【発明の詳細な説明】
二官能価ヌクレオシド、それらのオリゴマーならびにそれらの製造方法及び使用
方法
発明の分野
本発明は、新規二官能価ヌクレオシド、ならびに炭素原子2個と窒素原子1個
または炭素原子2個と酸素原子1個からなるヌクレオシド間結合の連続バックボ
ーンを有する、塩基数が4〜約60のオリゴヌクレオシド配列を有するオリゴヌク
レオシド化合物の製造に有用なそれらの二官能価三量体、四量体(及びそれより
長いオリゴマー)に関する。本発明はまた、こうして得られたオリゴヌクレオシ
ド、ならびにヌクレオシドが天然ホスホジエステルヌクレオシド間結合で結合さ
れたヌクレオシド配列が挟まれた前記オリゴヌクレオシド配列を含んでなる、塩
基数が60以下またはそれ以上の混合オリゴヌクレオチド(キメラオリゴヌクレオ
チド類似体)に関する。本発明はさらに、本発明の二量体ヌクレオシド化合物を
用いた前記オリゴヌクレオシド及びキメラオリゴヌクレオチド類似体化合物の製
造方法を含み、該方法は公知の常用の有機合成法によって5’−ヌクレオシド、
中間二官能価単位及び3’−ヌクレオシドをつないで、アンチセンス化合物とし
て有用であり得る種々のオリゴマーを生成することからなる。
発明の背景
アンチセンス化合物は、核酸(RNAまたはDNA)中のヌクレオチド配列に結合す
るかまたはそれとハイブリッド形成して、核酸の作用(または合成)を阻害する
。アンチセンス化合物はRNA及びDNAの
両者とハイブリッド形成できるため、転写、RNAプロセッシングまたは翻訳のレ
ベルで遺伝子発現を妨害し得る。遺伝子発現が妨害されると、核酸によってコー
ド化された蛋白質、例えば、組織の蛋白質、種々の細胞成長因子、成長因子レセ
プター及びガン遺伝子の合成が阻害される。
たとえば、Klausner,A.,Biotechnology,8:303-304(1990)で論じられてい
るように、アンチセンス技術の実際への応用は、数々の技術的問題によってその
進展が妨げられている。従って、天然の、ホスフェート結合したアンチセンスオ
リゴマー化合物は、体内の標的細胞などに存在するヌクレアーゼ;たとえば、核
酸の3’または5’末端に作用するエクソヌクレアーゼ、及び個々のヌクレオシ
ド間の内部ホスホジエステル結合の位置で核酸を分解するエンドヌクレアーゼに
よって急速に分解されやすい。このようなヌクレアーゼの作用の結果、投与され
る多くのアンチセンス化合物の有効半減期は極めて短いため、大用量を短い時間
間隔で投与しなければならない。
もう1つの問題は、現在入手できるDNA合成装置では、アンチセンスDNAまたは
RNAの製造コストが高いことである。Armstrong,L.,(Business Week,1990年
3月5日、89ページ)は、1gのアンチセンスDNAの製造コストを約$100,000と
見積もった。
さらに、体(及び細胞)内の標的へのアンチセンス薬剤の送達に関して別の問
題がある。即ち、メッセンジャーRNAを標的とするアンチセンス薬剤は原形質膜
を透過しなければ、そしてゲノムDNAを標的とするアンチセンス薬剤は原形質及
び核膜を透過しなければ核に入れない。その結果、膜透過性を増大するためには
疎水性を増大しなければならないが、他方においては、細胞質及び細胞サイトゾ
ルのような体液中においては親水性(水溶性)を増大しなければな
らないので、そのいずれかを優先するかを考えなければならない。
さらに、アンチセンスDNAのようなオリゴヌクレオチド化合物は、キラール燐
(phosphorous)中心の回りで立体配置の変換を受けやすい。このため、化合物
が体内で遊離しているかまたは標的核酸に対してハイブリッド形成するかという
安定性の問題も生じる。
安定性と薬物送達の限界を克服するために、種々のオリゴヌクレオチド類似体
が研究されてきた。実際に使用するのに必要なことは、このような類似体が優れ
た細胞透過性を有し、ヌクレアーゼ分解に対して抵抗性であり、標的核酸に対し
て配列特異的な優れたハイブリッド形成能を有し、しかもむずかしすぎたり費用
がかかりすぎたりしない化学的方法で合成できることである。
最近は、前記問題を克服すると同時に、安定で、ヌクレアーゼ抵抗性で、比較
的製造コストが低く、しかも体じゅうの核酸標的に送達でき且つそれらとハイブ
リッド形成できるアンチセンス化合物を製造しようという努力がなされているが
、それには、ホスホジエステル構造中への修飾の導入によって、または長さと向
きが正常のホスホジエステルヌクレオシド間結合に近い非ホスフェートヌクレオ
シド間結合を使用することによって、「正常な」ヌクレオシド間ホスホジエステ
ル結合とは異なるヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオシド配列からなる
オリゴヌクレオチド類似体を合成することが必要である。Uhlman,E.及びPeyman
,A.,Chemical Reviews,9(4):544〜584(1990)。
これまで報告されている修飾ホスホジエステル結合には、ホスホロチオエート
、アルキルホスホトリエステル、メチルホスホネート及びアルキルホスホルアミ
デートがある。また、非ホスフェートヌクレオシド間結合、たとえば、カーボネ
ート、アセテート、カルバメート、スルホン、スルホキシド、スルホンアミド及
びジアルキル
またはジアリール−シリル誘導体を含む種々の非イオン性オリゴヌクレオシド配
列も合成され、報告されている。さらに最近になって、炭素原子2個と窒素原子
1個または酸素原子1個を含むヌクレオシド結合や炭素原子3個を含むヌクレオ
シド結合を含むキメラオリゴヌクレオチド類似体が報告された。たとえば、国際
特許公開公報WO 9202534参照。
発明の要約
本発明は、新規二官能化ヌクレオシド類似体ならびに炭素原子2個−窒素原子
1個及び炭素原子2個−酸素原子1個(3'-NCC-5'、3'-CNC-5'、3'-0CC-5')の
ヌクレオシド間結合の連続ストレッチを含む塩基3〜4個(三量体及び四量体)
及びそれ以上のオリゴヌクレオシドを提供する。本発明の二官能価ヌクレオシド
は、本発明の三量体及び四量体の製造に有用であり、該三量体及び四量体は、オ
リゴヌクレオシドバックボーン中に炭素原子2個と窒素原子1個または炭素原子
2個と酸素原子1個の少なくとも2個の連続したヌクレオシド間結合を有する、
塩基数が6〜約60の本発明のオリゴヌクレオシド及びキメラオリゴヌクレオチド
類似体、好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオシド及びオリゴヌクレオチド
類似体の製造において、ヌクレオシドと共に有用である。
本明細書中で使用する用語「オリゴヌクレオチド」は、「天然の」ホスホジエ
ステルヌクレオシド間結合のみを含む核酸化合物を意味する。他方、用語「キメ
ラオリゴヌクレオチド類似体」は、オリゴヌクレオシド結合及びオリゴヌクレオ
チド結合の両者を含む配列からなる化合物を意味する。用語「オリゴヌクレオシ
ド」は、合成(天然のホスホジエステルと対立するものとして)ヌクレオシド間
結合のみを含むオリゴヌクレオチド類似体を意味する。
さらに詳しくは、本発明は下記式Iの新規ヌクレオシド類似体及び下記式IIの
オリゴヌクレオシドを提供する:
[式中、
Qは、H、NHZ、OZ、SZ、CHO、COOR、ハロゲン、ホスホニウム塩及びホスホネ
ートからなる群から選ばれ;
Lは、NHZ、OZ、SZ、CHO、COOR、ハロゲン、ホスホニウム塩及びホスホネート
からなる群から選ばれ;
Q-(HCR)n-及びL-(HCR)m-はまた、独立して
であることができ;
各Rは独立して、H、低級アルキル、低級アルケニル、アリール及びアシルか
らなる群から選ばれ;
各Zは独立して、H、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、アシルなら
びにO−、S−及びN−の保護基からなる群から選ば
れ;
各Eは独立して、H及びOZからなる群から選ばれ;
各R2は独立して、P(O2)OZ、OZ、NHZ、SZ、CHRCHRNHZ及びCR=CRNHZからなる
群から選ばれ;
mは0または1〜4の整数であり;
nは1〜5の整数であり;
各Bは独立して、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル、または
それらの修飾形からなる群から選ばれ、該修飾形は、オリゴヌクレオシドまたは
キメラオリゴヌクレオチド類似体のそのアンチセンス対応物(塩基はアデニン、
シトシン、グアニン、チミン及びウラシルからなる群から選ばれる)に対する親
和性を本質的には妨害せず;
WはD-D-Dであり、各Dは独立して、(HCR)、酸素またはNHRであるが、ただ
し、各WのDのうち2個は(HCR)であり、第3のDは−Oまたは-NHRであり;
jは1〜60の整数であり;
kは0または1〜60の整数であり;且つ
qは0または1〜60の整数であるが、ただし、j+k+qの合計は3〜約60で
ある]。
本発明はまた、前記式II[式中、R、Z、E、R2、R1、m、n、B、W、j
、k及びqは各々前に定義した通りであるが、Wの少なくとも1個は天然のホス
ホジエステル結合であり且つ少なくとも2個の隣接しているWはD-D-Dである]
の構造を有するキメラオリゴヌクレオチド類似体を提供する。
本発明はさらに、炭素原子2個と窒素原子1個または炭素原子2個と酸素原子
1個からなる、少なくとも2個1組の連続したヌクレオシド間結合を有する、塩
基数3〜60のヌクレオシド配列からなる
化合物の合成方法を提供し、該方法は5’−ヌクレオシド、式Iの中間二官能価
単位及び3’−ヌクレオシドをつなげて、アンチセンスオリゴヌクレオシドとし
て、または天然ホスホジエステルヌクレオシド間結合または当業者には公知の他
の適当なヌクレオシド間結合をさらに含むより大きいオリゴヌクレオシドの成分
として有用であり得る式IIのオリゴマーを生成することからなり、該方法は本発
明の化合物を、好ましくは遺伝子自動合成装置中で、試薬として使用する。
発明の詳細な説明
本発明のヌクレオシド類似体は、式Iを有する:
[式中、
Qは、H、NHZ、OZ、SZ、CHO、COOR、ハロゲン、ホスホニウム塩及びホスホネ
ートからなる群から選ばれ;
Lは、NHZ、OZ、SZ、CHO、COOR、ハロゲン、ホスホニウム塩及びホスホネート
からなる群から選ばれ;
Q-(HCR)n-及びL-(HCR)m-はまた、独立して
であることができ;
各Rは独立して、H、低級アルキル、低級アルケニル、アリール
及びアシルからなる群から選ばれ;
各Zは独立して、H、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、アシルなら
びに、O−、S−及びN−の保護基からなる群から選ばれ;
各Eは独立して、H及びOZからなる群から選ばれ;
mは0または1〜4の整数であり;
nは1〜5の整数であり;
各Bは独立して、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル、または
それらの修飾形からなる群から選ばれ、該修飾形は、オリゴヌクレオシドまたは
キメラオリゴヌクレオチド類似体のそのアンチセンス対応物(塩基はアデニン、
シトシン、グアニン、チミン、ウラシルまたはそれらの天然の修飾形からなる群
から選ばれる)に対する親和性を本質的には妨害しない]。
本発明の三量体、四量体及びそれより長いオリゴヌクレオシドは下記式IIを有
する:
[式中、
各R2は独立して、P(O2)OZ、OZ、NHZ、SZ、CHRCHRNHZ及びCR=CRNHZからなる
群から選ばれ;
各Rは独立して、H、低級アルキル、低級アルケニル、アリール及びアシルか
らなる群から選ばれ;
各Zは独立して、H、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、アシルなら
びにO−、S−及びN−の保護基からなる群から選ばれ;
各Eは独立して、H及びOZからなる群から選ばれ;
各Bは独立して、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル、または
それらの修飾形からなる群から選ばれ、該修飾形は、オリゴヌクレオシドまたは
キメラオリゴヌクレオチド類似体のそのアンチセンス対応物(塩基はアデニン、
シトシン、グアニン、チミン、ウラシルまたはそれらの天然の修飾形からなる群
から選ばれる)に対する親和性を本質的には妨害せず;
WはD-D-Dであり、各Dは独立して、(HCR)、酸素またはNHRであるが、各W
のDのうち2個は(HCR)であり、第3のDは−Oまたは-NHRであり;
jは1〜60の整数であり;
kは0または1〜60の整数であり;且つ
qは0または1〜60の整数であるが、j+k+qの合計は3〜約60である]。
本発明のキメラオリゴヌクレオチド類似体は、前記式II[式中、Wの少なくと
も1個は天然のホスホジエステル結合であり且つ少なくとも2個の隣接するWは
前に定義したD-D-Dである以外は、R、Z、E、R2、R1、m、n、B、W、j
、k及びqは各々、前に定義した通りである]の構造を有する。
本明細書中で使用する以下の用語は、特に断らない限り、以下の
意味を有するものと理解されたい:
「アルキル」は、直鎖または分枝鎖のいずれかであることができる飽和脂肪族
炭化水素を意味する。好ましい基は、炭素数が約12以下であり、メチル、エチル
ならびにプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル
、デシル、ウンデシル及びドデシルの構造異性体であることができる。
「低級アルキル」は、炭素数が1〜7の前記アルキル基を意味する。適当な低
級アルキル基はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−
ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル及びn−ヘプチルである。
「アリール」は、フェニル、ナフチル、置換フェニル及び置換ナフチルを意味
する。
「置換フェニル(またはナフチル)」は、1個またはそれ以上の水素が、ハロ
、低級アルキル、ニトロ、アミノ、アシルアミノ、ヒドロキシル、低級アルコキ
シ、アリール、ヘテロアリール、低級アルコキシ、アルキルスルホニル及びトリ
フルオロメチルから選ばれる同一または異なる置換基で置換されたフェニル(ま
たはナフチル)基を意味する。
「ヘテロアリール基」は、ピリジル、フリル、チエニルまたはイミダゾリルの
ような基を意味する。
「置換ヘテロアリール」は、1個またはそれ以上の水素が、ハロ、低級アルキ
ル、ニトロ、アミノ、アシルアミノ、ヒドロキシル、低級アルコキシ、アリール
、ヘテロアリール、低級アルコキシ、アルキルスルホニル及びトリフルオロメチ
ルから選ばれた同一または異なる置換基で置換されたヘテロアリール基を意味す
る。
「低級アルケニル」は、炭素数2〜8の不飽和脂肪族炭化水素、例えば、エチ
レン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどを意
味し、それらの全ての構造異性体及び幾何異性体を含む。
「ハロ」は、ブロモ、クロロまたはフルオロを意味する。
「O−、S−またはN−保護基」は、各々、酸素、硫黄または窒素官能価を不
所望な反応から保護するように働く、酸素、硫黄または窒素原子に結合した基で
ある。このような保護基は公知であり;その多くが“The Peptides.”E.Gross
及びJ.Meienhofer,Eds.Vol.3Academic Press,NY(1981)に記載されている
。N−保護基は、N−アシル、N−アルコキシカルボニル、N−アリールメトキ
シ−カルボニル、トリフルオロメチルアシル及びN−アリールスルホニル保護基
であることができる。適当なO−保護基としてはベンジル、tert−ブチル、メチ
ル、トシル、ジメトキシトリチル、tert−ブチル−ジメチルシリル、及びカルボ
ベンゾキシ基が挙げられる。S−保護基としては、メチル、tert−ブチル、ベン
ジル及びカルボベンゾキシ基が挙げられる。
本発明はまた、本発明の二量体ヌクレオシド化合物を用いた前記オリゴヌクレ
オシド及びキメラオリゴヌクレオチド類似体化合物の製造方法を提供し、該方法
は、公知の常用の有機合成法によって5’−末端ヌクレオシド、中間二官能価単
位及び3’−末端ヌクレオシドをつなげて、アンチセンス化合物として有用な種
々オリゴマーを生成することからなる。
本発明はさらに、対応する5’−ジメトキシトリチルヌクレオシドをニトロメ
タン中臭化亜鉛で処理することによって、3’-O-t-ブチルジメチルシリル 2
’−デオキシヌクレオシド6、25、31及び38を極めて高収率で製造する改良方法
を提供する。本発明はさらにまた、容易に入手可能なAZTからの、式Iの新規二
官能価ヌクレオシド、例えば、10及び18の合成方法を提供する。これらのヌクレ
オシドは、NCCヌクレオシド間結合を有する、塩基数が3またはそ
れ以上の本発明のオリゴヌクレオチド類似体中の反復単位の前駆体として有用で
ある。
本発明のさらに別の新しい側面は、これまで文献記載のない5’−炭素官能化
2’−デオキシヌクレオシド26〜28、32〜34及び39〜41の合成である。これらの
ヌクレオシドはまた、NCC結合オリゴヌクレオシドの合成において重要な中間体
である。さらに、39の合成に関して本明細書中に記載した、一般的に応用できる
Dess-Martin酸化(Zon)/Horner-Emmons反応の組み合わせは、文献に記載されて
いる、5’−炭素官能価に関するSwern/Wittigプロトコールよりも改良されてい
る。
NCCヌクレオシド間結合によって均一に結合されたオリゴヌクレオシドの一般
的合成方法を反応式Iに記載する。例えば、反応式1に関して、二官能価ヌクレ
オシド2と7’−アルデヒド3との還元的カップリングによって7’−官能価二
量体が生成される。この二量体は、7’−アルデヒドへの合成後、5’−末端シ
ントン1にカップリングして三量体を生成することもできるし、またはシントン
2との反復カップリングによって連鎖延長サイクルを継続させて、NCCバックボ
ーンによって均一に結合された長鎖オリゴマー類似体4を生成することもできる
。
トリヌクレオシドの合成を反応式2に示す。たとえば、二量体11は、アルデヒ
ド9及び二官能価アミン−ヌクレオシド10ならびにシアノ硼水素化ナトリウムか
ら還元的アミノ化条件下で合成する。同様に、二量体アルデヒド13は、対応する
エステル12から製造し、それをアミン14と還元的にカップリングさせて、2個の
NCCヌクレオシド間結合を含む三量体を生成する。
反応式3は、式Iの二官能価ヌクレオシドの合成経路を示す。
反応式4は、NCCヌクレオシド間結合を含むヘテロ三量体及びそ
れより長いオリゴマーの合成に使用される重量な中間体25〜28、31〜34及び37〜
40の合成経路を示し;これらの中間体を使用したNCCヌクレオシド結合を有する
ヘテロ二量体の合成を示している。
OCC結合三量体48及びそれより長いオリゴマーの合成のための重要な中間体で
ある5’−O−カルベトキシ−5’−ビニル−3’−t−ブチルジメチルシリル
チミジン45の製造を反応式5に要約する。二官能価ヌクレオシド45は、アルデヒ
ド44と臭化ビニルマグネシウムとの間でグリニャール反応を行い、次いで、得ら
れたアルコールをクロロ蟻酸エチルでカルボエトキシル化し、そしてベンゾイル
化することによって合成する。
反応式6に要約した新規二官能価アミン−ヌクレオシド52とホルミル−ヌクレ
オシド51との間の還元的アルキル化を用いて、CNC結合三量体54及びそれより長
いオリゴマーを製造できる。
CNN結合三量体60及びそれより長いオリゴマーを合成するための一般式を反応
式7に示す。
本発明のさらに別の新しい側面は、3’−ビニル−ヌクレオシド56のOSO4ヒド
ロキシル化、及びそれに続くジオールのNaIO4による酸化によるN−保護−3’
−アセトアルデヒド−ヌクレオシド57の合成である。3’−アルデヒド57及び5
’−アミン58の同様な還元的アルキル化によって、種々のCCN二量体59、三量体6
0及びそれより長いオリゴマーが生成される。この改良法によって、天然ホスホ
ジエステルヌクレオシド間結合の代わりに炭素原子3個と窒素原子1個または炭
素原子3個と酸素原子1個を有する、塩基数3またはそれ以上のオリゴヌクレオ
シド配列の製造が容易になる。文献(Uhlmannら、Chemical Review,9(4):544
〜584;Matteucci,M.,Tetrahedon Letters,1990,2385)に報告されているよ
うに、本発明のオリゴヌクレオシド及びキメラオリゴヌクレオチド類似体のよう
な、2個またはそれ以上の非ホスホジエステルヌクレオシド間結合の隣接ストレ
ッチを有するオリゴヌクレオチド類似体は、孤立した(一度に1個の)非ホスホ
ジエステルヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチド類似体よりはるかに
優れたヌクレアーゼ耐性を示すことが予想される。
反応式1a.b.c.dNCC結合オリゴヌクレオシド合成の一般反応式
反応式2NCC結合三量体の合成a
反応式3二官能価ヌクレオシドの合成
反応式4ヘテロ三量体、四量体などの合成のための重要な中間体
反応式4(続)ヘテロ三量体、四量体などの合成のための重要な中間体
反応式5 0CC結合三量体、四量体及びそれより長いオリゴマーの合成のための
一般式
反応式6CNC結合三量体、四量体及びそれより長いオリゴマーの合成のための一
般式
反応式7CNN結合三量体、四量体及びそれより長いオリゴマーの合成のための一
般式
本発明においてはまた、式Iの化合物の医薬として許容され得る塩も考えられ
る。薬理学の業界ではよく知られたことであるが、薬理活性のあるアミン化合物
の無毒性付加塩はそれらの遊離塩基と活性の点では異ならない。
医薬として許容され得る塩としては、酸付加塩及び塩基付加塩の両者が挙げら
れる。「医薬として許容され得る塩」は、遊離塩基の生物学的有効性及び性質を
保持するが、生物学的にまたは他の点で有害ではないそれらの塩を指す。適当な
医薬として許容され得る酸付加塩は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸
、硝酸、燐酸など及び有機酸、たとえば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、
ピルビン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メ
タンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸などを用いて形成できる。
医薬として許容され得る塩基付加塩としては、無機塩基、例えば、ナトリウム
、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、
銅、マンガン、アルミニウム塩などから誘導されるものが挙げられる。特に好ま
しいのは、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウム
塩である。医薬として許容され得る無毒性有機塩基から誘導される塩としては、
第一、第二及び第三アミン、置換アミン(例えば、天然置換アミン)、環状アミ
ン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリプロピルアミ
ン、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエ
タノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェ
イン、プロカイン、ヒドラバミン(hydrabamine)、コリン、ベタイン、エチレ
ンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ペペリ
ジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩が挙げられる
。特に好ましい有機無毒性塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタ
ノール−アミン及びジシクロヘキシルアミンである。
一実施態様において、本発明の化合物は、塩基数が約6〜約60、好ましくは約
9〜約50、より好ましくは約12〜約25、最も好ましくは15〜18の、式IIに示した
ようなオリゴマーアンチセンス薬剤を含む。これらのアンチセンス薬剤は、1種
またはそれ以上の無毒性の生理的に許容され得る担体、補助剤または賦形剤(本
明細書中においてはこれらをひとまとめにして担体と称する)と共に、固体また
は液体の形態の非経口注射または経口投与用、直腸または局所投与用などの組成
物に製剤化できる。
組成物は、ヒトまたは動物に経口、直腸、非経口(静脈内、筋肉内または皮下
)、槽内、腟内、腹腔内、局所(散剤、軟膏剤または点滴剤)投与することもで
きるし、頬または鼻用噴霧剤として投与することもできる。
非経口注射に適当な組成物は、生理的に許容され得る水性または非水性の滅菌
溶液、分散液、懸濁液または乳濁液及び滅菌注射溶液もしくは分散液に再構成さ
れる滅菌散剤を含むことができる。適当な水性及び非水性担体、希釈剤、溶剤ま
たは賦形剤の例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール
、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、それらの適当な混合物、植物
油(例えば、オリーブ油)及び注射可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エ
チルが挙げられる。適当な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの
使用、分散液の場合には必要な粒度の保持、及び界面活性剤の使用によって保持
できる。
これらの組成物はまた、補助剤、例えは、保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散助
剤を含むことができる。微生物の作用は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、たとえば
、パラベン、クロロブタノール、フェノ
ール、ソルビン酸などによって確実に防止できる。等張化剤、たとえば、糖、塩
化ナトリウムなどを添加するのも望ましい。注射用剤形の吸収の延長は、吸収を
遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを用いれば
可能である。
経口投与用の固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤が
挙げられる。このような固体剤形の場合には、活性化合物は、少なくとも1種の
常用の不活性賦形剤(または担体)、たとえば、クエン酸ナトリウムもしくは燐
酸二カルシウムまたは(a)充填剤または増量剤、例えば、澱粉、ラクトース、
スクロース、グルコース、マンニトール及び珪酸、(b)結合剤、例えば、カル
ボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ス
クロース及びアラビアゴム、(c)保湿剤、例えば、グリセロール、(d)崩壊
剤、たとえば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカ澱粉、アルギ
ン酸、ある種の複合珪酸塩及び炭酸ナトリウム、(e)溶解遅延剤、例えば、パ
ラフィン、(f)吸収促進剤、例えば、第四アンモニウム化合物、(g)湿潤剤
、例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール、(h)吸着剤
、たとえば、カオリン及びベントナイト、ならびに(i)滑沢剤、たとえば、タ
ルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレン
グリコール、ラウリル硫酸ナトリウムまたはそれらの混合物と混合する。カプセ
ル剤、錠剤及び丸剤の場合には、剤形はさらに緩衝剤を含むことができる。同様
な型の固体組成物はまた、ラクトース、すなわち、乳糖及び高分子量ポリエチレ
ングリコールなどのような賦形剤を用いて、軟ゼラチンカプセル剤及び硬ゼラチ
ンカプセル剤中に充填剤として使用できる。
固体剤形、例えは、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤
は、当業界において公知の皮膜及び外皮、たとえば、腸溶性皮膜などを用いて調
製できる。それらは不透明化剤を含むことができ、さらに、腸管の一定部分で活
性化合物を遅れて遊離するような組成物であることもできる。使用できる埋蔵組
成物の例としては、ポリマー物質及びロウがある。
活性化合物はまた、適当であるならば、1種またはそれ以上の前記賦形剤と共
にミクロカプセル剤の形態にすることもできる。
経口投与用の液体剤形としては、医薬として許容され得る乳剤、液剤、懸濁剤
、シロップ剤及びエリキシル剤が挙げられる。液体剤形は、活性化合物の他に、
常用の不活性希釈剤、例えば、水または他の溶剤、可溶化剤及び乳化剤、例えば
、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベン
ジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレン
グリコール、ジメチルホルムアミド、油、特に、綿実油、ピーナッツ(ground-n
ut)油、コーン胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油、グリセロール、テト
ラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールならびにソルビタンの
脂肪酸エステルまたはこれらの物質の混合物などを含むことができる。このよう
な不活性希釈剤の他に、組成物は補助剤、例えは、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤
、甘味剤、香味剤ならびに芳香剤を含むこともできる。
懸濁剤は、活性化合物の他に、懸濁化剤、例えば、エトキシル化イソステアリ
ルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微晶
質セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天及びトラガ
カント、またはこれらの物質の混合物などを含むことができる。
直腸または腟内投与用の組成物は座剤であるのが好ましく、座剤は、本発明の
化合物を適当な非刺激性賦形剤または担体、例えば、
カカオ脂、ポリエチレングリコールまたは座剤用ロウと混合することによって調
製できる。座剤は常温では固体であるが体温では液体であるため、直腸または腟
内で溶融して、活性成分を放出する。
局所投与用の剤形としては、軟膏剤、散剤、噴霧剤及び吸入剤が挙げられる。
活性成分は、生理的に許容され得る担体及び必要に応じて任意の保存剤、緩衝剤
または噴霧剤と滅菌条件下で混合する。眼用製剤、眼軟膏剤、散剤及び液剤も考
えられる。
組成物中の活性成分の実際の投薬量は、個々の組成物及び投与方法に関して、
所望の治療反応を得るのに有効な活性成分の量が得られるように変化させること
ができる。従って、選択される投薬量は、所期の治療作用、投与経路、所期の治
療持続時間及び他の因子によって決まる。
宿主に一度にまたは分割して投与される活性成分の総日用量は、例えば、体重
kg当たり約0.5mg〜約10mgの量であることができる。投薬単位組成物は、合計し
て日用量を構成できるような量または日用量の約数量(submultiple amount)を
含むことができる。しかしながら、個々の患者に関する具体的な用量レベルは、
体重、全身健康状態、性別、食事、投与時間及び投与経路、吸収速度及び排出速
度、他の薬物との併用の有無、及び治療される個々の疾病の重症度によって決ま
るであろうことを理解されたい。
本発明はさらに、遺伝子発現の抑制が必要な宿主哺乳類に、抑制有効量の式II
の化合物を投与することを含んでなる遺伝子発現の抑制方法であって、該化合物
が発現を抑制すべき遺伝子のヌクレオチド配列に対してハイブリッド形成する方
法に関する。好ましい一実施態様において、式IIの化合物は生理的に許容され得
る担体中に溶解または分散させる。
本明細書の別の箇所で論じたように、遺伝子発現の抑制は、転写
、翻訳、またはRNAプロセッシングを妨害することによって行うことができる。
従って、アンチセンス分子の活性は、メッセンジャーRNAまたはゲノムDNAのレベ
ルであり得る。従って、例えば、アンチセンス分子がメッセンジャーRNAに対し
てハイブリッド形成する場合には、翻訳が抑制される。アンチセンス分子がゲノ
ムDNAに対してハイブリッド形成する場合には、転写が抑制される。アンチセン
ス分子は異種の核RNA(hnRNA)または前メッセンジャーRNAを含む細胞中の他の
核酸種に結合することもできる。
遺伝子発現の抑制が必要な宿主哺乳類は、遺伝子発現が関与した疾病状態にあ
る。このような疾病状態には、1種またはそれ以上のがん遺伝子の表現が関与し
た種々の癌、嚢胞性線維症、ハンチングトン舞踊病、ならびに疾病の状態の原因
の全部または一部分が、正常な遺伝子の異常な発現または異常な遺伝子の発現で
ある他のこのような疾病状態がある。
本明細書中において使用する「抑制有効量」は、発現を抑制すベき遺伝子の発
現を抑制するのに充分な、本発明の化合物の量である。抑制有効量を求める手段
は、当業界でよく知られる通り、抑制すべき遺伝子の性質、目的とする抑制の型
(すなわち、翻訳もしくは転写またはその両方の抑制)、治療される患者の体重
によって決まるであろう。
遺伝子の発現の抑制に使用する式IIの化合物は、その遺伝子の発現を抑制する
ような方法でその遺伝子の配列に対してハイブリッド形成しなければならないこ
とを理解されたい。すなわち、式IIの化合物を作るのに使用するヌクレオチド塩
基(前記式II中のB)は、発現を抑制すべき遺伝子のヌクレオチド配列に対して
ハイブリッド形成しなければならない。このような配列はその遺伝子の公知の配
列から容易に確認することができるので、式IIの適当なアンチセン
ス分子を製造することができる。本発明において考えられるのは、相同性(同一
性)が約90%より大きい、より好ましくは約99%より大きいハイブリッド形成で
ある。
以下の例は本発明をさらに説明するものであるが、決して明細書及び請求の範
囲を限定するものと解してはならない。
実施例:
例1:3’-O-t-ブチルジメチルシリルチミジン(6)
臭化亜鉛(21g)をニトロメタン(150ml)及び水(1.5ml)中に溶解させるこ
とによって、臭化亜鉛の原液を調製した。室温で、5’−O−ジメトキシトリチ
ル−3’-O-t-ブチルジメチルシリルチミジン(12.34g;18.75mM)のニトロ
メタン(150ml)中攪拌溶液に臭化亜鉛溶液(93.75mM;5eq.)を添加した。20分
後に薄層クロマトグラフィー(TLC)で検査したところ、出発原料は全て完全の
消失していることが示された。反応混合物を1M酢酸アンモニウム水溶液(450m
l)中に注ぎ、酢酸エチル(200ml×2)中に抽出した。有機層を合し、ブライン
(200ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。粗製生成物をフラッ
シュクロマトグラフィー(SiO2:60%EtOAC/Hex)によって精製して、純粋な表
題化合物6.33g(95%)が得られた。
例2:5’−カルベトキシメチレン−3’−アミノエチル−5’,3’−ジデオ キシチミジニル[3’(0)-〉5'(C)]−3’”tert−ブチルジメチルシリル−5 ”−デオキシチミジン(11)
0℃においてアミン10(500mg;1.77mM)及び7’−アルデヒド(9;812mg)
のエタノール(18ml)及び燐酸塩緩衝液(pH5.5;3.5ml)中溶液に、2時間にわ
たってシリンジポンプによってシアノ硼水素化ナトリウム(THF中1M;4.25mM;
4.25ml)を添加した。0℃においてさらに3時間攪拌した後、TLCで検査したと
ころ、反応
は完了していることが示された。反応混合物をクロロホルム(25ml)で希釈し、
水(5ml)及びブライン(5ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた
。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2:100g;5%飽和NH3/Et
OAc中MeOH)によって精製した。反応生成物の収率(500mg)は50%であった。Rf
=0.33(10%飽和NH3/EtOAc 中MeOH)。FABMS:MH+=676.1HNMR(CDCl3):7.0
8(s,1H),6.97(s,1H),6.93(dd,1H,J=15Hz,5Hz),6.18
(t,1H,J=6Hz),6.04(dd,1H,J=5Hz,3Hz),6.0(t,1H
,J=6Hz),4.14(q.1HJ=7Hz),3.97(m,1H),3.68(m,1H)
,3.18(m,1H),2.61(m,1H),2.16(m,4H),1.7-1.6(m,1
H),1.81(S,6H),1.25(t,3H,J=7Hz),0.78(S,9H),−
0.1−(S,6H)ppm.
例3:5’−カルベトキシメチル−3’−アミノエチル−5’,3’ジデオキシ チミジニル[3’(O)-
>5’(C)]-3”−tert−ブチルジメチルシリル−5”− デオキシチミジン(12)
1気圧の水素下、10% Pd/C(90mg;20重量%)の存在下において18時間、
不飽和二量体(11:450mg)のメタノール中溶液を攪拌した。次いで、触媒をセ
ライトを通して濾過し、濾液を蒸発させて目的エステル12を450mg生成した。Rf
=0.33(10%飽和NH3/EtOAc中MeOH)。FABMS:MH+=678.1HNMR(CDCl3):7.0
3(s,1H),6.99(S,1H),6.02(t,2H),4.01(q,2H,J=
7Hz),3.97(m,1H),3.63(m,2H),2.54(m,1H),2.33(m,
2H),2.08−1.8(m,10H),1.81(s,6H),1.51(m,2H),1.25
(t,3H,J=7Hz),0.78(S,9H),−0.1(S,6H)ppm.
例4:5’−ホルミルメチル−3’−アミノエチル−5’,3’ジ デオキシチミジニル[3’(O)-5’(C)]-3”−tert−ブチルジメチルシリ ル−5”−デオキシチミジン(13)
−78℃において二量体(12;200mg;0.3mM)の無水THF(3ml)中溶液にシリン
ジによって徐々に水素化ジイソブチルアルミニウム(ヘキサン中1M;1.8mM;1
.8ml)を添加した。−78℃で3時間の後にTLCで検査したところ、出発原料は全
て消失していることが示された。−78℃においてメタノール(193μl)を添加
することによって反応を抑えた。次いで、反応混合物を0℃に加温し、硫酸ナト
リウム水溶液(350μl)を添加し、次いで、エーテル(5.2ml)及び硫酸ナトリ
ウムを添加した。混合物を室温で20分間激しく攪拌した後、ブフナー漏斗を通し
て濾過した。濾液を蒸発させて粗製アルデヒド13を155mg生成した。この粗製生
成物を1HNMRで検査したところ、9.64ppmにアルデヒドのプロトンが明白に示され
た。このアルデヒドを、さらに精製せずに次の工程に使用した(収率=50%)。
例5:5’−ジメトキシトリチルメチル−3’−アミノエチル−5’,3’ジデ オキシチミジニル[3’(O)-〉5’(C)]−3’−アミノエチル−5’,3 ’−ジデオキシチミジル[3’(O)-〉5’(C)]−3’−tert−ブチルジメ チルシリル−5”−デオキシチミジン
0℃において粗製アルデヒド(13;155mg;約0.15mM)及び3’−アミノ−3
’−デオキシ−5’−ジメオキシトリチルチミジン(14;0.14mM;75mg)のエタ
ノール(1.5ml)及び燐酸緩衝液(pH5.5,0.3ml)中溶液に、シリンジによって徐
々にシアノ硼水素化ナトリウム(THF中1M;0.3mM;0.3ml)を添加した。0℃
においてさらに3時間攪拌した後にTLCによって検査したところ、反応が完了し
ていることが示された。反応混合物を酢酸エチル(15ml)で希釈し、水(4ml)
及びブライン(2ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム
上で乾燥させた。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2:5g,5
%飽和NH3/EtOAc 中MeOH)によって精製した。表題化合物(三量体)の収率は5
0%(81mg)であった。Rf=0.15(5%飽和NH3/EtOAc中MeOH)。
1HNMR(CDCl3):7.62(s,1H),7.44−7.28(m,9H),7.18(s,1
H),7.10(s,1H),6.30(t,1H,J=6Hz),6.13(t,1H,J=
6Hz),6.05(t,1H,J=6Hz),4.11(m,1H),3.92(m,1H),
3.84(m,1H),3.80(s,6H),3.75(m,1H),3.55−3.4(m,2
H),2.65−2.2(m,14H),1.92(s,3H),1.90(s,3H),1.68(
m,4H),1.52(s,3H),0.85(s,9H),0.05(s,6H)ppm.
例6:5’−ジメトキシトリチル−3’−(N−トリフルオロアセチル)アミノ エチル−5’,3’ジデオキシチミジニル[(3’(O)-〉5’(C)]-
3’- (N−トリフルオロアセチル)アミノエチル−5’,3’−ジデオキシチミジル [3’(O)-〉5’(C)]−3’−tert−ブチルジメチシリル−5”−デオキ シチミジン(15)
0℃において例5の三量体(70mg:0.06mM)及びトリエチルアミン(1.2mM;1
67μl)の塩化メチレン(1ml)中溶液にシリンジによって、無水トリフルオロ
酢酸(0.6mM;84.75μl)を滴加した。30分後にTLCによって検査したところ、
全ての出発原料は完全に消失していることが示された。反応混合物を蒸発乾固し
、残渣を短カラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を得た。Rf
=0.55(5%飽和NH3/EtOAc中MeOH)。FABMS:MH+=1353:(M−H)-=1351
.
1HNMR(CDCl3):7.55(s,1H;5’−チミン 5−H);7.10(s,1H
,チミン 5−H),7.02(s,1H,チミン 5−H)
,6.38(t,1H,J=6Hz;5’−リボース 1’−H),6.10(t,1H,
J=6Hz;リボース 1’−H),5.95(t,1H,J=6Hz;リボース 1’
−H),1.96(s,3H,チミン 5−Me),1.90(s,3H,チミン 5−Me
),1.6(s,3H,5’−チミン −5−Me),0.85(s,(H,t−BuSi)
,0.05(S,6H,Si−Me2).
例7:5’−カルベトキシメチレン−3’−アジド−5’,3’ジデオキシチミ ジン(16)
窒素下で−78℃において塩化オキサリル(288μl,3.3mM)の塩化メチレン(
7.6ml)中攪拌溶液に、DMSO(426μl,6mM)の塩化メチレン(1.5ml)中溶液
を添加した。5分後に、3’−アジド−3’−デオキシチミジン(801mg;3mM
)のDMSO/CH2Cl2(1.12ml/3.47ml)中溶液を10分間にわたって添加した。攪拌
を20分間続けた後、トリエチルアミン(2.09ml,15mM)を添加し、反応混合物を
さらに5分間攪拌した。(カルベトキシメチレン)トリフェニルホスホラン(1.
57g;4.5mM)を塩化メチレン(9ml)の溶液中に添加し、反応混合物を−78℃
において30分間攪拌し、次いで、室温に1時間放置した。次に、粗製反応混合物
を冷水(20ml)で急冷し、酢酸エチル(2×50ml)中に抽出し、ブラインで洗浄
し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。粗製生成物をフラッシュクロマトグラ
フィー(SiO2:60g:60%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、表題化合
物765mg(76%)を生成した。Rf=0.47(7/3EtOAc/ヘキサン)。
IR:2107cm-(N3):FAB-MS:MH+=336;1
HNMR(CDCl3):7.04(s,1H),6.94(dd,1H,J=5.5Hz,1.8Hz),6.
16-6.10(m,2H),4.34(t,1H J=6Hz),4.20(q,2H,J=7H
z),4.09(m,1H),2.4(m,2H
),1.91(s,3H),1.28(t,3H,J=7Hz).
例8:5’−カルベトキシメチル−3’−アミノ−5’,3’−ジデオキシチミ ジン(18)
Parr装置(30psi)中で10%Pd/C(210mg;30重量%)の存在下において、例
7のエステル(16;700mg,2.09mM)のメタノール(15ml)中溶液を水素添加に
供した。水素添加反応は24時間後に完了した。触媒を濾過し、濾液を蒸発させて
、表題化合物620mg(96%)を生成した。Rf=0.3(5%飽和NH3/EtOAc中MeOH)
。FAB-MS:MH+=312。1
HNMR(CDCl3:7.4(s,1H),6.11(dd,1H,J=5Hz,3Hz),4.1(q
,2H,J=7Hz),3.62(m,1H),2.51−2.10(m,7H),1.87(s,
3H),1.24(t,3H,J=7Hz)ppm.
例9:5’−カルベトキシメチレン−3’−アミノ−5’,3’−ジデオキシチ ミジン(10)
例7のエステル(16;700mg:2.09mM)のTHF/H2O(10ml/1ml)中攪拌溶液
にトリフェニルホスフィン(786mg;3mM)を添加し、反応を付属のガスバブラ
ーからのガス発生によって監視した。反応は3時間に完了した。混合物を減圧蒸
発させ、粗製油をSiO2(50g)上でクロマトグラフ処理し、5%飽和アンモニア
(メタノール/酢酸エチル中)で溶離させて、表題化合物を93%の収率(600mg
)で生成した。Rf=0.3(5%飽和NH3/EtOAc中MeOH)。FAB-MS:MH+=310。1
HNMR(CDCl3):7.17(s,1H),6.84(dd,1H,J=15.5Hz,5.5Hz),5
.96(dd,1H,J=5Hz,3Hz),5.72(dd,1H,J=15.5Hz,1.5Hz),3.
95(q,2H,J=7Hz),3.2(m,1H),2.2−1.9(m,3H),1.67(
S,3H),1.04(t,3
H,J=7Hz)ppm.
例10:5’−O−ジメトキシトリチルN−ベンゾイル−チミジン
5’−O−ジメトキシトリチル−3’-O-t-ブチルジメチルシリルチミジン(
5g)を無水ピリジン(50ml)中に溶解させ、次いで、この溶液に塩化ベンゾイ
ル(1.5eq.)及びジイソプロピ−エチルアミン(1.5eq.)を添加した。得られた
混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチルで希釈し、水
、次いで、ブラインで洗浄し、フラッシュクロマトグラフィーによって30%酢酸
エチル/ヘキサンを用いて精製した。ベンゾイル化生成物(2.0g)をTHF(25ml
)中に溶解させ、−78℃に冷却し、次いで、THF(1.5eq.)中1.0M Bu4NF溶液に
添加した。2時間後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水、次いで、ブライン
で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。表題化合物をフラッシュクロマトグ
ラフィーによって、70%酢酸エチル/ヘキサンを用いて精製した。
例11:5’−ビニル−3’-O-t-ブチルジメチルシリルチミジン
3’-O-t-ブチルジメチルシリルチミジン4’−アルデヒド(5.0g;トルエン
25mlを用いて2回共沸蒸留した)を無水THF(60ml)中に溶解させ、−78℃に冷
却し、次いで、THF中臭化ビニルマグネシウム(2.5eq.)の1.0M溶液を添加した
。反応混合物を30分間攪拌した後、飽和NH4Cl水溶液を用いて急冷し、酢酸エチ
ルで希釈し、水(2×100ml)、次いで、ブラインで洗浄した。次に、有機層を
乾燥させた。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィーによって、30%酢酸エ
チル/ヘキサンを用いて精製して、目的アルコールを43%の収率で生成した。
例12:5’−O−カルベトキシ−5’−ビニル−3’-O-t-ブチルジメチルシリ ルチミジン
5’−ビニル−3’-O-t-ブチルジメチルシリルチミジン(2.0g
)の塩化メチレン30ml中溶液に、クロロ蟻酸エチル(6eq.)及びピリジン(12e
q.)を添加し、得られた混合物を2時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し
、炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで水(2×25ml)、その次にブラインで洗浄
した。次いで、有機層を乾燥させた。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィ
ーによって20%酢酸エチル/ヘキサンを用いて精製した。
例13:5’−O−カルベトキシ−5’−ビニル−3’-O-t-ブチルジメチルシリ ルN−ベンゾイル−チミジン
5’−O−カルベトキシ−5’−ビニル−3’-O-t-ブチルジメチルシリルチ
ミジン(1.7g)のピリジン20ml中溶液に塩化ベンゾィル(2.5eq)及びジイソプ
ロピル−エチルアミン(95.0eq)を添加し、得られた混合物を15時間攪拌した。
反応混合物を酢酸エチルで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで、ブライ
ンで洗浄した後、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。表題化合物をフラッ
シュクロマトグラフィーによって20%酢酸エチル/ヘキサンを用いて精製した。
例14:5’−ジメトキシトリチルメチル−3’−O−エチル−N−ベンゾイル− チミジニル[3’(O)-〉5’(C)]−5’−デオキシ−N−ベンゾイル−チ ミジン
窒素下、無水THF4ml中トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(O
)(75mg)の溶液に、1,4−ビスジフェニルホスフィノブタン(144mg)を添
加し、得られた混合物を15分間攪拌した。次いで、混合物を5分間50℃に加熱し
た後、室温に戻した。前記混合物に5’−O−ジメトキシ−トリチルN−ベンゾ
イル−チミジン(580mg)を添加し、50℃に加熱しながら10分間攪拌した。前記
反応混合物にTHF6ml中5’−O−カルベトキシ−5’−ビニル−3’−O-t-ブ
チルジメチルシリルN−ベンゾイル−チミジン1.0gを1
時間にわたって滴加した。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって
25〜35%酢酸エチル/ヘキサンを用いて精製して、二量体を58%の収率で生成し
た。得られた不飽和二量体を窒素下で酢酸エチル50ml中に溶解させ、10%Pd/C
を70mg添加し、得られた混合物を水素雰囲気下で2時間攪拌した。触媒をセライ
トパッドを用いて濾過し、溶媒を減圧下で除去して、還元二量体400mgを生成し
た。シリル化還元二量体をTHF 20ml中に溶解させ、−78℃に冷却し、次いで、Bu4
NF(1.5eq.)を添加し、得られた反応混合物1時間攪拌し、酢酸エチルで希釈
し、水、次いで、ブラインで洗浄し、次に、有機層を乾燥させた。表題二量体化
合物をフラッシュクロマトグラフィーによって3%メタノール/塩化メチレンを
用いて精製した。
例15:5’−ジメトキシトリチル−3’−O−エチル−N−ベンゾイル−チミジ ニル[3’(O)-〉5’(C)]−5’−デオキシ−3’−O−エチル−N−ベン ゾイル−チミジル[3’(O)-〉5’(C)]−3’−tert−ブチルジメチルシ リル−5”−デオキシチミジン
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(O)(4モル%)及び1,
4−ビスジフェニルホスフィノブタン(12モル%)の溶液に、5’−ジメトキシ
−トリチル−3’−O−エチル−N−ベンゾイル−チミジニル[3’(O)->5
’(C)]−5’−デオキシ−N−ベンゾイル−チミジン80mgを添加し、混合物
を50℃に加熱した。前記反応混合物にTHF1ml中5’−O−カルベトキシ−5’
−ビニル−3’-O-t-ブチルジメチルシリル−N−ベンゾイル−チミジン(2eq
.)を30分間にわたって滴加した。粗製三量体を調製用薄層クロマトグラフィー
によって60%酢酸エチル/ヘキサンを用いて精製した。生成物を酢酸エチルで抽
出し、溶媒を減圧下で除去した。三量体を窒素下で酢酸エチル10ml中に溶解させ
た。次いで、10%Pd/C10
mgを添加し、得られた混合物を水素雰囲気下で攪拌した。触媒をセライトパッド
上で濾過した。三量体の1H NMR分析によって、目的とする表題化合物の形成が確
認された。
例16:5’−ビニル−5’−デオキシ−3’−t−ブチルジメチルシリルデオキ シチミジン
0℃においてメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(0.7ミリモル)の無
水THF中溶液に、ナトリウムビス(トリメチルシリルアミド)(0.6ミリモル)の
溶液を滴加した。30分後、窒素下で3’-O-t-ブチルジメチルシリルチミジン4
’−アルデヒドのTHF中溶液を滴加した。反応混合物を2時間攪拌し、酢酸エチ
ルで希釈し、水、次いでブラインで洗浄し;有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥さ
せた。溶媒を減圧下で除去し、表題化合物をフラッシュクロマトグラフィーによ
って20%酢酸エチル/ヘキサンを用いて精製して、表題化合物を55%の収率で生
成した。
例17:3’-O-t-ブチルジメチルシリル−5’−デオキシ−5’−ヒドロキシメ チルチミジン
0℃において無水THF3ml中2Mの2−メチル−2−ブテン(1.5ml,3ミリモ
ル)の溶液に、窒素下で徐々に1Mボラン−テトラヒドロフラン複合体(3ml,
2ミリモル)1.6eq.を添加した。溶液を10分間攪拌した後、無水THF5ml中 5
’−ビニル−5’−デオキシ−3’−t−ブチルジメチルシリルチミジン(0.7
g,1.9ミリモル)を添加した。反応混合物を45分間攪拌した後、2日間冷蔵庫
に入れて置いた。2M酸化ナトリウム3.1eq.及び30%過酸化水素3.1eq.を含む水
溶液を用いて処理を行った。溶液は0℃において添加漏斗を通して反応混合物に
徐々に添加し、1時間攪拌し、氷浴から除去し、酢酸エチルで希釈し、水、次い
で、飽和塩化ナトリウムで洗浄した後、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた
。表題化合物
をフラッシュクロマトグラフィーによって酢酸エチル/ヘキサンの20〜80%勾配
を用いて精製した。
例18:3’-O-t-ブチルジメチルシリル−5’−デオキシ−5’−ホルミルチミ ジン
例11において3’-O-t-ブチル−ジメチルシリルチミジン4’−アルデヒドに
関して記載したのと同様な方法を用いて、3’-O-t-ブチルジメチルシリル−5
’−デオキシ−5’−ヒドロキシメチルチミジンを酸化して表題アルデヒドに生
成した。
例19:3’-O-t-ブチルジメチルシリル−5’−デオキシ−5’−カルベトキシ エチルチミジン
3’-O-t-ブチルジメチルシリル−5’−カルベトキシメチレン−5’−デオ
キシ−チミジン(4.24g,10ミリモル)の酢酸エチル中攪拌溶液に、窒素雰囲気
下において10%Pd/C200mgを添加した。窒素ガスを減圧によって除去し、水素
を導入した。この操作を2回繰り返し、水素雰囲気下で16時間攪拌を続けた。触
媒をセライトパッド上で濾過し、溶媒を減圧除去した。表題化合物をヘキサン/
酢酸エチルから結晶化した。表題化合物を95%の収率で得た。
例20:5’−O−ジメトキシトリチル−3’−アセトキシメチル−3’−デオキ シ−チミジン
5’−O−ジメトキシトリチル−3’−ヒドロキシメチル−3’−デオキシ−
チミジンの塩化メチレン20ml中溶液に触媒量のジメチルアミノ−ピリジン及び過
剰の無水酢酸を添加した。1時間後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、炭酸水
素ナトリウム水溶液、次いで、ブラインで洗浄し、有機層を硫酸ナトリウム上で
乾燥させた。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィーによって25%酢酸エチ
ル/ヘキサンを用いて精製した。
例21:5’−O−ジメトキシトリチル−3’−メチレン−3’−デ オキシ−チミジン
M.Sharma及びM Bobek(Tetrahedron Letters:5839〜5842,1990)によって
記載された方法に従って、表題化合物を製造した。
例22:5’−O−ジメトキシトリチル−3’−ヒドロキシメチル−3’−デオキ シ−チミジン
−23℃において5’−O−ジメトキシトリチル−3’−メチレン−3’−デオ
キシ−チミジン(200mg)の塩化メチレン5ml中溶液に、攪拌しながら、THF(2.
5eq.)中ボランの1M溶液を添加した。1時間後、THF(1.5eq.)中1Mボラン
をさらに加え、混合物を2時間攪拌した。反応混合物を0.5M NaOH-H2O2の混合
物で急冷し、15分間攪拌した。目的生成物を酢酸エチルで抽出し、水、次いで、
ブラインで洗浄し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。表題化合物をフラ
ッシュクロマトグラフィーによって90%酢酸エチル/ヘキサンを用いて精製した
。
例23:5’−O−ジメトキシトリチル−3’−ホルミル−3’−デオキシ−チミ ジン
5’−O−ジメトキシトリチル−3’−ヒドロキシメチル−3’−デオキシ−
チミジン(215mg,0.39ミリモル)の塩化メチレン4ml中溶液に、0℃においてD
ess-Martin Periodinate(245mg,1.5eq.)を添加し、混合物を30分間攪拌した
。10%チオ硫酸水素ナトリウム水溶液(3ml)を前記混合物に添加し、5分間攪
拌した。得られた混合物を酢酸エチルで希釈し、水、次いで、ブラインで洗浄し
、有機層を乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗製アルデヒドをクロロホルム
20ml中に溶解させた。DBUを1滴添加し、得られた反応混合物を6時間攪拌した
。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィーによって5%メタノール/塩化メ
チレンを用いて精製した。
例24:3’-O-t-ブチルジメチルシリル−5’−アミノメチル−5 ’−デオキシチミジン
3’-O-t-ブチルジメチルシリル−5’−デオキシ−5’−カルボキシメチル
チミジン(400mg)の無水トルエン10ml中攪拌溶液に、トリエチルアミン(1.1eq
.)及びジフェニルホスホリルアジド(1.1eq.)を添加し、混合物を40分間攪拌
しながら60℃に加熱した。過剰のベンジルアルコールを混合物に添加し、4時間
攪拌を続けた。カルバメートをフラッシュクロマトグラフィーによって5%メタ
ノール/塩化メチレンを用いて精製した。カルバメート(300mg)を酢酸エチル
5ml中に溶解させ、この溶液にPd(OH)2 30mgを添加した。得られた混合物を水
素雰囲気下で12時間攪拌した。触媒を濾過し、表題化合物をフラッシュクロマト
グラフィーによってメタノール/塩化メチレンの10〜30%の勾配を用いて精製し
た。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07H 21/04 8615−4C C07H 21/04 Z
// C12N 15/09 9162−4B C12N 15/00 A