフィルタユニット35の内
部構造を拡大して示す概略構成図であり、この図2にお
いて筒状のケーシング51の中程にケミカルフィルタ4
2が固定され、ケミカルフィルタ42の上流側のケーシ
ング51a内には、流体ガス中の所定の物質の積算流量
を計測するガスセンサ43が配置されている。このガス
センサ43は、水晶振動子(ATカットタイプ)43a
及びこの振動子43aの表面に塗布された吸着膜43b
よりなる。水晶振動子43aの一端にトランスデューサ
52が取り付けられ、トランスデューサ52は水晶振動
子43aを挟む電極板、及び水晶振動子43aの振動を
電気信号に変換する変換器(ボイスコイルモータ等から
なる)より構成されている。そして、マイクロプロセッ
サ(MPU)55中の制御部56からのスタート信号に
応じて、駆動部53がトランスデューサ52を介して水
晶振動子43aに広い周波数の振動を与え、トランスデ
ューサ52からの電気信号を周波数測定部54で解析し
て、水晶振動子43a及び吸着膜43bの共振周波数を
求め、この共振周波数をマイクロプロセッサ55中の演
算部57に供給する。演算部57は、その共振周波数か
ら最初の共振周波数を差し引いて変化分ΔFを求めて判
定部58に知らせ、判定部58はその変化分ΔFからケ
ミカルフィルタ42が寿命に達したかどうかを判定す
る。なお図2中の矢印はガス(空気)の流れる方向を示
す。
【0044】次に、ケミカルフィルタ42の上流側に設
置されたガスセンサ43の動作について説明する。ガス
センサ43の水晶振動子43aの表面は所定の吸着膜4
3bで覆われている。この吸着膜43bとしては、吸着
対象ガスに応じて最適な材料が選択される。
【0045】吸着膜43bにガスが吸着されると、吸着
膜43bに質量変化が生じ、それに伴い下記式(3)の
ように共振周波数が変化する。 共振周波数の変動dF=−2・F0 2・ΔM/(ν・S・ρ) (3) 但し、F0 は基本共振周波数、νは水晶振動子の厚み方
向に伝搬するバルク横波速度(3,320m/s)、Sは電極
面積、ρは水晶の密度(2.65×103 kg/m3)、ΔMは
吸着膜43bの質量変化である。
【0046】吸着対象ガスとしてアンモニアを例にとり
詳細な説明を行う。この場合、水晶振動子43aの表面
を被覆する吸着膜43bのベースとして高分子膜を用い
る。ガスセンサのセンサ面にこの高分子膜をLB法にて
成膜する。ここでLB法とはラングミュア・ブロジェッ
ト法のことであり、単分子や数分子の層からなる薄い膜
を作る方法である。多孔質の高分子膜中に、対象ガスと
反応するセンサ物質を固定し、反応生成物を保持するこ
とのできる物質を成膜材料として選ぶ。高分子材料とし
ては、極めて薄膜化が可能な物質が望ましく、代表的な
ものとしてセルロースが挙げられる。センサ物質として
は、例えばリン酸(H3PO4)、又は過マンガン酸カリ(KM
nO4)等が選択される。
【0047】環境気体中のアンモニア(アンモニウムイ
オンを含む)は、水晶振動子43a上の吸着膜43b中
のリン酸と中和反応を起こし、吸着膜43b上に固定さ
れる。中和反応したアンモニアは脱離することはないの
で、ケミカルフィルタ42を通過する総アンモニア量に
比例した量のアンモニアがガスセンサ43の吸着膜43
bの表面へ継続的に吸着される。
【0048】ここで、図2のケミカルフィルタ42の作
用について説明する。図3は、ケミカルフィルタ42の
前後(上流側、下流側)のアンモニア濃度を示す図であ
る。図3(A)は、活性炭等を用いたケミカルフィルタ
により主に物理吸着によりアンモニアを吸着する実験例
を示し、図3(B)は、イオン交換繊維等を用いたケミ
カルフィルタにより主に化学吸着によりアンモニアを吸
着する実験例を示す。なお、図3(A),(B)におい
て、横軸に時間を、縦軸にアンモニアの濃度をとる。
【0049】図3中、曲線f(t)は上流側濃度、g
(t)は下流側濃度を示す。上流側濃度f(t)は実際
には破線の如く変動しているが、便宜上その平均値をC
1 として計算する。下流側のフィルタ破過濃度(フィル
タの寿命の判断材料となる下流側濃度)をCR とする
と、直線Y=CR と曲線Y=g(t)との交点Rの垂線
の足TC がフィルタ寿命となる。
【0050】ここで、フィルタ破過時迄の総アンモニア
量をQとすると下記(4)式が成立する。 Q=∫f(t)dt=C1 ・TC (4) しかし、一般にクリーンルームの環境条件の違いあるい
は季節的要因等によりf(t)が大きく変動するため、
通常C1 を決定するのは困難である。
【0051】ところが、本実施例では、ケミカルフィル
タ42の上流側ににガスセンサ43が設置されている。
このガスセンサ43の示す、共振周波数の変化dFを積
分したものは、総アンモニア量Qに比例するので、フィ
ルタ破過時にガスセンサ43の示す共振周波数の初期値
からのずれ量FR (以降、「破過周波数」という)につ
いては以下の関係が成り立つ。
【0052】 FR =∫dF=α・Q (5) ここで、αは処理風量、設置条件等により決定される係
数、Qは各ケミカルフィルタに固有の量であり、共に実
験的に決定可能な量である。実験による決定の方法を具
体的に示すと、実験系が実際の系と違う場合、例えばパ
ーミュエーターや、標準アンモニアガスによって人工的
に上流側アンモニア濃度をほぼ一定(但し、極端な高濃
度ではケミカルフィルタの反応機構が変化するので数十
ppb程度に抑える必要がある)に保ちながら、ケミカ
ルフィルタの上流及び下流側濃度をイオンクロマトグラ
フを用いて測定し、その濃度の経時変化を調べて寿命T
C を実際に判定し、上記(4)式により総アンモニア量
Qを決定するのである。このときの実験系は実際に使用
する系と流体力学的に相似でなければならない。実験系
が実際の系と同一であれば、実際にガスセンサを設置し
て係数α、破過周波数FR を直接測定すればよい。
【0053】ここで得られたフィルタ破過時までの総ア
ンモニア量Q、係数α及び破過周波数FR の値は図2の
判定部58に記憶される。実稼働時には、ガスセンサ4
3の水晶振動子43aの共振周波数を常時又は必要に応
じ周波数測定部54により測定し、その測定値を演算部
57に送信する。演算部57は、供給された共振周波数
から最初の共振周波数を差し引いて周波数の変化分ΔF
を求める。これは、(3)式より吸着膜43bに吸着さ
れた物質の量を間接的に求めるので等価である。判定部
58は、その変化分ΔFが先に記憶されたフィルタ破過
時までの破過周波数FR に達したときには、ケミカルフ
ィルタ42の寿命であると判定する。なお、演算部57
で実際に(3)式より吸着された物質の量ΔMを求め、
この量ΔMに基づいて判定部58で寿命の判定をしても
よい。
【0054】ここで肝要なのが、通常のクリーンルーム
のアンモニア濃度は数十ppb程度であることから脱着
型のガスセンサではアンモニア濃度が感知できないとい
う点である。本実施例では、その問題を解決するため
に、ガスセンサ43の吸着膜43bに、通過するガスを
吸着及び固定する性質を持たせている。このことで、ア
ンモニアの通過量の算出が可能となる。
【0055】このように、ケミカルフィルタ42の上流
側に積算型のガスセンサ43を設置し、総処理量を測定
することで、種々の環境下に設置し使用されるケミカル
フィルタの寿命を判断することができる。アンモニア以
外の不純物ガスについても同様である。但し、ガスセン
サの吸着膜(センサ物質)としては、処理するガスを吸
着及び固定できる物質から最も有効なものが選択される
必要がある。
【0056】アンモニアに対するセンサ物質としては、
上記リン酸の他に塩化亜鉛(ZnC12)等を用いても良い。
また、硫酸用のセンサ物質としては、水酸化カリウム
(KOH)や水酸化カルシウム(Ca(OH)2)等が挙げられる。
更に、図1では個別の光学部材に対してエアーカーテン
を形成する場合の他、外気を温調して露光装置が設置さ
れたチャンバールーム内へ取り込む外気導入口にケミカ
ルフィルタを設置し、それによりクリーンエアをチャン
バールーム内部に導入或は循環させる構成をも示してい
る。
【0057】図1において、外気から取り込まれて不図
示の温調ユニットで所定の温度に調節された空気は、循
環パイプ46及びフィルタユニット35Aを経由して送
風機47に導入され、送風機47により昇圧されて、H
EPAフィルタ48からチャンバー壁49にその周囲を
囲まれたチャンバールーム50に吹き出される。そして
クリーンエアはチャンバールーム50内の所定の循環経
路を経て大部分は温調ユニットに戻されるが、一部はチ
ャンバールーム50の側壁のすき間から外部に吹き出さ
れる。この場合、フィルタユニット35Aは、フィルタ
ユニット35と同じ機能を有する大容量のフィルタユニ
ットである。
【0058】このようにフィルタユニット35A及びH
EPAフィルタ48により不純物が除去されたクリーン
エアをチャンバールーム50内に導入或は循環させるこ
とにより、露光装置内の光学部材の汚れが防止されるだ
けでなく、チャンバールーム50内の有害イオン及びア
ミンガス等有害ガスが減少するので、露光動作時のウエ
ハ上でのアミンガスと化学増幅型レジスト被露光部との
反応も低減する。これによって、化学増幅型レジストの
表面難溶化、パターンのTトップ現象を防ぐことができ
る。
【0059】次に、図2における不純物除去フィルタと
してのケミカルフィルタ42について詳細に説明する。
イオン除去用のケミカルフィルタとして、イオン交換樹
脂及びイオン交換繊維等があるが、表面積及び反応速度
が大きく成形加工が容易なことから気体処理用としては
イオン交換繊維が適当である。イオン交換繊維は例えば
ポリプロピレン製繊維から放射線グラフト重合によって
作られる。イオン交換繊維には酸性カチオン交換繊維と
塩基性アニオン交換繊維との2種類があり、目的とする
イオンの極性によって使い分ける。本実施例では両方の
フィルタを用いて、アンモニウムイオン(NH4 +)やアミ
ン等のプラスイオンや塩基性ガスは前者で、硫酸イオン
(SO4 2-)又は酸化窒素(NOx)等のマイナスイオンや酸性
ガスは後者で吸着することができる。例えばアンモニウ
ムイオン(NH4 +)は、強酸性カチオン交換繊維との中和
反応によって、低濃度でも約90%以上は吸着すること
が可能である。また、マイナスイオンは塩基性アニオン
交換繊維との中和反応で吸着される。これらのイオン交
換樹脂はあくまでイオン性の不純物の除去を目的として
おり、有機物質の除去には適していない。
【0060】活性炭フィルタは殆どの不純物に対して基
本的に有効であるが、一般的には有機化合物の分子サイ
ズの大きいもの、分子間力の大きいもの、水への溶解性
の低いもの、極性の低いものほど吸着性は高い。従っ
て、イオン交換樹脂で取りきれない有機物質、例えばト
リメチルシラノール、HMDS(ヘキサメチルジシロキ
サン)等の有機シランの除去には有効である。活性炭フ
ィルタの選定には、活性炭の表面積、平均細孔径を考慮
するとともに、活性炭の形状、発塵性を考慮する必要が
ある。
【0061】本実施例では装置の圧力損失を考え、活性
炭をウレタン繊維に含浸させたシート、或いは活性炭繊
維をシート状に加工したもの、もしくはハニカム状の活
性炭が望ましい。活性炭に酸性物質或いは弱アルカリ物
質を添着したものはイオン性の不純物の除去にも有効で
ある。また、ゼオライトは活性炭と同様に殆どの不純物
の除去に対して有効であり、除去する不純物のサイズに
応じて細孔径を選択する必要がある。
【0062】このような、フィルタ単体でも活性炭或い
はゼオライトではある程度不純物を除去可能ではある
が、こうした吸着材は最適化のため目的とする不純物の
分子サイズに合わせ、細孔径を決めるため、イオン交換
樹脂フィルタではイオン性物質の除去を、有機物質の除
去では活性炭フィルタ或いはゼオライトフィルタという
ように役割を分担させ、複合化した方が効率的な場合も
ある。
【0063】なお、本実施例では、露光装置として投影
型の露光装置を用いたが、本実施例の露光装置用のフィ
ルタは、投影型露光装置用の照明光学装置に使用して有
効であるのみならず、プロキシミティー方式、コンタク
ト方式の露光装置の照明光学装置のフィルタとして有効
なものである。更には、紫外線を用いる全ての光学装置
においても有効なものである。
【0064】このように本発明は上述実施例に限定され
ず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り
得る。
【0065】
【発明の効果】本発明の投影露光装置によれば、光学部
材の白濁の原因となるアンモニウムイオン(NH4 +)、酸
化硅素イオン(SiO4 2-)等の所定のイオン又はその発生
源となる有機ガスをフィルタ手段(ケミカルフィルタ)
により除去するので、装置内の汚染源はかなり減少す
る。露光装置へこのフィルタリングを施した空気だけ取
り入れ、それ以外の空気をなるべく流入しないようにす
ることにより有害イオン又は有害な有機ガスの新たな流
入を防ぎ、光学部材の曇りの進行を遅くすることができ
る。更に、アンモニアのような塩基性ガスが除去される
と、化学増幅型レジストを用いる際に、Tトップ現象が
抑制される利点もある。また、フィルタ手段の上流側に
所定の有害な不純物を吸着する吸着体(ガスセンサ)を
設け、その吸着体に付着した不純物の量を測定すること
によりフィルタ手段の寿命を判定するので、フィルタの
下流側で測定する場合に比べて流入空気中の不純物濃度
が低くても、フィルタ手段の寿命を容易に判定すること
ができる。
【0066】更に、フィルタ手段の正確な寿命判断を行
うことで、化学的クリーン度の低い環境下においても高
い効率で曇り低減を実現することが可能となる。また、
まだ使用可能なフィルタ手段を安全率の面から破棄する
といったことがなくなるため、ランニングコストの低減
も図ることができる。また、フィルタ手段の選択によっ
ては、将来問題となる可能性のある、その他の微量ガス
にも対応が可能となる。
【0067】また、吸着体の共振周波数からフィルタ手
段の寿命を判定する場合には、吸着体に付着した不純物
を採取する等面倒な作業がいらず、また、常時又は必要
なときに不純物の付着による周波数の変動量が計測で
き、その周波数の変動量に基づいて寿命判定手段により
寿命を自動的に判定することができる。更に、フィルタ
手段からの気体の排出口に塵除去用のフィルタを設置す
れば、光学部材に悪影響を与える金属粉等の細かい塵成
分が除去されると共に、フィルタ手段自体から発生する
塵成分も除去される。
【0068】また、半導体等の製造に使用される露光装
置のチャンバールームの空気取入れ口に本発明のフィル
タ手段を設置すれば、チャンバー内の有害イオン又はア
ミンガス等有害ガスが減少するので、露光動作時のウエ
ハ上でのアミンガスと化学増幅型レジスト被露光部との
反応も低減される。これによって、化学増幅型ポジレジ
ストでの表面難溶化、パターンのTトップ現象を防ぐこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による露光装置用のフィルタの一実施例
が適用された露光装置の要部を示す構成図である。
【図2】図1のフィルタユニット35の内部及び信号処
理系を示す一部断面図を含む構成図である。
【図3】(A)は活性炭等を用いたケミカルフィルタの
前後(上流側、下流側)のアンモニア濃度を示す図、
(B)はイオン交換繊維等を用いたケミカルフィルタの
前後のアンモニア濃度を示す図である。
【図4】従来の露光装置用の照明光学装置を示す一部断
面に沿う端面図を含む構成図である。
【図5】超高圧水銀ランプの発光スペクトル分布を示す
図である。
【図6】(A)は従来のアルミニウム反射鏡の反射率特
性を示す図、(B)は従来の代表的な誘電体多層膜反射
鏡の反射率特性を示す図である。
【図7】従来のバンドパスフィルタ板の透過特性を示す
図である。
【符号の説明】
1 水銀ランプ 2 楕円鏡 3 光路折り曲げ用のミラー 4 インプットレンズ 5 バンドパスフィルタ 6 フライアイレンズ 35,35A フィルタユニット 37 吹き出し口 39 ダクト 42 ケミカルフィルタ 43 ガスセンサ 43a 水晶振動子 43b 吸着膜 44,48 HEPAフィルタ 50 チャンバールーム 54 周波数測定部 57 演算部 58 判定部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 露光装置の周囲で所定方向に流れる気体
    用のフィルタ装置において、 アンモニア、アミン系化合物、硫黄酸化物、及び珪素酸
    化物よりなる物質群から選ばれた所定の物質を前記気体
    から除去するフィルタ手段と、 該フィルタ手段に対する前記気体の流入側で前記所定の
    物質を吸着する吸着体と、 該吸着体に吸着される物質の量を計測する計測手段と、 該計測手段による計測結果に基づいて前記フィルタ手段
    の寿命を判定する判定手段と、を備えたことを特徴とす
    る露光装置用のフィルタ装置。
  2. 【請求項2】 前記計測手段は、前記吸着体の共振周波
    数を検出する周波数検出手段と、 該周波数検出手段の検出結果より前記吸着体に吸着され
    た物質の量を求める演算手段とよりなることを特徴とす
    る請求項1記載の露光装置用のフィルタ装置。
  3. 【請求項3】 前記フィルタ手段からの前記気体の排出
    口に塵除去用のフィルタを設置したことを特徴とする請
    求項1又は2記載の露光装置用のフィルタ装置。
  4. 【請求項4】 前記露光装置が外気と隔離されたチャン
    バ内に設置されている場合に、前記フィルタ手段及び前
    記吸着体を前記チャンバに対する外気の導入口に設置し
    たことを特徴とする請求項1、2又は3記載の露光装置
    用のフィルタ装置。
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