【発明の詳細な説明】
トリオキソラン及びジペルオキシド化合物の医学的使用
発明の背景
本発明はトリオキソラン及びジペルオキシド化合物に関する。特に本発明は不
飽和炭化水素からのこれらの化合物の形成及び病気の処置又は抑制のために使用
される、これらの化合物を含有する医薬製剤に関する。更に、本発明はトリオキ
ソラン及びジペルオキシド化合物を使用して病気を処置又は抑制する方法に関す
る。
トリオキソラン化合物は、一般式:
(式中、R及びR'は同一であるか又は異なる有機部分(organicmoiety)を表す)の
化合物と定義される。上記に示されている炭素は追加の有機部分分岐鎖を更に有
し得る。
ジペルオキシド化合物は、一般式:
(式中、R及びR'は同一であるか又は異なる有機部分(organicmoiety)を表す)の
化合物と定義される。上記に示されている炭素は追加の有機部分分岐鎖を更に有
し得る。
油溶性化合物をオゾン化(ozonating)する方法は既知であり、例えば、Neelの
米国特許第925,950号、Mckeeの米国特許第2,083,572号及びDe Villezの米国特許
第4,451,480号明細書に開示されている。
しかしながら、トリオキソラン及びジペルオキシド化合物はオゾン化法の全てに
おいては製造されていない。かかる化合物の不飽和炭化水素からの製造はMurray
等の"Ozonolysis:Formation of Cross Diperoxides"及びCriegee等の"Fragment
ation of Ozonides by Solvent"に記載されている;これらは両者共、Ozon Reac tions with Organic Compounds
,Advance in ChemistrySeries 112,American C
hemical Society,ワシントンD.C.(1972)に掲載されている。これらの2つの文
献の記載は参照として本明細書に包含されている。
オレフィンのオゾン化は一般的に前記Criegeeによって提案されている機構に
よって認められている。この機構によれば、オゾンが不飽和結合と反応して、最
初の、不安定な一次オゾニド(R-C-O3 -C-R')を形成する。この一次オゾニドは容
易に分解して双性イオンとカルボニルフラグメントを形成する。ついで、これら
のフラグメントが結合してトリオキソラン化合物を形成する。他の条件下では双
性イオンが二量体化してジペルオキシド誘導体を形成する。
従来の技術はある種の特定のタイプのオゾン化化合物はある種の薬理学的活性
を有することを開示している。しかしながら、本発明者が確認した限りにおいて
は、これらの化合物のいずれも実質的な量のジペルオキシド又はトリオキソラン
化合物が得られると思われる方法で製造されているとは考えられない。
Neelの米国特許第925,950号明細書には、オゾン化炭化水素は肺結核と喘息に
対して治療効果を有する考えられていたため、これを吸入治療のために使用する
ことが開示されている。Neelのオゾン化系により実質的な量のジペルオキシド又
はトリオキソラン化合物が得られたとしても、かかる化合物は非常に低い蒸気圧
しか有していない。従って、蒸気中に極めて少量のジペルオキシド又はトリオキ
ソラン化合物しか見出だされないことが予想されるであろう。
Knoxの米国特許第1,210,949号明細書には、ヒマシ油をオゾン化して緩下剤を
製造することが開示されている。ヒマシ油をオゾン化することによりその毒性が
低下し、殺菌効果(germicidal effect)が生じると考えられている。Knoxによっ
て開示されている方法を使用して実質的な量のジペルオキシド又はトリオキソラ
ン化合物を製造するためには、非常に稀薄な溶液を使用しかつ温度を-50℃に達
する温度にする必要があるであろう。
Johnsonの米国特許第2,356,062号明細書には、グリセリントリオレエートのオ
ゾニドを外部適用に使用することが開示されている;これは、これらの特定のト
リグリセリドは殺菌、殺カビ及び脱臭効果を有すると考えられていたことによる
ものである。Johnsonの方法によっても、Knoxの特許について述べたごとき理由
から、実質的な量のジペルオキシド又はトリオキソラン化合物は得られないと考
えられている。
DeVillezの米国特許第4,451,480号及び第4,591,602明細書には、オリーブ油、
ゴマ油、ジョジョバ油、ヒマシ油及び落花生油を包含するある種の脂肪酸のオゾ
ニドを抗菌剤として、特に座瘡(acne)の処置のための外部適用に使用することが
開示されている。これらの化合物の少なくとも幾つかは、皮膚に対する好ましく
ない刺激を生ずると考えられる。DeVillezの方法は35-65℃の温度、即ち、ジペ
ルオキシド及びトリオキソランが実質的な量で生成することを期待できない温度
で行われている。
従って、これまで確認し得た限りにおいて、従来の文献に記載されているオゾ
ン化化合物の医学的な使用においては、これまで、トリオキソラン及びジペルオ
キシドは実質的な量で利用されていない。更に、従来技術のオゾン化化合物はい
ずれも商業的には医学的用途に使用されていないと考えられる。商業的に使用さ
れていなかった
理由は、恐らく、許容され得ない副作用、毒性、貯蔵の困難性又は効果の最少性
にある。これらの種々の化合物は放置すると分解する。
免疫調節(immunomodulation)により種々の病気(medical condition)を処置す
る機会が提供される。例えば、感染症(infection)と新生物(neoplasm)の両者を
、これに対する免疫応答を増大させることにより処置し得る。ある種のアレルギ
ー反応と他の自動免疫応答(auto-immune responce)も免疫調節により処置し得る
。しかしながら、効果的な免疫調節治療法(immunomodulatory therapy)は僅かし
か知られておらず、そして既知の免疫調節治療法不適当な副作用を生ずる。
ある任意の時期において、全ての女性の1/3は腟がバクテリア又はカビに感染
しているとされている。現在利用し得る処置は時間のかかるものだけであり、使
用されている医薬は粘膜を刺激するものである。従って、これらの感染症を処置
するための比較的刺激性の少ない、安全でかつ効果的な組成物が求められている
。
生殖器ヘルペス病巣(lesion)とヘルペス単性病巣(simplexlesion)は処置に対
して特に抵抗性である。これらのウイルス感染症は大きな割合の人に苦痛を与え
ており、しかも現在においては、その治療法は知られていない。従って、ヘルペ
ス病巣を少なくとも一時的に低減させる方法で処置して、これらの病気に罹病し
ている患者の不快感を最少限にすることのできる組成物が必要とされている。
水痘(chicken pox)[帯状疱疹(Herpes zoster)]は一般的な子供の病気であり
、これに対するワクチンは現在知られていない。水痘の病巣によりかゆみ(itchi
ng)が生じ、引掻いた場合、永久的な傷(disfigurement)ができる。この病気には
主として子供が罹病しそして子供は引掻くことを我慢することができないので、
水痘病巣をかゆみのない状態で(anti-puritically)処置して、この病気により
生ずる傷を最小限にすることのできる組成物が必要とされている。
ミズムシ(athletes foot)及び爪糸状菌症(爪のカビの感染)のごとき外部カ
ビ感染症により人集団の大部分が苦痛を受けている。同様のカビの感染症により
動物集団の大部分が苦痛を受けている。外部カビ感染症に対する現在の処置は感
受性の個体に対しては刺激性であり、必ずしも効果を示さない。更に、爪糸状菌
症は処置が困難であり、その発生率はアクリル系及び他の接着性人口爪の出現に
より増大しているようである。従って、これらの感染症に対する、比較的剌激性
の少ないかつ効果的な処置が必要とされている。
いぼ(wart)及びホクロ(mole)のごとき無痛性新生物(indolentneoplasm)によっ
ても人集団及び動物集団の大部分が苦痛を受けている。現在の市販の医薬(over-
the-counter-medication)は必ずしも有効ではなく、ある場合に有効な治療法に
おいては新生物を凍結させるか又は焼取ることが行われているが、この方法は通
院することが必要である。従って、効果的なかつ患者又は罹病している動物の所
有者によって実施できる処置法が必要とされている。
ハチの刺し傷、虫のかみ傷及び乾癬、毒カシ(poison oak)又は毒西洋キズタ(p
oison ivy)によって引起こされる他の皮膚病の苦痛を軽減させるのにステロイド
系医薬が現在広く使用されている。これらの医薬はしばしば有効であるが、これ
らの医薬を長期間使用した場合には皮膚の薄層化(thinning)、不眠症、物理的変
形(physical deformation)、不適当な脂肪沈着、従属性(dependenccy)等を包含
する副作用を生じ得る。従って、これらの病気に対する他の有効な医薬が必要と
されている。
日焼けの症状は不快感が小さいものから、激しいやけど(burn)の範囲で変動し
得る。現在の処置はこの状態に伴う痛みを隠蔽するに過ぎない。現在、日光に暴
露される前に施した場合に日焼けを防止する化合物は入手し得る。しかしながら
、現在は、日光に暴露され
た後に日焼け症状を防止するか又は日焼けの激しさを軽減することのできる化合
物は入手できない。多くの人は適当な日光遮蔽剤を使用することなしに不注意に
或いは不可避的に日光に暴露している。従って、日光に暴露された後に、日焼け
を防止し得る化合物が必要とされている。
激しい日焼けの処置においては、日焼けした患者の脱水(dehydration)と感染
の防止が関係する。これらの問題を処理する、激しい日焼けの処置に現在使用さ
れている治療法は、しばしば、敏感な、日焼けした組織に対して刺激性である。
従って、刺激性がなく、しかも、脱水と感染に対して有効な日焼けの処置方法が
必要とされている。
青年(adolescent)及び若い成人には座瘡ができる。座瘡を処置するのに多数の
化合物が入手でき、その効果は種々である。座瘡を処置するのに現在知られてい
る最も効果的な組成物においては、部分的に座瘡の原因であるバクテリアを殺す
ために活性酸素が使用される。これらには過酸化ベンゾイルが包含される。しか
しながら、これらの組成物はしばしば刺激性であり、必ずしも最適な効果を得る
のに十分な酸素を供給せずかつ皮膚の乾燥を生じさせ得る。従って、座瘡につい
ての、乾燥を生じさせることのない、効果的なかつ刺激性のない処置法が必要と
されている。
ヘルペス、梅毒(syphilis)、淋病(gonorrhea)及びAIDSを包含する、性交によ
って伝播される病気(STDs)は今日の社会において特有のものである。コンドーム
はこれらの病気の伝播を防止するための最も有効な手段である。しかしながら、
コンドームも100%有効ではない。従って、STDsの伝播の防止におけるコンドー
ムの効果を増大させる製剤が要求されている。
局部的及び全身的なレーシュマニア症は世界の熱帯地方に広く蔓延している。
現在、少なくとも4,000,000人がこれらの病気の1つ
を惹起する寄生虫に感染していることが知られている。完全に効果的な治療法は
知られていない。従って、これらの病気に対する効果的な処置又は治療法が要求
されていることは明らかである。
発明の要約
本発明の要旨の一つによれば、口腔咽頭の病気(oral pharyngealmedical cond
ition)を包含する、哺乳動物の病気の医学的処置方法が提供される。この方法は
哺乳動物に、病気の処置において薬理学的に有効な量の非テルペン系不飽和炭化
水素のトリオキソオラン又はジペルオキシドを適用することを包含する。口腔咽
頭の病気については前記化合物は口腔咽頭に適用するのに適当な形で適用される
。この形はマウスウオッシュ(mouthwash)、のどスプレー(throat spray)、オラ
ールリンス(oral rinse)、トローチ及び薬剤含有チュウインガム(medicated che
wing gum)であることが好ましい。この方法で処置し得る病気の例としては咽頭
痛(sore throat)及びカンジダ症を包含する、バクテリア、ウイルス又はカビの
感染症のごとき、哺乳動物の口腔咽頭の感染症が挙げられる。好ましい活性成分
としては3−ヘキセン−1−オール及びエルカ酸が挙げられる。
本発明の別の要旨によれば、口腔咽頭の病気のごとき、哺乳動物の病気の処置
に使用するための医薬組成物が提供される。この組成物は、病気の処置において
薬理学的に有効な量の非テルペン系不飽和炭化水素のトリオキソラン又はジペル
オキシドと薬理学的に許容される非水性担体とを包含している。この態様におい
ては、組成物はのどスプレー、オラールリンス、トローチ及び薬剤含有チュウイ
ンガムからなる群から選ばれた形であることが好ましい。
本発明の別の要旨によれば、哺乳動物の全身的病気(systemicdisease)の医学
的処置方法が提供される。この方法は、哺乳動物の腸管(intestine)に病気の処
置において薬理学的に有効な量の不飽和炭化水素のトリオキソラン又はジペルオ
キシドを、上記活性成分
を腸管で吸収させるために哺乳動物の腸管内で放出させる形で投与することから
なる。処置される病気は腸管感染(intestinalinfection)を包含する、種々の全
身的病気の任意のものであり得る。使用される炭化水素はテルペン系又は非テル
ペン系であり得る。
上記したごとき全身的病気の処置方法の他に、本発明によれば、哺乳動物の全
身的病気の処置に使用される別の医薬組成物が提供される。これらの組成物は、
病気の処置において薬理学的に有効な量の不飽和炭化水素のトリオキソラン又は
ジペルオキシドと薬理学的に許容される非水性担体とを包含している。この形の
組成物により、腸管内でトリオキソオラン又はジペルオキシド誘導体が放出され
る。前記の処置方法との関係で述べたごとく、炭化水素誘導体はテルペン系又は
非テルペン系のものであり得る。腸管内で放出させるために、組成物は胃の酵素
による消化を防止するために適当に被覆した形であり得る。組成物の好ましい形
としてはゲルキャップ(gel cap)、カプセル又はロゼンジ(lozenge)が挙げられる
。
本発明の別の要旨によれば、哺乳動物の病気(medical condition)の医薬的処
置方法が提供される。この方法は哺乳動物に、病気の処置に薬理学的において有
効な量の非テルペン系不飽和炭化水素のトリオキソオラン又はジペルオキシドを
投与することからなる。投与方法は非径口投与、局部投与又は当業者に既知の他
の投与方法が有利であり得る。ある好ましい態様においては、非テルペン系不飽
和炭化水素は3−ヘキセン−1−オールであるか又はエルカ酸である。
本発明の別の要旨によれば、哺乳動物の免疫系の調節(modulate)方法、哺乳動
物のバクテリア感染症(bacterial infection)の処置方法、哺乳動物のカビ感染
症(fungul infection)の処置方法、哺乳動物の原生動物感染症(protozoal infec
tion)の処置方法、哺乳動物のウイルス感染症(viral infection)の処置方法及び
哺乳動物の組織の炎症(inflammation)の処置方法が提供される。これらの方法
の各々は、哺乳動物に、薬理学的に有効な量の非テルペン系不飽和炭化水素のト
リオキソラン又はジペルオキシドを、所望の処置を行うのに有効な量、投与する
ことからなる。これらの方法は、更に、前記トリオキソラン又はジペルオキシド
誘導体を加水分解して、前記哺乳動物に対して治療効果を有する治療性分子(th
erapeutic molecule)を生成させることを包含する。この治療性分子はカルボニ
ル双性イオン(carbonyl zwitterion)であることが好ましい。これらの方法を
使用して種々の病気を処置することができる。これらの方法を使用して、例えば
、HIV感染症、皮膚のカビによる病気、皮膚のバクテリアによる病気、腦痂疹(im
petigo)、爪囲炎(paronychia)、皮膚のウイルスによる病気[例えば、ヘルペス
感染症(herpes infection)、鼠径リンパ節腫(venereal wart)及び通常のいぼ(co
mmon wart)]、皮膚の病気[例えば、湿疹(eczema)、乾癬(psoriasis)、虫のか
み傷(insect bite)、サンゴ状火傷(coral burn)、クラゲ刺し傷(jellyfish stin
g)、毒カシ(poison oak)、脂漏性皮膚炎(seborrheic dermatitis)及び火傷(burn
)]、歯又は口腔の病気[例えば、咽頭炎(pharyngitis)、歯痛(tooth ache)、口
臭(halitosis)、潰瘍痛(canker sore)及び歯肉炎(gingivitis)]及び痔疾(hemor
rhoid)の全てを処置し得る。これらの方法で使用される非テルペン系不飽和炭化
水素は、エルカ酸又は3−ヘキセン−1−オールのごとき多数のかかる化合物の任
意のものであり得る。本発明には、更に、哺乳動物の病気の処置に使用される医
薬組成物も包含される。これらの組成物は、病気の処置に薬理学的に有効な量の
非テルペン系不飽和炭化水素のトリオキソラン又はジペルオキシドと薬理学的に
許容される非水性担体とを包含している。これらの組成物のある種の好ましい形
は、練り歯磨、マウスウオッシュ、腸又は腟用座薬、局部用製剤及び舌下投与又
は非径口投与に適当な形である。組成物はコンドームに適用するか又は石鹸と組
合せることが
できる。
本発明の別の要旨によれば、哺乳動物における交尾により伝播する感染症を防
止するか又は妊娠を防止する方法が提供される。この方法は生殖器に不飽和炭化
水素のトリオキソラン又はジペルオキシドを適用することからなる。
本発明の更に別の要旨によれば、哺乳動物に癌の処置において薬理学的に有効
な量の非テルペン系不飽和炭化水素のトリオキソラン又はジペルオキシドを投与
することからなる、癌を有する哺乳動物の癌の処置方法が提供される。この方法
のある好ましい方法によれば、この方法を使用して、肺の腺癌(adenocarcinoma)
、ホジキンス病(Hodgikins' Disease)及びリンパ腫(lymphoma)のごとき癌を有す
る哺乳動物を処置し得る。
本発明には、更に、哺乳動物のリウマチ性関節炎(rheumatoid arthritis)、骨
関節炎(osteo arthritis)及び炎症性多発関節炎(inflammatory polyarthritis)
の処置方法も包含される。この方法は前記の病気の一つを有する哺乳動物を同定
しついでこの哺乳動物に不飽和炭化水素のトリオキソラン又はジペルオキシドを
投与することからなる。
本発明の更に別の要旨によれば、哺乳動物の局部的(topical)又は全身的(syst
emic)レーシュマニア症(leishmaniasis)、慢性疲労症候群(chronic fatigue syn
drome)又は腫瘍紅斑(lupus erythematosus)の処置方法が提供される。これらの
方法は、上記した病気を有する哺乳動物を同定しついでこの哺乳動物に不飽和炭
化水素のトリオキソラン又はジペルオキシドを投与することからなる。本発明の
同様の要旨によれば、哺乳動物の皮膚の物理的な損傷の処置方法がて提供される
。この方法は組織に損傷を有する哺乳動物を同定しついで上記の組織に不飽和炭
化水素のトリオキソラン又はジペルオキシドを適用することからなる。この方法
は、前記組織に不
飽和炭化水素のトリオキソラン又はジペルオキシドを適用することにより、傷の
形成を防止する方法も包含される。
本発明の他の要旨は以下の詳細な説明から明らかになるであろう。合成方法
トリオキソラン及びジペルオキシド誘導体の製造においては、個々のテルペン
系又は非テルペン系の不飽和炭化水素出発原料が先ず取得され得る。多数の代表
的なテルペン系及び非テルペン系の不飽和炭化水素原料は文献に記載されている
し及び/又は商業的に入手し得る。
前記トリオキソラン又はジペルオキシド化合物の合成においては、前記の不飽
和炭化水素出発原料とオゾンとの間で密接な接触が提供される条件下で、例えば
薄膜法、スパージング法(sparging)、ガス同伴法などで該不飽和炭化水素出発原
料中にオゾンが通される。小規模では、例えば該不飽和炭化水素をベント式(ven
ted)容器に入れ、該物質にオゾンを反応が完結するまで液中分散させる(sparge)
。
トリオキソラン誘導体には一般的に不飽和炭化水素のオゾン化が推奨される。
しかしながら、ジペルオキシド誘導体は一般的に非対称化合物のうちのトランス
異性体から及び第3級炭素を含んだ不飽和の部位をもつ炭化水素化合物から製造
される。ジペルオキシド誘導体を生成する傾向がある化合物をオゾン化反応に使
用する場合には、ジペルオキシドを製造するためは、わずかに高い温度がかなり
良いものであり得る。従って、これらの化合物は35℃までの温度でオゾン化し得
る。トリオキソラン誘導体を生成する傾向がある化合物のオゾン化は、一般的に
該誘導体を実質的な(substantial)量で製造するためには25℃未満の温度で行わ
れるべきである。
トリオキソラン又はジペルオキシド誘導体を実質的な量で製造するためには溶
媒と温度の適切な組み合わせを使用することが重要である。実質的な量で製造す
るためには、一般的に、出発原料を極性
溶媒に溶解させることが重要である。出発原料は3M以下の濃度、さらに好まし
くは0.01M〜1Mの濃度で存在させるのが好ましい。また、前記のように、一般的
には35℃よりも低い温度が必要とされる。高級非極性溶媒、例えばヘキサン、ペ
ンタン又はクロロホルムと共に使用される温度は、−150℃〜+25℃の範囲内で
あるのがより好ましい。使用する温度は−78℃〜−30℃の範囲内であるのがなお
一層好ましい。
オゾンは商業的に入手し得るオゾン発生器を用いて発生させるのが好都合であ
り得る。かかる装置としては酸素ガスを通し得るコロナ放電管が挙げられる。例
えば、オゾン発生器の中を通る純粋な酸素ガスは、典型的には2%〜6%O3(
オゾン)と残部はO2として該装置から出る。次いで、このオゾン混合物は、好
ましい温度で前記テルペン系又は非テルペン系の不飽和炭化水素出発原料中に反
応が完結するまで液中分散させ得る。反応の完結は、オゾン用のオゾン化室を出
るガスを分析することによって判定し得る。(これは出口ガスを水性沃化カリウ
ム中に通して、沃素ガスが放出されるかどうかを測定することによって行い得る
。)別法として、前記反応は、反応を受けた出発原料の物質の重量増加を観察す
ることによって、物理的性質の変化(例えば、液体から柔らかいペーストへの変
化)を観察することによって、あるいは反応室の中に若干の過剰量のオゾンが通
された際に、出発原料を完全にオゾン化するのに必要とされるオゾンの量を単純
に算出し、反応を停止させることによって追跡し得る。
出発原料が標準的に固体例えばβ−カロチンである場合には、該原料はオゾン
化する前に適当な飽和非水性溶媒系に溶解され得る。ジペルオキシド化合物及び
トリオキソラン化合物の全てについて、トリオキソラン構造又はジペルオキシド
構造の早期(premature)加水分解を防止するために、反応混合物から及び最終的
な組成物から
水、低級アルコール、親核性ペルオキシド及びプロトン供与体を排除することが
望ましい。
下記の実施例は不飽和炭化水素類のトリオキソラン誘導体及びジペルオキシド
誘導体の代表的な製造方法を示すものである。
実施例1
トリオキソラン誘導体及ジペルオキシド誘導体の製造方法
オゾン発生器を用いてオゾンを調製した。オゾンを約10%含有する乾燥酸素を
10〜20l/時間の速度で不飽和炭化水素溶液に導入した。この溶液は、乾燥状態
の前記不飽和炭化水素のシス異性体と、溶媒としてオレフィンを含有していない
ブタン、ペンタン又はn-ヘキサンとからなる。オゾン化した後に、溶媒を回転
下に30℃で除去した。得られた残留物は真空蒸留するか又はシリカゲルを用いて
カラムクロマトグラフィーで精製した。一般構造式RCH=CHR'で示される種々の不
飽和炭化水素についての結果を第2表に示す。
また、本発明者らは構造式RCH=CHR'で示される化合物のほかに、
シクロオレフィン類を実施例1の一般的方法を使用してオゾン化した。かかるシ
クロオレフィン類は、n-ヘキサン中で3.0Mの濃度で−70℃でオゾン化されて約9
6%の収率を生じ得る。しかしながら、シクロオレフィン類のオゾン化の生成物
は、不活性溶媒例えばペンタン中でペルオキシド誘導体及び/又は不溶性のトリ
オキソラン重合体である傾向がある。可溶性トリオキソラン化合物は、シクロオ
レフィン類から活性溶媒例えば酢酸エチル又はアセトンを使用して形成させ得る
。活性溶媒は生成したトリオキソラン組成物の構成要素(enter into)となって可
溶性単量体を生成する。
また、非環式共役ジエン類及び別のポリ不飽和炭化水素類もオゾン化されて本
発明の範囲内の用途用の医薬活性化合物を生成し得る。例えば、非環式共役ジエ
ン類は、−78℃の温度でペンタンに0.8M濃度で溶解されて約74%の収率を生じ得
る。
オゾン化以外の方法もまた知られており、該方法はトリオキソラン誘導体又は
ジペルオキシド誘導体のいずれかの製造をもたらしえる。Murrayらの前記論文に
は、例えば、メチルエチルケトンジペルオキシド、ジエチルケトンジペルオキシ
ド、1,1-ジメチル-4,4-ジエチル-2,3,4,5-テトラオキサシクロヘキサン及び1,4,
4-トリメチル-1-エチル-2,3,5,6-テトラオキサシクロヘキサンの非オゾン化製造
法が記載されている。
実施例2
トリオキソラン及ジペルオキシド誘導体の製造条件の検討
DeVillezのオゾン化法(米国特許第4,451,480号)及び実施例1のオゾン化法
のそれぞれを、エルカ酸メチルエステル(非テルペン系不飽和炭化水素)の試料
及びジョジョバ油(テルペン系不飽和炭化水素)の試料に対して使用した。DeVi
llez法においては、純粋な(neat)複数個の試料を周囲温度(約20℃)でオゾン化
した。実施例1の方法においては、クロロホルム中の3%試料の複数個を−30℃
でオゾン化した。トリオキソラン類及びジペルオキシド類は非オゾン化化合物す
なわちオゾン化されていない化合物よりも大きな双極子モーメントをもつ。該化
合物はクロマトグラフィーにおいてその遅延因子(retardation factor)(Rf)を実
質的に増大させる。従って、オゾン化した後に4つの試料全部及び複数の非オゾ
ン化化合物の各々の試料を、DeVillezによって報告された方法に従って移動相と
してクロロホルムを使用し、固定相として高性能シリカゲルを使用してクロマト
グラフィー分離した。得られたプレートを同定のために沃素で染色した(charred
)。得られた結果を第3表に示す。
第3表
化合物 Rf
オゾン化されていないエルカ酸メチルエステル 0.9
オゾン化されたエルカ酸メチルエステル(DeVillez) 0.8, 0.9
オゾン化されたエルカ酸メチルエステル(実施例1) 0.4, 0.5
オゾン化されていないジョジョバ油 0.6
オゾン化されたジョジョバ油(DeVillez) 0.5, 0.6
オゾン化されたジョジョバ油(実施例1) 0.1, 0.2
第3表の結果から、DeVillezの方法はクロマトグラフィーに関して2個のスポ
ットの形成をもたらることが認められ、その一方のスポットはオゾン化されてい
ない化合物と同じRf値をもつものと思われ、その他方のスポットは僅かに遅い
。これらの2個のスポットは未反応化合物と、そのペルオキシド誘導体(R-C-O-0
-C-R')とを示すものと思われる。これに対して、実施例1の方法は2個のスポッ
トの形成をもたらし、その両方はオゾン化されていない化合物から大きく遅れて
いる。これらの2つの化合物は、トリオキソラン誘導体と、該化合物のジペルオ
キシド誘導体を示すものと思われる。医薬組成物
本発明の好ましい1つの態様においては、本発明の化合物は医薬製剤に製剤さ
れる。これらの医薬製剤は本発明のトリオキソラン誘導体化合物又はジペルオキ
シド誘導体化合物のうちの1種又はそれ以上を含有し、しかもさらに別の医薬活
性成分をも含有し得る。さらにまた、周知の医薬に許容し得る担体又は賦形剤を
、周知の方法を用いて本発明の化合物と組み合わせ得る。適当な希釈剤としては
、例えばポリエチレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル及び鉱油が挙げら
れる。上記医薬組成物は、局所使用に適した形態、例えば軟膏、ゲル又はクリー
ムであり得る。また、慣用の着色剤、香料及び防腐剤も含有し得る。
不飽和炭化水素類のトリオキソラン誘導体又はジペルオキシド誘導体のいくつ
かの優れた重量酸素割合(weight to oxygen ratio)は、上記誘導体を多数の病気
の治療に特に有効にする。高級不飽和炭化水素のトリオキソラン又はジペルオキ
シド誘導体は、酸素を多量に、該化合物の30重量%まで又はそれ以上に放出する
ことが可能である。トリオキソラン誘導体は、不飽和の部位各々に3個の酸素原
子を有し、一方、ジペルオキシド誘導体は4個の酸素原子を有する。さらにまた
、本発明で使用するトリオキソラン誘導体又はジペルオキシド誘導体は、従来技
術文献に記載された非関連のオゾン化された化合物の薬理学的性質とは種類又は
質において異なっている薬理学的性質であって、顕著で、予想外の薬理学的性質
をもつものと思われる。
本発明の化合物の有効投与量は従来技術文献に照らして予測される量よりもは
るかに少ないものであると思われ、該化合物が予想外に高い効果をもつことが示
唆される。本発明の化合物は、そのままで(neat)〔しかも、実際にそれらの幾つ
かは医薬的にすばらしいクリーム又は軟膏を形成する、例えばリナリル(linalyl
)トリオキソ
ラン又はジペルオキシド誘導体及びリナロールトリオキソラン又はジペルオキシ
ド誘導体〕使用し得るが、大部分の局所施用用の有効濃度は0.01重量%程度の低
いものであり得る。しかしながら、該組成物は活性成分を約0.5重量%又は1重
量%〜約10重量%又は20重量%含有するのがさらに好ましい。活性成分を約2%
又は3%含有する局所組成物が特に有効であるように思われる。
全身用途、例えば静脈内注射、筋肉内注射又は腹腔内注射並びに直腸座薬につ
いては、前記組成物は同様に活性成分を約0.01重量%〜約99重量%含有し得る。
好ましい全身用組成物は活性成分を約0.05重量%〜約20重量%含有する。
本発明はさらに、トリオキソラン誘導体又はジペルオキシド誘導体の別の適当
な薬理学的製剤例えば医療用灌水(medicinal douches)、耳飾り(eardrops)、点
眼液、咽喉噴霧液、舌下用製剤、局部的晴れ、痛み用の歯科用製剤、うがい液(m
outhwash)、練り歯磨、脇の下用防臭剤、消毒剤/殺菌剤、殺菌用石鹸及びコン
タクトレンズ用殺菌溶液を包含する。さらにまた、本発明のある種の態様におい
ては、トリオキソラン又はジペルオキシド誘導体はコンドームに適用される。
本発明の範囲内の別の医薬製剤は、前記のもののほかに、口腔咽頭用途、例え
ば口腔洗浄液、トローチ及び薬物添加チュウインガムに適した形態で活性成分を
含有する。
ある種の特に好ましい態様においては、前記医薬製剤は腸内吸収用の、腸内で
活性化合物の放出を提供する形態を取り得る。かかる腸内放出形態の例としては
、ロゼンジ(lozenge)、カプセル及びゲルカプセル(gel caps.)が挙げられる。こ
れらの製剤においては、舌性成分は、医薬技術における当業者に周知であるよう
な、腸内放出を提供するために、胃の酵素による消化を回避するために適切に被
覆された形態で提供されるのが好ましい。しかしながら、ある種
の態様においては、未被覆製剤例えば口腔用エリキシル剤(elixir)が所望の医薬
活性を提供するのに十分な活性成分を放出すると思われる。
従って、実施例3〜9は本発明の範囲内のある種の医薬組成物を例証するため
に記載するものである。これらの実施例はそれ自体本発明を限定することを意図
するものではない。
実施例3
腟炎治療用の腟用座薬
実施例2のオゾン化された酢酸リナリル 2%w/v
水添植物油ベース 残 部
実施例4
やけどに対して有効な局所用ゲル
ゲラニオールトリオキソラン 1%w/v
Carbomer 934 60%w/v
ジソジュウムエデテート(disodium editate) 1%w/v
グリセリン 10%w/v
分子量400のポリエチレングリコール 残 部
実施例5
歯肉炎に対して有効な練り歯磨
3-ヘキセン-1-オールのシス異性体の
トリオキソラン誘導体 1%w/v
慣用の練り歯磨製剤 残 部
実施例6
坐瘡に対して有効な局所用クリーム
リナロールトリオキソラン 2.5%w/v
プロピレングリコール 48 %w/v
プロピルパラベン 30 %w/v
ポリソルベート60 5 %w/v
グリセリルモノステアレート 10 %w/v
鉱油 残 部
実施例7
STDの感染に対して有効なコンドーム用潤滑剤
オゾン化されたエルカ酸 0.2g/ml
ステアリン酸グリセリル 10%w/v
変性食品澱粉 1%w/v
分子量800のポリエチレングリコール 2%w/v
軽質鉱油 残 部
実施例8
イボ(verruca)に対して有効な注射剤
実施例2のオゾン化された酢酸リナリル 25mg/ml
分子量200のポリエチレングリコール 残 部
実施例9
全身的病気に対して有効な腸管用座薬
3-ヘキセン-1-オールのシス異性体の
トリオキソラン誘導体 250mg/ml
プルラコール(高分子量の
ポリエチレングリコールの混合物) 2ml
実施例10
全身的病気に対して有効な腸管用座薬
ゲラニオールトリオキソラン 250mg
蜜臘を伴ったココアバター 1.5 ml
前記のトリオキソラン誘導体及びジペルオキシド誘導体の毒性は、局所用途及
び全身用途の両方において驚くほど低いものであると思われる。本発明者らの予
備データによれば、代表的化合物、すなわちリナロールトリオキソランのLD50は
マウスで約3,000mg/kgである
ことが示唆される。
本発明者らは、本発明のテルペン系及び非テルペン系の不飽和炭化水素のトリ
オキソラン誘導体及びジペルオキシド誘導体は、適当な医薬組成物で局所施用し
た場合に、細菌感染、ウイルス感染、原生動物感染及び真菌感染の治療及び種々
の炎症状態の治療に有効であることを認めた。
この点で、本発明者らは、本発明のトリオキソラン誘導体又はジペルオキシド
誘導体の局所投与は、活性成分を約0.1重量%〜約50重量%、好ましくは約0.5重
量%〜約20重量%含有する適当な組成物の形態で、初期発疹(incipient erusion
)に対して施用した場合には、単純ヘルペス、性器ヘルペス及び水ぼうそう病変(
lesions)の程度と苦しさ(severity)を最小限にするのに有効であることを認めた
。
また、本発明者らは、活性成分を約0.05重量%〜約90重量%、好ましくは約0.
1重量%〜約20重量%含有する適当な腟用担体(例えば、座薬、クリーム、ゲル
又は泡沫)で含有する組成物で、本発明のトリオキソラン誘導体又はジペルオキ
シド誘導体を腟内投与すると、粘膜組織に対して実質的に炎症を起こさせること
がなく、しかも細菌による腟感染症及真菌による腟感染症の両方を治療するのに
有効であることを認めた。
さらにまた、本発明者らは、活性成分を約0.01重量%〜約99重量%又は100重
量%、好ましくは約0.1重量%〜約25重量%含有する適当な組成物で、本発明の
トリオキソラン誘導体及びジペルオキシド誘導体を局所投与すると、皮膚及び爪
の真菌感染症、例えば運動選手の足及び爪甲糸状菌症を治療するのに有効である
ことを認めた。同様の組成物は、無痛性新生物(neoplasm)例えばいぼ(wart)及び
ほくろに対して縮小化効果をもつと思われる。
活性成分を約0.01重量%〜約50重量%、好ましくは約0.1重量%
〜約20重量%含有する組成物は、皮膚を冒した坐瘡(acne)に炎症を起こさせるこ
とがなく、しかも冒された領域に局所的に使用した場合には強い抗にきび効果(a
nti-comedonal effect)示した。これらの組成物は、トリオキソラン又はジペル
オキシド誘導体が加水分解を受けると、発生期の酸素を放出して嫌気性バクテリ
ア例えばP.acneを殺すものと思われる。さらにまた、本出願人は作用の具体的
な理論又は様式(mode)に限定されることを意図するものではないが、さらに酸素
の放出によってトリオキソラン又はジペルオキシド誘導体によって生成された具
体的なオゾン分解断片(例えば、ケトン類又はカルボン酸類)は補足的な薬理効
果をもつものと思われる。
さらに、本発明者らのデータによれば、本発明のトリオキソラン又はジペルオ
キシド誘導体の局所施用は、太陽光線の紫外線成分に著しく暴露された後には、
日焼けの苦しさ(severity)を改善すること及び治癒プロセスを促進することに有
効であることが示される。本発明の組成物を哺乳動物の第1度及び第2度の熱傷
に対して施用すると、同様に痛み、炎症及び水ぶくれ(blistering)の軽減並びに
治癒プロセスの速度の増大が認められる。
例証した本発明の組成物の生体外(in vitro)の抗ウイルス性、抗真菌性及び抗
菌性並びにトリオキソラン誘導体又はジペルオキシド誘導体の比較的炎症を起こ
さない性質に基づいて、本発明の化合物を局所投与するとことにより性行為感染
症(STD)の感染の可能性を減少させ得るものと思われる。従って、例えば、前記
の腟用組成物は単独で又はコンドームと一緒に使用して感染の危険を減少させ得
る。この点で、前記の活性成分は既知の種類の潤滑組成物に都合よく配合し得る
。
さらにまた、本発明者らは本発明のトリオキソラン誘導体及びジペルオキシド
誘導体は有効な殺精子剤であることを認めた。従って、
その腟内施用は妊娠の機会を最小限にし、しかもSTDの感染を防止するのに役立
ち得る。
また、本発明者らは、本発明のトリオキソラン又はジペルオキシド誘導体を局
所用製剤で局所投与すると、ほとんどの皮膚病例えば乾癬並びに蜂の刺し傷、昆
虫の刺し傷及び噛み傷、有毒植物例えば有毒樫、有毒セイヨウキヅタ並びにとげ
のあるイラクサによって引き起こされる皮膚病、おむつかぶれ、じんましん、並
びに抗ヒスタミン又はステロイド薬物(medication)が一般に処方されている別の
反応の治療において顕著な効果を示すことを認めた。ステロイド薬物の代わりに
本発明のトリオキソラン誘導体又はジペルオキシド誘導体を投与すると、同様に
有効である場合が多いが、副作用が相当に軽減され、トリオキソラン誘導体又は
ジペルオキシド誘導体を用いた療法をより望ましい治療法にする。しかしながら
、本発明は幾つかの場合には併用療法を意図する。従って、本発明の組成物は、
有効量のトリオキソラン誘導体又はジペルオキシド誘導体のほかに、有効量の抗
ヒスタミン剤又はコルチコステロイドをさらに含有し得る。これらの薬物は周知
であり、種々の抗ヒスタミン剤又はコルチコステロイドについて有効投与量が確
立されている。トリオキソラン誘導体又はジペルオキシド誘導体と一緒に使用し
た場合には、これらの活性成分の有効局所濃度は一般的に、これらが現在単独で
使用されている有効範囲の下方限界近くにあるであろう。
また、本発明は本明細書に記載の組成物の全身的又は局所的注射方法、例えば
脈管内注射、筋肉内注射、皮下注射、腹腔注射及び他の注射法を包含する。かか
る注射はウイルス感染症、真菌感染症及び細菌感染症の治療に使用し得る。本発
明者らはまた本発明のトリオキソラン誘導体又はジペルオキシド誘導体の腫瘍へ
の局所注射が抗新生物効果をもつことも認めた。
本発明の別の態様によれば、例えばウイルス感染、真菌感染及び
細菌感染よって引き起こされる咽喉痛及び/又は口腔感染症、例えばカンジダ症
用の口腔咽頭治療方法が提供される。これらの方法においては、活性成分は感染
した口腔咽頭領域に対して、通常は活性成分を含有する適当な医薬製剤、例えば
うがい液(mouthwash)、咽喉噴霧液、口腔洗浄液、トローチ又は薬物添加チュウ
インガムの施用によって局所的に施用される。
胃腸管路の感染症及び一般的な全身感染症の治療用の特に好ましい治療方法は
、腸内での活性化合物の放出を提供する腸内吸収用の医薬製剤の施用によるもの
である。前記のように、これらの製剤は腸内放出を提供する胃の酵素による消化
を回避するために適当に被覆されているのが好ましい。腸内吸収による全身的治
療については、活性成分の量は1日当たり0.2mg/kg体重〜400mg/kg体重、さらに
好ましくは2mg/kg体重〜200mg/kg体重で投与されるのが好ましい。1日当たり投
与量は1回投与で与え得るしあるいは2回以上の同量又は異なる投与量に分けて
与え得る。
実施例11
日焼けの治療の評価試験
太陽光線に暴露した後の2時間目に、酷く日焼けした患者の皮膚表面のごく
一部分に、実施例4の組成物を局所施用した。処置領域は、わずかに赤みがかり
を示したが皮膚むけ又は水膨れの発生はなかった。僅かな不快さが認められるの
みであった。これに対して、未処置領域は赤くなり、水膨れを生じ、苦痛を与え
るようになった。
実施例12
水ぼうそうの治療の評価試験
水ぼうそうにかかった子供の病変の一部に実施例6の組成物を局所施用した。
1時間以内に、処置した病変は顕著に減少し、引っ掻きによる自己外傷はほとん
ど又は全くなかった。未処置領域は大きさの変化がなく、引っ掻きによる外傷の
結果を示した。
実施例13
腫れ上がった関節の治療の評価試験
腫れ上がった膝の苦痛を訴えるスポーツ医学クリニックの患者を3つの群:す
なわちA群、B群及びC群に分けた。A群の患者には腫れ上がった膝に実施例8
の組成物の注射を受けさせた。B群の患者には偽薬(placebo)すなわち活性成
分を含有していない組成物の注射を受けさせた。C群の患者にはコルチコステロ
イド薬物の注射を受けさせた。12時間以内に、A群の患者の膝の腫れ上がりは顕
著に減少した。B群の患者の膝には変化は報告されなかった。C群の患者の膝の
腫れ上がりも減少したが、かなりの割合の患者が炎症反応を受けていた。
実施例14
腟の真菌感染症の治療の評価試験
腟の酵母菌感染症にかかっている1群の患者に対して実施例3の座薬を腟内投
与した。かかる患者の第2の群に実施例3の活性成分を含有していない座薬を受
け入れさせた。第3の群には薬剤クロトリマゾール(clotorimazole)(腟の真菌
感染症の治療に一般的に使用される)を含有する座薬を受け入れさせた。24時間
毎に上記方法を反復した。2日以内に、第1の群の患者には腟の赤らみがなくな
り、7日以内に酵母菌培養物は陰性の結果を生じた。第2の群の患者はかゆみ及
び真菌感染症についての別の一般的な苦痛を訴え続けた。酵母菌検定は陽性であ
った。第3の群の患者については、酵母菌検定は陰性であったが、これらの患者
の多数が炎症について苦痛を訴え、しかもこれらの患者には腟の顕著な赤らみが
存在していた。
実施例15
リナロール トリオキソランの試験管内抗微生物
効力試験
無菌綿棒を用いて、大腸菌(E.coli)の培養物を無菌塩水と共に採取した。
懸濁物中に存在するコロニー形成単位(CFUs)の1ml当りの個数は標準のプレー
トカウント法により測定した。大体1.0×107CFUs/0.1mlを有するE.coliの使用
懸濁物を次いで調製した。リナロールの1.0%トリオキソラン又はジペルオキシ
ド誘導体を含有する供試軟膏の各々1mlの4回分を取出し、別個の無菌ねじ蓋付
き管に配置した。各々の試料に0.1mlのE.coliの使用懸濁物を接種して大体1×
106CFUs/1mlの生成物の最終濃度を得た。試料を全部で28日間20〜25℃で貯蔵し
た。試料を7日間の間隔で選定して生存CFUsの個数を測定した。同じ間隔で試料
を選定しながら未接種軟膏の対照をも貯蔵した。7日の時点で及び全ての次後の
試料選定で10個以下のCFUsが存在していた。対照試料では何れもCFUsは存在しな
かった。
実施例16
リナロールのトリオキソラン又はジペルオキシド
誘導体の皮膚一次炎症試験
健全なニュージーランド ホワイトラビット6匹を皮膚の炎症について試験し
た。トリオキソラン又はジペルオキシド誘導体試料を施用する大体4時間前に、
ラビットの背中を刈り込んで柔毛を除去した。各々のラビットは1個所の試験部
位では無菌針で表皮の擦過傷を受け然るに別の試験部位での皮膚は完全なままで
あった。ミリスチン酸イソプロピルに溶かしたリナロール トリオキソラン又は
ジペルオキシド誘導体の1.0%溶液を調製した。大体1平方インチの皮膚の領域
に対して2重のガーゼ層下に導入することにより供試溶液の0.5ml分を各々の試
験部位に施用した。貼付部分を非反応性テープで被覆し、供試部位全体を包帯で
包装した。24時間後に、包帯、テープ及び供試物質を除去し、皮膚の状態を評価
した。供試物質の残渣は70%イソプロピルアルコールで除去した。評価は施用し
てから72時間後にも行なった。皮膚の反応は米国連邦の危険物取締り法令(FHSA
)に記載した方法により記録した。供試溶液は1.0の一次炎症指数(PII)を有し
た。FHSAの法規によると、5.00以下のPIIを有する物質は一般に皮膚に対する一
次炎症剤ではないと考えられる。
実施例17
リナロール トリオキソランのラビットにおける
眼の炎症試験
健全なニュージーランド ホワイトラビット6匹を研究用に選定した。2%の
フルオレスセイン染液を投与した後に紫外線下に及びペンライトで検査すること
によりラビットの眼を、研究前に炎症がないかを判断
した。リナロールのトリオキソラン又はジペルオキシド誘導体の1%溶液をミリ
スチン酸イソプロピル中に調製した。この供試溶液の0.1ml分を各々のラビット
の片眼の下方結膜のうに滴注した。まぶたを1秒間閉じ続けた。各々のラビット
の反対側の眼には対照として0.1mlのミリスチン酸イソプロピルを投与した。両
眼を検査し、眼の反応は“Illustrated Guide for Grading Eye Irritation by
Hazardous Substances”(付録1)により記録した。投与してから24、48及び72
時間後に、両眼をペンライトで検査し、角膜のフルオレスセイン染色に続いての
紫外線で再検査した。この試験の条件下では、供試溶液はラビットの眼の組織に
は非炎症性であると考えられる。
テンペン系及び非テルペン系不飽和炭化水素の誘
導体についての研究
1.序論
テルペンのトリオキソラン誘導体でありゲラニオール トリオキソランを、試
験管内で或る目標生物に対してその直接的な生物活性に基づいて評価した。生体
内の効力検定を同様に行なって生成物の毒性、安全性及び或る場合には効力を評
価した。研究は実施例1の合成記録書を用いて製造された生成物を用いて行ない
しかも国際的な指針及び仕様により、特に米国の食品、薬品周、米国薬局方、英
国薬局方、ケニヤの生産者協会及びケニヤの薬剤、毒物局によって発行された文
書
により厳密に合成した生成物を用いて行なった。予備プロセスはthe Code of Go
od Manutacturing Practices(GMP)に対する全ての要件に合致した。更には、
非テルペンであるシス 3-ヘキセン-1-オルのトリオキソラン誘導体を合成し且
つその比較活性を評価する目的のためゲラニオール トリオキソランと対比した
。
ゲラニオール トリオキソランとシス 3-ヘキセン-1-オールのトリオキソラ
ン誘導体との両方共に無色の液体である。ゲラニオール トリオキソランはシス
3-ヘキセン-1-オールのトリオキソラン誘導体よりも粘稠であって安定性がより
低い。
2.試験管内の実験研究
2.1 試験管内でのドノヴァンレーシュマニア(Leishmaniadonovani)及びレー シュマニア メジャー プロマスチゴート(major promastigotes)におけるゲ ラニオール トリオキソラン及びシス 3-ヘキセン-1-オールのトリオキソラン 誘導体の作用
2.1.1 ゲラニオール トリオキソーン
この物質を先ずPEG 600中で希釈して250mg/mlの濃度にさせ、更に培地中で希
釈して62.5mg/mlの使用濃度を与える。逓減希釈によって、該化合物は18時間以
内に1:2048の希釈率までに全てのプロマスチゴートの殺滅を示した。同じ力価
プレートでの対照では生存した。
2.1.2 シス3-ヘキセン-1-オールのトリオキソラン 誘導体
この化合物を先ずPEG 600中に400mg/mlまで希釈し、更に培地中に逓減希釈し
た。該化合物は1:28〜29の希釈率まで18時間以内に全てのプロマスチゴートの
殺滅を生起した。
2.2 骨髄腫細胞系及び精子におけるゲラニオール トリオキソーン及びシス 3 -ヘキセン-1-オールのトリオキソラン誘導体の作用
ゲラニオール トリオキソラン及びシス 3-ヘキセン-1-オールのトリオキソ
ラン誘導体の両方に対する骨髄腫細胞系(×63balb/c line)及びヒトの精子の
感受性を評価した。使用濃度の1:2×1010以下の希釈率で骨髄腫細胞系は48時
間以内に殺滅され、ヒトの精子は1分以内に殺滅された。
2.3 微生物におけるゲラニオール トリオキソラン及びシス 3-ヘキセン-1-オ ールのトリオキソラン誘導体の作用
本発明者の社会で病害をもたらす微生物についてゲラニオール トリオキソラ
ンとシス 3-ヘキセン-1-オールのトリオキソラン誘導体との両方の直接的な生
物活性を試験することが決定された。即ち、次の微生物をこれらの化合物に対す
るそれらの感受性について試験した;
2.3.1 下痢疾病
i)サルモネラ菌属
ii)赤痢菌属
iii)腸病原性/腸毒性大腸菌
2.3.2 尿路疾病:細菌とカビ菌との両方
i)淋菌(PPNG及び非PPNG)
ii)鵞口瘡カンジダ
iii)プソイドモナス菌属
2.3.3 細菌で生起される呼吸管の疾病
i)クレブシエラ菌属
ii)黄色ブドウ球菌
iii)表皮ブドウ球菌
2.3.4 細菌によって生起される他の疾病
i)変形菌属
ii)アクロモバクター菌属
iii)大腸菌
2.3.5 カビ菌による疾病
i)普通の皮膚系状菌
a)黄色白癬菌
b)犬白癬菌
ii)全身系のカビ菌
a)酵母菌属
b)カンジダ菌属
iii)他の一般的なカビ菌
a)フィアロフォラ ベルコース
b)ペニシリウム菌属
2.4 結 果
普通の病原菌についての薬剤の最低阻止濃度(MIC)並びに最低細菌濃度(MBC
)を測定した。標準の薬剤及び或る場合には参考染液を対照として且つ比較の目
的で使用した。所見の結果を表4〜6に要約する。
ゲラニオール トリオキソランとシス 3-ヘキセン-1-オールのトリオキソラ
ン誘導体との両方共、普通に出会う微生物(試験管内)に対して慣用の薬剤より
も更に活性であることが表4〜6に要約した結果から見られる。即ち、該誘導体
は普通の疾病を生起する次の微生物に対して有効であると見出された;
a)下痢(サルモネラ菌属、赤痢菌属、腸病原性/
腸毒性大腸菌)
b)尿路疾病(淋菌、カンジダ菌属)
c)呼吸管の疾病(クレブシエラ菌属、ブドウ球菌
属)
d)カビ菌による疾病(白癬菌属、酵母菌属、フィ
アロフォラ菌属、ペニシリウム菌属)。
希釈剤のプロピレン グリコールは細菌又はカビ菌の何れもの生長を阻止しな
かった。水はゲラニオールトリオキソランとシス 3-ヘキセン-1-オールのトリ
オキソラン誘導体との両方の直接的な生体活性を有意な程に減少させる。比較す
ると、100%プロピレングリコールは水よりも良好な希釈剤である。
シス 3-ヘキセン-1-オールのトリオキソラン誘導体はゲラニオール トリオ
キソランよりも更に活性であると思われ、しかもこれらの薬剤の直接的な生体活
性な肉汁法におけるよりも寒天法においてより良好であった。然しながら、微生
物における両方の化合物の活性は細菌における慣用の抗生物質の耐性及び感度に
対して関連を有しない。グラム陽性菌及びグラム陰性菌を含めて試験した微生物
の全てが2つの生成物に対して均一に感作性であった。
3.生体内の実験研究
3.1 ゲラニオール トリオキソラン及びシス 3-ヘキセン-1-オールのトリオキ ソラン誘導体に対するマイスの可耐性
20gbalb/cマイスは種々の濃度のゲラニオール トリオキソランとシス 3-ヘ
キセン-1-オールのトリオキソラン誘導体との両方を腹腔内(IP)により受容し
た。最低の致死投与量は3g/kgで見出された。LD50についての研究は生成物が高
度に耐容性であることを示した。
3.2 ゲラニオール トリオキソランとシス 3-ヘキセン-1-オールのトリオキソ ラン誘導体との免疫調節活性
レーシュマニア(Leishmania)の疾病について前述の実験で使用された一群の
15Balb/cマイスを更に研究して、これらのマイスの免疫学的状態におけるゲラニ
オール トリオキソランとシス 3-ヘキセン-1-オールのトリオキソラン誘導体
との両方の活性を評価した。
骨髄を検査すると、何らの薬剤も投与しないマイスと比較してゲラニオール
トリオキソラン又はシス3-ヘキセン-1-オールのトリオキソラン誘導体の何れか
を投与したマイスではリンパ球の新たなクローンが増大していることが示された
。この所見は、ゲラニオール トリオキソランとシス 3-ヘキセン-1-オールの
トリオキソラン誘導体との両方が、免疫抑制に関連する病害の処置に重大な情況
を有する特性である、免疫調節剤(イムノモジュレーター)であることを強力に
示唆している。
3.3 レーシュマニア メジヤー(Leishmania major) に感染したマイスの処置
レーシュマニア メジャーに実験的に感染したbalb/cマイスにおいて皮膚のレ
ーシュマニア症の処置でゲラニオール トリオキソラン及びシス 3-ヘキセン-1
-オールのトリオキソラン誘導体の効力を評価した。該化合物を腹腔内で(IP)
及び局所的に使用し、且つ更に標準の抗レーシニマニア療法(ペントスタム、ア
ンチモン基剤の製剤)及び対照と対比した。
局所製剤は4mg/mlの化合物を含有する軟膏として処方し且つ1匹のマウス当
り病変当り0.1mlを用い、然るにIP製剤はマウス当り0.5ml中に0.4mgの化合物を
含有した。処置群当り15匹のマイスを使用した。
所見の要約を表7に示す。周所製剤で処置したマイスは他の処置群の何れかに
おけるマイスよりも良く応答したことは明らかである。
3.4 ドノウ゛ァン レーシュマニア(Leishmania donova)で感染したマイスの 処置
Balb/cマイスをカラアザールの原因剤であるドノヴアン レーシュマニアで実
験的に感染させた。病害の
感染は3〜4週で内臓を犯した。感染したマイスを各々15匹のマイスの4群に分
割した。1群はゲラニオール トリオキソランで処置し、別の群は、シス 3-ヘ
キセン-1-オールのトリオキソラン誘導体で処置し、第3群はペントスタムで処
置した。第4群に対照群として保持された。各々の医薬は20mg/kg体重で使用し
且つ5時間毎日0.5mlの腹腔内投与量で投与した。マイスの平均体重は各々20gで
あった。
マイスを処置してから5日後に且つその後毎週検査した。処置に対する応答の
指示法は、解剖したマイス並びに一般に健全な生体における寄生虫についての内
臓器官の検査であった。
この研究の予備結果が示す所によればゲラニオールトリオキソランとシス 3-
ヘキセン-1-オールのトリオキソラン誘導体との両方は脾臓の如き内臓から寄生
虫を一掃するのにペントスタムよりも良好に機能する。
4.ヒトにおける臨床研究
4.1 カンジジアシス(Candidiasis)における臨床研究
HIV感染したヒトにおいて普通の好時機感染と考えられる疾病も含めて普通の
疾病の処置にゲラニオール トリオキソラン及びシス 3-ヘキセン-1-オールの
トリオキソラン誘導体の効力を評価するために本発明者は臨床研究を開始した。
本研究で募集した患者は該研究に参加することを志願した患者である。
カンジジアシスはHIV感染したヒトに共通の特有な好時機疾患である。腔のカ
ンジジアシスは実質上全ての女性が1回又は別の時にかかるきわめて普通の疾病
である。即ち、本発明者は次の如くこのカビ菌による疾病について臨床研究を行
なった。
4.1.1 口腔カンジジアシスにかかった10人の患者に、25mg/mlの生成物を含有す
る液剤25mlを口腔咽頭領域に1日3回施用した。疾病は5日以内に一掃され、追
加の処置を必要としなかった。
4.1.2 腔のカンジダ症にかかっている5名の女性志願者と、腔のカンジダ症と
グラム陽性球菌の疾病との両方にかかっている別に3名の女性志願者とに腔の挿
入剤を処方し且つ1日2回使用した。口腔カンジダ症における如く、これらの疾
病は5日以内に一掃され、次段の処置を必要としなかった。
4.2 全身疾病における臨床研究
4.2.1 AIDS:毎日大体200ミリグラムの投薬方式で2〜4年の期間に亘っ
て最低で10名の患者を追跡研究した。全ての患者は疾患の臨床的パラメーターと
実験室的パラメーターとの両方の向上及び安定化を示した。
4.2.2 ガン腫:2〜4年の期間に亘って4名の患者を治療した。これらの患者
は1名が肺の腺ガンであり、1名がホジキン病であり、2名がリンパ腫であった
。患者は毎日200ミリグラムの投薬基準で処置された。全ての患者において、処
置期間中に、腫瘍の退行又は
腫瘍の生長停止並びに臨床パラメーターの向上があった。治療を強制的に中止す
ると1名の患者は腫瘍生長の再開が証明された。他の患者では沈静化されたまま
である。
4.2.3 リウマチ様関節炎:持続的に活性はRAの患者4名に毎200ミリグラムの投
与量で処置した。全ての患者は2週間以内に症状沈静の徴候を示し、全ての患者
において活性な疾病の全ての徴候は6〜8週以内に一掃された。患者は2年間は
疾病の進行徴候を見せずに無症候性のままであった。
4.2.4 骨関節炎及び炎症性の多発関節炎:
慢性疲労症候群に関連する関節炎及び変性、乾癬性関節炎並びに非特異的多発
関節炎を有する患者を含めて10名の患者を研究した。これらの患者を毎日200ミ
リグラムの投薬量で処置した。全ての患者は8週以内に全ての症候の実質的な又
は完全な消失を示した。全ての患者は症状なしに且つ疾病の進行徴候なしに維持
された。
4.2.5 慢性疲労症候群:4名の患者を毎日200ミリグラムの投与量で処置した。
全ての患者は著しい向上を示した。全ての症候は3ケ月以内に完全に又は実質的
に一掃された。
4.2.6 紅斑性狼瘡:1名の患者は大腸炎及び関節炎をも併発している。関節炎
、大腸炎を完全に解消し且つANA濃度を1:1880から1:30にまで減少させなが
ら、
活性な病気の全ての徴候及び症状は90日以内に一掃された。
4.3 局所疾病における臨床研究
4.3.1 皮膚のカビ菌による疾病:他形式の治療には非応答性の種々の形式の
皮膚カビ菌に対して30名の患者を処置した。全ての患者は4〜6週以内に皮膚病
変の完全な一掃を示した。病変は毎日1回又は2回プロピレングリコール中の活
性成分の3%溶液で処置した。
4.3.2 皮膚の細菌性疾病:
i)座瘡:種々の程度の苛酷さの尋常性慢性座瘡の一連の患者40名に、3%溶
液を毎日の基準で病変に施用した。全ての患者は病変の有意な又は顕著な一掃を
示した。新たな病変は形成されるのがより少なく、次後の施用で迅速に一掃され
た。
ii)膿痂疹:3名の患者は毎日2回3%溶液を施用すると1週間以内に完全な
一掃を示した。
iii)爪囲炎:4名の患者。3%溶液の施用を開始してから48時間以内に病変
は全ての場合に迅速に且つ完全に一掃された。
iv)創傷治癒及び瘢痕の防止:種々の外科的及び非外科的創傷を毎日の基準で
3%溶液で処置した。こうして処置した創傷は、二次感染の徴候なしに且つ瘢痕
の形成を認めうる程に減少させなから、より迅速に治癒することが示された。ケ
ロイドを形成し易い患者はこの処置剤を用いるとケロイド形成の徴候は見られな
かった。
4.3.3 皮膚のウイルスによる疾病:
i)ヘルペス:単純ヘルペス、陰部ヘルペス、帯状ヘルペス、眼のヘルペスを
有する40名の患者をプロピレングリコール中の3%活性成分の外用溶液で処置し
、眼のヘルペスの場合には溶解化剤として少量のプロピレングリコールと共に塩
水中の新鮮な1/2%溶液で処置した。全ての陰部及び単純ヘルペスの場合は、
全ての病変は初期に処置した時には、ウイルス発現の迅速な停止と大部分の場合
に病変の迅速な一掃を示し、ガマ肌形成の徴候は有さなかった。大部分の病変は
48時間以内に完全に一掃された。処置する前に有意な寸法にまで進行した病変は
完全な解消のためには3〜4日間を要した。帯状ヘルペス(5つの症例)では全
ての場合に大体2〜6週間で完全に一掃されながら、病変の緩慢な進行性解消を
示した。大部分の病変は6ヶ月に亘って存在していた。眼のヘルペス(2つの症
例)では両方の場合共病変は1方では48時間以内に解消しながら、他方では4日
以内に解消しながら、早い一掃を明確に示した。
ii)ソ径リンパ節腫:4名の患者。3%の活性成分の溶液を毎日3回施用する
と2〜3週間で全ての病変の完全な一掃を示した。
iii)尋常性イボ(多発):26名の患者。10%溶液を毎日2回施用した。全て
の患者は処置で解消を示すが、
明らかにイボの形態に応じて一掃を完了するのに時間の顕著な差異があった。若
干のイボは2週間以内に一掃されたが、大部分のイボは数ヶ月を要し、少数のイ
ボは完全な一掃に1年以上を要した。
4.3.4 皮膚の疾病:
i)湿疹:14名の患者。種々の形式の湿疹又は神経皮膚炎を処置し、大体1/
2が6週間以内に病変の完全な解消を示した。大体30%は有意な向上を示し、
残りはわずかのみの向上を示すか又は向上を示さなかった。
ii)乾瘢:13名の患者。種々の程度の苛酷さを有する一群の患者を処置した。
より程度の疾例では3%溶液の局所施用で処置し2症例以外の全ての症例では病
変の顕著な又は完全な解消が見られた。重度の汎用皮膚炎の3症例では毎日1回
又は2回3%溶液の局所施用と毎週3回200mgの全身投与との組合せで処置した
。全ての症例では6〜8週間以内に病変の完全な一掃を示した。
iii)昆虫の咬み傷:全部で20名を越える患者で、蚊、ハチ、黄蜂、ハエ、
ノミの咬み傷を含めて昆虫咬み傷の多数の症例を処置した。全ての病変は膨化及
び紅斑を迅速に減少させながら苦痛、かゆみの殆んど即座の解放を示した。全て
の病変は24〜48時間以内に完全に一掃した。
iv)さんご紅色の火傷/クラゲの刺傷:18名の患者。
24時間以内に完全に一掃するかは残留紅斑を小さく残しながら、全ての苦痛、膨
化及び紅斑は迅速に軽減された。
v)毒カシ(oak):3名の患者。3%溶液を施用するとかゆみの顕著で即座
の解放を与え、2つの症例では48時間以内に病変の完全な一掃を示した。
vi)脂漏性皮膚炎:10名の患者。頭皮及び眉毛を含めて病変を毎日1回の施用
で処置すると10症例のうち9症例で病変の顕著な応答及び減少を示した。
vii)火傷:第一度及び第二度の火傷の患者19名。大部分の患者は苦痛の即座
で実質的又は完全な解放を示した。大部分の患者はブリアエ(buliae)の発現徴
候を示し、全ての患者で膨化及び紅斑の迅速で実質的な減少が見られた。第三度
の火傷は処置しなかった。
4.4 関節炎の臨床研究
4.4.1 関節炎:比較的、重度の小関節の関節炎の5名の患者を一日に2回、
6%の局部適用することにより処置した。2週間後には、全ての患者の疚痛が顕
著に又は完全に軽減された。
4.5 歯又は口腔の疾病の臨床研究
4.5.1 咽頭炎: 種々の程度の扁桃腺又は咽頭炎の17名の患者をグリセリン
中の3%の活性成分を一日に4回、局部適用することにより処置した。最初の24
時間で全ての患者の疚痛が中程度の速さ又は迅速に軽減され、膨れが減少した。
48〜72時間以内に全ての患者が完全に治癒された。
4.5.2 歯痛: 歯痛による種々の程度の疚痛を有する7名の患者の周囲ゴム
(surrounding gum)に3%局部投与溶液を適用することにより、疚痛が直ちに
かつ実質的に軽減された。
4.5.3 歯肉炎: グリセリン中の3%のゲラニオール トリオキソラン溶液
を3〜4滴、練歯磨と共に使用することにより、3月以内に3名の患者の歯肉炎
が顕著に又は完全に治癒された。
4.6 バクテリア発育過度(bacterial overgrowth)の口腔内発現
についての臨床研究
4.6.1 口臭 歯を磨く際に、グリセリン中の3%溶液を4滴、毎日使用する
ことにより、慢性的口臭を有する10名の患者の口臭が顕著に又は完全に除去され
た。
4.6.2 潰瘍痛: 3%溶液を一日に3回、適用することにより、24〜48時間
以内に9名の患者の全てにおいて疚痛と不快感が迅速に除去され、病巣が完全に
清浄になった。
4.7 婦人病(gynecological)
4.7.1 殺精子剤: 高分子量ポリエチレングリコール[プロコールス(Puroc
ols)]中の1.5%溶液からなる腟座薬を4か月のプログラムで4組の夫婦に使用
させたパイロット試験においては、現在ま
で、受胎の徴候は認められなかった。
4.7.2 痔疾 小さい外部症状痔疾〜大きい外部症状痔疾の痔疾及び外部出血
痔疾の患者21名について、3%局部投与溶液又は局部及び肛門座薬の組合せを使
用することにより、1週間以内に全ての患者が実質的に又は完全に治癒した。
5.結論
上記で得られたデーターから、前記2種の化合物は極めて広範囲のバクテリア
、カビ、ウイルス及び原生動物に対して有効であることが明らかである。これら
の化合物は殺精子性であり、また、免疫調節性(immunomodulatory)であること
も認められた。これらの化合物を使用した場合には、毒性及び好ましくない副作
用は認められなかった。従って、これらの化合物は、非常に広範囲の活性を得る
のに使用される効能の大きい医薬であると考えられる。
ゲラニオールトリオキソラン及びcis 3-ヘキセン-1-オールのトリオキソラン
誘導体は種々の生物、特に、原生動物[レーシュマニア種(Leishmania spp)]
、グラム陽性及びグラム陰性バクテリア及びカビに対する潜在的に活性な化合物
である。生体外で観察される追加的な活性は精子細胞及び骨髄腫細胞を殺す能力
である。安全性と毒性についての前記の検討の結果に基づいて、前記の化合物は
医薬としてヒトに対して安全であると考えられる。
ゲラニオールトリオキソラン及びcis 3-ヘキセン-1-オールのトリオキソラン
誘導体について得られた臨床データーの他に、本発明者は実施例1の方法に従っ
てオゾン化したエルカ酸を使用して臨床データーを得た。オゾン化したエルカ酸
は広範囲のバクテリア及びカビ病原体に対して生体外で活性を示した。この化合
物をプロピレングリコールベース中で、活性物質濃度2%で局部的に使用して、
生殖器及び口腔ヘルペス、カビ感染症、ハチ刺し傷(wasp sting)、湿疹及び皮
膚炎(diaper rash)を上首尾に処置し得る。更に、3月
のトリアロン(trialon)、3人のARC [AIDS関連複合体(AIDSRelated Complex)]
患者及び1名のリンパ腫患者においては、ゲラニオールトリオキソランによる最
初の処置により鎮静化(emission)が得られた後、病気の鎮静化が保持された。
テルペン系及び非テルペン系不飽和炭化水素のトリオキソラン及びジペルオキ
シド誘導体は、全て、同一の作用機構を有すると考えられる。特定の作用形式に
拘束されることを希望するものではないが、これらの化合物は加水分解の際に薬
理学的に活性な双性イオン部分を放出するものと考えられる。この化合物の識別
されている一般的な作用機構から、テルペン系及び非テルペン系不飽和炭化水素
のトリオキソラン及びジペルオキシド誘導体は、このセクションでゲラニオール
トリオキソラン及びcis 3-ヘキセン-1-オールのトリオキソラン誘導体について
述べた活性と類似の活性を有すると考えられる。
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A61K 9/20 ABE B 9455−4C
ADA 9455−4C
ADU 9455−4C
9/48 ABB C 9455−4C
31/335 ACK 9454−4C
C07D 323/04 9454−4C
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,SN,TD,
TG),AT,AU,BB,BG,BR,CA,CH,
CS,DE,DK,ES,FI,GB,HU,JP,K
P,KR,LK,LU,MG,MN,MW,NL,NO
,NZ,PL,RO,RU,SD,SE,UA