JPH08506650A - バックラッシュのない歯車機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 バックラッシュのない歯車機構は、歯状突起付き噛合い要素（２６、２８）を有する。少なくとも一方の歯状突起付き要素は、波状の「Ｓ字」形横断面を有する多数の歯を有する。歯は、歯状突起付き要素の噛合い時に、波状の形状を有する歯の１本が、他方要素の隣接する２本の対向歯の各々と少なくとも１カ所で接触（Ａ、Ｂ）するように、配置されている。

Description

【発明の詳細な説明】 バックラッシュのない歯車機構 本発明は、バックラッシュのない歯車機構に関する。 バックラッシュのない歯車機構については、英国特許明細書No.1 251 941で開 示されており、その明細書では、歯状突起のある噛合い要素の少なくとも１対に おける歯が、弾性ゴムまたはプラスチック材料で形成され、さらに、変形性を改 善するために、長穴または穴を付けて形成してもよい。一方の要素の変形可能な 歯は、噛合い時に歯状突起付き要素を強制的に一緒にすることにより、バックラ ッシュなしで他方要素の歯と完全に噛み合う。しかし、この歯車構成は非常に軽 量の負荷にしか適さない。歯の変形性のために、歯状突起付き噛合い要素のずれ が生じる可能性があるからである。 ヨーロッパ特許明細書No.0 084 197も、歯車機構におけるバックラッシュ問題 に一解決策を提供する。EP 0 084 197の歯車機構は、１対の歯状突起付き噛合い 要素を有し、その各々が、横方向に非対称の形を有して、噛合い時には、歯状突 起付き要素の回転面に対して法線方向で、強制的に互いに接触する。さらに、歯 状突起付き要素の歯に長穴をあけて変形性を改善し、これによって確実にバック ラッシュをなくしてもよい。この構成には、歯状突起付き噛合い要素を、歯状突 起付き要素の回転面 に対して法線方向で強制的に接触させる手段を含む必要がある。 英国特許明細書No.1 202 806も、歯車機構におけるバックラッシュ問題に一解 決策を提供する。検討されている解決策は、EP 0 084 19７より、さらにGB 1 25 1 941に類似する。GB 1 202 806の歯車機構は、内歯歯車／リングギア機構であ るが、変形可能な材料で形成された歯を有する第１歯状突起付き噛合い要素を、 第２歯状突起付き要素と強制的に噛み合わせ、噛合い時に、変形可能な歯が変形 して第２歯状突起付き要素の歯と完全に噛合い、これによってバックラッシユを 防止するという原理を利用する。この歯車機構も、歯の変形性が高いためにずれ やすい。 先行技術の歯車機構の前記欠点を未然に防止し、軽減することが、本発明の目 的である。これは、このように形成された駆動能力について不当に妥協すること なくバックラッシュを取り除く歯車機構を提供することによって、達成される。 本発明により、歯状突起付き噛合い要素を有する歯車機構が提供され、前記要 素のうち一方の歯の少なくとも幾つかが、波状の縦横断面を有し、これによって 波状の縦横断面を有する１本の歯が、いつでも、他方要素の隣接する２本の対向 歯の各々と少なくとも１カ所で接触するように、前記要素を噛み合わせることが できる。 前記要素のうち一方の歯全部が、波状の縦横断面を有 することが好ましい。 さらに、他方要素の歯全部が、これに対応して逆の波状の縦横断面を有するこ とが望ましい。 波状縦横断面を有する歯状突起付き噛合い要素の歯は、規則的に波状の形状を 有することも、望ましい。 歯状突起付き噛合い要素の歯は、弾性変形できてもよい。 歯状突起付き噛合い要素は各々、おおむね歯車の形状でもよい。 代わりに、前記歯状突起付き噛合い要素のうち一方がラックで、これによりラ ックとピニオンとの形で歯車機構を提供してもよい。 一方の歯状突起付き噛合い要素の歯のピッチは、他方の噛合い要素の歯と歯と の間の間隔を、少量上回ることが望ましい。 歯車機構は、平歯車、傘歯車、または内歯歯車機構を有することができる。 本発明の前述の特徴およびその他の特徴は、好ましい実施例に関して例を用い た以下の説明、および添付図を参照することによって、さらに簡単に理解される 。 第１ａ図は、既知の構造の１対のインボリュートギアの周囲を、ある面で部分 的に展開した概略図である。 第１ｂ図は、第１ａ図の各歯車の歯の輪郭である。 第２図は、本発明の第１の実施例による歯車機構の透視図である。 第３ａ図は、第２図で示した発明の実施例を形成する１対の歯車の周囲を、あ る面で部分的に展開した概略図である。 第３ｂ図は、第３ａ図の線Ａ−Ａに沿った断面図で、歯車の歯幅に沿って選択 した位置で、第１の実施例の歯車間の歯の接触パターンを概略的に示す。 第３ｃ図は、第３ａ図の線Ｂ−Ｂに沿った断面図で、歯車の歯幅に沿って選択 した位置で、第１の実施例の歯車間の歯の接触パターンを概略的に示す。 第４ａ図および第４ｂ図は、本発明の第１の実施例の歯車について、代替歯の 輪郭を示す。 第５図は、本発明の第２の実施例の透視図である。 図面を参照すると、第１ａ図は、１対の通常のインボリュートギア（１０、１ １）の周囲を、ある面で部分的に展開した概略図で、歯車（１０、１１）の歯間 の噛合い歯の接触を示す。このように既知の歯車機構では、駆動力を駆動歯車１ ０から被動歯車１１に伝達するために、駆動歯車１０の歯の前面１０’が、被動 歯車１１の個々の歯の後面１１’と接触するように、駆動歯車１０（斜線で示す ）の歯が被動歯車１１の歯と噛み合う。駆動歯車の各歯の後面１０”と、被動歯 車１１の後ろ側または従歯の前面１１”との間に、バックラッシュと呼ばれる空 隙が存在する。 第１ｂ図は、第１ａ図の歯車機構を有する歯車の歯の輪郭を示す。歯は、従来 の輪郭であり、以下で記述する ように、本発明の実施例が有する歯状突起付き要素の歯の望ましい輪郭と対比さ れる。 バックラッシュは、一方方向の伝達、特に負荷が軽い場合に問題となる可能性 がある。このような状態では、負荷の変動のために、駆動歯車の歯が被動歯車の 歯との接触を断続的に失い、そのため歯車がガタガタ鳴ることがある。実際、こ れは自動車の用途ではよく起きる。しかし、バックラッシュは両方向の伝達系で 特に問題となる。駆動が反転すると、被動歯車１１が今度は駆動歯車になり、バ ックラッシュと同等の少量であっても、反対方向の駆動系が確立される前に回転 しなければならない。伝達駆動系が確立される前の、被動歯車１１（この場合は 駆動歯車）のこのような動きもバックラッシュと呼ばれ、望ましくない。動力伝 達の衝撃を生じ、歯車の歯に損傷を与える可能性があるからである。 バックラッシュの問題は、動力伝達系で問題になるばかりでなく、構造体の位 置を精密に制御するために歯車機構の形で伝達系を提供する場合にも、重大な問 題を生じる。たとえば、ロボット工学、工作機械機器、または測定装置などであ る。 第２図は、本発明の第１の実施例による歯車機構２０の透視図を示す。歯車機 構は、歯車（２２、２４）の形の第１および第２歯状突起付き要素を有し、明確 さを期して、これを１本の歯（２６、２８）で示す。歯車（２２、２４）の歯（ ２６、２８）は同一の形状で、波状に なり、各々が横方向でおおむね「Ｓ字形」を形成する。第１歯車２２の歯は、第 ２歯車２４の歯と手が異なるので、噛合い時、各歯（２６、２８）が、駆動側の 曲率点で接触し、被動側の反対方向の曲率点で接触する。 歯車（２２、２４）の歯（２６、２８）のピッチは、湾曲部の前端から湾曲部 の後端までの値として測定されるが、これは、歯車（２２、２４）が急に噛み合 って歯（２６、２８）の「Ｓ字」形状が両歯車上でわずかに変形し、バックラッ シュを防止するように、歯が噛み合うための歯の空間より、既定の少量の値だけ 上回ることが好ましい。歯は、噛合い時の変形に有利なように、細長い形状であ る。 各歯（２２、２４）の歯（２６、２８）は、すべてが前述したように波状の形 状であることが好ましいが、常に波状の歯の少なくとも１本が、他方歯車の隣接 する歯に接触していれば、一方の歯車の歯の一部しか波状でなくても、その歯車 機構はバックラッシュを防止することが理解される。実際、両方の歯車において 、従来の形状の歯と前述した波状の形状の歯とを組み合わせてもよい。 第３ａ図は、第２図の歯車機構の第１および第２歯車（２２、２４）の歯（２ ６、２８）間の噛合い接触を、さらにわかりやすく示す。第１歯車（斜線で示す ）の歯（２６）が、各歯が少なくとも１カ所で他方歯車の隣接する２本の歯の各 々と接触するように、第２歯車の歯と 噛み合っているのが見える。 第３ａ図および第３ｃ図は各々、歯幅に沿って選択した位置で、個々の歯車の 歯間の接触パターンを示す。 歯および歯車を、金属の機械加工のように、従来の手段で製造することもでき るが、歯、さらに言えば歯車も、ゴムやプラスチック材料などの適切な材料から 形成できる。しかし、歯を形成する材料は、前述したような先行技術の歯車機構 で利用される材料より剛性が高く、それによって噛み合う歯車間のすべりの問題 を回避することが理解されよう。 第４ａ図および第４ｂ図は、本発明のための２つの好ましい歯の輪郭を示すが 、第４ｂ図の歯の輪郭が適するのは、相手歯車が第４ａ図に示したような輪郭の 歯を有する場合のみである。第４ａ図は、前述したような機能を果たすための正 しい機能を果たすのに適した形状を示し、多少弾性を有する歯車の歯を提供する ため、通常の歯より深い歯車溝を備える。 第５図は、ラック４０とピニオン４２との歯車という形の、本発明の２番目の 実施例を示す。この実施例のバックラッシュも、前述したものと同じ方法で除去 される。 本発明の実施例では、歯車は平歯車でもはすば歯車でもよいが、変形したイン ボリュートの歯形が最も有望である。歯は、縦横比が高く、ピッチが細かいこと が好ましい。噛合い時には、歯の頂部の５０％から６０％しか 接触しないが、歯の深さの残りの部分は、歯底または歯元の面の応力を超えずに 、両側面で接触できるのに必要な可撓性に寄与する。 本発明の歯車機構は、反転点で運動を失うことなく、歯車によって位置決めさ れる何らかの構造の正確な位置を達成するための手段を提供する。これは特に、 ロボット工学、工作機械、および測定装置のような用途に有用である。 さらに、本発明の歯車機構は、バックラッシュまたは「ワインドアップ」（蓄 積されたバックラッシュ）によって強調される変動トルク状態のために生じ得る 歯の高い動荷重および騒音を減少させる。

───────────────────────────────────────────────────── 【要約の続き】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．歯状突起付き噛合い要素を有し、前記要素のうち一方の歯の少なくとも幾つ かが、波状の縦横断面を有し、これによって波状の縦横断面を有する１本の歯が 、いつでも、他方要素の隣接する２本の対向歯の各々と少なくとも１カ所で接触 するように、前記要素を噛み合わせることができる歯車機構。 ２．前記一方要素の各歯が、波状の縦横断面を有する請求項１記載の歯車機構。 ３．他方要素の各歯が、対応する逆の波状の縦横断面を有する請求項２記載の歯 車機構。 ４．波状の縦横断面を有する各歯が、規則的な波状の形状を有する請求項１から ３までのいずれかに記載の歯車機構。 ５．歯状突起付き噛合い要素の歯が、弾性変形できる請求項１から４までのいず れかに記載の歯車機構。 ６．歯状突起付き噛合い要素が各々、おおむね歯車の形状である請求項１から５ までのいずれかに記載の歯車機構。 ７．前記歯状突起付き噛合い要素の一方が、歯車の形状で、他方がラックの形状 であり、それによってラックとピニオンとの形の歯車機構を提供する請求項１か ら５のいずれかに記載の歯車機構。 ８．一方の歯状突起付き噛合い要素の歯のピッチが、他方の噛合い要素の歯間の 空間をわずかに上回る請 求項１から７のいずれかに記載の歯車機構。 ９．歯車機構が、平歯車、はすば歯車、または内歯歯車機構を有する請求項１か ら６のいずれかに記載の歯車機構。