JPH08505361A - 不所望細胞または組織を破壊しもしくはその成長を阻害する方法 - Google Patents

不所望細胞または組織を破壊しもしくはその成長を阻害する方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、病気または不所望細胞または組織の破壊を生じさせるために、電離線照射と特定のベンゾポルフィリン誘導体化合物(BPD)を組み合わせて使用する方法に関し、好ましくはベンゾポルフィリン誘導体化合物はモノ酸の環A(BPD−MA)である。詳細には、本発明は病気もしくは不所望組織に全身的もしくは局所的に該感作剤化合物を投与し、そして電離線照射(例えば60Coまたはx線源から発生するもの)で照射する方法である。BPD−MAによる処理は、標的細胞もしくは組織を照射暴露から容易に回復出来なくなるように感作すると思われる。さらに、本発明の方法は特定の組織標的に施す照射の有効量を低減するために用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】 不所望細胞または組織を破壊しもしくはその成長を阻害する方法発明の分野 本発明は、病気にかかったもしくは不所望の細胞もしくは組織の破壊をはかる ために、電離線照射を特定のベンゾポルフィリン誘導体化合物(BPD)、好ま しくはベンゾポルフィリン誘導体化合物−モノアシッド環−A(BPD−MA) と組み合わせて用いる方法である。具体的には、本発明は感作剤化合物を病気に かかったもしくは不所望の組織に投与し、そして電離線照射(60Coまたはx−線 源)で照射する方法である。ベンゾポルフィリン誘導体化合物での処理は、処理 された細胞が照射暴露から容易に回復しない点で、標的細胞または組織を感作す るように思われる。さらに、本発明の方法は、特定の組織標的にたいして用いる 照射の有効量を低下させるためにも使用できる。発明の背景 種々の化合物を照射(可視光線または電離線)と組み合わせて、病気の組織を 治療するために用いることは知られている。そのような治療は、多くのポルフィ リン化合物が正常組織より腫瘍組織に高濃度に蓄積するために、腫瘍選択性であ る。 ポルフィリン誘導体は、フォトダイナミックセラピー(PDT)の方法を用い て腫瘍の治療に使用されている。一般に、PDT法はポルフィリン誘導体のよう な感作化合物を標的組織に投与することおよび次いで該組織に対して光を用いた 治療を行うことを含む。PDT法は、光源の直接領域内の組織を損傷する一重項 酸素もしくは活性化分子を発生させて、該領域の病気組織を除去するために選択 的に作用する。選択性は、腫瘍(Kessel,David,「ヘマトポルフィ リンの誘導体による腫瘍への局在および光感作、総説(Tumor Local ization and Photosensitization by De rivatives of Hematoporphyrin,A Revie w)」IEEE J.QUANTUM ELECTRON.,QE 23(10 ):1718−20(1987))、ウイルス感染細胞(J.Chapmanら ,「光感作剤ベンゾポルフィリン誘導体(BPD)による、濃縮赤血球中のウイ ルスの不活性化(Inactivation of Viruses in R ed Cell concentrates with the PhotoS ensitizer Benzoporphyrin Derivative( BPD)」,TRANSFUSION 31(suppl):47s Abst ract S172(1991)およびJ.Northら,「ベンゾポルフィリ ン誘導体による血液および濃縮赤血球中のウイルスの不活性化(ViralIn activation in Blood and Red Cell Con centrates with Bnzoporphyrin Derivat ive)」,Blood Cells,18:129−140(1992)), 白血病細胞(C.H.Jamieson,「白血病細胞の正常細胞に対するベン ゾポルフィリン誘導体の選択的取り込み(Preferential Upta ke of Benzoporphyrin Derivative by L eukaemic versus Normal Cells)」,Leuk, Res.(England)1990,14(3),pp209−210)), 乾癖プラーク(M.W.Rernsら,「ヘマトポルフィリン誘導体の全身注射 に続ぐ赤色レーザー光線(630nm)に対する乾癖の応答(Response of Psoriasis to Red Laser Light (63 0nm) Following Systemic Injectionof Hematoporphyrin Derivative)」,Lasers Surg Med.1984,4(1)pp73−77),およびアテローム性 動脈硬化症プラーク(S.Andersson−Engelsら,「レーザーを 用いた病気組織の蛍光診断および光化学的治療:第二部(Fluorescen ce Diagnosis and Photochemical Treat ment of Diseased Tissue Using Lasers :Part II)」,Anal.Chem.62(1),19A−27A(1 990)の様な活発に代謝する組織内に光感作剤が優先的に保持されることによ り得られる。可視光線による光感作剤の活性化は、可視光線が存在する部位のみ にしか生じない。明らかに、光感作剤による組織破壊は、所望の治療部位のみで 生じる。不活性化状態の光感作剤は非毒性であり、最終的に体内から排泄 される。 典型的PDT治療においては、フォトフリンポルフィマーナトリウム(PHO Aを患者に注射する。例えば、Hoら,「フォトフリンの活性および物理化学的 特性(Activity and Physicochemical Prop y and Photobiology,54(1),pp83−87(199 1);Doughertyらの米国特許4,866,168を参照されたい。適 当な照射線量は、病気の組織および光感作剤の選択に応じて、例えば0.25− 2.5mg/kg体重である。光感作剤投与後の適当な時間後に病気の組織または部 )の光源で照射して、光感作剤を活性化する。こうして活性化された薬剤は、一 重項酸素およびフリーラジカルの発生を誘発して周囲の組織を破壊する。病気組 織およびそれに栄養を供給している血管系に影響して、不所望組織が直接破壊さ れるかまたは血管閉塞のために酸素と栄養素の欠乏に陥る。PDTの完了後、治 療した組織は壊死し、自然に除去されるか医師により切除される。 トルを有する。多くの血液および組織の吸収スペクトルも、同じ一般スペクトル 領域に存在する。その結果、処置する組織上に衝突するエネルギーの多くは組織 自身に吸収され、実際上の意味において、ヘマトポルフィリンおよびPHOTO より長波長領域(例えば690nm)にピークを持つ吸収スペクトルを示す。これ らの化合物は、組織がそれほど多くの光エネルギーを吸収せず、そのため光の透 過深度を高めるから、PDT治療の改良とみなされる。 にもかかわらず、大型のまたは深い腫瘍のあるいはまた広分敗病のPDT治療 は、光の透過がわずか数センチメートルの深さであることにより制限される。本 発明に要求される電離線照射の使用は、PDT治療よりもはるかに深く存在する 病気または不所望組織を処置することを可能にする。 本発明の方法の追加的利点は、ベンゾポルフィリン誘導体化合物はヘマトポル とである。BPDは数日以内に体から出る;ヘマトポルフィリンおよびPHOT くする。 PDTにおいて光の代わりにガンマ線またはx線を用いる試験も行われ種々の 結果が得られている。ポルフィリンはある場合には細胞を照射から保護するよう に見え、ある場合には細胞を感作し、そしてある場合には何の影響も与えなかっ た。 Mackら,Cancer(1957)29:529−39は、照射療法の前 にヘマトポルフィリンを注射した患者に照射に対する耐性の改善があったが、し かし照射治療のみの患者に比べた延命効果はなかったことを報告している。 Novosel’sevaら,Radiobiologiia(1979)1 9(2):297−301は、合成ポルフィリンの照射線防御効果を試験してい る。 しかしながら、Cohenら,Cancer Research(1966) 26 Part 1:1769−1773は、ヘマトポルフィリンがマウスの横 紋筋肉腫のx線照射に対する感受性を増大したと報告している。 Schwartzら,「ポルフィリンによる診断と治療および鉛中毒(Dia gnosis and Therapy of Porphyrins and Lead Intoxication)」(1976)pp 229−31は 、カツミ犬腫瘍(Katsumi dog tumor)および種々のヒト腫瘍 の治療における照射感作剤としての、銅ヘマトポルフィリンの用途を報告してい る。 Kostronら,Cancer,5:964−970およびKostron ら,Jour.of Neuro−Onc.(1988)6:185−191は 、共にラットグリオーマモデルに対するヘマトポルフィリン誘導体と光またはコ バルト60照射とのまたはこれら両者との組み合わせの効果を検討している。し かし、ポルフィリン物質の投与前の照射の使用は開示されていない。 O’Haraら、Int.J.Radiation Oncology Bi ol.Phys.(1989)16:1049−1052は、一群の水溶性のメ ソ−置換メタロポルフィリンを電離線照射と組み合わせて、種々の腫瘍組織への 効果を調べている。 Bellnierら,Int.J.Rad.Biol.(1986)50:6 59−664は、逆の知見を開示している。この文献は、ガンマ線照射およびH PD光感作は相互作用を生じず、HPDがx線照射の効果を増幅しなかった証拠 を示している。 さらに、Fielら,Res.Comm.Chem.Path.and Ph arm.(1975)10(1):65−76は、リンパ系細胞ラインにおいて メソポルフィリンの金属キレートは、照射前よりも照射後に添加したほうが部分 的に効果があったことを見いだしている。発明の概要 本発明は、組織をBPD、好ましくはBPD−MAで同時処理して、治療に要 する照射量を減少させることにより、病気のまたは不所望の組織の照射療法の感 受住および安全性を高める方法である。BPDは典型的には照射工程の前に投与 されるが、ある種の状況下ではBPDは組織または細胞に照射工程の間もしくは BPDが照射完了後の直ぐ後に細胞表面に存在するなら照射工程の後に投与して もよい。図面の簡単な説明 図1は病気組織の治療に用いる種々のポルフィリンの化学構造を示す。 図2は病気組織の治療に用いる種々のBPD照射感作剤の化学構造を示す。 図3A,3Bおよび3Cは、腫瘍細胞(P815およびM1)および正常細胞 線照射したときの結果を示す。 図4A,4Bおよび4Cは、癌細胞(P815)のin vitro生存に対 する幾つかのパラメーター変数の効果を示す。 フィリンまたは本発明のBPD−MAを投与したときの癌細胞(P815)の生 存に関するin vitro効果を示す。 図6Aおよび6Bは、種々のBPD−MAで処理したときの腫瘍の成長に及ぼ すin vivoの試験結果を示す。 図7は、DBA/2マウスのP815腫瘍のin vivo成長に及ぼす、照 射に続くBPD−MA処理の効果を示す。 図8は、DBA/2マウスの脾臓のP815細胞の存在に対する、BPD−M A処理に引き続く照射の効果を示す。発明の詳細な説明 本発明は、病気のもしくは不所望の組織に対して、BPD、BPD−MAまた はその均等物を投与し、そして該組織を電離線で照射する方法である。組織をB PDまたはBPD−MAで処置して感作するため、電離線照射は比較的低量でよ い。ベンゾポルフィリン誘導体 本発明で用いる照射感作剤は、図1および2(特に図2)に示す式をもつ物質 であり、最も好ましくはBPD−MAである。これらの化合物は公知であり、容 易に合成できる。 本発明で使用する化合物またはその前駆体の具体的合成は、Levyらの米国 特許4,920,143に記載されている。該特許および該特許明細書に紹介さ れている文献に記載されているように、プロトポルフィリンィリン−IXジメチル エステルは、強力なジールス・アルダージエノフィル試薬(例えばテトラシアノ エチレン)と反応させるとヒドロジベンゾ誘導体に変化する。しかしながら、ア セチレンをもっと弱く電子吸引性の基により誘導体化し、ジールス・アルダー試 薬として使用すると、ヒドロモノベンソ誘導体が生じる。生成物をプロトポルフ ィリンと例えばジメチルアセチレン・ジカルボキシレート(DMAD)との反応 から直接得ると、図1の式1および2の化合物が生成する。図1においてR1お よびR2は、アセチレンから誘導されたジールス・アルダー試薬、R1C≡CR2 中の置換基である。R1およびR2は、一般に、低級アルキル、アリール、アルキ ルスルホニルまたは置換アリールであるが、好ましくはカルボメトキシもしくは カルボエトキシのようなカルボアルコキシ基である。R3は反応に用いたポルフ ィリン中に存在する置換基またはそれに由来する置換基を表す。一般に、R1 およびR2は各々独立して中程度に電子吸引性の置換基であり、最も一般には、 カルボアルコキシ、アルキルまたはアリールスルホニルであるか、または活性化 置換基(AおよびB環の一方のみとは反応するが、AおよびB環の両者と容易に 反応を生じるのに十分には電子吸引性でない)である。所望によりR1およびR2 の一方はHであって他方がジールス・アルダー反応を行うに十分に強力な電子吸 引性置換基であってもよい。 本明細書に使用するカルボキシは−COOHであり、カルボアルコキシ基は− COOR(式中Rはアルキルである)である。アルキルは、炭素数1〜6の飽和 炭化水素基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−ヘキシル、2−メチル ペンチル、t−ブチル、n−プロピル、等々である。アリールもしくはアルキル スルホニル部分はSO2R〔式中Rは上記アルキルまたはアリールであり、該ア リールはフェニル(例えば、フェニルスルホニル(SO2Ph)である)であり 、これらは所望によりハロ(フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)、炭素数 1〜4の低級アルキルまたは炭素数1〜4の低級アルコキシから独立に選択され る1〜3の置換基で置換されていてよい〕である。さらに、R1およびR2の一つ 以上はそれ自身アリール、例えば所望により上記定義のように置換されたフェニ ル、であってよい。 さらに、エステル化されたカルボキシ基の一つ以上が加水分解されていてもよ い。 図1に示すように、R1−C≡C−R2とプロトポルフィリン−IX環システムと の反応により生じた付加物(R3が2−カルボキシエチルの保護された形のもの 、例えば2−カルボメトキシエチルまたは2−カルボエトキシエチルであり、R4 がCHCH2であるもの)は、式1および2の化合物である(式1の化合物はA 環への付加により生じた化合物であり、式2の化合物はB環への付加により生じ た化合物である)。生じたこれらの式1および2の化合物において、R4はCH CH2として残っているが、しかしこのビニル基は、式1の環Bまたは式2の環 Aのビニル環置換基への付加または酸化により、容易にR4の他の態様に誘導で きる。付加した置換基が機能的親核基であるなら付加生成物はさらに置換するこ とができ、例えば、Brは−OH、−OR(Rは上記炭素数1〜6のアルキ ルである)、または−NH2、−NHR、−NR2等により置換可能である。好ま しい態様においては、付加置換基の一つは水素であり、他方はハロ(フルオロ、 クロロ、ブロモまたはヨード)、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノまたはア ミド、スルフヒドリルまたは有機スルフィドからなる群から選択されるか、それ 自身も水素でありうる。したがってこれらの化合物は、以下に述べるようにR4 として種々の基を含む。 プロトポルフィリン−IX中のR3は2−カルボキシエチル(−CH2CH2CO OH)である。しかしながら、R3の性質は(それがπ結合を含むのでなければ )、通常はジールス・アルダー反応の進行に無関係である。R3は例えば炭素数 1〜4の低級アルキル、またはω−カルボキシアルキルまたはカルボアルコキシ −アルキル(炭素数2〜6)でありうる。R3置換基もまた上記定義のハロゲン または他の非反応性置換基で置換されていてよい。しかしながら、本発明の多く の化合物のための好都合な出発物質は天然に存在するポルフィリンであるから、 R3の好ましい置換基は−CH2CH2COOHまたは−CH2CH2COOR(R は炭素数1〜6のアルキルである)である。 R3置換基の性質は通常はジエン基質の性質を変化させてジールス・アルダー 反応の工程に影響するようなことはないが、適当な溶解特性を与えて反応を促進 するため、あるいは反応への干渉を阻止するために、誘導化が必要な場合もあり うることは留意すべきである。 本発明の化合物のあるものにおいては、−CH2CH2COOR中のエステル化 されたカルボキシ基を加水分解もしくは部分加水分解すると有利であることが見 いだされた。この加水分解はR1、R2のエステル基の加水分解よりはるかに迅速 に生じ、生じた化合物の溶解性および生物学的特性は、未加水分解型よりもより 好ましい。加水分解は二酸または一酸生成物を生じる。 前記列挙した先行技術に記載されているジールス・アルダー反応から直接得ら れるヒドロ−モノベンゾポルフィリンは、適当な試薬例えば塩化メチレン中のト リエチルアミン(TEA)または1,5−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデ ク−5−エン(DBU)での処理により、図1の式3および4に示される異性体 化合物にすることもできる。生成物の立体化学構造は選択する試薬によって定ま る。 図1の式3および4には、環外メチル基(式1の環Aおよび式4の環B)の、 R2置換基に対する相対位置は示されていない。TEAを用いた再転位(rea rrangement)は、角度を持つメチル基とR2にシスの幾何学構造を与 えるが、DBUでの処理はトランス生成物を与える。シス生成物は明らかに動力 学的支配下にあり、何故ならシス生成物をDBUで処理すると、さらなる再転位 を生じて一般により安定なトランス立体化学構造になる。したがって、図1の式 3および4は、それぞれ環Aおよび環BがTEAまたはDBUに触媒されて生じ る再転位生成物を概括的に示すものである。 さらに、ジールス・アルダー反応の生成物は、例えばパラジウム担持活性炭の 存在下で水素で処理するなどして選択的に還元し、環AおよびBの各ジールス・ アルダー反応生成物に対応する図1の式5および6に示される飽和した環類縁体 を与えることもできる。 式1および2の化合物について、残存ビニル置換基(R4)の変換による誘導 体化に関しならびに−R3の変化可能性に関してした上記説明は、式3,4,5 および6に対してもあてはまる。 式3および4の化合物、特にR3が加水分解もしくは部分加水分解されたカル ボアルコキシ基をもつそれらの化合物は、遊離の酸としてあるいは有機もしくは 無機塩基との塩の形で調製できる。 図1の化合物の多くは、少なくとも一つのキラル中心を有し、そのため光学異 性体として存在することに留意されたい。本発明の複合体(conjugate )および方法には、化合物が単一の立体異性体の単離物またはエナンチオマーお よび/またはジアステレオマー混合物のいずれとして提供されるにしても、キラ ル炭素がどちらのコンフィギュレーションを有する化合物も包含される。ジアス テレオマー混合物の分離は任意の慣用手段で行うことができる;エナンチオマー の混合物の分離は、それらを光学活性化合物と反応させて生じるジエステレオマ ーを分離するか、またはキラル支持体を用いたクロマトグラフィーによる慣用技 術で行うことができる。 反応生成物はA環付加物およびB環付加物の未分離混合物、例えば式1および 2または3および4または5および6の混合物であり得ることにもまた留意すべ きである。分離型即ち式3のみまたは式4のみ、あるいは任意の比率の混合物を も、本明細書の治療および診断方法に使用することが可能である。 「ジヒドロ」−モノベンゾポルフィリンの名称は、ポルフィリン環システムと R1C≡C−R2とのジールス・アルダー反応の直接生成物および再転位生成物を 意味し;「テトラヒドロ」−モノベンゾポルフィリンとは、式5および6の前記 還元生成物を意味し、そして「ヘキサヒドロ」−モノベンゾポルフィリンとは、 完全に還元された環外「ベンゾ」環を含む類縁体を意味する。ヒドロ−モノベン ゾポルフィリンは、三つのクラスの酸化状態を包括的に含めて用いられる用語で ある。 さらにまた、本発明は図1に示す化合物の用途に関し、式中、R1およびR2は 前記定義のとおりであり、各R3は独立して−CH2CH2COOR3’であり、こ こでR3’はHまたは炭素数1〜6のアルキルであり; R4はCHCH2、CHOR4'、COOR4'、CH(OR4')CH3、CH(O R4')CH2OR4'、−CH(SR4'(SR4')CH3、−CH(NR4')CH3 、−CH(CN)CH3、−CH(COOR4')CH3、−CH(OOCR4')C H3、−CH(ハロ)CH3、または−(CH(ハロ)CH2(ハロ)、であり, ここでR4’はH、炭素数1〜6のアルキル、または上記のように誘導体化可能 な炭素数12未満の有機基であり、そして R4がCHCH2であるならR3は両方ともは2−カルボアルコキシエチルでは ない。 式3の化合物および式4の化合物並びにそれらの混合物は適当である;R1と R2が同一でカルボアルコキシであるもの、特にカルボメトキシまたはカルボエ トキシであるものもまた適当であり;R4が−CHCH2、−CH(OH)CH3 または−CH(ハロ)CH3であるものも適当である。 図1に示す各式の化合物は、R4がプロトポルフィリンの初期生成物のビニル 基に対する付加反応により生じたものである化合物も含んでいる。したがって、 R4は容易な付加反応に由来しうる任意の置換基であってよい。したがって、両 付加置換基は、例えばOHまたはハロでよく、そしてこれらの置換基はさらに置 換されてもよい。 またビニル基は酸化してR4が−CH2OH、−CHOまたはCOOHのものを 得てもよく、それらの塩およびエステルでもよい。 したがって、一般に、R4はビニル基−CH≡CH2への酸化または付加反応に より生じる任意の置換基でよい。典型的R4置換基は次のものを含む: −CH(OH)Me、−CHBrMe、−CH(OMe)Me、−CH(ピリジ ニウムブロミド)Me、−CH(SH)Meおよびそのジスルフィド、−CHO HCH2OH、および−CHO。 図2は、本発明の特に好ましい4つの化合物を示す。これらの化合物はまとめ てベンゾポルフィリン誘導体(BPD)と呼ばれ、図1の式3または4の形の化 合物である。これらの物質は式3および4の再転位生成物の加水分解もしくは部 分加水分解型であり、R3の保護されたカルボキシ基の一方または両方が加水分 解されている。R1およびR2の部分のエステル基は、相対的に加水分解の速度 がおそいため、図2に示される形への変換が容易に行われる。 本明細書の記載の目的で、R3は−CH2COOR3’である。図2に示すよう に、好ましいBPD−DA化合物において、各R3’はHであり、R1およびR2 はカルボアルコキシであり、誘導体化は環Aにおいてである;BPD−DBは誘 導体化が環Bにおいてである対応化合物である。BPD−MAはBPD−MAの 部分加水分解形であり、BPD−MBは導体化が環Bにおいてである対応化合物 である。BPD−MAはBPD−DAの部分加水分解形であり、BPD−MBは BPD−DBの部分加水分解形である。したがって、後者のこれら化合物におい て、R1およびR2はカルボアルコキシであり、R3’の一方はHであり、R3’の 他方はアルキル(炭素数1〜6)である。式BPD−MA、−MB、−DAおよ び−DBは本発明の方法に用いることができる。 別の観点において、本発明は図2の各式において、R1およびR2がカルボアル コキシ、特にカルボメトキシまたはカルボエトキシである化合物に関する。 上記のとおり、特に好ましいものは、R1およびR2がカルボアルコキシ、特に カルボメトキシまたはカルボエトキシであるBPD−MAの変異体である。各場 合において、R1またはR2の一方がHであってよい。 BPD−MAは、標的と反応性の特異的リガンド(例えばリセプター特異的リ ガンドまたは免疫グロブリンもしくは免疫グロブリンの免疫特異性部分)との複 合体として、所望の標的組織または物質中に一層集中できるようにしてもよい。 このような複合体化合物は、後述するように、電離線照射の照射線量レベルをさ らに低下させることができる。本発明は標的組織に細胞毒性を局在させまたは位 置づける方法に関する。 さらに、BPD−MAは、IG−L−BPD−MAのような複合体に形成して よく、ここでIGは免疫グロブリンまたはその免疫学的に反応性の部分であり、 Lは成分をつなぐ共有結合またはIGおよびBPD−MAの各々に共有結合する 結合成分である。もちろん、そのような複合体中のIGは、例えばPVAおよび デキストランのような、BPD分子に共有結合する他のキャリアーに置き換える こともできる。 投与および用途 BPDを用いて病気組織を照射線感作する方法は、照射線の照射線量低減およ び安全且つ効果的なポルフィリン照射感作剤が望まれる場合に有用である。BP Dは直接的生物学作用をもたず、そのため毒性がない。BPDは照射の影響をう けた病気組織の損傷の修復を阻害することにより効果を奏すると考えられる。 この治療の典型的適用には、固形癌の腫瘍組織の破壊、血管のプラークの溶解 、局所腫瘍またはパピローマウイルス感染を含む皮膚病の治療;および白血病の 血液または感染症の血液のような生物学的液体の措置が含まれる。照射感作剤は 単独で使用してもよくまたは薬学的組成物として患者に投与したり、または当該 技術分野で一般に公知の技術を用いてin vitroの標的に適用してもよい 。そのような薬学的組成物の総説は、例えば、Remington’s Pha rmaceutical Sciencesに記載されている。本発明の方法は 、in vitroで行うために、例えばBPD、BPD−MAまたはそれらの 均等物でin vivoまたはin vitro措置を受けていてもよい生体か らの血液等の液体を採取し、元の体内に戻す前に照射することにより行うことも できる。 BPD、BPD−MAおよびそれらの複合体は、全身的に投与しても、局所的 に投与してもよい。これらは単独で用いてもあるいは混合物中の成分として用い てもよい。 注射は静注、皮下注射、筋肉内注射、または腹腔内投与さえ可能である。注射 可能薬剤は、慣用製剤に調製してよく、液剤または懸濁剤でも、注射前に液体に 溶解または懸濁させる固体剤でも、またはエマルジョンでもよい。特に、リポゾ ームまたは親油性の製剤が最も好ましい。懸濁剤またはエマルジョン剤を用いる 場合に適当な助剤には、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール等があ る。そのような組成物は少量の非毒性補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH 緩衝剤、等を含んでもよい。経口ルートによって病気組織に照射感作剤が容易に 投与できる場合には、経口用製剤もまた適当である。 例えば、表面の腫瘍または皮膚癌を治療するためのように、治療の部位を限定 するためには、BPD、BPD−MA、それらの均等物もしくは複合体は、標準 的局所用組成物を用いて局所投与でき、それらにはローション、懸濁剤、または ペースト剤が含まれる。投与すべき照射感作剤の量は治療される症状、投与方法 、個別の患者、および医師の判断により定められる。製剤の詳細に応じて、小用 量または大用量が必要であろう。標的組織に高度に特異的な組成物、例えば照射 感作剤と特異比の高いモノクローナル抗体免疫グロブリン調製物または特異的リ セプターリガンドとの複合体からなる組成物においては、0.05〜1mg/kgの 範囲の用量が提唱される。標的組織に対する特異性がより小さい組成物において は、1〜10mg/kgのやや高い用量が好ましいであろう。上記範囲は単なる例示 であり、個別の治療指標に関する多くの要素が、上記推奨範囲からの大きな相当 な変動を及ぼすと考えられる。 本発明の方法に望まれる電離線照射の照射線量は、好ましくは約500ラッド より低く;より好ましくは10ないし200ラッドである。電離線照射はx−線 であってよいが、しかし好ましくは60Coからのようなガンマ線である。要求され るレベルは、多くの照射方法で必要とされるよりも低い。 実際、BPD、BPD−MA、それらの均等物および複合体の使用は、標的細 胞に照射前に適用しようと照射後に適用しようと、不所望細胞の破壊またはその 増殖の阻止に必要な照射の照射線量を低減させる。 以下に続けて記載する実施例は、本発明の効果を説明し、本発明の実施の助け にするためのものである。これらの実施例は例示であって発明を制限するための ものではない。 実施例 実施例1 この比較例においては、癌細胞および正常ウシ内皮細胞に対して、in vi この実施例において、細胞(a.P815腫瘍細胞−−DBA/2マウスの肥 満細胞腫;b.M1腫瘍細胞−−DBA/2マウスに3−メチルコラントレンに よって誘発した横紋筋肉腫;c.3905A細胞−−ウシ大動脈の内皮細胞)は 血清(FCS)を含む培養培地中でインキュベートした。試験した濃度範囲は0 .5ないし20μg/mlであった。インキュベートの直後に、細胞を60Co源から の照射に暴露した。選択した照射線量はLD50より低かった。種々の濃度のPH 基礎毒性の決定に用いた。細胞の生存は、呈色法(MTT)を用いて、照射の4 8ないし98時間後に測定した。薬剤の照射感作効果は、照射した細胞(薬剤の 存在下で培養したもの)の生存を照射した細胞(薬剤の不在下で培養したもの) の生存と比べて決定した。 図3A、3Bおよび3Cは、これらの試験の結果を示す。PHOTOFRIN る傾向を示したが(20μg/mlで80%生存率)、引き続いて行った60Coから の100または200ラッドの照射線量の照射は、生存率を有意に低下させた。 図3Aに示すように、白抜き四角(100ラッド)および白抜き三角(200ラ ッド)の生存率は僅か40〜50%であった。 同様に、図3Bに示されるように、96時間におけるM1腫瘍細胞の生存は、 細胞を100または200ラッドで照射した場合の方が、10%FCSを含む培 胞は、照射の有無に係わらず生存した。 図3Cは、3905Aウシ内皮細胞のような非腫瘍細胞は、PHOTOFRI わらず、in vitroで高い生存率を示したことを示す。96時間後、60Co 源からの200ラッドの処理を受けた殆ど全ての細胞が生存していた。 実施例2 本実施例は、ガンマ線照射に対するネズミ肥満細胞P815のin vitr o感作に及ぼすパラメーターの試験を示す。 P815細胞は、単独でまたは種々の量のBPD−MAと共に、DME+10 %FCS中で24時間インキュベートした。24時間目に培地を交換し、その際 実施例1に記載したMTTアッセイによって増殖を観察した。照射細胞は、0時 間目に300ラッドの照射を受け、そして非照射コントロール細胞と同様の処置 を受けた。しかしながら、照射時間は4時間を選択して細胞内へのポルフィリン の取り込みを可能にした。図4Aに示すように、BPD−MAの用量は照射線量 同様にP815細胞の生存率に影響した。同図において、BPD−MAのみ与え られ照射を行わなかったコントロールは、生存率がきわめて高かった(80%よ り大)。BPDで予備インキュベートした細胞を200または300ラッドで照 射すると、BPD濃度の増大とともに生存率はやや直線的に減少した。これに対 して、300ラッドの照射後にBPDを与えられた細胞(図4Aにおける黒丸) では、生存率は依然として有意に低かった。このことは、BPDの投与濃度と同 様に投与の時が、細胞の生存に有意に異なる影響を与えることを示している。B PD(10μg/ml)に暴露し、そして300ラッドで照射したP815細胞は 、実質的に消滅したが、照射のみまたは薬剤のみに暴露した細胞は実質的な損傷 を受けなかったように見えた。 図4Bは照射後の種々の時間にBPD−MAを添加したときの結果を示す。こ の実験においては、P815腫瘍細胞は300ラッドの60Co照射で処理した。照 射後、5ないし120分目に10μg/mlのBPD−MAをP815細胞に添加 した。有意に向上した殺傷効果が見られた。照射の短時間後に添加したとき、B PD−MAの添加は最も効果的であった。このことは、照射後の細胞の修復にB PD−MAが何らかの干渉を及ぼすことを示唆する。 図4Cは、BPD−MAの感作効果に対するpHの効果を示している。この一連 の試験において、P815細胞は種々の方法で処理した。各場合に、細胞は30 0ラッドの60Co照射に暴露し、その後、pH6.5〜8.5の培地中の種々の用量 のBPD−MA(5、8および10μg/ml)に24時間暴露した。24時間目 に増殖培地を通常の培養培地に交換し、細胞をさらに24時間培養し、MTTア ッセイで細胞の生存性を調べた。図4Cは全ての培養について、全ての照射細胞 がpH7またはそれ以下のとき幾分阻害的影響を受けたことを示している。 実施例3 この実施例においては、BPD−MAの特異的効果を他のポルフィリン類との ィリンIX、およびBPD−MAの影響を比較した。 図5Aは、未照射または300ラッドの60Co照射で処理したP815細胞に対 する種々のジポルフィリンは、BPD−MAのようなin vitro照射感作 剤効果を持たなかったと判断される。 図5Bは同様の証明であり、P815腫瘍細胞を300ラッドの60Coで照射処 理し、その直後に種々の濃度のヘマトポルフィリンIXで処理した。薬剤の濃度は 0.5、1、5および10μg/mlであった。この場合も、ヘマトポルフィリンI Xで処理してから照射した細胞とヘマトポルフィリンIXと培養しただけの細胞の 間にはほんのわずかな相違しかなかった。 図5Cは後続のBPD−MA処理に及ぼすガンマ線照射の感作効果を示す。こ の実施例において、P815腫瘍細胞は300ラッドの60Coで照射処理された。 次に、照射の5ないし10分以内に試験細胞に種々の濃度のBPD−MAを添加 した。同じ濃度のBPD−MAをコントロールの非照射細胞に添加した。細胞の 生存を照射24時間後にMTT呈色アッセイにより調べた。BPD−MAの照射 感作剤効果は、図5Aおよび5Bに示す二種のポルフィリン物質のいずれの効果 に比べても有意に高いことは明らかである。5μg/mlの濃度において、生存パ ーセントは僅か30%であり、そして10μg/mlの濃度ではP815腫瘍細胞 の生存パーセントは2%付近であった。 実施例4 実施例1から3に示したin vitroの結果に照らし、in vivo試 験の実施が適当であると考えられた。 この実験において、DBA/2マウスの群にM1細胞(横紋筋肉腫細胞ライン )を皮内注射し、腫瘍細胞が触診で約5mm2になったとき動物を種々の方法で処 理して、腫瘍の大きさを調べた。動物をランダム化し、次のような方法で処理し た: (a)薬剤無し−照射無し (b)体重1kg当たり10μgのBPD−MA静注 (c)生体に対する400ラッドの照射 (d)体重1kg当たり10μgのBPD−MAの静注に続き60Coの400ラッド 照射、および (e)400ラッド照射に続ぎ体重1kg当たり10μgのBPD−MA静注。 盲検手法で、腫瘍を毎日測定した。 図6Aは、時間の関数として示した腫瘍の相対的大きさである。図6Aの結果 は、薬剤も照射も受けなかったマウスの腫瘍に比べて、照射のみで腫瘍の成長が 遅延したことを示す。照射を伴わないBPD−MAの使用それ自体は、5ないし 10日の間に腫瘍の増殖を促進したようである。照射の前または後のBPDの投 与は腫瘍の増殖を有意に遅延させたようである。 図6Bは直ぐ上の実験とは照射線量のみ異なる第二の実験を示している。図6 Bに示す結果は直前の実験の400ラッドの代わりに500ラッドの照射線量で 得られた。図6Bに見られるように、500ラッドの線量で照射した腫瘍の間に は、実質的相違が見られなかった。結果がこのように似たのは、照射前もしくは 後のBPD−MAの投与による追加的効果が現れない程、照射線量が大きかった ためと思われる。 実施例5 この実施例は、DBA/2マウスのP815腫瘍のin vivo増殖に対す るBPD−MAおよび照射の影響を示す。 この実験において、毛を刈ったマウスに再度腫瘍細胞を注射した。この実験で は動物の皮下に104のP815細胞を注射した。腫瘍が触診で約5mmの大きさ に達したとき、動物に種々の措置を施し、腫瘍の大きさを調べた。動物をランダ ムに3群に分けて、次のように処理した: (a)薬剤無し、照射無し (b)200ラッド照射 (c)体重1kg当たりBPD−MAを10mg静注しその後200ラッド照射。 図7に示すとおり、200ラッドのガンマ線照射は、薬剤無し/照射処理なし の腫瘍の増殖とほぼ同じであった。薬剤の投与に続いて200ラッドの60Co照射 を行った試験では、試験を終了した10日目までのどの時点においても、腫瘍の 大きさは有意に小さかった。 実施例6 本実施例もまた、DBA/2マウスのP815細胞のin vivo増殖に対 するBPD−MAおよび続く照射処理の効果を示す。 本実施例では、DBA/2マウスに5×104のP815細胞を静注した。2 日後、マウスに10mg/kgのリポソームBPD−MAを注射し、1時間後にマウ スの体全体を、マウス当たり200ラッドのレベルで60Co照射源に暴露した。二 つのコントロール群も用意した;即ち、P815細胞を注射してそれ以上の措置 を施さなかったマウス、およびP815細胞を注射して200ラッドのレベルで60 Co照射源に暴露したマウス。照射後の4日目および7日目の各々に、各群のマ ウス3匹を殺し、脾臓中のP815細胞数の測定のため限界希釈法を行った。培 養物中のP815細胞のコロニーを観察および計数した。各群におけるP815 細胞の仝量を決定した。 図8は、7日目における異なる群のマウスの脾臓中のP815細胞の全量を示 している。明らかに、本発明の方法で処理した場合の量は、二つのコントロール 群のものに比べて優れていた。 本発明を具体的記載および実施例により説明した。前記のとおり、実施例は例 示であり本発明をいかなる様式でも制限するためのものではない。したがって当 業者は本明細書および請求の範囲の記載を見て、請求されている発明の態様に均 等範囲があることに気づくであろう。本発明には、請求の範囲に記載した合理的 範囲内で均等範囲も含まれるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 レヴィ,ジュリア・ジー カナダ国ブリティッシュ・コロンビア州ブ イ6エム・1ケイ9,バンクーバー,ウエ スト・サーティーシックスス・アベニュー 2034 (72)発明者 ドルフィン,デイヴィッド カナダ国ブリティッシュ・コロンビア州ブ イ6アール・2アール2,バンクーバー, ウエスト・トゥエルフス・アベニュー 4464

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.BPD、BPD−MA、それらの均等物またはそれらの複合体からなる群 から選択される照射感作剤一種以上を投与して不所望の細胞または組織を照射に 感受性とし、そして該細胞または組織に電離線照射を施す工程を含んでなる、不 所望の細胞または組織を破壊し又はその増殖を阻止する方法。 2.照射感作剤が、図2に示され、R1およびR2が独立にカルボアルコキシ基 または水素から選択されるBPD−MAである、請求項1の方法。 3.R1およびR2が−COOHまたは−COORから選択され、Rがアルキル 、アリールまたは置換アリールである、請求項2の方法。 4.Rがメチル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、t−ブチル、n−プロ ピルから選択されるアルキル;フェニル;アルキルスルホニル;または独立して ハロ、低級アルキルまたは低級アルコキシから選択される置換基1〜3個で置換 された置換アリールもしくはフェニルである、請求項3の方法。 5.R1およびR2がカルボアルコキシ基である、請求項2の方法。 6.R2がカルボメトキシおよびカルボエトキシから選択される請求項5の方 法。 7.BPD、BPD−MA、それらの均等物またはそれらの複合体からなる群 から選択される照射感作剤一種以上を体液に添加してin vivoまたはin vitroで不所望細胞を照射に感受比となし、該体液を生体から分離し、そ して該細胞もしくは組織に電離線照射を施す工程を含んでなる、体液中の不所望 細胞の破壊方法。 8.照射感作剤が図2に示され、R1およびR2が独立にカルボアルコキシ基ま たは水素から選択されるBPD−MAである、請求項7の方法。 9.R1およびR2が−COOHまたは−COORから選択され、Rがアルキル 、アリールまたは置換アリールである、請求項8の方法。 10.Rがメチル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、t−ブチル、n−プ ロピルから選択されるアルキル;フェニル;アルキルスルホニル;または独立し てハロ、低級アルキルまたは低級アルコキシから選択される置換基1〜3個で置 換された置換アリールもしくはフェニルである、請求項9の方法。 11.R1およびR2がカルボアルコキシ基である、請求項8の方法。 12.R2がカルボメトキシおよびカルボエトキシから選択される請求項11 の方法。 13.体液が、BPD、BPD−MA、それらの均等物またはそれらの複合体 によりin vivoで処理される、請求項7の方法。 14.体液が、BPD、BPD−MA、それらの均等物またはそれらの複合体 によりin vitroで処理される、請求項7の方法。 15.BPD、BPD−MA、それらの均等物またはそれらの複合体からなる 群から選択される照射感作剤一種以上を下記細胞の外膜に投与し、そしてそれら の細胞または組織に電離線照射を施す工程を含んでなる、照射後の不所望細胞の 回復を阻止する方法。 16.照射感作剤が図2に示され、R1およびR2が独立にカルボアルコキシ基 または水素から選択されるBPD−MAである、請求項16の方法。 17.R1およびR2が−COOHまたは−COORから選択され、Rがアルキ ル、アリールまたは置換アリールである、請求項16の方法。 18.Rがメチル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、t−ブチル、n−プ ロピルから選択されるアルキル;フェニル;アルキルスルホニル;または独立し てハロ、低級アルキルまたは低級アルコキシから選択される置換基1〜3個で置 換された置換アリールもしくはフェニルである、請求項17の方法。 19.R1およびR2がカルボアルコキシ基である、請求項16の方法。 20.R2がカルボメトキシおよびカルボエトキシから選択される請求項19 の方法。
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