JPH084962B2 - 穴ぐり工具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、工作機械のスピンドルに連結することが
でき、その回転軸線に対して直径上で対向して配置され
た２つの位置において、工具ヘツドのシヤンクを取付け
るためそれぞれ半径方向に延びる取付部をもち、この取
付部は取付本体に対して半径方向に工具ヘツドを固定す
る当接面をもつ取付本体と、ビツトをもち、回転軸線に
対して工具ヘツド上で半径方向に移動可能なビツト支持
具と、取付本体に工具ヘツドを連結する締付部材とを有
する穴ぐり工具に関する。

従来の技術 この種の穴ぐり工具は、ほぼ200mmから1m以上の直径
をもつ加工物の内孔または凹面状に弯曲した面の内側丸
削用として用いられる。公知のこの種の工具において、
取付本体は、その両端に設けられた横方向部材を有し、
その端面には横方向部材の回転軸線に対して半径方向に
延びる正方形または長方形断面の案内部分を有する。工
具ヘツドのシヤンクはこれらの案内部分で半径方向に移
動可能に案内される。横方向部材に嵌合される嵌合ピン
が、工具ヘツドのシヤンクに形成され、半径方向へ互い
に隔たつて配置された３つの嵌合凹部の１つに係合す
る。工具ヘツドは、嵌合内孔と嵌合ピンとによつて横方
向部材に対して段階的に調節される。嵌合ピンは工具ヘ
ツドを取付本体に対して半径方向に固定する当接面を形
成する。工具ヘツドは複数のねじによつて横方向部材に
取外し可能に連結される。工具ヘツドが嵌合ピンと嵌合
内孔とによつて段階的に調節されたのちに、所望の加工
直径の設定は、ビツト支持具を工具ヘツドに対して半径
方向へ移動することによつて実施される。

発明が解決しようとする問題点 このような公知の穴ぐり工具は、正方形または長方形
断面となつているため製造費がかなり高い。そのうえ横
方向部材を用いて加工できる直径の範囲は比較的小さ
い。よつて、例えば、355mmと520mmとの間の加工直径に
対して１つの横方向部材を設け、520mmから685mmの直径
の範囲に対しては、別の横方向部材が必要であるという
ような欠点があつた。

この発明の目的は、前記のような従来の穴ぐり工具が
提起する問題を解決し、広い範囲の直径に亘つて加工す
ることができると同時に、製造が容易で、安定性の高い
穴ぐり工具を提供するにある。

問題点を解決するための手段 この発明は、ハブ状の取付本体が、回転軸線に対して
半径方向に延びる軸線をもつ取付内孔を、その回転軸線
に対して直径上で対向して配置された場所に具え、取付
内孔は該取付内孔の軸線に対して垂直に延びる当接面に
よつて囲まれ、工具ヘツドは取付内孔に嵌合する差込部
を有し、この差込部はその軸線に対して垂直に延びる環
状面によつて同心的に囲まれ、さらに取付本体と工具ヘ
ツドとの間に配置され、それらに嵌合される少くとも１
つの中間部分をもち、その一端には取付本体の取付内孔
に対応する半径方向当接面をもつ取付内孔を、その他端
には工具ヘツドの差込部に対応する環状面をもつ差込部
をもつている。

この発明による穴ぐり工具の一好適実施例は、２つの
第１取付内孔の方向へ90゜の角度をもつて移動して配置
された軸線をもつ、２つの別の直径上で対向して配置さ
れた半径方向の第２取付内孔を取付本体に設け、これら
の第２取付内孔の当接面は第１取付内孔の当接面から、
回転軸線から異なる間隔にある。それにより、工具ヘツ
ドが第１取付内孔に嵌合されるか、あるいは第２取付内
孔に嵌合されるかによつて、加工直径の変化に関して付
加的な選択ができる。

これに関する１つの好適な実施例においては、取付内
孔の当接面の間隔は、工具ヘツドのビツト支持具の最大
調節移動量よりも幾分小さい量だけ相違する。

実 施 例 図面を参照して、実施例について詳細に説明する。

取付本体１は差込部２をもち、この差込部を用いて工
作機械のスピンドル（図示せず）の円筒状取付内孔内
に、または工作機械のスピンドルに連結されるアダプタ
フランジの対応する取付内孔に直接取付けられる。これ
に関して、工作機械のスピンドルへの連結は、例えばEP
−AO123220に開示された方法で実施される。

その回転軸線Ｄに関して直径上で対向して配置された
２つの場所において、取付本体１は２つの円筒状第１取
付内孔３をもつている。これら２つの第１取付内孔と隣
接する部品は完全に同一であるので、同一の符号が用い
られる。取付内孔の一方についての説明は他方の取付内
孔にも対応する方向で適用できる。

取付内孔の軸線Ａは、回転軸線Ｄに対して半径方向に
延びる。第１取付内孔３は、取付内孔の軸線Ａに対して
垂直に延びる環状当接面４によつて囲まれている。工具
ヘツド５は第１取付内孔３に嵌合する差込部６を具備す
る。差込部６は該差込部の軸線に対して垂直に延びる環
状面によつて同心的に囲まれている。差込部６は第１取
付内孔３に嵌合される。２つの当接面４は回転軸線Ｄか
ら同一間隔r1にある。

第１図に詳細に図示された公知の締付部材が取付本体
１に工具ヘツド５を連結するのに用いられる。２つの直
径上で対向して配置されたねじ孔8,9が第１取付内孔３
の区域内に配置され、これらのねじ孔は軸線Ａに対して
半径方向に延び、それらのねじ孔に締付ねじ10,11が螺
合される。締付ねじ10は円錐状突出部10aをもち、締付
ねじ11は載頭円錐状凹部11aをもつている。締付ピン13
は差込部６内の横方向内孔12に取外し可能に取付けられ
る。締付ピン13はその一端に円錐状凹部に対応する円錐
状突出部13aをもち、その他端に円錐状突出部10oに対応
する凹部13bをもつている。当接面４からねじ孔8,9の軸
線A1までの間隔a1は、環状面７から横方向内孔12の軸線
A2までの間隔a2よりも幾分大きいので、締付ねじ、好ま
しくは締付ねじ10が緊締されるとき、締付ピン13は第１
取付内孔３の内部に向けて押入される。これによつて、
環状面７を当接面４に対して強固に押接させる。対応す
る締付部材が直径上で対向して配置された第１取付内孔
３に配設される。

工具ヘツド５は、軸線Ａに対して軸方向へ、ただし回
転軸線Ｄに対して半径方向へ案内孔14内を移動可能な切
削板またはビツト支持具15をもつている。ビツト支持具
15は交換可能な切削板またはビツト16を担持している。
止ねじ17が工具ヘツド５のねじ孔18に螺合される。この
ねじ孔はビツト支持具15の調節方向Ｖに沿つて延びる。
止ねじ17は、その周縁のほぼ1/3でビツト支持具15の開
口15a内に係合し、その端面で開口15aの端面15bと当接
する。止ねじ17が回転されると、調節方向Ｖへねじ孔18
内を移動し、開口15aとの係合によりビツト支持具15を
随伴させる。回転軸線Ｄと平行に延びる止ねじ19も回転
軸線Ｄの方向へビツト支持具をわずかに移動させる。こ
のような調節方式は、２つの直径上で対向して配置され
たビツト支持具15の有効刃先16aが同一の半径方向平面
内で作用するように要求される。ビツト16をもつビツト
支持具15は最大調節移動距離r3を止ねじ17によつて調節
され、図示の実施例においてこの距離はほぼ32mmであ
る。

そのような調節距離の設定は、取付本体１に類似の円
筒状取付内孔をもつプリセツト装置を用いて実施され
る。環状面７と刃先16aとの間の間隔は、プリセツト装
置で測定される。プリセツト装置で測定される間隔r4は
容易に計算される。D1が穴ぐり工具の所望の加工直径で
あり、r1が回転軸線Ｄから当接面４までの既知の間隔で
あれば、次の等式が適用できる。

r4＝0.5×D1−r1 ゆえにプリセツト装置において、必要なことは止ねじ
17によつて間隔r4を、止ねじ19によつて刃先16aの軸方
向位置を設定するだけである。この調節が実施される
と、締付ねじ20が緊締される。予め設定された切削ビツ
ト16を具備する工具ヘツド５は、従つて取付本体１の第
１取付内孔３内にきわめて迅速に嵌合され、締付ねじ10
を緊締することにより取付本体１に強固に連結される。
また工具本体は直径上で対向して配置された側において
工具ヘツド５（図示せず）に対して取付けられる。

ビツト支持具15の半径方向調節は、互いに２×r3、す
なわち64mm隔たる直径を設定することを可能にする。取
付本体１が一層大きい直径を加工するのにも用いられる
場合は、２つの別の第２取付内孔３′をもつことが望ま
しく、これは直径上で対向する関係で配置されるが、そ
れらの軸線A3は取付本体１の回転方向へ90゜回転して配
置される。第２取付内孔３′の形態は第１取付内孔３の
形態と正確に対応し、この場合、異なるところは単に第
２取付内孔３′の当接面４′が回転軸線Ｄからより大き
い間隔r5にあることである。間隔r5,r1の差異は、ビツ
ト支持具15の最大半径方向の調節移動距離r3よりも幾分
小さい。例えば、もしr1が89mmであれば、r5は119mmと
なる。第１取付内孔３に嵌合された工具ヘツド５によつ
て達成される最大可能加工直径D2よりも大きい直径に対
し、工具ヘツドは第１取付内孔３から取外されて第２取
付内孔３′に嵌合され、前記のように、締付ねじ10と正
確に対応する締付ねじ10で強固に締付けられる。

第２取付内孔３′内に工具ヘツドを嵌合することによ
つて達成させる最大加工直径よりも大きい加工直径に対
しては、第１取付内孔３が再び使用される。しかし、そ
の場合には、第３図に示すように、工具ヘツド５と取付
本体１との間に中間部分21が配置される。中間部分21
は、第１取付内孔３と正確に対応し、かつ工具ヘツド５
の環状面７の支持面として用いられる当接面23によつて
囲まれた取付内孔22をもつている。中間部分21はさらに
工具ヘツド５嵌合差込部６に相当し、従つて第１取付内
孔３に嵌合する差込部24をもつている。差込部24は締付
ピン13に相当する締付ピンを具備する。中間部分はまた
締付ねじ10,11に相当する締付ねじをもち、第３図では
その締付ねじ25のみが示されている。また中間部分21の
長さr6は、間隔r5,r1の差に相等する。図示の実施例で
は、この寸法は60mmである。

もしこの装置が中間部分21付きの穴ぐり工具の可能な
最大加工直径よりも大きい加工直径に対して、第３図に
示す設定状態で用いられれば、中間部分21は取付本体１
から工具ヘツド５を連結したままで取外され、次に大き
い直径を加工するために、１つの第２取付内孔３′に差
込部24を嵌合する。穴ぐり工具の加工範囲は、長さr6の
別の中間部分もしくはこの長さの２倍の１個の中間部分
を使用することによつて増大できる。それにより、図示
された取付本体を用いて398mmと762mmとの間の直径を加
工できる。

穴ぐりまたは内側旋削作業における重要な他の事項
は、工具ヘツド５が取付本体に組付けられた状態でも、
工具ヘツドに形成された冷却剤用内孔25,26と、中間部
分21に形成された冷却剤用内孔27とによつて、取付本体
１から冷却剤を切削ビツトに到達させ得ることである。

荒加工用のビツト16をもつビツト支持具15を取付けた
図示の工具ヘツドの代りに、加工物の最終加工のために
極めて微細に調節可能なビツト支持具を具備した別の工
具ヘツド（図示せず）を嵌合することもできる。

さらに取付本体１は、差込部２と同軸でかつ例えばミ
リングヘツド、穴ぐり棒、リーマまたはブローチなどの
ような他の工具を嵌合することができる別の取付内孔29
をもつこともできる。従つて、この種の組合わせ穴明け
工具を用いることによつて、一度の締付作業で加工物に
複数の組合わせ加工作業を実施することができる。

発明の効果 この発明は前記のようであるので、取付本体の取付内
孔及び工具ヘツドの差込部はその製造が比較的簡易であ
る。当該取付本体に対して使用できる直径の範囲は、単
数もしくは複数の中間部分の使用によつて可成り大き
い。よつて、例えば398mmから762mmの直径範囲に対して
１つの取付本体を用いることができ、一方698mmから134
2mmの次の直径範囲に対しては唯一の別の取付本体を必
要とするのみである。使用する中間部分は、システム化
された穴ぐり工具（例えば差込式連結手段をもつKomet
−ABS−取付工具のような）において便宜に使用されて
いる延設部分とすることもできる。そのうえ、別の直径
範囲用として充当される取付本体と連結して、これらの
中間部分を用いることもできる。この新規な穴ぐり工具
はまた、かなり高い剛性をもつので、この工具は比較的
高い前方送り速度で加工することが可能である。さら
に、この工具は取替えに関して高い精度を与える。それ
により切り刃は、比較的簡単な測定器具を用いてプリセ
ツト装置に機械の外側で工具ヘツド上に正確にプリセツ
トされる。この作業にはそれぞれ大きい加工直径に対応
する大型の測定工具を必要としない。取付本体でプリセ
ツトされた切刃をもつ工具ヘツドが、直接または中間部
分を介して取付本体に再び連結されるとき、工具ヘツド
の精密な長さが知られなければならないが、それは小数
の手作業で実施できるので、穴ぐり工具はこの状態で、
すでに機械上で別に工具を測定したり設定したり必要が
なく、所望の加工直径になつている。これにより機械上
での設定及び準備時間をかなり減少できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、第２図のＩで示された方向に見たこの発明の
実施例の正面図、第２図は第１図のIIで示された方向に
見た平面図、第３図は、中間部分を用いるときの第２図
と類似の図、第４図は、第２図のIVで示された方向に見
た側面図である。 １……取付本体、２……差込部 3,3′……第1,第２取付内孔、4,4′……当接面 ５……工具ヘツド、６……差込部 ７……環状面、８……ねじ孔 ９……ねじ孔、10……締付ねじ 10a……突出部、11……締付ねじ 11a……凹部、12……横方向内孔 13……締付ピン、13a……突出部 13b……凹部、15……ビツト支持具 21……中間部分、22……取付内孔 23……当接面、24……差込部 28……環状面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭60−42503（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−7908（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭53−55891（ＪＰ，Ｕ)

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】工作機械のスピンドルに連結することがで
   き、その回転軸線に対して直径上で対向して配置された
   ２つの位置に工具ヘッドのシャンクを取付けるための半
   径方向に延びる取付部をもち、この取付部は半径方向に
   工具ヘッドを固定する当接面をもつ取付本体と、ビット
   をもち、回転軸線に対して工具ヘッド上で半径方向に移
   動可能なビット支持具と、取付本体に工具ヘッドを連結
   する締付部材とを有する穴ぐり工具において、ハブ状の
   取付本体（１）に回転軸線（Ｄ）に対して半径方向に延
   びる軸線（Ａ）をもつ第１取付内孔（３）が回転軸線
   （Ｄ）に対して直径上で対向して配置され、第１取付内
   孔（３）が該内孔の軸線（Ａ）に対して垂直に延びる当
   接面（４）によって囲まれ、工具ヘッド（５）が第１取
   付内孔（３）に嵌合する差込部（６）を有し、差込部
   （６）はその軸線（Ａ）に対して垂直に延びる環状面
   （７）によって同心的に囲まれ、取付本体（１）と工具
   ヘッド（５）との間に配置され、それらと嵌合する少く
   とも１つの中間部分（21）を有し、該中間部分の一端に
   は取付本体（１）の第１取付内孔（３）に対応する半径
   方向当接面（23）が設けられ、また他端には工具ヘッド
   （５）の差込部（６）に対応する環状面（28）をもつ差
   込部（24）を具えていることを特徴とする穴ぐり工具。
2. 【請求項２】取付本体（１）が２つの第１内孔（３）の
   軸線（Ａ）に対して取付本体（１）の回転方向に90゜隔
   てて配置された軸線（A3）をもつ２つの別の直径上で対
   向して配置された半径方向第２取付内孔（３′）を有
   し、第２取付内孔（３′）の当接面（４′）が第１取付
   内孔（３）の当接面（４）とは回転軸線（Ｄ）から異な
   る間隔（r5）を保って位置していることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載の穴ぐり工具。
3. 【請求項３】取付内孔（3,3′）の当接面（4,4′）の間
   隔（r1,r5）が、工具ヘッド（５）上のビット支持具（1
   5）の最大半径方向調節移動量（r3）よりも幾分小さい
   量だけ相違していることを特徴とする特許請求の範囲第
   ２項記載の穴ぐり工具。
4. 【請求項４】円筒状取付内孔（3,3′,22）の区域内に、
   円錐状突出部（10a）または円錐状凹部（11a）を有する
   締付ねじ（10,11）をもつ２つの直径上で対向して配置
   された半径方向に延びるねじ孔（8,9）が配設され、各
   差込部の横方向内孔（12）で締付ピン（13）が半径方向
   に移動可能であり、締付ピンがその両端に円錐状凹部
   （13b）及び円錐状突出部（13a）を有し、円錐状凹部
   （13b）が締付ねじ（10,11）の円錐状突出部（10a）と
   協働し、円錐状突出部（13a）が締付ねじ（10,11）の凹
   部（11a）と協働し、当接面（４）からねじ孔（8,9）の
   軸線までの間隔（a1）が、環状面（７）から横方向内孔
   （12）の軸線（A2）までの間隔（a2）よりも幾分大き
   く、それによって、締付ねじ（10,11）の１つが緊締さ
   れると、該ねじは締付ピン（13）に作用して環状面
   （７）と当接面（４）とを相互に圧接させるようになっ
   ていることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の穴
   ぐり工具。