JPH08502062A - ワクチンおよび抗原結合体 - Google Patents

ワクチンおよび抗原結合体

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JPH08502062A
JPH08502062A JP6508977A JP50897794A JPH08502062A JP H08502062 A JPH08502062 A JP H08502062A JP 6508977 A JP6508977 A JP 6508977A JP 50897794 A JP50897794 A JP 50897794A JP H08502062 A JPH08502062 A JP H08502062A
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Abstract

(57)【要約】 受精のコントロールおよび癌治療に有用なワクチンは、化学的に修飾したジフテリアトキソイドと結合したタンパク質生殖性ホルモン、このようなホルモンのフラグメントまたはこのようなホルモンまたはフラグメントと実質的に免疫学的等価のペプチドの抗原結合体、および助剤とを含み、両方とも水性媒体中で分散されるかまたは油混合物で乳化される。この、または類似ワクチンに使用することができる抗原結合体は、結合体で処理されるべき動物に外来のタンパク質の少なくとも一つのT-細胞リンパ球エピトープの配列を有するエピトープペプチドまたはこのようなエピトープと実質的に免疫学的等価の配列と結合した、タンパク質生殖性ホルモン、このようなホルモンのフラグメントまたはこのようなホルモンまたはフラグメントと実質的に免疫学的等価のペプチドを含む。

Description

【発明の詳細な説明】 ワクチンおよび抗原結合体 本発明は、タンパク質生殖ホルモンの抗原結合体を含むワクチンおよびエピト ープペプチドを含むタンパク質生殖ホルモンの抗原結合体に関する。 本発明者の米国特許第4,201,770号明細書;同第4,302,386 号明細書;同第4,384,995号明細書;同第4,526,716号明細書 ;同第4,691,006号明細書;同第4,713,366号明細書;同第4 ,855,285号明細書;および同第5,006,334号明細書において; 1989年8月7日および1989年2月17日にそれぞれ出願の同時係属出願 第07/390,530号明細書および同第07/311,331号明細書にお いて;国際特許出願PCT/US83/00777号明細書において;並びにそ の多数の対応する他の諸国の特許および出願において、雌性タンパク質生殖ホル モン、このようなホルモンのフラグメントまたはこのようなホルモン若しくはフ ラグメントとほぼ免疫学的に同等のペプチドを、ヒトまたは他の哺乳動物の体内 に投与された後に抗体反応を引き出すのに十分な大きさの非内因性物質に対して 結合することによって得られる抗原性ポリペプチドが記載され且つ請求の範囲に 記載されている。ヒトまたは他の哺乳動物に対して投与された場合、これらの抗 原性ポリペプチドは、それらが誘導される雌性タンパク質生殖ホルモンに対して 抗体を発生させるので、抗原性ポリペプチドはヒトまたは他の哺乳動物の生物学 的活性を制御するのに有用である。制御される生物学的活性は、特に、受精また は悪性腫瘍の発生でありうる。このような抗原性ポリペプチドの好ましい態様に おいて、担体はジフテリアトキソイドである。前述の特許および出願は、その内 容が本明細書中に参考として包含されていて、更に、抗原性ポリペプチドをアジ ュバントおよび油と一緒に含むワクチンであって、該抗原性ポリペプチドおよび 該アジュバントが水性媒質中に分散されて水性相を生成し、そしてこの水性相が 油と乳化している上記ワクチンを開示している。 本発明は、前述の特許および出願に記載されたワクチンの改良された形を提供 する。本発明は、更に、前述の特許および出願に記載された結合体と概して同様 であるが、異なった種類の非内因性物質を用いるタンパク質生殖ホルモンの抗原 結合体を提供する。 一つの態様において、本発明は、タンパク質生殖ホルモン、このようなホルモ ンのフラグメントまたはこのようなホルモン若しくはフラグメントとほぼ免疫学 的に同等のペプチドの抗原結合体;アジュバント;および少なくとも1種類の油 を含むワクチンであって、該結合体およびアジュバントが水性媒質中に分散され て水性相を生成し、この水性相が1種類またはそれ以上の油と乳化している上記 ワクチンを提供する。このワクチンは、抗原結合体が、化学的に修飾されたジフ テリアトキソイドと結合したホルモン、フラグメントまたはペプチドを含み、そ して水性相が油または油混合物によって乳化していることを特徴とする。 本発明は、更に、タンパク質すなわち生殖ホルモンに対する抗体を生じさせる ためのおよび/またはこのような抗体を発現することができるリンパ腫細胞を生 じさせるための方法であって、哺乳動物に対して本発明のワクチンを投与し且つ 抗体および/またはリンパ腫細胞を該哺乳動物から回収することによる上記方法 を提供する。本発明は、タンパク質すなわち生殖ホルモンに対する抗体、このよ うな抗体を発現することができるリンパ腫細胞およびこの方法によって生じたリ ンパ腫細胞に由来するハイブリドーマ細胞に関する。 本発明は、更に、悪性疾患に苦しむヒトを治療するためのこのようなワクチン の使用を提供する。 もう一つの態様において、本発明は、タンパク質生殖ホルモン、このようなホ ルモンのフラグメントまたはこのようなホルモン若しくはフラグメントとほぼ免 疫学的に同等のペプチドの抗原結合体を提供し、この結合体は、ホルモン、フラ グメントまたはペプチドが、該結合体によって治療される動物にとって異種のタ ンパク質の少なくとも1種類のT細胞リンパ球エピトープの配列またはそれとほ ぼ免疫学的に同等の配列を有するエピトープペプチドに対して結合していること を特徴とする。 本発明は、ヒトにおいて受精を制御するまたは悪性疾患を治療するためのこの ような抗原結合体の使用を提供する。 本発明は、更に、タンパク質生殖ホルモンに対する抗体またはこのような抗体 を発現することができるリンパ腫細胞を製造するための方法であって、哺乳動物 中に修飾ポリペプチドを導入し、それによって哺乳動物において抗体の生成を引 き起こし、そして抗体またはリンパ腫細胞を該哺乳動物から回収することを含む 上記方法を提供する。この方法は、用いられた修飾ポリペプチドが本発明の抗原 結合体であることを特徴とする。本発明は、タンパク質すなわち生殖ホルモンに 対する抗体、このような抗体を発現することができるリンパ腫細胞およびこの方 法によって生じたリンパ腫細胞に由来するハイブリドーマ細胞に関する。 本発明は、哺乳動物におけるタンパク質の存在若しくは不存在を決定する、ま たは哺乳動物におけるタンパク質の量を検定する方法であって、哺乳動物からの 体組織または体液を、該タンパク質と反応することができる抗体と接触するよう にし、そして抗体およびタンパク質間の複合体の生成または非生成を観察するこ とを含む上記方法を提供する。この方法は、用いた抗体が、前の段落に定義され た方法によって製造されることを特徴とする。 最後に、本発明は、哺乳動物における疾患を治療するための、前記に定義され た方法によって製造された抗体の使用に関する。 図1は、本発明の結合体を製造するのに用いられた三つの結合剤の式を示し; そして 図2は、本発明の結合体を製造するのに用いられた典型的な反応を、このよう な結合反応によって生じた修飾ポリペプチドの例と一緒に示す。 既述したように、本発明は、化学的に修飾されたジフテリアトキソイドと結合 したタンパク質生殖ホルモンの抗原結合体を含むワクチンを提供する。ワクチン は、更に、アジュバントおよび油混合物を含む。ワクチンを生成するために、結 合体およびアジュバントを水性媒質、好ましくはリン酸緩衝食塩水中に分散させ て水性相を生成し、そしてこの水性相を油混合物によって乳化させる。 前述の特許および出願に記載された本発明者の初期のワクチンと比較して、本 発明のワクチンは、注射部位に免疫細胞を引付け、そして治療されるヒトまたは 他の哺乳動物から望ましい抗体反応を生じさせる改良された能力を示す。本発明 のワクチンの好ましい実施態様は、更に、抗原結合体を注射部位から徐々に放出 し、したがって望ましい長期間の抗原反応を展開させる濃厚エマルジョンを生成 する。 本発明のワクチンにおいて用いるのに適当なジフテリアトキソイドは、例えば 、コンノート・ラボラリトーズ(Connaught Laboratorie s)、スウィフトウォーター、マサチューセッツから商業的に入手可能であり; このようなジフテリアトキソイドは、以下に記載のようにエチレンジアミンと反 応することができる。ワクチン中の結合体に対する生殖ホルモン、フラグメント またはペプチドの比率は、広範囲に変化することができが、望ましくは、抗原結 合体は、化学的に修飾されたジフテリアトキソイド105ダルトン当り20〜3 0ペプチドを含む。 本発明のワクチンにおいて用いるのに好ましいアジュバントは、N−アセチル −D−グルコサミン−3−イルーアセチル−L−アラ−D−イソグルタミン(ノ ルムラミルジペプチド)であるが、好ましい油混合物は、モノオレイン酸マンニ ドおよび溶解したまたは懸濁したモノステアリン酸アルミニウムの一方または両 方を含んでいるのが望ましいスクアレンおよびスクアランを含む。好ましくは、 このような混合物は、スクアレン35〜45重量%、スクアラン35〜45重量 %、モノオレイン酸マンニド6〜16重量%およびモノステアリン酸アルミニウ ム1〜5重量%を含み、具体的な好ましい配合は、スクアレン44%、スクアラ ン41%、モノオレイン酸マンニド11%および溶解したまたは懸濁したモノス テアリン酸アルミニウム4%である。ワクチンの各種成分の比率は広範囲に変化 しうるが、最終エマルジョン1ml当り抗原結合体約0.5〜約2.0mgおよ びアジュバント約0.2〜約1.0mgが存在するのが望ましい。便宜上、ワク チンは、ほぼ等容量の水性相および油混合物を含む。 本発明のワクチンは、受精制御を含む前述の特許および出願に記載されたいず れの目的にも用いることができる。しかしながら、本発明のワクチンは、悪性疾 患、例えば、乳癌、肺癌、結腸癌、悪性黒色腫または膀胱癌に苦しむヒト(また は他の動物)の治療に特に有用である。 本発明のワクチンは、注射部位に免疫細胞を誘引する場合に有効であることが 分かったが、濃厚エマルジョンであるワクチンの物理的性質は、更に、結合体の 徐放を確実にするのに役立つ。 更に既述されたように、本発明は、少なくとも1種類の異種T細胞リンパ球エ ピトープの配列またはそれとほぼ免疫学的に同等の配列を有するエピトープペプ チドに対して典型的にN末端かまたはC末端で結合したタンパク質生殖ホルモン 、このようなホルモンのフラグメントまたはこのようなホルモン若しくはフラグ メントとほぼ免疫学的に同等のペプチドの抗原結合体を提供する。T細胞エピト ープを用いて生成された結合体は、前述の特許および出願に記載されたジフテリ アトキソイドなどの複合担体で生成された結合体よりも安価に製造される傾向が ある。更に、T細胞エピトープは、ジフテリアトキソイドおよび同様の複合担体 よりもはるかに構造が単純であるので、T細胞エピトープ結合体は過敏感反応を 引き起こすとはあまり考えられない。最近まで、結合体におけるT細胞エピトー プの使用は、異種分子上の異なるT細胞エピトープに応答したヒトまたは他の動 物の異種交配集団における遺伝的変化のために逆に示されていて、単一のT細胞 エピトープのみが与えられた場合(普通に抗原結合体を用いた場合)、治療され た動物全部が陽性反応を示したわけではなく、したがってT細胞エピトープ結合 体を信頼できないものにしていた。しかしながら、最近、異種分子からのある種 のT細胞エピトープはこのような遺伝的制限によって制限されないことが示され ており、これらのT細胞エピトープの使用は、ヒトおよび他の動物の遺伝学的に 異なる集団において信頼しうる抗体反応を生じる結合体およびワクチンの製造を 可能にする。例えば、ホー(Ho)ら、Eur.J.Immunol.20, 477〜483(1990)およびパーチドス(Partidos)ら、J.G en.Virology71,2099〜2105(1990)を参照された い。 本発明の結合体において用いるのに好ましいエピトープペプチドは、 a.破傷風トキソイドのアミノ酸580〜599: Asn-Ser-Val-Asp-Asp-Ala-Leu-Ile-Asn-Ser-Thr-Lys-Ile-Try-Ser-Tyr-Ph e-Pro-Ser-Val b.破傷風トキソイドのアミノ酸830〜844: Gln-Try-Ile-Lys-Ala-Asn-Ser-Lys-Phe-Ile-Gly-Ile-Thr-Glu-Leu c.破傷風トキソイドのアミノ酸916〜932: Pro-Gly-Ile-Asn-Gly-Lys-Ala-Ile-His-Leu-Val-Asn-Asn-Gln-Ser-Ser-Gl u d.破傷風トキソイドのアミノ酸947〜967: Phe-Asn-Asn-Phe-Thr-Val-Ser-Phe-Trp-Leu-Arg-Val-Pro-Lys-Val-Ser-Al a-Ser-His-Leu-Glu e.麻疹ウイルスタンパク質のアミノ酸288〜302: Leu-Ser-Glu-Ile-Lys-Gly-Val-Ile-Val-His-Arg-Leu-Glu-Gly-Val f.B型肝炎ウイルスタンパク質のアミノ酸16〜33: Gln-Ala-Gly-Phe-Phe-Leu-Leu-Thr-Arg-Ile-Leu-Thr-Ile-Pro-Gln-Ser-Le u-Asp または g.マラリアCSPタンパク質のアミノ酸317〜336: Thr-Cys-Gly-Val-Gly-Val-Arg-Val-Arg-Ser-Arg-Val-Asn-Ala-Ala-Asn-Ly s-Lys-Pro-Glu に対応するかまたはほぼ免疫学的に同等の配列を有するものである。以下に更に 詳細に論及されるように、エピトープペプチドは、結合体を生成するのに用いた ホルモン、フラグメントまたはペプチドに対して直接的に結合していてよいし、 または結合はスペーサーペプチドによって行なわれてよく、このスペーサーペプ チドは約2個〜約8個のアミノ酸残基を含むのが好ましい。 本発明のワクチンと同様に、本発明のT細胞エピトープ結合体は、受精制御を 含む前述の特許および出願に記載された目的、または悪性疾患、例えば、乳癌、 肺癌、結腸癌、悪性黒色腫若しくは膀胱癌に苦しむヒト(または他の動物)の治 療のいずれにも用いることができる。若干の場合、この目的のための2種類また はそれ以上のT細胞エピトープ結合体の混合物を用いて、改良された抗体生産を 確実にすることは好都合でありうる。 本発明のワクチンおよび抗原結合体についての多数の好ましい特徴は、概して 、前述の特許および出願に記載されたものと同様である。したがって、これらの 好ましい特徴を以下に論及するが、読者は更に別の情報についてこれらの特許お よび出願を参照されたい。 タンパク質生殖ホルモン、このようなホルモンのフラグメントまたはこのよう なホルモン若しくはフラグメントとほぼ免疫学的に同等のペプチドは、天然また は合成の起源によることができる。合成ホルモン分子は、本発明の目的に相当す る、天然に存在するものと同様の機能を果たす。これに関連して、本発明に関す るある種の天然物質にはその若干の部位に結合した炭水化物残基があるが、対応 する合成ポリペプチドにはないことが注目される。それにもかかわらず、本明細 書および請求の範囲の目的のために、合成および天然ポリペプチドを同等物とし て扱い、そして両方を本発明に包含するものとする。 したがって、「ホルモン」または「ホルモン分子」という用語を本明細書中で 用いる場合、論及の意味を変更することなく、「合成」という用語を「ホルモン 」の前に付け加えることができる。同様に、「合成」を「ホルモン」の前に挿入 してもしなくても、論及する意味を変更することなく、「フラグメント」という 用語を「ホルモン」または「分子」の後に挿入することができる。 「内因性」という用語は、本明細書中において、適切なタンパク質、フラグメ ントまたは抗原が、治療されている特定の個々の動物にとって内因性であるかど うかにかかわりなく、治療される種に固有のタンパク質を意味するのに用いられ る。したがって、例えば、本出願の目的のために、ブタ精子抗原は、たとえこの ような精子抗原が雌ブタ体内に通常存在しないことは明らかであるとしても、雌 ブタにとって内因性であるとみなされる。同様に、動物の胚、胎児または胎盤の 抗原は、たとえこのような抗原が誕生後の動物体内に存在しないかもしれないと しても、同種の成体動物にとって内因性であるとみなされる。突然変異種または 他の遺伝偏向によって形質転換された動物の正常細胞から生産された更に別の抗 原は、これらの細胞が形質転換または偏向の際に存在する種にとって内因性と考 えるべきである。 本発明の抗原結合体は、内因性タンパク質生殖ホルモン、そのフラグメントま たはそれと同等のペプチドに由来し、適当な哺乳動物の体内に投与された場合、 修飾ペプチドが由来する内因性タンパク質に対する抗体およびこのような抗体を 発現することができるリンパ腫細胞の生成を引き起こす。したがって、このよう な結合体は、それらを投与される哺乳動物において、該哺乳動物の内因性タンパ ク質に対する抗体を生じさせることによって生物学的活性に影響を与えるように 用いることができるのみならず、本発明の結合体は、哺乳動物の体内に結合体を 導入することによって哺乳動物において「内因性タンパク質」に対する抗体の生 成を引き起こすために、抗血清および/またはリンパ腫細胞を生じさせるように も用いることができる。このような方法においては、結合体を、それが由来する 動物と同一個体の哺乳動物中または同一種の哺乳動物中にさえも導入する必要が ないので、または合成フラグメントを基剤とする結合体の場合、この方法で用い られるそれが模擬している哺乳動物タンパク質であるいわゆる「内因性タンパク 質」は、抗体を生じさせる哺乳動物にとって内因性である必要はないということ に注目されたい。 哺乳動物において抗体および/またはリンパ腫細胞を生じさせた後、免疫学当 業者が熟知している従来の技術を用いて若干の抗体および/または細胞を哺乳動 物から回収することができる。単クローン性抗体を生じさせる技術も、望ましい 抗体を生じさせるのに用いることができる。例えば、前記のように生じたリンパ 腫細胞は、ハイブリドーマ技術の業者に知られている従来の技術によって適切な 抗体を発現することができるハイブリドーマ細胞を生成するのに用いることがで きる。次に、このように生成された抗体は、様々な目的に用いることができる。 例えば、このような抗体は、少なくとも若干の回収された抗体を、哺乳動物から の体組織または体液と接触するようにし、そして回収された抗体と、検定される 体組織または体液中の内因性タンパク質の存在または不存在を示す内因性タンパ ク質との間の反応過程の生成または非生成を観察することによって哺乳動物中の 内因性タンパク質の量を検定するのに用いることができる。この方法において検 定される内因性タンパク質が妊娠に関係したものである場合、この検定法は妊娠 検査として機能しうる。もう一方において、検定された内因性タンパク質の存在 または不存在下が、体組織または体液が由来する哺乳動物における低減した受精 率または不妊に関係している場合、検定はこのような哺乳動物の低減した受精率 または不妊についての検査として機能しうる。修飾のためのホルモン、フラグメントまたはペプチドの選択 本発明にしたがって修飾することができる天然タンパク質生殖ホルモンの例と しては、ろ胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、黄体形成ホ ルモン放出ホルモン(LH−RH)、レラキシン、絨毛性性腺刺激ホルモン(C G)、例えば、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(HCG)、胎盤性ラクトゲン、例 えば、ヒト胎盤性ラクトゲン(HPL)およびプロラクチン、例えば、ヒトプロ ラクチンがある。本発明の技術によって修飾するための適当なポリペプチドの選 択を考える場合に常に心に留めておくべきいくつかの問題がある。第一に、ホル モン若しくはホルモンの組合せまたは他のタンパク質が、処置することが望まれ る症状または問題の原因となっていることを確認することは当然ながら必要であ る。しかしながら、多くの場合、これは本発明の技術によって修飾しうる多数の 可能なタンパク質についての問題をなお残している。例えば、本発明を用いて雌 の哺乳動物を不妊性にさせる結合体を与えることが望まれる場合、雌の哺乳動物 生殖システムに関係していることが知られているFSH、LH、LH−RH、C G、PL、レラキシンまたは他のタンパク質ホルモンを修飾することによってそ の問題に取りかかることができる。本発明による修飾のためにポリペプチドを選 択する場合に常に心に留めておくべき一つの重要な問題は、交差反応性の問題で ある。免疫学当業者に周知のように、一つのタンパク質(「標的」タンパク質) と反応するための抗体が、他の非標的タンパク質とかなりの程度まで反応するこ とを見出すのは珍しいことではない。これは、一つの特定の天然のホルモンに対 する抗体の生成を引き起こすための結合体の投与が、引き起こされるのが望まし くない1種類またはそれ以上の他のホルモンに対する抗体の生成を引き起こすこ とがあるので、それは重大な問題である。若干の場合、非標的タンパク質との反 応は、不可欠な生体機能を損傷させることがある。したがって、可能な限り、本 発明による修飾のために選択されたホルモン、フラグメントまたはペプチドは、 治療される哺乳動物体内において結合体が標的タンパク質に対して極めて特異的 な抗体の生成を引き起こすように選択されるべきである。若干の場合において、 特に標的タンパク質が比較的小さい場合(例えば、LH−RH)、標的タンパク 質全体よりも小さいフラグメントは、たとえ本発明の技術によって修飾された場 合でも、標的タンパク質に対する十分な抗体を引き出すことができないので、標 的タンパク質全体を修飾することが実際に不可欠でありうる。しかしながら、概 して、特にHCGなどの比較的複雑な標的タンパク質を扱う場合、標的タンパク 質そのままよりもむしろ標的タンパク質のフラグメントを用いることが、本発明 の結合体を生成する場合の使用に勧められる。それは免疫学当業者によって十分 に認識されている(例えば、W.R.ジョーンズ(Jones)、「免疫学的受 精調節(Immunological Fertility Regulati on)」、Blackwell Scientific Publicatio ns,ヴィクトリア、オーストラリア(1982),11頁以下を参照されたい )、ワクチン、特に避妊用ワクチンの最大の潜在的危険の一つは、本質的に、交 差反応性抗原を有する組織中の免疫病理学的障害および/またはその組織機能の 欠損を引き起こしうる人工的に誘導された自己免疫疾患を生じる非標的抗原との 交差反応性である。この論文の開示は全て本明細書中に参考として包含される。 このような交差反応性についての2種類の可能な機序は、 (a)共有された抗原決定基の存在;複雑な標的タンパク質は、非標的タンパ ク質中に存在するものと同一の成分(アミノ酸配列)を含むことがある;および (b)標的と非標的タンパク質との間の同一ではないが構造的に関係がある部 分の立体的重複である。 明らかに、交差反応性のこれら両方の態様によってもたらされる脅威は、本発 明の結合体においてタンパク質そのままよりもむしろ複合タンパク質のフラグメ ントを用いることによって減少させることができる。フラグメントは、それが由 来するタンパク質よりも簡単な構造を有するので、非標的タンパク質との共有さ れる抗原決定基または立体的重複の可能性は少ない。特に、交差反応は、非標的 であるが交差反応性であるタンパク質とは配列が異なる標的タンパク質の一部分 に由来するフラグメントを用いることによって避けることができる。一つの具体 的な例を取ると、HCGに対する抗体を引き出す場合の主要な問題の一つは、H CG抗体とLHとの交差反応性であり、この交差反応性は、少なくとも主として LHと、HCGのβサブユニットの1〜110アミノ酸配列との間のアミノ酸配 列の実際の同一性のためである。したがって、本発明のHCG由来結合体を生成 することが望まれる場合、用いられるフラグメントは、好ましくは、HCGのβ サブユニットの111〜145(または以下に論及される理由により109〜1 45)配列の一部分または全部と同様の分子構造を有するものであり、それは、 LHの対応する配列と有意に異なるのが、β−HCGのこの111〜145配列 だけであるという理由による。しかしながら、以下に更に詳細に論及されるよう に、βサブユニットの38〜57領域またはヒト絨毛性性腺刺激ホルモンに似て いるアミノ酸配列を有する哺乳動物黄体形成ホルモン、絨毛性性腺刺激ホルモン またはろ胞分泌ホルモンのフラグメントも本発明において有用である。 したがって、大部分の場合、本発明の技法によって修飾されるポリペプチドは 、好ましくは、標的タンパク質そのままではなく標的タンパク質のフラグメント である。更に正確には、本発明の技法によって修飾されるポリペプチドのフラグ メントとして、標的タンパク質のフラグメントと「同様の」分子構造を有するフ ラグメントを用いるべきである。フラグメントの分子構造が標的タンパク質のフ ラグメントと「同様である」という場合、フラグメントの全アミノ酸配列が標的 タンパク質の配列の一部分に対して正確に対応するということを必ずしも示す必 要はない。例えば、若干の場合、アミノ酸のある種の置換は、フラグメントの免 疫学的特性に影響を与えることなく可能でありうる。概念的にはHCGのβサブ ユニットに由来するが、110−位のシステイン残基がα−アミノ酪酸で置換さ れている構造(IX)(以下にも詳細に論及されている)と称するポリペプチド を記載している前述の米国特許第4,302,386号明細書を参照されたい。 更に、HCGのβサブユニットの天然の形が、アミノ酸鎖に結合した多数の炭水 化物残基を有するとしても、HCG配列の適切な部分に対して配列は対応するが このような炭水化物残基を欠いている合成ペプチドを、本発明の結合体を与え且 つ良好な結果を与えるように修飾することができる。 種特異性はいずれの免疫学的方法においても当然問題であるが、多数のタンパ ク質は、2種類の種の対応するタンパク質に対する抗体間にかなりの交差反応性 が存在するほどアミノ酸配列が種間で同一であるかまたは互いに僅かしか違わな いので、本発明は、修飾されるホルモン、フラグメントまたはペプチドが実際に 、結合体を投与される哺乳動物とは異なる哺乳動物種のタンパク質に由来するこ とができる可能性を除外しない。更に、本発明によって修飾されるフラグメント は、フラグメントが概念的に由来するタンパク質の配列中に対応物を持たないア ミノ酸配列を包含することができる。また例えば、本発明の方法において、概念 的にはHCGのβサブユニットに由来するが多数のプロリン残基を含むスペーサ ー配列を包含する構造(IV)、(VIII)、(IX)、(X)および(XI V)と称するポリペプチドフラグメントを用いることができることを以下に示す 。 当然ながら、標的タンパク質の部分に正確に対応していない配列を用いる場合 は注意を払うべきである。例えば、タンパク質レラキシンは極めて種特異的であ ることが知られており、したがって、非ヒトレラキシンタンパク質のフラグメン トを、本発明の方法によって修飾し且つヒトに注射してヒトにおける抗レラキシ ン抗体の生成を引き起こすことは勧められない。しかしながら、結合体の生成に 適当なホルモン、フラグメントまたはペプチドを選択する場合、アミノ酸配列の みが考慮されるべき唯一の因子ではなく、コンホメーション、すなわち、標的タ ンパク質の天然のコンホメーションに相対して選択されたタンパク質、フラグメ ントまたはペプチドの物理的形状にも周到に留意する必要がある。抗原のコンホ メーションすなわち形状が、抗体に抗原を認識させる重要な因子であるというこ とは免疫学当業者に周知である。したがって、本発明の結合体が標的タンパク質 の適切な部分のコンホメーションを保持していない場合、哺乳動物中に結合体を 注射することによって引き出された抗体は、天然の標的タンパク質に対して最適 の活性を示さないと考えられる。例えば、標的タンパク質の一部分と同様の配列 を有するペプチドは、もしも天然の標的タンパク質中の決定的な抗原決定基の位 置に影響を与える標的タンパク質の配列の他の部分が存在しないために、結合体 を製造するのに用いられたフラグメントが、標的タンパク質中の同様のアミノ酸 配列のコンホメーションと全く異なるコンホメーションをとるならば、おそらく ほとんど機能しない。同様に、複合標的タンパク質の鎖は通常折りたたまれてい るので、抗原−抗体結合反応は、標的タンパク質の鎖に沿って大きく隔てられて いるが標的タンパク質の天然のコンホメーションでは間隔が互いに近接している 2種類またはそれ以上のアミノ酸配列の認識に頼ることがある。これらの考察は 全て、本発明において用いるための大部分の適当なホルモン、フラグメントまた はペプチドが何であるかという問題に関係しうる。 当業者が承知しているように、複合タンパク質のコンホメーション、したがっ て抗原性および抗原決定基に影響を与える一つとの主要な因子は、このようなタ ンパク質におけるシステイン残基およびジスルフィド橋の存在である。システイ ン残基を有する多数の天然タンパク質において、これらの残基が遊離−SH基を 含むそれらのチオールの形で存在していないことは当業者に周知である。その代 わり、システイン残基対はジスルフィド橋によって結合してシステインを形成す る。このようなジスルフィド橋は、タンパク質のコンホメーションを決定するの に極めて重要である。大部分の場合、天然の形のタンパク質中に存在するジスル フィド橋は、温和な還元剤によってタンパク質分子の残部を未変化のまま残す条 件下において容易にチオール基に還元される。このようなジスルフィド橋の破壊 は、たとえアミノ酸配列の妨害が起こらないとしても、タンパク質のコンホメー ションを主に変化させる。特に、HCGのβサブユニット中に存在する12個の システイン残基は、天然の形のサブユニットにおいては互いに結合して6個のジ スルフィド橋を形成するので、天然の形のタンパク質は遊離チオール基を持たな い。 天然に存在する形のタンパク質におけるジスルフィド橋の還元による遊離チオ ール基の生成は、タンパク質またはそのフラグメントに由来する結合体を動物に 注射した場合に生産される抗体の交差反応性に影響を与えることがある。既述し たように、抗体は、しばしば、その対応する抗原をその抗原中のアミノ酸配列に よってのみならず抗原のコンホメーションによっても認識する。したがって、タ ンパク質またはその天然のコンホメーション中のペプチドに対して極めて強く結 合する抗体は、そのコンホメーションがそのジスルフィド橋の破壊によって驚異 的に変化した後の同じタンパク質またはポリペプチドに対して、結合したとして もはるかに弱く結合するかもしれない。 したがって、タンパク質または他のポリペプチド中のジスルフィド橋の破壊は 、分子の一部分に沿って同様のアミノ酸配列を有する抗原に対する抗体間の交差 反応性を減少させる根拠を与えることができる。例えば、β−HCGおよびHL H配列中の最初の110残基は2種類の天然の形の分子において実際に同一であ り、したがってコンホメーションもおそらく極めて類似しているので、交差反応 は、しばしば、β−HCGおよびHLHに対する抗体間で見られることが上記で 指摘された。HLHとほとんど交差反応しないβ−HCGに対して抗体を動物で 生産する一つの手段は、β−HCGの残基111〜145の全部または一部分を 含むがβ−HCGの残基1〜110の全部またはほとんど全部を欠いているポリ ペプチドに由来する本発明の結合体を動物に与えることであるということが上記 で示唆された。実際に、このアプローチは、β−HCGおよびHLHに共通して いる残基の配列を結合体から化学的に除去することによってHLHとの抗体交差 反応を回避する。別のアプローチとして、天然の形のβ−HCG中の適当な数の ジスルフィド橋を開裂することにより、その残基1〜110のコンホメーション を変更して、この変更されたβ−HCGを基剤とする本発明の結合体を動物に投 与した場合に生成される抗体がHLHともうほとんど交差反応しないようにする ことは可能でありうる。言い換えると、交差反応を妨げるようにβ−HCGから 共通配列の残基を化学的に切断する代わりに、β−HCG中のこの共通配列の残 基を残すがこの共通配列のコンホメーションを変更し、抗体にとって、変更され たコンホメーション共通配列が天然の形の共通配列のように「見える」ことがな いようにすることは可能でありうるので、変更されたコンホメーション共通配列 を認識する抗体は、HLH中の天然のコンホメーション共通配列を認識しない。 更に、残基1〜110の配列の天然のコンホメーションがジスルフィド橋の破壊 によっていったん破壊されたら、この共通配列は、おそらくジスルフィド橋を欠 いているポリペプチドに共通のらせんコンホメーションをとるので、結果として このβ−HCG部分は強く免疫原性ではなく、しかも変更されたコンホメーショ ンβ−HCGを基剤とする結合体によって生成された抗体の大部分は、HLHと 共通性がない配列111〜145に対する抗体である。明らかに、他の対のホル モンに対する抗体間の交差反応性は、類似していてしたがってそのままでは抗原 交差反応性を促進する2種類のタンパク質の部分のコンホメーションを変更する ことによって同様に破壊することができる。 現在のところ好ましい結合体は、CGに由来するもの(若干類似した黄体形成 およびろ胞分泌ホルモンに由来するものも含む)およびレラキシンに由来するも のである。絨毛性性腺刺激ホルモンおよび関連ホルモン ホルモンである絨毛性性腺刺激ホルモン(CG)は、広範囲にわたる研究の課 題であって、1927年に、実験動物に注射された場合に顕著な性腺増殖を生じ た性腺刺激物質が妊婦の血液および尿中に含まれていることが実証された。後に 、研究者達は、下垂体ではなく、胎盤絨毛膜絨毛がこのホルモン源であることを 確証した。このようにして、絨毛性性腺刺激ホルモンまたはヒトの場合ヒト絨毛 性性腺刺激ホルモン(HCG)の名称がこの妊娠ホルモンに対して与えられた。 最近、正常なおよび異常な生理学的状態におけるHCG濃度を記載する多種多様 の研究が行なわれてきており、妊娠を維持する場合のその役割が示された。研究 により、排卵を誘導し且つ黄体機能を刺激するホルモンの能力が示され、そして リンパ球作用を抑制するその能力を示すための根拠が引き出された。HCGに対 する抗体とヒト下垂体黄体形成ホルモン(LH)との交差反応および逆の場合も 、広範囲に実証された。例えば、 ポール(Paul),W.E.およびロス(Ross),F.T.、HCGお よびヒト下垂体黄体形成ホルモン間の免疫学的交差反応 (Immunologic Cross Reaction Between HCG and Human Pituitary Gonadotropin .)Endocrinology,75,325〜358(1964); フラクス(Flux),D.X.およびリー(Li),C.H.、性腺刺激ホ ルモン間の免疫学的交差反応(Immunological Cross Re action Among Gonadotropins.)Acta End ocrinologic ,48,61〜72(1965); バグショウ(Bagshawe),K.D.;オル(Orr),A.H.およ びゴドン(Godden)J.、HCGと様々な種由来血漿とのラジオイムノア ッセイにおける交差反応(Cross−Reaction in Radio− Immunoassay between HCG and Plasma f rom Various Species.)Journal of Endo crinology,42,513〜518(1968); フランチモント(Franchimont),P.、HCGおよび下垂体LH 間の交差反応の研究(Study on the Cross−Reactio n between HCG and Pituitary LH.)Euro pean Journal of Clinical Investigati on ,1,65〜68(1970); ドーナー(Dorner),M.;ブロスマー(Brossmer),R.; ヒルゲンフェルト(Hilgenfeldt),U.およびトルード(Trud e),E.、タンパク質およびポリペプチドホルモンの構造−活性関係における HCGに対する抗体とHCGおよびその化学誘導体の免疫学的反応(Immun ological reactions of Antibodies to HCG with HCG and itschemical derivat ives in Structure−Activity Relations hips of Proteins and Polypeptide Hor mones)(M.マルゴーリーズ(Margoulies)およびF.C.グ リーンウッド(Greenwood)監修)、539頁,541 Amster dam:Excerpta Medica Foundation(1972) を参照されたい。更に、これらの交差反応を用いて、CGおよびLH両方のホル モンの免疫検定が実施されている。 ミッドグレイ(Midgley),A.R.Jr.、HCGおよびLHのため の方法、ラジオイムノアツセイ(Radioimmunoassay:a me thod for HCG and LH.)Endocrinology,7 9,10〜16(1966); クロシグナニ(Crosignani),P.G.、ポルヴァニ(Polva ni),F.およびサラシ(Saracci)R.、タンパク質およびポリペプ チドホルモンのHCG−LHのラジオイムノアッセイの特徴(Characte ristics of a radio−immunoassay for H CG−LH in Protein and Polypeptide Hor mones)(M.マルゴーリーズ監 修)409頁,411 Amsterdam:Excerpta Medica Foundation(1969); イソジマ(Isojima),S;ネイク(Nake),O.;コジャマ(K ojama),K.;およびアダチ(Adachi),H.、重合された抗ヒト HCGを免疫吸着剤として用いるヒトL.H.のラピッドラジオイムノアッセイ (Rapid radioimmunoassay of human L.H . using polymerized antihuman HCG as immunoadsorbent.)Journal of Clinica l Endocrinology and Metabolism ,31,69 3〜699(1970)を参照されたい。 完全なCGホルモンまたはそのサブユニット、例えばβサブユニットは本発明 の結合体において用いることができるが、概して、βサブユニットのフラグメン トのみに対応するペプチドを用いることが好ましい。更に具体的には、既述した ように、LHの対応するβサブユニットとほぼ同一のCGのβサブユニットが多 量に存在するので、LHと共通性がないCGのβサブユニットの111〜145 配列の一部分に対応するフラグメントを用いることによって上記で既に論及され たCGおよびLH抗体の交差反応性を避けることが望ましい。したがって、ホル モンCGに対する免疫学的反応は、天然に存在する生体成分LHに対して望まし くない免疫反応を引き起こすことなく達成することができる。CGの望ましいフ ラグメントに対応する合成ポリペプチドは、避妊剤において商業的に用いるのに 必要とされる生産費用および高度の純度の両方の観点から、増大した実用性を与 える。 タンパク質性生殖ホルモンのサブユニットおよびフラグメントとしては、天然 ろ胞性刺激ホルモンのβサブユニット、天然ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのβサ ブユニット、天然ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンβサブユニットのC末端残基から 成る、特に20〜30または30〜39アミノ酸ペプチドを含むフラグメント、 並びに天然ヒトプロラクチンおよび天然ヒト胎盤性ラクトゲンの特異的な独特の フラグメントがあり、これらは他のタンパク質ホルモンの同様の部分とあまり類 似性がない。本発明が関する新規の化学物質の種類に関して、更に、例えばHC Gのβサブユニットの化学的立体配置を記載することができる。その構造は以下 の通りである。 抗体作用の特異性のために、他のホルモンとは完全にまたは実質的に完全に異 なる分子構造を有する個々のペブチドを単離するかまたは製造することが必要で ある。HCGのβサブユニットは、ヒト黄体形成ホルモンのポリペプチド鎖とは 完全にかまたは本質的に異なるアミノ酸残基の特異的な1種類または複数の鎖を 有する。これらの鎖またはフラグメントは、担体と結合した場合、本発明の更に 別の態様を示す。したがって、ポリペプチド構造(II)および(III)[構 造IのC末端部分] は、純粋に合成法によって得られようと天然のまたは親ポリペプチドから酵素分 解によって得られようと、[チャールソン(Charlson)ら、J.Bio logical Chemistry ,284(19),6810,(1973 )]本発明にしたがって修飾された場合、望ましい免疫学的応答を与えるのに十 分な抗原性を有する物質を同様に提供する。 構造(I)で記載したβサブユニットは、145アミノ酸成分の化学的配列を 示すことが分かる。この構造は、最初の110アミノ酸成分の範囲まで黄体形成 ホルモン(LH)の対応するサブユニットと構造的に高度の相同性を有する。上 記に示したように、したがって、サブユニットのC末端の111〜145アミノ 酸配列と同様のフラグメントの使用によって絨毛性性腺刺激ホルモンまたは類似 物質に対する高い特異性を引き起こすのが望ましいことが分かった。上記構造( II)は、まさにその配列を示す。構造(III)は僅かながら更に短く、サブ ユニット配列中の116〜145アミノ酸位置を示す。 天然CGに対して作られる抗体を促進する本発明の抗原結合体において有用な 更に別のポリペプチド鎖としては、構造(IV)〜(XIV)と称する以下の構 造がある。本発明の結合体において、これらのポリペプチドは、HCGに対する 免疫原活性を与える。これらのポリペプチドは全て、天然ホルモンの化学的立体 配置に対するそれらの実質的類似性および本発明の方法によって修飾された場合 のそれらによって与えられる免疫学的応答のために、HCGのフラグメントと考 えられる。 構造(IV)は、アミノ末端すなわちN末端にプロリンスペーサー配列と結合 しているCys成分を包含する。これらのスペーサーは、続く配列を担体修飾因 子から物理的に離れた位置に存在させるのに役立つ。後ろの配列は、サブユニッ ト構造(I)の138番目〜145番目のアミノ酸配列を示すことが分かる。一 方、構造(V)は、サブユニット構造(I)の111番目〜118番目のアミノ 酸配列に対応する最初の配列に続いて6個のプロリンスペーサー成分の配列およ びシステインとして存在するカルボキシル末端を示す。このようなスペーサー成 分を与える場合の論拠は、性能が抗原的に中性のままであるかもしれない部位を 排除することである。構造(IV)および(V)は、それぞれが一つの決定基部 位を生じるのに役立つ範囲までの比較的短いアミノ酸配列である。したがって。 以下に更に詳細に言及されるように、それらは、不可欠な2種類の異なる決定基 が、それぞれ別個に結合した2種類のこのようなフラグメントの同時投与によっ て与えられる混合免疫感作技術によって用いられる。構造(VI)は、構造(I )の115番目〜145番目までの成分配列である。構造(VII)は構造(I )の一部分であるが;しかしながら、本質的には、その111番目〜130番目 の成分の配列を形成している。 構造(VIII)は2種類の配列を包含しており、その一方は構造(V)にお いて、もう一方は構造(IV)において認識されうる。これらの2種類の配列は 、プロリン成分の2種類のスペーサー配列によって隔てられ、一方は、結合機能 に役立つ中間に配列されたシステイン成分と結合している。この配列により、2 種類の異なる決定基部位は、それらの相互の結合付近で引き起こされるおそれが ある望ましくない人為的な決定基の出現を避けるように、物理的に隔てられた関 係で生じる。構造(VIIIa)は、決定基部位の間隔を広げるように追加のプ ロリンスペーサー残基を含む構造(VIII)である。 構造(IX)は構造(I)からの配列に似ていて、追加のプロリンスペーサー 配列、C末端のシステイン成分および110位のシステインの代わりに置換され たAbaを含む。呼称Abaは、本明細書中においてシステインのαアミノ酪酸 を意味するためのものである。構造(X)は、構造(II)と、6残基プロリン スペーサー配列およびC末端のシステイン成分との組合せとして認識される。同 様に、構造(XI)は、構造(II)とC末端のシステイン成分とを、プロリン スペーサー配列を含まないで組合せる。 他の有用なペプチドとしては次のものがある。 構造(XII)は、構造(II)の配列と、そのN末端の追加のThr−Cy s残基とを有すると認識される。構造(XIII)は、構造(IX)と同様であ るがスペーサー配列を含まない。構造(XIV)は構造(II)と同様であるが 、N末端の追加のスペーサー成分およびシステイン残基を含むと認識され、これ らは以下に更に詳細に記載されるように、修飾反応に有用でありうる。 既述したように、LHの対応する配列と異なるのはβ−HCGの111〜14 5アミノ酸配列のみである。しかしながら、研究により、本発明の結合体で用い られるペプチドは、LHに対して反応性の抗体の生成を引き起こすことなく、β −HCGおよびβ−LHに共通の101〜110配列に対応する配列を含むこと ができることが示される。したがって、本発明の結合体において、LHとの実質 的な交差反応性を引き起こすことなく、共通の101〜110配列の一部分また は全部を含むペプチドを用いることができる。例えば、上記構造(II)は、β −HCGの111〜145アミノ酸配列である。したがって、所望ならば、β− HCGの101〜145アミノ酸を有するペプチドを、修飾ポリペプチドの活性 にほとんど影響を与えることなくおよびβ−LHとの交差反応性を引き起こすこ となく、本発明の結合体における構造(11)のペプチドの代わりに置換しうる と考えられる。既述したように、β−HCGの109〜145配列に対応するぺ プチドは、本発明のワクチンおよび結合体において特に有用である。 既述された理由により、黄体形成ホルモンとの交差反応性を避ける必要性は、 本発明のワクチンおよび結合体で用いられる絨毛性性腺剌激ホルモン由来ペプチ ドを、主として絨毛性性腺刺激ホルモンの101〜145配列の全部または一部 分を含むペプチドに制限し、それは、黄体形成ホルモンと有意に異なるのが絨毛 性性腺刺激ホルモン配列のこの部分だけであるためである。しかしながら、ヒト 絨毛性性腺刺激ホルモン分子上にはヒト絨毛性性腺刺激ホルモンに特異的な抗体 を生産する抗原決定基が存在し、その抗原決定基はヒト絨毛性性腺刺激ホルモン の101〜145配列上に位置していないことが分かっている。一つのこのよう な抗原決定基は、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのβサブユニットの配列40〜5 2または配列38〜57に対応する配列である。したがって、ヒト絨毛性性腺刺 激ホルモンのβサブユニットの配列38〜57領域(またはこの領域の一部分) と実質的に同様のアミノ酸配列を含むペプチドは、本発明のワクチンおよび結合 体において用いることができる。 β−HCG(38〜57)ペプチドは、しかしながら、前に論及されたβ−H CG(101〜145)ペプチドとはかなり異なる様式で用いられる。ヒト絨毛 性性腺刺激ホルモンのβサブユニットの38〜57領域は、ヒト黄体形成ホルモ ン、ろ胞刺激ホルモンおよび甲状腺刺激ホルモンの対応する領域と実質的に同様 である(ヒト以外の種においても同様のことがいえる)ので、本発明のワクチン および結合体においてβ−HCG(38〜57)ペプチドを単独で用いることは 賢明ではなく、それは、これが他のホルモンとの望ましくない程度の交差反応性 を有する抗体を生産する実質的な危険を伴うからである。しかしながら、前記の ように、標的タンパク質の2種類以上の抗原決定基を含むことは本発明のワクチ ンおよび結合体に好都合であり、それは、これが、抗体を生じさせる場合のワク チンまたは結合体の有効性を増加させ、したがって治療される動物においてより 高い抗体力価を生じさせるためである。したがって、ワクチンまたは結合体が抗 体を引き起こすのに極めて有効であるが、なおかつ、望ましくない程度の交差反 応を経験しないように十分に特異的であるようにするためには、ワクチンおよび 結合体において、β−HCG(38〜57)および同様のペプチドを、ヒト絨毛 性性腺刺激ホルモンにより特異的なペプチドと一緒に用いることが極めて好都合 である。特に、β−HCG(38〜57)ペプチドを、同様のホルモンサブユニ ットの109〜145配列(または上記で論及された理由により、101〜14 5配列)に由来するまたはと同様のペプチドと一緒に用いることが勧められる。 38〜57および101〜145ペプチドの共同使用は、3種類の別個の方法 で達成されうる。第一に、β−HCG(38〜57)ペプチドは、同様のホルモ ンサブユニットの101〜145領域の少なくとも一部分と実質的に同様の1種 類またはそれ以上のアミノ酸配列を更に含むことができる、すなわち、ペプチド を修飾する前に、2種類の配列を同一ペプチドに化学的に結合することができる 。第二に、両方のペプチドを、最初に互いに化学結合させることなく、同一担体 に対して化学結合させることができる。最後に、2種類のペプチドを別個の担体 に対して結合し、そして得られた2種類の結合体の混合物を治療される動物中に 導入することができる。 このようなポリペプチドは、当然ながら、得られた結合体が用いられる哺乳動 物に応じて、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのβサブユニットの38〜57領域ま たは他の哺乳動物の絨毛性性腺刺激ホルモンの同様の配列を含むことができる。 この38〜57配列は単独で用いることができるし、または該配列は、適当な絨 毛性性腺刺激ホルモンのβサブユニットの隣接部分と実質的に同様の隣接部分を 、たとえこのような隣接部分の存在が結合体における適当な抗原性を生じるのに 不必要であるとしても、含むことができる。極めて長いペプチドを合成する難し さおよび費用などの実際的な理由により、βサブユニットの、40〜52領域か ら成るおよび38〜57領域に対応するアミノ酸配列を有するペプチドは約40 個以下のアミノ酸残基を含む。 抗原活性を引き起こすのに十分であるとしても、HCGの単なる38〜57領 域に対応するアミノ酸配列は、担体に対する、または本発明のワクチンおよび結 合体の合成において用いられる他のフラグメントに対するペプチドの結合を行な うことができる好都合な部位を全く有していないという欠点を有する。したがっ て、好都合な結合部位を有するペプチドを提供するために、ペプチドは、ヒト絨 毛性性腺刺激ホルモンのβサブユニットの残基38に対応するアミノ酸配列の部 分に対して、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのβサブユニットの30〜37領域と 実質的に同様でないアミノ酸残基のスペーサー配列を結合していて、そして更に 、ペプチドは、このスペーサー配列のN末端に対して、担体に対するまたは本発 明の結合体の別のペプチドフラグメントに対するペプチドの結合に適当な反応性 残基を結合していることが好ましい。好ましくは、スペーサー配列は多数(便宜 上6個)のプロリン残基を含み、そして反応性残基はアラニン残基を含む。 これにかわって、ペプチドにおける遊離スルフィドリル基の存在が必要なある 種の好ましいカップリング反応(以下に検討)に38-57ペプチドを使用すること ができるようになるには、38-57ペプチドの一つの末端(好ましくはN-末端)へ システイン残基を加えてもよい。しかしながら、もしこのような追加のシステイ ン残基を38-57ペプチドヘ加えるならば、ペプチドの必要な環化の間に正しいシ ステイン残基がジスルフィド橋により連結されるように注意しなければならない 。これは、ペプチドへ入れる前に“余分の”システイン残基に遮断基を置きそし てジスルフィド橋が形成された後にのみ遮断基を除去することにより都合よく行 われる。適当な遮断基は当業者に良く知られており、幾つかを以下に検討する。 本発明の修飾ワクチンおよび結合体に使用する場合、HCGのβサブユニットの3 8-57領域に相当するアミノ酸配列を含むペプチドは、HCGのβサブユニットの38 位および57位におけるシステイン残基に相当する二つのシステイン残基がジスル フィド橋に連結したこれらの硫黄原子を有する形で使用される。なぜなら、事実 上、ジスルフィド橋はループ状に閉じ、これはインビボで強い抗原性を有するペ プチドのこの形のみであるようであるからである。化学合成の現段階において、 環化に必要な条件はペプチドが担体(または他のペプチドフラグメント)と結合 した後では簡単に作ることはできないので、これを担体(または他のペプチドフ ラグメント)と結合する前に38-57ペプチドを環化することが実際上必要である 。 内因性タンパク質ホルモンのフラグメントに似せた他のペプチドに関するのと 同様に、HCG のβサブユニットの38-57の範囲に相当するペプチドは天然βサブ ユニットに存在するものと同じアミノ酸配列を有する必要はないが、ただしペプ チドのアミノ酸配列と天然βサブユニットにおけるアミノ酸配列の間に十分な程 度の免疫学的類似性があり、すなわち本発明によるワクチンまたは結合体を形成 するために修飾された場合、ペプチドは十分な抗原活性をもたらし、天然HCGと の良好な反応性およびこれに対する選択性を抗体が有することが必要てある。人 工ペプチドとHCGのβサブユニットの天然配列の間の免疫学的類似性を実質的に 減らすことなく行われうるある種のアミノ酸置換は当業者に良く知られており、 提案されたアミノ酸配列のいずれの免疫学的類似性の程度は、もちろん、一般的 な経験上の試験により決定することができる。 他の哺乳動物種から誘導される絨毛性ゴナドトロピンはヒト絨毛性ゴナドトロ ピンの38-57配列と非常に近似した領域を有するばかりでなく、非常に近似した 領域が他の哺乳動物糖タンパク質ホルモン、たとえば黄体形成ホルモン、卵胞刺 激ホルモンおよび甲状腺剌激ホルモンにおいて存在する。したがって同様の領域 を有する非ヒト絨毛性ゴナドトロピンおよび他の哺乳動物糖タンパク質ホルモン の領域から誘導されるペプチドもまた本発明のワクチンおよび結合体の製造に使 用される。HCGの38-57領域と類似するいくつかの特異的哺乳動物糖タンパク質の 領域を以下に詳細に示すが、しかし当業者であれば他の特異的哺乳動物糖タンパ ク質における類似領域を同定するのは難しくない。すでに記載したように、天然 配列と同一ではないが、類似の配列を有するペプチドもまた使用されるが但しこ れらは天然配列と免疫学的的にほとんど均等であることが条件である。 HCGの38-57領域と類似の配列を有し、本発明のワクチンおよび結合体に使用さ れる特定の好ましいペプチドの例は以下のようである; 構造式XXVIIはヒト絨毛性ゴナドトロピンの38-57領域である。構造式XXXはウ マ絨毛性ゴナドトロピンからの相当する配列である。構造式XXVIはヒト黄体形成 ホルモンの相当する領域であり、構造式XXVはヒツジ/ウシ黄体形成ホルモンの 相当する領域である。構造式XXVIIIはヒト卵胞刺激ホルモンの相当する領域であ り、構造式XXIXはウマ卵胞刺激ホルモンの相当する領域である。構造式XXXIは甲 状腺刺激ホルモンの相当する領域である。このホルモン配列の(Lys-Tyr)領域 は、これが相当するHCG配列の50と51位の間の“挿入部”を表すので括弧に入れ てあり、したがって上記で与えた他の配列のいずれにも全く同じものはない。 上記配列のある種の細かい部分に関してタンパク質配列決定の分野における当 業者間に幾つかの異なった意見があることは注意すべきである。たとえば、次の ようなものである; ピールス(Pierce)およびパーソンズ(Parsons)、Ann.Rev.Biochem,50:469- 95(1981)。特に、ヒト甲状腺刺激ホルモン配列において、前述の(Lys-Tyr) 挿入部の存在に反対する専門家もおり、他方ヒト黄体形成ホルモン配列の42位に おけるメチオニンおよび55位におけるバリンの存在に反対する専門家もいる。し かしながら、上記で検討した理由のため、天然配列が上に与えられたものとは異 なるとはいえ、上に与えられた配列は天然配列と十分に近似しており本発明ワク チンおよび結合体に組み合わせたとき強い抗原反応を生じる。 レラキシン 本発明ワクチンおよび結合体に使用することができるペプチドの別の群は、レ ラキシンおよびこれから誘導されるポリペプチドである。レラキシンは妊娠中に 卵巣の黄体において合成されるペプチドホルモンであり、このホルモンは出産前 に血液流れへ放出されることが長い間知られてきた。レラキシンの主な生物学的 作用は、主に、子宮頸部を弛緩しこれにより出産前に子宮頸部の拡張を助けるこ とにより哺乳動物の生殖管を生誕過程が楽になるように変えることである。イン シュリンのものと幾つかの類似点を有するアミノ酸配列が決定されている: ハドソン(Hudson)ら、Structure of a Genomic Clone Encoding Biologic aly Active Human Relaxin この論文はまたある種のレラキシン誘導ペプチドの合成法を示している。 本発明ワクチンおよび結合体において、レラキシンまたはこれから誘導される ペプチドを使用することは、分娩の間におけるレラキシンの天然の機能に依るも のではなく、抗−レラキシン抗体が精子の運動を阻止することが知られていると いう事実に依るものである。すなわち、特に抗体/精子複合体へレラキシンを加 えることにより精子の不動性を逆戻りさせることができるので、精子の表面には レラキシン様抗原が存在するようである。理論的には修飾した精子抗原を使用し て精子に存在する様々な抗原に対する抗体を雄において発生させることができる が、しかし血液/睾丸バリヤーのために、このような抗-精子抗体が睾丸を通過 しないという深刻な問題がある。抗-レラキシン抗体の不動性の非常に迅速な誘 発の可能性により、男性におけるこのような抗体の発生は男性避妊の非常に魅力 的で可能性のある形態である。抗-レラキシン抗体が血液/睾丸バリヤーのため に睾丸を通過しないかもしれないが、これらは副睾丸を通過することができ、そ してこれらはまた射精前またはその間に短時間で精子と混合するようになる液体 へ分泌されるであろう。すなわち、男性において抗-レラキシン抗体を産生する ことにより、射精は普通に起こるであろうが、しかし産生される精子は不動性で になる。さらに、このような本発明法による合併症の危険および意図しない組織 の損傷は軽く、なぜなら抗体は睾丸へ入らず、これにより睾丸で抗体-抗原の結 合による損傷反応のおそれを避けることができるからである。 女性へ本発明のレラキシン誘導化結合体を投与することは薦められないことは 注意すべきである。このような方法は女性において卵巣損傷の非常に大きな危険 をもたらすであろう。 レラキシンは高度に種特異性のタンパク質であることは注意すべきことである 。したがって、レラキシンから誘導される好適なペプチドを選択する場合、ペプ チドがヒトレラキシン(または、もちろん治療を考えられている他のいずれかの 種のレラキシン)の配列の一部に相当することを確実にするように注意すべきで ある。 癌の治療 本発明方法で治療することのできる別の健康上の問題はある種の内分泌または ホルモン依存性腫瘍または癌である。ある種の乳癌は、引き続く生存に関し、ホ ルモンプロラクチンの多量の分泌に依存することがわかっている。プロラクチン の分泌阻害はこれらの腫瘍のあるものの増殖速度および現実的生存を減らすこと が示されている。このような腫瘍を患っている哺乳動物のプロラクチンと関連す る結合体を用いた免疫化は、系を循環するプロラクチンのレベルを全身的に減少 する結果となり、したがって腫瘍増殖が退行または抑制することになる。この治 療の結果はこの病気の効果的治療の観点から非常に好ましく、なぜなら乳房の外 科的除去が現在可能な原則的治療方法であるからである。本発明のワクチンおよ び結合体が生存のためにプロラクチン(または他の幾つかのホルモン)の分泌に 依存する腫瘍に対してのみ有効であることは勿論であろう。 研究者はまた、たとえばある種のポリペプチド物質がヒトおよび他の哺乳動物 の両方の腫瘍性病気に対する支持因子およびそれからの分泌物質であることも確 定している。これらの支持因子は生化学的、生物学的および免疫学的にホルモン 特にCGならびにLHに非常に近似している。本発明のワクチンおよび結合体を使用 すると、このようなポリペプチドまたは内因性同等物の機能が中和されて悪性腫 瘍の調節を行うことができる。たとえば、霊長目の雄および雌の両方における腫 瘍はCGまたはLHまたはこれらと類似する病気支持因子に対する抗体を発現するイ ソ免疫化法により治療されうる。さらに、雌霊長目における悪性腫瘍は内因性LH に対する抗体を発現するイソ免疫化法により調節されうる。このホルモンは腫瘍 状態と合わさると、腫瘍状態を悪化させる傾向にある。 ある種の癌は、これらの表面にCGまたはその免疫学的類似物を滲出させ、これ により宿主動物に対し内因性の物質を形成し、したがって比較的非免疫原性であ るように表面的には見える表面を宿主動物の免疫システムへ提示することがわか っている。ある種の癌とCGまたはCG様物質の間のこの公知の組合せのために、本 発明のCG誘導化結合体は受精のコントロールばかりでなくCGまたはCG様物質と組 み合わせた腫瘍の治療にも有効である。すでに記載したように、本発明のワクチ ンおよび結合体は、乳癌、肺癌、結腸癌、悪性黒色腫および膀胱癌を含む様々な 悪性腫瘍疾患の治療に有効である。ホルモン、フラグメントまたはペプチドの修飾に対する技術 広範囲の技術が本発明ワクチンに使用する結合体を形成するために使用されう る。以下に記載の技術の多くは、それ自体新規ではなく、そのうち幾つかの技術 は以下の参考文献のリストに見いだされるが、他の様々な技術も当業者により文 献のいずれかに見出されるであろう。 1.クロッツ(Klotz)ら、Arch.of Biochem.and Biophys,96,60 605-612, (1966). 2.コラナ(Khorana)、Chem.Rev.S3 145(1953). 3.セラ(Sela)ら、Biochem.J.,85,223(1962). 4.エイセン(Eisen)ら、J.Am.Chem.Soc.,75,4583(1953). 5.センテノ(Centeno)ら、Fed.Proc.(ABSTR),25,729(1966). 6.ソコロウスキー(Sokolowsky)ら、J.Am.Chem.Soc.,86,1212(1964) . 7.タバチニック(Tabachnick)ら、J.Biol.Chem.,234,1726,(1959). 8.クランポン(Crampon)ら、Proc.Soc.Exper.Biol.& Med.,80,448(1952 ). 9.グッドフレンド(Goodfriend)ら、Science,144,1344(1964). 10.セラ(Sela)ら、J.Am.Chem.Soc.,78,746(1955). 11.シナダー(Cinader)ら、Brit.J.Exp.Pathol.,36,515(1955). 12.フィリップス(Phillips)ら、J.of Biol.Chem.,240(2),699-704(19 65). 13.バール(Bahl)ら、J.of Biol.Chem.,244,575(1969). 本発明において、ホルモン、フラグメントまたはペプチドの化学的修飾は、動 物の身体へ結合体を入れる前に動物の身体の外部で行われることは、当業者であ れば理解されるであろう。 ホルモン、フラグメントまたはペプチドを化学的に修飾したジフテリアトキソ イドまたはT-細胞エピトープに対して結合し本発明のワクチンおよび結合体を形 成することは、ホルモン、フラグメントまたはペプチドへ一つ以上の外来性反応 (修飾)基を付着させるか、および/または二つのフラグメントペプチドを一つ の外来性反応基(すなわち、担体)もしくは上記の両方ともを付着させ、これに より外来物として結合体を認識する動物の身体が抗体を産生し、これが結合体だ けでなく調節される医療上の問題の原因である未修飾ホルモンと複合化すること により行われる。 特に大きな完全ホルモンまたはサブユニット型分子構造が関連する場合、ホル モンまたはサブユニットに付着すべき外来性反応基の数および外来性反応基と付 着すべきホルモンまたはサブユニットの数は治療される特定の問題に依存する。 基本的には、要求されるものは結合体が動物の身体へ注射された場合これが抗原 性を起こすのに十分な程度まで修飾されることである。あまり僅かな修飾しか行 われない場合、身体は結合体を外来物として認めず、これに対する抗体を作りだ さないであろう。添加される外来分子の数が多すぎる場合、身体は結合体に対し 抗体を作りだすが、しかし抗体は結合体と特異的であり、関連する天然の内因性 ホルモンの作用を中和せず、すなわちこれらは修飾剤に対し特異的になるであろ う。 一般に、大きな分子のサブユニットまたは完全なホルモンについて、ホルモン またはサブユニット1分子当たり約1-40個の修飾基がポリペプチドを適切に修飾 するのに有用であり、これにより本発明の所望の免疫学的効果を得る。当業者で あれば良く知っているように、修飾基のこの比はホルモン全体を修飾に利用する かまたはたとえばホルモンの比較的小さな合成フラグメントを修飾するかによっ て変わるであろう。大きな分子については一般に、ポリペプチド1分子当たり2- 40個の修飾基を本発明により使用することが好ましい。ポリペプチドがHCGのβ サブユニットである場合、ポリペプチド1分子当たり約5-30個、さらに好ましく は10-26個の修飾基を使用する。ポリペプチドの修飾の程度は、動物により、標 的ホルモンまたは非ホルモンタンパク質の幾つかを中和するのに適切な抗体を産 生するのに十分なようにすべきである。修飾の必要な程度は関連する各ポリペプ チドで変わるであろうし、および関係する身体の機能に望ましい補正または変化 の程度にもよる。すでに記載されているように、本発明ワクチンにおいて、結合 体は化学的に修飾したジフテリアトキソイド105ダルトンにつき20-30個のペプチ ドを含むことが好ましい。 修飾物は、これが抗体反応を呼び出すことが望まれる天然タンパク質において 表される二つ以上の免疫学的決定因子を構成することが好ましい。効果は抗体発 現の異原抗原性の一つである。すなわち、HCGβサブユニットにおいて表される 少なくとも二つの全く別のアミノ酸配列を有する幾つかのペプチドが上述されて いる。これらの配列は間隔があいており相互に単離された決定因子を提供し、一 方間隔があいた配列フラグメントは担体と結合する。これにかわり、混合した免 疫化配列を利用し、すなわち一つの決定因子を表す第一のペプチドフラグメント を第一の担体分子と結合して、第二の担体分子と結合する第二の全く別のペプチ ドフラグメントと組み合わせて投与してもよく、その際、第二の担体は第一の担 体と同じであるかまたは異なるものでよい。すなわち、各マクロ分子担体は各フ ラグメントが二つ以上の免疫学的決定因子を表すようにホルモンフラグメントと 結合されうる。 一つの好ましい修飾方法において、修飾されるべきホルモン、フラグメントま たはペプチド、たとえば上記の構造式(XII)として指定されたものは、最初に 活性化され、その後これを担体(化学的に修飾されたジフテリアトキソイドまた はT-細胞エピトープ)と結合する。その末端で異なった機能を示し、そして反応 条件の選択によりこれらの末端機能を選択的に反応するようにすることができる 活性剤も利用できる。たとえば、各々はマレイミド基と置換酸基を有する添付の 図面の図1に示される式AおよびBの活性剤を使用してもよい。これらの活性剤 において、Xは置換もしくは非置換フェニルまたはC1-C10アルキレン部分または これらの組み合わせたものである非反応基である。フェニル環における置換基( もし存在すれば)はもちろん、基Xの残りもそうであるように、活性剤の反応を 妨害すべきでない。 基Xは、中でもペンタメチレン、1,4-フェニレンまたはモノメチル-1,4-フェ ニレン基である。 上記活性剤のマレイミド基は、試薬の反対端部(活性エステル端部)がホルモ ン、フラグメントまたはペプチドに存在するアミノ基と反応しない条件下で、修 飾されるべきホルモン、フラグメントまたはペプチドにおけるスルフドリル(SH )基と反応するであろう。すなわち、たとえばペプチドのたとえば上記の構造式 (XII)として指定されたものはシステインアミノ酸を含み、それゆえSH基は添 付の図面の図2において反応1で示されるように反応する。上記反応に続いて、 pHをややアルカリ性、たとえばpH8まで調節し、担体を添加すると、結合が完了 し図2に示す式2の生成物が生成する。 SH基を含まないがNH2基を含む担体は、最初に図1に示す式AまたはB(式中 、Xは上記定義したのものである)の活性剤とpH7またはそれ以下で最初に処理 して、担体と活性剤の活性エステル端部の反応を起こさせ、図2に示す式3の化 合物を得るようにするのが好ましい。その後、活性化担体をSH基を含有するホル モン、フラグメントまたはペプチドと反応させると、直前で検討したものと同じ 結合体が得られる。 たとえば構造式(II),(III),(VI)または(VII)のようにホルモン、フラ グメントまたはペプチドがSH基を含まないなら、このような構造のものを修飾す るには、最初にたとえば“チオラクトン化”のような標準的方法によりこのよう な基を導入し、続いてこれらを上述の選択的二官能性試薬を利用しながら結合す る。これら試薬のさらに詳細な記載について、以下の刊行物を参照せよ: オー.ケラー(O.Keller)およびジェイ.ライジンガー(J.Ridinger),Hel v.Chim.Acta.58,531-541(1975) ダブリュ.トロマー(W.Trommer)、エッチ.コルケンブロック(H.Kolkenb rock)およびジィ.プフレイデラー(G.Pfleiderer),ホップ−セイラー(Hopp e-Seyler's)Z.Physiol.Chem.,356,1455-1458(1975) すでに記載のように、システイン残基を含む多くの天然タンパク質において、 これらの残基は遊離SH基を含むチオール形において存在しない;これにかわり、 何対かのシステイン残基がジスルフィド橋を介して結合してシステインを形成す る。したがって、タンパク質において遊離SH基を作り、上述のようにカップリン グ反応を実施することを所望する場合、このような遊離SH基を提供する一つの都 合のよい方法は、結合を望むタンパク質または他のポリペプチドに天然に存在す るジスルフィド橋を開裂することである。たとえば、上述のようにβ-HCGの天然 形は6個のジスルフィド橋を含む。カップリング反応のための遊離チオール基を 作るために、これらの1−6の橋のいずれかの数をたとえば次に示すような公知 技術を用いて破壊してもよい: バール(Bahls)ら、Biochem.Biophys.Res.Comm.,70,525-532(1976). この特定の文献には、β-HCGにおける6個のジスルフィド橋の3-5個を開裂す ることを記載しているが、しかし所望するならば同じ技術を使用して6個の橋全 てを壊してもよい。しかしながら、この文献に開示された技術は非選択的であり 、そしてジスルフィド橋破壊の程度を調節することができるとはいえ、特定の橋 を破壊し他をそのままにすることは不可能である。橋の破壊はランダムで、生成 したチオール基はβ-HCGにおいて可能な位置にわたってランダムに分布している 。 上述したマレイミド基試薬の利用への別の方法として、結合を起こさせるため にアルキル化工程を使用してもよい。アミノ基の存在下に特にチオール基のみを アルキル化するように条件を選択することができる。この方法を用いて、より大 きな担体分子を、図1に示す式Cの化合物のようなクロロ、ジクロロ、ブロモま たはヨード酢酸の活性エステルを用いてそのアミノ基の部分と反応させることに より最初に修飾する。この修飾された担体を次いで修飾されるべきホルモン、フ ラグメントまたはペプチドにおけるスルフィドリル基と反応させる(または最初 からこのような遊離チオール基を有さない場合、遊離チオール基を含むようにす でに修飾(たとえば、上述のようなチオラクトン化により)されたホルモン、フ ラグメントまたはペプチドの修飾形と反応させる)。反応は遊離チオール(スル フィドリル)基のアルキル化によりチオエーテル結合を作る。 構造式(IV),(V),(IX),(X),(XI),(XII),(XIII)および(XIV)の 観察から、還元状態でSH反応基を提供するCysアミノ酸はペプチド構造のC-末端 またはN-末端のいずれかに位置することがわかる。この位置によりペプチドがい ずれの末端でも 担体分子と化学的に連結できるようになる。さらに、構造式(XIV),(X),(IX ),(X),(IV)は、ペプチド配列のCys残基と残部とのあいだに6-プロリンスペ ーサー鎖(Pro)6を有する。この後者の配列は、結合した担体と天然ホルモンの フラグメントを表す配列との間に化学スペーサーを提供する。6-プロリンスペー サーは、最初に下記(リシン)残基における遊離または非遮断ε-アミノ基へSH 基(チオラクトン化)を付与することにより、たとえば構造式(II)における12 2位(リシン)に側鎖スペーサーとして添加することができる。すでに記載した ように、このようなスペーサーを使用する場合、これは2-8個のアミノ酸残基を 含むことが望ましい。次いで、成分“X”が6個のプロリンアミノ酸の鎖である 図1の活性剤AまたはBを利用して、結合を実施することができる。後者の場合 、スペーサーは、中間位置たとえば構造式(II)における122位で連結した担体 とペプチドの間で提供される。前者の場合、結合試薬から誘導されるスペーサー のみが担体およびペプチドを連結する。 遊離アミノ基を含む担体は緩衝溶液たとえばリン酸緩衝剤において、pH6-8で 塩化ナトリウム溶液中で調製されうる。この溶液へ、ジオキサンで約1-10倍から 約1-40倍まで希釈したトリレンジイソシアネート(T.D.I.C.)試薬を担体へ添加 する。一般的手法は、シンガー(Singer)およびシック(Schick),J.Biophysi cal and Biochem.Cytology,9,519(1961)によりすでに開示されている。添加 されるT.D.I.C.の量は使用される担体の0.075-1,000モル当量の範囲である。反 応は約-5℃〜約+10℃、好ましくは0℃〜4℃で、約1/2〜2時間行う。過剰のT .D.I.C.のいずれも遠心分離により除去する。沈殿物を上述のリン酸塩緩衝液で 洗い、上澄みを集める。 この活性化担体溶液を次いで結合すべきホルモン、フラグメントまたはペプチ ドと一緒にする。ホルモン、フラグメントまたはペプチドを同じリン酸塩緩衝液 (5-30 mg/ml)に溶かし、結合体におけるホルモン、フラグメントまたはペプチ ドに対する担体の所望のモル比をもたらすのに必要な二つの溶液の容量を一緒に する。一緒にした溶液は所望により30℃-50℃)好ましくは35℃-40℃で、3-6時 間反応させる。 修飾または未修飾ホルモン、フラグメントまたはペプチドの分離は、常法によ り、たとえばゲル濾過により行われる。 I125標識化ポリペプチドのピコグラム量を結合時に反応混合物へトレーサー として添加し、担体へ結合したホルモン、フラグメントまたはペプチドの量(モ ル比)を、回収した放射能の量により測定する。 修飾方法において、水溶性カルボジイミドを使用することによりホルモン、フ ラグメントおよびペプチドを結合する。未修飾ホルモン、フラグメントまたはペ プチドのアミノ基を最初にアセチル化により保護することが好ましい。この(ア セチル化)未修飾ホルモン、フラグメントまたはペプチドを次いで活性剤として 10-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを用いて担体へ結合 する。この方法は、ホアレ(Hoare)およびコシュランド ジュニア(KoshlandJ r.),J.of Biological Chemistry,242,2447(1967)に一般的記載として開示さ れている。未修飾ホルモン、フラグメントまたはペプチドと担体との結合は、た とえばグリシンメチルエステルのような溶媒中で行われ、その間pHを約4-5、好 ましくは約4.5-4.8に維持する。反応の温度はほぼ室温が都合がよく、反応は約2 -8時間、好ましくは5時間進行させる。得られた結合体は、常法により、たとえ ばカラムクロマトグラフィーにより精製される。 結合剤としてグルタルジアルデヒドを用いて、結合体を調製してもよい。リチ ャード(Richards)およびノウレス(Knowles)[J.Mol.Biol.,37,231(1968)]に より提案された理論に従って、市販のグルタルジアルデヒドは大部分は遊離グル タルジアルデヒドを含まず、むしろα,β-不飽和アルデヒドに富んだ非常に複 雑なポリマーの混合物からなる。アミノ酸担体との反応において、これらのポリ マーは遊離アミノ基を介して安定な結合を形成し、アルデヒド基を遊離したまま にする。次いでこの中間体生成物をアルカリ金属ボロハイドライドたとえばホウ 水素化ナトリウムの存在下に未修飾ホルモン、フラグメントまたはペプチドと反 応させる。この中間体はpH7-10、好ましくは8-9で、ほぼ室温にて形成される。 修飾したホルモン、フラグメントまたはペプチドはまたほぼ室温にて約1/4-2時 間の反応時間後にも都合よく得られる。得られた生成物は、常法、たとえばゲル 濾過、透析および凍結乾燥により純粋な形で回収される。 前述の開示を通して、用語“修飾”または“結合”は、担体の分子がホルモン 、 フラグメントまたはペプチドにおける特定部位に化学的に付着するようになる化 学的反応に関し使用されている。これが実施されるための特定メカニズムがここ に詳細に記載されているとはいえ、他の適当なメカニズムも所望により使用され うる。担体がこれが修飾するホルモン、フラグメントまたはペプチドより物理的 に大きな分子またはフラグメントでありうることは明らかである。明らかなこと に、担体の物理的大きさは常に臨界的ではなく(本発明の結合体に使用されるT- 細胞エピトープの多くは約15-20個のアミノ酸残基しか含んでいない)、有効性 に対する要求は哺乳動物の身体の反応が標的ホルモンに対する十分な量および特 異性において抗体を発生させることだけである。ワクチン/結合体の投与 本発明の結合体が動物の身体内部で標的ホルモンに対する抗体の形成を引き起 こすために、これらは抗体の形成に対応する細胞と接触することができるように なるように動物へ投与されなければならない。実際、このことは結合体がこれら を投与する哺乳動物の循環系へ導入されなければならないことを実質的に意味す る。他の形の投与の使用を絶対に排除するものではないが、実際に使用されそう な本発明の結合体のほとんどの分子サイズおよび分子量の点で、通常のルートま たは投与は腸管外投与たとえば注射によるものであろう。広範囲の場合において 、投与に必要であろう結合体の量は通常の処理だけに対してはあまりに少な過ぎ て、いずれの場合もほとんどの結合体の化学的性質は液体ビヒクルを含まない純 粋形で製造されることを阻害する。したがって、結合体をビヒクルと一緒に含む ワクチンとして本発明結合体を投与することが普通は必要である;そのようなワ クチンは望ましくは本発明のワクチンであり、結合体および助剤をリン酸塩緩衝 化生理食塩水溶液中に分散し、これを次いで油の混合物、好ましくはスクワレン およびスクワランオイルおよびマンニットモノオレエートの混合物で乳化したも のである。このようなワクチンにおける結合体の投与は、ワクチンを動物へ投与 する場合、結合体により起こされる抗体の量が増加することがわかっている。ワ クチンの投与により引き起こされる抗体の量をさらに増加するために、ワクチン において免疫学的助剤を含む事が有利である。用語“助剤”とは免疫学の分野に おける当業者にとって普通の意味、すなわちワクチンを投与される動物の免疫反 応全 体を高めるであろう物質を意味するものとして使用され、すなわち助剤は非特異 的免疫刺激剤である。すでに言及したように、好ましい助剤はN-アセチル-D-グ ルコサミン-3-イル-アセチル-L-アラ-D-イソグルタミン(ノルムラミルジペプチ ド)であるが、他の助剤、特に他のムラミルジペプチドも所望により使用され、 たとえば、次のものを所望のにより使用できる: NAc-ノルMur-L.Ala-D.イソGln NAc-Mur-(6-0-ステアロイル)-L.Ala-D.イソGlnまたは Nグリコール-Mur-L.αAbu-D.イソGln 本発明のワクチンおよび結合体は保護されるべき動物へ腸管外投与されるワク チンの投与の通常の形態は筋肉内および皮下注射である。使用されるワクチンの 量は、もちろん治療される状態およびその深刻度を含む様々な因子によるであろ う。しかしながら、一般に、大きな哺乳動物におてて、0.1-50mgの単位投与量が 1-5週間の間隔で1-5回投与されると好ましい結果が得られる。主な免疫化に続い て1-12カ月の間隔で“ブースター”免疫化を行ってもよい。 本発明の結合体についての他の有用な投与法は結合体自体、またはその溶液も しくはエマルジョンを、たとえばマイクロカプセル形のような薬剤上許容されう るポリマー組成物へ入れるものを含む。次いで、マイクロカプセル封入結合体を 、たとえば皮膚または筋肉内注射下で移植し、これにより結合体の調節されたお よび/または延長したおよび/または時間を定めた放出ができるようになる。引 き続いて結合体のこの放出はここに記載した目的のための調節され、延長され、 経験時されまたは所望による有用な抗体の上昇を引き出す。カプセル封入のため に有用なポリマー組成物の例は薬剤用マイクロカプセル化についての技術におい て公知の薬剤上許容されうるポリ乳酸ポリグリコール酸コポリマーを含む。 以下の実施例を本発明に使用される特に好ましい試薬、条件および技術の詳細 を示すために提供するが、これは説明だけのためである。 実施例1 本実施例は本発明の好ましいワクチンの調製を説明する。ペプチドの調製 β-HCG(109-145)ペプチドを、上述の米国特許第4,855,285号および同第5,00 6,334号に記載のように、固相合成により合成した。遊離チオール基を含むペプ チドだけがトキソイドと結合することができ、したがって結合する前にエルマン (Elman)の方法により定量的にペプチドのチオール含有量を測定することが適 切である。必要ならば、N-アセチルホモシステインチオラクトンまたはN-スクシ ンイミジル-3-(2-ピリジルチオ)プロピオネートのいずれかを使用してペプチ ドに遊離チオール基をもたらしてもよい。修飾されたジフテリアトキソイドの調製 ジフテリア−百日咳−破傷風ワクチンを調製するために市販され使用される型 のジフテリアトキソイドを市販の供給源から得た。トキソイドは活性度1000-150 0Lf/mlを有し、保存剤として1/5000チメロサルを含む液体形状で得られた。この トキソイドに対し、エチレンジアミン(0.1M)を液体トキソイド100mlにつき2ml の比で加え、得られた混合物を限外濾過によりほぼ10倍に濃縮した。濃縮液をセ ファデックスG-50またはバイオゲルP-60のいずれかを用いて0.2M重炭酸アンモニ ウム中でゲル濾過した。非-遅延容量を集め凍結乾燥した。 修飾したトキソイドのアミノ含有率を測定するために、フルオレスカミン法を 使用した。修飾したトキソイドほぼ1.0mg/mlを含むサンプル溶液の少量を調製し 、そして20μlアリコートについて10-9〜10-8モルを含むα-N-アセチル-L-リシ ンサンプルの標準曲線に対し分析した。トキソイドに対するペプチドの結合 マレイミド基は光感受性なので、この基を用いた以下の調製の工程は暗所また は弱い照明において実施されるのが好ましい。 トキソイド105ダルトンにつきほぼ25個のペプチドを含む抗原結合体を調製す るために、上述のように調製し化学的に修飾されたトキソイド20mgをpH6.6の0.5 Mリン酸ナトリウム緩衝剤水溶液1mlに溶かした。別に、6-マレイミドカプロン酸 アシルスクシニルエステル(MCS)6.18mgを、精製しそして乾燥したジメチ ルホルムアミド(DMF)100μlに溶かした。得られたDMF溶液25μlを15分間かけ て室温にて攪拌したトキソイド溶液へ添加した。添加完了後、得られた溶液をさ らに75分間攪拌し、過剰のMCSおよび反応副産物を0-4℃にて0.1Mクエン酸ナトリ ウム/0.1M EDTA、pH 6.0で平衡化したセファデックスG-25上でゲル濾過により 除去した。カラムから排出された活性化トキソイドをP 10膜上の限外濾過により ほぼ20mg/mlまで濃縮した。 修飾したトキソイドに対しペプチドの結合を行うために、上述のように調製し た修飾トキソイドの溶液を同じクエン酸ナトリウム/EDTA、pH6.0の緩衝液中の ペプチド溶液へ加え、そして得られた混合物を窒素気流下に攪拌し、その間室温 で18時間光から遮断した。次いで、溶液を、0-4℃にて0.2M重炭酸アンモニウム で平衡化したセファデックスG-50またはバイオゲルP60カラムに通し、ボイド流 出液中に溶出した結合体を凍結乾燥した。ワクチンの調製 このように調製した結合体2.0mgとノルムラミルジペプチド1.0mgをリン酸緩衝 化生理食塩水0.6mlに溶かした。これと別に、スクワレン44重量部、スクワラン4 1重量部、マンニドモノオレエート11重量部およびモノステアリン酸アルミニウ ム4重量部を含む油混合物0.6mlを調製した。三方閉止コックを介して接続する 二本のガラスシリンジを含む装置を用いて、手により乳化を行った。緩衝溶液を 一つの注入器へ入れ、他の注入器に油混合物を入れ、そして混合後、得られた混 合物をエマルジョンが完全に粘稠になるまで少なくとも25回両方の注入器の間を 往復させた。 このように製造されたワクチンは、ヒトにおける投与量0.5-1.5mlで筋肉内注 射するのに好適であった。実施例2 本実施例はT-細胞エピトープを含む本発明の好ましい抗原結合体の調製を説明 する。 これらの結合体は、上記実施例1で言及した同じ固相合成技術を用いて合成さ れた。T-細胞ペプチドは最初に樹脂上で合成され、次いでβ−回転(β-turn) を含む4〜5個のアミノ酸残基のスペーサー配列を加えた。最後に、β−HCG(1 09-145)ペプチドをスペーサー配列のN-末端に合成した。 第二の方法では、末端リシンを有するペプチドを調製した。リシンの第一のア ミノ基を遮断し、ε−アミノ基を遊離状態にした。T-細胞またはβ−HCG(109-1 45)ペプチドをリシンε−アミノ基における側鎖として合成し、もう一度配列決 定して正しい配列を確認した。リシンにおける遮断基を除去し、主鎖を延長し、 添加した最後のアミノ酸残基は別のリシンであった。次いで、側鎖合成を繰り返 した。この手段をさらに繰り返すと二つ異なったT-細胞エピトープと二つのβ-H CG(109-145)ペプチドを含むペプチドが得られた。 また、本発明の好ましい方法において、Fmoc/t-ブチル技術を用いた樹脂にお いて次の配列を有するβ-ストランド鋳型が形成された: Gly-Leu-Lys-Leu-Lys-Leu-Gly-COOH 両方のリシンはBoc基で保護されたε−アミノ基を有する。この鋳型ペプチド のN-末端をNps-Leuの添加により保護し、次いでε−遮断基をペプチドのN-末端 に隣接するリシンから除去した。その後、T-細胞エピトープを、前述の米国特許 に記載のBoc/ベンジル技術を用いてリシンの遊離ε−アミノ基において組み立 てた。T-細胞エピトープのN-末端をアセチル化により遮断し、次いでNpys保護基 を鋳型のN-末端から除去した。ペプチドの主鎖をFmoc/t-ブチル技術を用いて延 長して次の配列を作った: (Ac)Gly-Leu-Lys-Leu-Lys-Leu-Leu-Gly-Gly-Ser-Pro-Leu-Gly-Leu- Lys-Leu-Lys-Leu-Gly-COOH (式中、“(Ac)”により示されるように、N-末端はアセチル化により保護され た(Gly-Ser-Pro-Leu配列は鋳型にβ-回転スペーサーを提供する。))。 ε-遮断基をペプチドのN-末端に隣接するリシンから除去し、B-細胞エピトープ をFmoc/t-ブチル技術を用いてリシンの遊離ε-アミノ基において組み立てた。B- 細胞エピトープのN末端をアシル化により遮断した。最後に、t-ブチルおよびBo c保護基をTFAで除去し、次いで低/高HF処理によりペプチドを樹脂から開裂した 。 以下のT-細胞エピトープを含む結合体をこれら二つの方法により調製した: a.破傷風トキソイドのアミノ酸 580-599 b.破傷風トキソイドのアミノ酸 830-844 c.破傷風トキソイドのアミノ酸 916-932 d.破傷風トキソイドのアミノ酸 947-967 e.麻疹ウィルスタンパク質のアミノ酸 288-302 f.B型肝炎ウィルスタンパク質のアミノ酸 16-33 g.マラリアCSPタンパク質のアミノ酸 317-336
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI A61K 39/395 J 9284−4C T 9284−4C 47/28 Z 7433−4C

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.タンパク質生殖性ホルモン、このようなホルモンのフラグメントまたはこの ようなホルモンまたはフラグメントと実質的に免疫学に均等なペプチドの抗原結 合体; 助剤;および 少なくとも一つの油 からなり、 結合体と助剤は水性媒体に分散して水相を形成し、この水相は少なくとも一 つの油で乳化されてなり、 抗原結合体は化学的に修飾されたジフテリアトキソイドと結合したホルモン 、フラグメントまたはペプチドを含み、そして水相が油の混合物と乳化されてい ることを特徴とするワクチン。 2.ホルモン、フラグメントまたはペプチドがヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサ ブユニット、そのフラグメントまたはこれらと実質的に免疫学的に均等なペプチ ドである請求項1のワクチン。 3.フラグメントまたはペプチドはヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニット のアミノ酸109-145に相当する配列またはこれらと実質的に免疫学的に均等な配 列を有する請求項1のワクチン。 4.化学的に修飾されたジフテリアトキソイドがジフテリアトキソイドとエチレ ンジアミンとの反応生成物である前記請求項のいずれか1項のワクチン。 5.抗原結合体が化学的に修飾されたジフテリアトキソイド105ダルトン当たり2 0-30個のペプチドを含む前記請求項のいずれか1項のワクチン。 6.助剤がN-アセチル-D-グルコサミン-3-イル-アセチル-L-アラ-D-イソグルタ ミン(ノルムラミルジペプチド)である前記請求項のいずれか1項のワクチン。 7.油混合物がスクワレンおよびスクワランからなる前記請求項のいずれか1項 のワクチン。 8.さらにマンニドモノオレエートおよびモノステアリン酸アルミニウムの少な くとも一つを含む請求項7のワクチン。 9.油混合物がスクワレン35-45重量%、スクワラン35-45重量%、マンニドモノ オレエート6-16重量%およびモノステアリン酸アルミニウム1-5重量%を含む請 求項8のワクチン。 10.抗原結合体0.5-2.0mgが最終エマルジョン1ml当たり存在する前記請求項の いずれか1項のワクチン。 11.助剤0.2-1.0mgが最終エマルジョン1ml当たり存在する前記請求項のいずれ か1項のワクチン。 12.水相と油混合物をほぼ等量含む前記請求項のいずれか1項のワクチン。 13.水相がリン酸塩緩衝化生理食塩水である前記請求項のいずれか1項のワクチ ン。 14.悪性腫瘍疾患にかかっているヒトを治療するための前記請求項のいずれか1 項のワクチンの使用。 15..乳癌、肺癌、結腸癌、悪性黒色腫または膀胱癌にかかっているヒトを治療 するための前記請求項のいずれか1項のワクチンの使用。 16.請求項1-13のいずれか1項のワクチンを哺乳動物へ投与し、哺乳動物からの 抗体および/またはリンパ腫細胞を回収することからなる、タンパク質または生 殖性ホルモンに対する抗体を産生するかおよび/またはこのような抗体を発現す ることのできるリンパ腫細胞を産生する方法。 17.抗体および/またはリンパ腫細胞が請求項16の方法により産生されるもので ある、タンパク質または生殖性ホルモンに対する抗体、このような抗体を発現し うるリンパ腫細胞、およびこのようなリンパ腫細胞から誘導されるハイブリドー マ細胞。 18.タンパク質生殖性ホルモン、このようなホルモンのフラグメントまたはこの ようなホルモンまたはフラグメントと実質的に免疫学的に均等なペプチドの抗原 結合体であって、このホルモン、フラグメントまたはペプチドが、結合体で処理 されるべき動物に対して外来性のタンパク質の少なくとも一つのT-細胞リンパ球 エピトープの配列または実質的にこれと免疫学的に均等な配列を有するエピトー プペプチドと結合している前記抗原結合体。 19.ホルモン、フラグメントまたはペプチドがヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサ ブユニット、そのフラグメントまたは実質的にこれと免疫学的に均等なペプチド である請求項18の抗原結合体。 20.フラグメントまたはペプチドがヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニット のアミノ酸109-145または111-145に相当する配列を有するかまたは実質的にこれ と免疫学的に均等な配列を有する請求項19の抗原結合体。 21.エピトープペプチドが以下に相当する配列; a.破傷風トキソイドのアミノ酸 580-599 b.破傷風トキソイドのアミノ酸 830-844 c.破傷風トキソイドのアミノ酸 916-932 d.破傷風トキソイドのアミノ酸 947-967 e.麻疹ウィルスタンパク質のアミノ酸 288-302 f.B型肝炎ウィルスタンパク質のアミノ酸 16-33 g.マラリアCSPタンパク質のアミノ酸 317-336 または実質的にこれと免疫学的に均等な配列を有する請求項18から請求項20のい ずれか1項の抗原結合体。 22.ホルモン、フラグメントまたはペプチドがアミノ酸残基約2〜約8個を含む スペーサーペプチドを介してエピトープペプチドと結合する請求項18から請求項 21のいずれか1項の抗原結合体。 23.ヒトにおいて受精をコントロールし、または悪性腫瘍疾患を治療する請求項 18から請求項22のいずれか1項の抗原結合体の使用。 24.乳癌、肺癌、結腸癌、悪性黒色腫または膀胱癌にかかっているヒトの治療の ための請求項23の使用。 25.請求項18から請求項22のいずれか1項の抗原結合体二つ以上の混合物を用い る請求項23または24の使用。 26.タンパク質生殖性ホルモンに対する抗体および/またはこのような抗体を発 現しうるリンパ腫細胞を調製する方法であって、該方法が修飾したポリペプチド を哺乳動物へ導入し、これにより哺乳動物に抗体を形成させ、哺乳動物から抗体 および/またはリンパ腫細胞を回収するものであり、使用する修飾ポリペプチド が請求項16-20のいずれか1項の抗原結合体である前記方法。 27.抗体および/またはリンパ腫細胞が請求項26の方法により産生されることか らなるタンパク質または生殖性ホルモンに対する抗体、このような抗体を発現し うるリンパ腫細胞およびこのようなリンパ腫細胞から誘導されるハイブリドーマ 細胞。 28.哺乳動物からの身体の組織または体液を下記タンパク質と反応しうる請求項 26の方法により産生した抗体と接触させ、抗体とタンパク質の間に複合体が形成 されるかまたは形成されないことを観察することからなる、哺乳動物におけるタ ンパク質の存在または不存在を決定しまたは哺乳動物におけるタンパク質の量を 検定する方法。 29.請求項26の方法により生成された抗体、リンパ腫細胞またはハイブリドーマ 細胞の哺乳動物における病気治療への使用。
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