JPH085351Y2 - 密閉形電動圧縮機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は密閉容器内に圧縮要素と電動要素が配置さ
れた電動圧縮機に関するものである。

［従来の技術］ 第３図は出願人が先に出願した特願平１−246657号明
細書に示された密閉形電動圧縮機を示す断面図であり，
図において，（１）は密閉容器で，圧縮機要素（２）と
電動要素（３）を内部に収納している。（４）は圧縮要
素（２）に連結された駆動軸，（５）は密閉容器（１）
内に固着された固定子，（６）は駆動軸（４）に固着さ
れた回転子，（７），（８）は駆動軸（４）を支持する
主軸受および端軸受，（９）は主軸受（７）と端軸受
（８）とで両端を閉塞するシリンダで，内部の空間を圧
縮室（10）としている。（11）は駆動軸（４）の圧縮要
素（２）側の軸方向に設けられた偏心油穴で，横穴（1
2）を連通している。（13）は駆動軸（３）により駆動
するトロコイドポンプからなる強制給油機構，（14）は
強制給油機構（13）と密閉容器（１）の底部の油溜め部
（15）とを連通する給油穴，（16）は主軸受（７）に凹
設された排油切欠き部，（17）は主軸受（７）に設けら
れた排油切欠き部（16）に連通する排油孔，（18）は排
油孔（17）より密閉容器（１）の外側を通つて密閉容器
（１）の電動要素（３）側と連通する油冷却配管で、こ
の油冷却配管の途中には熱交換機（19）を設けている。

上記のように構成された密閉形電動圧縮機において
は，電動要素（３）により駆動軸（４）が駆動される
と，強制給油機構（13）が動作して，油溜め部（15）の
潤滑油は給油孔（14）から吸い上げられ，偏心油穴（1
1）を通り，横穴（12）を経て各軸受摺動部に給油され
る。潤滑油の一部は，各摺動部を経て油溜め部（15）に
戻るが，強制給油機構（13）から吐出される潤滑油の多
くは，排油切欠き部（16）にたまり，排油孔（17）及び
油冷却配管（18）を通つて，密閉容器（１）外へ排出さ
れる。

排出された潤滑油は，油冷却配管（18）を通る間に，
自然対流及び強制対流による放熱作用を受けて冷却され
る。冷却された潤滑油は，密閉容器（１）の電動要素
（３）側の油溜め部（15）へ戻される。したがつて，こ
の冷却された潤滑油により電動要素（３）等の主要熱ク
発生部が冷却される。

［考案が解決しようとする課題］ 従来の密閉形電動圧縮機は以上のように構成されてお
り，圧力条件によつては圧縮要素および給油機構より気
泡を発生し，この気泡が主軸受と駆動軸との間に入り込
んで抜けなくなつてしまう場合があるため，潤滑油は主
軸受と駆動軸との間に入り込めず，主軸受の潤滑特性が
急激に低下し，焼き付き事故が発生するという問題点が
あつた。

この考案は上記のような問題点を解消するためになさ
れたもので，主軸受と駆動軸との間に気泡が入つた場
合，潤滑油冷却特性の低下をまねくことなく，効率よく
気泡を排出できる密閉形電動圧縮機を得ることを目的と
する。

［課題を解決するための手段］ この考案に係る密閉形電動圧縮機は，駆動軸一回転中
の一部区間のみ排油切欠き部から主軸受と回転子との間
の空間とを連通する溝を駆動軸に設けたものである。

［作用］ この考案における密閉形電動圧縮機は，駆動軸一回転
中の一部区間のみ排油切欠き部から主軸受と回転子との
間の空間とを連通する溝を駆動軸に設けたことにより，
主軸受と駆動軸との間に入り込んだ気泡を電動要素側に
排出し，潤滑油を駆動軸の溝へ間欠的に給油する。

［実施例］ 以下，この考案の一実施例を図について説明する。第
１図，第２図において，（4a）は駆動軸（４）に設けら
れた溝で，駆動軸（４）一回転中の一部区間のみの排油
切欠き部（16）から主軸受（７）と回転子（６）の間の
空間とを連通するようにしている。

次に動作について説明する。主軸受（７）に給油され
る潤滑の一部は，排油切欠き部（16）から駆動軸の溝
（4a）へ導かれ，主軸受（７）を潤滑し，油溜め部（1
5）に戻される。この時，圧縮機要素（２）および給油
機構より発生し，主軸受（７）と駆動軸（４）との間に
入り込んだ気泡は，駆動軸の溝（4a）を通つて効率よく
電動要素（３）側に排出される。

また，主軸受（７）に給油される上記以外の潤滑油
は，排油切欠き部（16）から排油孔（17）および油冷却
配管（18）を通つて，密閉容器（１）外で冷却されたの
ちに密閉容器（１）の電動要素（３）側の油溜め部（1
5）に戻される。

［考案の効果］ 以上のように，この考案によれば，駆動軸一回転中の
一部区間のみ排油切り欠き部を設け、この排油切り欠き
部から主軸受と回転子との間の空間とを連通する溝を駆
動軸に設け，主軸受と駆動軸との間に入り込んだ気泡を
電動要素側に排出し，潤滑油を駆動軸の溝へ間欠的に給
油するように構成したので、潤滑油冷却特性の低下をま
ねくことなく，効率よく気泡を排出でき，主軸受の焼き
付き事故を防止できる信頼性の高いものが得られる効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例による密閉形電動圧縮機を
示す断面図，第２図は第１図の駆動軸と主軸受を示す要
部斜視図，第３図は従来の密閉形電動圧縮機を示す断面
図である。 （１）は密閉容器，（２）は圧縮要素，（３）は電動要
素，（４）は駆動軸，（4a）は溝，（６）は回転子，
（７）は主軸受，（15）は油溜め部，（16）は排油切欠
き部，（18）は油冷却配管。 なお，図中，同一符号は同一，または相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】密閉容器内に電動要素と、前記電動要素と
   連結された駆動軸によって駆動する圧縮要素を収納し、
   前記密閉容器内の油溜め部の潤滑油を各軸受摺動面に供
   給したのち、前記密閉容器外の油冷却配管を通って前記
   電動要素側の前記油溜め部に戻る給油機構を有する密閉
   形電動圧縮機において、前記駆動軸一回転中の一部区間
   のみ排油切り欠き部を設け、前記排油切り欠き部から主
   軸受と回転子との間の空間とを連通する溝を前記駆動軸
   に設けたことを特徴とする密閉形電動圧縮機。