JPH08511701A - 椎間板人工装具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 剛強上部板（１）と、剛強下部板（２）と、これ等上部板と下部板との間に設置されこれ等の対応する板にそれぞれ一体になる上面と下面とを有する弾性パッド（３）とを具える椎間板人工装具である。この椎間板人工装具は椎間板の空間の表面の最大で半分をカバーする椎間板部分を有する。

Description

【発明の詳細な説明】 椎間板人工装具 本発明は下部の背骨の欠陥がある椎間板の代わりになるように設計され、人間 が使用する内部人工装具、また特に、腰の区域、及び腰仙骨区域に使用する人工 装具に関するものである。 骨関節の外科学における一般の基本的な関心事は、可能ならば何時でも、骨関 節組織の２つの機能（支持機能と移動機能）を保持するため、病変部を修復し、 できるだけその悪化を防止することにある。 現在、脊髄柱に外科学を適用する最も多い原因は背椎間の支持組織の機械的な 劣化であり、その最も重要なものは椎間板である。 この劣化の進行は次の２つの有害な結果を招く。 第１に、痛みがあり、脊髄柱自身の移動能力が制限されること、 第２に、機械的な圧迫によって脊髄管内に含まれる神経系組織を劣化させ、そ れが周縁の欠陥を引き起こすことである。 従って、背椎外科学はこれ等の場合に３つの目的を満足させるように試みてい る。即ち １）背椎間組織の支持機能の回復。 ２）これ等の組織の移動機能の回復。 ３）神経系組織の圧迫のため、完全性が悪影響を受けていた神経系組織の釈放 。 しかし、現在の外科技術では、脊髄柱の特殊な解剖学的形態に起因し、単一手 術法を使用して、これ等３つの目的を満足させることは不可能である。 即ち、第１に、後部外科アプローチによってのみ、神経系病変部を満足に治療 できるに過ぎない。この場合、欠陥があるままの椎間板に一時的軽減処置を行う に過ぎなく、又は骨移植片に椎骨を融合させ、椎間板を完全に除去し得るが、支 持機能は得られても、移動機能は永久に失われる。 第２に、今日まで、椎間板を移動可能な人工装具によって置き換える唯一の方 法は前部外科アプローチを使用することであるが、これでは、同時に上述の後部 神経系病変部を満足に治療することは通常不可能である。 現在既知の椎間板人工装具は全体として単一片椎間板交換ができるが、前部ア プローチによってのみ技術的に可能である。 更に、現在の椎間板人工装具は動きを制約するものであり、空間内の３平面内 での希望する全ての移動を可能にするために、及び椎間行程での生理学的機能に とって必要な上記移動の結合を可能にするために必要な全ての機械的性質を有し ていない。 例えば、２個の剛強板の間に設置した可撓性挿入部片を含む椎間板人工装具の 概念は数十年前に導入されている（フランス特許第1122634号参照）。 更に、これ等の欠点を解消するため、Arthur D．STEFFEE M．D．博士は、支持 機能と、全ての生理学的な椎間板移動とを同時に回復し得る機械的構造を有する 人工装具を設計した（ヨーロッパ特許第0392076号参照）。この人工装具は顕著 な改良であった。 しかし、この装具は前部外科アプローチによって設置され得るに過ぎず、単一 部片としての椎間板の完全な交換のために設計されたものに過ぎない。現在、我 々の知る限り、この製品は外科医にまだ採用されていない。 本発明椎間板人工装具はこれ等の欠点を解消することができる。半分の椎間板 を人工装具部分によって置き換えることができるように、本発明椎間板人工装具 は適切な構造、形状、寸法に設計されている。 これにより、単一の後部外科アプローチにおいて、また全体の椎間板を交換す るため、可能なら２個の対称な人工装具を使用して単一手術において、上述の３ つの目的（支持機能の回復、移動機能の回復、及び神経系組織の釈放）を達成す ることが可能である。 従って、本発明は上部剛強板と、下部剛強板と、これ等上部板と下部板との間 に設置されこれ等の対応する板にそれぞれ固着される上面と下面とを有する弾性 クッションとを具える椎間板人工装具に関するものである。 本発明椎間板人工装具は椎間板の半分より大きくない大きさに相当し椎間板の 一部を形成する少なくとも１個の人工装具部分から成ることを特徴とする。 好適な実施例では、それぞれ半分の人工装具を形成する２個の人工装具部分か ら椎間板人工装具が形成される。 この人工装具は脊髄管を通じて後部アプローチによって挿入することができ、 このことが外科治療の実際における主要な利点である。 寸法を適切に選択すれば、椎間板人工装具を設置する時、２個の半部椎間板人 工装具を使用する機械的不利益はなく、正確に位置決めすれば、２個の連続する 半部人工装具を同時に作用させることができ、単一片椎間板ユニットに機械的に 相当する椎間板を形成することができる。 更に、或るケースでは、単一の半部人工装具を使用するのが好適な場合があり 、このケースでは、他の半分の生来の椎間板の状態がなお満足な機能を達成でき ると考えられる場合には、半分の生来の椎間板を保存し、しかもいかなる場合で も、この生来の椎間板が半部人工装具によって助けられるのである。 このことが実行できると思われる時、手術を簡単化することができる。 一部を半部椎間板人工装具で置き換えることは、特に次のように表すことがで きる。 即ち、椎間板が一側に押されて、椎間板が非対称に悪化した場合。 更に、椎間板に若干の捩じり変形を生じた場合。この場合は１個のレベル、又 は１個以上のレベルで半部人工装具を正しく使用し、機能を保持しながら、椎骨 の曲率を再平衡させることができる。 本発明椎間板人工装具は次のような有効な特性を有するが、組み合わせが技術 的に可能であることによってこれ等の特性は組み合わされる。 その特性は、その球状平行六面体の形状と、適切な寸法とによって脊髄管を通 じて後部アプローチにより外科的に挿入することができること。 板は生物学的に適合する材料で作られ、ほぼ長方形であること。 人工装具を設置後、特定の方向に人工装具が移動するのを防止するよう、正確 に指向する突条形のリリーフを板の外面に有すること。 突条パターンの間の板の外面が粗く、鋭利な端縁を板の外面が有するから、人 工装具を外科的に移植中、人工装具を加える椎骨の表面から骨の復帰を可能にす ること。 板の端縁が各側部において厚みの範囲内で丸みを帯びていること。 板に引出し切欠が形成されていること。 クッションが積層複合弾性材料であり、又はシリコーン、又はポリオレフィン 系の生成物で作られていることである。 生じる各病的ケースに応じて、椎間板の完全な交換は必ずしも対称に行われな いが、必要な時は、手術の行程で、考えられる椎間板の空間の右側に１個、左側 に他の１個のように２個の半部椎間板人工装具を対称に挿入することによって、 交換を容易にすることができる。 添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。 図１は本発明人工装具の全体を前側から見た３／４斜視図である。 図２は後部骨、靭帯、神経系組織を省略し、２個の椎骨体間の所定位置にある 本発明人工装具を通る縦断面図である。 上部金属板１と、下部金属板２とは整形外科学の分野で既に試験済みの、生体 に対し適合する金属で構成されている。 これ等金属板が放射線不透過性であることが手術後に人工装具の位置と状態と を監視するための主要な利点である。 特定の一実施例では、これ等金属板をチタンで作るが、チタンは放射線不透過 性であり、核磁気共鳴試験を実施するのにも適合しており、特に有効である。核 磁気共鳴試験に適合しているチタンは、手術後、脊髄内管探索を必要とする時、 非常に有用である。 これ等金属板の周縁面が単一片として鋳造されるなら、有利である。これによ り、次の２つの利点を生ずる。即ち、 表面の粗さ４が骨の組織の復帰を促進すること。 更に、われわれが「非後退突条」と称している突条リリーフ構造５を有するが 、前側から後側への人工装具の二次移動、言い換えれば、椎間空間から椎骨管、 及びその中に含まれる神経系組織の方向への人工装具の移動を防止するような方 向を突条リリーフ構造５が指向していることである。 これ等金属板の２個の表面の性質は、第１に、人工装具を設置中に、直ちにグ リップすることにより、第２に、最終的に骨の復帰によって、人工装具が所定位 置にある時、この人工装具の安定性に寄与する。 添付図面は金属板の表面上に分散された、各金属板上の２個の突条の３組を示 しているが、本発明はこの例に限定されない。 しかし、第１突条が位置している線が金属板の後部端縁から距離ｄにあり、こ れにより、椎骨体間に人工装具を最初に位置決めするため使用する特殊な支持装 置の使用を可能にする。距離ｄが７ｍｍであれば満足な結果が得られる。 また、この板は、例えば、形態学的に同一の特性を有し、生物に対して適合す る炭素黒鉛複合材料で構成することもできる。 更に、剛強板１、２は前面に丸みを付けた端縁１１、２１、及び丸みを付けた 隅角部１２、２２（発泡）を有する。これは人工装具を設置する時、近くの解剖 学的組織が外傷を受ける危険を防止するためである。隅角部や端縁が鋭くなって いると、この危険を生ずる確率が非常に高い。 後面１５、２５は真っ直ぐであり、これ等の面に圧着する支持装置を使用して 、この人工装具を挿入するのを容易にする。 引出し切欠６と称する切欠が各剛強板の金属にその端縁の後部に向け形成され ている。 この人工装具の除去が必要となった後日、更に外科手術が必要になった時、適 切な器具を使用して、この人工装具に後方に張力を加えるため、これ等切欠を使 用する。 生来の椎間板にできるだけ類似した機械的性質を有する椎間板材料から弾性ク ッション３が形成されている。言い換えれば、この材料は、回転、及び摺動の際 の、圧縮力、引張力、及び剪断力の関数としての弾性、及び強度に関する生理学 的応力の要求を満足する必要がある。 これ等の機械的性質は、人間の解剖学の部分について行われた良く知られた優 秀な身体力学から決定された膨大な実験データを使用することによって明らかに されている。 その結果、この人工椎間板材料をシリコーン形エラストーマ、又は積層複合材 料、又はポリオレフィン系の弾性材料のいずれかで作られる。 本発明人工装具はできるだけ多くの病理学的形態における椎間板の欠陥を正す ように設計されている。 この人工装具は脊髄管の腰の部分に使用して好適であり、この人工装具は好ま しくは脊髄管を通ずる後部アプローチによって、腰のレベルに人工装具を設置で きるような設計になっている。このアプローチの形式は脊髄柱内の後部損傷を治 療することができ、単一外科手術において椎間板の交換をすることができる。 本発明の各人工装具は右、又は左から腰の部分の椎間板の半分を取り替えるよ うに設計されている。椎間板の空間の表面の半分を越えない部分をカバーする椎 間板部分が病変の椎間板の代わりをする。 必要なら、診断され、及び手術中に観察された椎間板の損傷の程度に応じて、 ２個の人工装具を移植することができる。その場合、完全な椎間板の交換が行え るよう、同一の背椎間の行程で２個の人工装具の１個を右から、他の１個を左か ら移植する。 後部アプローチを使用するこの交換には、骨管を十分広げて良好な露出区域を 生ぜしめることが必要であり、付近の神経組織を良く防護することが必要である 。 本発明人工装具は、特殊な器具を使用して椎骨板に凹所を設けることにより、 椎骨間に位置を用意することによって、適切な処置後、椎骨体間に挿入すること ができる。 図２は、用意された椎骨面９、１０に、取付け装置４、５と共に、２個の椎骨 体７、８間の所定位置にある本発明人工装具の縦断面を示し、椎間板輪１３の前 部周縁部の望ましい保護状態を示している。この椎間板の前部、後部の厚さは２ 〜４ｍｍ程度である。 更に、上記の内部の凹所、及び人工装具の寸法は手術されるケースの解剖学的 特性の関数として計算される。これは、椎骨管内の垂直線（椎骨体の後部端縁） と、所定位置にある人工装具の後部との間に少なくとも３ｍｍの安全空間１４を 生ぜしめるためである。 このようにすれば、確実に人工装具は椎骨管内に突出しない。 本発明人工装具の寸法は広い範囲にわたり、全ての３次限の寸法について変化 させることができる。従って、本発明人工装具は種々の解剖学的形態に対し、種 々の腰部椎間レベルにおいて、種々の病的なケースについて使用することができ る。 同一の方法を使用して体内に移植片を設置する実際の手術経験の結果として、 我々は本発明に次のような変更を加えた。しかし、これは本発明を限定するもの でない。 一方が２５ｍｍに等しく、他方が３０ｍｍに等しい２個の異なる長さPf（図１ 参照）について人工装具を設計する。 これ等２個の長さの各々について、高さＨ、幅Ｌを変化させる。 考慮した２個の長さのおのおのについて、高さＨを１ｍｍ刻みで９ｍｍから１ ３ｍｍまで変化させる。 各限定した長さと、各高さとについて、幅Ｌを１ｍｍ刻みで９ｍｍから１２ｍ ｍまで変化させる。 脊髄柱のため本発明人工装具を使用する利点は、次の２個の理由がある場合に は著しく限定される。 即ち、第１に、この胸郭セグメントに生来の生理学的可動性がない場合。 第２に、脊索の存在によって、本来的な困難と危険とがある場合である。しか し、腰レベルでは脊索は存在していない。 しかし、或る病気の場合に可動機能の回復に有用である下部セグメントＤ１１ −Ｄ１２、及びＤ１２−Ｌ１に対して本発明人工装具を使用することが有用であ り、可能である。 請求の範囲に記載した技術用語の後に挿入した符号は請求の範囲の理解を容易 にするためのもので、発明の範囲を限定するものでない。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．椎間板の空間に設置するように設計された椎間板人工装具であって、剛強上 部板（１）と、剛強下部板（２）と、これ等上部板と下部板との間に設置されこ れ等の対応する板にそれぞれ取り付けられる上面と下面とを有する弾性クッショ ン（３）とを具える椎間板人工装具において、椎間板の半分より大きくない大き さに相当し椎間板の一部を形成する少なくとも１個の人工装具部分から成ること を特徴とする椎間板人工装具。 ２．２個の椎間板人工装具部分から成ることを特徴とする請求項１に記載の椎間 板人工装具。 ３．この椎間板人工装具の寸法が適切な寸法（Pf、Ｌ、Ｈ）にある時、脊髄柱を 通ずる後部アプローチによって外科的に挿入できる球状平行六面体であることを 特徴とする請求項１に記載の椎間板人工装具。 ４．前記板（１、２）がほぼ長方形であることを特徴とする請求項１〜３のいず れか１項に記載の椎間板人工装具。 ５．この椎間板人工装具を設置後、その特定の方向の移動を防止するよう正確に 指向する突条形のリリーフ（５）を各前記板（１、２）の外面に設けたことを特 徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載の椎間板人工装具。 ６．前記突条（５）の間の前記板（１、２）の外面（４）が粗く、外科的移植中 、この椎間板人工装具を加える椎骨表面からの骨の復帰を容易にする鋭利な端縁 を前記板（１、２）の前記外面（４）が有することを特徴とする請求項５に記載 の椎間板人工装具。 ７．前記板の端縁が各側部において、その厚さの範囲内で丸みを有することを特 徴とする請求項１〜６のいずれか１項に記載の椎間板人工装具。 ８．前記板（１、２）が引出し切欠（１０）を具えることを特徴とする請求項１ 〜７のいずれか１項に記載の椎間板人工装具。 ９．前記クッション（３）を積層複合弾性材料で製造したことを特徴とする請求 項１〜８のいずれか１項に記載の椎間板人工装具。 １０．前記クッション（３）をシリーン、又はポリオレフィン系の生成物で製造 したことを特徴とする請求項１〜８のいずれか１項に記載の椎間板人工装具。