【発明の詳細な説明】
高品質半導体材料製造のためのマイクロ波励起方法
技術分野
この発明は、一般的には、半導体材料の製造に関するものである。さらに詳細
には、この発明は、薄膜半導体合金材料の製造のためのグロー放電堆積方法に関
するものである。さらに具体的には、この発明は、高品質半導体合金材料製造の
ためのマイクロ波励起グロー放電堆積方法に関するものである。
背景技術
グロー放電堆積は、半導体材料、絶縁体、光学的コーティング膜、ポリマー、
等の各種の材料の薄膜形成のために用いられている。以前のグロー放電堆積プロ
セスは、プラズマ励起のために、直流電流、低周波の交流電流、あるいは無線周
波の交流電流などを用いていた。無線周波電流はこの目的に対して依然としてか
なり広範に用いられている。
無線周波励起グロー放電堆積プロセスに対する特有の欠点の1つは、比較的堆
積速度が遅いということおよびプロセス・ガスの利用効率が良くないということ
である。堆積速度とガスの利用性を増加させるために、当業者はマイクロ波励起
プラズマを使用するようになった。マイクロ波励起プロセスは、堆積速度とガス
の利用性を大きく改善するけれども、そのプロセスから堆積される材料、特に半
導体材料は、対応する無線周波プロセスにより堆積された材料よりも、一般的に
低品質であることがわかった。これまで、材料の品質低下はマイクロ波励起堆積
に固有のものであるとされてきた。
光起電力デバイスでは、材料の品質はデバイスの効率と直接関連しているので
、通常の無線周波プロセスにより堆積された材料の品質を上回る品質の光起電力
半導体材料を製造するマイクロ波励起堆積プロセスを持つことが、最も好まし
い。
従来技術においては、マイクロ波堆積半導体材料は、無線周波堆積材料よりも
品質が劣るものとされていたので、対応する組成の無線周波堆積半導体の材料品
質と同等かそれよりも優れた材料品質を持つ半導体を堆積させるために、マイク
ロ波プロセスが採用され得るための方法論は何も示されていなかった。従来技術
はこのように、この発明の原理については何も教えていない。例えば、米国特許
第4,504,518号は半導体層のマイクロ波励起堆積についての種々のプロセスを述
べている。堆積は主にかなりの高速で実施されており、その特許の中では、低堆
積速度のマイクロ波励起プロセスによると低品質の半導体材料が得られることが
わかっている。この発明は、同等の無線周波堆積プロセスにより得られる材料の
品質を超える半導体材料を得るために、マイクロ波励起堆積プロセスが採用され
得るための方法を提供するものである。この発明の方法は、詳細は以下に述べる
が、この方法で得られる半導体材料の全体の品質を高めるためにプラズマの組成
および堆積速度を制御するものである。この発明は、通常のマイクロ波励起堆積
装置の中で実施され、その装置の使用により大変高い品質の半導体デバイスが経
済的に製造される。この発明のこれらのあるいはその他の利点は、以下の図面、
議論および説明から直ちに明らである。
説明の開示
ここに、高品質半導体材料のマイクロ波励起堆積方法を開示する。この方法は
次の、堆積室すなわち堆積チャンバを用意する工程、チャンバ内に基板を配置す
る工程、少なくとも1つの半導体前駆体材料を含むプロセス・ガスをチャンバ内
に導入する工程、プロセス・ガスを予め選定された圧力に維持する工程、堆積チ
ャンバ内にマイクロ波エネルギーを導入するために作動可能にマイクロ波電力源
を用意する工程、第1の堆積速度で基板上に半導体材料の層を堆積するために十
分な堆積種濃度を有するプラズマを、プロセス・ガスから生成するために予め選
定されたレベルでマイクロ波電力源を励起する工程、および半導体材料の基板上
への実際の堆積速度が第1の堆積速度よりも低くなるように堆積種の基板への
アクセスを制御する工程、を含んでいる。1つの実施例においては、プラズマを
生成するときに、マイクロ波電力源は、100%の飽和モードで操作するに十分な
レベルに励起される。基板への堆積種のアクセスを制御してプロセスにおける堆
積速度を1秒当り10〜50オングストロームの範囲にすることが一般的に好ましい
。
特定の実施例においては、堆積種のアクセスは、プラズマと基板との間にグリ
ッドを配置することにより制御される。そのグリッドは電気的に接地しても、バ
イアスしてもよい。さらに他の実施例においては、基板への堆積種のアクセスを
さらに制限するために、サブチャンバの中でプラズマを形成する。
図面の簡単な説明
第1図は、この発明の方法を実施するための1つの特定の装置を示す切断断面
図である。
第2図は、この発明を用いて製造された光起電力デバイスを示す切断断面図で
ある。
第3図は、第2図のデバイスを製造するために使用される装置の切断断面図で
ある。
発明を実施するための最良の形態
この発明によれば、プラズマの動力学とプロセスの堆積速度が適当に制御され
る場合、マイクロ波励起グロー放電堆積プロセスは、対応する無線周波励起堆積
により製造されたたものよりも優れた半導体材料を製造することができるという
ことが判明した。低堆積速度マイクロ波プロセスについての従来の技術的研究で
は、低堆積速度のために低いパワー入力および/または薄いガス混合物が用いら
ており、このような手法では低品質の半導体堆積物が得られる。それ故、これま
でマイクロ波堆積半導体材料は対応する無線周波堆積材料よりも劣るとされてき
た。この発明は従来の知識を打ち破るものであり、マイクロ波プロセスによって
非常に高品質の半導体材料を製造し得るということを認識したものである。この
発明のプロセスにおいては、励起プラズマを生成するために一般的には減圧下に
保たれているプロセス・ガスにマイクロ波エネルギーが入力される。プラズマは
、半導体層を作り出すために基板上に堆積する堆積種を含んでいる。この発明に
よれば、プラズマはかなりの励起レベルに保持され、典型的には1秒当り50オン
グストロームを超える特定の比較的早い速度で基板上に半導体材料を堆積するの
に十分な堆積種の濃度が作り出される。堆積種の基板へのアクセスは、典型的に
は1秒当り10から50オングストロームの範囲にあるより低い実際の堆積速度を用
意するために制御される。高励起プラズマを維持することにより、プロセス・ガ
スはマイクロ波により十分に励起され、そこに適切な堆積種が作り出される。基
板への堆積種のアクセスを制御することにより、確実に、適切な半導体の膜の形
態が作りだされる。その堆積する膜は、ミクロボイド、ダングリング・ボンドあ
るいはその他の材料品質を劣化させるような欠陥の数が少ないといわれている。
この発明の驚くべき知見は、このような条件のもとで堆積された材料が無線周波
励起プラズマから同じ堆積速度で堆積された半導体材料と同様に優れているとい
うことである。マイクロ波励起プラズマにおける高励起条件は、最適堆積種の発
生を促進し、これらの種の基板へのアクセスを制御することは、膜の成長が適切
に行われる。
ここで第1図を参考するに、第1図はこの発明を実施するために用いられる装
置10の断面を示している。この装置10は、外と封止可能であり、かつその内部を
減圧下に保持可能な堆積チャンバ12を含んでいる。普通は、このチャンバ12はス
テンレススチールかそれと同様のもので製造されている。この装置は、さらに排
気導管16によりチャンバ12と連通された真空ポンプ14を含んでいる。真空ポンプ
14と導管16とは、チャンバ12内を減圧下に維持するために協働して作動する。
この実施例においては、この装置10は、さらに堆積チャンバ12内に配置された
サブチャンバ18を含んでいる。このサブチャンバ18はプロセス・ガス導管20を有
している。プロセス・ガス導管20は、プロセス・ガス供給部22とも連通しており
、サブチャンバ18へプロセス・ガスを導入する機能をする。
この装置は、さらに導波管25およびマイクロ波透過窓の手段によりサブチャン
バ18と作動的に連通されたマイクロ波発生装置24を含んでいる。この装置は、さ
らにサブチャンバ18の一端近くに配置されたグリッド26を含んでいる。このグリ
ッドは一般的には接地されているかあるいはバイアスされている。この装置10は
、その装置中に保持されている基板28上に半導体材料あるいは同様のものの層を
堆積するように動作し、基板28は、ヒータ(図示されていない)によって高めら
れた温度に維持することができる。
典型的な動作においては、基板28は堆積チャンバ12内に配置され、チャンバは
シールされ大気圧以下に排気される。大抵の場合、酸素、水蒸気およびその他の
種のそのチャンバからの除去を促進するために、窒素あるいはアルゴンのような
不活性のフラシュ・ガスでチャンバがパージされる。導管20およびサブチャンバ
18を経て、プロセス・ガスがチャンバ12内に導入される。プロセス・ガスの流量
と真空ポンプ14の排気速度は、チャンバ内が望ましい作動圧に維持されるように
調整される。一般に、マイクロ波堆積プロセスは、概ね1ミリトルから1トルの
範囲の圧力で行われる。好ましい堆積の雰囲気がいったんできると、マイクロ波
エネルギーが導波管25および窓を通してチャンバ内に導入される。マイクロ波エ
ネルギーは、サブチャンバ18内でプロセス・ガスから励起プラズマ30を生ずる。
そのプラズマは、種々のイオン化された種およびプロセス・ガスから生じたラジ
カルから構成されている。これらの堆積種は、そのプラズマ30の近くに維持され
ている基板28上に半導体材料の層を堆積する。大抵の例では、基板28は、そこで
の半導体堆積の成長を促進するために加熱される。この発明によれば、グリッド
26は、プラズマ30中の堆積種の基板28へのアクセスを制御するために用いられて
いる。一般に、グリッドは電気的に接地されているけれども、ある例では、堆積
種の基板28へのアクセスをうまく制御するするために正あるいは負のバイアスを
印加することができる。
プロセス・ガスの組成は、堆積される半導体材料に依存している。望ましい半
導体が、シリコン合金材料、ゲルマニウム合金材料あるいはシリコンーゲルマニ
ウム合金材料のような第IVa族ベースの材料であるような例においては、プロセ
ス・ガスは、シラン、ジシラン、四弗化シリコン、水素化ゲルマニウム等の単独
あるいは組合せのような半導体前駆体材料を典型的に含んでいる。この技術分野
において良く知られているように、プロセス・ガスは、さらに水素、弗素のよう
なハロゲン、およびその他の修正および合金材料を含んでいる。プロセス・ガス
は、また、ヘリウムあるいはアルゴンのような不活性ガスをも含み、もし、ドー
プされた半導体が製造される場合には、ガス混合物はドーパント前駆体を含む。
マイクロ波発生装置24は、電磁気スペクトルのマイクロ波部分におけるエネルギ
ーを供給するように作動し、好適な実施例では、その発生装置は2.45ギガヘルツ
のエネルギーを供給するように作動する。
この発明は、ここに示されている以外の装置においても実施し得ることがわか
る。例えば、サブチャンバ18は除去することができ、そのような場合は、堆積種
のアクセスの制御は専らグリッド26に依存することになる。他の例においては、
グリッド26は、接地されるかあるいはバイアスされる導電性のプレート、ワイヤ
等で置き換えることもできる。他の例においては、堆積種のアクセスの制御は、
例えば、制限された出口あるいは堆積種の通過に対する同様の他の障害を含むこ
とによるサブチャンバ自体の変更により達成することができる。
実験例
一連の実験が実施され、種々の堆積速度における無線周波およびマイクロ波グ
ロー放電堆積プロセスにより同様の光起電力デバイスが用意された。得られたデ
バイスは模擬的な太陽の条件の下でテストされ、それらの性能はデバイスの半導
体層の材料品質を表すものとして考慮された。
第2図は、この一連の実験において採用された型の光起電力デバイス40の断面
図を示している。デバイスは、p-i-n型構成であり、基板電極42と上部の透明電
極46との間に配置された3組の光起電力層44から構成されている。基板電極42は
、鏡面反射頂部表面を持つステンレススチール体を有する。3組の半導体層44は
、最初に、リンでドープされたアモルファスのシリコン−水素合金材料体から構
成されているn−ドープされた層48を含んでいる。n−ドープされた層の上に、
実質的に真性のアモルファス合金半導体材料体50がある。この層50は、“実質的
に”真性であると表現される、その理由は、ある例ではごく僅かにpあるい
はn−型導電性を示すことができるからである。真性層50の上に、p−ドープさ
れた半導体合金材料の層52が配置されており、好ましい実施例では、この層は微
結晶のホウ素でドープされたシリコン−水素合金材料層である。デバイスの頂部
電極46は、典型的には、酸化インジウム、酸化すず、酸化亜鉛あるいはそれらの
組合せのような透明導電酸化物(TCO)材料から製造される。最後に、デバイス4
0は、一般に頂部電極46に関連させられた電流収集グリッド60を含んでいる。グ
リッド60は、金属箔あるいは金属ペーストのような高導電材料から製造され、そ
して光により発生された電流を頂部電極46から集める働きをする。この発明によ
れば、少なくともデバイス40の真性層50は、マイクロ波堆積材料から製造される
。
第3図は、この一連の実験で採用されているプラズマ堆積装置70を示している
。装置70は、無線周波励起堆積チャンバ72およびマイクロ波励起堆積チャンバ74
を含んでいることがわかる。この装置70は、種々の条件の下で、半導体デバイス
製造に使用することができる。この装置70は、基板の除去および置換のためのロ
ーディングチャンバ76をさらに含んでいる。ゲート・バルブ78a,78bがrfチャン
バ72、マイクロ波チャンバ74およびローディングチャンバ76を分離しており、当
業者には良く知られているように、これらのバルブは容易に開閉されて、かなり
大きな基板が前記装置の隣接するチャンバ間を通過できるようにする。
rfチャンバ72は、3つの別個の堆積域80,82および84を含んでおり、それらは
それぞれp−型、真性およびn−型半導体層に適用される。各堆積域の端部近く
に、ガス供給室88と連通するマニホルド導管86を経てガスの供給を受ける。各rf
堆積域80,82,84は、電力供給(図示されていない)による無線周波エネルギー
よって励起される陰極90を含んでいる。各rf堆積域80,82,84は、さらに堆積基
板を保持および加熱する基板ホルダおよび基板ヒータ・アセンブリ92を含んでい
る。ローディングチャンバ76もまた基板ヒータ・アセンブリ92を含み、さらに陰
極90を含むことがわかる。ローディングチャンバ76と関連させられている前記ヒ
ータ92および陰極90は、この技術分野で良く知られているように、例えば、プラ
ズマ洗浄、他の特定の層の堆積およびそれに類するような処理により、基板を前
処理するために用いることができる。
マイクロ波チャンバ74は基板ヒータ・アセンブリ92をも含むが、しかし、この
チャンバ74は陰極アセンブリは含んでいないことがわかる。その代わり、マイク
ロ波チャンバ74には、導波管96によって作動可能に連通されているマイクロ波発
生装置94を経てマイクロ波エネルギーが供給される。マイクロ波チャンバ74は、
プラズマ30を閉じ込めるためのサブチャンバ18をさらに含んでおり、前に述べた
接地されたスクリーン(グリッド)26をもさらに含んでいる。
前記装置70は、真空導管100を経て各種チャンバに作動可能に連通されたプロ
セス・ポンプ98をさらに含んでいる。マイクロ波チャンバ74は、拡散ポンプ102
関連し、かつ導管106およびゲート・バルブ110によりマイクロ波チャンバ74に作
動可能に関連づけられているバックアップ・ポンプ104を有する拡散ポンプ102か
ら構成された別個の排気システムを含むということに注意してほしい。このマイ
クロ波堆積プロセスは、典型的にかなりの高流量のプロセス・ガスを用いており
、そして無線周波励起堆積とは別個の圧力系で動作されるので、典型的に別個の
排気システムを用いて、このようなダイナミックな条件のもとで好ましい圧力を
維持する。
この一連の実験において、第2図のデバイスに一般的に類似する一連のデバイ
スが無線周波およびマイクロ波堆積の双方を利用して製造された。最初のデバイ
スは全て無線周波プロセスを利用して製造された。鏡面反射ステンレススチール
基板が、ローディングチャンバ76の中に置かれ、水素プラズマにさらすことによ
り前処理された。次いでゲート・バルブ78bが開かれ、そしてコンベヤー・シス
テム(図示されていない)により基板がrfチャンバ72のn堆積域84へ運ばれた。
前記装置は、シールされ、20sccmの水素、.75sccmの水素中の1%のリン混合物
および.65sccmのジシランからなる雰囲気がチャンバを通して流された。チャン
バ内を1トルの圧力に維持するためにポンプが調整された。基板ヒータは、約25
0の温度に基板を維持するために付勢され、ガス混合物は13.56MHzの無線周波エ
ネルギーで励起された。前記陰極は、直径約3.5インチで、2ワットの電力が適
用された。堆積条件は、約75秒の間維持され、その間にn−ドープされたシリコ
ン合金材料の約200オングストロームの層が基板上に堆積された。
n層を載置している基板は、チャンバ72の真性域82に運ばれた。15sccmの水素
および15sccmシランの雰囲気がチャンバを通して流され、ポンプは1.2トルの圧
力を維持するために調整された。基板は約250℃の温度に維持され、そして陰極
は13.56MHzの無線周波エネルギーで励起された。陰極は直径約3.5インチで、15
ワットの電力が陰極に適用された。堆積条件は、約50秒の間維持され、その間に
真性シリコン合金材料の約1,000オングストロームが堆積された。堆積速度は1
秒当たり約20オングストロームであった。
真性層の堆積に引続いて、基板はp域80に運ばれた。95sccmの水素、2.5sccm
の水素中の5%のシラン混合物および3.25sccmの水素中の2%のBF3混合物の雰
囲気がチャンバを通して流された。排気速度は、チャンバ内を1.7トルの圧力に
維持するように調整され、基板は250℃に加熱された。陰極は前の堆積における
ように励起され、そして堆積条件は、p−ドープされた微結晶シリコン合金材料
を200オングストロームの層厚に堆積するのに十分な時間の間維持された。
完成されたデバイスはチャンバから取り除かれ、透明導電酸化物材料の頂部電
極層には真空蒸着プロセスが適用された。
2番目のデバイスが第3図の装置で製造された。このデバイスもまた、鏡面ス
テンレススチール基板上で製造され、前の例に対応して堆積されたn−ドープお
よびp−ドープされた層を含んでいた。しかしながら、n−ドープされた層が堆
積された後、基板はマイクロ波チャンバ74へ移され、そこに通じるガス・ゲート
が閉じられ、そしてこのチャンバは装置の他の部分からシールされた。
この堆積に対しては、グリッド26は装置から除去され、その結果、堆積種が基
板に達するのに何の障害もなかった。30sccmのシランおよび30sccmの水素の雰囲
気がチャンバを通して流された。ポンプはそこが10ミリトルの圧力に維持される
ように調整され、基板は250℃に加熱された。2.45GHzで約800ワットのマイクロ
波エネルギーがチャンバ内に導入された。マイクロ波パワーは、約23秒間維持さ
れ、約1600オングストロームの厚さの真性シリコン水素合金層が堆積した。堆積
速度は1秒当たり70オングストロームであった。真性層の堆積に引続いて、基板
はrfチャンバ72のp領域80に戻され、前の例と同じようにp−ドープされた層が
堆積された。p層の堆積に続いて、頂部TCO電極が製造された。
接地されたグリッド26がマイクロ波チャンバ74内に配置された以外は例2の手
順に従って、3番目のデバイスが製造された。プロセス・ガス組成およびパワー
は前の例と同様であったが、堆積速度は1秒当たり約19オングストロームとされ
、堆積条件は、1,950オングストロームの厚さの真性層を堆積するために約100の
間維持された。
このようにして製造されたデバイスは、模擬的なAM1.5の太陽照明にさらし、
これらの電気的出力を計測することによりテストされた。テストの結果が以下の
表にまとめられている。
計測されたパラメータとしては、素子占有面積(activearea)cm2当たりのミ
リワットで表されるセルの最大出力、素子占有面積cm2当たりのミリアンペアで
表される短絡電流、およびフィル・ファクタ(fill factor)があった。この技
術分野で良く知られているように、フィル・ファクタは、デバイスから抽出する
ことができる利用可能なパワーの量を計る良度指数(figure of merit)であり
、そのデバイスの電流電圧特性曲線から引き出される。1.0のフィル・ファクタ
は理想的なものであり、フィル・ファクタは光起電力デバイスの真性層の全体的
な材料品質を示す良い指標として用いられている。
マイクロ波プロセスで1秒当たり19オングストロームの速度で堆積された真性
層を含む例3の全体の性能は、1秒当たり70オングストロームの速度でマイクロ
波エネルギーにより真性層が堆積されることを除いては同じであった例2のデバ
イスにより達成された性能よりも良いということが前記データからわかる。例3
のデバイスは、1秒当たり20オングストロームの堆積速度で無線周波励起プロセ
スにより製造された真性層を含む例1のデバイスの性能を超えていることもわか
る。このように、この発明の使用を通して、対応する無線周波で製造された材料
の品質を超える材料品質を有するマイクロ波堆積材料が製造できるということが
わかる。
この発明は、100%かそれに近い飽和モードで励起プラズマを生成することに
よりおよび堆積速度を低めるために励起堆積種の基板へのアクセスを制限するこ
とにより、マイクロ波励起プロセス中で高品質半導体材料を製造することができ
る、改良された方法を提供するものである。この方法により、高品質半導体材料
の製造に対して最適なプラズマ動力学が、低い欠陥の膜に対する最適成長条件と
ともに、達成される。ここで、100%飽和モードとはプロセス・ガスが全部イオ
ン化されることを意味する。
適切なプラズマ動力学および成長速度が達成されると、この発明はここで例示
した以外の方法でも実施することができるということは評価されるべきである。
これまで述べたことを考慮すると、ここに示された図面、議論および説明は、単
にこの発明の特定の実施例を例示することを意味するのみであり、この発明の実
施にあたっての限定を意味するものではない。この発明の範囲を規定するものは
、以下の請求の範囲およびその全ての均等物である。
【手続補正書】特許法第184条の7第1項
【提出日】1995年2月13日
【補正内容】
請求の範囲
1.非多結晶質半導体材料のマイクロ波励起堆積方法において、
堆積チャンバを用意する工程と、
前記堆積チャンバ内に基板を配置する工程と、
少なくとも一つの半導体前駆体材料を含む処理ガス(processinggas)を前記
チャンバ内に導入する工程と、
前記処理ガスをある圧力に維持する工程と、
前記堆積チャンバ内にマイクロ波エネルギーを導入するためにマイクロ波電力
源を用意する工程と、
前記処理ガスから100%飽和モードでプラズマを生成するために選定されたレ
ベルに前記マイクロ波電力源を励起し、前記プラズマに第1の堆積速度で前記基
板上に半導体材料層を堆積するために十分な堆積種の濃度を持たせる工程と、
前記堆積種の前記基板へのアクセスを制御して、前記基板への半導体材料の実
際の堆積速度を前記第1の堆積速度より小とする工程と、
を含むことを特徴とするマイクロ波励起堆積方法。
2.前記堆積種の前記基板へのアクセスを制御する工程において、
実際の堆積速度が1秒当たり10〜50オングストロームの範囲となるようにアク
セスを制御することを特徴とする請求の範囲第1項記載の堆積方法。
3.前記堆積種のアクセスを制御する工程において、
前記プラズマと前記基板との間にグリッドを配置することを特徴とする請求の
範囲第1項記載の堆積方法。
4.前記グリッドが接地されていることを特徴とする請求の範囲第3項記載の堆
積方法。
5.前記グリッドが電気的にバイアスされていることを特徴とする請求の範囲第
3項記載の堆積方法。
6.前記堆積種の基板へのアクセスを制御する工程において、
前記プラズマをサブチャンバ内で生成することを特徴とする請求の範囲第1項
記載の堆積方法。
7.前記処理ガスをある圧力に維持する工程において、
前記ガスを1ミリトルから1トルの範囲の圧力に維持することを特徴とする請
求の範囲第1項記載の堆積方法。
8.処理ガスを導入する工程において、
第IVa族半導体前駆体材料を含むガスを導入することを特徴とする請求の範囲
第1項記載の堆積方法。
9.前記半導体前駆体ガスがシラン、ジシラン、水素化ゲルマニウム、四弗化シ
リコンおよびそれらの組合せから成るグループから選択された1つを含むことを
特徴とする請求の範囲第8項記載の堆積方法。
10.非多結晶質半導体材料のマイクロ波励起堆積方法において、
堆積チャンバを用意する工程と、
前記チャンバ内に基板を配置する工程と、
少なくとも一つの半導体前駆体材料を含む処理ガスを前記チャンバ内に導入す
る工程と、
前記処理ガスをある圧力に維持する工程と、
前記堆積チャンバ内にマイクロ波エネルギーを導入するためにマイクロ波電力
源を用意する工程と、
前記処理ガスから100%飽和モードでプラズマを生成するために前記マイクロ
波電力源を励起し、前記プラズマに1秒当たり50オングストロームよりも大であ
る第1の堆積速度で前記基板上に半導体材料層を堆積するために十分な堆積種の
濃度を含ませる工程と、
前記堆積種の前記基板へのアクセスを制御して、前記基板への半導体材料の実
際の堆積速度を前記第1の堆積速度より小とする工程と、
を含むことを特徴とするマイクロ波励起堆積方法。
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フロントページの続き
(72)発明者 シュウ,シシアン
アメリカ合衆国 48084 ミシガン州 ト
ロイ クルックス ロード 2200 ナンバ
ー 40