JPH0851993A - 生理活性物質の製造法 - Google Patents

生理活性物質の製造法

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JPH0851993A
JPH0851993A JP6271895A JP27189594A JPH0851993A JP H0851993 A JPH0851993 A JP H0851993A JP 6271895 A JP6271895 A JP 6271895A JP 27189594 A JP27189594 A JP 27189594A JP H0851993 A JPH0851993 A JP H0851993A
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一昭 北野
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靖 新谷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】生理活性物質の効率良い製造法を提供する。 【構成】ポリエチレングリコールまたは/およびポリビ
ニルアルコールと低密度リポ蛋白質とを含有する動物細
胞増殖用培地で、生理活性物質を産生する動物細胞を培
養し、培養物中にこれを生成蓄積せしめ、採取する。 【効果】本発明方法によれば、生理活性物質を産生する
動物細胞が効率よく増殖するため、該生理活性物質を効
率よく生産することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動物細胞を培養する生
理活性物質の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】動物細胞を大量に効率よく培養する技術
は、新しい有用な生理活性物質の探索や生産に、さらに
遺伝子操作技術を施した細胞を用いる生理活性物質生産
に必須の技術として、種々の方向からの研究が進められ
ている。従来動物細胞の培養には、血清を約10%程度
添加した培地が主として用いられ、とりわけ牛胎児血清
(FCS)含有培地が賞用されて来た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、血清は
非常に高価であり、かつ原因不明のロット差があるた
め、細胞を大量に培養するには問題が多い。さらに血清
には多種類の異種蛋白質が含まれるため、生産される有
用物質を培養液から回収精製する際にも不都合が生ず
る。これらの不都合を解消しようとして、血清を含まな
い培地(無血清培地)が種々開発されて来たが、一般に
汎用性が低く、増殖性および生理活性物質生産性の面で
も血清含有培地に比べると必ずしも十分なものとはいえ
ない。
【0004】いずれにしても従来知られている培地は、
細胞培養によって有用物質を大量に効率よく得るために
は必ずしも十分満足できるものではなかった。 そこ
で、本発明者らは、ポリエチレングリコールを添加した
動物細胞増殖用組成物により動物細胞を培養すると、動
物細胞が著しく増殖され、またこれにより、産生される
生理活性物質の量が増大される旨の発明を行なった(特
願昭61−128112号)。また、ポリビニールアル
コールまたはこれとポリエチレングリコールとを添加し
た動物細胞増殖用組成物により動物細胞を培養すると、
動物細胞が著しく増殖され、またこれにより、産生され
る生理活性物質の量が増大される旨の発明を行なった
(特願昭61−227190号)。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、さらに種
々研究を重ねたところ、ポリエチレングリコールまたは
/およびポリビニールアルコールにさらに低密度リポ蛋
白質を添加すると、血清無添加の状態でも動物細胞の増
殖が著しく促進され、またこれにより、産生される生理
活性物質の量が増大され、しかも動物細胞に対する汎用
性が高まることを見い出し、これに基づいてさらに研究
した結果、本発明を完成した。本発明は、(1)ポリエ
チレングリコールまたは/およびポリビニールアルコー
ルと低密度リポ蛋白質とを含有する動物細胞増殖用培地
で、生理活性物質を産生する動物細胞を培養し、培養物
中にこれを生成蓄積せしめ、採取することを特徴とする
生理活性物質の製造法、および、(2)動物細胞増殖用
培地が血清を含まない培地である上記(1)1記載の製
造法に関するものである。
【0006】本明細書においては、ポリエチレングリコ
ール,ポリビニールアルコールおよび低密度リポ蛋白質
をそれぞれPEG,PVAおよびLDLと略記すること
もある。
【0007】本発明の組成物は、基礎培地,ポリエチレ
ングリコールまたは/およびポリビニールアルコールと
低密度リポ蛋白質とからなる。該基礎培地としては、動
物細胞の培養に用いることのできるものであればいずれ
のものでもよい。 本発明に用いられる基礎培地として
は、たとえば市販されている各種基礎培地〔たとえば、
イーグルの最小必須培地(MEM)(サイエンス(Sc
ience)130巻 432頁 1959年),イー
グルの基礎培地(BME)(プロシーデイングス・オブ
・ザ・ソサイエティ・フォア・エキスペリメンタル・バ
イオロジー・アンド・メディスン(Proceedin
gs of the Society for Exp
erimental Biology and Med
icine)89巻 362頁 1965年),ダルベ
ッコ改変イーグル培地(DME)(バイロロジー(Vi
rology)8巻 396頁 1959年),イスコ
フ改変ダルベツコ培地(IMDM)(ザ・ジャーナル・
オブ・エキスペリメンタル・メディスン(The Jo
urnal ofExperimental Medi
cine)147巻 923頁 1978年),L−1
5培地(アメリカン・ジャーナル・オブ・ハイジーン
(American Journal of Hygi
ene)78巻 173頁 1963年),マッコイ5
a培地(プロシーデイングス・オブ・ザ・ソサイエティ
・フォア・エキスペリメンタル・バイオロジー・アンド
・メディスン100巻 115頁 1959年),ハム
F12培地(プロシーデイングス・オブ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンス・ユー・エス・エー(P
roceedingsof National Aca
demy of Science,USA)53巻
288頁 1965年),RPMI 1640培地(ジ
ャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシ
エーシヨン(Journal of the Amer
ican Medical Association)
199巻519頁 1967年)など〕あるいはこれら
を混合した培地が挙げられる。さらに該基礎培地にそれ
ぞれの細胞の増殖に必須な因子(補助増殖因子)たとえ
ばホルモン類(たとえばインスリン,トランスフェリ
ン,ステロイドホルモンなど),蛋白性増殖因子〔たと
えば上皮細胞増殖因子(EGF),血小板由来増殖因子
(PDGF),繊維芽細胞増殖因子(FGF)など〕,
重金属類(たとえば亜セレン酸ナトリウムなど)やリン
脂質(たとえばエタノールアミン,ホスファチジルエタ
ノールアミンなど)を必要により添加した無血清培地が
挙げられる。
【0008】さらに、これらに通常の使用量またはそれ
以下の血清代替物質〔たとえばGFS(第2回次世代産
業基盤技術シンポジウム−バイオテクノロジー予講集1
61頁,1984年),NU−シーラム(コラボレーテ
イブリサーチ社製),シーラムプラス(KCバイオロジ
カルズ社製)など〕が添加された培地や、通常の使用量
以下の血清〔たとえば牛胎児血清(FCS),新生子牛
血清,仔牛血清,ブタ血清,ヤギ血清,ニワトリ血清な
ど〕を添加した培地でもよい。また市販の無血清培地
〔たとえばハイブリティー1(日本薬品開発製),HB
−102(ハナ・メディア社製),HL−1(ベントレ
ット社製)など〕を基礎培地として用いてもよく、市販
の基礎培地に準じてアミノ酸などの濃度を最適化した培
地を作成して用いてもよい。
【0009】本発明で用いられるポリエチレングリコー
ルは、〔−CHCHO−〕n(nは重合度を表
す。)の構造を持つ高重合体であり、重合分子量が約1
000以上のものが好ましく、なかでも約2,000な
いし20,000のものが好ましく、さらに約4,00
0,約6,000,約20,000のものが好ましい。
本発明で用いられるポリエチレングリコールの量は、使
用時の濃度が約10%W/V)以下となる量が好まし
い。なおここにおいて、「以下」は「0」を含まないこ
とを示す。また、ポリエチレングリコールの量として
は、使用時の濃度が、より好ましくは約0.001ない
し10%(W/V)、さらに好ましくは約0.01ない
し2%(W/V)となる量である。また、本発明で用い
られるポリビニールアルコールは、〔−CHCH(O
H)−〕n’は(n’は重合度を表す。)の構造を持つ
高重合体であり、平均重合度が約500ないし2,00
0のものが好ましく、なかでも約500のもの,1,5
00〜1,800のものが好ましい。本発明で用いられ
るポリビニールアルコールの量は、使用時において約
0.001ないし10%(W/V)が好ましく,なかで
も約0.01ないし3%(W/V)となる量がより好ま
しい。ポリエチレングリコールとポリビニールアルコー
ルは単独で使用しても良いし、両者を同時に使用しても
良い。両者を同時に使用する場合、その混合比はEGを
1とした場合、PVAは約0.01〜100(重量比)
となるのが好ましく、なかでも約0.1〜10(重量
比)となるように混合するのがより好ましい。
【0010】本発明で用いられる低密度リポ蛋白質は、
動物の血しょうから分離される比重1.019ないし
1.063、分子量(2.2ないし2.3)×10
直径19〜25nmの粒子を形成するリポ蛋白質で、脂
質,糖および蛋白質からなり、生体内では細胞へコレス
テロールを供給する役割を荷っている。 本発明におい
ては、市販のLDL(例、ヒトLDL,ウシLDL等)
を用いてもよいし、例えばセル・カルチュアー・メソッ
ド・フォー・モルキュラー・アンド・セル・バイオロジ
ー(Cell Culture Methods fo
r Molecular and Cell Biol
ogy,Alan R.Liss,Inc.,New
York)1巻69頁1984年に記載の方法,以下の
参考例に示す方法などにより、動物(例、ウシ,ブタ
等)の血清から調整したLDLを用いてもよいが、参考
例に示す方法により調整したLDLがとりわけ好都合に
用いられる。本発明で用いられるLDLの量としては、
使用時の濃度が、約0.01ないし1000μg/ml
となるのが好ましく、なかでも約0.05ないし500
μg/mlとなるのがより好ましく、さらに好ましくは
約0.5ないし100μg/mlとなる量である。なお
本明細書において、LDLの量はLDLが含有する蛋白
質量として表す。PEGまたは/およびPVAとLDL
とは、あらかじめ組成物中に混合されていても良いし、
培地として使用する際に混入しても良い。
【0011】本発明の動物細胞増殖用組成物は、固体状
態のものおよび水溶液であるもののいずれでもよい。固
体状態のものは、それをたとえば水に溶解あるいは懸濁
して用いられる。また、該組成物を動物細胞増殖用の培
地として用いることができるが、培地として用いる場合
には、血清を含まない培地としても良く、さらに、通常
の使用量以下の血清を含む培地としても良い。ここで、
通常の使用量としては、たとえば約10%(V/V)が
挙げられる。本発明の組成物を培地として用いる場合に
は、通常の使用量またはそれ以下の血清代替物を含む培
地としてもよい。ここで、通常の使用量としては、たと
えば、GFSの場合は約3〜4g/L(蛋白質として)
であり、NU−シーラムの場合は約 10%(V/V)
であり、シーラムプラスの場合は約10%(V/V)で
ある。
【0012】本発明方法によって培養される動物細胞と
しては、特に限定されない。その例としては、たとえば
ヒト,マウス,ラット,ウシ,ハムスターなどの哺乳動
物由来のリンパ系細胞(例、正常リンパ球,ミエローマ
細胞,B−リンパ芽球様細胞,Tリンパ性白血病細胞な
ど),各種ハイブリドーマ(例、マウスハイブリドー
マ,マウス・ヒトヘテロハイブリドーマ,ヒトハイブリ
ドーマなど),正常2倍体細胞(例、繊維芽細胞な
ど),その他の種々の接着依存性細胞などを挙げること
が出来る。
【0013】より具体的には、ヒトリンパ系細胞として
は、Namalva(ATCC CRL1432)(イ
ンターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー(I
nternational Journal of c
ancer)12巻 396頁 1973年),Raj
i(ATCC CCL86)(ランセット(Lance
t)1巻 238頁 1964年),EB−3(ATC
C CCL85)(ランセット1巻 252頁 196
4年),WI−L2(キャンサー(Cancer)22
巻 517頁 1968年),Daudi(ATCC
CCL213)(キャンサー・リサーチ(Cancer
Research)28巻 1300頁 1968
年),RPMI 8226(ATCC CCL155)
(プロシーデイングス・オブ・ザ・ソサイエティ・フォ
ア・エキスペリメンタル・バイオロジー・アンド・メデ
ィスン 125巻 1246頁1967年),CCRF
−CEM(ATCC CCL119)(キャンサー 1
8巻 522頁 1965年),RPMI 1788
(ATCC CCL156)(ジャーナル・オブ・ザ・
ナショナル・キャンサー・インスティチュート(ユナイ
ティド・ステーツ)(Journal of the
National Cancer Institute
(United States))43巻 1119頁
1969年),CRCF−SB(ATCC CCL1
20)(キャンサー・リサーチ 27巻2479頁 1
967年),Jurkat(イムノジェネティクス(I
mmunogenetics)10巻 247頁 19
80年)などが、マウスリンパ系細胞としては、たとえ
ば、MPC−11(ATCC CCL167)(ザ・ジ
ャーナル・オブ・エキスペリメンタル・メディスン13
1巻 515頁 1970年),NS−1(ATCC
TIB18(ユーロピアン・ジャーナル・オブ・イムノ
ロジー(European Journal of I
mmunology)6巻 511頁 1976年),
P3X63Ag8U・1(P3U1)(ATCC CR
L1597)(カレント・トピックス・オブ・マイクロ
バイオロジー・アンド・イムノロジー(Current
Topics of Microbiology a
nd Immunology)81巻 1頁 1978
年)などが、ハイブリドーマとしては、たとえばマウス
ハイブリドーマCEA(第2回次世代産業基盤技術シン
ポジウム−バイオテクノロジー 予稿集 175頁 昭
和59年),HS−II(同上),E235I63(ハ
イブリドーマ(Hybridoma)4巻 47頁 1
985年),マウス・ヒト・ヒトヘテロハイブリドーマ
N12−16・63(第2回次世代産業基盤技術シンポ
ジウム−バイオテクノロジー 予稿集 175頁 昭和
59年),およびN12−16・63から誘導された高
産生株(N12−16・63・49・19,N12−1
6・63・49・19・69など)(第3回次世代産業
基盤技術シンポジウム−バイオテクノロジー 予稿集
155頁 昭和60年),I12−22・25(バイオ
ケミカル・アンド・バイオフイジカル・リサーチ・コミ
ュニケーション(Biochemical and B
iophysical Research Commu
nication)129巻 26頁 1985年),
HBIII−43・1(同上)ヒトBハイブリドーマW
471−7.24(IFO 50094)などが、接着
依存性細胞としては、たとえばFL(ATCC CCL
62)(プロシーデイングス・オブ・ザ・ソサイエティ
・フォア・エキスペリメンタル・バイオロジー・アンド
・メディスン 94巻532頁 1957年),HeL
a(ATCC CCL2)(キャンサー・リサーチ 1
2巻 264頁 1952年),Wish(ATCC
CCL25)(エキスペリメンタル・セル・リサーチ
(Experimental Cell Resear
ch)23巻 14頁 1961年),CHO−K1
(ATCC CCL61)(ザ・ジャーナル・オブ・エ
キスペリメンタル・メディスン 108巻 945頁
1958年),L細胞(ATCC CCL1)(ジャー
ナル・オブ・ナショナル・キャンサー・インスチチュー
ト・ユー・エス・エー 9巻 229頁 1948年)
などがそれぞれ挙げられる。上記ヒトBハイブリドーマ
W471−7.24は日本特願昭61−227191号
に記載の方法で得られ、昭和61年8月20日から財団
法人発酵研究所(IFC)にIFO 50094として
寄託されている。
【0014】本発明の生理活性物質の製造法において用
いられる生理活性物質を生産する動物細胞としては、た
とえば、マウスモノクローナル抗体を産生するCEA,
HS−II,E235163など、ヒトモノクローナル
抗体を産生するN12−16・63およびその変異株,
I12−22・25,HBIII−43・1W471−
7.24などが、白血球インターフェロンを産生するN
amalva細胞、インターロイキン−2を産生するJ
urkat細胞,遺伝子組換え細胞(マウスL−IL−
213−3細胞,ヒトFL−IL385−6細胞,ハム
スターC−IL485−14細胞(特開昭61−632
82号公報参照)など)などが挙げられる。本発明方法
の培養には通常培養に用いられる容器または装置が用い
られる。たとえば浮遊細胞の場合には、マルチウエルプ
レート,培養フラスコ,スピナーフラスコ,ジャーファ
ーメンター,ファーメンターなどが用いられ、さらにホ
ローファイバー培養装置,セラミックマトリックスを用
いた培養装置さらにマイクロカプセル培養法などが適宜
採用される。接着依存性細胞の場合には、マルチウエル
プレート,培養フラスコ,ローラーボトル,マイクロキ
ャリアー培養法,ホローファイバー培養法,セラミック
マトリックス培養法などが用いられる。
【0015】本発明の培養は、用いられる動物細胞の培
養に適した条件が採用される。一般的には、培養温度約
37℃前後で、pH約6.5ないし7.5で、数日ない
し3か月培養される。たとえば、本発明の培地に通常
0.1ないし5×10個/mlの細胞を播種し、マル
チウエルプレートやフラスコの場合には約37℃,5%
炭酸ガス培養器(炭酸ガス濃度5%の培養器)中でpH
約6.5ないし7.5で約1ないし20日間培養され
る。ジャーファーメンターやファーメンターなどでは通
気攪拌培養が行われる。またこれらの培養槽やホローフ
ァイバー,セラミックマトリックス,マイクロカプセル
などを用いた培養においては培地を回分的,または連続
的に交換することにより生理活性物質の生産性を向上さ
せることができる。連続潅流培養の場合には1ないし数
ケ月(約3か月)も続ける場合がある。また、必要によ
り通気される。培養液から細胞を採取するには、たとえ
ば、浮遊細胞の場合は、培養液を直遠心分離機やろ過機
にかけて集める。接着依存性細胞の場合にはたとえば、
0.1mg/mlのEDTAおよび1.25mg/ml
のトリプシンを添加して、37℃,1ないし2分反応さ
せて細胞を分散させたのち、遠心分離またはろ過によっ
て集める。
【0016】細胞培養によって生産される生理活性物質
は、その物質が培養液中に蓄積される場合、ろ過または
遠心分離によって上澄液を得、これから採取される。ま
た細胞内に蓄積される物質の場合には、ろ過または遠心
分離によって得た細胞を物理的方法(例、超音波,フレ
ンチプレス,ダイノミルなど)または化学的方法(例、
塩酸グアニジン等)にて処理し、生産物を抽出したの
ち、上澄液を得る。上記上澄液から生理活性物質を分
離,精製するには自体公知の分離,精製法を適宜組み合
わせて行うことができる。たとえば生理活性物質が蛋白
質またはペプチドの場合には、塩析や溶媒沈澱法などの
溶解度を利用する方法,透析法,限外ろ過法,ゲルろ過
法,SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの
主として分子量の差を利用する方法,イオン交換クロマ
トグラフィーなどの荷電の差を利用する方法,アフィニ
ティクロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する
方法,逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の
差を利用する方法,等電点電気泳動などの等電点の差を
利用する方法などが適用される。本発明の方法に従って
増殖させた動物細胞は、たとえばこれにウイルスを感染
させてワクチンの製造に利用したり、各種リンフォカイ
ン類(例、インターフェロン,インターロイキン−2な
ど),各種増殖因子類(例、上皮細胞増殖因子,繊維芽
細胞増殖因子など),各種ホルモン類(例, ヒト成長
ホルモン,インスリンなど),各種酵素類(例、ウロキ
ナーゼ,組織プラスミノーゲン活性化因子など)や各種
モノクローナル抗体(例、マウスモノクローナル抗体,
ヒトモノクローナル抗体など)などの生理活性物質の生
産に利用される。また遺伝子操作によって特定の遺伝子
を導入した細胞を用いることにより該物質を効率よく生
産させることができる。また本発明の方法に従って増殖
し、集めた細胞を直接に、人工皮膚や人工器官(例、膵
臓ベータ島細胞や、肝細胞など)として利用することも
できる。本発明方法により、動物細胞を効率良く増殖さ
せることができるので、動物細胞を工業的に大量に増殖
させる方法として有利に用いることができる。本発明方
法において、生理活性物質を生産する動物細胞を培養し
た場合には、該細胞が効率良く増殖されるので、生理活
性物質を効率良く生産することができ、工業生産上有利
である。
【0017】
【実施例】以下に参考例および実施例を挙げて本発明を
更に具体的に説明する。PEGおよびPVAの添加%は
W/V%を表す。また、LDLの添加量はLDLが含有
する蛋白質量として表している。なお、実施例で用いた
ヒトLDLは、シグマ社製の市販のLDLであり、ブタ
LDLは参考例1に示す方法で製造されたものである。
【0018】参考例1 ブタ血清1Lを5mMEDTAと1MNaClを添加し
た10mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.2)に対して
透析したのち、同じ緩衝液で平衡化したシバクロン・ブ
ルーF3G−A(バイオラッド社製)カラム(2.5c
mφ×18cm)へ通液した。同じ緩衝液で十分洗滌し
たのち、この緩衝液に0.5MNaSCNを添加した溶
出液300mlで溶出した。活性画分を集め、低比重液
(0.15MNaCl,d=1.006)を添加して比
重をd=1.019に調整したのち、35000rpm
で30時間遠心分離した。底部層約100mlを集め
て、これに高比重液(d=1.346,NaCl 15
3.0gとKBr354.0gとを水に溶かして1Lと
したもの)を添加して比重をd=1.069に調整した
のち、超遠心分離機(35000rpm,30分,4
℃)にかけて、LDL層(最上層)約10ml(蛋白質
として約10.6mgのLDLを含む)を得た。
【0019】参考例2 IMDM,ハムF12およびL−15培地を1:1:2
の比率で混合した培地に、2mg/Lインスリン,2m
g/Lトランスフェリン,2×10−6Mエタノールア
ミン,2.5×10−8M亜セレン酸ナトリウム(4つ
合せてITESと称する。)を添加し、これにPEG2
0,000(平均分子量20,000)を0.1%添加
した培地と、無添加の培地とを用意し、それぞれ24穴
マルチウエルプレートへ1ml宛分注した。この各穴
へ、第1図に示す各種濃度のヒトLDL(シグマ社製)
を添加したのち、マウス・ヒト−ヒトヘテロハイブリド
ーマN12−16・63・49・19株の細胞を1×1
個/mlになるように播種し、5%炭酸ガス培養器
中で37℃,3日間培養後、コールターカウンターにて
細胞数を測定した。結果を第1図に示す。第1図におい
て、−○−はヒトLDLのみを添加した場合、−●−は
ヒトLDLと0.1%PEG20,000とを同時に添
加した場合の細胞数を示す。
【0020】第1図から明らかなように、0.1%PE
Gと至適濃度(3.12ないし25μg/ml)のヒト
LDLとを添加すると、0.1%PEGのみあるいは至
適濃度のヒトLDLのみを添加した場合に比べて、細胞
増殖は著しく促進された。
【0021】参考例3 参考例2におけるヒトLDLの代りに、参考例に従って
調整したブタLDLを各種濃度添加し、実施例1と同一
条件下で実施して細胞数を測定した。結果は第2図に示
す。第2図において、−○−はブタLDLのみを添加し
た場合、−●−はブタLDLと0.1%PEG20,0
00とを同時に添加した場合の細胞数を示す。
【0022】第2図から明らかなように、0.1%PE
Gと至適濃度(0.36ないし200g/ml)のブタ
LDLとを添加すると、0.1%PEGのみあるいは至
適濃度のブタLDLのみを添加した場合に比べて、細胞
増殖は著しく促進された。
【0023】第1図,第2図を比較すると、参考例1に
示す方法により調整したブタLDLは、市販のヒトLD
L(シグマ社製)に比べて、PEGとの相乗効果が大き
く、かつ広い濃度域で安定した増殖を示すことが明らか
である。
【0024】参考例4 参考例2と同じ基礎培地にITESを添加した培地
(1)、更にこれに0.1%PEG20,000を添加
した培地(2)、培地(1)に0.1%PVA(平均重
合度500)を添加した培地(3)、培地(1)に0.
05%PEG20,000と0.05%PVA(平均重
合度500)とを添加した培地(4)、およびその各々
に参考例に従って調製したブタLDL10μg/mlを
添加した培地(5)ないし(8)を用意し、これらを2
4穴マルチウエルプレートへ1ml宛分注した。これに
表1に示す各種細胞を1×10個/mlの割合で播種
し、37℃,5%炭酸ガス培養器中で3日間培養したの
ち、コールターカウンターで細胞数を計数し、表1の結
果を得た。
【表1】 表1の結果から、PEGまたは/およびPVAとLDL
とを添加すると、各種細胞に対して幅広く細胞増殖を示
すことが明らかである。
【0025】参考例5 参考例2と同じ基礎培地にITESを添加した培地
(1)、更にこれに0.1%PEG20,000を添加
した培地(2)、培地(1)に0.1%PVA(平均重
合度500)を添加した培地(3)、培地(1)に0.
05%PEG20,000と0.05%PVA(平均重
合度500)とを添加した培地(4)、およびその各々
に参考例に従って調製したヒトLDL10μg/mlを
添加した培地(5)ないし(8)を用意し、これらを2
4穴マルチウエルプレートへ1ml宛分注した。これに
表2に示す各種細胞を1×10個/mlの割合で播種
し、37℃,5%炭酸ガス培養器中で3日間培養したの
ち、コールターカウンターで細胞数を計数し、表2の結
果を得た。
【表2】 表2の結果から、PEGまたは/およびPVAとLDL
とを添加すると、各種細胞に対して幅広く細胞増殖を示
すことが明らかである。
【0026】実施例1 参考例2と同じ基礎培地にITESを添加し、更にこれ
に0.1%PEG20,000を添加した培地(1)、
10μg/mlヒトLDLを添加した培地(2),0.
1%PEG20,000と10μg/mlヒトLDLと
を添加した培地(3)を用意し、これらをそれぞれ10
0mlスピナーフラスコへ仕込み、これにマウス・ヒト
−ヒトヘテロハイブリドーマN12−16・63・49
・19・69株を1×10個/mlになるように添加
し、回転数25rpm,37℃にて6日間培養し、細胞
数および抗体産生量を測定した。結果を表3に示す。
【表3】 上記培地(3)の培養液上清1Lに硫酸アンモニウムを
添加して0〜45%飽和で沈澱する画分を集め、5mM
EDTAを含む5mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.
5)に対して透析し、生じる沈澱を集め、5mMEDT
Aと0.5MNaClとを添加した50mMトリス・塩
酸緩衝液(pH8.0)3.2mlに溶解させたのち、
同じ緩衝液で平衡化したセファクリルS−300ゲルカ
ラム(約100ml)にかけ、活性画分を集めたとこ
ろ、約13mgの抗破傷風トキソイドヒトIgMが得ら
れた。
【0027】参考例6 参考例2と同じ基礎培地にITESを添加した培地,さ
らにこれに0.25%PEG20,000を添加した培
地を用意し、これを24穴マルチウエルプレートへ1m
l宛それぞれ分注した。これらに、それぞれW471−
7.24細胞(IFO 50094)を1×10個/
mlの割合で播種し、37℃,5%炭酸ガス培養器中で
5日間培養したのちコールターカウンターで細胞数を計
数し、表4の結果を得た。
【表4】
【発明の効果】本発明の動物細胞増殖用組成物で生理活
性物質を生産する動物細胞を培養すると、該細胞が大量
に効率良く増殖されるので、生理活性物質を効率よく生
産させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた各種濃度ヒトLDLの添加
効果を示す。
【図2】第2図は、実施例2で得られた各種濃度ブタL
DLの添加効果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレングリコールまたは/およびポ
    リビニールアルコールと低密度リポ蛋白質とを含有する
    動物細胞増殖用培地で、生理活性物質を産生する動物細
    胞を培養し、培養物中にこれを生成蓄積せしめ、採取す
    ることを特徴とする生理活性物質の製造法。
  2. 【請求項2】動物細胞増殖用培地が血清を含まない培地
    である請求項1記載の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114317355A (zh) * 2021-12-30 2022-04-12 华东师范大学 一种提高蛋白质谷氨酰胺酶酶活的发酵培养基

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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