【発明の詳細な説明】新規な三環式チアゾロおよびチアジノ誘導体、 およびそれらを含む医薬品
本発明は、三環式チアゾロおよびチアジノ誘導体、その製造方法およびこれら
の化合物を含む医薬品に関する。
本発明は、式I
[式中、
Aは、炭素原子5または6個の炭素環、またはヘテロ原子は同一でも異なってい
ても良くそして酸素、窒素または硫黄を意味する最大4個のヘテロ原子を有する
複素環を表し、所望により、複素環は1個または数個の窒素原子上に酸素原子を
もつことができ、Aは、所望により、同一でも異なっていても良い1個または数
個のR1基で置換され、
Xは、酸素または硫黄原子または=NH、=N−C1−C6−アルキルまたは=S
(O)2基であり、
Rはフェニルで置換できる炭素原子1−9個の直鎖または分枝鎖の、飽和または
不飽和脂肪族基であるか、または
フェニル環を意味し、
または、炭素原子7−15個の単、二または二環式炭素環、またはそれぞれの場
合に環原子5または6個を有する複素環式単、二または三環系を意味し、ヘテロ
原子は窒素、硫黄または酸素であり、環系当たり1−4または1−5個のヘテロ
原子を含むことができ、そして前記のフェニル環、単、二または三環式炭素環ま
たは複素環式単、二または三環系は、所望により、C1−C6アルキル、C1−C6
アルコキシ、C1−C6アルキルメルカプト、C1−C6アルキルスルフィニル、C1
−C6アルキルスルフォニル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C2
−C6アルケニルオキシ、C2−C6アルケニルメルカプト、C2−C6アルキニル
オキシ、C2−C6アルキニルメルカプト、アミノ、C1−C6アルキルアミノ、ジ
−C1−C6アルキルアミノ、C1−C6アルキルカルボニルアミノ、C1−C6アル
キルアミノカルボニル、C1−C6アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、ベンジル
オキシ、フェニルメルカプト、フェニルオキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、ト
リフルオロメチル、アジド、ホルミルアミノ、カルボキシまたはフェニルで1回
または数回置換されており、
R1は、水素原子、炭素原子1−6個の直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和
脂肪族基またはC1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルメルカプト、C1−C6ア
ルキルスルフィニル、C1−C6アルキルスルホニル、アミノ、C1−C6アルキル
アミノ、ジ−C1−C6アルキルアミノ、スルホンアミド、C1−C6アルコキシカ
ルボニル、カルボキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アジド、フェ
ニルまたはベンジルオキシを意味し、
R2、R3、R4およびR5は、互いに独立して、同一でも異なっていて
も良く、そしてそれぞれは水素、C1−C6アルキル、C1−C6ヒドロキシアルキ
ル、シアノ、カルボキシまたはC1−C6アルコキシカルボニルを意味し、または
R2とR4は、それらが結合している炭素原子間の追加の結合を意味し、
R6は、水素またはC1−C6アルキルを意味し、
nは、0、1、または2を意味し、そして
mは、0または1を意味する]の三環式チアゾロ[3,2−c]−ピリミジンお
よびチアジノ[3,2−c]ピリミジン誘導体、並びにその互変異性体、鏡像異
性体、ジアステレオマーおよび生理学的に許容される塩に関する。
類似の構造の化合物(キナゾリン誘導体)は、先の欧州特許出願 EP 0 530 99
4 より逆転写酵素の阻害剤として知られている。その中に記載されている実施例
5C−5Fおよび101では、特に、Aは置換されたフェニル環を表し、そして
Rはシクロペンチル、シクロプロピルまたはフェニル環またはプロピル基を表す
式Iに相当するオキサゾロ−[3,2−c]ピリミジンが記載されている。これ
らの化合物と比較して、本発明のチアゾロ[3,2−c]ピリミジン(m=0)
およびチアジノ[3,2−c]ピリミジン(m=1)は、より強い薬理学的効力
を示す。
本発明の目的は、医薬品の製造のための特に薬理活性物質として使用できる、
新規な三環式チアゾロ[3,2−c]ピリミジンおよびチアジノ[3,2−c]
ピリミジンを提供することであった。
本発明の化合物は、有効な薬理学的特性を有する。特に抗ウイルス作用を有し
、例えば、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、パピローマウイルス
、水痘−帯状疱疹ウイルスまたは
エプスタイン・バーウイルスのようなDNAウイルスまたはトガウイルスのよう
なRNAウイルスまたは特にオンコウイルスHTLV−IおよびII並びにレン
チウイルスビスナおよびヒト免疫不全ウイルスHIV−1および2のようなレト
ロウイルスにより生じる感染症の治療と予防に適切である。
式Iの化合物は、持続的な、全身性リンパ節症(PGL)、進行期のエイズ関
連症候群(ARC)およびエイズの完全臨床像のようなヒトでのレトロウイルス
HIV感染症の臨床徴候の治療に特に適切であるようだ。
本発明の一般式Iの化合物は顕著な抗ウイルス作用を有し、そしてウイルスお
よびレトロウイルスの感染症の治療に特に適切である。噛乳類、特にヒトのウイ
ルス感染症は広範囲に及んでいる。多岐にわたる努力にもかかわらず、これまで
ウイルスまたはレトロウイルス依存性の病理学的過程を、実質的に認められるよ
うな成功をもって、原因療法的にまたは対症療法的に阻止する化学療法剤を提供
できなかった。現在、化学療法により例えば後天性免疫不全症候群(AIDS)
、エイズ関連症候群(ARC)およびそれらの初期段階、ヘルペス、サイトメガ
ロウイルス(CMV)、インフルエンザウイルスおよび他のウイルス感染症のよ
うなある種のウイルス病を治癒する、またはその症状を好転させる効果を発揮す
ることは不可能である。現在、例えば、ジドブジン(Zidovudine)または商標名レ
トロビル(Retrovir)として知られている3′−アジド−3′−デオキシ−チミジ
ン(AZT)が、エイズの治療として有効であるほとんど全てである。しかしな
がら、AZTは、非常に狭い治療域と治療域ですでに発生している非常に強い毒
性を特徴とする
(Hirsch,M.S.(1988)J.Infec.Dis.157,427-431)。一般式Iの化合物はこれらの欠
点を有さない。これらは薬理学的に適切な用量で細胞毒性を示すことなく抗ウイ
ルス的に作用する。
今回、一般式Iの化合物が、ウイルス特異的DNAおよびRNA転写のレベル
でDNAおよびRNAウイルスの増殖を阻害することを証明することが可能とな
った。この物質は、逆転写酵素を阻害することによってレトロウイルスの増殖に
影響できる(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83,1911,1986 およびNature 325,773 198
7を参照されたい)。
本来の生体機能の正常な過程には影響しないで、レトロウイルスにより生じる
疾患またはその症状をできるかぎり特異的に阻止する化学療法剤に対する非常に
大きな需要があるので、前記の化合物はレトロウイルス感染が病理生理学的に、
症状的に、または臨床的に関連性のある疾患の治療に予防的にまたは治療的に有
利に使用できる。
式Iの化合物は、ラセミ体または光学的に活性な誘導体として存在できる。
ラセミ体の鏡像異性体への分離は、従来の溶出剤を使用する適切な光学活性な
相でのクロマトグラフィーにより分析的に、半分別的に、そして分別的に実施で
きる。
適切な光学活性な相は、例えば、光学的に活性なポリアクリルアミドまたはポ
リメタクリルアミド、シリカゲル上にあるもの(例えば、メルク社の登録商標キ
ラスフェア(ChiraSpher)、ベイカー社の登録商標キラルパック(Chiralpak)OT/OP
)、セルロースエステル/セルロースカルバメー卜(例えば、ベイカー社/ダイ
セ
ル社(Daicel)の登録商標キラセル(Chiracel)OB/OY)、シクロデキストリンまたは
クラウンエーテルに基づく相(例えば、ダイセル社の商標登録クラウンパック(C
rownpak))または微結晶質セルローストリアセテート(メルク社)である。
Aの定義において、Aは炭素環、特にフェニルまたはシクロヘキシルまたはシ
クロペンチル環を意味する。直接縮合された芳香族複素環Aは炭素原子5−6個
を有し、これらの環原子の4個までをヘテロ原子の酸素、硫黄および/または窒
素で置換できる。以下の複素環を例として挙げる:フラン、チオフェン、ピロー
ル、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イミダゾール
、オキサジアゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジンまたは
ピラジン環。複素環Aに窒素原子が存在する場合は、相当する複素環はそのN−
オキシドの形態でも存在できる。環Aは1または数個の、好ましくは1、2また
は3個の、同一でも異なっていても良い置換基R1で置換できる。
脂肪族基RまたはR1は、例えば、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブ
チル、ペンチル、ヘキシルまたはヘプチル基のような炭素原子1−9個の、好ま
しくは2−7個の直鎖または分枝鎖のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基
を意味する。C2−C7アルケニルおよびアルキニル基が、不飽和基として考慮さ
れ、好ましくは、例えば、アリル、ジメチルアリル、ブテニル、イソブテニル、
ペンテニル、またはプロピニル基のようなC2−C5である。
フェニルで置換できる脂肪族基Rは特に、例えば、ベンジル、フェネチル、フ
ェニルプロピルまたはフェニルブチル基のようなフェニル−C1−C6−アルキル
基である。
RまたはR1基がフェニル環を含む場合、これはl、2、3回置換できる。置
換基は、互いに独立して、オルト、メタ、パラの位置に存在しうる。
炭素原子7−15個の炭素環Rは、単、二または二環式であり、環当たり5ま
たは6個の炭素原子を有することができる。この環は、飽和、不飽和、部分飽和
または芳香族にできる。以下の環系を例として挙げる:ナフチル、アントラセニ
ル、フェナントレニル、フルオレニル、インデニル、インダニル、アセナフチレ
ニル、ノルボルニル、アダマンチル環、またはC3−C7,シクロアルキルまたは
C5−C8シクロアルケニル基。さらに、炭素環は一、または二置換にでき、フェ
ニル環の場合は置換基が互いに独立してオルトまたはメタの位置に存在しうる。
R基の複素環式、単、二または二環系は環当たり5または6個の炭素原子を含
み、l−4またはl−5個の炭素原子をヘテロ原子の酸素、硫黄および/または
窒素で置換できる、。環系は芳香族であっても、部分または完全水素化されても
よい。以下の環系を例として挙げる:ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラ
ジン、トリアジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、チア
ゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、フラザン、フラ
ン、チオフェン、インドール、キノリン、イソキノリン、クマロン、チオナフテ
ン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾー
ル、ベンゾトリアゾール、クロメン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、
メチレンジオキシベンゼン、カルバゾール、アクリジン、フェノキサジン、フェ
ノチアジン、フェナジンまたはプリン系(不
飽和または芳香族の炭素環および複素環は、部分または完全水素化できる)。こ
れらの複素環が窒素原子を含有する場合、相当する複素環は、N−オキシドの形
態で存在できる。さらに、複素環系は一または二置換されていてもよく、その場
合置換基は互いに独立して、好ましくはオルトまたはメタの位置に存在する。
Rは好ましくは非置換フェニルを表すかまたは、C1−C6アルキル、C1−C6
アルコキシ、C1−C6アルキルメルカプト、C1−C6アルキルスルフィニル、C1
−C6アルキルスルホニル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−
C6アルケニルオキシ、C1−C6アルキルアミノ、C1−C6ジアルキルアミノ、
C1−C6アルキルカルボニルアミノ、C1−C6アルキルアミノカルボニル、C1
−C6アルコキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、ニトロ、アジド、トリフル
オロメチル、シアノまたは、ハロゲンで1または2回置換されたフェニルを意味
し、前記の脂肪族基は好ましくは3個までの炭素原子を含む。
炭素環Rは好ましくは、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、インデニル
、フルオレニル、アセナフチレニル、フェナントレニル、ノルボルニル、アダマ
ンチル、C3−C6シクロアルキル、C5−C8シクロアルケニルであり、炭素環は
C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルメルカプト、C1−
C6アルキルスルフィニル、C1−C6アルキルスルホニル、C2−C6アルケニル
、C2−C6アルキニル、C3−C6アルケニルオキシ、C1−C6アルキルアミノ、
C1−C6ジアルキルアミノ、C1−C6アルキルカルボニルアミノ、C1−C6アル
キルアミノカルボニル、C1−C6アルコキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、
ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、シ
アノまたはハロゲンで1または2回置換でき、前記の脂肪族基は好ましくは3個
までの炭素原子を含有する。
複素環系は好ましくはピロール、イミダゾール、フラン、チオフェン、ピリジ
ン、ピリミジン、チアゾール、トリアジン、インドール、キノリン、イソキノリ
ン、クマロン、チオナフテン、ベンズイミダゾール、キナゾリン、メチレンジオ
キシベンゼン、エチレンジオキシベンゼン、カルバゾール、アクリジンおよびフ
ェノチアジンであり、複素環はC1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、C1−
C3アルキルメルカプト、C1−C3アルキルスルフィニル、C1−C3アルキルス
ルホニル、C2−C4アルケニル、C2−C3アルキニル、C3−C4アルケニルオキ
シ、C1−C3アルキルアミノ、C1−C3ジアルキルアミノ、C1−C3アルキルカ
ルボニルアミノ、C1−C3アルキルアミノカルボニル、C1−C3アルコキシカル
ボニル、アミノ、ヒドロキシ、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、シアノま
たはハロゲンで1または2回置換できる。
R1基としては、水素、C1−C3アルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4ア
ルキニル、C1−C3アルコキシ、C1−C3アルキルメルカプト、C1−C3アルキ
ルアミノ、C1−C3アルコキシカルボニル、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニ
トロ、シアノおよびアジドが好ましい。
R2、R3、R4およびR5として好ましい置換基は、水素、C1−C3アルキル、
C1−C3ヒドロキシアルキル、カルボキシ、C1−C3アルコキシカルボニルおよ
びシアノであり、またはR2およびR4が追加の結合を生じる。
Xは好ましくは酸素である。ハロゲンは一般にフッ素、塩素、臭素およびヨウ
素、好ましくはフッ素、塩素および臭素と理解さ
れる。
好ましい直接縮合された複素環Aは、環原子5または6個を有する窒素を含む
芳香環である。
Rとして好ましい基はC3−C5アルキル、C2−C5アルケニル、C2−C4アル
キニル、ベンジル、フェネチル、フェニル、[C1−C3アルキル、C1−C3アル
コキシ、C1−C3アルキルメルカプト、アリル、アリルオキシ、C1−C3アルキ
ルアミノ、ジ−C1−C3アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、アジド、トリフ
ルオロメチル、シアノまたはハロゲン、またはフェニルで一また二置換された]
フェニル、ナフチル、アントラセニル、インデニル、アセナフチレニル、フェナ
ントレニル、アダマンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フリル、チエ
ニル、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、インドリル、キノリニル、ベンゾ
イミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、カルバゾリルおよびメチルまたはハ
ロゲンで三置換されたフェノチアジニルであり、そしてメチルまたはハロゲンで
一または二置換された前記の炭素環または複素環の誘導体である。
R1として特に好ましいのは、水素、メチル、エチル、イソプロピル、アリル
、メトキシ、エトキシ、メチルメルカプト、エチルメルカプト、メチルアミノ、
メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノ、アジド、シアノ、ヒドロキ
シおよびハロゲンであり、ハロゲンとしては塩素と臭素が好ましい。
R2、R3、R4およびR5として水素、メチル、エチル、イソプロピルおよびシ
アノが好ましく、R2とR4が追加の結合を意味する場合も好ましい。R2とR4が
同時に水素を意味する式Iの化合物が特に
考慮される。
Aとしては例えば、フェニル、ピロール、オキサゾール、チオフェン、フラン
、イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリ
ミジンおよびピラジン環のような芳香族環が特に好ましい。Aが6員の炭素環ま
たは複素環を表す場合、縮合ピリミジン環の6員環に直接結合している窒素原子
に関して、6員環のパラ位(三環系の9位)で置換されているこれらの化合物が
特に好ましい。
特に好ましいのは、一般式Iにおいて、R、R1、X、nおよびmが上記の意
味を持ち、そしてR2、R3、R4およびR5が水素、メチルまたはエチルであり、
R2からR5の基の3または4個が好ましくは水素であるか、またはR2とR4が一
緒になって結合を表す化合物である。
R6としては、水素およびC1−C3アルキルが特に好ましい。nとmとしては
0が特に好ましい。
式Iにおいて、R1が水素またはハロゲン原子、特に塩素原子であり、Aが、
好ましくは三環系の9位でR1で置換されているフェニルまたはピリジン環であ
る化合物は特に顕著な薬理学的作用を有する。これに関連して、式Iにおいて、
R2−R5が水素原子を意味し、mとnが数0を意味し、そしてXが酸素または硫
黄原子を意味する化合物が特に好ましい。
ウイルス感染の治療のための医薬品は少なくともl種の式Iの化合物を含み、
液体または固体形態で、経腸または非経口で投与できる。例えば、錠剤、カプセ
ル、コーティング錠剤、シロップ、液体または懸濁液のような通常の投与形態が
製剤学的投与形態と
して考慮される。安定化剤、可溶化剤および緩衝液のような注射溶液の通常の添
加剤を含む水が注射媒体として好ましく使用される。このような添加剤は、例え
ば、酒石酸塩およびクエン酸塩緩衝液、エタノール、エチレンジアミン四酢酸お
よびその無毒性塩のような錯体形成剤および粘度調節用の液体ポリエチレンオキ
シドのような高分子ポリマーである。注射溶液用の液体担体物質は無菌でなけれ
ばならず、好ましくはアンプルに調剤する。固体担体物質は、例えば、澱粉、ラ
クトース、マンニトール、メチルセルロース、タルク、高分散ケイ酸、ステアリ
ン酸のような高分子脂肪酸、ゼラチン、寒天、リン酸カルシウム、ステアリン酸
マグネシウム、動物性および植物性脂肪、ポリエチレングリコールのような固体
高分子ポリマーなどである。経口投与のための適切な処方物は、所望により、香
味剤および甘味剤を含むことができる。
用量は、適用法、種、年齢および個々の状態のような種々の要因により規定さ
れる。本発明の化合物は通常0.1-100 mg、好ましくは0.2-80 mg/日/体重kgで
投与する。一日分の用量を2−5回に分割し、各回に活性物質0.5-500 mgの含有
量を有するl−2個の錠剤を投与することが好ましい。錠剤は徐放性にすること
ができ、それ故投与回数を1日当たり1−3回に減少できる。徐放性錠剤の活性
物質の含有量は2-1000 mgにできる。活性物質は連続注入により投与することも
でき、その場合、1日当たり5-1000 mgの量で通常十分である。
本発明の化合物およびその薬学的製剤は、上記の感染症の治療と予防のための
他の薬剤と組み合わせても使用できる。HIV感染症およびこの疾患に付随する
疾病の治療と予防に使用できる他の
薬剤の例は、3′−アジド−3′−デオキシチミジン、例えば、2′,3′−ジ
デオキシシチジン、2′,3′−ジデオキシアデノシンおよび2′,3′−ジデ
オキシイノシンのような2′,3′−ジデオキシヌクレオシドまたは非環式ヌク
レオシド(例えば、アシクロビル(Acyclovir))である。
本発明の化合物および他の薬剤は、相乗作用を達成するために、各々の場合、
個別に、同時に、所望により、単独でまたは2種の別の処方物として、または異
なる回数で投与できる。
本発明の一般式Iの化合物は、文献(Chem.Pharm.Bull.29,2135,1981またはHet
erocycles 29, 1317, 1989)で既知の方法により、一般式II
[式中、A、R、R1およびR6は上記の意味を持ち、そしてR7は例えば、CC
l3、CF3、ここでOR8またはNR8R9のような容易に開裂する基を意味し、
ここでR8とR9は同一でも異なっていても良く、そして例えば、C1−C6アルキ
ルまたは置換または無置換フェニル、フェニルアルキル、ヘタリールまたはヘタ
リールアルキルを意味する]の化合物を、置換または無置換システアミンまたは
一般式III
[式中、R2、R3、R4、R5およびmは上記の意味を持つ]の3−メルカプト−
1−プロパンアミンと適切な不活性溶媒中で、室温から還流温度で、場合により
触媒量のp−トルエンスルホン酸のような酸、または例えば水酸化カリウムのよ
うな塩基の存在下で反応させて製造し、そして所望により、式Iの化合物をその
後式Iの他の化合物に変換し、そしてその後クロマトグラフィーまたは再結晶に
より精製する。ラセミ体は例えば、セルローストリアセテートのような適切な光
学活性な相でクロマトグラフィーにかけて対掌体に分離できる。
式Iの化合物を式Iの他の化合物へその後変換することは、例えば、X=Sで
ある三環式チアゾロ[3,2−c]ピリミジンおよびチアジノ[3,2−c]ピ
リミジン誘導体の製造に関係する。X=Sの化合物は、Xが酸素原子を意味する
式Iの化合物を例えば、ローエッソン試薬(Lawesson' s reagent)のような硫黄
基を含有する化合物と反応させることにより製造する。
X=NHである一般式Iの化合物は、Xが酸素原子を意味する式Iの化合物を
最初、例えば、POCl3のような塩素化試薬を使用してクロルイミンを製造し
、そしてこれをアンモニアで処理することにより変換し製造する。
R2よびR4が追加の結合を意味する一般式Iの化合物は、プメラー(pummerer)
反応によりn=1の一般式Iの化合物を必要であれば加熱しながら、不活性溶媒
中で無水物と反応させて製造するか、またはR2、R3、R4またはR5が例えば酢
酸のようなカルボン酸または例えばトルエンスルホン酸のようなスルホン酸でエ
ステル化されたヒドロキシメチル基を意味する一般式Iの化合物を、イミダゾー
ルまたは水酸化ナトリウムのような塩基の存在下で不活性溶媒中で、必要であれ
ば加圧下で50−200℃に加熱する。
出発原料として使用する一般式IIの化合物はアシル化により文献で既知の方
法に従ってアミノベンゾフェノン誘導体から得る。置換または非置換2−アミノ
−ベンゾフェノン誘導体は David A.Walsh(Synthesis,677,1980)に記載されて
いる方法により好ましく製造できる。
実施例に記載した化合物および請求の範囲に記載する全ての意味の置換基の組
み合わせにより誘導される化合物に加えて、ラセミ体混合物としてまたは光学的
に活性な形態としてまたは純正RおよびS鏡像異性体として存在できる以下の式
Iの化合物が、本発明の範囲内で考慮される。
1. 10b-フェニル-2,3,6,l0b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]-キナゾリン-
5-オン
2. 10b-フェニル-2,3,6,10b−テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]-キナゾリン
-5-チオン
3. 10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]-キナゾリン-
5-イミン
4. 6-メチル-l0b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チア
ゾロ[3,2-c]キナゾリン-5-オン
5. 9-クロロ-10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]キ
ナゾリン-5-オン
6. 9-メチル-10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]キ
ナゾリン-5-オン
7. 9-メトキシ-10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]
キナゾリン-5-オン
8. 10-クロロ-10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]キ
ナゾリン-5-オン
9. 10-ニトロ-10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]キ
ナゾリン-5-オン
10. 7-メチル-10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]
キナゾリン-5-オン
11. 8-メチル-10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]
キナゾリン-5-オン
12. 10b-(3-メチルフェニル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]
キナゾリン-5-オン
13. 10b-(3-クロロフェニル)-2,3,6,l0b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]
キナゾリン-5-オン
14. 10b-(4-メトキシフェニル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-
c]キナゾリン-5-オン
15. 10b-(2,3-ジメチルフェニル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,
2-c]キナゾリン-5-オン
16. 10b-(3,5-ジメチルフェニル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,
2-c]キナゾリン-5-オン
17. 10b-(1-ナフチル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]キナゾ
リン-5-オン
18. 10b-(4-インダニル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]キナ
ゾリン-5-オン
19. 10b-(2-アミノ-5-メチルフェニル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾ
ロ[3,2-c]キナゾリン-5-オン
20. 10b-(6-メチル-2-ピリジル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2
-c]キナゾリン-5-オン
21. 10b-(4-メチル-2-ピリジル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2
-c]キナゾリン-5-オン
22. 10b-チエニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]キナゾリン
-5-オン
23. 10b-フラニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]キナゾリン
-5-オン
24. 11b-フェニル-3,4,7,11b-テトラヒドロ-2H,6H-[1,3]-チアジノ[3,2-c]-
キナゾリン-6オン
25. 10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]ピリド[2,3
-e]ピリミジン-5-オン
26. 10b-(3-メチルフェニル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]
ピリド[2,3-e]ピリミジン-5-オン
27. 10b-(3-クロロフェニル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]
ピリド[2,3-e]ピリミジン-5-オン
28. 10b-(6-メチル-2-ピリジル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2
-c]ピリド[2,3-e]ピリミジン-5-オン
29. 10b-(4-メチル-2-ピリジル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-
チアゾロ[3,2-c]ピリド[2,3-e]ピリミジン-5-オン
30. 3-エトキシカルボニル-10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チア
ゾロ[3,2-c]ピリド[2,3-e]ピリミジン-5-オン
31. 3-ヒドロキシメチル-10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾ
ロ[3,2-c]ピリド[2,3-e]ピリミジン-5-オン
32. 10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]ピリド−[3
,4-e]ピリミジン-5-オン
33. 10b-(3-エチルフェニル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]
ピリド[3,4-e]リミジン-5-オン
34. 10b-(3-ニトロフェニル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]
ピリド[3,4-e]ピリミジン-5-オン
35. 10b-(6-メチル-2-ピリジル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2
-c]ピリド[3,4-e]ピリミジン-5-オン
36. 10b-メチル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]ピリド[3,4-e
]ピリミジン-5-オン
37. 9b-フェニル-2,3,6,9b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]チエノ[2,3-e
]ピリミジン-5-オン
38. 9b-(3-メチルフェニル)-2,3,6,9b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]チ
エノ[2,3-e]ピリミジン-5-オン
39. 9b-(3,5-ジクロロフェニル)-2,3,6,9b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-
c]チエノ[2,3-e]ピリミジン-5-オン
40. 9b-フェニル-2,3,6,9b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]フラノ[2,3-e
]ピリミジン-5-オン
41. 9b-(4-メチル-2-ピリジル)-2,3,6,9b-テトラヒドロ-5H-
チアゾロ[3,2-c]フラノ[2,3-e]ピリミジン-5-オン
42. 10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]キナゾリン
-5-オン-1-オキシド
43. 10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]キナゾリン
-5-オン-1,1-ジオキシド
44. 10b-フェニル-6,10-ジヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]-キナゾリン-5-オン
45. 10b-(3-メチルフェニル)-6,10-ジヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]-キナゾリ
ン-5-オン
46. 3-メチル-10b-フェニル-6,10-ジヒドロ-5H-チアゾロ[3,2
−c]-キナゾリン-5-オン
47. 10b-(3-メチルフェニル)-6,10-ジヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]ピリド[2,
3-e]-ピリミジン-5-オン
48. 3-メチル-10b-(3-メチルフェニル)-6,10-ジヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]
ピリド[2,3-e]ピリミジン-5-オン実施例1 10b-フェニル-2,3,6,10-テトラヒドロ-5H-チアゾロ-[3,2-c]キナゾリン-5-オン
a) トルエン25ml中のクロロギ酸エチル5.8ml(60.8 mmol)を10℃
で攪拌しながらトルエン125 mlとピリジン4.9ml中の2−アミノベンゾフ
ェノン10g(50.7mmol)に滴下して添加する。1時間後、混合物を水で3回
振盪後、有機相を分離し、乾燥し、そして蒸発する。得られた油をイソヘキサン
で粉末にし、そして結晶を吸引濾過する。
融点73−75℃の2−エトキシカルボニルアミノベンゾフェノン12.3gを
得る。
b) 2−エトキシカルボニルアミノベンゾフェノン5g(18.6mmol)、シス
テアミン2.9g(37.1mmol)およびp−トルエン−スルホン酸0.5gをジメ
チルホルムアミド(DMF)100ml中で窒素中で140℃で52時間加熱する。
その後、DMFを蒸留で除去し、残留物を水に溶解しジクロロメタンで2回振盪
して抽出する。有機相を乾燥し、蒸発させ、そして残留物をシリカゲル(移動溶
媒:イソヘキサン:酢酸エチル、7:3)でクロマトグラフィーにかける。目的
画分を蒸発させ、そして残留物をエタノールから再結晶して融点212−215
℃の表題化合物3.5gを生成する。実施例 2 11b-フェニル-3,4,7,11b-テトラヒドロ-2H,6H-[1,3]チアジノ-[3,2-c]キナゾリ ン-6-オン
(実施例1aからの)2−エトキシカルボニルアミノベンゾフェノン5g(1
8.6mmol)、3−メルカプト−1−プロパンアミン3.4g(37.1mmol)お
よびp−トルエンスルホン酸0.5gをジメチルホルムアミド(DMF)100ml
中で窒素中で140℃で52時間加熱する。その後、DMFを蒸留で除去し、残
留物を水に溶解し、そしてジクロロメタンで2回振盪して抽出する。有機相を乾
燥させ、蒸発させ、そして残留物をシリカゲル(移動溶媒:イソヘキサン:酢酸
エチル、7:3)でクロマトグラフィーにかける。目的画分を蒸発させ、そして
残留物をエタノールから再結晶して、融点240−243℃の表題化合物3.2
gを生成する。実施例 3 3-ヒドロキシメチル-10b-フェニル-2,3,6,10-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c] キナゾリン-5-オン
a) 2−アミノベンゾフェノンl0g(50.7mmol)を実施例1aと同様にク
ロロギ酸フェニル8.6g(55mmol)と反応させる。後処理してイソヘキサンで
粉末にした後、融点115−117℃の2−フェノキシ−カルボニルアミノベン
ゾフェノン15.6gを得る。
b) 2−フェノキシカルボニルアミノベンゾフェノン22.19g(70mmol)
、システイノール22g(210mmol)およびp−トルエンスルホン酸2.2gを
トルエン500ml中で窒素中で24時間還流した。その後、トルエンを蒸留して
除去し、そして油をカラムクロマトグラフィー(移動溶媒:酢酸エチル/トルエ
ン=80:20)にかけて精製した。集めた目的物質の画分を蒸発して濃縮し、
そして残留物をトルエンから結晶化した。融点188−190℃の表題化合物3
.5gを得る。実施例 4 9-クロロ-10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ-[3,2-c]キナゾリ ン-5-オン
実施例3bと同様に、トルエン150ml中の2−フェノキシ−カルボニルアミ
ノ−5−クロロベンゾフェノン3.0g(8.5mmol)、システアミン1.3g(
17mmol)およびp−トルエンスルホン酸0.3gを水分離器で4時間沸騰させ
た。トルエン相を2N塩酸および炭酸ナトリウム溶液で振盪し、蒸発させて濃縮
し、そして残留物をエタノールから結晶化させた。融点187−194℃の表題
化合物2.1
gを得る。実施例 5
以下の化合物が実施例4と同様にして得られる:
5a) 10-クロロ-10b-フェニル-2,3,6,l0b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]
キナゾリン-5-オン、融点264−265℃(エタノールから)
5b) 10b-(3-メチルフェニル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]
キナゾリン-5-オン、融点236−240℃(エタノールから)
5c) 10b-(3-クロロフェニル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]
キナゾリン-5-オン、融点226−227℃(エタノールから)
5d) 10b-(3,5-ジメチルフェニル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,
2-c]キナゾリン-5-オン、融点243−256℃(エタノールから)
5e) 10b-(3,5-ジクロロフェニル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,
2-c]キナゾリン-5-オン、融点260−261℃(エタノールから)
5f) 10b-(6-メチル-2-ピリジル)-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2
-c]キナゾリン-5-オン、融点260−261℃(エタノールから)実施例 6 6-メチル-10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ -[3,2-c]キナゾリン-5-オン
実施例1bで得られた化合物0.5g(1.8mmol)をDMF10mlに溶解し、
NaH65mg(2.7mmol)およびヨウ化メチル0.14ml(2.2mmol)と混合し
た。25℃で2時間後、DMFを蒸留で除去し、残留物をジクロロメタン中に取
り、水で洗い、そして有機相を乾燥させ蒸発させて濃縮した。エタノールから結
晶化後、融点172−174℃の表題化合物0.4gを得る。実施例 7 10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ[3,2-c]-キナゾリン-5-チオ ン
実施例1bで得られた化合物3.0g(11mmol)およびローエッソン試薬8.
8g(22mmol)をトルエン150ml中で16時間加熱して還流した。その後、水
を添加し、不溶物質を分離し、そして有機相を乾燥させ、そして蒸発させて濃縮
した。残留物をシリカゲル(移動溶媒:酢酸エチル/イソヘキサン、40:60
)にかけて精製した。エタノールから再結晶後、融点208−215℃の表題化
合物1.5gを得る。実施例 8 10b-フェニル-2,3,6,10b-テトラヒドロ-5H-チアゾロ-[3,2,-c]キナゾリン-5-イ ミン
a)実施例7で得られた化合物0.25g(0.84mmol)をNaH31mgおよび
ヨウ化メチル0.06mlとDMF5ml中で混合した。1時間後、DMFを蒸留し
て除去し、塩化メチレンと水を添加し、pH5に
酸性化し、そして有機相を分離した。乾燥および蒸発後、10b-フェニル-5-メチ
ルメルカプト-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-c]キナゾリン250mgを油として得る
、Rf=0.9(トルエン/ジオキサン/水)。
b)前記の化合物250mgをエタノール15mlおよび液体アンモニア10mlと共
にオートクレーブ中で80℃で9時間振盪した。蒸発後、残留物をシリカゲル(
移動溶媒:80%酢酸エチル−20%イソヘキサン)のクロマトグラフィーにか
けた。目的画分を蒸発で濃縮し、そして酢酸エチルから結晶化後、融点200−
204℃の表題化合物75mgを得る。実施例 9
逆転写酵素(RT)の阻害
スクリーニング試験系は、遺伝子工学手法により大腸菌により発現されたHI
V−1からの精製RT、鋳型として隣接プライマー結合部位を持つHIV−LT
Rのin-vitro転写のような開始複合体、およびプライマーとしてプライマー結合
部位に相補的な18merオリゴヌクレオチドから構成された。[3H]−チミジン
-5′-トリホスフェートの取り込みをβ計数器でカウントして測定した。
結果:
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フロントページの続き
(72)発明者 ケニク,バーンハルト
ドイツ連邦共和国 ディー―8137 ベルク
3 ドュエルバークシュトラーセ 28番
地
(72)発明者 レサー,ウルリケ
ドイツ連邦共和国 ディー―8000 ミュン
ヘン 70 スティフツボーゲン 64番地