【発明の詳細な説明】
(チオ)カルビミジニン酸誘導体及びそれらを含む薬剤
本発明は式Iの(チオ)カルビミジニン酸[(thio)carbimidinic acid]誘
導体を含む新規の薬剤に関する。更に、本発明は新規の(チオ)カルビミジニン
酸誘導体、その製法及び抗ウィルス剤としてのその用途に関する。
本発明は活性物質として少なくとも一種の次式(I)の(チオ)カルビミジニ
ン酸誘導体
(式中、
Rは、1〜9個の炭素原子を有する連鎖又は枝分れした飽和又は不飽和脂肪残
基、C3−C8シクロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C6アルキル
メルカプト−C1−C6アルキル、アミノ−C1−C6−アルキル、C1−C6アルキ
ルアミノ−C1−C6アルキル、C1−C6ジアルキルアミノ−C1−C6アルキル、
カルボキシ−C1−C6アルキル、C3−C8シクロアルキル−C1−C6アルキル;
置換化フェニル−C1−C6アルキル;置換化ピリジル−C1−C6アルキルを表わ
すか;
フェニルであって、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキ
ルメルカプト、C1−C6アルキルスルフィニル、C1−C6アルキルスルホニル、
C2−C6アルケニル、C2−C6アルキル、C2−C6アルケニルオキシ、C2−C6
アルケニルメルカプト、C2−C6アルキニルオキシ、C2−C6アルキニルメルカ
プト、アミノ、C1−C6アルキルアミノ、ジ−C1−
C6アルキルアミノ、C1−C6アルキルカルボニルアミノ、C1−C6アルキルア
ミノカルボニル、C1−C6アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、ベンジルオキシ
、フェニルメルカプト、フェニルオキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、トリフル
オロメチル、アジド、ホルミルアミノ、カルボキシ又はフェニルにより任意的に
1又は数回置換されていることのあるフェニルであるか;
7〜15個のC原子を有する炭素環の単環、二環もしくは三環式残基、又は複素
環式の単環、二環もしくは三環式の環系を表わすことができ、ここでこの不飽和
又は芳香炭素環及び複素環は部分的に又は完全に水素化されていよい;
R1はフェニル、フェニル−C1−C6アルキル、ヘトアリール(hetaryl)又はヘ
トアリール−C1−C6アルキルであってよく、そのヘテロ原子は同一又は異なる
ものであってよく、そして酸素、硫黄又は窒素であってよく、それは直鎖又は枝
分れした飽和又は不飽和C1−C6もしくはC2−C6アルキル残基、C1−C6アル
コキシ、C1−C6アルキルメルカプト、C1−C6アルキルスルフィニル、C1−
C6アルキルスルホニル、C1−C6アルキルアミノ、C1−C6ジアルキルアミノ
、C1−C6アルコキシカルボニル、カルボキシ、カルボキシ−C1−C6アルキル
カルボニル、カルボキシ−C2−C6アルケニルカルボニル、アミノ、ハロゲン、
ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アジド、フェニル又はベンジルオキシにより任意
的に1又は数回置換されていてよい;
R2は水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、シアノ、アミノ又はヒ
ドロキシを表わし;
Xは酸素、硫黄又はNR2を表わし、そして
Yは酸素又は硫黄を表わす)並びにその互変異性体、鏡像異性体及び立体異性
体、並びにその生理学的に寛容される塩を含む薬剤に
関する。
RがC1−C4アルキル、アリル、ベンジル、4ブロモフェニルメチル又はフェ
ニルを表わし、そしてR1が未置換又は置換化フェニル環を表わす式Iの物質は
文献から公知となっている。これに関連して、これらの物質は主に複素環式最終
生成物の製造のための中間体として利用される。
式Iのいくつかの物質の酸化的環化がSynthesis 1020, 1990に記載されている
。前記化合物からのトリアジンの製造がDE 3,516,631;US 4,460,585;US 3,914
,224;及びChem.Ber. 105, 3168, 1972に記載されている。上記の物質からのア
ミジノウレアの製造がIN 152, 552(1984)に記載され、そしてチアトリアジンの
製造がJ.Het.Chem. 21, 1553, 1984に記載されている。コメの成長の刺激は式I
のいくつかの化合物に寄因する(J.Plont.Growty Regul. 2, 129, 1983)。いく
つかの論文は、チアジアゾール、ジチアゾリジン及びチアジアゾリシンの製造の
ためのこれらの化合物を述べている(Indian J.Chem.,Sect.B.15B,192, 1972
;Ind.J.Chem. 12, 134, 1974;J.Chem.Soc. 4191, 1962;J.Indian Chem.Soc.
38, 988, 1961;J.Chem.Soc. 1064, 1959;J.Chem.Soc. 379, 1958及びChem.& I
nd. 1482, 1956)。式Iのいくつかの化合物の製造がZh.Vses,Khim.Obshchest.
19, 109, 1974 ;Belg.667875 及びJ.Indian Chem.Soc. 38, 979, 1961に記載さ
れている。これらの物質はJ.Het.Chem. 10, 631, 1973及びJ.Chem.Soc.C. 2471,
1967において,トリアゾロール[1,5−アルファー]ピリミジン及びトリア
ゾールの製造に関して記載されている。除草剤としての、一般的な作用が米国出
願2,780,535号に最終的に請求の範囲とされている。しかしながら、これらの化
合物の薬理作用は従来知られていない。
式Iの化合物は有用な薬理特性を有する。特に、これらは強力な
抗ウィルス作用を有し、そしてウィルス又はレトロウィルス性の感染症が原因と
なっている病気の処置にとって極めて適切である。これらはDNA ウィルス、例え
ばヘルペス単純ウィルス、サイトメガロウィルス、パピローマウィルス、バリセ
ラーゾスターウィルスもしくはエプスティン・バーウィルス、又はRNA ウィルス
、例えばトガ(Toga)ウィルス、又は特にレトロウィルス、例えばオンコウィル
スHTLVI及びII、更にはレンチウィルスビスナ及びヒト免疫不全ウィルスHIV −
1及び2かを原因となっている感染症の治療及び予防にとって極めて適当である
。上記の式Iの化合物は全て、ヒトにおけるレトロウィルスHIV 感染、AIDS関連
合併症(ARC)の進行段階及びAIDSの完全臨床容体の臨床処置にとって極めて適当
であるようである。
哺乳類、特にヒトのウィルス感染症は広く行き渡っている。かなりの研究にも
かかわらず、有意義な成功を伴ってウィルス又はレトロウィルス依存性の病気の
進行を根本的に又は症状学的に妨げる化学療剤を供することは、現在まで可能で
なかった。現在、一定のウィルス障害の症状、例えば後天的免疫不全症候群(AID
S)、AIDS関連合併症(ARC)及びその前駆症状、ヘルペス、サイトメガロウィルス(
CMV)、インフレンザ及びその他のウィルスの感染症を治療する又は好適に化学治
療的に作用を及ぼすことは可能でない。現在、ジドブジン又はRetrovir(商標)
として知られる3′−アジド−3′−デオキシ−チミジン(AZT)が、例えばAID
Sの処置にとって有用であるもののほぼ全てとなっている。しかしながらAZTは非
常に狭い治療域及びこの治療域において既に観察されている極めて厳しい毒性を
特徴とする(Hirsch,M.S.(1988),J.Infec.Dis. 157, 427 −431)。一般式Iの化
合物はこのような欠点を有さない。これらは薬理学的に対応する投与量において
細胞毒性抜きで抗ウィルス的に作
用する。
一般式Iの化合物はDNA 及びRNA ウィルスの複製を、ウィルス特異的DNA 及び
RNA 転写レベルにおいて阻害することをこの度証明することができる。この物質
は酸素−逆転写酸素を阻害することによりレトロウィルスの複製に影響を及ぼす
ことができる(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83, 1911, 1986及びNature 325, 773,
1987を参照のこと)。
本発明はまた次式(I)の新規の(チオ)カルビミジニン酸誘導体
(式中、
Rは1〜9個の炭素原子を有する直鎖又は枝分れした飽和又は不飽和脂肪残基
、C3−C8シクロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C6アルキルメ
ルカプト−C1−C6アルキル、アミノ−C1−C6−アルキル、C1−C6アルキル
アミノ−C1−C6アルキル、C1−C6ジアルキルアミノ−C1−C6アルキル、カ
ルボキシ−C1−C6アルキル、C3−C8シクロアルキル−C1−C6アルキル;置
換化フェニル−C1−C6アルキル;置換化ピリジル−C1−C6アルキルを表わす
か;
フェニルであって、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキ
ルメルカプト、C1−C6アルキルスルフィニル、C1−C6アルキルスルホニル、
C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C2−C6アルケニル−オキシ、C2
−C6アルケニルメルカプト、C2−C6アルキニルオキシ、C2−C6アルキニル
メルカプト、アミノ、C1−C6アルキルアミノ、ジ−C1−C6アルキルアミノ、
C1−C6アルキルカルボニルアミノ、
C1−C6アルキルアミノカルボニル、C1−C6アルコキシカルボニル、ヒドロキ
シ、ベンジルオキシ、フェニルメルカプト、フェニルオキシ、ニトロ、シアノ、
ハロゲン、トリフルオロメチル、アジド、ホルミルアミノ、カルボキシ又はフェ
ニルにより任意的に1又は数回置換されていることのあるフェニルであるか;
7〜15個のC原子を有する炭素環の単環、二環もしくは三環式の残基、又は複
素環式の単環式、二環式もしくは三環式の環系を表わすことができ、ここでこの
不飽和又は芳香炭素環及び複素環は部分的に又は完全に水素化されていてよい;
R1はフェニル、フェニル−C1−C6アルキル、ヘトアリール又はヘトアリー
ル−C1−C6アルキルであってよく、そのヘテロ原子環は最大で4個のヘテロ原
子を有し、そしてそのヘテロ原子は同一又は異なるものであってよく、そして酸
素、硫黄又は窒素であってよく、それは直鎖又は枝分れした飽和又は不飽和の脂
肪残基C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルメルカプト、C1−C6アルキルス
ルフィニル、C1−C6アルキルスルホニル、C1−C6アルキルアミノ、C1−C6
ジアルキルアミノ、C1−C6アルコキシカルボニル、カルボキシ、カルボキシ−
C1−C6アルキルカルボニル、カルボキシ−C2−C6アルケニルカルボニル、ア
ミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アジド、フェニル又はベンジル
オキシにより任意的に1又は数回置換されていてよい;
R2は水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、シアノ、アミノ又はヒ
ドロキシを表わし;
Xは酸素、硫黄又はNR2を表わし、そして
Yは酸素又は硫黄を表わす)並びにその互変異性体、鏡像異性体及び立体異性
体、並びにその生理学的に寛容される塩に関連し、
ただし、R1が未置換又は置換化フェニル環を表わしているとき
、RはC1−C4アルキル、アリル、ベンジル、4−ブロモフェニルメチル又はフ
ェニルを表わさないことを条件とする。
一般式Iの化合物における脂肪残基Rは1〜9、好ましくは2〜7個の炭素原
子を有する直鎖又は枝分れしたアルキル、アルケニル又はアルキニル残基、例え
ばプロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル又はヘプ
チル残基を表わす。C2−C7アルケニル及びアルキニル残基には不飽和残基が含
まれ、そして好ましくはC2−C5、例えばアリル、ジメチルアリル、ブテニル、
イソブテニル、ペンテニル又はプロピル残基である。シクロペンチル及びシクロ
ヘキシには好ましくはC3−C8シクロアルキル残基として利用する。C1−C6ア
ルコキシアルキル、C1−C8アルキルメルカプトアルキル、アミノアルキル、C1
−C6アルキルアミノアルキル、C1−C6ジアルキルアミノアルキル及びカルボ
キシアルキルの場合、このアルキル残基は1〜6、好ましくは1〜3個の炭素原
子を有する。C3−C8シクロアルキルアルキル、フェニル−C1−C3アルキル及
びピリドキシル−C1−C3アルキルの場合、シクロペンチルメチル、ベンジル、
フェネチル、ピリジルメチル及びピリジルエチルが好ましい。
Rがフェニル環を表わすとき、それは1回、2回又は3回置換されていてよい
。この置換基は独立してo、m又はp位にあってよい。
7〜15個のC原子を有する炭素環は単環、二環又は三環であってよく、そして
それぞれ環当り5又は6個のC原子を有しうる。この環は飽和、不飽和、部分飽
和又は芳香系であってよい。以下の環系が例として挙げられる:ナフチル、アン
トラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、インデニル、アセナフチレニル
、ノルボルニル、アダマンチル環又はC3−C7シクロアルキルもしくはC5−
C8シクロアルケニル基。更に、この炭素環はモノ置換又はジ置換されていてよ
く、ここでその置換基は独立してo又はm位にあってよく、そしてC1−C6アル
キル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルメルカプト、C1−C6アルキルス
ルフィニル、C1−C6アルキルスルホニル、C1−C6アルケニル、C2−C6アル
キニル、C3−C6アルケニルオキシ、C1−C6アルキルアミノ、C1−C6ジアル
キルアミノ、C1−C6アルキルカルボニルアミノ、C1−C6アルキルアミノカル
ボニル、C1−C6アルコキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、ニトロ、アジド
、トリフルオロメチル、シアノ又はハロゲンを含んで成る群から選ばれる。
残基Rの複素環式単環、二環又は三環系は環当たり5又は6個の炭素原子を含
み、ここでその1〜4又は1〜5個のC原子はヘテロ原子の酸素、硫黄及び/又
は窒素により置換されていてよい。この環系は芳香族であるか、又は部分的もし
くは完全に水素化されていてよい。以下の環系が例として挙げられる:ピリジン
、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、ピロール、ピラゾール、イ
ミダゾール、トリアゾール、チアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキ
ザジアゾール、フラザン、フラン、チオフェン、インドール、キノリン、イソキ
ノリン、クマロン、チオナフテン、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、イ
ンダゾール、ベンズイミダゾール、ベンズトリアゾール、クロメン、フタラジン
、キナゾリン、キノキサリン、メチレンジオキシ−ベンゼン、カルバゾール、ア
クリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン又はプリン系。ここで
その不飽和又は芳香族炭素環及び複素環は部分的又は完全に水素化されていてよ
い。この複素環は更にモノ置換及びジ置換されていてよく、その置換基は独立し
て好ましくはo又はm位にある。
Rは好ましくは、未置換のフェニルを表わすか、又はC1−C6アルキル、C1
−C6アルコキシ、C1−C6アルキルメルカプト、C1−C6アルキルスルフィニ
ル、C1−C6アルキルスルホニル、C2−C4アルケニル、C2−C6アルキニル、
C3−C4アルケニルオキシ、C1−C6アルキルアミノ、C1−C6ジアルキルアミ
ノ、C1−C6アルキルカルボニルアミノ、C1−C6アルキルアミノカルボニル、
C1−C6アルコキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、ニトロ、アジド、トリフ
ルオロメチル、シアノもしくはハロゲンにより1回もしくは2回置換されている
フェニルを表わす。前記置換基の「アルキル」成分は3個まで炭素原子を含むこ
とが好ましい。
複素環系及びヘトアリール残基は好ましくはピロール、イミダゾール、フラン
、チオフェン、ピリジン、ピリミジン、チアゾール、トリアジン、インドール、
キノリン、イソキノリン、クマロン、チオナフテン、ベンズイミダゾール、キナ
ゾリン、メチレンジオキシベンゼン、エチレンジオキシベンゼン、カルバゾール
、アクリジン及びフェノチアジンであり、ここでその複素環はC1−C6アルキル
、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルメルカプト、C1−C6アルキルスルフ
ィニル、C1−C6アルキルスルホニル、C2−C4アルケニル、C2−C6アルキニ
ル、C3−C6アルケニルオキシ、C1−C6アルキルアミノ、C1−C6ジアルキル
アミノ、C1−C6アルキルカルボニルアミノ、C1−C6アルキルアミノカルボニ
ル、C1−C6アルコキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、ニトロ、アジド、ト
リフルオロメチル、シアノ又はハロゲンにより1回又は2回置換されていてよい
。前記置換基の「アルキル」成分は好ましくは3個までの炭素原子を含みうる。
もしR1がフェニル環又は芳香複素環を表わすなら、これらは好
ましくはC1−C3アルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4アルキニル、C1−
C3アルコキシ、C1−C3アルキルメルカプト、C1−C3アルキルアミノ、C1−
C3ジアルキルアミノ、C1−C3アルコキシカルボニル、カルボキシエチルカル
ボニル、カルボキシビニルカルボニル、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ
及びアジドにより1又は数回置換されていてよく、そしてこの芳香複素環は3〜
7個の炭素原子を有していてよく、ここでその環原子のうちの4個までがヘテロ
原子の酸素、硫黄及び/又は窒素により置換されていてよい。以下の複素環が例
として挙げられる:フラン、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾル、
トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン又はピラジン環。
Rについて特に好ましい残基は、C3−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2
−C4アルキニル、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチル、ピリジルエチル(
これは任意的にC1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ又はハロゲンによりモノ
置換又はジ置換されている)、フェニル(これはC1−C3アルキル、C1−C3ア
ルコキシ、C1−C3アルキルメルカプト、アリル、アリルオキシ、C1−C3アル
キルアミノ、ジ−C1−C3アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、アジド、トリ
フルオロメチル、シアノもしくはハロゲンによりモノ置換もしくはジ置換されて
いるか、又はメチルもしくはハロゲンによりトリ置換されている)、ナフチル、
アントラセニル、インデニル、アセナフチレニル、フェナントレニル、アダマン
チル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリ
ミジニル、チアゾリル、インドリル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、メチレ
ンジオキシ−フェニル、カルバゾリル及びフェノチアジニル、並びに上記の炭素
環又は複素環の誘導体であってメチル又はハロゲンによりモノ置換又はジ置換さ
れて
いる誘導体である。
R1について特に好ましい残基はフェニル及び5〜6個の環原子を有する窒素
を含む芳香環であり、これらは水素、メチル、エチル、イソプロピル、アリル、
メトキシ、エトキシ、メチルメルカプト、エチルメルカプト、メチルアミノ、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、カルボキシビニルカルボニル、アミノ
、アジド、シアノ、ヒドロキシ及びハロゲン(ここでハロゲンに関しては塩素及
び臭素が特に好ましい)により1又は数回置換されている。
R2について、水素、アミノ及びヒドロキシが特に好ましい。
酸素及び硫黄がXについて特に好ましいと考えられる。
Yは好ましくは硫黄を表わす。
本発明に係る一般式Iの化合物は、論文より公知となっている方法に従い、一
般式IIのイソシアネート又はチオイソシアネート
R1 −N=C=X (II)
(式中、R1は上記と同じ意味を有し、そしてXは酸素又は硫黄である)を一
般式IIIのイソウレア又はイソチオウレア
(式中、R,R2及びYは上記の意味を有す)と、適切な不活性溶媒の中で、
室温から還流温度で、任意的にトリエチルアミノの如くの塩基の存在下で反応さ
せ、そして所望するならば式Iの化合物を別の式Iの化合物に事後変換させ、次
いでクロマトグラフィーにより又は再結晶化により精製することにより、製造さ
れる。
式Iの化合物の、別の式Iの化合物に至る更なる変換は、例えばXが残基NR2
を表わしている一般式Iの誘導体の製造に関連する。これらの化合物はX=Sで
あるか又はSがアルキルを表わす一般式Iの化合物を、式H2NR2のアミンと、極
性溶媒の中で、任意的に加
圧のもとで、又はカルボジイミドの存在下で、0℃とその溶媒の沸点との間の温
度において反応させることにより製造される。
本薬剤はウィルス性感染症の処置のための少なくとも一般の式Iの化合物を含
み、そして液状又は個体状で経腸的に、又は非経口的に投与することができる。
この場合、通常の投与形態には例えば錠剤、カプセル、コート化錠剤、シロップ
、溶液又は懸濁物が考えられる。注射媒体として水が好適に利用され、この媒体
は安定化剤、溶解剤及び緩衝剤の如くの通常の注射溶液用添加剤を含む。かかる
添加剤は例えば酒石酸及びクエン酸緩衝剤、エタノール、錯成形剤、例えばエチ
レンジアミン四酢酸及びその無毒な塩、高分子量ポリマー、例えば粘度調節用液
状ポリエチレンオキシドである。注射溶剤用液状担体物質は減菌しなくてはなら
ず、そして好ましくはアンプルに分注する。固形担体は、例えばデンプン、ラク
トース、マンニトール、メチルセルロース、タルカム、高分散化ケイ酸、高分子
量脂肪酸、例えばステアリン酸、ゼラチン、寒天−寒天、リン酸カルシウム、ス
テアリン酸マグネシウム、動物性又は植物性脂肪、固形高分子量ポリマー、例え
ばポリエチレングリコール等である。経口服用にとって適当である製剤は、所望
するならば、風味料及び甘味料を含んでよい。
投与量は、投与態様、種、年齢又は個体の症状の如くの様々な要因に依存しう
る。本発明に係る化合物は通常1日、且つ体重kg当り0.1〜100mg、好ましくは0.
2〜80mgの量で投与する。毎日の投与量は好ましくは2〜5回の服用に分け、そ
れにおいては0.5〜500mgの活性物質含有量を有する1〜2錠を各服用時において
投与する。この錠剤は徐放型であってもよく、これにより服用の回数は1日当り
1〜3回に減らすことができる。徐放型錠剤中の活性物質の含有量は2〜1000mg
でありうる。この活性物質は連続点滴によって投
与してもよく、この場合1日当り5〜1000mgの量が通常適当である。この薬剤は
AZTの如くのその他の抗ウィルス剤と組合せて投与してもよい。
実施例に挙げる化合物及び請求の範囲に記載の全ての置換基を組合せることに
より誘導されるものに加えて、以下の式Iの化合物が本発明の範囲に属すると考
えられ、これらはラセミ体混合物もしくは光学活性体、又は純粋なR及びS鏡像
異性体として存在しうる:
1.N−(フェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸−2(4−メ
チルペンチル)エステル
2.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸2
−(4−メチルペンチル)エステル
3.N−(3−フルオロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸
2−(4−メチルペンチル)エステル
4.N−(4−ジメチルアミノフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジ
ニン酸2−(4−メチルペンチル)エステル
5.N−(4−ヒドロキシカルボニルフェニルアミノチオカルボニル)チオカル
ビミジニン酸2−(4−メチルペンチル)エステル
6.N−(4−ヒドロキシスルホニルフェニルアミノチオカルボニル)チオカル
ビミジニン酸2−(4−メチルペンチル)エステル
7.N−(4−カルボキシビニルカルボニルフェニルアミノチオカルボニル)−
チオカルビミジニン酸2−(4−メチルペンチル)エステル
8.N−(4−メトキシフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸
2−(4−メチルペンチル)エステル
9.N−(3−トリフルオロメチルフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビ
ミジニン酸2−(4−メチルペンチル)エステル
10.N−(2−プロモフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビ
ミジニン酸2−(4−メチルペンチル)エステル
11.N−(4−メチルフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸2
−(4−メチルペンチル)エステル
12.N−(4−ニトロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸2
−(4−メチルペンチル)エステル
13.N−(4−イソプロピルフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニ
ン酸2−(4−メチルペンチル)エステル
14.N−(3−シアノフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸2
−(4−メチルペンチル)エステル
15.N−(4−メチルスルホニルフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミ
ジニン酸2−(4−メチルペンチル)エステル
16.N−(2−ピリジルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸2−(4
−メチルペンチル)エステル
17.N−(3−ピリジルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸2−(4
−メチルペンチル)エステル
18.N−(4−ピリジルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸2−(4
−メチルペンチル)エステル
19.N−[(5−プロモ−2−ピリジル)アミノチオカルボニル]−チオカルビ
ミジニン酸2−(4−メチルペンチル)エステル
20.N−(2−チエニルアミノチオカルボニル)−チオカルビミジニン酸2−(
4−メチルペンチル)エステル
21.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸メ
チルエステル
22.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸エ
チルエステル
23.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸ベ
ンジルエステル
24.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸(
2−クロロベンジル)エステル
25.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸シ
クロヘキシルエステル
26.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸(
4(5)−イミダゾリルメチル)エステル
27.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸ヘ
キシルエステル
28.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸(
2−ピリジルエチル)エステル
29.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸(
3−クロロベンジル)エステル
30.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸(
4−クロロベンジル)エステル
31.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸(
2−アミノエチル)エステル
32.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸(
2,5−ジヒドロキシフェニル)エステル
33.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸(
2−カルボキシエチル)エステル
34.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸イ
ソプロペンチルエステル
35.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸n
−ブチルエステル
36.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸(
2−ジメチルアミノエチル)エステル
37.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビ
ミジニン酸(3−ジメチルアミノプロピル)エステル
38.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸(
2−ピリジル)エステル
39.N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸(
3−メチル−2−ピリジル)エステル
40.N−(4−フェニルアミノカルボニル)チオカルビミジニン酸メチルエステ
ル
41.N−(4−フェニルアミノカルボニル)チオカルビミジニン酸ベンジルエス
テル
42.N−(フェニルアミノカルボニル)チオカルビミジニン酸フェニルエステル
43.N−(フェニルアミノガルボニル)チオカルビミジニン酸2−(4−メチル
ペンチル)エステル
44.N−(フェニルアミノチオカルボニル)カルミジン酸エチルエステル
45.N−(フェニルアミノチオカルボニル)カルミジン酸アリルエステル
46.N−(フェニルアミノチオカルボニル)カルミジン酸(3−メチルフェニル
)エステル
47.N−(フェニルアミノチオカルボニル)カルミジン酸2−(5−メチルピリ
ジル)エステル実施例1
N−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル)チオカルビミジニン酸2−(
4−メチルペンチル)エステル
a)22.83 g(0.3mol)のチオウレア及び55g(0.33mol)の2−ブロモ−4−メ
チルペンタンを24時間、40mlのエタノールの中で還流
しながら加熱した。次いで溶媒をエバポレーションにより濃縮し、その残渣を25
0 mlのエーテルと混合し、そして吸引濾過した。アセトンからの再結晶化の後、
143 ℃の融点を有する55gの2−(4−メチルペンチル)イソチウロニムブロミ
ドが得られた。
b)2.65g(11mmol)の2−(4−メチルペンチル)イソチウロニウムブロミド
(実施例1a)、1.69g(10mmol)の4−クロロフェニルイソチオシアネート及
び1.12g(11mmol)のトリエチルアミンを20の塩化メチレンの中で5時間25℃で
撹拌した。次いで有機相をINの冷塩酸及び炭酸水素溶液で洗い、そしてエバポレ
ーションにより濃縮した。残渣がイソプロパノール/イソヘキサン(1:3)か
ら再結晶化した。117 〜119 ℃の融点を有する2.1 gの表題の化合物が得られた
。実施例2
以下の化合物が実施例1に類似して得られた:
a)95〜96℃の融点を有するN−(フェニルアミノチオカルボニル)チオカルビ
ミジニン酸2−(4−メチルペンチル)エステル。
b)80〜95℃の融点を有するN−(3−フルオロフェニルアミノチオカルボニル
)チオカルビミジニン酸2−(4−メチルペンチル)エステル。
c)145〜146℃の融点を有するN−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル
)チオカルビミジニン酸メチルエステル。
d)125〜126℃の融点を有するN−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル
)チオカルビミジニン酸エチルエステル。
e)133〜135 ℃の融点を有するN−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニ
ル)チオカルビミジニン酸ベンジルエステル。
f)144〜146 ℃の融点を有するN−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニ
ル)チオカルビミジニン酸シクロヘキシルエステル。
g)123〜124 ℃の融点を有するN−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニ
ル)チオカルビミジニン酸3−クロロベンジルエステル。
h)147〜149 ℃の融点を有するN−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニ
ル)チオカルビミジニン酸4−クロロベンジルエステル。
i)106〜107 ℃の融点を有するN−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニ
ル)チオカルビミジニン酸ヘキシルエステル。
j)126〜128 ℃の融点を有するN−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニ
ル)チオカルビミジニン酸ブチルエステル。
k)139〜141 ℃の融点を有するN−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニ
ル)チオカルビミジニン酸2−メチルアリルエステル。
1)132〜134 ℃の融点を有するN−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニ
ル)チオカルビミジニン酸2−(2−ピリジル)エチルエステル。
m)121〜123 ℃融点を有するN−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニル
)チオカルビミジニン酸2−(4−チルホリノ)エチルエステル。
n)127〜129 ℃の融点を有するN−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニ
ル)チオカルビミジニン酸フェニルエステル。
o)148〜149 ℃の融点を有するN−(4−クロロフェニルアミノチオカルボニ
ル)チオカルビミジニン酸(4−メチルピリジン−2−イル)−メチルエステル
。
p)油としてのN−[(4−クロロフェニル)メチルアミノチオカルボニル]チ
オカルビミジニン酸2−(4−メチルペンチル)エステル。Rf値:0.7 (トルエ
ン:ジオキサン:水)。
g)油としてのN−[2−(4−クロロフェニル)エチルアミノチオカルボニル
]チオカルビミジニン酸2−(4−メチルペンチル)エステル。Rf値:0.25(ト
ルエン)。
r)113〜116 ℃の融点を有するN−(4−アミノスルホニルフェニルアミノチ
オカルボニル)チオカルビミジニン酸2−(4−メチルペンチル)エステル。
s)187〜191 ℃の融点を有するN−(4−カルボキシフェニルアミノチオカル
ボニル)チオカルビミジニン酸2−(4−メチルペンチル)エステル。
t)84〜86℃の融点を有するN−(フェニルアミノチオカルボニル)チオカルビ
ミジニン酸1−(2−メチル)フェネチルエステル。実施例3
N−(フェニルアミノカルボニル)チオカルビミジニン酸2−(4−メチルペン
チル)エステル
実施例1bに類似して、20mlの塩化メチレン中の2.65g(11mmol)の2−(4−
メチルペンチル)イソチウロニウムブロミド、1.19g(10mmol)のフェニルイソ
シアネート及び1.12g(11mmol)のトリエチルアミンから、無色の樹脂として2.
73gの表題の化合物が得られた(TLC、移動溶媒;トルエン:ジオキサン:水(9
0:20:0.2)。Rf=0.64。実施例4
抗ウィルス効果
いくつか選んだ物質の抗ウィルス効果をインビボ及びインビトロ(逆転写酵素
RTの阻害)で調べた。
a)MT2/MTT試験系(インビボ)
MT2細胞をHIV−1(HTLVIIIB単離体)で感染させた。7日間のインキュベー
ション後、細胞の生存率を決定するMTT 試験を実施し
た。細胞の生存率はウィルス生産度に相関する。IC50値、即ち50%の阻害を及ぼ
す物質濃度を以下の表に示す。
b)RTの阻害(インビトロ)
RT活性の阻害度を非放射活性マイクロタイタープレート試験で決定した。合成
されるDNA に組込まれたマクレオチドの量を光学的に決定した。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年4月25日
【補正内容】
R1はフェニル、フェニル−C1−C6アルキル、ヘトアリール(hetaryl)又はヘ
トアリール−C1−C6アルキルであってよく、そのヘテロ原子は同一又は異なる
ものであってよく、そして酸素、硫黄又は窒素であってよく、それは直鎖又は枝
分れした飽和又は不飽和C1−C6もしくはC2−C6アルキル残基、C1−C6アル
コキシ、C1−C6アルキルメルカプト、C1−C6アルキルスルフィニル、C1−
C6アルキルスルホニル、C1−C6アルキルアミノ、C1−C6ジアルキルアミノ
、C1−C6アルコキシカルボニル、カルボキシ、カルボキシ−C1−C6アルキル
カルボニル、カルボキシ−C2−C6アルケニルカルボニル、アミノ、ハロゲン、
ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アジド、フェニル又はベンジルオキシにより任意
的に1又は数回置換されていてよい;
R2は水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、シアノ、アミノ又はヒ
ドロキシを表わし;
Xは酸素、硫黄又はNR2を表わし、そして
Yは酸素又は硫黄を表わす、
ただし、XがO,YかS,Rがメチル、そしてR2がHのとき、R1は2,6メ
チル置換化フェニル環を表わさない)並びにその互変異性体、鏡像異性体及び立
体異性体、並びにその生理学的に寛容される塩を含む薬剤に関する。
RがC1−C4アルキル、アリル、ベンジル、4−ブロモフェニルメチル又はフ
ェニルを表わし、そしてR1が未置換又は置換化フェニル環を表わす式Iの物質
は文献から公知となっている。これに関連して、これらの物質は主に複素環式最
終生成物の製造のための中間体として利用される。
式Iのいくつかの物質の酸化的環化がSynthesis 1020,1990に記載されている
。前記化合物からのトリアジンの製造がDE 3,516,631
;US 4,460,585;US 3,919,224;及びChem.Ber.105,3168,1972に記載されて
いる。上記の物質からのアミジノウレアの製造がIN 152,552(1984)に記載され
、そしてチアトリアジンの製造が J.Het.Chem.21,1553,1984に記載されてい
る。コメの成長の刺激は式Iのいくつかの化合物に寄因する(J.Plont.Growty R
egul.2,129,1983)。いくつかの論文は、チアジアゾール、ジチアゾリジン及
びチアジアゾリシンの製造のためのこれらの化合物を述べている(Indion J.Che
m.,Sect.B.15B,192,1972;Ind.J.Chem.12,134,1974;J.Chem.Soc.4191,
1962;J.Indian Chem.Soc.38,988,1961;J.Chem.Soc.1064,1959;J.Chem.S
oc.379,1958及びChem.& Ind.1482,1956)。式Iのいくつかの化合物の製造
がZh.Vses,Khim.Obshchest.19,109,1974;Belg.667875及びJ.Indian Chem.So
c.38,979,1961に記載されている。これらの物質はJ.Het.Chem.10,631,197
3及びJ.Chem.Soc.C.2471,1967において,トリアゾロール[1,5−アルファ
ー]ピリミジン及びトリアゾールの製造に関して記載されている。除草剤として
の、一般的な作用が米国出願2,780,535 号に最終的に請求の範囲とされている。
しかしながら、これらの化合物の薬理作用は従来知られていない。抗ウィルス的
に働くアミジノウレア誘導体はJP−B−43008101及びJP−B−43006612より公知
とされている。
式Iの化合物は有用な薬理特性を有する。特に、これらは強力な抗ウィルス作
用を有し、そしてウィルス又はレトロウィルス性の感染症が原因となっている病
気の処置にとって極めて適切である。これらはDNAウィルス、例えばヘルペス単
純ウィルス、サイトメガロウィルス、パピローマウィルス、バリセラーゾスター
ウィルスもしくはエプスティン・バーウィルス、又はRNAウィルス、例えばトガ
(Toga)ウィルス、又は特にレトロウィルス、例えばオンコウィル
スHTLVI及びII、更にはレンチウィルスビスナ及びヒト免疫性ウィルスHIV−1
及び2かを原因となっている感染症の治療及び予防にとって極めて適当である。
上記の式Iの化合物は全て、ヒトにおけるレトロウィルスHIV感染、AIDS関連合
併症(ARC)の進行段階及びAIDSの完全臨床容体の臨床処置にとって極めて適当で
あるようである。
哺乳類、特にヒトのウィルス感染症は広く行き渡っている。かなりの研究にも
かかわらず、有意義な成功を伴ってウィルス又はレトロウィルス依存性の病気の
進行を根本的に又は症状学的に妨げる化学療剤を供することは、現在まで可能で
なかった。現在、一定のウィルス障害の症状、例えば後天的免疫不全症候群(AI
DS)、AIDS関連合併症(ARC)及びその前駆症状、ヘルペス、サイトメガロウィル
ス(CMV)、インフレンザ及びその他のウィルスの感染症を治療する又は好適に化
学治療的に作用を及ぼすことは可能でない。現在、ジドブジン又はRetrovir(商
標)として知られる3′−アジド−3′−デオキシ−チミジン(AZT)が、例えばA
IDSの処置にとって有用であるもののほぼ全てとなっている。しかしながらAZTは
非常に狭い治療域及びこの治療域において既に観察されている極めて厳しい毒性
を特徴とする(Hirsch,M.S.(1988),J.Infec.Dis.157,427−431)。一般式Iの化
合物はこのような欠点を有さない。これらは薬理学的に対応する投与量において
細胞毒性抜きで抗ウィルス的に作用する。
(式中、
Rは1〜9個の炭素原子を有する直鎖又は枝分れした飽和又は不飽和脂肪残基
、C3−C8シクロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C6アルキルメ
ルカプト−C1−C6アルキル、アミノ−C1−C6−アルキル、C1−C6アルキル
アミノ−C1−C6アルキル、C1−C6ジアルキルアミノ−C1−C6アルキル、カ
ルボキシ−C1−C6アルキル、C3−C8シクロアルキル−C1−C6アルキル;置
換化フェニル−C1−C6アルキル;置換化ピリジル−C1−C6アルキルを表わす
か;
フェニルであって、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキ
ルメルカプト、C1−C6アルキルスルフィニル、C1−C6アルキルスルホニル、
C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C2−C6アルケニルオキシ、C2−
C6アルケニルメルカプト、C2−C6アルキニルオキシ、C2−C6アルキニルメ
ルカプト、アミノ、C1−C6アルキルアミノ、ジ−C1−C6アルキルアミノ、C1
−C6アルキルカルボニルアミノ、C1−C6アルキルアミノカルボニル、C1−
C6アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、ベンジルオキシ、フェニルメルカプト
、フェニルオキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、アジド、
ホルミルアミノ、カルボキシ又はフェニルにより任意的に1又は数回置換されて
いることのあるフェニルであるか;
7〜15個のC原子を有する炭素環の単環、二環もしくは三環式の残基、又は複
素環式の単環式、二環式もしくは三環式の環系を表わすことができ、ここでこの
不飽和又は芳香炭素環及び複素環は部分的に又は完全に水素化されていてよい;
R1はフェニル、フェニル−C1−C6アルキル、ヘトアリール又はヘトアリー
ル−C1−C6アルキルであってよく、そのヘテロ
原子は同一又は異なるものであってよく、そして酸素、硫黄又は窒素であってよ
く、それは直鎖又は枝分れした飽和又は不飽和の脂肪残基C1−C6アルコキシ、
C1−C6アルキルメルカプト、C1−C6アルキルスルフィニル、C1−C6アルキ
ルスルホニル、C1−C6アルキルアミノ、C1−C6ジアルキルアミノ、C1−C6
アルコキシカルボニル、カルボキシ、カルボキシ−C1−C6アルキルカルボニル
、カルボキシ−C2−C6アルケニルカルボニル、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシ
、ニトロ、シアノ、アジド、フェニル又はベンジルオキシにより任意的に1又は
数回置換されていてよい;
R2は水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、シアノ、アミノ又はヒ
ドロキシを表わし;
Xは酸素、硫黄又はNR2を表わし、そして
Yは酸素又は硫黄を表わす)並びにその互変異性体、鏡像異性体及び立体異性
体、並びにその生理学的に寛容される塩に関連し、
ただし、R1が未置換又は置換化フェニル環を表わしているとき、RはC1−C4
アルキル、アリル、ベンジル、4−ブロモフェニルメチル又はフェニルを表わ
さないことを条件とする。
C1−C6アルキルスルフィニル、C1−C6アルキルスルホニル、C1−C6アルキ
ルアミノ、C1−C6ジアルキルアミノ、C1−C6アルコキシカルボニル、カルボ
キシ、カルボキシ−C1−C6アルキルカルボニル、カルボキシ−C2−C6アルケ
ニルカルボニル、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アジド、フ
ェニル又はベンジルオキシにより任意的に1又は数回置換されていてよい;
R2は水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、シアノ、アミノ又はヒ
ドロキシを表わし;
Xは酸素、硫黄又はNR2を表わし、そして
Yは酸素又は硫黄を表わし、
ただし、XがO,YがS,Rがメチル、そしてR2がHのとき、R1は2,6メ
チル置換化フェニル環を表わさない)並びにその互変異性体、鏡像異性体及び立
体異性体、並びにその生理学的に寛容される塩を含む薬剤。
2.Rがナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、イン
デニル、アセナフチレニル、ノルボルニル、アダマンチル、C3−C7シクロアル
キル又はC5−C8シクロアルケニル環を含んで成る群から選ばれる7〜15個のC
原子を有する単環、二環又は三環式の炭素環を表わし、ここでその環が未置換で
あるか、又はC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルメルカ
プト、C1−C6アルキルスルフィニル、C1−C6アルキルスルホニル、C2−C6
アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6アルケニルオキシ、C1−C6アルキ
ルアミノ、C1−C6ジアルキルアミノ、C1−C6アルキルカルボニルアミノ、C1
−C6アルキルアミノカルボニル、C1−C6アルコキシカルボニル、アミノ、ヒ
ドロキシ、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル
、シアノ又はハロゲンより成る群から選ばれる1もしくは複数個の置換基により
置換されていることのある、請求項1記載の薬剤。
3.Rがピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、ピロー
ル、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、オキサゾール、イ
ソキサゾール、オキサジアゾール、フラザン、フラン、チオフェン、インドール
、キノリン、イソキノリン、クマロン、チオナフテン、ベンズオキサゾール、ベ
ンズチアゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンズトリアゾール、ク
ロメン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、メチレン−ジオキシベンゼン
、カルバゾール、アクリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン又
はプリン系を含んで成る群から選ばれる複素環式の単環、二環又は三環を表わし
、ここでこれらは部分的又は完全に水素化されていてよく、そしてこれらの環は
未置換であるか、又はC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキ
ルメルカプト、C1−C6アルキルスルフィニル、C1−C6アルキルスルホニル、
C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6アルケニルオキシ、C1−
C6アルキルアミノ、C1−C6ジアルキルアミノ、C1−C6アルキルカルボニル
アミノ、C1−C6アルキルアミノカルボニル、C1−C6アルコキシカルボニル、
アミノ、ヒドロキシ、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、シアノもしくはハ
ロゲンを含んで成る群から選ばれる1もしくは複数の置換基により置換されてい
ることのある、請求項1記載の薬剤。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07C 323/44 7419−4H C07C 323/44
335/28 7106−4H 335/28
C07D 213/40 9164−4C C07D 213/40
213/75 9164−4C 213/75
233/64 103 7019−4C 233/64 103
333/36 9455−4C 333/36
// C07M 7:00
(72)発明者 レセル,ウルリケ
ドイツ連邦共和国,デー―81375 ミュン
ヘン,スティフツボーゲン 64