【発明の詳細な説明】エポキシ化ブロックコポリマー
発明の分野
本発明は、位置特異的に配置されたエポキシ基を有する選択的に水素化された
ポリジエンブロックコポリマーの製造方法に関する。この方法には、共役ジオレ
フィンをアニオン重合条件下で重合してリビングポリジエンを形成し、これを前
記の共役ジオレフィンとは異なった置換度を有する共役ジオレフィンと一緒にし
てブロックコポリマーを形成し、これを可溶性繊維金属触媒及び有機金属還元剤
の存在下で水素ガスと反応させて選択的に水素化されたブロックコポリマーを形
成し、そして非水素化ブロックの不飽和部位をエポキシ化することが含まれる。
この方法は、官能基のレベルが分子量とは独立に変わる種々の構造形状が得られ
るようにする。
発明の背景
化学量論的又は触媒方法によるポリジエン類のエポキシ化に関する多数の文献
がある。例えば、ポリイソプレン及びポリブタジエンが過酢酸及びペルオキシギ
酸でエポキシ化されてきた。更に、クロロホルム溶液中のm−クロロ過安息香酸
がシス−及びトランス−1,4−ポリイソプレン及びポリブタジエンをエポキシ
化するために使用されてきた。タングステン−ペルオキソ錯体を使用する触媒方
法が酸化剤として過酸化水素を使用し、認識できる副反応を起こすことなく、不
均一環境下で非活性化アルケンをエポキシ化するために使用されてきた。
上記の例に於いて、置換の量は少なくとも40モル%のレベルに正
確に制御することができるが、しかしながら、エポキシ基の配置は制御できない
。更に、エポキシ基の絶対位置特異的制御ができるシステムはない。
化学量論的方法によって1個又はそれ以上のポリスチレンブロック及び1個又
はそれ以上のポリジエンブロックを含むブロックコポリマーのエポキシ化は、米
国特許第3,555,112号、同第4,051,199号、同第4,131,653号及び同第4,131,725号
に報告されている。スチレン/ブタジエンブロックコポリマーのエポキシ化の触
媒方法は、Journal of Polymer Science,Chem.Ed.,29巻、547頁(1991年)に
X.Jian及びA.S.Hayによって記載されており、そこでは70モル%を超える添加
が副反応無しに得られた。しかしながら、1個又はそれ以上のポリスチレンブロ
ック及び1個又はそれ以上のポリジエンブロックを含むブロックコポリマーをエ
ポキシ化するためのこのような化学量論的及び触媒方法は、ポリスチレンブロッ
クがエポキシ化に対して不活性であるので、不足によってのみ位置特異的である
。
ポリイソプレンブロック及びポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマ
ーは、Journal of Polymer Science,Pt.A-1,9巻、2617頁(1971年)のJ.C.F
alkにより、ポリブタジエンセグメントが完全に飽和され、他方ポリイソプレン
セグメントが触れられないままである条件下で選択的に水素化された。Falkは、
より多く置換したポリオレフィンに手を付けないままでより少なく置換したポリ
オレフィンを水素化するために配位触媒を用いた。Li/Co,Li/Al又はNi/Al組
合せの何れかからなる3種の触媒系が記載された。これらの種類の均一触媒の選
択性は濃度、金属のモル比及びアルキル源の配位子種類に非常に依存しているこ
とが示された。選択的に水素化されたブロックコポリマーの別の派生した反応は
開示されてい
なかった。
米国特許第4,879,349号及び同第5,001,199号に於いてR.J.Hoxmeierは、少な
くとも2種類の異なった共役ジオレフィンを含み、その一つがオレフィン性炭素
原子の何れかで更に置換されているポリマーを選択的に水素化する方法を開示し
ている。Hoxmeierはジブロックコポリマー及びトリブロックコポリマーを開示し
ている。ジブロックコポリマーにはポリスチレンブロックとランダムブタジエン
ーイソプレンコポリマーブロックとが含まれ、ブタジエンユニットは選択的に水
素化されてエチレン/1−ブテン/イソプレンになるものが形成される。トリブ
ロックコポリマーにはポリスチレン末端ブロック及びランダムブタジエンーイソ
プレン内部ブロックが含まれ、ブタジエンユニットが選択的に水素化される。使
用される触媒系は、Al対Niが1:1.5〜2.8のモル比であるニッケルオクトエート
及びトリアルキルアルミニウムの組合せである。これらのAl対Niの小さい比は一
般に高活性の触媒になり、選択性は0.1〜0.001ミリモルニッケル/gポリマーの
触媒濃度を使用することによって得られる。この水素化方法によって製造された
ポリマーは40モル%以下の残留不飽和含有量に制限された。
ヨーロッパ特許出願第91300315.8号には、末端ブロックにのみ残留不飽和を含
む弾性ブロックコポリマーが開示されている。実質的に非負荷保持鎖(non-load
bearing chain)の無い弾性ネットワークを形成するためにトリブロックが必要
なので、このような弾性ブロックコポリマーには如何なるジブロック系も含まれ
ていない。このヨーロッパ特許出願第91300315.8号では、生成物は、生成物の弾
性に有害な結晶性が温度であってはならないことが特定されていることに注目す
ることが重要である。過度の結晶性はポリエチレン標準物質に標準化した10%結
晶化度を越えて含有するものとして定義
された。
前記文献のいずれにも芳香族セグメントを含まず、選択的に水素化されたブロ
ックコポリマーのエポキシ化は示唆されていない。更に、文献にはどのような構
造のジブロック系又はテーパー状の(tapered)ブロックコポリマーについても
記載されていなかった。更に、エポキシ化が徹底的に又は部分的に基体を官能化
するか否か及び顕著な副反応が実際の問題にする組成物に於ける変化を起こすか
否かは特定されていなかった。
発明の要約
それ故位置特異的に配置されたエポキシ基を有する選択的に水素化されたポリ
ジエンブロックコポリマーの製造方法を提供することが本発明の目的である。
本発明の他の目的は、本発明のブロックコポリマーを用いてポリマーブレンド
を相溶化させることである。
これらの及びその他の目的はここに、下記の工程:
(I)共役ジオレフィンをアニオン重合条件下で重合してリビングポリジエンを
生成せしめる工程、
(II)工程(I)のポリジエンを工程(I)の共役ジオレフィンとは異なった置
換度を有する共役ジオレフィンと一緒にしてブロックコポリマーを生成せしめる
工程、
(III)工程(II)のブロックコポリマーを可溶性遷移金属触媒及び有機金属還
元性の存在下で水素ガスと反応させて、より少なく置換されたブロックが少なく
とも98%水素化された選択的に水素化されたブロックコポリマーを生成せしめる
工程、並びに
(IV)非水素化ブロックの不飽和部位をエポキシ化する工程
からなる、位置特異的に配置されたエポキシ基を有する選択的に水
素化されたポリジエンブロックコポリマーの製造方法によって達成される。
本発明はまた、位置特異的に配置されたエポキシ基を有する選択的に水素化さ
れたポリジエンブロックコポリマーに関する。
図面の簡単な説明
下記の本発明の詳細な記述及び添付する図面を参照することによって、本発明
は更に完全に理解され、別の利点が明らかになるであろう。
図1は、2000倍の倍率の、如何なるブロックコポリマー相溶化剤も含まない80
/20重量%PETG/ポリプロピレンブレンドの顕微鏡写真である。
図2は、2000倍の倍率の、5.0重量%の0.7Kエポキシ化ポリイソプレン−35K
水素化ポリブタジエンブロックコポリマーを含む75/20重量%PETGコポリエステ
ル及びポリプロピレンブレンドの顕微鏡写真である。
発明の説明
本発明は、位置特異的に配置されたエポキシ基を有する選択的に水素化された
ポリジエンブロックコポリマーの製造方法に関する。この方法には4つの工程が
含まれる。第1工程に於いて、共役ジオレフィンをアニオン重合条件下で重合し
てリビングポリジエンを生成せしめる。第二工程には、工程(I)のポリジエン
を工程(I)の共役ジオレフィンとは異なった置換度を有する共役ジオレフィン
と一緒にしてブロックコポリマーを生成せしめることが含まれる。共役ジオレフ
ィンのポリマー及びコポリマーは、極性及び非極性の両方の溶液中で、共役ジオ
レフィン(類)をアニオン性開始物質と
接触させることによって重合される。
アニオン性開始物質には、有機リチウム化合物、バイメタル化合物及びアルカ
リ金属ナフタレン錯体が含まれる。バイメタル化合物は、m−ジイソプロペニル
ベンゼン、1,3−ビス[1−フェニルビニル]ベンゼン又はジビニルベンゼン
の種々の異性体を、sec−ブチルリチウム又はn−ブチルリチウムのような適当
なアルキルリチウム物質と反応させることによって得られる。バイメタル化合物
を得るために他の組合せも可能である。芳香族炭化水素のアルカリ金属錯体、特
にリチウム、ナトリウム又はカリウムナフタレンは、THFのような極性溶媒中で
ジアニオン性開始剤としても機能する。しかしながら、好ましいアニオン性開始
剤は、一般式RLixを有する有機リチウム化合物である。この式に於いて、Rは1
個又はそれ以上の炭素原子を含む脂肪族、芳香族又は脂環式基であり、xは1〜
20の整数である。適当な有機リチウム化合物には、メチルリチウム、エチルリチ
ウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フ
ェニルリチウム及びナフチルリチウムが含まれる。好ましい有機リチウム化合物
はn−ブチルリチウム及びsec−ブチルリチウムである。
リビングポリジエンを生成せしめるための共役ジオレフィンのアニオン重合は
、極性溶媒及び非極性溶媒の両方で行うことができる。一般に、溶媒必要条件は
リビングアニオン物質と反応性で、望ましくない開始剤失活又は連鎖停止反応に
なる酸水素又はその他の官能基が存在しないことである。適当な非極性溶媒には
、シクロヘキサン及びヘプタンのような炭素数4〜12の線状、分岐状及び環状鎖
炭化水素が含まれる。更に、ベンゼン、トルエン、キシレン及びテトラリンのよ
うな炭素数6〜12の芳香族炭化水素及びアルキル置換芳香族炭化水素を使用する
ことができる。
エーテル、環式エーテル、アミン等のような極性溶媒は、単独の重合媒体とし
て又は炭化水素希釈剤との共溶媒として機能する。反応はTHFのような純粋に極
性の溶媒中で行うことができるが、変性剤又は添加剤として反応媒体中に極性化
合物を含有させることが好ましい。共役ジオレフィンの極性変性アニオン重合に
於いて、反応速度論(reaction kinetics)は加速され、得られるポリジエンの
ミクロ構造は完全に非極性の環境下で行われるアニオン重合に比較して著しく変
えられる。例えば、ポリブタジエンは下記:
のような1,4又は1,2−ミクロ構造形の何れかで存在する。本発明で使用す
るとき用語1,2−及び1,4−ミクロ構造又は単位は、それぞれ成長ポリマー
鎖へのモノマー単位の1,2−付加及び1,4−付加により得られる重合の生成
物を指す。しかしながら、置換基の構造及び数が変わったポリジエンについて異
なったミクロ構造形が得られることは自明である。
共役ジオレフィンのオレフィン性炭素原子に直接結合している置換基は、水素
、アルキル、シクロアルキル、ハロゲン、アリール、シアノ、アルキルエーテル
、アリールエーテル及びこれらの組合せであってよい。好ましい置換基は水素、
ハロゲン及びアルキル置換共役ジエンである。極性変性剤が希釈剤体積の100%
以下の量で存在し、それによって重合溶媒又は共溶媒として機能してもよいが、
好ましくは溶媒体積の10%より少なく、最も好ましくは全溶媒の1%より少なく
構成するであろう。
極性化合物は酸水素又はリビングアニオンに有害な他の官能基を含まない任意
の化合物であってもよい。適当な例には、線状、分岐
状、環式脂肪族及び環式芳香族アミン類及びエーテル類が含まれる。特定の極性
変性剤にはテトラヒドロフラン、ジピペリジノエタン、テトラメチルエチレンジ
アミン、ジグリム、アニソール、トリアルキルアミン、クラウンエーテル、トリ
グリム及びエチルエーテルが含まれる。
リビングポリジエンを生成せしめるための共役ジオレフィンのアニオン重合反
応は、−100℃〜200℃の範囲内、好ましくは0℃〜100℃の範囲内の温度で行わ
なくてはならない。最も好ましくは、重合温度は減圧下又は不活性ガスの環境圧
力よりも高い圧力下で、25℃〜75℃の範囲内にすべきである。継続的モノマー添
加、テーパー状ブロックを生成させるための異なった反応性のモノマー混合物の
利用、多官能開始物質及びポリマー鎖カップリング法のような公知のアニオン重
合方法の何れも使用することかできる。ポリマー構造にはジブロック、多ブロッ
ク、ラジカル、テーパー状及びランダム状ブロックが含まれるが、これらに限定
されない。ある種のポリマー構造がある種の態様で好ましいかもしれない。例え
ば、それによって一つのモノマーからなるブロックから第二のモノマーからなる
ブロックへの漸次変化が生じるジブロック及びテーパー状ブロックが、ポリオレ
フィンを含むポリマーブレンド用の相溶化剤への前駆体として有用である。
本発明で有用な共役ジオレフィンモノマーは最小4個の炭素原子を有し、一般
式:
のものである。上記の式に於いて、R1,R2及びR3は、独立に、水素、アルキ
ル、アリール、ハロゲン、アルキルエーテル、アリー
ルエーテル等を表わす。具体的な共役ジオレフィンには、イソプレン、1,3−
ブタジエン、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、2,3−ジメチル−1,3
−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2
−クロロ−1,3−ブタジエン(クロロプレン)、2−フェニル−1,3−ブタ
ジエン、ミルセン及び2,3−ジフェニル−1,3−ブタジエンが含まれる。好
ましくは、共役ジオレフィンはイソプレン、1,3−ブタジエン又はクロロプレ
ンである。1個又はそれ以上のブロック中の種々の共役ジオレフィンの混合物は
、ブロック中の置換の全体レベルが選択的水素化を可能にすることと矛盾するこ
となく残っている限り本発明の範囲内である。
ガラス転移温度(Tg)、硬度、溶解度及び浸透度のようなある種の物理的パラ
メーターの制御を容易にするために、本発明で1個又はそれ以上のブロックセグ
メントにビニル芳香族炭化水素モノマーを使用することができる。代表的な例に
は、スチレン、α−メチルスチレン、モノ−、ジ−及び多アルキル化スチレン(
例えば、p−メチルスチレン及びp−tert−ブチルスチレン)、ビニルナフタレ
ン及びそのアルキル化誘導体、ビニルアントラセン並びにビニルトルエンが含ま
れる。スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン及びビニルトルエン
が好ましい。最も好ましいビニル芳香族炭化水素モノマーはスチレンである。
1個又はそれ以上のオレフィン性炭素原子の置換度を変える上で少なくとも2
種のジエンモノマーを含有させることが必要であるので、共役ジオレフィンモノ
マーを注意深く選択することが重要である。この点はイソプレン含有ブロック及
び1,3−ブタジエン含有ブロックからなるブロックコポリマーを検討すること
によって示される。
シス−1,4又は3,4−付加束縛の何れかで優先的に存在するポリイソプレン
ブロックは、1,4−単位について3の、そして3,4−単位について2の置換
度を有する。シス−1,4、トランス−1,4又は1,2−付加束縛の何れかで
存在するポリブタジエンブロックは、1,4−単位について2の、そして1,2
−単位について1の置換度を有する。1,4−付加は主鎖二重結合を生じ、1,
2−又は3,4−付加は側鎖二重結合を生じることに注目することが重要である
。そしてブロックコポリマー構造必要条件は、一般的に他のブロックよりも大き
い二重結合の周りの立体障害を有する一つのブロックセグメントとして述べるこ
とができる。
より多く置換されたポリジエンプロックの分子量は一般的により少なく置換さ
れたポリジエンプロックの分子量よりも低い。より少なく置換されたポリジエン
ブロックの分子量の妥当な範囲は、1000〜1,000,000ダルトン、好ましくは5000
〜500,000ダルトン、更に好ましくは10,000〜250,000ダルトンである。より多く
置換されたポリジエンブロックの分子量範囲は、100〜250,000ダルトン、好まし
くは300〜100,000ダルトン、更に好ましくは500〜50,000ダルトンである。ジ−
及び多ブロックコポリマーについての全分子量は、5000〜2,000,000ダルトン、
好ましくは10,000〜500,000ダルトン、更に好ましくは15,000〜300,000ダルトン
である。
工程(III)には、工程(11)のブロックコポリマーを可溶性遷移金属触媒及
び有機金属還元剤の存在下で水素ガスと反応させて、選
択的に水素化されたブロックコポリマーを形成することが含まれる。この水素化
工程はより少なく置換されたポリジエンブロックを飽和させることが重要である
。より多く置換されたポリジエンブロックの部分的水素化は変えるとができる。
より少なく置換されたブロックは少なくとも98%水素化されなくてはならず、好
ましくは99%より多く水素化されなくてはならない。水素化はアニオン重合に用
いられたものと同じ溶媒中で行うことができる。
例えば、イソプレン含有ブロック及び1,3−ブタジエン含有ブロックからな
るブロックコポリマーを水素化すると、構造式:
を有するポリ[イソプレン/(エチレン/1−ブテン)]ブロックコポリマーに
なる。
本発明で有用な溶媒には、シクロヘキサン又はn−ヘプタンのような線状及び
脂環式炭化水素並びにベンゼン及びトルエンのような芳香族炭化水素か含まれる
。溶媒中のポリマーの濃度は工程の持続のためにコポリマーが溶液中に残留して
いるようなものである。溶媒中のコポリマーの典型的な濃度は、1〜50重量%、
好ましくは5〜20重量%の範囲内である。低粘度の液体コポリマーを溶媒の不存
在下で水素化することも可能である。
この炭化水素溶媒には、線状又は環式アミン又はエーテルのような極性添加剤
が含まれていてもよい。水素化反応は環境よりも僅かに高いところから5,000psi
g(34576KPa)までの範囲内の分圧で行われる。5psig(136KPa)〜200psig(14
80KPa)、好ましくは10psig(170KPa)〜100psig(791KPa)の水素分圧が、より
少なく置換され
た不飽和ユニットの全モル数基準で0.1〜0.5モル%、好ましくは0.2〜0.3モル%
の遷移金属の範囲内の触媒レベルで使用される低圧法が好ましい。より高い圧力
、即ち100psig(791KPa)〜1000psig(6996KPa)で、より少なく置換された不飽
和ユニットの全モル数基準で0.01〜0.1モル%の遷移金属の触媒レベルを使用す
ることが可能である。何れの方法に於いても、20℃〜100℃更に好ましくは50℃
〜90℃の反応温度を使用することが好ましい。反応時間は触媒レベル、温度等の
ような使用される実際の水素化条件に依存している。好ましくは、重合条件は10
〜1200分の範囲内であり、水素化時間は30〜300分の範囲である。
水素化触媒は有機金属還元剤と組み合わせた1種又はそれ以上の遷移金属から
なる。適当な遷移金属化合物は周期律表のIV−B族、V−B族、VI−B族又はVI
II族から選択することができるけれども、VIII族金属、特にニッケル及びコバル
トアルコキシド及びカルボキシレートが好ましく、ニッケル(II)オクトエート
及びコバルト(II)オクトエートが最も好ましい。オクトエート配位子は最もし
ばしば2−エチルヘキサノエート幾何異性形として存在する。
有機金属還元剤は最もしばしばI−A族、II−A族又はIII−A族金属アルキ
ル、ハライド及びアルキルハライドから選択される。アルキルアミニウム、アル
キルリチウム及びアリールリチウム化合物、例えば、n−ブチルリチウム、sec
−ブチルリチウム、フェニルリチウム、トリエチルアミニウム、トリイソブチル
アルミニウム及びトリエチルアルミニウムクロリドが好ましい。還元金属の遷移
金属に対するモル比は、上記の全ての触媒組合せの水素化選択性は特定の金属組
合せについて広範囲に変化することがよく知られているので正確に制御しなくて
はならない。一般的に、還元金属の遷移金属に対するモル比は1:1〜10:1、
好ましくは1:1〜7:1、
更に好ましくは2:1〜5:1である。アルミニウム−ニッケル、アルミニウム
−コバルト及びリチウムーコバルト系が好ましい。還元剤の組合せも使用するこ
とができる。
触媒は、水素化反応を行うために使用される同じ溶媒中で、還元剤を遷移金属
化合物の溶液に添加することによって製造することができる。他の変形は、遷移
金属溶液と還元剤溶液の別々の供給物を同時に一緒にすることである。別の方法
は、遷移金属と有機金属還元剤とを重合反応器に直接添加することによってイン
シトゥで触媒を形成することである。全ての上記の場合に、触媒の形成を20℃〜
80℃の範囲内の、好ましくは60℃より低い温度で、10%(w/v)より低い触媒
の溶媒に対する濃度で行うことが望ましい。
工程(IV)には、非水素化ブロックの不飽和部位を化学量論的又は触媒方法に
よりエポキシ化することが含まれる。エポキシ化は重合及び水素化反応に用いた
ものと同じ溶媒及び反応器中で行うことができる。エポキシ化は二重結合の元の
数の殆ど100%転化まで行うことができるが、高いエポキシ含有量では開環副反
応が起こるのでこのことは普通は行われない。エポキシ化の範囲は不飽和単位の
元の数の0.1〜80モル%に変化する。
選択的水素化工程から製造された前駆体のエポキシ化により得ることができる
4種の一般的構造がある。下記の例はシス−1,4−付加単位を含有するポリイ
ソプレンブロックを表わす。ポリイソプレンブロックに幾らかの3,4−付加単
位が含まれる場合には、より多数のエポキシ化構造がもたらされるであろう。本
発明には、付加様式、即ち1,4対3,4を制御することによるのみならず、全
ての幾何異性体形、即ちシス又はトランスを制御することにより−これらは可能
である−得ることがきる全ての特定化された異性体形が含まれる。選択的触媒水
素化及び/又はエポキシ化反応はしばし
ば所定のポリジエンのある種の異性体に対して部分的に選択的である。
(a.)完全にエポキシ化され選択的に水素化されたブロックコポリマー
(b.)部分的にエポキシ化され選択的に水素化されたブロックコポリマー
(c.)部分的にエポキシ化され半選択的に水素化されたブロックコポリマー
(d.)完全にエポキシ化され半選択的に水素化されたブロックコポリマー
溶媒必要条件は、部分的に不飽和のポリオレフィンからエポキシ
官能性ブロックコポリマーへ転化する際にポリマーが溶液中に残留しなくてはな
らないことである。非極性炭化水素溶媒がこの目的によく適合しており、炭素数
4〜12の線状、分岐状、環式鎖脂肪族及び芳香族炭化水素として定義することが
できる。例には、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、テトラリン
、トルエン及びキシレンが含まれる。この反応媒体には全溶媒の20%以下のレベ
ルで重合工程から存在する極性添加剤が含まれていてもよい。
ポリマー溶液の濃度は重要ではないが、高粘度は処理を困難にする。分子量と
共に増加することは粘度の典型的な性質であり、それで高分子量ブロックコポリ
マーのエポキシ化は普通1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%の範囲内の溶液
濃度で行われる。反応温度は或程度総括工程条件及び所望の速度論に依存するで
あろう。しかしながら、過度に高い温度はゲル体が形成されることになるのでこ
のような温度は避けるべきである。エポキシ化反応の妥当な温度範囲は0℃〜15
0℃好ましくは25℃〜80℃である。これも工程条件に依存する反応時間は一般に
5〜600分、好ましくは15〜300分である。
化学量論的エポキシ化は一般に有機過酸で行われる。過酸の例には、過酢酸、
過ギ酸、過安息香酸、過トリフルオロ酢酸、m−クロロ過安息香酸及びモノペル
オキシフタル酸が含まれる。使用される特定の酸及び/又は実験条件に依存して
、選択された過酸をインシトゥで形成するか又はポリマー溶液に添加する前に予
備形成することが可能である。過酸の合成は低分子量のモノカルボン酸又は酸無
水物を過酸化水素と、普通、硫酸、p−トルエンスルホン酸又はリン酸のような
強酸触媒の存在下で一緒にすることによって行われる。カチオン交換樹脂も触媒
剤として使用するとができる。モノカルボン酸には1〜18個の炭素原子、好まし
くは取り扱いの容易性及び有
利な反応性のために1〜9個の炭素原子が含まれる。好ましいモノカルボン酸は
、ギ酸、酢酸及びプロピオン酸である。ギ酸と酢酸とを0.5:1〜1.5:1の範囲
内の比で組み合わせたもののようなモノカルボン酸の組合せを、副反応を最小に
するために使用してもよい。
過酸化水素は濃厚水溶液として便利に取り扱われる。過酸化水素の溶液濃度は
1〜99重量%に変えることができ、好ましくは30重量%である。所望の反応速度
論、生成物組成等に依存して、H2O2/モノカルボン酸モル比が0.1〜10、好まし
くは0.25〜5、更に好ましくは0.5〜2の範囲内になるように特定することが妥
当である。
エポキシ化ポリマーの回収は、メタノール及びイソプロパノールのような非溶
媒中への沈殿、スチームストリッピング及び溶媒蒸発のようなどのような方法に
よっても行うことができる。エポキシ化試薬の失活又は中和は回収の前に行うこ
とができる。エポキシ化生成物は酸化防止剤、充填材、ガラス繊維、顔料等のよ
うな添加剤と一緒にするか又は配合することができる。これらの添加剤及びその
使用の全ては当該技術分野で公知である。
本発明のブロックコポリマーはポリエステル/ポリオレフィンブレンドのよう
なポリマーブレンド用の弾性エポキシ樹脂、衝撃変性剤及び相溶化剤として機能
することができる。更に、このブロックコポリマーは種々の官能性試薬と反応性
であって、追加のマクロ分子構造を作る。エポキシ基による炭化水素ポリマー基
体の官能化は、溶融ブレンド操作の間に種々の官能基と反応する能力、他のポリ
マーとの混和性の向上並びに油及び炭化水素溶媒に対する耐性を含む多くの利点
を提供する。
本明細書に示す結果のために用いた材料及び試験方法は下記の通りである。
インヘレント粘度(I.V.)は23℃でフェノール60重量%及びテトラクロロエタ
ン40重量%からなる溶媒100mL当たり0.5gのポリマーを用いて測定した。
本発明を下記の例を考慮して更に示す。この例は本発明の例示であることが意
図され、本発明をどのような特定の異性組成物にも限定するものではない。例の
全ての部及びパーセントは他に示さない限り重量基準である。
例1
イソプレン−1,3−ブタジエンジブロックコポリマー
活性化塩基性アルミナ及び3Aモレキュラーシーブスを入れたステンレススチ
ールカラムに直列で通すことによって精製し乾燥したシクロヘキサンを、不活性
アルゴン雰囲気下で、インペラ型攪拌機、サンプリング管及び熱移動コイルを取
り付けた3リットルガラスボウル反応器に入れた。反応器にゴム隔壁部を設け、
またニードルバルブ及びSwagelok(商標)部品で装置内に直接ポンプ輸送する31
6SSモノマー、溶媒及び不活性ガスラインを取り付けた。反応器の予めの前重合
コンディショニングを、容器内に精製したシクロヘキサン1000mLを入れ、60℃に
加熱し、ジフェニルエチレン0.2mL次いでシクロヘキサン中の1.48N sec−ブチ
ルリチウム2.0mLを注射器を介して添加して、リビングアニオンの赤橙色溶液を
得ることによって行った。コンディショニング溶液を4時間60℃で攪拌すること
が、アニオン重合のために反応器を準備するために適当であった。sec−ブチル
リチウム溶液の活性(即ち、モル濃度)は二重滴定方法により決定した。シクロ
ヘキサンについて記載したものと同じ方法で精製したイソプレン105mL(1.05モ
ル)を差動アルゴン圧力で反応器に入れ、攪拌を開始し、モノマー/溶媒組合せ
物を60℃に加熱した。反応器に1.48N sec−ブチルリチウム4.8mL(0.00715モル
)を添加
してイソプレンの重合を開始し、重合を60℃で2時間後に終わらせた。薄黄色の
ポリイソプレン溶液のアリコートを分析試験用に取り出し、精製した1,3−ブ
タジエン92mL(1.05モル)を反応器に10分間かけて等しく添加することによって
第二ブロックを生成せしめた。リビング溶液を60℃で4時間攪拌することは、粘
度の増加によって証明されるように、反応を完結に到達させるために十分な時間
であった。リビングブロックコポリマーの停止は脱気したメタノール0.2mLを添
加することによって行われ、不飽和基体の酸化分解を避けるために0.1gのイル
ガノックス(Irganox)1010を添加した。イソプロパノール中で沈殿させ、次い
で真空で80℃で24時間乾燥することによってバルクポリマーを回収した。FT−IR
、定量13C NMR及び1H NMRから得られるポリジエンミクロ構造は、ポリブタ
ジエンブロックについて1,4−付加単位91%及び1,2−付加単位9%であり
、ポリイソプレンブロックについて1,4−付加単位94%及び3,4−付加単位
6%であった。ポリスチレンと相対的な分子量を求めるためにゲル浸透クロマト
グラフィー(GPC)を使用し、この分子量はポリイソプレンブロックについてMn
(数平均)=15,500、Mw(重量平均)=17,000及びD(多分散度)=1.10であり
、ジブロックコポリマーについてMn=33,100Mw=35,300及びD=1.07であった。
例2
高ビニル含有量イソプレン−1,3−ブタジエンジブロックコポリマー
精製したシクロヘキサン1000mLを例1に於けるようにしてコンディショニング
した反応器に入れ、攪拌を開始し、温度をサーモスタットで25℃に調節した。次
に、テトラヒドロフラン(THF)33.8mL(0.417モル)をナトリウム−ベンゾフェ
ノンケチル溶液から蒸留し、
注射器を介して反応器に添加し、次いで精製したイソプレン9.5mL(0.0952モル
)を添加した。THFの開始剤に対するモル比は35:1であった。次いでシクロヘ
キサン中の12.23%(w/w)sec−ブチルリチウム8.0mLの添加を行い、イソプ
レンをオリゴマー化した。25℃で2時間後に分析のために少量のサンプルを取り
出し、精製した1,3−ブタジエン288mL(3.3モル)を60分間かけて計量添加し
てB−ブロックを形成させた。供給時間の間及び更に2時間の保持期間、反応温
度を制御して33℃を越えないようにした。非常に粘稠な黄色溶液を脱気したメタ
ノール0.3mLで停止させ、熱酸化安定性を促進させるために0.2gのイルガノック
ス1010を添加した。メタノール中に凝集させることによってポリマーを回収し、
次いで80℃及び5mmで24時間乾燥した。例1に記載したものと同じ方法で各ブロ
ックのミクロ構造を求めた。ポリイソプレンブロックについて1,4−付加単位
16%及び3,4−付加単位84%の値が得られ、一方ポリブタジエンブロックは1
,4−付加単位26%及び1,2−付加単位74%からなると求められた。ポリスチ
レン標準物質に比較した分子量のGPC決定により、ポリイソプレンセグメントに
ついてMn=670、Mw=770及びD=1.15であり、ジブロックコポリマーについてMn
=35,800、Mw=37,400及びD=1.04であることが示された。
例3
イソプレン−ブタジエン−イソプレントリブロックコポリマー
精製したシクロヘキサン1000mLを例1に於けるようにしてコンディショニング
した反応器に入れ、攪拌を開始し、温度をサーモスタットで60℃に調節した。注
射器を用いて1.48N sec−ブチルリチウム/シクロヘキサン溶液10.0mL(0.0149
モル)を急速に反応器に添加し、続いて直ちに精製したイソプレン44mL(0.438
モル)を5分間かけて添加した。60℃で2時間後に、ポリイソプレンAブロック
の
サンプルを取り、その後精製した1,3−ブタジエン240mL(2.75モル)を反応
容器中に20分間かけて計量添加し、60℃で3時間反応させた。得られたAB−ブロ
ックコポリマーのサンプルを取った。次に、精製したイソプレン44mL(0.438モ
ル)を10分間かけて添加し60℃で2時間維持して、A−B−Aトリブロックコポ
リマーを生成せしめた。脱気したイソプロパノール0.5mLでリビングアニオンを
クエンチし、その後安定剤を添加し、次いで生成物を回収した。全てのブロック
のミクロ構造は90%を越える1,4−付加単位であると求められた。ポリスチレ
ン標準物質に相対的な分子量は、ポリイソプレンA−ブロックについてMn=1170
、Mw=1440及びD=1.23であり、AB−ブロックについてMn=25,900、Mw=27,000及
びD=1.04であり、トリブロックコポリマーについてMn=29,400、Mw=30,800及
びD=1.05である。
例4
高ビニルイソプレン−ブタジエン−イソプレントリブロックコポリマー
ジピペリジノエタン(DPIP)0.82mL(0.00385モル)、精製したシクロヘキサ
ン1000mL及び精製したイソプレン8.5mL(0.0851モル)を例1に於けるようにし
てコンディショニングした反応器に入れ、攪拌を開始し、温度をサーモスタット
で25℃に調節した。シクロヘキサン溶液中のsec−ブチルリチウム開始剤(0.001
93モル)を隔壁部を通して反応器に添加し、反応を25℃で2時間進行させ、その
後Aブロックのサンプルを取った。次いで、精製した1,3−ブタジエン171mL
(1.96モル)を反応容器中に30分間かけて入れ、反応物を25℃で更に3時間維持
し、その後AB−ブロックコポリマーのサンプルを取った。イソプレン8.5mL(0.0
851モル)をリビング溶液に添加することによって第二のポリイソプレンブロッ
クを生成せしめ、反
応を2時間進行させ、その後粘稠な黄色溶液を脱気したイソプロパノール0.1mL
で停止させた。ミクロ構造はポリブタジエン及びポリイソプレンブロックについ
てそれぞれ90%を越える1,2−及び3,4−付加単位であった。トリブロック
コポリマーの分子量値はポリスチレン標準物質に比較してMn=154,500、Mw=159
,200及びD=1.03であった。
例5
スチレン−ブタジエン−イソプレントリブロックコポリマー
精製したシクロヘキサン1000mLを例1に於けるようにしてコンディショニング
した反応器に入れ、攪拌を開始し、精製したスチレン20mL(0.175モル)を隔膜
部を介して反応器に入れ、温度を60℃に上昇させ、次いでsec−ブチルリチウム
/シクロヘキサン開始剤溶液4.0mL(0.0059モル)を添加した。直ちに橙色に変
わった反応混合物を60℃で6時間進行させ、その後A−ブロックのサンプルを取
り出した。次いで、精製した1,3−ブタジエン97mL(1.11モル)を反応容器中
に15分間かけてゆっくり計量添加し、その間溶液は深橙色から淡黄色に変わった
。60℃で2時間かけてリビングA−Bブロックコポリマーが形成されたとき粘度
の顕著な増加が観察され、分析用に第二のサンプルを取り出した。精製したイソ
プレン105mL(1.05モル)を反応器に15分間かけて徐々に添加し、次いで混合物
を60℃で更に2時間攪拌することによってA−B−Cトリブロックコポリマーが
得られた。リビング溶液の停止は脱気したイソプロパノール0.1mLを添加するこ
とによって行った。1H NMRによる分析で、B及びCブロックの両方が、特に1
,4−付加単位91%及び1,2−付加単位9%を含むポリブタジエンブロックで
90%を越える1,4−付加単位を含むミクロ構造を有していたことが示された。
ポリスチレン標準物質に関するGPCにより求めた分子量は、ポリス
チレンA−ブロックについてMn=3600、Mw=4000及びD=1.11であり、ポリスチ
レン/ポリブタジエンジブロックについてMn=23,300、Mw=24,500及びD=1.05
であり、ポリスチレン/ポリブタジエン/ポリイソプレントリブロックコポリマ
ーについてMn=41,100、Mw=43,900及びD=1.07であった。
例6
イソプレン−ブタジエン−イソプレン部分テーパー状−ブロックコポリマー
磁気攪拌棒及びサイドアーム隔膜部を取り付けた1リットル丸底フラスコを真
空ラインに接続し、火炎乾燥して表面湿分を除去した。約500mLのトルエンをリ
ビングポリスチリルリチウム溶液から反応フラスコ中へ直接留出させた。精製し
たイソプレン15g(0.22モル)を反応器に添加し、次いでsec−ブチルリチウム
溶液1.0mL(0.0015モル)を添加し、その後淡黄色溶液を3時間30℃で攪拌して
A−ブロックを形成させた。A−ブロックのサンプルを取り出し、その後精製し
た1,3−ブタジエン30g(0.554モル)及び精製したイソプレン15g(0.22モ
ル)を反応器に同時に添加し、3時間30℃で攪拌した。粘稠な反応混合物を数滴
の脱気したイソプロパノールで停止させ、0.5gのイルガノックス1010で安定化
させ、メタノール1.5L中に沈殿させた。80℃で24時間真空中でポリマーを乾燥し
て回収工程を完結させた。陽子NMRによる分析により、ポリイソプレン及びポリ
ブタジエン単位の両方が90%を越える1,4−付加形式で付加したことが示され
た。GPCにより求めたポリイソプレンA−ブロックの分子量はMn=14,100、Mw=1
4,500、D=1.03であり、テーパー状ポリイソプレン−ポリブタジエントリブロ
ックコポリマーについての一緒にした分子量はMn=71,900、Mw=78,400及びD=
1.08であった。
例7
イソプレン−ブタジエンテーパード星形分岐ブロックコポリマー
例6に記載したのと同じ方法で準備した1リットルフラスコを、ナトリウム分
散液から蒸留したトルエン500mLを捕集するための受器として用いた。精製した
イソプレン5g(0.073モル)を反応器に添加し、次いでsec−ブチルリチウム1.
0mL(0.0015モル)を添加して重合を開始させた。25℃で30分間攪拌した後、75
%を越えるモノマーが消費され、少量のサンプルを捕集した。次ぎに、1,3−
ブタジエン45g(0.83モル)を容器中に蒸留させ、反応を6時間進行させて完全
な転化を確保した。新たに蒸留したメチルトリクロロシラン0.20g(0.00135モ
ル)を添加して、テーパー状ジブロック鎖を3本アーム星型形状に結合させた。
GPC分子量分析によって、純粋イソプレンブロックの分子量はMn=3340、Mw=3670
及びD=1.1であったことが示された。テーパードジブロックの結果は、Mn=57,
700、Mw=64,600及びD=1.12であった。結合効率の決定はGPC分析から得られ、
アームの90%より多くが3本アーム星物質に結合したことを示した。ミクロ構造
決定によって両方のジエンが90%を越える1,4−束縛にまで重合したことが示
された。
例8
高ビニルイソプレン/1,3−ブタジエンジブロックコポリマーの選択的水素化
例2で製造したポリマー50gを、重合を行うために用いた同じ反応器内に残し
た。塩基性アルミナ及びモレキュラーシーブスを充填したカラムに通して精製し
た追加のシクロヘキサンを反応器に添加して、全溶液体積を500mLにした。温度
を50℃に上昇させ、水素ガスを溶液に通して散布した。ポリマーのこの量はポリ
ブタジエン繰り返し単位0.89モルを表わした。乾燥100mL丸底二ツ口フラスコ内
でニッケルオクトエート0.92g(2.67×10-3モル)を精製したシクロヘキサン50
mLに溶解することによって、水素化触媒を別に調製した。次に、1.33Mトリエチ
ルアルミニウム/シクロヘキサン6.8mL(8.81×10-3)をニッケルオクトエート
溶液に30秒間かけて添加した。添加の間に、透明な緑色から黒色コロイド状外観
への溶液の色の変化と共に、穏和な発熱が観察された。触媒を反応器に添加する
前に15分間熟成した。50psig(446KPa)の水素圧を設定し8時間維持し、その後
、数mLの6N塩酸を添加することによって反応を停止した。数滴のJeffamine D-
2000を添加して触媒除去を容易にした。FT−IRによる生成物の分析により、ポリ
ブタジエン単位の99%が飽和され、他方ポリイソプレン不飽和の実質的な部分は
そのまま残ったことが示された。
例9
イソプレン−ブタジエン−イソプレンブロックコポリマーの選択的水素化
例3で製造したポリマー52gを、水素化容器としても機能させる重合反応器内
に残した。モレキュラーシーブスを充填したカラムに通して乾燥させたトルエン
を、全溶液体積が1Lになるように750mLの量で添加した。温度を90℃に上昇さ
せ、水素ガスを溶液に通して15分間バブリングさせた。ポリマーのこの量はポリ
ブタジエン繰り返し単位0.69モルを表わした。前の例に記載したのと同じ方法で
、コバルトオクトエート(19%活性Co,w/w)0.64g(2.07×10-3モル)を乾
燥シクロヘキサン50mLに溶解することによって、水素化触媒を調製した。次ぎに
、ヘキサン中のn−ブチルリチウムの15.13重量%溶液6.7mL(0.0104モル)を60
秒間かけて添加した。この溶液は直ちに穏和な発熱を伴って暗青色から黒色に変
化した。15分後にこの触媒を注射器を介して反応器に添加し、50psig(446KPa)
の
水素圧を8時間90℃で維持した。反応の過程で結晶性を発達させたポリマーはこ
の温度でトルエン溶液中に残った。1H及び13C NMRの両方による分析により、
ポリブタジエン単位の98%より多くが飽和され、他方ポリイソプレン単位の75%
を越えるものがそのまま残ったことが示された。
例10
イソプレン−エチレン/1−ブテンジブロックコポリマーのエポキシ化
例2で合成し、例8で水素化したジブロックコポリマーをインシトゥで生じた
過ギ酸でエポキシ化した。トルエン500mL中にジブロックコポリマー25g(イソ
プレン単位0.0129モル)を含有するトルエン溶液を、オーバーヘッド316SSパド
ル型攪拌機、加熱マントル、窒素入口及び還流凝縮器を取り付けた1000mL丸底フ
ラスコに入れた。温度を50℃に上昇させ、88重量%ぎ酸2.0g(0.039モル)を添
加し、次いで30重量%過酸化水素3.9mL(0.039モル)を滴加した。この例の条件
は過ギ酸/二重結合の約3×化学量論的過剰である。50℃で6時間後に、透明な
緑色溶液をメタノール1500mL中に注いでポリマーを沈殿させた。ポリマーを80℃
で24時間減圧下に乾燥させることによって回収工程が完結した。1H NMRによる
生成物の分析により、不飽和単位の90%を越えるものがエポキシ化されたことが
示された。
例11
イソプレン−b−エチレン/1−ブテン−b−イソプレントリブロックコポリマ
ーのエポキシ化
例3で合成し、例9で水素化したトリブロックコポリマーを過ギ酸でエポキシ
化した。乾燥トルエン500mL中にこのトリブロックコポリマー50g(イソプレニ
ル二重結合約0.21モル)を含有するトルエン溶液を、オーバーヘッド316SS
パドル型攪拌機、加熱マントル、
アルゴン入口及び還流凝縮器を取り付けた1L丸底フラスコに入れた。溶液を60
℃に加熱し、88重量%ぎ酸43.9g(0.840モル)を添加した。次いでH2O2(水中3
0重量%)94.8mL(0.840モル)を反応器に5分間かけてゆっくり添加した。過ギ
酸の二重結合に対する4:1のモル比が得られた。反応を60℃で8時間進行させ
、その後混合物をメタノール2L中に注いでポリマーを沈殿させ、これを真空中
て24時間75℃で乾燥させた。1H NMRによる生成物の分析により、不飽和ポリイ
ソプレン単位の50%を越えるものがエポキシ化されたことが示された。
下記の例は、エポキシ化ポリイソプレンが溶融加工条件の間に典型的なポリエ
ステルと反応性であることを示す。下記の例で使用されるコポリエステルは1,
4−シクロヘキサンジメタノール30モル%を含み、0.74のI.V.を有する市販グレ
ードのPETGである。
例12
PET コポリエステルとポリイソプレンとの対照ブレンド(80:20)
全部で48gのコポリエステル及び12gのポリイソプレン(Mn=72,000;D=1.
1)を別々に真空下で窒素を流しながら75℃で24時間乾燥した。ポリイソプレン
のミクロ構造組成は1,4−付加単位94モル%及び3,4−付加単位5モル%で
あった。これらの成分を一緒にし、乾燥混合物を60g混合ボウルを取り付けたHa
ake-Buchlerトルクレオメーター内で溶融ブレンドした。溶融処理は230℃で10分
間50RPMで行った。溶融相反応のトルク発生対時間を表Iに示す。表Iのデータ
は、1分後にトルクの増加は生じないことを明白に示しており、これは溶融相反
応の発生のための分子量増加がないことの指標である。それで、ポリイソプレン
は溶融ブレンドの間にコポリエステルと反応性ではなかった。
例13及び例14で参照したエポキシ化ポリイソプレン(Mn=58,400;
D=2.8)は1,4−付加単位94%及び3,4−付加単位6%を含み、46モル%
のオキシラン基のレベルまで置換されている。
例13
PET コポリエステルとエポキシ化ポリイソプレンとのブレンド(90:10)
全部で54gのPETコポリエステル及び6gのエポキシ化ポリイソプレンを別々に
真空下で窒素を流しながら75℃24時間乾燥した。これらの成分を一緒にし、乾燥
混合物を60g混合ボウルを取り付けたHaake-Buchlerトルクレオメーター内で溶
融ブレンドした。溶融処理は230℃で10分間50RPMで行った。溶融相反応のトルク
発生対時間を表IIに示す。表IIのデータは、1分後にトルクの顕著な増加が生じ
たことを明白に示しており、これは溶融相反応の発生のための分子量増加の指標
である。トルクの増加は、分子量の増加になるブレンド成分間の溶融相反応の指
標である。
例14
PET コポリエステルとエポキシ化ポリイソプレンとのブレンド(80:20)
全部で48gのPETコポリエステル及び12gのエポキシ化ポリイソプレンを別々
に真空下で窒素を流しながら75℃で24時間乾燥した。これらの成分を一緒にし、
乾燥混合物を60g混合ボウルを取り付けたHaake-Buchlerトルクレオメーター内
で溶融ブレンドした。溶融処理は230℃で10分間50RPMで行った。溶融相反応のト
ルク発生対時間を表IIIに示す。表IIIのデータは、1分後にトルクの顕著な増加
が生じたことを明白に示しており、これは溶融相反応の発生のための分子量増加
の指標である。トルクの増加は、分子量の増加になるブレンド成分間の溶融相反
応の指標である。
下記の例は、エポキシ化ポリイソプレン−b−エチレン/1−ブ
テンジブロックコポリマーがポリエステル/ポリオレフィンブレンド物の有効な
乳化剤であることを示す。
例15
PETGコポリエステルとポリプロピレンとのブレンド(80:20)
全部で48gの約30モル%のシクロヘキサンジメタノールを含有するPETGコポリエ
ステル及び12gのエチレン15重量%を含有する衝撃グレードのポリプロピレン(
MFI=1.8)を別々に真空下で80℃で24時間乾燥した。これらの成分を一緒に
し、コポリエステル対ポリプロピレンの80:20重量比を形成し、乾燥混合物を60
g混合ボウルを取り付けたHaake-Buchlerトルクレオメーター内で溶液ブレンド
した。溶液処理は230℃で10分間50RPMで行った。図1に示す走査電子顕微鏡
によるブレンドの分析により、分散相領域が8ミクロン以下の直径を有すること
が示されている。また、破断面に劣った界面接着を示す顕著なボイドがある。
例16
PET コポリエステル、ポリプロピレン及びエポキシ化ポリイソプレン−b−エ
チレン/1−ブテンジブロックコポリマーの三成分ブレンド(75:20:5)
全部で45gのPETGコポリエステル、12gのエチレン15重量%を含有する衝撃グ
レードのポリプロピレン(MFI=1.8)及び3gの例10で製造したエポキシ化ジブ
ロックコポリマーを別々に真空下で窒素を流しながら75℃で24時間乾燥した。こ
れらの乾燥成分を一緒にし、コポリエステル対ポリプロピレン対相溶化剤の75:
25:5重量比にし、乾燥混合物を60g混合ボウルを取り付けたHaake-Buchlerト
ルクレオメーター内で溶融ブレンドした。溶融処理は230℃で10分間50RPMで行っ
た。図2に示すように、走査電子顕微鏡によるブレンドの分析により、僅かの3
ミクロン以下の直径を有する遊離された
粒子があるのみで、分散相はマトリックス中に均一に分布していたことが示され
た。破断面にボイドは殆ど形成されず、これは優れた界面接着の指標である。
上記の詳細な記述に照らして多くの変形が当業者に示唆される。全てのこのよ
うな自明の修正は付属する請求の範囲の完全な意図される範囲内である。