JPH0855677A - 誘導加熱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 Ｃ形インダクターの加熱コイルを巻回した上
下部の鉄心脚の間の開口部の間隔を、被加熱材の厚さや
反りに応じて調整しても、上下部の鉄心脚を水平に保持
したまま昇降させることにより、ここから発生する磁束
を被加熱材に対して垂直に鎖交させて加熱効率を向上し
た誘導加熱装置を提供するものである。 【構成】 Ｃ形鉄心１の開口部２に被加熱材８を通過さ
せて、被加熱材８を誘導加熱するＣ形インダクターの、
前記上下部の鉄心脚３ａ、３ｂを水平に昇降させる昇降
機構が、Ｃ形鉄心１の上下部の水平鉄心10ａ、10ｂを連
結する本体鉄心脚５を複数のリンク11ａ、11ｂに分割
し、このリンク11ａ、11ｂの端部を互いに連結してリン
ク機構13を形成し、このリンク機構13の中間部にシリン
ダー14を設けると共に、前記上下部の水平鉄心10ａ、10
ｂを上下動自在にガイドするガイドレール16を設けた構
成からなることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は連続的に搬送されてくる
被加熱材を誘導加熱するＣ形インダクターに関し、特に
加熱コイルを巻回した鉄心脚部の昇降機構を改良したも
のである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、鉄鋼圧延ラインなどでは被加熱
材を予め所定の温度に加熱してから連続的に搬送して複
数台の圧延ミルで順次圧延して薄板を成形している。こ
の圧延過程で、被加熱材の端部側の温度が中央部に比べ
て次第に降下してくる問題がある。このように端部側が
温度降下して全体の温度が不均一のまま圧延すると品質
が一定せず、端部側の硬度が高くなって被加熱材が割れ
たり、圧延ミルのローラが片摩耗するなどの問題が発生
する。このため鉄鋼圧延ラインの圧延ミルの上流側に被
加熱材の両端部をインダクターで局部的に加熱してから
圧延する誘導加熱装置が設置されている。

【０００３】この従来の誘導加熱装置としてはＥ形イン
ダクターとＣ形インダクターとがあるが、このＥ形イン
ダクターは、Ｅ形鉄心に加熱コイルを巻回しその表面に
耐熱板を被覆したインダクターを被加熱材の両端側の上
下に対向して配置し、上部インダクターと下部インダク
ターとの間で磁束を発生させて被加熱材の端部側を誘導
加熱するようになっている。しかしながらＥ形インダク
ターは、被加熱材とのギャップを狭くしないと加熱効率
が悪く、また被加熱材との衝突を防止するためのギャッ
プ調整が難しい。このため、鉄心をＣ形に形成し、この
Ｃ形鉄心の開口部を挟んで上部鉄心脚と下部鉄心脚に、
夫々加熱コイルを巻回して、前記開口部に被加熱材を通
過させて、被加熱材を誘導加熱するＣ形インダクターが
使用されるようになってきた。

【０００４】このＣ形インダクターを用いた誘導加熱装
置は、上下に分離して配置するＥ形インダクターに比べ
て磁束の通路に大きなエアーギャップがなく、Ｃ形鉄心
の内部に磁束が通過するループが形成されるため、上部
鉄心脚と下部鉄心脚との間の開口部の間隔を大きくとっ
ても加熱効率が優れている利点がある。しかしながら開
口部の間隔を大きくとり過ぎると加熱効率が悪くなるた
め、被加熱材の厚さや反りに応じて、開口部の間隔を調
整して衝突を防止した構造のものがある。

【０００５】このように開口部の間隔を調整できる従来
の可動式Ｃ形インダクターは図５に示すように、Ｃ形鉄
心１の開口部２を挟んで上部鉄心脚３ａと下部鉄心脚３
ｂに夫々加熱コイル４、４を巻回し、この上部鉄心脚３
ａと下部鉄心脚３ｂと平行な本体鉄心脚５の中間を分離
して、ここを固定軸６で回動自在に連結し、固定軸６の
上下の本体鉄心脚５ａ、５ｂの横にシリンダー７ａ、７
ｂを連結した構造をなしている。

【０００６】この誘導加熱装置で被加熱材の両端部を局
部的に加熱する場合、Ｃ形インダクターの開口部２に帯
板状の被加熱材８の端部側を通過させて、電源から加熱
コイル４、４に高周波電流を通電して上下方向に磁束９
を発生させる。この磁束９を被加熱材８に垂直に鎖交さ
せることにより渦電流を誘起させて、この渦電流により
ジュール熱を発生させて被加熱材８を加熱するようにな
っている。

【０００７】この可動式のＣ形インダクターでは、被加
熱材８の厚さや反りに応じて、開口部２の間隔を広げる
場合、図６に示すようにシリンダー７ａ、７ｂを収縮さ
せると、上下本体鉄心脚５ａ、５ｂが固定軸６を回動中
心として矢印方向に回動し、加熱コイル４、４を巻回し
た上部鉄心脚３ａと下部鉄心脚３ｂの間の開口部２の間
隔が広がってくる。しかしながらこの状態で被加熱材８
を加熱すると、発生した磁束９が被加熱材８に対して垂
直に鎖交せず、加熱効率が低下する問題があった。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記欠点を除
去し、Ｃ形インダクターの加熱コイルを巻回した上下部
の鉄心脚の間の開口部の間隔を、被加熱材の厚さや反り
に応じて調整しても、上下部の鉄心脚を水平を保持した
まま昇降させることにより、ここから発生する磁束を被
加熱材に対して垂直に鎖交させて加熱効率を向上させた
誘導加熱装置を提供するものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１記載の
誘導加熱装置は、Ｃ形鉄心の開口部を挟んで上下部の鉄
心脚に、夫々加熱コイルを巻回して、前記開口部に被加
熱材を通過させて、被加熱材を誘導加熱するＣ形インダ
クターの、前記上下部の鉄心脚を水平に昇降させる昇降
機構を設けたことを特徴とするものである。

【００１０】更に請求項２記載の発明は、上下部の鉄心
脚を水平に昇降させる昇降機構が、Ｃ形鉄心の上下部の
水平鉄心を連結する本体鉄心脚を複数のリンクに分割
し、このリンクの端部を互いに回動自在に連結してリン
ク機構を形成し、このリンク機構の中間部に、ここを左
右に移動させる駆動機構を設けると共に、前記上下部の
水平鉄心を上下動自在にガイドするガイドレールを設け
た構成からなることを特徴とするものである。

【００１１】

【作用】本発明の誘導加熱装置は、搬送されてくる被加
熱材の搬送方向に沿ってＣ形インダクターを配置し、こ
れらの開口部に被加熱材を通過させる。電源から高周波
電流を夫々Ｃ形インダクターの加熱コイルに通電する
と、上下部の鉄心脚との間に発生した磁束が被加熱材に
垂直に鎖交して渦電流を誘起させて、この渦電流により
ジュール熱を発生させて被加熱材が誘導加熱される。

【００１２】被加熱材の板厚や反りに応じて開口部の間
隔を調整する場合には、駆動機構によりリンク機構の中
間部を左右に移動させると、これに連結されたリンクの
角度が変わると共に、上下部の水平鉄心がガイドレール
に沿って上下に移動して開口部の間隔が変わる。このた
め開口部の間隔を調整しても、上下部の鉄心脚は平行を
保持したまま上下移動するので、この間に発生した磁束
は被加熱材に垂直に鎖交して効率良く加熱することがで
きる。

【００１３】

【実施例】以下本発明の一実施例を図１ないし図３を参
照して詳細に説明する。この誘導加熱装置のＣ形インダ
クターを形成するＣ形鉄心１は、上部の水平鉄心10ａと
下部の水平鉄心10ｂが平行に設けられ、この上部の水平
鉄心10ａの一端側に上部鉄心脚３ａがＬ字形に一体に形
成され、下部の水平鉄心10ｂの一端側に下部鉄心脚３ｂ
がＬ字形に一体に形成されている。更にこの下部鉄心脚
３ｂに加熱コイル４が巻回されていると共に、前記上部
鉄心脚３ａに加熱コイル４が巻回され、この間に開口部
２が形成されている。また上部の水平鉄心10ａと下部の
水平鉄心10ｂを接続する本体鉄心脚５は、２個のリンク
11ａ、11ｂに分割され、これらの両端は図２に示すよう
に凹凸状に嵌合して軸12で回動自在に連結されてリンク
機構13を形成している。

【００１４】このリンク機構13の中間の、リンク11ａと
リンク11ｂを連結する軸12の端部には、駆動機構となる
シリンダー14が水平に連結されて、リンク機構13の中間
を左右に移動するようになっている。また上部の水平鉄
心10ａと下部の水平鉄心10ｂの横にはガイド突起15、15
が突設され、これが嵌合して上下動自在にガイドされる
ガイドレール16が上下方向に設けられている。

【００１５】上記構成のインダクタは、被加熱材８の板
厚や反りが小さい場合には図１に示すようにシリンダー
14を収縮させて開口部２の間隔を小さくした状態で加熱
コイル４、４に通電すると、上部鉄心脚３ａと下部鉄心
脚３ｂとの間に発生した磁束９が被加熱材８に垂直に鎖
交して渦電流を誘起させて、この渦電流によりジュール
熱を発生させて被加熱材８が誘導加熱される。

【００１６】被加熱材８の板厚や反りが大きい場合には
図３に示すようにシリンダー14を伸出させると、リンク
11ａとリンク11ｂを連結する軸12が図中左側に移動し、
上部の水平鉄心10ａと下部の水平鉄心10ｂは、ガイドレ
ール16にガイドされて横方向に移動できないので、リン
ク11ａ、11ｂの角度が開いて、上部の水平鉄心10ａと下
部の水平鉄心10ｂはガイドレール16に沿って上下に移動
し開口部２の間隔が広がる。従って、開口部２の間隔を
調整しても、上部鉄心脚３ａと下部鉄心脚３ｂは平行状
態を保持したまま移動するので、この間に発生した磁束
９は被加熱材８に垂直に鎖交するため効率よく加熱する
ことができる。

【００１７】図４は本発明の他の実施例を示すもので、
上部の水平鉄心10ａと下部の水平鉄心10ｂを接続する本
体鉄心脚５を３個のリンク11ａ、11ｂ、11ｃに分割し、
これらの両端は図２に示すように凹凸状に嵌合して軸12
で回動自在に連結されてリンク機構13を形成している。
中間のリンク11ｃは垂直に設けられ、この中央部に駆動
機構となるシリンダー14が水平に連結されて、中間のリ
ンク11ｃが左右に移動できるようになっている。また上
部の水平鉄心10ａと下部の水平鉄心10ｂの横にはガイド
突起15、15が突設され、これが嵌合して上下動自在にガ
イドされるガイドレール16が上下方向に設けられ、また
上部鉄心脚３ａと下部鉄心脚３ｂに加熱コイル４、４を
巻回したことは前記実施例と同様の構成である。

【００１８】この構成のインダクタは、被加熱材８の板
厚や反りに合わせてシリンダー14を調整すると、中間の
リンク11ｃが左右に移動し、上部の水平鉄心10ａと下部
の水平鉄心10ｂはガイドレール16に沿って上下動自在に
支持されているので、リンク11ａ、11ｂの角度が変化し
て、上部の水平鉄心10ａと下部の水平鉄心10ｂは上下に
水平を保持したまま移動し、この間に発生した磁束９は
被加熱材８に垂直に鎖交して効率良く加熱することがで
きる。なお上記実施例でリンク機構の駆動機構としてシ
リンダー14を用いた場合について説明したが、モーター
ジャッキを用いた構造でも良い。

【００１９】

【発明の効果】以上説明した如く本発明によれば、被加
熱材の厚さや反りに応じてＣ形インダクターの加熱コイ
ルを巻回した上下部の鉄心脚を水平を保持したまま昇降
させて開口部を調整できるので、発生する磁束を被加熱
材に対して垂直に鎖交させて加熱効率を向上させた誘導
加熱装置を得ることができる。更に請求項２記載の発明
は昇降機構が、本体鉄心脚をリンク機構とすると共に、
上下部の水平鉄心を上下に移動させるガイドレールを設
けることにより、簡単な機構で水平を保持したまま昇降
させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例による誘導加熱装置を示す側
面図である。

【図２】図１のリンク機構の連結部分を示す断面図であ
る。

【図３】図１の誘導加熱装置の開口部を広げた状態を示
す側面図である。

【図４】本発明の他の実施例による誘導加熱装置を示す
側面図である。

【図５】従来の誘導加熱装置を示す側面図である。

【図６】図５に示す従来の誘導加熱装置の開口部を広げ
た状態を示す側面図である。

【符合の説明】

１ Ｃ形鉄心 ２ 開口部 ３ａ 上部鉄心脚 ３ｂ 下部鉄心脚 ４ 加熱コイル ５ 本体鉄心脚 ８ 被加熱材 ９ 磁束 10ａ 上部の水平鉄心 10ｂ 下部の水平鉄心 11ａ リンク 11ｂ リンク 12 軸 13 リンク機構 14 シリンダー 16 ガイドレール

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 Ｃ形鉄心の開口部を挟んで上下部の鉄心
   脚に、夫々加熱コイルを巻回して、前記開口部に被加熱
   材を通過させて、被加熱材を誘導加熱するＣ形インダク
   ターの、前記上下部の鉄心脚を水平に昇降させる昇降機
   構を設けたことを特徴とする誘導加熱装置。
2. 【請求項２】 上下部の鉄心脚を水平に昇降させる昇降
   機構が、Ｃ形鉄心の上下部の水平鉄心を連結する本体鉄
   心脚を複数のリンクに分割し、このリンクの端部を互い
   に回動自在に連結してリンク機構を形成し、このリンク
   機構の中間部に、ここを左右に移動させる駆動機構を設
   けると共に、前記上下部の水平鉄心を上下動自在にガイ
   ドするガイドレールを設けた構成からなることを特徴と
   する請求項１記載の誘導加熱装置。