JPH0851974A - マレック病ウイルスワクチン - Google Patents

マレック病ウイルスワクチン

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JPH0851974A
JPH0851974A JP7179164A JP17916495A JPH0851974A JP H0851974 A JPH0851974 A JP H0851974A JP 7179164 A JP7179164 A JP 7179164A JP 17916495 A JP17916495 A JP 17916495A JP H0851974 A JPH0851974 A JP H0851974A
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virus
marek
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vaccine
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JP7179164A
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William Baxendale
ウイリアム・バクセンデイル
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Akzo Nobel NV
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マレック病ウイルス(MDV)の新規株、該
新規株を含むマレック病(MD)に対する家禽の防御用
ワクチン、及び該ワクチンの製造方法を提供する。 【解決手段】 超音波処理により感染細胞から放出した
際に、細胞含有ウイルス力価に比較した無細胞ウイルス
力価の低下が100分の1以内であるマレック病ウイル
ス血清型Iの弱毒株。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマレック病ウイルス
(MDV)の新規株、及び該新規株を含むマレック病
(MD)に対する家禽の防御用ワクチンに関する。本発
明は更に前記ワクチンの製造方法にも関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】マレッ
ク病は、ヘルペスウイルスの1種であるマレック病ウイ
ルスの感染に起因する悪性リンパ増殖性家禽疾患であ
る。MDは遍在性であり、世界中の家禽生産国に発生し
ている。原因ウイルスは高伝染性であり、感受性ニワト
リに容易に蔓延する。集約生産系で飼育されているニワ
トリは不可避的にMDによる損害を蒙る。
【0003】MDは約6週齢以降、最も多くの場合には
12〜24週齢のニワトリに罹病する。
【0004】古典的MD、急性MD及び一過性麻痺の3
種類のMDが臨床的に認められている。
【0005】古典的MDはリンパ球浸潤及び脱髄に起因
する末梢神経肥大を特徴とし、麻痺が主要な臨床徴候で
ある。死亡率は不定であるが、一般に10〜15%以下
である。
【0006】急性形態では内臓臓器に多発散在リンパ腫
が発生する。この形態のMDの死亡率は一般に古典型よ
りも高い。ワクチン接種しない集団における発生率は通
常は10〜30%であり、発病が集団の70%に達する
場合もある。古典的及び急性MDの両者における病変は
ほぼ同一であり、悪性変換したTリンパ芽球が増殖し、
古典的形態の場合には末梢神経で、急性形態の場合には
内臓臓器で正常組織に浸潤する。
【0007】更に、MDVは突発性麻痺を特徴とする幼
ニワトリの脳炎を誘発することが示されている。
【0008】ニワトリに検出されるMD関連ウイルスに
は3種の異なる血清型が存在し、タイプIはニワトリの
疾患の原因となる病原性且つ腫瘍原性の形態であり、高
毒性および低毒性形態と該形態から誘導される弱毒非病
原性株があり、タイプIIはMDVの非病原性且つ非腫
瘍原性の株であり、タイプIIIはニワトリに対して非
病原性のシチメンチョウヘルペスウイルス(HVT)で
ある。
【0009】数種の実用マレック病ワクチンが開発され
ており、今日広く使用されている。最も初期のMDワク
チンの1種は、元々シチメンチョウから単離された血清
型IIIウイルスから構成されるものであった(Wit
terら,Am.J.Vet.Res.,31,525
−538,(1970))。HVTはMDに対するワク
チンとして広く使用されている。HVTは一般に細胞含
有調製物(cell−associated prep
aration)として使用されているが、感染細胞か
ら実質的な量の無細胞ウイルスを抽出することができ、
無細胞ワクチンは米国特許第3,647,861号に記
載されている。
【0010】血清型II MDウイルスは天然に存在す
る非腫瘍原性ウイルスであり、従って、ワクチン接種し
たニワトリに腫瘍を誘発する虞れがない。従って、これ
らのウイルスは連続継代により人為的に弱毒化する必要
がなく、天然状態にあるため、毒性形態に復帰しない。
SB−1株(米国特許第4,160,024号)は最初
は細胞含有調製物として投与された。このようなワクチ
ンは実際に約−196℃の液体窒素中で貯蔵及び輸送す
る必要がある。この血清型II株は単独では防御性が低
いことが判明しており、2種のウイルスを併用すると単
独よりも防御性が高いので、通常は2価ワクチンとして
HVTと混合投与される。この現象は「防御相乗作用」
と呼称される。
【0011】ヨーロッパ特許出願第90 314297
号はSB−1の無細胞形態を含むワクチンを記載してい
る。無細胞形態でもSB−1株は単独ではさほど防御性
が高くないので、HVTと混合投与されている。
【0012】弱毒血清型I MDVを含むワクチンは数
種のものが開発されており、今日使用されている。
【0013】例えば国際公開第85/04588号は、
親ウイルスMDV CV1−988に由来する弱毒株を
記載している。この文献に記載されているワクチン調製
物はいずれもウイルスを細胞含有形態で含むものであっ
た。
【0014】米国特許出願第7/723,037号は弱
毒復帰血清型I MDワクチンを記載している。このワ
クチンで使用されている株は無細胞ウイルスを生じな
い。
【0015】このように、従来の全ての血清型Iワクチ
ンは細胞含有調製物として投与しなければならなかった
ため、液体窒素中で貯蔵及び輸送しなければならないと
いう欠点があった。ワクチンを適正に貯蔵又は取り扱わ
ないと、ウイルスの生育力が低下し、その結果、ワクチ
ン接種することができなくなる。液体窒素貯蔵を実施又
は使用できない国では、細胞含有MDワクチンを使用す
ることは不可能である。
【0016】更に、細胞含有調製物に懸濁されたMDV
を含む粒子はワクチンが沈殿し易いため、投与前に懸濁
液を均質化する必要がある。均質化が不十分であると、
ワクチン用量が不正確になり、ワクチン接種することが
できなくなる。更に、前記ワクチンは厳密に細胞含有種
であるため、物理的損耗の影響を受け易い。回収及び凍
結手順が最適でなかったり、孵卵場でのアンプルの融解
やワクチンの取り扱いが適正でないために感染細胞が損
傷すると、細胞の損傷や死滅を生じ、その結果、ワクチ
ン力価が低下する。
【0017】畜種がMDウイルスに自然暴露される結果
として及び/又は畜種に血清型I、II及びIIIウイ
ルスをワクチン接種する結果として、商業用ヒナドリに
は全MDウイルス血清型に対する母性由来抗体(MD
A)が遍在する。このようなMDAは子孫に伝達され、
ワクチン接種の効力を低下させる。
【0018】血清型I及びII MDVに対するMDA
を抑制することは不可能であるが、HVTを含まないM
DVワクチンを畜種集団に接種することにより血清型I
IIMDV(即ちHVT)に対するMDAを抑制するこ
とができ、その結果、HVTを含む1価、2価又は多価
ワクチンを接種したときに、その子孫をより良好に防御
することができる。このようなワクチン接種戦略は“交
替世代(alternate generatio
n)”ワクチン接種と言われる。しかしながら、液体窒
素貯蔵及び輸送設備を使用できない国では、使用可能な
唯一の凍結乾燥MDVワクチンはHVTを含有している
ので、この交替世代ワクチン接種を実施するのは不可能
である。従って、凍結乾燥血清型I MDVワクチンが
必要とされている。
【0019】血清型I MDウイルスに関する初期研究
によると、pfu(プラーク形成単位)として測定した
無細胞ウイルスの量はワクチン接種の目的に有用である
ためには不十分な力価であった(米国特許第4,89
5,718号; Witter,R.L.ら,Avia
n Diseases 31,829, 1987;P
owell,P.C., World’s Poult
ry ScienceJournal 42,205,
1986; Schat,K.A., Intern
ews 3,13, 1989)。
【0020】
【課題を解決するための手段】ヒナドリ細胞培養で連続
継代により弱毒化後に大量の無細胞ウイルスを産生し、
従来使用されているどの血清型I MDVよりも高防御
性である血清型I MDVの新規株が発見された。その
結果、凍結乾燥血清型I MDVワクチンを製造するこ
とが可能になった。この株は、細胞含有時であっても、
現在入手可能な最良のMDV血清型Iワクチンよりも高
防御性であることが判明した。
【0021】本発明の1態様によって提供されるマレッ
ク病ウイルス血清型Iの新規弱毒株は、超音波処理によ
り感染細胞から放出された際に無細胞ウイルス力価(c
ell−free virus titre)が細胞含
有ウイルス力価(cell−associated v
irus titre)に比較して低下するが、その低
下した力価は最低でも細胞含有ウイルス力価の100分
の1である。
【0022】好ましくは、弱毒株は無細胞ウイルス力価
の低下が50分の1まで、最も好ましくは10分の1ま
でである。当然のことながら、超音波処理後に無細胞ウ
イルス力価は細胞含有ウイルス力価に比較して低下しな
いことが望ましい。
【0023】本発明のMDV血清型Iの弱毒無細胞株
は、ブダペスト条約に基づき、1994年6月24日付
けで英国、Porton Downに所在のEurop
eanCollection of Animal C
ell Culturesに寄託し、受託番号V940
62211を付された。
【0024】本発明のMDV血清型Iの株の1種である
MR22は、1971年に現場での集団から採取したバ
フィーコート細胞からのヒナドリ胚腎細胞培養で単離し
た。その後、SPF(特定病原体を含まない)卵から調
製したヒナドリ胚繊維芽細胞(CEF)細胞培養で18
代継代した。この単離株を二次CEF細胞で更に2代継
代した後、S.P.G.A.安定剤の存在下で感染細胞
を超音波処理することにより無細胞調製物を作成した
(Bovarnikら,J.Bact., 59,50
9, 1950)。
【0025】上記のように得たMR22株は、モノクロ
ーナル抗体2092及び4859とは反応したが、血清
型II及びIIIウイルスと反応するモノクローナル抗
体とは反応しなかったことから、MDV血清型Iウイル
スであることが判明した。これらの抗体は、Lee,
L.F., J.Immunology,130,10
03−1006,(1983)及びSilvaとLe
e, Virology,136,307−320,
(1984)に記載されているように調製及び使用し
た。表1は、特異的モノクローナル抗体に対する種々の
MDV株/血清型を使用した蛍光抗体試験の結果を示
す。
【0026】
【表1】
【0027】表2は、感染ヒナドリ胚繊維芽細胞を安定
剤SPGAの存在下で超音波処理した際に得られる無細
胞MR22ウイルスの量が他の利用可能な血清型I株よ
りも著しく多いことを示す。
【0028】
【表2】
【0029】MR22株を更にニワトリで継代した後、
ウイルスを単離し、CEFで2代継代した後、ウイルス
を無細胞ウイルスとしてニワトリで継代した。再単離
後、ウイルスをCEF(=MSV、マスターシードウイ
ルス)で更に6代継代した。ウイルスが大量の無細胞ウ
イルスを放出する能力を別々の実験で数回試験した。
【0030】
【表3】
【0031】大量の無細胞ウイルスを生じる別のMDV
血清型I株は、80年代の中頃に英国で健常集団から単
離された株であるVictoria 10である。この
ウイルスをニワトリ腎細胞(CK)で10代、CEFで
18代継代した。無細胞ウイルス収率の変化を以下に示
す。
【0032】
【表4】
【0033】MR22、Victoria 10又はそ
の他のMDV血清型I株はこのように大量の無細胞ウイ
ルスを生じるので、凍結乾燥ワクチン製剤を製造するこ
とができ、ワクチンを液体窒素中で貯蔵及び輸送する必
要がないという利点がある。これまでに凍結乾燥血清型
I MDVワクチンの製造は成功していなかった。
【0034】ワクチン製造の目的でMR22株を増殖さ
せるには、CEF細胞を播種した回転培養物に上記のよ
うにして得た細胞含有又は無細胞ウイルスを接種する。
数日間のインキュベーション期間後、上清培地を廃棄
し、トリプシン−ベルセン混合物で細胞を剥がした後、
細胞を遠心分離により沈殿させ、上清を廃棄する。
【0035】無細胞ウイルスを調製するには、沈殿した
細胞を緩衝液、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)
又は好ましくは、安定剤、最適にはSPGAを含有する
媒質に懸濁する。
【0036】細胞破壊は数種の方法で実施することがで
き、例えば超音波処理又は凍結融解を用いる。無傷の細
胞の存在は、血球計で検査することにより決定すること
ができる。超音波処理又は迅速凍結した調製物をバイア
ルに充填した後、EDTAの任意存在下で凍結乾燥す
る。場合により、凍結乾燥前に細胞破片を濾過又は遠心
分離により除去する。
【0037】上記方法により得られた無細胞血清型I
MDVを生又は不活化ウイルスとしてワクチンに組み込
む。
【0038】生ウイルスを含有するワクチンを懸濁液形
態で製造及び市販してもよいし、凍結乾燥してもよい。
【0039】凍結乾燥ワクチンは好ましくは1種以上の
安定剤を含有する。適切な安定剤としては例えばSPG
A、炭水化物(例えばソルビトール、マンニトール、澱
粉、デキストラン又はグルコース)、タンパク質(例え
ばアルブミン又はカゼイン)又はその分解産物、及び緩
衝剤(例えばアルカリ金属リン酸塩)が挙げられる。所
望に応じて、アジュバント活性をもつ1種以上の化合物
をも、添加できる。この目的に適切な化合物としては、
ビタミンE酢酸o/wエマルジョン、水酸化アルミニウ
ム、リン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、鉱油(例
えばBayolF及びMarcol 52[登録商
標])及びサポニンが挙げられる。
【0040】当然のことながら、本明細書中に特定する
MDV血清型I株、特にMR22株はMDVワクチン中
で細胞含有形態で活性成分として使用することができ
る。生又は不活化ワクチンであるこのようなワクチン
は、常法に従って製造することができる。
【0041】MDウイルスの不活化の目的は、ウイルス
の増殖を阻止することである。一般に、これは化学的又
は物理的手段により達せられる。化学的不活化は、ウイ
ルスを例えば酵素、ホルムアルデヒド、β−プロピオラ
クトン、エチレン−イミン又はその誘導体、有機溶媒
(例えばTween、Triton[登録商標]、デオ
キシコール酸ナトリウム、スルホベタイン又はセチルト
リメチルアンモニウム塩)で処理することにより実施す
ることができる。必要に応じてその後、不活化物質を中
和する。ホルムアルデヒドで不活化した材料は例えばチ
オ硫酸塩で中和することができる。物理的不活化は、高
エネルギー輻射、例えば紫外線、X線又はγ線をウイル
スに照射することにより実施すると好ましい。所望によ
り、処理後にpHを約7に戻す。
【0042】通常は、上記から選択されるアジュバント
と、所望によりTween及びSpan(登録商標)等
の1種以上の乳化剤も不活化ウイルス材料に添加する。
【0043】ワクチンの投与量は、有効用量のウイルス
剤、即ち、毒性MDウイルス攻撃に対する免疫をニワト
リで誘発するような量の免疫感作無細胞ウイルス材料を
投与するように選択する。免疫とは、ワクチン接種後の
ニワトリ集団に非ワクチン接種群と比較して著しく高い
レベルの防御を誘発することとして定義される。
【0044】生ワクチンでは、ヒナドリ1羽当たりの用
量は1〜6log10pfuである。
【0045】典型的には、本発明の生ワクチンの投与用
量は少なくとも2.2log10pfu無細胞ウイルス、
好ましくは少なくとも2.7log10pfu無細胞ウイ
ルス、より好ましくは少なくとも3.2log10pfu
である。
【0046】自然投与経路、例えばスプレー、点眼剤及
び点鼻剤の場合には、投与用量はヒナドリ1羽当たり1
6〜107pfuである。
【0047】不活化ワクチンはニワトリ用量当たり3〜
7log10pfu、好ましくは4〜6log10pfuの
抗原当量を含有し得る。
【0048】本発明のワクチンは高力価スプレー、点眼
剤、点鼻剤、経口経路(例えば飲料水に混入)、筋肉内
注射、皮下注射又は、ニワトリが免疫能力を獲得した後
の任意時期に卵内注射するなどの方法で投与することが
できる。一般に、ワクチンは孵化後24〜48時間のヒ
ナドリに投与する。
【0049】本発明の別の態様は、無細胞MDV血清型
Iと無細胞HVTとの2価ワクチンとしての組み合わせ
である。驚くべきことに、継代数の増加にも拘わらず、
無細胞MDV血清型IはHVTの効力を増加し得ること
が判明した。
【0050】特に、MR22株の無細胞血清型I MD
Vを無細胞HVTと併用する。本発明のワクチンに組み
込むHVTウイルスは任意の入手可能な株であり、例え
ばFC126又はTHV PB1(Intervet
Inc.の市販品)である。任意に、別の家禽病原体の
抗原をコードする外来遺伝子をHVTウイルスのウイル
スゲノムに挿入し、多価ワクチンを形成してもよい。
【0051】本発明の更に別の態様は、無細胞MDV血
清型Iと無細胞MDV血清型IIの2価ワクチンとして
の組み合わせ、又は無細胞MDV血清型Iと無細胞MD
V血清型II及び無細胞HVTとの3価ワクチンとして
の組み合わせである。好ましくは、SB−1株又はHP
RS B−24株をMDV血清型II株として使用す
る。MDV血清型II株を遺伝子操作して別の家禽病原
体の抗原を組み込んでもよい。
【0052】本発明は更に、無細胞血清型I MDウイ
ルス材料に加えて他の家禽感染性病原体に由来するワク
チンを含む混合ワクチンも包含する。無細胞血清型I
MDVは、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、感染
性気管支炎ウイルス(IBV)及び感染性滑液嚢病ウイ
ルス(IBDV)からなる群から選択されるワクチンウ
イルスと混合投与することができる。
【0053】
【実施例】実施例1 A.血清型I MDウイルスMR22の継代 ヒナドリ胚腎細胞培養でMR22を最初に単離後、ヒナ
ドリ胚繊維芽細胞(CEF)細胞培養で継代した。
【0054】直径6cmのFalconペトリ皿で成長
させた24時間齢SPF由来CEF細胞培養物に細胞含
有MR22ウイルスを接種した(1.5×10CEF/
皿)。
【0055】少なくとも100pfuを含む接種材料
0.1mlをプレート上の組織培養培地5mlに接種
し、細胞含有ウイルスを単層上で静置培養し、それらに
感染させる。
【0056】5%CO雰囲気下で38.5℃で5日間イ
ンキュベーション後、1.培地を排出し、2.トリプシ
ンベルセンPBS溶液を加えてペトリ皿への細胞の結合
を弱め、3.細胞がペトリ皿から離れる前にトリプシン
/ベルセンPBS混合物を廃棄し、4.細胞を成長培地
で皿から洗い流すことにより、細胞を皿から取り出し
た。
【0057】段階4から得た細胞含有ウイルスの懸濁液
をCEF細胞での次代継代の接種材料として使用した。
ウイルスを上述のように18代継代した。
【0058】B.MR22無細胞血清型I MDワクチ
ンの製造 200×10個のCEF細胞を播種した2つの回転培養
管(1750cm)内の培地に、上記方法により得た細
胞含有MR22シードウイルス1mlを接種し、24時
間インキュベーション後、力価は約10pfu/mlで
あった。
【0059】更に5日間インキュベーション後、上清培
地を廃棄し、細胞をトリプシンベルセン混合物で剥がし
た。細胞を遠心分離により沈殿させ、上清を廃棄し、細
胞をSPGA安定剤20mlと混合した後、20秒間超
音波処理した。
【0060】超音波処理した調製物の1ml分注液をバ
イアルに充填し、凍結乾燥した。凍結乾燥前の力価は1
4・7pfu/ml、凍結乾燥後の力価は104・5pfu
/mlであった。
【0061】実施例2 無細胞マレック病ワクチンの効力比較 1日齢SPFヒナドリを各群30羽ずつに分けて負圧ア
イソレーターに入れ、ヒナドリ1羽当たり0.1mlを
筋肉内注射することにより、各群に下記ワクチン又は混
合ワクチン: A)用量200pfu/羽のSB1(オランダ国、Bo
xmeerに所在のIntervetの市販品である無
細胞タイプIIワクチンMR30株)、 B)用量200pfu/羽のMR22(無細胞タイプI
ワクチン)、 C)用量1000pfu/羽のHVT(Interve
tの市販品である無細胞タイプIIIワクチン株PB−
1)と用量200pfu/羽のSB1(Interve
tの市販品である無細胞タイプIIワクチンMR30
株)、 D)用量1000pfu/羽のHVT(Interve
tの市販品である無細胞タイプIIIワクチン株PB−
1)と用量200pfu/羽のMR22のうちの1種を
接種した。
【0062】ワクチン接種後7日目に1羽当たり0.1
mlを筋肉内注射することにより、全群及びSPFヒナ
ドリ30羽からなる別の群を用量250pfu/羽の毒
性RB1Bマレック病ウイルスで攻撃した。
【0063】91日目の実験終了までヒナドリを観察し
た。死亡したヒナドリを解剖し、死亡原因を確定した。
実験終了後に生存している全ニワトリを殺して解剖し
た。
【0064】実験終了までにMDで死亡したヒナドリの
数から明らかなように、攻撃は重度であった(図1参
照)。全対照ヒナドリは56日までに死亡し、その90
%はマレック病が原因であり、10%は非特異的原因で
あった。SB1ワクチンを単独投与した群で生存し続け
ているニワトリは63日目に許容不能なMDレベルを示
し始めたのでその全てを殺し、13.3%はその時点ま
でにMDで死亡していた。
【0065】この実験から明らかなように、MR22を
無細胞状態で単独投与又はHVTと混合投与すると、重
度マレック病攻撃に対して十分に防御することができ
る。
【0066】実施例3 MR22+HVTワクチンとRispens+HVTに
より誘発される免疫の比較 1.HVT細胞含有ワクチン(株FC126−Inte
rvet)、2.Rispens細胞含有ワクチン(株
CVI988−Intervet)、3.MR22細胞
含有ワクチンのウイルス株を使用した。
【0067】1日齢ヒナドリ約40羽の数群を負圧アイ
ソレーターに入れ、下記細胞含有混合ワクチンの1種を
接種した。ヒナドリは血清型I、II及びIIIに対す
る母性由来抗体を有することが判明した(MDA陽
性)。
【0068】A群 この群のヒナドリには0.1mlを筋肉内注射すること
によりHVT1000pfu及びRispens100
0pfuを接種した。
【0069】B群 この群のヒナドリには0.1mlを筋肉内注射すること
によりHVT1000pfu及びMR22 1000p
fuを接種した。
【0070】5日目にA及びB群と5日齢非ワクチン接
種ヒナドリ40羽からなる対照群とを攻撃した。全ヒナ
ドリに細胞含有形態の毒性マレック病ウイルスRB1B
500pfuを筋肉内投与した。全ニワトリを12週
間観察した。MDの徴候を示す全ニワトリを殺し、他の
死亡したニワトリと共に解剖して死亡原因を確定した。
必要に応じて組織の組織学的試験を実施した。実験終了
後に全ニワトリを殺して解剖し、MD病変の存在を確認
した。
【0071】対照非ワクチン接種ヒナドリにおけるMD
の発生率は非常に高かった(表5及び図2参照)。2種
のワクチン接種群で高レベルの免疫が明白であり、B群
のほうがこの毒性攻撃に対して良好な防御を示した。
【0072】
【表5】
【0073】以上の結果から明らかなように、細胞含有
形態のMR22+HVTは、RB1B MDVの重度攻
撃に対して現在最良の市販ワクチンであるRispen
s+HVTよりも良好に防御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】RB1B攻撃に対する無細胞マレック病ワクチ
ンの効力の比較を示す。
【図2】Mabを有するニワトリにおけるTHV+Ri
spens又はTHV+MR22の効力比較を示す。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波処理により感染細胞から放出され
    た際に無細胞ウイルス力価が最大で細胞含有ウイルス力
    価の100分の1まで低下することになるマレック病ウ
    イルス血清型Iの弱毒株。
  2. 【請求項2】 無細胞ウイルス力価が最大で50分の1
    まで低下する請求項1に記載の弱毒株。
  3. 【請求項3】 無細胞ウイルス力価が最大で10分の1
    まで低下する請求項1に記載の弱毒株。
  4. 【請求項4】 細胞含有形態である請求項1に記載の弱
    毒株。
  5. 【請求項5】 英国、Porton Downに所在の
    European Collection of An
    imal Cell Culturesに受託番号V9
    4062211で寄託されたマレック病ウイルス血清型
    Iの株であることを特徴とする請求項4に記載の弱毒
    株。
  6. 【請求項6】 無細胞形態である請求項1に記載の弱毒
    株。
  7. 【請求項7】 英国、Porton Downに所在の
    European Collection of An
    imal Cell Culturesに受託番号V9
    4062211で寄託されたマレック病ウイルス血清型
    Iの弱毒無細胞株。
  8. 【請求項8】 請求項1から7のいずれか一項に記載の
    弱毒マレック病ウイルス血清型Iと医薬的に許容可能な
    キャリヤーとを含むことを特徴とするマレック病に対す
    る家禽の防御用ワクチン。
  9. 【請求項9】 無細胞HVTを更に含むことを特徴とす
    る請求項8に記載のワクチン。
  10. 【請求項10】 無細胞MDV血清型IIを更に含むこ
    とを特徴とする請求項8又は9に記載のワクチン。
  11. 【請求項11】 他の家禽感染性病原体に由来する抗原
    を更に含むことを特徴とする請求項8から10のいずれ
    か一項に記載のワクチン。
  12. 【請求項12】 凍結乾燥してあることを特徴とする請
    求項8から11のいずれか一項に記載のワクチン。
  13. 【請求項13】 (a)有効な免疫感作用量を調製する
    ために必要な十分量の無細胞ウイルスが得られるような
    細胞培養で血清型Iマレック病ウイルスを増殖させる段
    階と、(b)細胞を破壊する段階と、(c)次いで無細
    胞ウイルスを収集する段階と、(d)段階(c)から得
    た材料に、i.遠心分離及び/又は濾過による清澄化、
    ii.緩衝剤添加、iii.安定剤添加、iv.バイア
    ルへの材料充填、v.凍結乾燥のうちの少なくとも1種
    の処理を施す段階とを含む、マレック病から家禽を防御
    するワクチンの製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項8から12のいずれか一項に記
    載のワクチンをニワトリに投与することからなる、家禽
    におけるマレック病の防御方法。
JP7179164A 1994-07-14 1995-07-14 マレック病ウイルスワクチン Pending JPH0851974A (ja)

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NZ272548A (en) 1996-09-25
KR960004513A (ja) 1996-02-23
HUT72921A (en) 1996-06-28
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