【発明の詳細な説明】
コクシジウム症の動物に投与するための組成物
発明の背景
関連出願に対するクロス・リファレンス
本出願は、1993年4月29日に出願された米国特許出願第08/053,1
38号の一部継続出願であり、その内容はここに参考文献として併合する。
発明の分野
本発明は、食用家畜に対する工業的食餌(industrialdiet)、食餌添加剤およ
びコクシジウムに感染した動物の治療方法に関する。
関連技術
コクシジウム症は食用家畜には一般的な病気であり、エイメリア(Eimeria)
属に属する原虫により生じる。
コクシジウム症は世界中で見出され、その経済的影響は、特に家禽農場で甚大
である。米国の家禽産業のみでは、コクシジウム症は毎年200−250百万ド
ルの損害の原因となる。世界中では、家禽産業のコクシジウム症は病気および死
亡損失の3分の1の原因となると推定される(Trends in Veterinary Research and Development
,Part 6,Anti-coccidials,Lloyd-Evans,L.P.M.(ed.),PJB
Publications Ltd.,1991)。
1950年代以来、数種の食餌薬(コクシジウム抑制
剤)がコクシジウム症を治療するために開発されたが、中程度の成功のみである
。コクシジウム抑制剤の使用に関連する最も重大な欠点は1)寄生生物の耐性種
が速やかに発生すること;2)宿主動物における不利な作用;および消費製品の
残留の危険または品質の欠陥である。コクシジウム抑制剤の一般的使用が重大な
死亡の突然の発生を減少させると同時に、動物におけるコクシジウムの潜在的影
響は生産性を著しく減少させる(Jeng & Edgar,Hightlights of Agricultural
Reseach-Alabama,Agricultural Experiment Station,v.28,p.6(1981))。
ニワトリにおいては、コクシジウム症の典型的な症状的徴候(clinical signs
)は悪い成長(ill-thrift)、急速な体重の損失、下痢および赤痢を含む。最も
重大な影響は、腸に起こり、コクシジウムは粘膜に侵入し、上皮の損傷、病変お
よび出血をひき起こす。生理学的にコクシジウムは腸の酸−塩基、イオンの、お
よび浸透バランスにおいてひどい障害をひき起こし、栄養吸収を減少させる(Ru
ff,Georgia Coccidiosis Conference,Nov.19-21(1986)pp.169-183;Gwyther
et al.,Coccidia andIntestinal Coccidiomorphs,Vth International Conf.,
October 17-20(1989)pp.279-284)。
一般的な使用における多くのコクシジウム抑制剤は寄生生物をそれらのイオン
調節および浸透調節を破壊することにより殺す。しかしこれらの薬剤はコクシジ
ウムに
特定的でない;それらはまた宿主のイオンおよび浸透バランスをも変えてその結
果、腸内の栄養吸収を減少させ得る(Speight,6th Buropean Symposium on Pou
ltry Nutrition World's Poultry Science Assoc.,Oct.11-15(1987),abstr
act 7A)。結果として、コクシジウム抑制剤の役に立つ作用は栄養吸収、成長お
よび餌効率(feed efficiency)に関するそれらの有害な副作用により相殺され
る。
ベタインは浸透保護剤である。それは細胞の浸透強度を酵素活性に不利な影響
することなく増加させ、そしてそれは酵素をイオンまたは温度による不活性化か
ら保護する(Nash et al.,Aust.J.Plant Physiol.9:47-57(1982);Yance
y et al.,Science 224:1064-1069(1982);Rudolph et al.,Archives Bioch
em.Biophys.245:134-143(1986);McCue & Hanson,Trends in Biotechnolog
y 8:358-362(1990);Papageorgious et al.,Curr.Res.In Photosynthesis
l:957-960(1990))。ある有機体(および組織)は浸透ストレス下で、浸透
的に導入されるベタイン合成によりベタインを高い量で蓄積できるが、多くの動
物はこの能力を欠き、および外部のベタインの摂取に依存している。例えば、単
離された鮭肝臓ミトコンドリアは、浸透ストレスに曝された場合、合成ではなく
、増加されたベタイン摂取を示す(Bjorkoy,G.,Synthesis and Accumulation o f glycine betainein Salmon(Salmo salar)and Musse
l,MSc thesis,N
orwegian College of Fisheries,University of Tromso,pp.94)。その浸透保
護特性は本発明以前に知られているが、ベタインは主にメチル基転位反応のメチ
ル供給体として作用するその能力に対して(Stekol et al.,J.Biol.Chem.20
3:763-773(1953))そしてメチル基をホモシステインに転位して、メチオニン
を製造する能力に対してに対して(Harper,in Review of Physiol.Chem.,120
and 351(1973))研究されている。ベタインがコクシジウム抑制剤の使用に関
して望ましくない副作用を緩和するのに有用であること、またはベタインおよび
コクシジウム抑制剤がコクシジウム症に罹っている食用家畜の商業的性能を改善
するため相乗的に作用することは認識されていなかった。
発明の要約
本発明はベタインおよびコクシジウム抑制剤の配合を含む食用家畜に対する飼
料に関する。この配合は死亡を減少させ、コクシジウムに感染されたひな鶏の総
合的な商業的性能を改善することにおいて特に有効であることが見出された。使
用するコクシジウム抑制剤は化学型またはイオノホア型のいずれかであってよい
。好ましいイオノホア・コクシジウム抑制剤はサリノマイシン(salinomycin)
〔登録商標バイオ−コックス(Bio-Cox)〕およびラサロシド(lasalocid)〔登
録商標アヴァテック(Avatec)〕である。好ましい化学コクシジウム抑制剤はハ
ロフギノンヒドロブロミド(halofuginone hydrobromid
e)〔登録商標ステネロール(Stenerol)〕である。全ての場合、ベタインは乾
燥飼料0.5ないし2.0kg/トンの濃度で飼料中に存在する。最も好ましい
飼料はニワトリ用に使用される飼料である。本発明はまたプレミックスされたベ
タインおよびコクシジウム抑制剤の配合を含む食餌添加剤にも関する。このよう
な添加剤は動物に与えられるべき飼料中に含むことができるか、又はこのような
飼料とは別に投与することができる。
加えて本発明はコクシジウムに感染した動物、特にニワトリの死亡率をベタイ
ンをそのような動物に投与することによって減少させる方法に関する。
ベタインはそれのみで投与されるか、またはより好ましくはコクシジウム抑制
剤との配合で投与されてもよい。好ましい本方法で使用するためのイオノホア・
コクシジウム抑制剤はサリノマイシンおよびラサロシドである。好ましい化学コ
クシジウム抑制剤はハロフギノンヒドロプロミドである。
図面の簡単な説明
図1:図1は補填していない食餌(unsupplemented diets)、登録商標バイオ−
コックス(サリノマイシン)44ppmで補填された(supplemented)食餌、お
よび/またはバイオーコックス66ppmを含む食餌で45日間成長したひな鶏
に対する死亡百分率である。それぞれの食餌は添加したベタインとともにおよび
添加したベタインなしの両方で試験された。研究された食餌の各々に対
してベタイン添加がひな鶏の死亡率を減少させたことを見出すことができる。
図2:補填していない食餌、コクシジウム抑制剤44ppmおよびコクシジウム
抑制剤66ppmで補填された食餌で45日間成長したひな鶏を検視しおよび0
ないし4段階で腸の病変のひどさ(severity)をランク付けした。全ての場合に
おいて、ベタインを含む食餌の補填は腸の病変を減少したひどさにした。
図3:図3は上述した3つの異なるタイプの食餌の各々で45日間成長したひな
鶏の最終重量を示す。各々の場合、ベタインを含む補填により増加した最終重量
のひな鶏を生じた。
図4:3つの異なるタイプの食餌の各々で成長したニワトリの餌転換効率(feed
conversion efficiency)を測定し、結果を図4に示す。各々の例ではベタイン
により改善した効率をもつひな鶏を生じた。
図5:適濃度にメチオニンを含む餌またはメチオニンの濃度の低い餌のいずれか
で成長させたコクシジウム感染したひな鶏を試験した。全てのひな鶏はサリノマ
イシン66ppmを受けた。図ではベタインの添加がメチオニンのレベルに無関
係に腸の病変のひどさを減少したことを示す。
図6:図6はコクシジウム感染ひな鶏の死亡率におけるベタイン添加の効果を示
す。0.75kg/トンの投薬量において、ベタインはメチオニン濃度の低いか
または
適量であるかのいずれかを含む食餌で給餌されたひな鶏の死亡率を減少させた。
図7:図7はベタインが、メチオニン濃度の低い、または適量のメチオニンを含
む場合の両方の食餌におけるコクシジウム感染したひな鶏の最終重量を増加させ
ることを示す。
図8:図8はメチオニンの低い餌または適量のメチオニンで成長したひな鶏かど
うかに関係なくコクシジウムに感染したひな鶏においてベタインが餌転換効率を
改善することを示す。
好ましい実施態様の詳細な説明
A. 定義
1. 初期餌(Starter diet): 「初期餌」は、生後初めの21日の間のニ
ワトリに給餌される食餌である。
2. 中期餌(Grower diet):術語「中期餌」は、21ないし40日令のニ
ワトリに給餌される食餌を指す。
3. 終期餌(finisher diet):術語「終期餌」は、40ないし49日令の
ニワトリに給餌される食餌を指す。
4. ベタイン:「ベタイン」は「グリシン・ベタイン」とも呼ばれ、1−カ
ルボキシ−N,N,N−トリメチルメタナミニウムヒドロキシドの分子内塩と化
学的に定義される。ベタインは「ベタフィン(Betafin)」の商品名でフィンシ
ュガー・バイオプロダクト(Finnsugar Bioproducts)により販売されている。
5. 餌転化効率:「餌転化効率」は、動物の体重増加量をその動物により消
費された餌の量で割った比率である。例えば、1.0の効率は、消費される餌1k
g毎に、動物が1.0kg体重増加することを意味する。
6. 餌転化率:「餌転化率」は、動物により消費された餌の量をその動物の
体重増加量で割った比率である。
7. トウモロコシ−ダイズ飼料:「トウモロコシ−ダイズ飼料」は、主に黄
色トウモロコシ、あら碾き大豆粉(ダイズミール)と大豆油からなる餌である。
8. 有意な:術語「有意な」は、ここで使用されているように統計的に有意
であることを意味する。かくして、
「処理したニワトリは、未処理のニワトリと比較して死亡率が有意に低下した。
」は、標準統計解析を使用するP<0.05を意味する。
9. 死亡率:死亡率は処理群内の、試験中に死亡したニワトリの数として定
義される。典型的には死亡率は、死亡したニワトリの数を試験開始時のニワトリ
の全数により割り、そして100を掛けることにより決められる。
10. 飼料材料:「飼料材料」は、ニワトリの食餌を調製するために配合さ
れる黄色トウモロコシ又はあら碾き大豆粉のような一般に使用されるそれらとし
て定義される。
11. 基本食餌:「基本食餌」は、メチオニン又はベタインのいずれかを補
填する前の、ニワトリに給餌される食餌として定義される。
12. 食用家畜:本発明の目的のためには「食用家畜」は、ヒト又は他の動
物の食物中のタンパク源として消費される動物として定義される。典型的家畜は
下記のものを包含する:牛のような動物(例えば牛);羊のような動物(例えば
羊);豚のような動物(例えば豚);家禽類(例えばニワトリと七面鳥);ウサ
ギ等。
13. 商業的性能:ここで使用されるように、術語「商業的性能」は、特定
の条件の組み合わせ下で生長した動物が、食用動物として商業的にどの位望まし
いかの程度を指す。本発明の目的のために、商業的性能を決める四つのパラメー
タがある:死亡率;最終体重;餌転化
効率及び内蔵の損傷のひどさ。これらのパラメータのどれか一つが改善されれば
、残りのパラメータが不変であるか又はそれも改善されることを条件として商業
的性能は改善されたことになる。
14. プレミックス:名詞として使用される時、「プレミックス」は、特定
使用のために調合されるた2種以上の成分を指す。例えば、成分としてのベタイ
ンとコクシジウム抑制剤のプレミックスは、ベタイン又はコクシジウム抑制剤の
いずれかの濃度をさらに調節する必要なしに所望の最後の濃度の混合物を製造す
るために、ニワトリ飼料に添加しても良い。
15. イオノホア・コクシジウム抑制剤:イオノホア・コクシジウム抑制剤
は、それらの分子の形と構造による抗コクシジウム剤であって、生物学的な膜を
通過するイオン担体として作用することができる。他の全ての抗−コクシジウム
剤は、ここでは「化学コクシジウム抑制剤」として呼ばれる。
B.ベタインとコクシジウム抑制剤の相乗作用
ここに記載されたデータは、初めて、コクシジウム抑制剤とベタインが一緒に
作用して、コクシジウム寄生虫が原因である商業的な損傷効果を相殺することを
確立した。相乗作用は、コクシジウム抑制剤が化学又はイオノホア・コクシジウ
ム抑制剤であっても起こる。実施例1は、ひな鶏をコクシジウムで感染させ次い
でそれに、ベ
タイン、コクシジウム抑制剤(サリノマイシン)又はベタインとコクシジウム抑
制剤の配合物を補填した食餌を与えた実験について記載している。補填食餌で生
育したひな鶏を、補填してない食餌を給餌した、コクシジウムで感染したひな鶏
及びコクシジウムで全く感染してないひな鶏と比較した。表5から明らかなよう
に、21日間にわたりベタインとコクシジウム抑制剤の配合物を含有する食餌を
給餌されたひな鶏は、ベタイン又はコクシジウム抑制剤だけのいずれかの同等濃
度を含有する食餌を給餌されたひな鶏よりも、有意により高い体重と有意により
少ない内蔵障害を示した。ベタイン単独又はコクシジウム抑制剤単独のどちらも
、餌転化効率に与えるコクシジウム感染の影響を完全に相殺できなかったが、一
緒に投与すると、それらは非感染対象と対比できる効率を挙げた。サリノマイシ
ン44ppmを含有する食餌を給餌された21日令のひな鶏の死亡率は、未補填食
餌又はベタインだけを補填した食餌のいずれかを給餌された感染ひな鶏と比較し
て有意に減少した。ベタインとコクシジウム抑制剤44ppmを一緒に使用すると
、死亡率は非感染ひな鶏の死亡率より有意には高くないレベルまで減少した。
表5からは下記のようにも読み取れる:45日令では、ベタインとコクシジウ
ム抑制剤の両方を含有する食餌を受けているひな鶏は、それら成分の1種類だけ
を含む食餌を受けているひな鶏より有意に低い死亡率を持ち、そ
して両方の成分を投与されたひな鶏の死亡率は、非感染対照のそれよりもはや有
意に高くない点まで低下した。
同様にベタインとコクシジウム抑制剤66ppmを含有する食餌を給餌されたひ
な鶏の体重と餌転化効率は対照群から有意には異ならないが、成分の1種類だけ
を受けてるひな鶏は、有意により低い体重と有意により高い餌転化効率を持って
いた。
実施例2に示した結果は、コクシジウム感染したひな鶏の商業的性能へのベタ
インとコクシジウム抑制剤のプラス効果は、食餌のメチオニン含有量には依存し
ないことを示している。かくして、ベタインの抗コクシジウム効果は、メチオニ
ンと置換するその性能とは独立している。その結果は、ベタインの防御効果は、
栄養吸収へのコクシジウムの損傷的な影響を相殺するその能力に恐らく関連して
いることを暗示している。この仮説を支持するのは、ベタインを含む食餌を給餌
されたひな鶏は、未補填食餌又はコクシジウム抑制剤だけを補填された食餌のい
ずれかを給餌されたニワトリより、内蔵損傷のひどさが少ないことである(表5
を参照)。
実施例3は、ベタインとサリノマイシンの配合により証明された商業的性能に
おける相乗的改善は、他の型のイオノホア・コクシジウム抑制剤(ラサロシド(
lasalocid))並びに化学的コクシジウム抑制剤(ハロフギノン・臭化水素塩(h
alofuginone hydrobromide))によって維持されることを示している。表13に
示したように、ラ
サロシドとベタインの配合物は、ベタイン又はラサロシドのいずれかを単独に補
填された食餌を受けているひな鶏と比較して体重が有意により高くそして餌転化
効率が有意により低いひな鶏を生産した。ハロフギノン・臭化水素塩とベタイン
の配合物を受けているひな鶏は、有意に減少した餌転化効率を証明した。
更に、表13に示した結果は、サリノマイシンとベタインの配合がが商業的性
能を改善するという結論を確認している。ベタインと共にサリノマイシンを受け
ているひな鶏は、サリノマイシン又はベタインのいずれかを単独に受けているひ
な鶏と比較して、有意に、体重を増加しそして餌転化効率を改善したことを示し
た。ベタインと配合して使用するための他の適当なコクシジウム抑制剤を、表1
に示してある。全ての場合において、動物に対する投与のためのコクシジウム抑
制剤の適当な薬量は、U.S.Food and Drug Administration(FDA 1994 Feed Add itive Compendium,
U.S.Food and Drug Administration,1994 を参照)によ
り推薦されている薬量でありそしてベタインは0.5〜2.0kg/〔(乾燥飼料)トン
〕の濃度である。
欧州で認可されたコクシジウム抑制剤を下記する:
(製品認可番号を括弧内に記述する):アムプロルミックス(amprolmix)(PLO
O25/4008);エバテックプレミックス(avatec premix)(PL 0031/4011);カ
ルビグランプレミックス(carbigran premix)(PL 0006/4075);クロピド
ル(clopidol)(PL 3405/4017);クロピドル250(clopidol 250)(PL 3405/4
025);コイデン25(coyden 25)(PL 0621/4001);サイコスタート66(cycost
at 66)(PL 0095/4000);シグロプレミックス(cygro premix)(PL 0095/404
2);純デコックス(deccox pure)(PL 8327/4038);デコックス家禽用プレミ
ックス(deccox poultry premix)(PL 0012/4052);羊用デコックスプレミッ
クス(deccox sheep premix)(PL 8327/4066);ジニトルミド(dinitolmide)
(PL 10101/4000);ジノルミックスSR 25(dinormix SR 25)(PL 0109/4000)
;ドット(ジニトルミド(DOT(dinitolmide))(PL 0109/4002);エランコ
バン G200(elancoban G 200)(PL 0006/4047);モネンシン200(monensin 2
00)(PL 3405/4006);レルベック(lerbek)(PL 327/4049);マキシバンG16
0(maxiban G160)(PL 0006/4078);家禽用モネンシン-100(monensin-100 po
ultry)(PL 3405/4021);反芻動物用モネンシン-100(monensin-100 ruminant
)(PL 3405/4022);モネンシン-200(monensin-200)(PL 3405/4006);モネ
ンシン100”ABCHEM”プレミックス(monensin 100”ABCHEM”premix)(PL 1010
4/4004);モンテバンG100(monteban G100)(PL 0006/4061);ニカルバジン-
50(nicarbazin-50)(PL 3405/4050);ニカルバジン-250(nicarbazin-250)
(PL 3405/4044);
ニクラジンプレミックス(nicrazin premix)(PL 0025/4019);ザコックス120
(sacox 120)(PL 0086/4135);ザルコスタート(salcosat)(PL 1598/4036
);ザルコスタート(ドット)プレミックス25%(salcosat(DOT)premix 25%
)(PL 1598/4033);サルガイン-60(salgain-60)(PL 3405/4053);ステネ
ロール(stenerol)(PL 0086/4117);キジ用ステネロール(stenerol for phe
asant))(PL 0086/4153);及び純ユビコックス(ubicox pure)(PL 4188/40
04)。欧州で認可されたコクシジウム抑制剤も請求した発明を実施するのに使用
されてもよい。各々の場合、使用されるコクシジウム抑制剤の濃度は、製造者に
より推薦される濃度と同等であるべきでありそしてベタインは、0.5〜2.0kg/〔
(乾燥飼料)トン〕の濃度で存在すべきである。
C.コクシジウム抑制剤とベタインを含有するように製剤化された動物用飼料
1.ニワトリ用飼料
本発明は、コクシジウム抑制剤とベタインの両方を含有するように製剤されて
いるニワトリ用飼料に向けられている。そのような飼料を製造するために、ひな
鶏のための基本食餌を、トウモロコシ、大豆、小麦と大麦のような常用の飼料材
料の多数を使用して初めに製剤される〔参照:AFMA Feed Ingregient Guide(ア
メリカ合衆国、ヴァージニア州,アーリントン,アメリカ飼料製造者連
合(American Feed Manufacturer's Association)発行);H.パトリック他,P oultry:Feeds & Nutrition
,第2版,chapter 37(1980)(AVI PublishingCo
.Inc.,Westport,Conn.,発行)〕。飼料の全ての混合と他の調製は、既知の当
業技術を使用して実施される〔参照:例えば、H.パトリック他,Poultry:Feeds & Nutrition
,第2版,chapter 36-38(1980)(AVI Publishing Co.Inc.,We
st Port,Conn.,発行);Feed Manufacturing Technology,H,Prost and C.Sw
inehart eds.,American Feed Manufacturer's Association Inc.,Chicago,II
I.,(1970)〕
基本飼料の栄養含有量は標準飼料材料分析表を使用して決められてよい〔参照
、例えば、H.Patrick et al.,Poultry:Feeds & Nutrition,第2版,438-449p
p(1980)(AVI Publishing Co.Inc.,West Port,Conn.,発行);H.Titus e
t al.,The Scientific Feeding of Chickens,第5版,chapter 13(1971),(
The Interstate Publishers,Danville,III.発行〕。
ビタミン、ミネラルと他の栄養は、いろいろの入手できる参考資料を参照して
決められた濃度に添加すればよい〔参照、例えば;Nutrient Requirements of P oultry
,National Research Council,National Academy of Sciences,Washingt
on,D.C.(1984)〕。これら参考資料は周知であり、当業者により一般に容認さ
れている。
基本飼料を調製したら、ベタインとコクシジウム抑制
剤を添加する。これらの成分は別々に添加されてもよく、又はそれらはプレミッ
クスとして一緒に添加されてもよい。飼料中のベタインの最終濃度は0.5〜2.0kg
/〔(乾燥飼料)トン〕の濃度であるべきである。コクシジウム抑制剤の最終濃
度は、使用されるコクシジウム抑制剤の個々の型に依存して変動する。”U.S.F
oodand Drug Administration"により推薦されている濃度は全ての場合において
適当であるべきである。ひな鶏用食餌についての推薦含有量を下記する:モネン
シン:100-120 ppm;サリノマイシン:60ppm;ナラシン(naracin):70ppm;及
びラサロシド:90ppm。サリノマイシンの場合は、44と66ppmの間の最終濃度が十
分であることが見出されている(実施例1を参照)。飼料をひな鶏に与える方法
は便利であればよい。例えば、それは錠剤に形成されてもよく又は粉末で投与さ
れてもよい。それは、全てのひな鶏に予防薬として投与されてもよく又はそれは
コクシジウムに罹患したことが確認された後だけに投与されてもよい。
2.他の食用家畜のための飼料
コクシジウム症は、ニワトリ以外の若干数の食用家畜にも起こる。表1は、い
ろいろの標的動物のための”The Food and Drug Administration(FDA)”によ
り認可されたコクシジウム抑制剤を示している(FDA 1994 Feed Additive Compe ndium,
U.S.Food and Drug
Administration,1994)。牛、羊、豚と七面鳥は全て感染することが知られてい
る。これらの種類は、全てニワトリと同様にして処理されそして同様の逆副作用
(adverse side effects)を受ける。本発明は、これらの動物のための、コクシ
ジウム抑制剤とベタインの両方を含有する飼料を包含する。
飼育している特定の食用家畜のために適している食餌は、標準飼料表を使用し
て調製される。例えば、牛のための標準食餌は、”the Merk Veterinary Manual
,第6版,1104-1132頁(1986)”により提供される情報を使用して製剤化され
てもよい。同じ情報源を使用して、兎(1210-12110頁);羊(1211-1221頁);
豚(1221-1230頁);そして家禽類(1188-1210)のためにも標準食餌を調製でき
る。基礎食餌を調製した後、コクシジウム抑制剤とベタインを添加する。コクシ
ジウム抑制剤の濃度は、the Food and Drug Administration(FDA)”により推
薦されたものであるべきである(FDA 1994 Feed Additive Compendium, U.S.F
ood and Drug Administration,1994)。ニワトリでコクシジウム抑制剤の効果
を増強するのに成功したことが証明されたベタインの濃度{即ち、0.5〜2.0kg/
〔(乾燥食餌)トン〕}は、他の動物のための飼料を調製するのに初めは使用され
てもよく、次に実験が指し示すように上方に又は下方に調整されてよい。ベタイ
ンの相乗効果の故に、動物に投与するコクシジウム抑制剤の濃度を減少しそして
依然として商業的に容認できる結果を得ることも可能である。かくして、ベタイ
ンのコクシジウム抑制剤との配合物の使用は、容認できる飼料を調製するための
経費を減らすであろう。
D.ベタインとコクシジウム抑制剤を含有する食餌添加剤
本発明は、ベタインとコクシジウム抑制剤の両方を含有する飼料に向けられて
いることに加えて、コクシジウム症の副作用を予防する目的のために食用家畜に
投与される、これら二成分を含有する他の組成物にも向けられる。ベタインとコ
クシジウム抑制剤のプレミックスは、錠剤、カプセル又は液体の形のいずれかで
投与されてもよい。全ての場合において、ベタインとコクシジウム抑制剤の濃度
は、これらの成分を含有するように調製された飼料の含有量と比べ得る食餌含有
率になっていなければならない。ベタイン/コクシジウム抑制剤の組成物は、そ
の香りを改善するために又は動物が必要とする他の食餌補填剤又は治療剤でもっ
て補填されてもよい。
ベタインとコクシジウム抑制剤を含有する非経口投与用複合物は、薬学的に有
用な組成物を製造するための既知の方法に従って調剤されそしてその方法ではこ
れらの成分は薬学的に許容できる担体賦形剤と混合して配合させられる。適当な
賦形剤とそれらの調剤は、例えば下記の文献に記載されている:Remington's Ph
armaceutical Sciences(第16版,A.Oslow,ed.,Mack,Baton,PA 1980)。要
求薬量は、治療される動物の型と投与されるコクシジウム抑制剤の型に依存する(FDA 1994 Feed Additive Compendium,
U.S.Food and DrugAdministration,19
94)。
追加の薬学的方法は、作用の持続を制御するために使用されてもよい。放出制
御は、ポリエステル、ポリアミ
ノ酸、ポリピロリドン、エチレン=ビニルアセテート、メチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース又は硫酸プロタミンのような適当な高分子を選択しそし
てこれらを、放出を制御するために良く確立された方法に従って配合することに
より実施されてよい。コクシジウム抑制剤とベタインの作用の持続は、これらの
成分を、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(乳酸)又はエチレン
/酢酸ビニル・コポリマーのような高分子材料の粒子中へ抱合させることによっ
ても制御され得る。別法として、ベタインとコクシジウム抑制剤をマイクロカプ
セル中に封入することも可能である。マイクロカプセルを製造しそして使用する
ためのいろいろの材料と方法は、Remington's Pharmaceutical Sciences(第16
版,A.Oslow,ed.,Mack,Baton,PA 1980)中に開示されている。
E.コクシジウム症に感染した動物の治療方法
本発明は、ベタインとコクシジウム抑制剤の配合物を投与することによる、コ
クシジウム症に感染した食用家畜の治療法にも向けられている。表5と11は、
コクシジウム症に感染したひな鶏への、ベタインとコクシジウム抑制剤の投与が
、内蔵損傷のひどさの減少、死亡率減少、より高い最終体重と改善された餌転化
効率の項目で商業的性能が有意に改善されたことを示している。
ベタインとコクシジウム抑制剤の配合物は、上述した
ように、経口又は非経口のいずれかにより投与されてもよい。好ましくは、ベタ
インとコクシジウム抑制剤は動物の飼料中へ混和される。ニワトリの場合は、ベ
タインは0.5〜2.0kg/〔(乾燥食餌)トン〕を構成しなければならない。もしもサ
リノマイシンがコクシジウム抑制剤としてニワトリを治療するのに使用されるな
らば、それは44と66ppmの間の含有率で存在しなければならない。使用され
てもよい他のコクシジウム抑制剤は、モネンシン(100-200ppm);ナラシン(70
ppm)とラサロシド(90ppm)、並びに表1に示した他のコクシジウム抑制剤を包
含する。
ベタインは、フィンシュガー・バイオプロダクト(Finnsugar Bioproducts)
(ベタフィン(Betafin)の商品名で販売)のような販売業者から購入されても
よい。適当なコクシジウム抑制剤とそれらの供給者は下記したものを包含する:
モネンシン:Elanco Products Ltd.(商品名"Elancoban"又は"Romensin");サ
リノマイシン:Hoechst(UK)Ltd.(商品名"Sacox");
ナラシン:Elanco Products Ltd.(商品名"Monteban");及びラサロシド:Roch
e(商品名"Avatec")。FDAにより承認された追加のコクシジウム抑制剤を表1に
示す。ニワトリ以外の種類においては、コクシジウム抑制剤の濃度は"U.S.Food
and Drug Administration(FDA 1994 Feed Additive Compendium,U.S.Food and
Drug Administration,1994)により推薦されたものでなけれ
ばならない。飼料中のベタインの濃度は、0.5〜2.0kg/〔(乾燥食餌)トン〕でな
ければならない。これは実験の指し示すように、上方又は下方に調整されてもよ
い。ベタインとコクシジウム抑制剤の配合物を動物に投与するための他の手段は
、上述のとおりである。
ここに記載した参考文献は、それらの全文の参照により包含される。今まで本
発明を一般的に記述したが、その発明を特定の実施例により更に記述するが、こ
れは説明の目的だけのものであって、特別の記述のない限り制限することを意図
するものではない。
実施例1
動物:2464羽の1日齢のオスおよび2464羽のメスの商業種(Peterson
x Arbor Acres)のブロイラーひな鳥を寝わらが積み重ねられた56階の檻に任
意に分配した。ひな鳥を45日齢まで成長させた。7つの処理群があり、各々8
回実験をくりかえした。実験計画は表4に示される。
接種:処理1ないし6のひな鳥に14日齢において水を飲ませることを介して
E.acervulina,E.maximaおよび E.tenellaを接種させた。21日齢において、各
々の檻からの2羽のオスと2羽のメスを検死しそしてコクシジウム症について評
価した(0ないし4、4がもっともひどい。)。処理7は未接種対照であるが、
しかしひな鳥は寝わらを介して天然の汚染菌に感染した。
食餌:トウモロコシ−大豆食餌(初期および中期)をNutrient Requiremens o
f Poultry, National Reserch Council,National Academy of SciencesWashing
ton,D.C.(1984)に記載された栄養素の要求に見合うかもしくはそれを超える
ように配合した。食餌の組成は表2に示されそして表3において分析値が計算さ
れた。実験計画(表4)に従って、食餌にベタインおよび商業的コクシジウム抑
制剤、Bio-Coxを補填した。食餌をパン屑状およびペレット状で適宜供給した。
完全な餌の消費の記録を維持した。
結果は以下の表および図中に記載されている。数値デ
ータの後の文字は、処理間の違いの統計上の有意性を示すものであって、分散分
析により決定された。同一の文字が印された処理は測定されたパラメータに関し
て顕著に異なっていなかった。
結論
データは、商業的タイプの化合物餌へのベタインの添加が、内蔵障害および死
亡率のひどさを顕著に減少させ、そしてブロイラーひな鳥の成長および餌効率を
向上させたことを示した。ベタインおよびコクシジウム抑制剤(Bio-Cox)の双
方はこれらのパラメータに大きな影響を与えた一方で、統計上顕著な相乗作用は
ベタインとコクシジウム抑制剤の間にはなかった。従って、ベタインの添加はコ
クシジウム抑制剤で処理されたブロイラーの製造パラメータをさらに改良する結
果となった。
さらに、データは商業的実施よりも低い食餌レベル(44ppm)で処理され
、そして1.5kg/tonの食餌レベルでベタインで補われたブロイラーは商
業的レベル(66ppm)のコクシジウム抑制剤で処理されたブロイラーと類似
した動作を示したことを示している。
実施例2
動物:1200羽の1日齢のオスおよび1200羽のメスの商業種(Peterson
x Arbor Acres)のブロイラーひな鳥を寝わらが積み重ねられた40階の檻に任
意に分配した。ひな鳥を、サリノマイシンを含有しそしてメチオニン、ベタイン
もしくは両者の混合物で補われた基礎食餌で47日齢まで成長させた。実験計価
は表8において示される。各々5つの処理は8回実験を繰り返した。
接種:ひな鳥に15日齢において水を飲ませることを
介してE.acervulina,E.maximaおよびE.tenellaの混合物を接種させた。21日齢
において、各々の檻からの6羽のオスと6羽のメスを検死しそして腸管の4つの
部分におけるコクシジウム症について評価した(上部、中部、下部、盲腸(ceac
a)、評価:0ないし4、4がもっともひどい。)。処理7は未接種対照である
が、ひな鳥は寝わらを介して天然の汚染菌に感染した。
食餌:トウモロコシ−大豆食餌(初期および中期)は食餌1、3および4にお
いてメチオニンを添加しなかったこと除いて、NRC1984に記載れた栄養素
の要求に見合うようにもしくは超えるように配合した。食餌の組成は表6におい
て示されそして表7において分析を行った。食餌に実験計画(表8)に従って、
ベタインおよび商業的コクシジウム抑制剤、サリノマイシンを捕った。食餌をク
ランブルおよびペレットに適宜供給した。完全な餌の消費の記録が維持された。
結果は以下の表9および図5ないし8中に記載されている。数値データの後の文
字は、処理間の違いの統計上の有意性を示すものであって、分散分析により決定
された。同一の文字が印された処理は測定されたパラメータに関して顕著に異な
っていなかった。
結論
食餌の0.075ないし0.15%のベタインの添加は顕著にブロイラーの成
長および餌効率を向上させた。0.15%のベタインはコクシジウムの感染によ
り生じた腸管の損傷を減少させた。応答は食餌のメチオニン含量に依存した。
実施例3
動物:1200羽の1日齢のオスの商業種(Petelsonx Arbor Acres)のブロ
イラーひな鳥を120個の18″×24″のバタリーケージに任意に分配した。
各々12回実験をくりかえした10の処理群があった。実験計国は表10に示さ
れる。
接種:処理1、2および5ないし10のひな鳥に14日齢において水を飲ませ
ることを介してE.acervulina,E.maximaおよびE.tenellaの混合物を接種させた。
21日齢において、各々の檻からの4羽を検死しそしてコクシジウム症について
評価した(0ないし4、4がもっともひどい。)。処理3および4は未接種対照
である。
食餌:トウモロコシ−大豆食餌をNutrient Requirements of Poultry,Nation
al Reserch Council,National Academy of Sciences Washington,D.C.(1984
)に記載れた栄養素の要求に見合うかもしくは超えるように配合した。食餌の組
成は表11に示されそして表12において分析値が計算された。実験計画(表1
0)に従って、
食餌にベタインおよび3種の商業的コクシジウム抑制剤を捕った。完全な餌の消
費の記録が維持された。
結果は以下の表および図中に記載されている。数値データの後の文字は、処理
間の違いの統計上の有意性を示すものであって、分散分析により決定された。同
一の文字が印された処理は測定されたパラメータに関して顕著に異なっていなか
った。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,GE,HU,JP,KG,KP,KR,KZ,LK
,LU,LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,
NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SI,S
K,TJ,TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 マクノートン,ジェームズ エル.
アメリカ合衆国,メリーランド州 21601
イーストン,ノース ハリソン ストリ
ート 30