JPH0780887B2 - 波長特異的細胞毒性試薬 - Google Patents

波長特異的細胞毒性試薬

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JPH0780887B2
JPH0780887B2 JP1187190A JP18719089A JPH0780887B2 JP H0780887 B2 JPH0780887 B2 JP H0780887B2 JP 1187190 A JP1187190 A JP 1187190A JP 18719089 A JP18719089 A JP 18719089A JP H0780887 B2 JPH0780887 B2 JP H0780887B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,望ましくない細胞もしくは組織,またはその
他の望ましくない物質を照射により破壊することを媒介
するために,光吸収性化合物を使用することに関する。
特に本発明は,670〜720nmの範囲に吸収極大を有するヒ
ドロ−モノベンゾポルフィリン誘導体を使用し,破壊す
べき物質の照射を媒介すること;およびレセプター特異
的リガンドのような標的特異的リガンド,または免疫グ
ロブリンもしくはそれらの免疫特異的断片に結合したこ
れら化合物を使用し,特定の標的に照射効果を集中させ
ることに関する。
(従来の技術) ヘマトポルフィリンおよびそのアセチル化誘導体混合物
であるヘマトポルフィリン誘導体(HPD)を悪性細胞の
検出と治療のために体組織に結合させて照射する使用法
は,これまでにかなりの歴史がある。HPDは,ヘマトポ
ルフィリン類の混合物であり,ヘマトポルフィリン自
身,ヒドロキシエチルビニル重水素化ポルフィリン,プ
ロトポルフィリン,およびジヘマトポルフィリンエーテ
ルを包含する。(例えば,「ポルフィリンの光感作」Ke
ssel.D.ら編,(1983)Plenum Press,を参照された
い。) HPDは“もともと”悪性細胞中に局在し得るようであ
る。照射がなされると,それを有用とするような2つの
特性を持つ。第1には,紫外もしくは可視光を照射する
と,それは蛍光を発することができる。そのため,それ
は,悪性物の検出に関する診断法に有効である(例え
ば,Kessel.ら,(前出);Gregory,H.B.Jr.ら,Ann Surq
(1968)167:827−829を参照されたい)。本発明にさら
に関係するのは,可視光が照射されたときに,HPDが有す
る能力であり,それは該HPDが局在化している細胞に細
胞毒性効果をおよぼす能力である(例えば,Diamond,I.
ら,Lancet(1972)2:1175−1177;Dougherty,T.J.ら,C
ancer Research(1978)38:2628−2635;Dougherty,T.J.
ら,“光医療の科学”(1982)J.D.Regan&J.A.Parrish
編,pp625−638;Dougherty,T.J.ら,“癌:腫瘍学の原理
および実践”(1982)V.T.DeVita Jr.ら編,pp1836−184
4,を参照されたい)。明らかに確立されてはいないが,
細胞を殺すHPDの効果は,照射により生じる一重項酸素
によるためと考えられる(Weishaupt,K.R.ら,Cancer R
esearch(1976)36:2326−2329)。この作用についてい
くつかのメカニズムが提唱されており,可視光照射の細
胞毒性効果を媒介するHPD中の活性成分は,ジヘマトポ
ルフィリンエーテル(DHE)の混合物であることが,最
近示された(Dougherty,T.J.ら,“ポルフィリンの局在
化および腫瘍の治療”(1984),pp.301−314;Doughert
y,T.J.,CRC Critical Review in Oncology/Hematology
(1984)2:83−116)。
精製された形のHPDの活性成分は,米国特許第4,649,151
号に開示されているように,pHを調整して凝固させ,そ
の凝固物を回収することにより得られる。上記特許の中
でDHEと呼ばれるこの精製された形のものは,フォトフ
リン II(Photofrin II)の商標で市販されており,HP
Dと全く同じ方法で使用されている。
上記引用した特許に記述されている,インビボでの腫瘍
の治療および診断のプロトコルに加えて,HPDとそのさら
に精製された誘導体を包含するポルフィリンが,他のイ
ンビボでの適用およびインビトロでの適用に用いられ得
る。例えば,米国特許第4,512,762号および第4,577,636
号に記載されているように,光増感剤はアテローム性動
脈硬化症の血小板の検出と治療に有用である。米国特許
第4,500,507号および第4,485,806号には,腫瘍を可視化
するために,HPDを含む放射標識したポルフィリン化合物
を使用することが開示されている。カリフォルニア大学
の米国特許第4,753,958号には,皮膚病の診断と治療に
このようなポルフィリン増感剤を応用する使用法が開示
されている。米国特許第4,748,120号には,全血または
血液成分の処理に光増感剤を使用することが開示されて
いる。血液および血液成分の光化学的な除染処理法が米
国特許第4,727,027号にも記載されている。ここで光増
感剤はフロクマリンおよびその誘導体である。さらに,
治療用タンパク組成物中のウイルスがインビトロで不活
性化することが,米国特許第4,268,947号に開示されて
いる。
HPDによる腫瘍および他の望ましくない標的の治療は,
悪性細胞内に局在するというHPDの個有の能力によるも
のであるが,腫瘍特異性抗体にヘマトポルフィリンを結
合させることによって,特異性についてかなりの改良と
工夫とがなされてきた。例えば,ネズミ筋肉腫細胞系列
M1に対するモノクローナル抗体にヘマトポルフィリンを
結合させて,腫瘍を持つ動物に対する抗M1ヘマトポルフ
ィリン復合体を投与し,白熱体に当てると,M1の成長が
抑制された(Mew,D.,ら,J Immunol(1983)130:1473−
1477)。さらに,ヘマトポルフィリンをヒト白血病(CA
MAL)に関連する抗原に特異的なモノクローナル抗体に
結合させると,その複合体は,インビトロで,白血球細
胞に対して特異的に照射誘導致死を媒介することが示さ
れた(Mew,D.ら,Cancer Research(1985)45:4380−43
86)。関連化合物クロリンe6が抗T細胞Mabに結合する
こともまた報告されている(Oseroff,A.R.らProc Natl
Acad Sci USA(1986)83:8744−8748)。
ヘマトポルフィリンを標的細胞に特異的な免疫グロブリ
ンへ結合させることによって,ヘマトポルフィリンが所
望の細胞もしくは組織へ戻るような能力が改良されてい
るが,このことにより,この通常の治療アプローチに対
する補助的な他の問題が解決されたわけではない。つま
り,他の問題とは,ヘマトポルフィリンまたはHPDを活
性化するのに必要な照射の波長(630nmおよびその付近
の範囲にある)が,血液および他の組織中のポルフィリ
ンおよび他の天然の発色団にも容易に吸収されるエネル
ギーであるということである。そのため,比較的大量の
ヘマトポルフィリンまたはHPDを投与せねばならず,そ
の結果,通常,しばしば患者の光過敏性を引き起こす。
より少ない量で照射の効果を媒介するような化合物を投
与することが望ましく,このことにより,対象となる生
物体全体に,非特異的に現れる過敏性の問題を避けるこ
とができる。これらの化合物のあるものの活性はRichte
r,A.M.らJ Natl Cancer Inst(1987)79 1327−1332の
論文に記載され,1988年1月19日に購読者に郵送され
た。この発明は,このような化合物の使用を目的とす
る。
(発明の要旨) 本発明は,光媒介細胞毒性効果および診断効果を示すこ
とが可能である光吸収性化合物を提供する。これらの化
合物は,光の照射を吸収し得る能力があるため,そのイ
ンビトロでの用途に加えて,比較的低い用量でインビボ
に投与され得る。その照射のエネルギー範囲は,血液ま
たは他の組織中に高濃度で存在する化合物(特に,通常
ヘモグロビンおよびミオグルビンに関連するポルフィリ
ン残基)により通常吸収されるエネルギーの範囲外であ
る。従って,インビボ治療において,これらの修飾ボル
フィリンを低濃度で与えることにより,非標的組織の過
敏性が減じられ,本来の発色団が活性化合物と(フォト
ンについて)拮抗しない波長において,照射治療が行わ
れ得る。このことにより,光がより深く浸透する。同様
の利点が,血液試料のような着色物質のインビトロにお
ける処理で生じる。
これら光学活性化合物は修飾ポルフィリンであり,修飾
されて誘導体となっているため,吸収極大のシフトがお
こる。その結果,化合物は赤色よりも緑色に見える。こ
のことは,それらが赤色〜橙色の領域にある波長の光を
吸収することを示す。この誘導体のグループは,それゆ
え,“グリーンポルフィリン”(Gp)と呼ばれており,
ヘマトポルフィリン(Hp)もしくはHPDに必要とされる
濃度よりも10倍を越える低い濃度で,標的細胞に感受性
を与えることが示されてきた。
上記Gpはアセチレン誘導体とプロトポルフィリンとのDi
els−Alder反応によって得られたポルフィリン誘導体の
群から選択される。この反応はプロトポルフィリン−IX
環状構造(A環およびB環)に存在する二つの利用可能
な非芳香性共役ジエン構造の一つだけが反応するような
条件下で実施される。第1図に示した化学式は,本発明
のグリーンポルフィリンを示す。さらに,便宜上,ヒド
ロモノベンゾポルフィリンを省略した言葉“BPD"が第1
図の化学式3および4の化合物を示すのに一般に用いら
れる。なぜならこれらがGpの好適な形だからである。
さらに,二量体の形のGpが提供され得,従って,1モル当
りを基準としたGp化合物の光吸収能が増強される。Gp/
ポルフィリンの組み合せの二量体および多量体の形もま
た用いられ得,付加的な吸収波長を与える。
さらに,本発明の修飾ポルフィリン(ここでは“グリー
ンポルフィリン”もしくは“Gp"という)は,レセプタ
ー特異的リガンドまたは免疫グロブリンもしくは免疫グ
ロブリンの免疫特異的部分のような,標的と反応性の特
異的リガンドに結合することが可能であり,そのことに
より該修飾ポルフィリンが所望の標的組織または物質に
より集中することができる。この結合により,必要とさ
れる用量レベルをさらに低下させることができる。なぜ
なら,この物質は,破壊を避けるべき他の組織(所望の
部位より離れている)へと拡散していくときに失われる
ことがないからである。
このように,ある面では,本発明は,本発明のヒドロモ
ノベンゾポルフィリンを単独でまたは複合体として用い
て,標的物質の位置づけ,あるいは標的物質に対して細
胞毒性を働かせる(つまり光増感作用により細胞毒性を
もたらす)方法に関する。ヒドロモノベンゾポルフィリ
ンは,第1図に示すように,グリーンポルフィリン(G
p)であり,インビボにおいてある標的組織に特異的に
局在し,その存在は,付加的にもしくは,代替的に標識
したGpを用い,蛍光または他の手段により検出し得る。
上で示すように,Gpの特異性は,標的に特異的なリガン
ドに結合させることにより,増大させることができる。
さらに,670〜780nmの範囲の光を使用して,in situでGp
に照射を行なうと,光活性化により周囲の組織に細胞毒
性がもたらされる。通常,Gpが付着する細胞には,腫瘍
細胞および一般の新生細胞,および,細菌および他の疾
病組織が包含される。本法は,インビトロまたはインビ
ボのいずれにおいても適用され得,インビボでの適用に
おいては,局部的または全身的に適用され得る。
他の局面においては,本発明は,ここで“BPD"と呼ばれ
る構造式3および4の化合物を含む,ある特殊なGp化合
物に関する。これらの化合物は,R3置換基中に,遊離の
(エステル化されていない)カルボン酸部分またはその
塩を含む,部分加水分解型である。本発明はまた,これ
らの化合物の標識された形態に関する。
本発明は,他の局面においては,式Re*−L−GpおよびI
g−L−Gpで表される複合体に関する。ここで,Re*は細
胞表面でレセプターと特異的に結合し得るリガンドを示
し,Igは免疫グロブリンまたはその免疫反応性部分を示
し,Gpは吸収極大が670〜780nmであるヒドロ−モノベン
ゾポルフィリンを示し,そしてLはこれらの成分を連結
する共有結合,もしくはRe*またはIgのいずれかとGpと
を共有結合により連結する結合部分を示す。
本発明はまた,Re*−L−GpまたはIg−L−Gpを含む三
構成の複合体に関し,この複合体は,さらに標識物と結
合または会合する。この標識物は,標的成分またはGp,
またはその両者を結合し得る。
他の局面においては,本発明は,これら活性成分を含む
薬剤組成物に関する。
本発明の波長特異的細胞毒性試薬は,第1図の構造式1
〜6で示されるヒドロモノベンゾポルフィリン(Gp)化
合物である。ここで,該構造式のR1およびR2は,それぞ
れ独立して,炭素数2〜6のカルボアルコキシ,炭素数
1〜6のアルキルスルホニル,炭素数6〜10のアリール
スルホニル,炭素数6〜10のアリール;シアノ;および
−CONR5CO−(ここで,R5は炭素数6〜10のアリールま
たは炭素数1〜6のアルキルである)でなる群から選択
され;各R3は独立して,炭素数2〜6のカルボキシアル
キルまたはその塩,アミド,エステルもしくはアシルヒ
ドラゾン,あるいは炭素数1〜6のアルキルであり,そ
してR4は,CHCH2,CHOR4′,−CHO,−COOR4′,CH(OR
4′)CH3,CH(OR4′)CH2OR4′,−CH(SR4′)C
H3,−CH(NR4′ )CH3,−CH(CN)CH3,−CH(COOR
4′)CH3,−CH(OOCR4′)CH3,−CH(ハロ)CH3
または−CH(ハロ)CH2(ハロ)〔ここで,R4′は,Hで
あるか,あるいは必要に応じて親水性置換基で置換され
た炭素数1〜6のアルキルである〕であるか,あるいは
R4は,ビニルから直接的または間接的に誘導された炭素
数が12を下まわる有機基であるか,あるいはR4は,ここ
で定義された式−L−Pで示されるテトラピロール型の
核を1〜3個有する置換基である。但し,R4がCHCH2
あるときには,R3は両方ともカルボアルコキシエチルで
はない。
さらに,本発明の波長特異的細胞毒性試薬は,式Ig−L
−GpまたはRe*−L−Gpで示される複合体である。ここ
で,Igは免疫グロブリンまたはその免疫反応性部分;Re*
はレセプターに特異的なリガンド;Gpは670〜780nmの波
長領域に光吸収極大を有するヒドロモノベンゾポルフィ
リン;そしてLは共有結合,または共有結合によってIg
およびGpに結合したリンカー部分を示す。
本発明は,さらに,標的生体物質の機能を検出し,光増
感し,破壊し,または阻害する方法を提供する。この方
法は,該標的を,670〜780nmに光吸収極大を有するヒド
ロモノベンゾポルフィリン(Gp)の有効量と接触させる
こと,および該標的に670〜780nmの波長を有する光を照
射することを包含する。該Gpは,第1図の構造式で示さ
れる化合物およびそれらの混合物でなる群から選択され
る。
本発明は,さらに、特定の生体物質を標的とするのに有
用な薬剤組成物であって,上記の化合物および/または
上記複合体の有効量を,薬学的に許容され得る少なくと
も一種の賦形剤と混合した形で含有する,薬剤組成物を
提供する。
本発明は,さらに,標的ウイルス,細胞,または組織を
検出し,それらの代謝を阻害し,またはそれらを破壊す
る方法を提供する。この方法は,該標的を,上記の化合
物および/または上記複合体あるいはそれらの薬学的組
成物の有効量に接触させること,および該接触したウイ
ルス,細胞,または組織に670〜780nmの範囲の波長を有
する光を照射することを包含する。
本発明は,さらに,動物の皮膚疾患を治療するための方
法を提供する。この方法は,このような治療が必要とさ
れる動物に,670〜780nmに光吸収極大を有する上記ヒド
ロモノベンゾポルフィリン(Gp)の有効量を投与するこ
と,および該動物に670〜780nmの波長領域の光を照射す
ることを包含する。該Gpは第1図の構造式の化合物およ
びそれらの混合物でなる群から選択される。
本発明は,さらに,標的ウイルス,細胞,または組織を
インビボで検出する方法を提供する。この方法は,該標
的を有する被験体に,670〜780nmに光吸収極大を有する
上記ヒドロモノベンゾポルフィリン(Gp)および/また
は上記複合体の有効量を投与すること,および該Gpおよ
び/または該複合体の位置を検出することを包含する。
(発明の構成) ヒドロ−モノベンゾポルフィリン(Gp) 本発明の組成物はすべて,光吸収化合物として,プロト
ポルフィリン環状構造を有する誘導体を用いており,こ
の誘導体は,670〜780nmの範囲に吸収極大を有する。第
3図は,第2図に示した本発明の化合物の1つであるBP
D−DA(ここでR1とR2はカルボメトキシである)の吸収
スペクトルを示し,HPDおよびフォトフリン II組成物と
の比較を示している。BPD−DAのみが約685nmにおいて主
吸収ピークを有する。
一般的には,このシフトは,典型的なポルフィリン構造
を構成する4つのピロール環のうちの,1つ(2つではな
い)の中の2個のπ結合のうちの1個を効果的に飽和す
ることにより引き起こされる。プロトポルフィリン−IX
では,ピロールのうちの2個がビニル基の置換を包含
し,このビニル基の置換は,環外のπ結合が環内の2つ
のπ結合のひとつに共役するような置換である。これら
の共役系の1つとアラチレン誘導体ジエノフィールとを
含むディールス−アルダー反応により,AまたはB環に縮
合した,構造式1および2で示される縮合シクロヘキサ
ジエン(ここでは,“ヒドロベンゾ”と呼ばれる)が生
じる。ヘキサジエン環内のπ系の再配置(転位)によっ
て構造式3および4の化合物が生じる。還元によって構
造式5および6の化合物が生じる。これらの化合物のす
べてで吸収極大のシフトが生じる。
本発明で有用ないくつかの化合物またはその前駆体に特
別な調整法は,Morgan,A.R.ら,J Chem Soc Chem Commun
(1984)pp.1047−1048;およびPangka,B.S.ら,いJ Org
anic Chem(1986)51:1094に記載されている。これらの
出版物のなかで述べられているように,プロトポルフィ
リン−IXジメチルエステルは,テトラシウノエチレンの
ような強力なディールス−アルダージエンノフィール試
薬と反応すると,ヒドロ−ベゾン誘導体へと変化する
ことが以前に報告されていた。しかし,これの参照文献
に示されているように,アセチレンがより弱い電子吸引
基で誘導体とされ,これがディールス−アルダー反応試
薬として用いられると,ヒドロ−モノベンゾ誘導体が形
成されることが明らかである。このように,第1図の式
1および2で示す化合物が,プロトポルフィリンと,例
えば,ジメチルアセチレンカルボキシレート(DMAD)と
の反応から直接に得られる。図中,R1およびR2は,アセ
チレンから誘導されたもとのディールス−アルダー試
薬,すなわちR1−C≡C−R2の置換基を表し,この場合
はカルボメトキシである。R1およびR2は,一般にカルボ
メトキシまたはカルボエトキシのような特定のカルボア
ルコキシ基である。R3は,反応に用いられるポルフィリ
ンに存在する置換基,またはそれらから誘導される置換
基を示す。Morganの参照文献によれば,反応基質は,プ
ロトポルフィリン−IXジメチルエスエルであった。従っ
て,すべての場合において,リガンドR3は2−カルボメ
トキシエチレンであった。
MorganおよびPangkaの参照文献で,アセチレンから誘導
されたジエノフィールについて開示された置換基には,
フェニルスルホニル(つまりSO2Ph)が包含される。こ
れは,前述の文献で記述されているように,単一の置換
基(β−フェニルスルホニルプロピオネート)であって
もよく,または,おそらく,R1およびR2の両者がスルホ
ニル誘導体であってもよい。一般に,R1およびR2はそれ
ぞれ独立して中程度の電子吸引性置換基であり,最も一
般的には,カルボアルコキシ,またはアルキルまたはア
リールスルホニル,または他のあらゆる活性化置換基で
あり,それらはAおよびB環のうちの一方のみとの反応
ではなく両方との反応を行なうほど電子吸引性が強くは
ない。例えば,シアノまたは−CONR5CO−であり,R5
アリールまたはアルキルである。R1およびR2のうちの1
つは必要に応じてHであり得,他方はディールス−アル
ダー反応を促進するのに充分な強さの電子吸引性置換基
である。
ここで使用されるカルボキシ基は,通常に定義されるよ
うなCOOHであり,そしてカルボアルコキシ基はCOORであ
る。ここで,Rはアルキルである。カルボキシアルキルと
は置換基−R′−COOHをさしていい,R′はアルキレンで
ある。カルボアルコキシアルキルとは−R′−COORをさ
していい,R′とRはそれぞれアルキレンおよびアルキル
である。アルキルは,メチル,n−ヘキシル,2−メチルペ
ンチル,t−ブチル,n−プロピルなどのような1〜6個の
炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基で
ある。アルキレンは基が2価であること以外アルキルと
同様である。アリールスルホニルまたはアルキルスルホ
ニル成分は式SO2Rを有し,ここで,Rは上で定義したよ
うなアルキル,もしくはアリールである。このアリール
は,必要に応じて,ハロ(フルオロ,クロロ,ブロモま
たはヨード),低級アルキル(炭素数1〜4)または低
級アルコキシ(炭素数1〜4)から選択された1〜3個
の置換基で置換されているフェニルである。さらに,R1
またはR2の一方,または両方は,それ自身アリール(つ
まり,上記で定義したように必要により置換されたフェ
ニル)であり得る。
第1図に示されるように,プロトポルフィリン−IXの環
状構造とR1−C≡C−R2の反応によって形成される付加
物(R3は2−カルボメトキシエチルまたは2−カルボエ
トキシエチルのような2−カルボキシエチルの保護され
た形であり;R4はCH=CH2である)は,構造式1および
2の化合物である。ここで,構造式1の化合物はA環へ
の付加から生じ,そして構造式2の化合物はB環への付
加から生じる。得られたこれらの構造式1および2の生
成物では,R4にCH=CH2が残っている。しかし,このビ
ニル基は,構造式1のB環または構造式2のA環のビニ
ル環置換基への付加または該置換基の酸化によって,R4
の他の実施態様に簡単に誘導される。もし付加された置
換基の機能が残っているならば,付加または酸化生成物
はさらに置換され得る。例えば,−Brは−OH,−OR(R
は上記のように炭素が1−6個のアルキル),または−
NH2,−NHR,−NR2などによって置換さされ得る。好適な
実施態様では,付加された置換基の一方は水素であり,
他方の置換基はハロ(フルオロ,クロロ,ブロモまたは
ヨード),ヒドロキシ,低級アルコキシ,アミノもしく
はアミド,スルフヒドリルまたは有機スルフィドからな
る群から選択されるか,または水素それ自身であり得
る。ビニル基への付加は,得られた化合物の吸収スペク
トルを認められるほどには変化させない。水のマルコフ
ニコフ付加による生成物は,関連する環においてヘマト
ポルフィリンの環構造に類似した置換基構造を与える。
このように,本発明の化合物は,以下にさらに記述され
るような種々の基をR4として含み,このR4は他のポルフ
ィリンまたはポルフィリン関連の環状構造を提供する置
換基を包含する。
プロトポルフィリン−IXのR3は,2−カルボキシエチル
(−CH2CH2COOH)である。しかし,R3が環のπ結合に共
役しているπ結合を含まない限り,R3の性質は,通常,
ディールス−アルダー反応の進行,または得られる生成
物の効力および吸収スペクトルとは,関係しない。従っ
て,R3は,例えば低級アルキル(炭素数1〜4),また
はω−カルボキシアルキル(炭素数2〜6)もしくはそ
れらのエステルまたはアミドであり得る。R3置換基は,
上に述べたハロゲンで,もしくは他の非反応性の置換基
で置換されていてもよい。しかしながら,本発明のGp化
合物に対する都合のよい出発物質は天然由来のポルフィ
リンであるので,R3に対する好ましい置換基はCH2CH2CO
OHまたは−CH2CHR2COORであり,ここではRはアルキル
(炭素数1〜6)である。
以下のことに注意すべきである。R3置換基の性質は,通
常,ジエン物質の性質を変えることによりディールス−
アルダー反応の経過に影響を及ぼすことはない。これに
対して誘導体化は,適切な溶解特性を与えることによ
り,その反応を促進するか,またはその反応への干渉を
防ぐことが必要であり得る。このように,Morganらおよ
びPangkaらによって記載されたディールス−アルダー反
応には,遊離のカルボキシル基による反応への干渉を防
ぎ,かつ適切な溶解特性を与えるための物質として,プ
ロトポルフィリン−IXのジメチルエステルが利用されて
いる。
本発明のBPD化合物において,−CH2CH2COORにおけるエ
ステル化されたカルボキシル基を加水分解もしくは部分
的に加水分解するのが有利であることが明らかになっ
た。加水分解はR1,R2がエステル基であるものよりもは
るかに速やかに起こり,そして,得られた化合物の溶解
度は加水分解されていない形のそれよりもより好まし
い。加水分解により二価の酸もしくは一価の酸の生成物
(もしくはその塩)を生じる。
参考文献に記載されたディールス−アルダー反応から直
接得られるヒドロ−モノベンゾポルフィリンもまた,そ
こで述べられているように[MorganらおよびPangkaら,
(前出)を参照]適当な試薬(例えば,塩化メチレン中
のトリエチルアミン(TEA)または1,5−ジアザビシクロ
[5.4.0]ウンデカ−5−エン(DBU)で処理することに
より異性化し,第1図の構造式3および4で示される化
合物になり得る。生成物の立体異性は,試薬を選択する
ことにより決定される。
第1図における化合物3および4の図は,R2置換基に関
して,環外のメチル基(構造式3の環Aおよび構造式4
の環B)の相対的な位置は示していない。TEAを用いる
転位反応は核間メチル基およびR2に対してシス型の幾何
異性体を与えるが,他方DBUとの処理を行なうとトラン
ス型の生成物を生じるということが,この文献の著者に
より明らかにされている。このシス型の生成物は明らか
に,速度論的に制御されている。なぜなら,シス型の生
成物をDBUと処理するとさらに転位が起こり,トランス
型の立体異性体を生じるためである。従って,第1図の
構造式3および4は,通常TEAまたはDBUのいずれかを触
媒として環AおよびBに関してそれぞれ転位を行なった
ときの転位後の生成物を示している。
さらに,ディールス−アルダー生成物は,パラジウム−
炭の存在下で水素と処理することにより選択的に還元さ
れ,飽和環式の類似物となる。この飽和環式類似物は,
第1図の式5および6で示され,それぞれ対応するディ
ールス−アルダー生成物のA環およびB環に相当する。
これらの還元された生成物は構造式1〜4の化合物ほ
ど,好適な実施態様ではなく,また本発明の方法におい
て有用ではない。
構造式1および2の化合物に関する記載は構造式3,4,5
および6についても適用され得る。つまり構造式1およ
び2の化合物において,残存するビニル置換基(R4)の
変換による誘導,および−R3の多様性に関しては,同様
に適用される。
構造式3および4の化合物(BPD),そして特に,R3
おけるカルボキシル基が加水分解および部分的に加水分
解されたものが最も好適である。−COOHを有する本発明
の化合物は遊離酸,または有機もしくは無機の塩基との
塩の形で調製され得る。
第1図の化合物のすべては,少なくとも1つのキラル中
心を持ち,そのため光学異性体として存在していること
に注目されたい。本発明の複合体および方法は,不斉炭
素の両方の立体配置を有する化合物を包含する。この両
方の立体配置は,この化合物が単一の立体異性体の単離
物,または鏡像異性体および/またはジアステレオマー
の混合物のいずれかとして供給される。ジアステレオマ
ー混合物の分離は,一般的方法のいずれによっても行わ
れ得る。つまり,鏡像異性体の混合物は,該混合物を光
学活性な調製物と反応させ,得られるジアステレオマー
を分離するという通常の方法で分離し得る。
反応生成物は,AおよびB環付加物の分離されていない混
合物であり得る。例えば,構造式1および2,または3お
よび4,または5および6の混合物であり得ることを銘記
すべきである。分離された形(つまり構造式3単独,も
しくは4単独),あるいはその混合物(いかなる比率で
もよい),がここに述べられている診断および治療の方
法に用いられ得る。
“ジヒドロ”−モノベンゾポルフィリンという名称は,
ポルフィリン環状構造とR1C=CR2のディールス−アル
ダー反応の直接生成物,およびさらに修飾された生成物
を示す。“テトラヒドロ”−モノベンゾポルフィリンは
前述の式5および6の生成物の還元物を示し,そして,
“ヘキサヒドロ”−モノベンゾポルフィリンはポルフィ
リン環外に完全に還元された“ベンゾ”環を有する類似
物を示す。ヒドロ−モノベンゾポルフィリンは,一般に
上記3種類の酸化状態のモノベンゾポルフィリンの全て
を包含するように用いられる。モノベンゾポルフィリン
自体は,それらの極大吸収が要求される範囲内にないの
で,本発明の範囲には包含されない。
第2図は,本発明の特に好適な4種の化合物を示す。こ
れは従来技術の項では述べられていない。これらの化合
物は,それらが構造式3もしくは4を有するGpを形成す
るので,まとめてベンゾポルフィリン誘導体(BPD)と
命名される。これらは構造式3もしくは4の転位生産物
の加水分解もしくは部分的に加水分解された形である。
ここでは保護基R3のカルボキシル基の一方もしくは両方
が加水分解されている。R1およびR2のエステル基は,比
較的ゆっくり加水分解されるので,第2図に示される形
への変換は簡単に行われる。
この記述の目的においては,R3は−CH2CH2COOR3′であ
る。第2図に示されるように,好適な化合物であるBPD
−DAにおいては各R3′は水素であり,R1とR2とはカル
ボアルコキシ,そして環Aにおいて修飾がなされてい
る。BPD−DBはBPD−DAに相当する化合物であるがB環に
修飾がなされている。BPD−MAは,BPD−DAが部分的に加
水分解された形であり,そしてBPD−MBはBPD−DBが部分
的に加水分解された形である。それゆえ,これらの後者
の化合物においては,R1およびR2はカルボアルコキシで
あり,1つのR3′は水素でありもう一方のR3′はアル
キル(炭素数1〜6)である。構造式BPD−MAおよびBPD
−MBの化合物は均一であり,C環のカルボアルコキシエチ
ルのみもしくはD環のカルボアルコキシエチルのみが,
加水分解され,あるいはCおよびD環置換体加水分解物
の混合物であるかもしれない。さらに,BPD−MA,−MB,−
DAおよび−DBの2種もしくはそれ以上の混合物が本発明
の方法に用いられ得る。
加水分解された形のこれらディールス−アルダー生成物
は,以前には開示されていないので,本発明は,これら
の化合物をも目的としている。従って,別の局面では,
本発明は第2図に示した構造式の化合物を目的してい
る。ここでR1およびR2は上記のように定義されるもので
あり,Rはアルキル(炭素数1〜6)である。好ましいの
は,R1およびR2がカルボアルコキシ,特にカルボメトキ
シまたはカルボエトキシである実施態様である。
R4がビニル以外のものであるか,またはR3が天然の置換
基でない他の実施態様もまた,当該分野で開示されてお
らず,本発明のこれらの実施態様を目的としている。す
なわち,本発明は第1図に示した化合物を目的としてい
る。ここで,この化合物の 各R1およびR2は,独立して,カルボアルコキシ(炭素数
2〜6),アルキル(炭素数1〜6)スルフォニル,ア
リール(炭素数6〜10),シアノ;および−CONR5CO−
(ここでR5はアリール(炭素数6〜10)またはアルキル
(炭素数1〜6)からなる群から選択され, 各R3は独立して,カルボアルコキシ(炭素数2〜6);
またはその塩,アミド,エステルまたはアシルヒドラゾ
ン;またはアルキル(炭素数1〜6)であり,そして, R4は,CHCH2,CHOR4′,−CHO,−COOR4′,CH(O
R4′)CH3,CH(OR4′)CH2OR4′,−CH(SR4′)CH
3,−CH(NR4′ 2)CH3,−CH(CN)CH3,−CH(COOR
4′)CH3,−CH(OOCR4′)CH3,−CH(ハロ)CH3
または−CH(ハロ)CH2(ハロ)〔R4′はH,必要に応
じて親水性の置換基で置換された炭素数1〜6のアルキ
ルである〕であり,生じた炭素数が12を下まわる有機基
であり, R4はここで定義された構造式−L−Pのテトラピロール
型の核を1〜3個有する基であり, R4がCHCH2であるとき,R3は両者とも2−カルボアルコ
キシエチルではない。
化学式3および4,そしてそれらの混合物が特に好まし
い。また,R1およびR2が同一であり,カルボアルコカ
シ,特にカルボエトキシであるようなものも好ましい;
R4が−CHCH2,CH(OH)CH3または−CH(ハロ)CH3,また
は構造式−L−P(以下で定義される)のテトラピロー
ル型の核を1〜3個有する基であるようなものも好まし
い。
ここで用いられる“テトラピロール型の核”とは,次骨
格を有する,4環構造: およびその塩,エステル,アミドまたはアシルヒドラゾ
ンを示す。これらは高度に共役している。
このような構造には,事実上,完全な共役系のポルフィ
リン構造,事実上,ジヒドロ型のポルフィリンであるク
ロリン(chlorin)構造,および完全な共役系のテトラ
ヒドロ型である還元クロリン構造が包含される。“ポル
フィリン”に特定すると,これは完全な共役系を示し,G
pは,事実上ジヒドロ型のポルフィリン構造を示す。
本発明の化合物の一群は,置換基R4が少なくとも1つの
付加的なテトラピロール型核を含む。本発明で得られる
化合物は二量体またはオリゴマーであり,その中のテリ
ラピロール型環構造の少なくとも一種がGpである。Gp部
分と,付加的なテトラピロール型環構造との間における
R4の位置を介した結合は,エーテル,アミン,またはビ
ニル結合であり得る。R4に対応する(A環およびB環の
両方における)2つの利用可能な置換位置を有するポル
フィリン環構造の場合は,以下で詳しく説明するよう
に,さらに誘導体を形成し得る。
上述のように,第1図に示した化学式の化合物には,最
初のGp生成物のビニル基への付加によって実施態様のR4
が形成されたものが含まれる。従って,R4は簡単な付加
反応によって形成されたものに適合するあらゆる置換基
であり得る。付加置換基は,例えばOHまたはハロゲンで
あり,これら置換基はさらに置換され得る。または,付
加試薬がHXの形であり,Hが環隣接炭素に付加して, の形のR4を生じる。
ビニル基もまた,酸化されて,CH2OH,−CHO,またはCOO
H,そしてその塩およびエステルとしてR4を与え得る。
このように,一般にR4は,開裂または付加,さらに脱離
基と付加的な部分との反応の結果によりビニル基−CH=
CH2から容易に変換されるあらゆる置換基を表してい
る。典型的なR4置換基には以下のものが含まれる:−CH
(NH2)Me, −CH(OMe)Me,CHBrMe,−CH(OMe)Me,−CH(ピリジニ
ウムブロミド)Me,−CH(SH)Me,およびその二硫化物,
CHOHCH2OH,−CHO,そして−COOH−または−COOMe。
Rが−L−Pの場合,置換基の構造式“−L−P"は次の
ような置換基を表わす:−L−は,以下に示す(a)〜
(f)でなる群から選択され: Pは,第1図の構造式1〜6で示されるGp(しかし,R4
を欠き,第1図でR4が占めている位置でLに結合してい
る)および以下の構造式のポルフィリンでなる群から選
択される。
ここで,R3およびR4は上で定義した基であり,そして非
占有結合(unoccpied bond)はLに結合している。次の
略号: は,以下の構造式のポルフィリンを示す: (また,−L−が(e)または(f)の構造式のもので
ある場合,二重結合が結合している環構造は環内に に相当する共鳴構造を有する。) −L−Pの典型的な態様には,以下に示すものが包含さ
れる: ここで,R4は上で定義された基である。このように,本
発明の化合物には, 二量体およびオリゴマーの調製 本発明の二量体およびオリゴマーの化合物はポルフィリ
ンそれ自身の二量化およびオリゴマー化と類似の反応を
用いて調製され得る。
−L−が構造式 (つまり,エーテル結合)である本発明の化合物を形成
するために,Gpのビニル基はハロゲン化物(好ましくは
塩素化物)に変換される。この変換は,Gpを例えば塩化
メチレン溶液中でHBrとともに処理することによって実
施され,付加生成物が回収される。得られた生成物を真
空下でエバポレートすることによって回収し,塩化メチ
レンに再度溶解させ,固形炭酸カリウムのような不溶性
塩基に添加する。これに,当量のテトラピロール型の核
でいる“P"を添加し,結合させる。ここで,“P"の反応
性R4部分は1−ヒドロキシエチルである。この混合物を
適当な時間(一般に約12時間)攪拌し,得られた二量体
のジアステレオマーの対(鏡像異性体の対の形およびメ
ソ型)は,クロマトグラフィーによって混合物から分離
され得る。この方法において“P"で表されるテトラピロ
ール型の核は他のGpまたはポルフィリンのいずれかであ
り得る。
“P"置換基がポルフィリンである場合には,付加してい
るビニル基はさらにハロゲン化し,より高次のオリゴマ
ーを形成する反応に利用され得る。
−L−がビニル基を含有する実施態様では,二量体はR4
が1−ヒドロキシエチルであるGpと,結合しているテト
ラピロール型の核(同様に1−ヒドロキシエチルのよう
な結合しているR4を有する)の当量とを非親核性強酸
(例えばトリフルオロメチルスルホン酸)とともに処理
することによって得られる。この処理では,得られたメ
チルプロペニル結合二量異が沈殿として生じる。(この
反応では,硫酸のような他の酸に変えることによって,
エーテル結合の二量体が副生成物として形成され得
る。) アミノ結合の化合物は,ビニル基をHBrと処理し,続い
て所望の結合を得るのに適したアミンと処理することに
よって,形成され得る。
標的に特異的な成分 標的に特異的な成分は,例えば,免疫グロブリンまたは
その部分,またはレセプターに特異的なリガンドであり
得る。
免疫グロブリン成分は,種々の材料物質のいずれかであ
り得る。この成分は,ポリクローナル抗体またはモノク
ローナル抗体調製物から誘導され得る。そして,抗体全
体,またはF(ab′)2,FabまたはFab′フラグメントのよ
うな免疫学的反応性を有するこれら抗体のフラグメント
を含有し得る。抗体全体の代わりにこのような免疫学的
反応性を有するフラグメントを用いることが,当該技術
分野でよく知られている。例えば,Spiegelberg,H.L.,
“臨床検査室におけるイムノアッセイ”(1978):1−
23を参照のこと。
ポリクローナル抗血清は,所望の抗体に対する抗原を適
当な哺乳動物に注射し,抗原に対する血清中の抗体レベ
ルを測定し,力価が高い場合に抗血清を調製する,通常
の方法を用いて調製される。モノクローナル抗体調製物
は,免疫された動物由来の抹消血リンパ球または脾臓細
胞を用い,KoehlerおよびMilsteinの方法のような通常の
方法で調製し得る。つまり,これらの細胞をウイルス感
染,ミエローマ細胞との融合,またはその他の一般的方
法のいずれかにより永久増殖化させ,そして,単離した
コロニーにより所望の抗体の産生についてスクリーニン
グするような方法で調製し得る。モノクローナルまたは
ポリクローナル調製物のいずれかに由来のフラグメント
は,Spiegelberg,H.L.(前出)により記載されている通
常の方法により調製される。
ここで例示されている特に有用な抗体は,モノクローナ
ル抗体調製物CAMAL−1,抗M1抗体のポリクローナルまた
はモノクローナル調製物,およびB16G抗体を包含する。
CAMAL−1は,Malcolm.A.ら,Ex Hematol(1984)12:539
−547により記載されている方法で調製し得る;抗−M1
抗体のポリクローナルまたはモノクローナル調製物はMe
w,D.ら,J Immunol(1983)130:1473−1477(前出)に
より記載されている方法により,そして,B16G抗体はMai
er,T.ら,J Immunol(1983)131:1843;Steele,J.K.ら,
Cell Immunol(1984)90:303により記載されている方法
により調製される。
上記のリストは典型的なものであり,決して制限的なも
のではない;いったん標的組織がわかれば,この組織に
特異的な抗体を通常の方法で調製し得る。それゆえ,本
発明はいずれの所望の標的に対しても,毒性を与えるの
に応用し得る。
レセプターに特異的なリガント(Re*)は,細胞表面上
でレセプターを認識する部分と関連しており,従ってレ
セプターのものと相補的である輪郭および電荷パターン
を有している。レセプターに特異的なリガンドは本発明
の化合物の式でRe*として表わされている。ここで,星
印はレセプターそのものではない本発明の化合物中の結
合成分であり,レセプターに相補的な物質であるという
ことを示している。様々な種類の細胞は,ホルモン,成
長因子,または神経伝達物質に結合するように設計され
た特異的なレセプターを備えていることがよく知られて
いる。しかし,これらのレセプターに特異的なリガンド
の実施態様が知られており,理解されているが,ここで
用いられている“レセプターに特異的なリガンド”とい
う用語は,レセプターに特異的に結合する天然物質また
は合成物質のいずれにも関連するものである。
このようなリガンドの例は,プロゲステロン,エストロ
ゲン,アンドロゲン,および副腎皮質ホルモンのような
ステロイドホルモン;表皮細胞成長因子,神経成長因
子,繊維芽細胞成長因子などのような成長因子;ヒト成
長ホルモン,副甲状腺ホルモンなどのような,その他の
タンパクホルモン;およびアセチルコリン,セロトニ
ン,およびドーパミンのような神経伝達物質を包含す
る。レセプターに結合できるこれの物質のいずれの類似
物もまた包含される。
結合 標的細胞に特異的な成分のヒドロ−モノベンゾポルフィ
リンへの結合は,適当ないずれの方法によっても行い得
る。IgおよびあるRe*のようなタンパクに対して,例え
ば,カルボジイミドのような脱水剤を用いてこれの成分
同士を直接に共有結合させ得る。この場合,Lは共有結合
を表す。ヒドロ−モノベンゾポルフィリンと免疫グメブ
リン成分とを共有結合させるのに特に好適な方法は,ほ
とんどがジメチルスルホキシド(DMSO)からなる反応媒
質の存在下において1−エチル−3−(3−ジメチルア
ミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)で処理すること
である。この好適な方法を用いた調製は,以下の実施例
3に示されている。
もちろん,ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはジエ
チルカルボジイミドのようなその他の脱水剤も,通常の
水溶性および部分的に水溶性の媒質と同様に使用し得
る。
タンパク以外のレセプターリガンドは,当該技術分野で
公知の方法により,適切な官能基でGpに結合し得る。
複合体の活性部分も,二官能基であって,二つの活性成
分を互いに共有結合することが可能である,リンカー化
合物を介して結合され得る。多くの種類のリンカーが市
販品として入手可能であり,例えばPierce Chemical C
o.のカタログに見られるように,典型的なリストはこれ
らのリンカーを包含している。これらのリンカーは,同
種または異種二官能性成分であり,ジスルフィド,アミ
ド,ヒドラゾン,およびその他の多くの種類の結合を形
成することが可能な官能性を有する。
その他のリンカーとしては,ポリアミン,ポリエーテ
ル,ポリアミンアルコールのようなポリマーが包含さ
れ,ケトン,酸,アルデヒド,イソシアネート,または
多くの他の基により,リンカーの成分へと誘導される。
複合体の活性成分を結合するのに用いた技術は,いずれ
の標準的方法も包含しているので,結合方法は本発明の
一部分ではない。それゆえ,このような複合体をつくる
ための当該技術分野で公知のいずれの効果的な技術も,
本発明の範囲内にある。従って,リンカー部分は,共有
結合,または当該技術分野で入手可能なリンカー成分,
あるいは標準的方法を用いてそれらから誘導できるもの
のいずれかとしてのみ広く定義される。
標識 本発明の方法における使用に対し,グリーンポルフィリ
ン化合物それ自体,またはその複合体はさらに薬剤を標
識する化合物またはイオンの形に誘導し得る。放射性同
位元素,発色団,および蛍光標識を含む様々な標識成分
を用いることができる。インビボで簡単に検出し得るた
め,放射性同位体を用いた標識が好ましい。
Gp自身であるか,あるいはGpと特異的な結合物質との複
合体である化合物は,適切な放射性カチオンをポルフィ
リン系に配位させることにより,放射性同位体で標識し
得る。有用なカチオンには,テクネチウム,ガリウム,
およびインジウムがある。複合体においては,特異的結
合物質の一方または両方を,標識に連結するか,または
標識と会合させ得る。あるいは,標識はGp部分それ自体
と結合するかあるいは配位し得る。
金属イオン 本発明の化合物は上記のように,あるいは適切な金属イ
オンに結合して,投与,またはインビトロでの方法で使
用され得る。当該分野で一般に理解されているように,
テトラピロール型の核は,適切なイオン(例えば,マグ
ネシウムイオン,亜鉛イオン,第1スズイオンなど)で
処理されて,金属錯体を得ることができる。上述のよう
に,金属イオンもまた,放射標識であり得る。テトラピ
ロール型の核に金属イオンを含有させることの特性と望
ましさは,目的とする特定の化合物の用途に依存する。
金属イオンを含有させることが望ましい場合には,周知
の条件下で適切な金属塩を用いて,所望の金属イオンが
導入され得る。例えば,亜鉛イオンは1:1の塩化メチレ
ン:メタノール中,化合物を酢酸亜鉛で処理することに
よって,導入される。
投与および使用 本発明の改善された光増感化合物は,一般的に当該分野
で知られているように,ヘマトポルフィリン誘導体およ
びDHEに対して有用である。これらの物質は,可視光線
を用いた照射により,悪性細胞や他の異常組織を増感
し,破壊するのに有効である。光活性化により,これら
化合物は直接的な効果を及ぼさないし,いかなる生物学
的現象にも関与しない。しかしながら,光活性化のエネ
ルギーは,内因性の酸素に転移し,該酸素を一重項酸素
に変換させると考えられている。この一重項酸素は,細
胞毒性効果の原因であると考えられている。さらに,蛍
光を発する光活性化型のポルフィリンからの蛍光は,腫
瘍を局在化させる助けとなる。
当該分野で知られている典型的な応用には,充実性腫瘍
における腫瘍組織の破壊,血管中におけるプラークの溶
解(例えば,米国特許第4,512,762号を参照された
い),局部的な状態(例えば,座瘡,汗疱状白癬,い
ぼ,乳頭腫,および乾癬)の治療,および病原菌に対す
る生物学的製品(例えば,輸血用の血液)の処理が含ま
れる。何故なら,このような病原菌中における膜の存在
が,薬剤の蓄積を促進させるからである。
本発明の複合体,ヒドロ−モノベンゾポルフィリンは,
単独で使用する場合は,一般的に当該技術分野に公知の
技術を用い,被験者への投与のために薬剤組成物に調合
されるか,または,インビトロの標的に適用される。こ
のような薬剤組成物の概要は,例えば,「レミントンの
薬学」,マックパブリッシングCo.,イーストナ,ペンシ
ルベニア,最新版に見い出し得る。
単独で用いられる本発明の複合体または化合物は,気管
支,頸部,食道または結腸のガンを形成する腫瘍および
腫瘍性組織の全身的治療およびそれらの診断に用いられ
得る。
本発明の複合体およびヒドロモノベンゾポルフィリンの
標識物または非標識物は,特に注射により全身的に投与
するか,あるいは局所的に用いることができる。Gpまた
複合体は,単独で,または混合物の構成分として用いる
ことができる。
注射は,静脈内,皮下,筋肉内,または腹腔内注射であ
り得る。注射可能な薬剤は,溶液または懸濁液,注射に
先立って溶液または懸濁液にするために適した固体また
は乳濁液としてのいずれかの一般的な形態に調製し得
る。適切な賦形剤は,例えば,水,生理食塩水,デキス
トロース,グリセリンなどである。もちろん,これらの
組成物は,湿潤剤または乳化剤,pH緩衝剤などのような
非毒性で補助的な物質も少量含有し得る。
全身投与は,座薬,または適切に調合されるのならば経
口投与による緩徐放出系または持続放出系の体内への導
入によって,実施され得る。これらの投与様式のための
製剤は当該技術分野で公知であり,このような方法の概
要は,例えば,「レミントンの薬学」(前出)に見い出
し得る。
診断のためには,化合物は単独で用いられるか,または
放射性同位体または他の検出可能な手段で標識される。
治療が局所的であるのならば,例えば,表在性の腫瘍ま
たは皮膚病の治療についてのような場合,活性のある複
合体またはヒドロ−モノベンゾポルフィリンを,ローシ
ョン,懸濁液,またはペーストを包含する標準的な局部
用組成物を用いて局部的に投与し得る。
複合体またはグリーンポルフィリン誘導体の投与量は,
活性成分の選択,治療される患部の状態,投与法,被験
者の個々の問題,および開業医の判断に依る。調製物の
特異性に依り,より少なくまたはより多くの投与が必要
とされ得る。特異性の高いモノクローナル免疫グロブリ
ン調製物,または特異的なレセプターリガンドとグリー
ンポルフィリンとの複合体からなる組成物のように,標
的組織に対する特異性の高い組成物については,0.05〜1
mg/kgの範囲の投与量が提案される。標的組織に対して
特異性がより少ない組成物については,1〜10mg/kgまで
の多量の投与量が必要とされ得る。個々の治療法に関し
ては多くの場合があり,これらの推奨される値からかな
りはずれることも予期されるので,前述の投与量の範囲
は単なる提案にすぎない。
インビボでの使用に加えて,本発明の化合物はインビト
ロで有毒なウィルスまたは病原菌を破壊するための材料
の処理に用いられ得る。例えば,輸血に用いられたり,
将来に輸血を行うために貯蔵される血漿または血液は本
発明の化合物を用いて処理され,殺菌を行うために光が
照射され得る。さらに,生物体液から調製されるファク
ターVIIIのような生物学的な生成物については,不純物
を破壊するために本発明の化合物を存在下で光を照射す
ることができる。
(実施例) 以下の実施例は本発明を例証することを目的としたもの
であって,その範囲を限定することを意図するものでは
ない。
実施例1 グリーンポルフィリンによるインビトロでの光感受性化 血清を含まない媒体(DME)中で標的細胞を3回洗浄
し,計数し,そして細胞濃度を107個/mlとした。
“アフィニティ”分析を行うために,暗所にて100μl
の標的細胞懸濁液と100μlの試験化合物または対照化
合物とを混合した。“標識化”は,4℃にて1時間続行
し,標識された細胞は暗所にて3回洗浄した。この洗浄
の際には,各回とも3mlの媒体を用いた。そして,この
細胞を新しい媒体中に再懸濁した。次いで,再懸濁させ
た細胞は300〜750nmの光に30分間露光させた。
“直接”分析では,上記標的細胞に試験化合物または対
照化合物を添加して直ちに光照射を行った。
光照射の効果は標的細胞に適する方法を用いて評価し
た。
標的細胞としてヒト赤血球(RBC)を用いた場合には,,
対照(ヘマトポルフィリン,Hp)で標識した細胞とグリ
ーンポルフィリン(Gp)で標識した細胞とに対する光照
射によって起こる溶血反応を視覚的に評価した。この実
施例で使用したGpは,R1およびR2がカルボエトキシであ
る第2図のBPD−DBであった。繰り返して試験したとこ
ろ,この分析ではこのグリーンポルフィリンがHpに比べ
て20〜30倍も活性であることがわかった。従って,上記
の条件下では,50%の溶血反応を得るには250ng/mlの濃
度のHpが必要であるが,50%のRBCを溶血するのに必要な
グリーンポルフィリンはわずかに10ng/mlであった。
ネズミの肥満細胞腫系列P815を用いた場合には,以下の
ような結果が得られた: 細胞は,対照としてHpを,そして試験物質としてBPD−D
Bを10〜50ng/mlの濃度で用いて上述のように標識した。
再懸濁させた細胞は,300〜750nmの光で30分間処理し,
エオシン−Y排除法(すなわち,生細胞を死滅細胞と区
別する標準的方法)を用いて直接計数することによって
生存度の結果を評価した。
上述のように行われた他の測定では,露光して回収され
た細胞は,標準的な手順に従って10μCi/mlのトリチウ
ム標識化チミジン中で18時間インキュベートすることに
よって生存度の分析を行った。この標準的な手順では,
チミジンの取り込みを生存度とみなした。細胞を採取
し,放射活性の摂取量をシンチレーションカウンターに
よって測定した。
50%のP815細胞が,580ng/mlのHpで死滅したが,グリー
ンポルフィリン(BPD−DB)ではわずか32ng/mlで死滅し
た。
各種細胞に対する各測定結果を表1に示す(LD50は50%
の細胞集団を死滅させるのに必要な化合物濃度であ
る)。
実施例2 グリーンポルフィリンの選択的結合 1〜200ng/mlのHpまたはGpを用いて,P815細胞を実施例
1で述べたようにインキュベートした。Gpは,R1および
R2がカルボエトキシである第2図のBPD−DBであった。
これらの細胞を暗所にて30分間標識し,洗浄して遊離の
非吸着ポルフィリンを除去し,そして再懸濁させた。次
いで,これら細胞に300〜750nmの光をさらに30分間露光
した。細胞の生存度は,20μCi/mlのトリチウム化チミジ
ンで標識し,37℃にて18時間インキュベートした後,ト
リチウム化チミジンの取り込みによって確定した。
これらの結果によると,50%のP815細胞は6〜20ng/mlの
BPD−DBまたは200ng/mlのヘマトポルフィリンで死滅し
た。
実施例3 免疫複合体の調製 この実施例は,4種類の異なる抗体調製物とヘマトポルフ
ィリン(Hp)またはグリーンポルフィリン(Gp)との免
疫複合体の調製方法について述べる。この実施例におい
てGpは,R1およびR2がカルボエトキシ基である第2図の
BPD−DBである。使用した抗体は,CAMAL−1,抗M1抗体,
およびB16G抗体(これらはすべて上述のように調製され
た),そしてアフィニティクロマトグラフィーで精製さ
れたウサギ/抗マウスIg(RαMIg)である。
さらに,対照が必要な場合には,精製された無関係なモ
ノクローナル調製物(C−MAb)が用いられた。
これら複合体の1つの調製は,基本的にはMew,D.ら,J
Immunol(1983)130:1473(前出)に記載されていると
おりである。簡単に述べると,220mgのHp・0.2HCl(シグ
マケミカルCo.,セントルイス,MO)を含む25mlの水およ
び0.8mlのN,N−ジメチルホルムアミドに,20mgの1−エ
チル−3−(3−ジメチルアミノプロピン)−カルボジ
イミド塩酸塩(EDCI)を含む0.6mlの水を添加した。30
分後,この溶液を,15mgの抗体タンパクを含む5mlの蒸留
水と混合し,5時間インキュベートした。この間,溶液の
pHをモニターし,pH6と7との間に調整した。次いで,50
μlのモノエタノールアミンを添加し,この溶液を室温
で一晩放置した。この溶液は0.001Mのリン酸緩衝液(pH
7.4)に対して4日間透析した。この透析は緩衝液を1
日に3回交換して行った。次いで,この溶液はPBSに対
して一晩透析した。グリーンポルフィリンの複合体も同
様に調製される。
好ましい方法では,この複合体は完全な非水溶媒中で行
われる。
典型的なプロトコルでは,HpまたはGpと脱水剤とを各々5
mgずつ含有するDMSOの分散液2mlを調製し,窒素雰囲気
下で室温にて30分間撹拌する。これに,2mlのDMSO中に2m
gの適当な免疫グロブリンを含有する分散液を添加し,
得られた混合物をさらに10分間撹拌する。次いで,この
混合物をリン酸緩衝食塩水(PBS;pH7.4)で希釈し,50μ
lのモノエタノールアミンを含有するPBSの5倍容量を
添加することによって処理する。次いで,この混合物は
PBSに対して3回洗浄液を交換して透析する。
あるいは,HpまたはGp,結合剤,および脱水剤を各々5mg
ずつ含有する分散液2mlを調製し,窒素雰囲気下で室温
にて約15分間撹拌する。次いで,これに2mlのテトラヒ
ドロフラン中に約2mgの免疫特異的なタンパクを含有す
る分散液を添加し,得られた混合物をさらに10分間撹拌
する。次いで,この混合物を上述のように処理する。
上述の手順は,CAMAL−1および上に記載した残りの抗体
調製物に対して適当である。
さらに,以下の調製が,特にB16GおよびRαMIgを用い
て行われた: B16G 4mlのスペクトル測定用DMSOに11mgのヘマトポルフィリ
ンと11mgのEDCIとを添加し,窒素雰囲気下で室温にて30
分間撹拌した。次いで,20mgの凍結乾燥したB16G抗体を
含む2mlのDMSOを添加した。このB16G抗体は,Maier,T.
ら,J Immunol(1983)131:1843によって述べられてい
るように調製した。得られた混合物を室温にて40秒間撹
拌して上述のように処理した。得られた生成物は375μg
Hp/mg B16Gを含んでいた。HpをGpに代えて同様の手順が
用いられる。
RαMIg 1mlのDMSOに400μgのEDCIと400μgのヘマトポルフィ
リンとを添加し,上述のように窒素雰囲気下で室温にて
30分間撹拌した。次いで,800μgの凍結乾燥したRαMI
g抗体を含む1mlのDMSOを添加した。このRαMIg抗体は,
Mew,D.ら,J Immunol(1983)1473−1477によって述べ
られたように調製した。得られた混合物を30秒間撹拌
し,上述のように処理して,200μg Hp/mg RαMIgを含む
生成物を得た。HpをGpに代えて同様の手順が用いられ
る。
実施例4 インビトロにおける免疫復合体の特異性 以下の測定では,抗体の結合のレベルは,次のように免
疫グロブリン1mgあたりのHpまたはグリーンポルフィリ
ン(Gp)のμg数で表した。
RαMIg−Hp, 110μg/mg; B16G−Hp, 156μg/mg; CAMAL−1−Hp, 260μg/mg; Anti−M1−Hp, 170μg/mg; C−MAb−Hp, 95μg/mg; RαMIg−Gp, 120μg/mg; B16G−Gp, 165μg/mg; CAMAL−1−Gp, 75μg/mg; C−MAb−Gp, 90μg/mg。
Ig−Hp複合体およびIg−Gp複合体は,インビトロおける
細胞に対して試験される。この試験は,これらの複合体
を適当な細胞型(適当な対照を含む)と混合し,次いで
標識された細胞を光照射することによって行われる。こ
の分析を実施する手順は,CAMAL−1についてはMew,D.
ら,Canver Research(1985),そして抗M1についてはM
ew,D.ら,J Immunol(1983)に詳述されている。これら
の文献は上で引用され,参照文献としてここに示されて
いる。
簡単に言えば,CAMAL−1については,3つの細胞系列WC4,
WC6およびWC2(WC4およびWC6はCAMAL抗原を生産するがW
C2は生産しない)を実施例1に上述したように適当なIg
−Hp調製物またはIg−Gp調製物で標識する。それぞれ10
6個の細胞を含む標識細胞調製物をローズチェンバーに
入れ,波長630nmのレーザー光を照射して活性化する。
ついで,各種調製物に対する結果を収集する。
抗M1複合体については,M1腫瘍細胞を標的細胞として用
い,Ig−Hp複合体,Ig−Gp複合体,または薬剤,抗体単
独,あるいは抗体と薬剤との組み合わせ(ただし,両者
は結合していない)で処理する。この処理は,これらの
細胞を6%CO2の加湿インキュベーター中で37℃にて2
時間インキュベートすることによって行う。これら細胞
はPBS中で3回洗浄し,次いでプレートし,そして蛍光
灯を用いて一晩照射する。これら細胞は上述のようにト
リチウム化チミジン摂取によって生存度を評価する。
B16G複合体については,A10,P815,およびL1210細胞を標
的細胞として用いる。(A10細胞はB16Gとの反応性を有
するTサプレッサー因子を分泌するT細胞ハイブリドー
マである;P815細胞もB16Gとの反応性を有する。)イン
ビトロにおける研究は,B16G−Hp複合体またはB16G−Gp
複合体を用いる直接法によって行うか,あるいは非標識
B16G抗体と標識RαMIg−Hpまたは標識RαMIg−Gpとを
用いて間接的に行われる。
直接法では,適当なIg−薬剤複合体を,試験試料または
対照として,320,160,80,40および20ng薬剤/mlのHp濃度
またはGp濃度で含有する1mlのDME/Hepesに5×105個の
細胞を懸濁する。これら細胞は暗所で37℃にて1時間イ
ンキュベートし,5mlのDME/Hepesで3回洗浄し,次いで1
mlの同じ緩衝液に再懸濁する。標識された調製物の3つ
の100μl試験部分を平底のマイクロタイターウェルに
分注し,残りの細胞懸濁液(700μl)は白熱灯(22.5m
W/cm2)を用いて20cmの距離から1時間照射した。次い
で,さらに3つの100μl量をマイクロタイターウェル
に移した。次いで,20%FCSを含有するDME/Hepes中に希
釈されたトリチウム標識化チミジンを100μl量のすべ
てのマイクロタイターウェルに添加することにより,2μ
Ciの標識化チミジンが各ウェルに添加される。培養物を
37℃にて加湿された10%CO2下で18時間インキュベート
し,次いでMASHハーベスターで採集する。チミジンの取
り込みは,Hpシンチレーションカウンター(Tri−Carbモ
デル4550)で測定した。Ig−Hpに対するこの研究の結果
を表2に示す。
間接的分析法では,上述のように調製されたA10懸濁細
胞は,50μg/mlのB16Gまたは対照抗体C−MAbに4℃にて
30分間さらし,DME/Hepes中で洗浄する。次いで,これら
細胞は,暗所で4℃にてさらに30分間,HpまたはGpが2
μg/mlと15ng/mlとの間にある種々の濃度のRαMIg−Hp
またはRαMIg−Gpにさらす。これら細胞は上述のよう
に標識化チミジンの摂取を用いて生存度を評価する。Ig
−Hpに対するこれらの結果を表3に示す。
Gpとの対応する複合体を用いて同様の結果が得られる。
実施例5 免疫複合体のインビボにおける細胞毒性 本発明の複合体およびGp化合物のインビボにおける効力
も評価する。CAMAL−1複合体および抗M1複合体につい
ては,手順は実施例4で参照した2つのMewらの論文に
記載されているとおりである。Gp化合物だけではHp標識
化複合体と比較すると適当な波長で優れた結果を示し
た。
B16G−Hp複合体またはB16G−Gp複合体,およびGp(BPD
−DB)のみについては,インビボにおける研究は以下の
ように行った: インビボ試験は腫瘍におけるTサプレッサー細胞集団の
間接効果に依存している。従って,この試験は照射治療
の有効性を評価する手段として役立つ。同系のDBA/2マ
ウスにおいて増殖したP815肥満細胞は腫瘍に対して特異
的なTサプレッサー細胞を刺激する。これらTサプレッ
サー細胞は,腫瘍の退行を促進する特定のTキラー細胞
の発生を妨げる。上述のA10と名付けられたT細胞ハイ
ブリドーマは,これらTサプレッサー細胞に関係するT
サプレッサー因子を分泌する。従って,Igが細胞(すな
わち,B16G)の表面におけるTサプレッサー因子に特異
的な抗体であるような複合体との反応によって,これら
Tサプレッサー細胞集団を選択的に死滅させ,このこと
によりマウスに発生したP815腫瘍を退行させ得る。
従って,この分析法では,DBA/2マウスに対し,104個のP
815細胞を右側腹部に皮下注射して腫瘍を取り込ませ
る。8日目に,腫瘍が触知可能になれば(約25〜42m
m2),これらマウスを無作為に8つのグループに分割す
る。そしてIVを,PBS150μl;HpまたはGpを含むPBS150μ
l;B16G−HpまたはB16G−Gpを含むPBS150μl;B16Gといず
れかの薬剤とを含むPBD150μl;B16Gのみを含むPBS150μ
l;あるいはC−MAb−HpまたはC−MAb−Gpを含むPBS150
μlとともに,これらマウスに静脈内に注射する。Hpの
レベルは,すべての場合にマウスあたり50μgであり,B
16Gのレベルは,すべての場合に310μgである(いずれ
も適当なレベルである)。
これらマウスは暗所で2時間保持され,次いで波長300
〜750nmおよび22.5mW/cm2の強い光を照射する。次い
で,これらマウスは通常の処置を行い,日基準でモニタ
ーした。
B16G−Hpで処置したマウスが生存し,100日後には腫瘍が
存在しなかった。得られた結果を表4に示す。
Gpのみの場合またはGp複合体の場合についても同様の結
果が得られる。
実施例6 BPD−DA,−MA,−DBおよび−MBのインビトロでの評価 第2図に示した化合物で,R1およびR2がカルボメトキシ
基である4つの化合物を,実施例1に記述したようにイ
ンビトロで試験した。4つの化合物は全て光感受性であ
り,いくぶんモノアシッド型(単一酸型)BPD−MAおよ
びBPD−MBはより活性であった。
実施例7 生体分布および分解 トリチウム標識したBPD−MAおよびBPD−MBを用いて,生
体分布の研究を行った。表5は,腫瘍および正常組織間
3H−BDP−MA濃度の割合を示す。この濃度は,p815腫瘍
を持ったマウスにおいて,注射後の種々の時間で測定
し,3匹のマウスの平均値として示す。
皮膚の腫瘍の割合は,薬剤の静脈内投与3時後が最も好
ましい。
生物分解性を測定するために,P815腫瘍を持つマウスに
トリチウム標識したBPD−MAを静脈注射した。注射後3
時間または24時間のいずれかの時間でマウスを殺し,腫
瘍,肝臓および腎臓を除去した。これらの組織中のBPD
−MAを抽出し,標準のインビトロ条件下で,実施例1で
上述したようにP815標的細胞における光感受性を評価し
た。3時間では腫瘍中で100%のBPD−MAが活性でいるの
に対して,24時間では39%だけが活性であった。肝臓お
よび腎臓は両方とも,腫瘍組織よりも迅速にBPDを分解
した。上記と同じ系にトリチウム標識したBPD−MBを投
与すると,同様の結果が得られた。
抗−ケラチンMabと結合したBPD−MAを用いた,KLN扁平上
皮腫瘍細胞系を担持するマウスのモデル系における,同
様の研究は,標的組織中の薬剤濃度が改善されたことを
示した。
実施例8 BPDによるインビボでの光感受性化 可能性のある光感受性化剤の研究を,DBA/J2マウスにお
けるM−1杆状真菌サルコーマ系を用いて行った。試験
する組成物は,8mg/mlでDMSOに溶かしてある原液から800
μg/mlの濃度のPBS溶液となるように希釈した(フォト
フリン II(Photofrin II)は除き,フォトフリン I
Iは臨床検査用バイアルから直接希釈した)。動物(グ
ループあたり8匹)は,光にあてる24時間前に0.1ml(8
0μg)の物質を静脈内投与された。この光は,150Wのタ
ングステン電球,赤色フィルター(透過光>600nm),
ホットミラー(反射光>720nm)および光学系の2本の
繊維により,567Jo/cm2で与えられた。
表6に示した結果は,試験した全てのBPD化合物は正の
結果を与えることを示した。フォトフリン II組成物に
より示されるより大きな値の結果は,初めの腫瘍の大き
さがより小さかったという観察により説明され得る(結
果の可能性)。
378To/cm3の光照射量を用いたこと以外は同様の研究
は,表7に示した結果となった。
上述の結果は予備的なものであり,分析プロトコルはま
だ至適化されていない。
実施例9 その他のインビボ分析 小さな腫瘍を持ったマウスに試験する試薬を静脈注射し
た。3時間後にこの動物を殺し,該動物の腫瘍を除去し
た。腫瘍細胞を単一細胞の懸濁液を形成するように梳
き,細胞を105個/ウェルでプレートし,上述の照射量
で光にあてた。このプレートを1晩インキュベートと,M
TT分析により生残率について分析した。
1つの研究の結果を表8に示す。
このように,試験したBPD型はこの分析で活性であっ
た。光の強さおよび薬剤レベルは,至適化され,そして
互いに関係づけられていることがわかる。
実施例10 BPDのフォトフリン II組成物との比較 P815腫瘍を持つマウスを剃毛し,等量の光感受性化剤を
注射し,72Jo/cm2(80mw/cm2−15分−全スペクトル)に
種々の時間間隔で曝した。光照射後24時間および48時間
で皮膚の生検材料を採取し,光学的な評価を行と光感受
性がなくなっていた。これらの評価の結果を第4図に示
す。BPD−MA(より低い範囲)およびBPD−MBは,これら
の条件下で主な光感受性化活性を持つ。これは,光処理
が薬剤投与3時間後に行われた場合にのみ存在し,これ
らの化合物の生物分解性と一致する。
実施例11 本発明化合物の調製 以下の化合物を次のように調製した。上述のプロトポル
フィリンIXのジメチルエステルとMeOOC−C=C−COOMe
のディールス−アンダー反応を用いて調製した。次い
で,第1図の構造式3および4で示したような形に転位
させ,場合によっては,続いてC環およびD環のプロピ
オン酸エステルを加水分解または修飾,および/または
ディールス−アンダー反応でB環またはA環を処理した
後に残るA環またはB環の未処理のビニル基を修飾して
処理した。生成物は以下の構造式の化合物であるり,こ
こではR3″はOR*またはNR*であり,R*はアルキル,フ
ルキレンまたはH(または有機カチオンまたは無機カチ
オン): A環が修飾された化合物 B環が修飾された化合物 ここで,全ての場合において,R1およびR2はCOOMeであ
る。
調製した化合物は次のようであった: A環が修飾された化合物 R3″(C環) R3″(D環) R4 1.OMe OMe CHCH2 2.OH OMe CHCH2(BPD−MA) 3.OMe OH CHCH2(BPD−MA) 4.OH OH CHCH2(BPD−DA) 5.OMe OMe CH(NH2)Me 6.OMe OMe CH(NHCO−O−NO
2)Me 7.OH OH CH(NHCO−O−NO
2)Me 実施例12 ビニル基で結合したBPD二量体の調製 BPD−DB(R1=R2=カルボメトキシであり,各R3はカル
ボメトキシエチルであるようにエステル化されている)
35mg(48μmol)のジクロロめたん(5ml)溶液をドライ
アイス/アセトンの温度に冷却し,攪拌しながら,これ
にトリフルオロメタンスルホン酸34μl(380μmol)を
添加した。この酸を添加すると油分が分割した。反応は
0℃まで実施された。次いで,5%重炭酸ナトリウム5ml
を反応混合物を添加して,酸を中和した。生成物は有機
物に分配された。この有機層を水で3回洗浄した。溶媒
を除去し,生成物をアセトニトリルとともに共沸させ,
乾燥を行なった。
シリカゲルで調製した薄層クロマトグラフィーを用い,1
0%酢酸エチル/ジクロロメタンで溶出し,単一画分28m
g(収量80%)を得た。質量スペクトルの親イオンは146
4であった。プロトンNMRは異性体化合物の数に依存して
複雑であったが,炭素結合に関連した特徴的な単一のビ
ニル基の水素が約8.1ppmに示された。
(発明の効果) 670〜720nmの波長領域に吸収極大を有する一群のヒドロ
モノベンゾポルフィリン,いわゆる“グリーンポルフィ
リン”(Gp)は,光の存在下でヘマトポルフィリン誘導
体(HPD)を用いた処置を受けるような疾患または状態
を治療する際に;あるいは,ウイルス,細胞および組織
を処理して,望まれない標的物を破壊する際に有用であ
る。本発明のGpを用いると,血液によって吸収される波
長以外の波長を用いる光照射を行うことが可能になる。
本発明のGpはまた,レセプターに特異的なリガンド,あ
るいは照射治療を行う特定の標的組織または細胞に対し
て特異的な免疫グロブリンまたはその断片に結合し得
る。これらの物質を用いると,用いるべき薬剤のレベル
が低下し,従って正常な組織を破壊する副反応を防止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は,本発明の方法に用いられるグリーンポルフィ
リン(Gp)化合物および本発明の複合体を示す構造式,
第2図は,構造式3および4のヒドロモノベンゾポルフ
ィリン誘導体(BPD)の4つの好ましい型を示す構造
式,第3図は,BPDおよび従来の組成物の吸光スペクトル
を比較したグラフ,そして第4図は,BPD化合物を用いた
皮膚感受性試験の結果を示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/40 ADZ AGZ 51/00 C12Q 1/04 6807−4B 1/70 9453−4B G01N 33/534 33/58 Z (72)発明者 ディビッド ドルフィン カナダ国 ブリティッシュ コロンビア, バンクーバー,ウェスト 12ティーエッチ アベニュー 4464 (72)発明者 ジャック ケィ.チョウ カナダ国 ブリティッシュ コロンビア, バーナビー,クロード アベニュー 5622 (72)発明者 イーサン スターンバーグ カナダ国 ブイ6アール 1ピー8,ブリ ティッシュ コロンビア,バンクーバー, ウェスト 4 ティーエッチ アベニュー ナンバー 3−3837

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】標的生体物質を検出し、光増感し、破壊
    し、または阻害するのに有用な薬剤組成物であって、 該組成物は、670〜780nmに光吸収極大を有するヒドロモ
    ノベンゾポルフィリン(Gp)の有効量を含有し、 該Gpが、以下の構造式1〜6で示される化合物およびそ
    れらの混合物でなる群から選択され、 該構造式のR1およびR2が、それぞれ独立して、炭素数2
    〜6のカルボアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルスル
    ホニル、炭素数6〜10のアリールスルホニル、炭素数6
    〜10のアリール;シアノ;および−CONR5CO−(ここ
    で、R5は炭素数6〜10のアリールまたは炭素数1〜6の
    アルキルである)でなる群から選択され、 各R3が独立して、炭素数2〜6のカルボキシアルキルま
    たはその塩、または、それらのアミド、エステルもしく
    はアシルヒドラゾン、あるいは炭素数1〜6のアルキル
    であり、そして R4が、CHCH2,CHOR4′,−CHO,−COOR4′,CH(O
    R4′)CH3,CH(OR4′)CH2OR4′,−CH(SR4′)CH
    3,−CH(NR4′ 2)CH3,−CH(CN)CH3,−CH(COOR
    4′)CH3,−CH(OOCR4′)CH3,−CH(ハロ)CH3
    または−CH(ハロ)CH2(ハロ)〔ここで、R4′は、
    Hであるか、あるいは必要に応じて親水性置換基で置換
    された炭素数1〜6のアルキルである〕であるか、ある
    いは、 R4は、以下の; −CH(OMe)Me,−CHBrMe,−CH(OMe)Me,−CH(ピリジ
    ニウムブロミド)Me,−CH(SH)Meおよびその二硫化
    物,−CHOHCH2OH,−CHO,および−COOHまたは−COOMeか
    らなる群から選択され、あるいは、 R4は、−L−Pで表される置換基であり、−L−Pは、
    L−が以下の群; から選択され、Pは上記構造式1〜6で示されるGp(た
    だし、R4を欠き、上記式でR4が占めている位置でLに結
    合している)および以下の構造式のポルフィリンでなる
    群から選択され、 ここで、R3およびR4は、上記で定義した基であり、そし
    て非占有結合は、Lに結合しており、略号 は、以下の構造式のポリフィリンを示す: 組成物。
  2. 【請求項2】各R3が、−CH2CH2COOHまたはその塩、アミ
    ド、エステルもしくはアシルヒジラゾンである、請求項
    1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】R1およびR2の各々が炭素数2〜6のカルボ
    アルコキシである、請求項1に記載の組成物。
  4. 【請求項4】R1およびR2の各々が炭素数2〜6のカルボ
    アルコキシである、請求項2に記載の組成物。
  5. 【請求項5】前記Gpが、構造式3または4を有する、請
    求項1に記載の組成物。
  6. 【請求項6】前記Gpが、構造式3または4を有する、請
    求項4に記載の組成物。
  7. 【請求項7】前記Gpが、構造式3または4で示される化
    合物であるか、あるいはそれらの混合物であり、 該構造式のR1およびR2が、それぞれ独立して、炭素数2
    〜6のカルボアルコキシ,炭素数1〜6のアルキルスル
    ホニル、炭素数6〜10のアリールスルホニル、炭素数6
    〜10のアリール;シアノ;および−CHNR5CO−(ここ
    で、R5は炭素数6〜10のアリールまたは炭素数1〜6の
    アルキルである)でなる群から選択され; 各R3が独立して、炭素数2〜6のカルボキシアルキルま
    たはその塩、アミド、エステルもしくはアシルヒドラゾ
    ン、あるいは炭素数1〜6のアルキルであり;そして、 R4が、CHCH2,CHOR4′,−CHO,−COOR4′,CH(O
    R4′)CH3,CH(OR4′)CH2OR4′,−CH(SR4′)CH
    3,−CH(NR4′ 2)CH3,−CH(CN)CH3,−CH(COOR
    4′)CH3,−CH(OOCR4′)CH3,−CH(ハロ)CH3
    または−CH(ハロ)CH2(ハロ)〔ここで、R4′は、
    Hであるか、あるいは必要に応じて親水性置換で置換さ
    れた炭素数1〜6のアルキルである〕である、請求項1
    に記載の組成物。
  8. 【請求項8】前記Gpが、請求項1の構造式3または4で
    示される化合物であるか、あるいはそれらの混合物であ
    り、 該構造式のR1およびR2が、それぞれ独立して、炭素数2
    〜6のカルボアルコキシ,炭素数1〜6のアルキルスル
    ホニル、炭素数6〜10のアリールスルホニル、炭素数6
    〜10のアリール;シアノ;および−CHNR5CO−(ここ
    で、R5は炭素数6〜10のアリールまたは炭素数1〜6の
    アルキルである)でなる群から選択され; 各R3が独立して、炭素数2〜6のカルボキシアルキルま
    たはその塩、アミド、エステルもしくはアシルヒドラゾ
    ン、あるいは炭素数1〜6のアルキルであり;そして、 R4が、式−L−Pで示されるテトラピロール型の核を1
    〜3個有する置換基である、請求項1に記載の組成物。
  9. 【請求項9】前記標的物質が細胞または組織である、請
    求項1に記載の組成物。
  10. 【請求項10】前記標的細胞または組織が特異的に前記
    Gpを蓄積する、請求項9に記載の組成物。
  11. 【請求項11】前記Gpがさらに標識を有する、請求項10
    に記載の組成物。
  12. 【請求項12】前記標識が、テクネチウム、ガリウム、
    およびインジウムである群から選択される、請求項11に
    記載の組成物。
  13. 【請求項13】前記標的が生物由来の液体中に含有され
    る、請求項1に記載の組成物。
  14. 【請求項14】前記生物由来の液体が血液または血漿で
    ある、請求項13に記載の組成物。
  15. 【請求項15】前記液体がエクスビボで処理される、請
    求項14に記載の組成物。
  16. 【請求項16】前記標的細胞がウイルスである、請求項
    1記載の組成物。
  17. 【請求項17】前記標的細胞が、腫瘍細胞、T−サプレ
    ッサー細胞、および感染力のある細胞から選択される細
    胞である、請求項9に記載の組成物。
  18. 【請求項18】前記組成物が、皮膚疾患の治療用の組成
    物である、請求項1に記載の組成物。
  19. 【請求項19】前記組成物が、標的ウイルス、細胞、ま
    たは組織をインビボで検出する組成物である請求項1に
    記載の組成物。
  20. 【請求項20】前記組成物が標識されたGpを含有する、
    請求項19に記載の組成物。
  21. 【請求項21】以下の構造式1〜6で示される化合物で
    あって、 該構造式のR1およびR2が、それぞれ独立して、炭素数2
    〜6のカルボアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルスル
    ホニル、炭素数6〜10のアリールスルホニル、炭素数6
    〜10のアリール;シアノ;および−CONR5CO−(ここ
    で、R5は炭素数6〜10のアリールまたは炭素数1〜6の
    アルキルである)でなる群から選択され、 各R3が独立して、炭素数2〜6のカルボキシアルキルま
    たはその塩、または、それらのアミド、エステルもしく
    はアシルヒドラゾン、あるいは炭素数1〜6のアルキル
    であり、そして R4が、CHCH2,CHOR4′,−CHO,−COOR4′,CH(O
    R4′)CH3,CH(OR4′)CH2OR4′,−CH(SR4′)CH
    3,−CH(NR4′ 2)CH3−CH(CN)CH3,−CH(COO
    R4′)CH3,−CH(OOCR4′)CH3,−CH(ハロ)CH3
    または−CH(ハロ)CH2(ハロ)〔ここで、R4′は、
    Hであるか、あるいは必要に応じて親水性置換基で置換
    された炭素数1〜6のアルキルである〕であるか、ある
    いは、 R4が、以下の; −CH(OMe)Me,−CHBrMe,−CH(OMe)Me,−CH(ピリジ
    ニウムブロミド)Me,−CH(SH)Meおよびその二硫化
    物,−CHOHCH2OH,−CHO,および−COOH−または−COOMe
    からなる群から選択され、あるいは、 R4は、−L−Pで表される置換基であり、−L−Pは、
    L−が以下の群; から選択され、Pは上記構造式1〜6で示されるGp(た
    だし、R4を欠き、上記式でR4が占めている位置でLに結
    合している)および以下の構造式のポルフィリンでなる
    群から選択され、 ここで、R3およびR4は、上記で定義した基であり、そし
    て非占有結合は、Lに結合しており、略号 は、以下の構造式のポルフィリンを示す: 化合物。
  22. 【請求項22】R1およびR2がカルボアルコキシである、
    請求項21に記載の化合物。
  23. 【請求項23】R1およびR2がカルボメトキシまたはカル
    ボエトキシである、請求項21に記載の化合物。
  24. 【請求項24】各R3が、−CH2CH2COOHまたはその塩、ま
    たは、それらのアミド、エステルもしくはアシルヒドラ
    ゾンである、請求項21に記載の化合物。
  25. 【請求項25】各R3が、−CH2CH2COOHまたはその塩、ア
    ミド、エステルもしくはアシルヒドラゾンである、請求
    項22に記載の化合物。
  26. 【請求項26】前記Gpが、請求項21の構造式3または4
    である、請求項25に記載の化合物。
  27. 【請求項27】R4が、式−L−Pで示されるテトラピロ
    ール型の核を1〜3個有する基である、請求項26に記載
    の化合物。
  28. 【請求項28】以下の群から選択される化合物であっ
    て、R1及びR2が炭素数1〜6のアルキルである、請求項
    21に記載の化合物。
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