JPH0853536A - サリチル酸樹脂の多価金属塩、その製造方法および用途 - Google Patents

サリチル酸樹脂の多価金属塩、その製造方法および用途

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JPH0853536A
JPH0853536A JP7119638A JP11963895A JPH0853536A JP H0853536 A JPH0853536 A JP H0853536A JP 7119638 A JP7119638 A JP 7119638A JP 11963895 A JP11963895 A JP 11963895A JP H0853536 A JPH0853536 A JP H0853536A
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salicylic acid
polyvalent metal
resin
acid
metal salt
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JP7119638A
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Yoshimitsu Tanabe
良満 田辺
Kiyoharu Hasegawa
清春 長谷川
Masakatsu Nakatsuka
正勝 中塚
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 酸の存在下、サリチル酸誘導体とスチレン誘
導体のオリゴマーを反応させてサリチル酸樹脂を得、該
樹脂に多価金属化物を反応させて得られるサリチル酸樹
脂の多価金属塩の製造方法、および該サリチル酸樹脂の
多価金属塩を用いて得られる顕色シート。 【効果】 感圧記録用の顕色剤として優れた性能を有す
るサリチル酸樹脂の多価金属塩を製造する方法を提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感圧記録等の記録材料
用の顕色剤として有用なサリチル酸樹脂の多価金属塩、
および該樹脂の多価金属塩の製造法に関する。さらに
は、サリチル酸樹脂の多価金属塩を含有する水分散液、
および水分散液を支持体に塗布して得られる顕色シート
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、サリチル酸誘導体の金属塩
は、感圧記録用の顕色剤として有用であることが知られ
ており、種々のサリチル酸誘導体、その金属塩の製造法
や利用法が提示されている。例えば、3,5−ジ置換サ
リチル酸誘導体は、対応する2,4−ジ置換フェノール
誘導体と二酸化炭素とより、いわゆるコルベ−シュミッ
ト反応を利用して製造されている(例えば、特公昭51
−25174号公報)。また、フェノールにスチレンダ
イマーを反応させて得られるフェノール誘導体に、二酸
化炭素を作用させて、3位または5位にスチレンダイマ
ーが置換したサリチル酸誘導体、および該誘導体の金属
塩が製造されている(例えば、特公昭60−43317
号公報)。しかし、これらの方法は、いずれもフェノー
ルから2段階で、該サリチル酸誘導体を製造するという
点、さらには二酸化炭素との反応に際しては、該反応を
高温高圧下で行うため、特殊な高温高圧装置を必要とす
る等製造設備上の難点がある。
【0003】さらに、3,5−ジ置換サリチル酸誘導体
の金属塩、例えば、3,5−ジ(α−メチルベンジル)
サリチル酸の亜鉛塩、3−(1’,3’−ジフェニルブ
チル)サリチル酸と5−(1’,3’−ジフェニルブチ
ル)サリチル酸金属塩の混合物を感圧記録用の顕色剤と
して用いた場合、発色画像が水で消失するなどの問題点
がある。サリチル酸誘導体とスチレン誘導体を酸触媒の
存在下、40〜170℃で反応させ、その後、脂肪酸の
金属塩と反応させ、高分子のサリチル酸樹脂の金属塩を
製造する方法が開示されている(特開昭63−1125
37号公報)。しかしながら、この方法により製造され
るサリチル酸樹脂の金属塩は、しばしば着色していると
いう問題点がある。さらに、この方法により製造される
高分子のサリチル酸樹脂の金属塩(例えば、亜鉛塩)を
感圧記録用の顕色剤として使用する場合、分散時には微
粒子化しづらく、また分散液は凝集しやすいという問題
がある。
【0004】さらには、得られたサリチル酸樹脂の多価
金属塩を用いて製造される感圧記録用の顕色シートは、
耐摩擦性に劣る等の欠点を有しており、感圧記録用の顕
色剤としては好ましくない。また、サリチル酸エステル
類とスチレン類とを反応させ、得られたサリチル酸エス
テル樹脂を加水分解した後、多価金属化合物を作用させ
るサリチル酸樹脂の多価金属塩の製造方法が開示されて
いる(特開平1−133780号公報)。しかし、この
方法により製造されるサリチル酸樹脂の多価金属塩(例
えば、亜鉛塩)を感圧記録用の顕色剤として使用する場
合、分散時には微粒子化しづらく、また分散液は凝集し
やすいという問題がある。現在では、微粒子化しやす
く、分散液の保存安定性に優れ、且つ感圧記録用の顕色
シートを製造した場合、発色画像の保存安定性(例え
ば、耐水性)に優れ、さらには耐摩擦安定性に優れた顕
色剤が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、感圧記録用の顕色剤として有用なサリチル酸樹脂の
多価金属塩、その製造方法を提供することである。本発
明の第二の目的は、該樹脂の多価金属塩を含有する分散
性および保存安定性に優れた水分散液を提供することで
ある。本発明の第三の目的は、該水分散液を用いた発色
画像の発色濃度、耐水性のような保存安定性および耐摩
擦性に優れた顕色シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の要
望にこたえるべく、サリチル酸誘導体の多価金属塩に関
し、鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、
本発明は、酸の存在下、サリチル酸誘導体とスチレン誘
導体のオリゴマーを反応させてサリチル酸樹脂を得、該
樹脂と多価金属化合物を作用させてサリチル酸樹脂の多
価金属塩を製造する方法に関するものである。さらに、
該方法により製造されるサリチル酸樹脂の多価金属塩、
該サリチル酸樹脂の多価金属塩を含有する水分散液、該
サリチル酸樹脂の多価金属塩を含有する水分散液を用い
て得られる顕色シートに関するものである。
【0007】本発明で用いるサリチル酸誘導体として
は、好ましくは、一般式(1)(化1)で表されるサリ
チル酸誘導体を挙げることができる。
【化1】 (式中、R1 は水素原子、アルキル基、アラルキル基ま
たはアリール基を表し、X1 〜X4 はそれぞれ水素原
子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリー
ル基またはハロゲン原子を表す)
【0008】一般式(1)において、R1 は水素原子、
アルキル基、アラルキル基またはアリール基を表し、好
ましくは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭
素数7〜10のアラルキル基または炭素数6〜10のア
リール基である。一般式(1)において、X1 〜X4
それぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラル
キル基、アリール基またはハロゲン原子を表し、好まし
くは、水素原子、炭素数1〜12の直鎖、分岐または環
状のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素
数7〜26のアラルキル基、炭素数6〜26のアリール
基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子であり、特に好ま
しくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数
7〜26のアラルキル基である。
【0009】サリチル酸誘導体の具体例としては、例え
ば、サリチル酸、3−メチルサリチル酸、4−メチルサ
リチル酸、5−メチルサリチル酸、3−n−ブチルサリ
チル酸、6−メチルサリチル酸、6−エチルサリチル
酸、5−イソプロピルサリチル酸、4−n−ペンチルサ
リチル酸、5−シクロヘキシルサリチル酸、5−n−オ
クチルサリチル酸、5−tert−オクチルサリチル酸、4
−ノニルサリチル酸、5−ノニルサリチル酸、4−n−
ドデシルサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、6−メ
トキシサリチル酸、5−エトキシサリチル酸、6−イソ
プロポキシサリチル酸、4−n−ヘキシルオキシサリチ
ル酸、4−n−デシルオキシサリチル酸、3−ベンジル
サリチル酸、5−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチ
ルベンジル)サリチル酸、5−(α−メチルベンジル)
サリチル酸、3−(α,α−ジメチルベンジル)サリチ
ル酸、4−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、
5−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、
【0010】3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サ
リチル酸、5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリ
チル酸、3−(1’,3’−ジフェニルブチル)−5−
(α−メチルベンジル)サリチル酸、3−(α−メチル
ベンジル)−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サ
リチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル
酸、3−〔α−メチル−4’−(α−メチルベンジル)
ベンジル〕サリチル酸、5−〔α−メチル−4’−(α
−メチルベンジル)ベンジル〕サリチル酸、4−フェニ
ルサリチル酸、5−フェニルサリチル酸、5−(4’−
メチルフェニル)サリチル酸、5−(4’−メトキシフ
ェニル)サリチル酸、5−フルオロサリチル酸、3−ク
ロロサリチル酸、4−クロロサリチル酸、5−クロロサ
リチル酸、5−ブロモサリチル酸などのサリチル酸誘導
体、
【0011】例えば、サリチル酸メチル、サリチル酸エ
チル、サリチル酸−n−プロピル、サリチル酸イソプロ
ピル、サリチル酸−n−ブチル、サリチル酸イソアミ
ル、サリチル酸−tert−オクチル、サリチル酸ノニル、
サリチル酸ドデシル、サリチル酸シクロヘキシル、サリ
チル酸ベンジル、サリチル酸−α−メチルベンジル、サ
リチル酸フェニル、3−メチルサリチル酸メチル、4−
メチルサリチル酸メチル、4−メトキシサリチル酸エチ
ル、5−ベンジルサリチル酸メチル、3−(α−メチル
ベンジル)サリチル酸メチル、5−(α−メチルベンジ
ル)サリチル酸メチル、3−(α,α−ジメチルベンジ
ル)サリチル酸メチル、5−(α,α−ジメチルベンジ
ル)サリチル酸メチル、
【0012】3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サ
リチル酸メチル、5−(1’,3’−ジフェニルブチ
ル)サリチル酸メチル、3−(1’,3’−ジフェニル
ブチル)−5−(α−メチルベンジル)サリチル酸メチ
ル、3−(α−メチルベンジル)−5−(1’,3’−
ジフェニルブチル)サリチル酸メチル、3,5−ジ(α
−メチルベンジル)サリチル酸メチル、3−〔α−メチ
ル−4’−(α−メチルベンジル)ベンジル〕サリチル
酸メチル、5−〔α−メチル−4’−(α−メチルベン
ジル)ベンジル〕サリチル酸メチル、
【0013】5−フェニルサリチル酸メチル、5−フル
オロサリチル酸メチル、3−クロロサリチル酸メチル、
4−クロロサリチル酸−n−ブチル、5−ブロモサリチ
ル酸メチルなどのサリチル酸エステル誘導体を挙げるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。これ
らのサリチル酸誘導体は、単独で使用してもよく、ある
いは複数併用してもよい。特に好ましくは、サリチル
酸、またはサリチル酸メチル、サリチル酸−n−ブチル
等のサリチル酸アルキルエステル誘導体である。
【0014】本発明に係るスチレン誘導体のオリゴマー
としては、好ましくは、スチレン誘導体の2量体以上の
オリゴマーであり、より好ましくは、2〜10量体であ
り、特に好ましくは、2〜5量体である。尚、スチレン
オリゴマーは、鎖状のオリゴマーでもよく、あるいは環
状のオリゴマーでもよいが、好ましくは、鎖状のオリゴ
マーである。特に好ましい、スチレン誘導体のオリゴマ
ーとしては、一般式(2)または一般式(3)(化2)
で表されるスチレン誘導体の2量体を50重量%以上含
有するオリゴマーであり、特に好ましくは、80重量%
以上含有するオリゴマーである。
【化2】 (式中、R2 〜R5 はそれぞれ水素原子またはアルキル
基を表し、X5 〜X8 はそれぞれ水素原子、アルコキシ
基、アラルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表
す)
【0015】尚、スチレン誘導体のオリゴマーは、スチ
レン誘導体より公知の方法〔例えば、特開昭51−11
5449号公報、J.Org.Chem.,18、17
01(1953)、J.Org.Chem.,19、1
7(1953)、J.Amer.Chem.Soc.,
74、4848(1952)、J.Amer.Che
m.Soc.,80、1761(1958)に記載の方
法〕により製造することができる。例えば、酸あるいは
酸水溶液の存在下で、スチレン誘導体モノマーを、オリ
ゴマー化させることにより製造することができる。
【0016】本発明に係るスチレン誘導体のオリゴマー
を調製する際に使用するスチレン誘導体としては、例え
ば、一般式(4)(化3)で表される化合物を挙げるこ
とができる。
【化3】 (式中、R6 およびR7 は水素原子またはアルキル基を
表し、X9 およびX10は水素原子、アルキル基、アルコ
キシ基、アラルキル基、アリール基またはハロゲン原子
を表す)
【0017】一般式(4)において、R6 およびR7
水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは、水素原
子または炭素数1〜4のアルキル基であり、より好まし
くは、水素原子またはメチル基である。また、X9 およ
びX10は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラル
キル基、アリール基またはハロゲン原子を表し、好まし
くは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数
1〜12のアルコキシ基、炭素数7〜10のアラルキル
基、炭素数6〜10のアリール基、フッ素原子、塩素原
子または臭素原子であり、より好ましくは、水素原子ま
たはメチル基である。
【0018】スチレン誘導体のオリゴマーを調製する際
に使用するスチレン誘導体としては、例えば、スチレ
ン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メ
チルスチレン、2−エチルスチレン、4−エチルスチレ
ン、3−イソプロピルスチレン、4−イソプロピルスチ
レン、4−n−ブチルスチレン、4−tert−ブチルスチ
レン、4−シクロヘキシルスチレン、4−n−オクチル
スチレン、4−n−デシルスチレン、2,4−ジメチル
スチレン、2,5−ジメチルスチレン、3−メトキシス
チレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレ
ン、4−n−オクチルオキシスチレン、α−メチルスチ
レン、α−エチルスチレン、α−n−ブチルスチレン、
α−イソブチルスチレン、α,β−ジメチルスチレン、
α,β−ジエチルスチレン、α−メチル−β−イソプロ
ピルスチレン、α−n−プロピル−β−メチルスチレ
ン、4−(α,α−ジメチルベンジル)スチレン、4−
フェニルスチレン、4−フルオロスチレン、2−クロロ
スチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、
4−ブロモスチレンを挙げることができるが、これらに
限定されるものではない。スチレン誘導体のオリゴマー
を調製する際には、これらのスチレン誘導体は、単独で
使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。好まし
くは、スチレンまたは4−メチルスチレン等のアルキル
置換されたスチレン誘導体である。
【0019】本発明に係るスチレン誘導体のオリゴマー
としては、例えば、1,3−ジフェニル−1−ブテン、
1,3−ジ(2’−メチルフェニル)−1−ブテン、
1,3−ジ(3’−メチルフェニル)−1−ブテン、
1,3−ジ(4’−メチルフェニル)−1−ブテン、
1,3−ジ(2’−エチルフェニル)−1−ブテン、
1,3−ジ(4’−エチルフェニル)−1−ブテン、
1,3−ジ(3’−イソプロピルフェニル)−1−ブテ
ン、1,3−ジ(4’−イソプロピルフェニル)−1−
ブテン、1,3−ジ(4’−n−ブチルフェニル)−1
−ブテン、1,3−ジ(4’−tert−ブチルフェニル)
−1−ブテン、1,3−ジ(4' −シクロヘキシルフェ
ニル)−1−ブテン、1,3−ジ(4' −n−オクチル
フェニル)−1−ブテン、1,3−ジ(4−n−デシル
フェニル)−1−ブテン、1,3−ジ(2’,4’−ジ
メチルフェニル)−1−ブテン、1,3−ジ(2' ,
5' −ジメチルフェニル)−1−ブテン、1,3−ジ
(3' −メトキシフェニル)−1−ブテン、1,3−ジ
(4' −メトキシフェニル)−1−ブテン、1,3−ジ
(4' −エトキシフェニル)−1−ブテン、2,4−ジ
フェニル−4,4−ジメチル−1−ブテン、
【0020】2,4−ジフェニル−1,4−ジメチル−
4−エチル−1−ブテン、2,4−ジフェニル−1−n
−プロピル−4−メチル−4−n−ブチル−1−ブテ
ン、2,4−ジフェニル−1−イソプロピル−4−メチ
ル−4−イソブチル−1−ブテン、2,4−ジフェニル
−3,4−ジメチル−4−エチル−1−ブテン、2,4
−ジフェニル−1−メチル−4−エチル−4−n−プロ
ピル−1−ブテン、2,4−ジフェニル−3−n−プロ
ピル−4−メチル−4−n−ブチル−1−ブテン、2,
4−ジフェニル−1−エチル−3−メチル−4−エチル
−4−プロピル−1−ブテン、1,3−ジ(4’−α,
α−メチルベンジルフェニル)−1−ブテン、1,3−
ジ(ビフェニル)−1−ブテン、1,3−ジ(4' −フ
ルオロフェニル)−1−ブテン、1,3−ジ(4' −フ
ルオロフェニル)−1−ブテン、1,3−ジ(2' −ク
ロロフェニル)−1−ブテン、1,3−ジ(3' −クロ
ロフェニル)−1−ブテン、1,3−ジ(4' −クロロ
フェニル)−1−ブテン、1,3−ジ(4' −ブロモフ
ェニル)−1−ブテンなどの鎖状の2量体、
【0021】例えば、1−メチル−3−フェニルインダ
ン、1,7−ジメチル−3−(2’−メチルフェニル)
インダン、1,6−ジメチル−3−(3’−メチルフェ
ニル)インダン、1,5−ジメチル−3−(4’−メチ
ルフェニル)インダン、1−メチル−7−エチル−3−
(2’−エチルフェニル)インダン、1−メチル−5−
エチル−3−(4’−エチルフェニル)インダン、1−
メチル−6−イソプロピル−3−(3’−イソプロピル
フェニル)インダン、1−メチル−5−イソプロピル−
3−(4’−イソプロピルフェニル)インダン、1−メ
チル−5−n−ブチル−3−(4’−n−ブチルフェニ
ル)インダン、1−メチル−5−tert−ブチル−3−
(4’−tert−ブチルフェニル)インダン、1−メチル
−5−シクヘキシル−3−(4’−シクロヘキシルフェ
ニル)インダン、1−メチル−5−n−オクチル−3−
(4’−n−オクチルフェニル)インダン、1−メチル
−5−n−デシル−3−(4’−n−デシルフェニル)
インダン、1,5,7−トリメチル−3−(2’,4’
ジメチルフェニル)インダン、1−メチル−5−メトキ
シ−3−(4’−メトキシフェニル)インダン、1−メ
チル−5−クロロ−3−(4’−クロロフェニル)イン
ダン、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダ
ン、1,5−ジメチル−3−フェニルインダン、1−メ
チル−5−エチル−3−フェニルインダン、1,1,
3,5−テトラメチル−3−フェニルインダンなどの環
状の2量体、
【0022】さらに、一般式(4)で表されるスチレン
誘導体の3量体、4量体、5量体、6量体、7量体、8
量体、9量体、10量体などを挙げることができるが、
これらに限定されるものではない。これらは、単独で使
用してもよく、あるいは複数併用してもよい。特に好ま
しくは、スチレンの鎖状の2量体である1,3−ジフェ
ニル−1−ブテンを50重量%以上含有するスチレンオ
リゴマーであり、さらに好ましくは、1,3−ジフェニ
ル−1−ブテンである。本発明の製造方法において、ス
チレン誘導体のオリゴマーの使用量は、特に制限するも
のではないが、好ましくは、該オリゴマーを構成するス
チレン誘導体モノマー単位換算で、サリチル酸誘導体1
モルに対して、2.5〜20モル程度であり、より好ま
しくは、3〜15モル程度であり、特に好ましくは、
3.5〜10モル程度である。すなわち、スチレン誘導
体のオリゴマーとして、スチレン誘導体の2量体を使用
する場合、その使用量は、好ましくは、サリチル酸誘導
体1モルに対して、1.25〜10モル程度、より好ま
しくは、1.5〜7.5モル程度、特に好ましくは、
1.75〜5モル程度である。
【0023】本発明の製造方法において使用する酸とし
ては、例えば、塩酸、硫酸、臭化水素、塩化水素、フッ
化水素、リン酸、ポリリン酸などの鉱酸、酢酸、プロピ
オン酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢
酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン
酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベンゼンス
ルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、p−トルエ
ンスルホン酸、キシレンスルホン酸、β−ナフタレンス
ルホン酸などの有機酸、塩化第二錫、塩化第二鉄、塩化
亜鉛、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、四塩化チタ
ンなどのルイス酸、さらにはNafion−H(商品
名、Dupont社製)などの超強酸などを挙げることができ
るが、これらに限定されるものではない。これらの酸
は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよ
い。特に好ましい酸は、鉱酸、有機酸、ルイス酸であ
り、中でも、硫酸、塩化亜鉛は好ましい。尚、硫酸を使
用する場合は、約90重量%以上の濃度を有する硫酸が
好ましく、発煙硫酸を併用してもよい。酸の使用量は、
特に制限されるものではなく、酸を多量に用いること自
体、生成物の特性に悪影響を与えるものではないが、作
業効率、生産効率等の点から、通常、酸の使用量は、サ
リチル酸誘導体の重量に対して、5〜100重量%が好
ましく、より好ましくは、10〜50重量%である。
【0024】サリチル酸誘導体とスチレン誘導体のオリ
ゴマーとの反応は、有機溶媒の不存在下で実施できる
が、有機溶媒の存在下で実施することもできる。有機溶
媒としては、反応に対して不活性な有機溶媒であれば任
意に使用することができる。有機溶媒の具体例として
は、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、シクロヘキ
サン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶
媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル
系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テ
トラクロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,1,
1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタ
ン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジク
ロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、1,2,4−ト
リクロロベンゼン、o−クロロトルエン、m−クロロト
ルエン、p−クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系
溶媒、酢酸、プロピオン酸等の有機カルボン酸系溶媒を
挙げることができるが、これらに限定されるものではな
い。これらの有機溶媒は単独で使用してもよく、あるい
は複数併用してもよい。尚、有機溶媒の使用容量に関し
ては、特に制限されるものではないが、多量に使用する
こと自体、作業効率、生産効率等を低下させるだけであ
り、通常は、サリチル酸誘導体の重量に対して、100
(容量/重量)倍以下が好ましい。
【0025】本発明の製造方法において、サリチル酸誘
導体に、酸の存在下、スチレン誘導体のオリゴマーを反
応させるに際しては、その操作方法に関しては特に制限
はない。一般的な方法としては、サリチル酸誘導体、お
よび酸、所望に応じて有機溶媒を反応容器に装入後、該
混合物に、スチレン誘導体のオリゴマーを供給する方法
が適用できる。さらには、サリチル酸誘導体の一部量、
および酸、所望に応じて、有機溶媒を反応容器に装入
後、該混合物に、スチレン誘導体のオリゴマーの一部量
を供給後、引き続き、さらに該混合物に、サリチル酸誘
導体の残部量を装入後、スチレン誘導体のオリゴマーの
残部量を供給する方法、いわゆる、分割供給する方法も
適用できる。
【0026】スチレン誘導体のオリゴマーを供給する方
法としては、公知の手段、装置(例えば、各種の滴下装
置、各種の定量ポンプ)により、連続的に、あるいは断
続的に多段階で供給する方法が適用できる。勿論、プロ
セス工学的に実施可能な他の変形方法も適用できること
は言うまでもない。スチレン誘導体のオリゴマーは、そ
のまま(ニート)で供給してもよく、また上記の有機溶
媒に溶解させた有機溶媒溶液として供給してもよい。ス
チレン誘導体のオリゴマーを供給する場合、その供給速
度は、特に制限するものではないが、通常、約0.5〜
約15時間、より好ましくは、約1〜約10時間であ
る。
【0027】尚、反応の経過は、例えば、プロトンNM
Rスペクトル、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)等の公知の分析手段により、サリチル酸誘導体また
は/およびスチレン誘導体のオリゴマーの変化率をモニ
ターすることができるので、反応時間は、これらの分析
手段により決定することができる。長時間反応させるこ
とは、悪影響を与えるものではないが、長時間を費やす
こと自体、作業効率、生産効率等の低下をもたらすだけ
であり、通常は、約1〜20時間が好ましく、より好ま
しくは、約2〜20時間で実施される。反応温度は、約
0〜約150℃が好ましく、より好ましくは、約5〜約
120℃である。尚、この反応は、通常、大気圧下で実
施することができるが、減圧下あるいは加圧下で実施す
ることもできる。また、反応は大気圧中で実施すること
ができるが、不活性ガス(例えば、窒素、ヘリウム、ア
ルゴン等のガス)の存在下で実施してもよい。このよう
に、酸の存在下、サリチル酸誘導体と、スチレン誘導体
のオリゴマーを反応させて得られるサリチル酸樹脂は、
公知の方法により、反応系から取り出すこともでき、ま
た反応系から取り出すことなく引き続き、多価金属化合
物の反応に使用することができる。
【0028】サリチル酸誘導体として、サリチル酸エス
テル誘導体、またはサリチル酸誘導体とサリチル酸エス
テル誘導体の混合物とスチレン誘導体のオリゴマーを反
応させて得られるサリチル酸樹脂(以下、樹脂Aと略記
する)を製造した場合には、多価金属化合物との反応に
先立って、樹脂A中のエステル基をカルボキシル基に加
水分解する。この場合、樹脂A中のエステル基のカルボ
キシル基への加水分解は、酸または塩基を用いて、公知
の方法により実施することができる。酸による加水分解
方法では、酸の種類は特に限定されるものではないが、
例えば、塩酸、硫酸などの鉱酸類を使用し、通常、水媒
体中で実施する。塩基による加水分解方法では、塩基と
して、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム
を使用し、通常、水媒体中で実施する。酸または塩基と
水の割合は任意の割合で選択できるが、通常、重量比
で、1:100〜100:1、好ましくは、1:50〜
50:1の範囲である。
【0029】加水分解反応に用いる酸または塩基の使用
量は特に制限されるものではなく、樹脂A中のエステル
基をカルボキシル基へ加水分解するに足る充分な量であ
ればよい。通常、樹脂Aを製造する際に使用したサリチ
ル酸エステル誘導体1モルに対して、酸を用いて加水分
解を実施する場合には、酸の使用量は、約0.05〜約
30倍モル、また、塩基を用いて加水分解反応を実施す
る場合には、塩基の使用量は、通常、約1〜約30倍モ
ル使用するのが好ましい。
【0030】加水分解反応は、通常、水存在下で実施す
るが、有機溶媒を併用してもよい。有機溶媒としては、
例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルアセトアミド、スルホラン、1,3−ジメチル−2
−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン等の
非プロトン性極性溶媒、メタノール、イソプロパノー
ル、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、2
−エトキシエタノール等のアルコール系溶媒を例示する
ことができる。さらには、n−ヘキサン、n−オクタ
ン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、
クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、
1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタ
ン等の水と混和しない有機溶媒も使用できる。有機溶媒
の使用容量は、樹脂Aの重量に対し、0.5〜10(容
量/重量)倍あれば充分である。尚、加水分解反応は、
例えば、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、ク
ラウンエーテル、クリプテート、ポリエチレングリコー
ル類等の相間移動触媒の存在下で実施してもよい。
【0031】加水分解は、通常、約20〜約200℃、
好ましくは、約50〜約150℃で実施される。また、
加水分解は、大気圧下で実施することができるが、減圧
下あるいは加圧下で実施することもできる。尚、加水分
解反応の経過は、例えば、プロトンNMRスペクトル、
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の公知の分
析手段によりモニターすることができるので、反応時間
は、これらの分析手段により決定することができる。長
時間を要して反応させることは、生成物の特性に悪影響
を与えるものではないが、長時間を費やすこと自体、作
業効率、生産効率など低下をもたらすだけである。通
常、加水分解は、通常、約0.5〜約20時間で実施さ
れる。加水分解後、生成するサリチル酸樹脂(以下、樹
脂Bと略記する)は公知の方法により反応系から取り出
すこともでき、また反応系から取り出すことなく引き続
き、つぎの多価金属化合物の反応に使用することもでき
る。
【0032】本発明のサリチル酸樹脂の多価金属塩は、
好ましくは、水難溶性あるいは水不溶性の2価、3価ま
たは4価の金属塩であり、より好ましくは、2価の金属
塩である。2価、3価または4価の金属塩の具体例とし
ては、例えば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリ
ウム、ニッケル、スズ、銅、マンガン、コバルト、チタ
ン、アルミニウム、鉄の塩を挙げることができるが、こ
れらに限定されるものではない。多価金属塩は単独種ま
たは複数種であってもよい。特に好ましくは、亜鉛塩で
ある。
【0033】本発明のサリチル酸樹脂の多価金属塩の製
造方法としては、特に限定されるものではなく、公知の
方法を適用することができる。例えば、樹脂B、または
サリチル酸誘導体としてサリチル酸エステル誘導体を使
用せずに、スチレン誘導体のオリゴマーと反応させて得
られるサリチル酸樹脂(以下、樹脂Cと略記する)と多
価金属化合物(例えば、多価金属の酸化物、水酸化物、
炭酸塩、ケイ酸塩、有機カルボン酸塩など)とを溶融さ
せて製造する方法(溶融法)、あるいは、該サリチル酸
樹脂のアルカリ金属、アミン塩またはアンモニウム塩な
どと、水可溶性の多価金属化合物とを、水存在下、作用
させて製造する方法(複分解法)が適用できる。複分解
法により、本発明のサリチル酸樹脂の多価金属塩を製造
することは好ましいことである。
【0034】溶融法により、本発明のサリチル酸樹脂の
多価金属塩を製造する場合、一般的な方法としては、樹
脂Bまたは樹脂Cと多価金属化合物〔例えば、多価金属
の水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、有機カルボン酸塩(例
えば、酢酸亜鉛、カプロン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、
安息香酸亜鉛)〕を、約100〜約180℃で、約1〜
約5時間、加熱、溶融する方法を挙げることができる。
尚、この際、酢酸アンモニウム、カプロン酸アンモニウ
ム、ステアリン酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム
等の塩基性物質を添加して加熱、溶融を行ってもよい。
【0035】複分解法により、本発明のサリチル酸樹脂
の多価金属塩を製造する場合、一般的な方法としては、
樹脂Bまたは樹脂C中のカルボキシル基に対して、当量
程度のアルカリ金属化合物(例えば、水酸化リチウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム)、あるいはアミン
化合物(例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジメチ
ルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエ
チルアミン、エタノールアミン、イソプロパノールアミ
ン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノ
ール、モルホリン、アンモニア)を水溶液中で作用させ
て、樹脂Bまたは樹脂Cのアルカリ金属塩、アミン塩あ
るいはアンモニウム塩を調製した後、多価金属化合物を
作用させて、水難溶性または水不溶性のサリチル酸樹脂
の多価金属塩として製造される。この際、多価金属化合
物を、樹脂Bまたは樹脂Cのアルカリ金属塩などに加え
てもよく、また、樹脂Bまたは樹脂Cのアルカリ金属塩
などを、多価金属化合物に加えてもよい。さらには、加
熱を行ったり、有機溶媒を共存させてもよい。
【0036】多価金属化合物としては、2価、3価また
は4価の水可溶性の金属化合物が好ましい。多価金属化
合物としては、例えば、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、
硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、塩化亜
鉛、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウ
ム、塩化ニッケル、塩化コバルト、塩化アルミニウム等
の塩化物、酢酸亜鉛、酢酸マンガン等の酢酸塩、硝酸亜
鉛等の硝酸塩等が挙げられる。これらの多価金属化合物
は、単独で使用しても、あるいは複数併用してもよい。
また、多価金属化合物は、固体状態で使用してもよく、
また水溶液として使用してもよい。多価金属化合物の使
用量は、樹脂Bまたは樹脂C中のアルカリ金属塩1当量
に対し、0.8〜1.5当量、好ましくは、1.0〜
1.2当量である。尚、この場合の当量とは、樹脂Bま
たは樹脂C中のアルカリ金属塩1モルに対し、多価金属
塩化合物が、例えば、2価の金属化合物(例えば、硫酸
亜鉛)の場合には、0.5モルの2価の金属化合物が1
当量に相当するものである。
【0037】上述した方法により製造される本発明のサ
リチル酸樹脂の多価金属塩は、樹脂Bまたは樹脂Cと、
多価金属化合物とを作用させて得られる樹脂であり、そ
の組成は、樹脂Bまたは樹脂C以上に一層複雑である。
本発明のサリチル酸樹脂の多価金属塩の分子量は、サリ
チル酸誘導体または/およびスチレン誘導体のオリゴマ
ーの使用量、さらには反応条件などにより、幅広い範囲
で変化するが、感圧記録用の顕色剤として用いる場合、
本発明のサリチル酸樹脂の多価金属塩の重量平均分子量
は、好ましくは、約350〜約2000、より好ましく
は、約400〜約1500である。通常、本発明のサリ
チル酸樹脂の多価金属塩の軟化点は、約60〜約150
℃である。
【0038】本発明のサリチル酸樹脂の多価金属塩を含
有してなる水分散液、および該水分散液を支持体に塗布
して得られる顕色シートについて以下に説明する。本発
明のサリチル酸樹脂の多価金属塩を、例えば、水の存在
下で、複分解法により製造すると、該多価金属塩は、一
般に、短時間の内に、水媒体中に析出してくる。析出し
た多価金属塩は、特殊な装置を使用せずとも、公知の手
段、装置により、水媒体中から容易に濾過、単離するこ
とができる。濾過後は乾燥し、公知の手段、方法により
分散処理し、あるいは濾過後、乾燥工程を経ずとも、分
散処理することにより、サリチル酸樹脂の多価金属塩の
分散液を調製することができる。さらには、濾過工程を
経ずとも、サリチル酸樹脂の多価金属塩が析出している
水媒体を、直接分散処理することにより水分散液を調製
してもよい。また、複分解を水およびサリチル酸樹脂の
多価金属塩を良く溶解する有機溶媒(例えば、トルエ
ン、キシレン等の炭化水素系溶媒、テトラクロロエチレ
ン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系
溶媒など)の存在下で実施した場合には、水およびサリ
チル酸樹脂の多価金属塩を含有した有機溶媒の混合溶液
を、乳化分散後、有機溶媒を除去する方法により、サリ
チル酸樹脂の多価金属塩の水分散液を調製することもで
きる。
【0039】本発明の水分散液を得る方法としては、前
記したように、サリチル酸樹脂の多価金属塩を複分解法
により製造する際に直接水分散液を得る方法の他に、例
えば、サリチル酸樹脂の多価金属塩を、水媒体中で、
分散機として、例えば、ボールミル、アトライター、サ
ンドグラインダー、ペブルミル、コボルミル、ダイノミ
ル、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、アニュ
ラーミルなどを用い、粉砕、分散処理し、水分散液を得
る方法、サリチル酸樹脂の多価金属塩を、有機溶媒に
溶解後、水媒体中で、例えば、超音波分散機、ホモジナ
イザー、ホモミキサー、ラインホモミキサーなどを用
い、乳化分散処理し、有機溶媒を除去して、水分散液を
得る方法が挙げられる。通常、サリチル酸樹脂の多価金
属塩(顕色剤)は、平均粒子径3μm以下、好ましく
は、2μm以下の粒径にまで粉砕、分散する。
【0040】上記の方法において、使用する有機溶媒
としては、水に対する溶解性が小さく、顕色剤の溶解度
が大きく、且つ比較的沸点が低いものが好ましい。係る
有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、エチルベンゼン、1−メチルナフタレンなどの炭
化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラ
クロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1
−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、
1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼ
ン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p
−ジクロロベンゼン、o−クロロトルエン、m−クロロ
トルエン、p−クロロトルエンなどのハロゲン化炭化水
素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶媒、ブ
タノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサ
ノールなどのアルコール系溶媒などを挙げることができ
る。これらの有機溶媒は単独で使用してもよく、あるい
は複数併用してもよい。
【0041】有機溶媒の使用量は、特に制限するもので
はないが、通常、本発明のサリチル酸樹脂の多価金属塩
100重量部に対して、5〜500重量部程度、より好
ましくは、20〜300重量部程度である。尚、この場
合、乳化分散処理は、有機溶媒の沸点以下の温度で実施
され、大気圧下、あるいは加圧下で実施される。分散処
理後は、有機溶媒を留去し、顕色剤の水分散液を得る。
有機溶媒を留去する方法としては、大気圧下、あるいは
減圧下、有機溶媒の沸点以上に加熱し有機溶媒を留去す
ることができる。このようにして得られる顕色剤の水分
散液は、所望に応じて、上述の分散機(例えば、サンド
グラインダー、アニュラーミル)を用いてさらに分散処
理することもできる。
【0042】水媒体中で、分散する際に用いる分散剤と
しては、イオン性または非イオン性の界面活性剤が好ま
しい。分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコー
ル、アルキル変性ポリビニルアルコール、シアノエチル
変性ポリビニルアルコール、エーテル変性ポリビニルア
ルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、アク
リルアミド/アルキルアクリレート共重合体、ポリスチ
レンスルフォン酸のアルカリ金属塩、無水マレイン酸/
イソブチレン共重合体、カルボキシメチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、
デンプンおよびその誘導体、カゼイン、アラビアゴム、
寒天、ゼラチンなどの合成または天然高分子化合物、ア
ルキルベンゼンスルフォン酸のアルカリ金属塩、アルキ
ルナフタレンスルフォン酸のアルカリ金属塩、ジアルキ
ルスルフォコハク酸のアルカリ金属塩、アルキルスルフ
ォン酸のアルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル、多価アルコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
尚、これらの分散剤は単独で使用してもよく、あるいは
複数併用してもよい。分散剤の使用量は、特に制限され
るものではないが、通常、サリチル酸樹脂の多価金属塩
100重量部に対して、1〜30重量部程度である。水
分散液を調製する際に使用する水の使用量に関しては、
特に制限するものではないが、取扱性などを考慮して、
一般に、水分散液中の顕色剤の濃度が、3〜50重量%
程度、より好ましくは、5〜40重量%程度になるよう
な量を使用することが好ましい。
【0043】上述のようにして得られる顕色剤の水分散
液を、支持体上に顕色剤層を形成する塗液として使用す
る場合には、通常、さらにバインダー、顔料などが配合
される。バインダーとしては、特に制限されるものでは
ないが、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、デ
ンプンおよびデンプン誘導体(例えば、酸化デンプ
ン)、アラビアゴム、メチルセルロース、エチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリ
ル酸、スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス、アク
リル酸エステル系ラテックス等のラテックス類などの合
成または天然高分子化合物が挙げられる。バインダーの
使用量は、特に限定されるものではないが、一般に、顕
色剤塗液の全固形分の5〜40重量%程度、好ましく
は、10〜30重量%程度となるように調製する。
【0044】顔料としては、例えば、酸化亜鉛、炭酸亜
鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウ
ム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、タ
ルク、カオリン、活性白土、ケイソウ土、水酸化亜鉛、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、
シリカ等の無機顔料、スチレンマイクロボール、ナイロ
ン粒子、尿素−ホルマリン充填剤、ポリエチレン粒子、
セルロース充填剤、デンプン粒子等の有機顔料を挙げる
ことができる。顔料の使用量は、特に限定されるもので
はないが、一般に、顕色剤塗液の全固形分の30〜90
重量%程度となるように調製する。さらに、この顕色剤
層用の塗液には、所望により、各種添加剤(例えば、紫
外線吸収剤、消泡剤、pH調節剤、粘度調節剤、可塑
剤、有機高分子化合物等)を添加してもよい。
【0045】このようにして調製された顕色シート調製
のための塗液は、公知の方法により、例えば、エアーナ
イフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、サ
イズプレスコーター、カーテンコーター、ショートドウ
ェルコーター等の塗布装置により、支持体(例えば、
紙、プラスチックシート、合成紙、あるいはこれらを組
み合わせた複合シート)上に塗布し、顕色剤層を形成
し、顕色シートを作製することができる。支持体上の顕
色剤層の重量(塗布量)は特に限定されるものではない
が、通常、乾燥重量で、0.5g/m2 以上、好ましく
は、0.5〜10g/m2 である。また、顕色剤層中、
本発明のサリチル樹脂の多価金属塩の割合は、通常、5
重量%以上、好ましくは、5〜70重量%である。
【0046】また、本発明の顕色シートの製造におい
て、本発明のサリチル酸樹脂の多価金属塩は、本発明の
所望の効果を妨げない範囲で、他の公知の顕色剤〔例え
ば、酸性白土、活性白土、アタパルガイト、ベントナイ
ト等の酸性粘土鉱物、フェノール−ホルムアルデヒド樹
脂、フェノール−サリチル酸−ホルムアルデヒド樹脂等
のフェノール系樹脂、フタル酸、サリチル酸、5−シク
ロヘキシルサリチル酸、5−tert−オクチルサリチ
ル酸、5−ノニルサリチル酸、3,5−ジノニルサリチ
ル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、5−
(α−メチルベンジル)サリチル酸、5−フェニルサリ
チル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル
酸、3,5−ジ(α,α−ジメチルベンジル)サリチル
酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸等の芳香族カ
ルボン酸の亜鉛塩などの金属塩〕と併用することもでき
る。
【0047】本発明の顕色シートの形態は、特に限定さ
れるものではないが、例えば、 電子供与性発色性化合物とカプセルオイルを含有する
マイクロカプセルをシートの裏面に塗布した上用シート
と組み合わせて使用する下用シート、 複数枚の複写をするために上用シートと下用シートの
中間に挿入する、シートの表面に顕色剤層を、該シート
の裏面にマイクロカプセル層をそれぞれ設けた中用シー
ト、さらには、 シートの同一面にマイクロカプセルと顕色剤の両者を
塗布した単体複写シート等がある。 尚、上記のマイクロカプセルは、電子供与性発色性化合
物をカプセルオイルに溶解し、該溶液を、例えば、コア
セルベーション法、界面重合法、内部重合法、相分離
法、外部重合法等の公知の各種マイクロカプセル化法に
より製造することができる。
【0048】電子供与性発色性化合物としては、例え
ば、トリアリールメタン系化合物、ジアリールメタン系
化合物、ローダミン−ラクタム系化合物、フルオラン系
化合物、インドリルフタリド系化合物、ピリジン系化合
物、スピロ系化合物、フルオレン系化合物、フェノチア
ジン系化合物など各種公知の化合物が挙げられる。カプ
セルオイルとしては、例えば、綿実油、ヒマシ油、灯
油、パラフィン、塩素化パラフィン、ナフテン油、アル
キル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル
化ナフタレン、ジアリールアルカン、水素化ターフェニ
ル、ジアルキルフタレートなどの各種のオイルを挙げる
ことができる。これらのカプセルオイルは、単独で使用
してもよく、あるいは複数併用してもよい。
【0049】
【実施例】以下、製造例および実施例により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。尚、重量平均分子量は、GPC(ゲルパー
ミェーションクロマトグラフィー)で測定した。また、
軟化点の測定は、JIS−K−2548による環球軟化
点測定装置により測定した値である。
【0050】製造例1 サリチル酸メチル30.4g(0.2モル)、98重量
%硫酸12gをガラス製反応器に装入し、30〜40℃
で、1,3−ジフェニル−1−ブテン62.4g(0.
3モル)を4時間かけて供給した。供給後、同温度で4
時間攪拌した後、水300ml、および20重量%水酸
化ナトリウム水溶液を加え中和した後、95〜100℃
に加熱し、さらに20重量%水酸化ナトリウム水溶液4
4gを加え、同温度で2時間攪拌して加水分解を行っ
た。反応混合物を30℃に冷却後、硫酸亜鉛7水和物
(30g)を含有する水溶液(320ml)に1時間か
けて滴下し、3時間攪拌後、濾過、水洗、乾燥し、無色
のサリチル酸樹脂の亜鉛塩92gを得た。重量平均分子
量は940、軟化点は120℃であった。
【0051】製造例2 サリチル酸24.8g(0.18モル)、サリチル酸メ
チル3.04g(0.02モル)、無水塩化亜鉛2.5
gおよび1,2−ジクロロエタン10mlをガラス製反
応器に装入し、80〜90℃で、1,3−ジフェニル−
1−ブテン62.4g(0.3モル)を2時間かけて供
給した。供給後、同温度で8時間攪拌した。その後、水
500mlを加え、次いで20重量%水酸化ナトリウム
水溶液により中和した後、溶媒を留去した後、95〜1
00℃に加熱し、20重量%水酸化ナトリウム水溶液4
4gを加え、同温度で1時間攪拌して加水分解を行っ
た。反応混合物を20℃に冷却し、硫酸亜鉛7水和物
(29g)を含有する水溶液(320ml)に1時間か
けて滴下し、3時間攪拌後、濾過、水洗、乾燥し、無色
のサリチル酸樹脂の亜鉛塩91gを得た。重量平均分子
量は870、軟化点は118℃であった。
【0052】製造例3 サリチル酸メチル30.4g(0.2モル)、98重量
%硫酸12gをガラス製反応器に装入し、30〜40℃
で、1,3−ジフェニル−1−ブテン83.2g(0.
4モル)を2時間かけて供給した。供給後、同温度で4
時間攪拌した。その後、水500mlを加え、次いで2
0重量%水酸化ナトリウム水溶液により中和した後、9
5〜100℃に加熱し、20重量%水酸化ナトリウム水
溶液44gを加え、さらに同温度で2時間攪拌して加水
分解を行った。希硫酸で中和した後、トルエン300g
を加えた後、有機層を分離し、有機層より溶媒および他
の揮発成分を減圧下で留去し、サリチル酸樹脂92gを
得た。得られたサリチル酸樹脂に2.5重量%水酸化ナ
トリウム水溶液320gを加えた後、該水溶液を、硫酸
亜鉛7水和物(29g)を含有する水溶液(320m
l)に1時間かけて滴下し、3時間攪拌後、濾過、水
洗、乾燥し、無色のサリチル酸樹脂の亜鉛塩101gを
得た。重量平均分子量は1040、軟化点は101℃で
あった。
【0053】製造例4 サリチル酸13.8g(0.1モル)、サリチル酸メチ
ル15.2g(0.1モル)、98重量%硫酸12gを
ガラス製反応器に装入し、40〜50℃で、1,3−ジ
フェニル−1−ブテン62.4g(0.3モル)を4時
間かけて供給した。供給後、同温度で4時間攪拌した。
その後、水300mlを加え、次いで20重量%水酸化
ナトリウム水溶液により中和した後、95〜100℃に
加熱し、その後、20重量%水酸化ナトリウム水溶液4
4gを加え、同温度で2時間攪拌して加水分解を行っ
た。反応混合物を30℃に冷却した後、硫酸亜鉛7水和
物(30g)を含有する水溶液(320ml)に1時間
かけて滴下し、2時間攪拌後、濾過、水洗、乾燥し、無
色のサリチル酸樹脂の亜鉛塩92gを得た。重量平均分
子量は910、軟化点は120℃であった。
【0054】製造例5 3−メチルサリチル酸1.52g(0.01モル)、サ
リチル酸メチル28.9g(0.19モル)、98重量
%硫酸12gをガラス製反応器に装入し、30〜40℃
で、1,3−ジフェニル−1−ブテン50g(0.24
モル)を4時間かけて供給した。供給後、同温度で4時
間攪拌した。その後、水300mlを加え、次いで20
重量%水酸化ナトリウム水溶液により中和した後、95
〜100℃に加熱し、その後、20重量%水酸化ナトリ
ウム水溶液44gを加え、同温度で2時間攪拌して加水
分解を行った。反応混合物を30℃に冷却した後、硫酸
亜鉛7水和物(30g)を含有する水溶液(320m
l)に1時間かけて滴下し、3時間攪拌後、濾過、水
洗、乾燥し,無色のサリチル酸樹脂の亜鉛塩76gを得
た。重量平均分子量は880、軟化点は122℃であっ
た。
【0055】製造例6 サリチル酸メチル30.4g(0.2モル)、98重量
%硫酸12gをガラス製反応器に装入し、30〜40℃
で、1,3−ジ(4’−メチルフェニル)−1−ブテン
56.6g(0.24モル)を2時間かけて供給した。
供給後、同温度で2時間攪拌した。その後、水300m
lを加え、次いで20重量%水酸化ナトリウム水溶液に
より中和した後、95〜100℃に加熱し、その後、2
0重量%水酸化ナトリウム水溶液44gを加え、同温度
で2時間攪拌して加水分解を行った。反応混合物を30
℃に冷却した後、硫酸亜鉛7水和物(29g)を含有す
る水溶液(320ml)に1時間かけて滴下し、3時間
攪拌後、濾過、水洗、乾燥し、無色のサリチル酸樹脂の
亜鉛塩82gを得た。重量平均分子量は860、軟化点
は131℃であった。
【0056】製造例7 5−(1,3−ジフェニルブチル)サリチル酸69.2
g(0.2モル)、無水塩化亜鉛7.0gおよびクロロ
ベンゼン70mlをガラス製反応器に装入し、120〜
130℃で、1,3−ジフェニル−1−ブテン29.2
g(0.14モル)を4時間かけて滴下した。滴下後、
同温度で8時間攪拌した。その後溶媒を留去して、水1
200mlを加えた。次いで、20重量%水酸化ナトリ
ウム水溶液44gを加えた後、反応混合物を30℃に冷
却し、硫酸亜鉛7水和物(30g)を含有する水溶液
(400ml)に1時間かけて滴下し、3時間攪拌後、
濾過、水洗、乾燥し、無色のサリチル酸樹脂の亜鉛塩9
8gを得た。重量平均分子量は920、軟化点は115
℃であった。
【0057】比較製造例1 フェノール94g(1.0モル)にp−トルエンスルホ
ン酸4gを加え、130〜140℃に加熱した。これに
1,3−ジフェニル−1−ブテン41.6g(0.2モ
ル)を2時間かけて滴下し、滴下後、さらに同温度で
0.5時間攪拌した。これに水200mlおよび炭酸水
素ナトリウムを加えた後、水蒸気蒸留により過剰のフェ
ノールを留去した。次いで、残存オイル状物をベンゼン
で抽出し、水洗、乾燥後、ベンゼンを留去して淡黄色の
粘稠物として(1,3−ジフェニルブチル)フェノール
を62g得た。得られた(1,3−ジフェニルブチル)
フェノールと、無水炭酸カリウム200gをオートクレ
ーブに仕込み、炭酸ガスを40kg/cm2 まで圧入し
た。次いで180℃で5時間振とうした後、常圧下で水
400mlとベンゼン400mlを加えて加熱溶解し、
有機層を分離した。有機層を希塩酸と共に振とうして、
カリウム塩を遊離酸とした後、水洗、乾燥し、ベンゼン
を留去して、(1,3−ジフェニルブチル)サリチル酸
68gを得た。得られた生成物34.6g(0.1モ
ル)を、水酸化ナトリウム(4g)を含有する水溶液
(400ml)に溶解し、この溶液を硫酸亜鉛7水和物
(14.6g)を含有する水溶液(1000ml)に加
え、1時間室温で攪拌した後、濾過、水洗、乾燥し、無
色の3−(1,3−ジフェニルブチル)サリチル酸と5
−(1,3−ジフェニルブチル)サリチル酸の混合物の
亜鉛塩を得た。
【0058】比較製造例2 クロロベンゼン60ml中、サリチル酸27.6g
(0.2モル)と濃硫酸1gとの混合物に、約50〜6
0℃でスチレン62.4g(0.6モル)を加えた。そ
の後、130℃で3時間攪拌を行った。この混合物に、
50℃で21.9gの酢酸亜鉛2水和物を加えた。その
後、全ての溶媒を真空蒸留で除き、黄色に着色したサリ
チル酸樹脂の亜鉛塩96.2gを得た。軟化点は45℃
であった。この樹脂の亜鉛塩は、着色しており、さらに
は軟化点が低く、感圧記録用の顕色剤としては実用価値
の低いものであった。
【0059】比較製造例3 サリチル酸メチル15.2g(0.1モル)、98重量
%硫酸3.7gおよび1,2−ジクロロエタン50ml
をガラス製反応容器に装入し、該溶液を攪拌しながら、
該溶液に0〜2℃で、4−メチルスチレン38.4g
(0.3モル)を滴下ロートを用い、6時間かけて供給
した。供給後、同温度でさらに3時間攪拌を行った。5
重量%水酸化ナトリウム水溶液により中和した後、加熱
し、1,2−ジクロロエタンを留去した。さらに、水酸
化ナトリウム(4g)水溶液(100ml)を加えた
後、95℃で6時間加熱、攪拌を行った。該溶液に、水
(300ml)を加えた後、25℃で、硫酸亜鉛7水和
物(14.5g)の水溶液(200ml)を1時間かけ
て滴下した。さらに室温で2時間攪拌した後、濾過、水
洗、乾燥し、無色のサリチル酸樹脂の亜鉛塩53gを得
た。軟化点は112℃であった。
【0060】実施例1〜7および比較例1〜2 製造例1〜7、比較製造例2、比較製造例3で製造した
各サリチル酸樹脂の亜鉛塩を用いて、下記の組成の混合
物を調製した。 サリチル酸樹脂の亜鉛 25g スルホン化ポリスチレンのナトリウム塩 1g 水 60g 上記組成の混合物を、25℃でサンドグライダーで4時
間分散処理を行った。分散時の泡立ちの様子を目視で観
察した。○は泡立ちの少ないことを表し、×は泡立ちが
非常に激しいことを表す。また、分散効率を調べるため
に、4時間分散処理を行った後のサリチル酸樹脂の平均
粒子径を測定した。尚、平均粒子径は、コールターカウ
ンターを用いて測定した。さらに、分散後の分散液を、
50℃で1週間静置した後の分散状態を目視で観察し
た。○はシートに塗布できる程度の分散状態を維持して
いることを表し、×はシートに塗布できない程度に凝集
していることを表す。結果は、第1表(表1)に示し
た。尚、サリチル酸樹脂の亜鉛塩としては、実施例1で
は、製造例1で製造したサリチル酸樹脂の亜鉛を、実施
例2では、製造例2で製造したサリチル酸樹脂の亜鉛
を、実施例3では、製造例3で製造したサリチル酸樹脂
の亜鉛を、実施例4では、製造例4で製造したサリチル
酸樹脂の亜鉛を、実施例5では、製造例5で製造したサ
リチル酸樹脂の亜鉛を、実施例6では、製造例6で製造
したサリチル酸樹脂の亜鉛を、実施例7では、製造例7
で製造したサリチル酸樹脂の亜鉛を、比較例1では、比
較製造例2で製造したサリチル酸樹脂の亜鉛を、比較例
2では、比較製造例3で製造したサリチル酸樹脂の亜鉛
を、それぞれ使用した。
【0061】
【表1】 第1表の結果から、本発明のサリチル酸樹脂の多価金属
塩は、分散時の泡立ちが少なく、容易に微粒子化される
ことが判る。また、分散後の分散液は凝集しにくく、保
存安定性に優れていることが明らかとなった。
【0062】実施例8〜14および比較例3〜4 製造例1〜7で得られたサリチル酸樹脂の亜鉛塩、比較
製造例1で得られたサリチル酸化合物の亜鉛塩および
3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸の亜鉛塩
をそれぞれ顕色剤として用いた感圧記録用顕色シート
を、下記の方法で作製し、下記の評価方法で評価した。
性能評価結果は第2表(表2)に示した。 ・感圧記録用顕色シートの作製方法 下記組成の混合物を、サンドグラインダーで分散させて
水分散液(A)を調製した。 水分散液(A) 顕色剤 25g スルホン化ポリスチレンのナトリウム塩 1g 水 60g 尚、顕色剤としては、実施例8では、製造例1で製造し
たサリチル酸樹脂の亜鉛塩を、実施例9では、製造例2
で製造したサリチル酸樹脂の亜鉛塩を、実施例10で
は、製造例3で製造したサリチル酸樹脂の亜鉛塩を、実
施例11では、製造例4で製造したサリチル酸樹脂の亜
鉛塩を、実施例12では、製造例5で製造したサリチル
酸樹脂の亜鉛塩を、実施例13では、製造例6で製造し
たサリチル酸樹脂の亜鉛塩を、実施例14では、製造例
7で製造したサリチル酸樹脂の亜鉛塩を、比較例3で
は、比較製造例1で製造したサリチル酸化合物の亜鉛塩
を、比較例4では、3,5−ジ(α−メチルベンジル)
サリチル酸の亜鉛塩を、それぞれ使用した。次に上記の
水分散液(A)を用いて下記組成の塗液を調製した。 水分散液(A) 8.0g 軽質炭酸カルシウム 30g 澱粉 0.8g 合成ゴムラテックス 0.8g 水 77.4g この塗液を上質紙(50g/m2 )に乾燥時の塗布量が
5.0g/m2 となるように塗布、乾燥し、顕色シート
(下用シート)を作製した。
【0063】・感圧記録用顕色シートの評価法 (1)発色濃度の測定 発色濃度の測定は、20℃、65%RHの恒温恒湿室内
で実施した。クリスタルバイオレットラクトン(CV
L)を主な電子供与性発色性化合物として含有するマイ
クロカプセルが塗布されている市販の青発色用上用シー
ト〔三菱製紙(株)製、N−40〕と、前記の方法で得
られた感圧記録用顕色シート(下用シート)との両塗布
面を対向させて重ね合わせ、電子タイプライターで打圧
発色させた。打刻後、24時間、同環境下に放置した
後、発色濃度をそれぞれ測定した。発色画像の濃度をΣ
−80色差計を用いて測定し、Y値で表示した。Y値が
小さいほど濃く発色していることを示している。
【0064】(2)発色画像の耐水性試験 上記(1)の方法で発色させた各顕色シートを、20℃
の水中に24時間浸漬した後の発色画像の濃度をΣ−8
0色差計を用いて測定し、Y値で表示した。Y値が小さ
く、かつ試験前の値との差が小さいほど発色画像の耐水
性が良好であることを示している。また、耐水性試験後
の、発色画像を目視により観察した結果も示した。○は
試験前の発色画像が充分に識別できることを表し、×は
発色画像が消失してしまっており、試験前の発色画像が
識別できないことを表している。
【0065】(3)耐摩擦性試験 耐摩擦性試験は、20℃、65%RHの恒温恒湿室内で
実施した。クリスタルバイオレットラクトン(CVL)
を主な電子供与性発色性化合物として含有するマイクロ
カプセルが塗布されている市販の青発色用上用シート
〔三菱製紙(株)製、N−40〕と、前記の方法で得ら
れた感圧記録用顕色シート(下用シート)との両塗布面
を対向させて重ね合わせ、5kg/cm2 の荷重をかけ
た状態で、5回擦り合わせ、感圧記録用顕色シートの発
色汚れの程度を評価した。摩擦汚れの部分の発色画像の
濃度をマクベス反射濃度計で測定した。値が小さいほど
摩擦汚れが少なく、実用上優れた特性であることを表し
ている。
【0066】
【表2】 第2表の結果より、本発明のサリチル酸樹脂の多価金属
塩を顕色剤とする感圧記録用顕色シートは、発色画像の
保存安定性(耐水性)および耐摩擦汚れ性に優れている
ことが判明した。
【0067】
【発明の効果】本発明により、感圧記録用の顕色剤とし
て優れた性能を有するサリチル酸樹脂の多価金属塩を製
造する方法、ならびに顕色シートを提供することが可能
になった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸の存在下、サリチル酸誘導体とスチレ
    ン誘導体のオリゴマーを反応させてサリチル酸樹脂を
    得、該樹脂と多価金属化合物と反応させるサリチル酸樹
    脂の多価金属塩の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の製造方法により得られる
    サリチル酸樹脂の多価金属塩。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のサリチル酸樹脂の多価金
    属塩を含有してなる水分散液。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の水分散液を支持体に塗布
    して得られる顕色シート。
JP7119638A 1994-06-06 1995-05-18 サリチル酸樹脂の多価金属塩、その製造方法および用途 Pending JPH0853536A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005040242A1 (fr) 2003-10-29 2005-05-06 Zonglai Liu Composition de resine a developpant de couleur, emulsion et processus de preparation de celle-ci

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