JPH0848884A - オルガノポリシロキサン基剤の製造方法及び得られる組成物 - Google Patents

オルガノポリシロキサン基剤の製造方法及び得られる組成物

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JPH0848884A
JPH0848884A JP17210395A JP17210395A JPH0848884A JP H0848884 A JPH0848884 A JP H0848884A JP 17210395 A JP17210395 A JP 17210395A JP 17210395 A JP17210395 A JP 17210395A JP H0848884 A JPH0848884 A JP H0848884A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘度が低いことによってフィラーを高い充填
率で添加することができるオルガノポリシロキサン基剤
を製造する方法を提供する。 【解決手段】 (1)100重量部の、25℃で30m
Pa・s〜1000mPa・sの範囲の粘度を有するビ
ニルジオルガノシロキシ基で末端を停止されたポリシロ
キサン流体、(2)80〜120重量部の、1〜20μ
mの範囲の平均粒子サイズを有する石英粉末、(3)5
0重量部までのシリカ、(4)5〜20重量部のジシラ
ザン、(5)1〜10重量部の水を含む混合物を作成す
ることを含み、成分(1)〜(5)を60℃以下の温度
で実質的に均一な配合物が生成するに充分な時間まで前
記成分を混合することによってオルガノポリシロキサン
基剤を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィラーを高い充
填率で添加することができるオルガノポリシロキサン基
剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリシ
ロキサンを含むオレフィンと、ケイ素結合の水素を含む
他のポリシロキサンがシリコーンエラストマーを生成す
る白金で触媒された架橋は、当該技術で周知である。ま
た、これらのエラストマーの物理的特性は、シリカのよ
うな強化用フィラーや石英粉末のような増量用フィラー
の添加によって変化することが知られている。このよう
なフィラーを液体のポリシロキサン組成物に混和するこ
とに関連する共通の問題は、粘度の顕著な増加である。
この増加は、このような材料を製造・使用する製造業者
や加工業者にとってジレンマであることが多い。一方で
高レベルのフィラーは物理的強度や耐油性のような改良
された物理的特性を提供するが、他方で高レベルのフィ
ラーの混和は、低圧や高圧の射出成形のようなプロセス
に使用できないような高粘度の材料となることがある。
【0003】当該技術の多くの製造業者が、シリコーン
エラストマーの物理的特性に及ぼすそれらの影響を改良
又は改質するためのそれらのフィラーの処理を提案して
いる。例えば、米国特許第4116919号、同436
0610号はこのようなフィラーの処理を提案している
が、液体ポリシロキサン混合物の粘度の増加、フィラー
を添加した後の組成物の粘度のプロセスに与える影響、
組成物の保存寿命に与える影響を考慮しているとは思わ
れない。
【0004】米国特許第4013611号は、フィラー
をポリシロキサン成分に添加する順序と方法が、得られ
るフィラー入りの組成物へのフィラーの作用に影響する
ことがあると示唆している。また、この特許は、10〜
50重量%のフィラーを含む組成物を注型できる、又は
基材の上にブラシがけすることができると開示してい
る。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】本発明者
らは、30mPa・s〜1000mPa・sの範囲の粘
度を有するビニルジオルガノシロキシ基で末端を停止さ
れたポリシロキサン流体を、60℃以下の温度でジシラ
ザン、強化用シリカフィラー、石英粉末、及び水と混合
することによって、同様な60℃以上の温度で調製した
組成物よりも、低い粘度と改良された保存寿命を有する
基剤組成物を生成できることを見出した。
【0006】本発明は、適当な硬化用成分と配合された
ときに改良された流動特性と保存寿命を有する組成物を
生成するオルガノポリシロキサン基剤の製造方法を提供
するものである。また、本発明は、この方法によって得
られた新規なオルガノポリシロキサン基剤、このオルガ
ノポリシロキサン基剤と適当な硬化用成分を含む液体シ
リコーンゴム組成物、この液体シリコーンゴム組成物か
ら調製された硬化シリコーンゴム組成物に関係する。
【0007】本発明の成分(A)のオルガノポリシロキ
サン基剤の製造方法は、(1)100重量部の、25℃
で30mPa・s〜1000mPa・sの範囲の粘度を
有するビニルジオルガノシロキシ基で末端を停止された
ポリシロキサン流体、(2)80〜120重量部の、1
〜20μmの範囲の平均粒子サイズを有する石英粉末、
(3)50重量部までのシリカ、(4)5〜20重量部
のジシラザン、(5)1〜10重量部の水、を含む混合
物を作成することを含んでなり、ここで成分(1)〜
(5)は60℃以下の温度で、実質的に均一な配合物が
得られるまで充分な時間で混合する。
【0008】所望により、オルガノポリシロキサン基剤
(A)は、(6)0.05〜5重量部の式:HO〔(S
iR2 O)x (SiRViO)y 〕Hで表されるヒドロ
キシジオルガノシロキシ基で末端を停止されたビニルオ
ルガノシロキサン(各々のRは1〜7の炭素原子を含む
1価の炭化水素基(但し、アルケニル基ではない)、V
iはビニル、x+y=6〜20、y≧2)を含むことが
できる。
【0009】さらに、このオルガノポリシロキサン基剤
に、(B)1分子につき平均で少なくとも2つのケイ素
結合の水素原子を含むオルガノ水素シロキサン架橋剤
(成分(B)と成分(A)の(1)の量は、ケイ素結合
の水素原子の数と、成分(A)の(1)のビニル置換基
の数との比が1:10〜10:1の範囲を提供するに充
分である)、及び(C)白金族金属を含む触媒(触媒の
量は成分(A)の(1)のビニル置換基と成分(B)の
ケイ素結合の水素原子の間の硬化反応を促進するに充分
な量)を混合することができる。
【0010】(A)オルガノポリシロキサン基剤、
(B)オルガノ水素シロキサン架橋剤、(C)白金族金
属含有触媒、を含む混合物は、さらに混合物の室温での
硬化を遅くする(D)抑制剤を含むことができる。この
(A)〜(D)の混合物は、適当な温度で硬化してシリ
コーンエラストマーを生成することができる。
【0011】本発明のオルガノポリシロキサン基剤を含
む成分の混合は、このような混合物を作成するための任
意の標準的なミキサーで行うことができ、ここで反応器
中の成分の温度は60℃以下に維持されなければならな
い。このミキサーは、例えば水冷のBaker Per
kins(商標)ミキサーでよい。ビニルジオルガノシ
ロキシ基で末端を停止されたポリシロキサン流体(A)
の(1)は、25℃において30mPa・s〜1000
mPa・s(30〜1000センチポイズ)の範囲の粘
度を有することができる。このビニルジオルガノシロキ
シ基で末端を停止されたポリシロキサン流体は単分散又
は多分散であってよく、あるいは単分散の混合物でもよ
い。好ましくは、ビニルジオルガノシロキシ基で末端を
停止されたポリシロキサン流体は、25℃において40
mPa・s〜500mPa・sの範囲の粘度を有する。
(A)の(1)のポリシロキサン流体はビニル置換基の
他にケイ素結合の有機置換基もまた含み、各々の有機置
換基は1〜7の炭素原子を含む1価の炭化水素基から独
立して選択され、但し有機置換基の少なくとも50%は
メチルである。
【0012】(A)の(1)のポリシロキサン流体の有
機置換基は、アルキル例えばメチル、エチル、プロピ
ル、第3ブチル、ヘキシル、シクロアルキル例えばシク
ロヘキシル、アリール例えばフェニル、トリル、ハロゲ
ン置換アルキル例えば3,3,3-トリフルオロプロピル、ペ
ルフルオロプロピルである。好ましくは、これらの有機
置換基はメチルである。
【0013】オルガノポリシロキサン基剤は、1〜20
μmの範囲の平均粒子サイズを有する石英粉末を80〜
120重量部含む。好ましくは、(A)の(1)のビニ
ルジオルガノシロキシ基で末端を停止されたポリシロキ
サン流体の100重量部につき石英粉末が100〜11
0重量部である。好ましくは、石英粉末は1〜10μm
の範囲の平均粒子サイズを有する。より好ましくは、石
英粉末は約5μmの平均粒子サイズを有する。
【0014】オルガノポリシロキサン基剤は、(A)の
(1)のビニルジオルガノシロキシ基で末端を停止され
たポリシロキサン流体の100重量部につき50部まで
の強化用シリカフィラーを含む。好ましくは、このオル
ガノポリシロキサン基剤は、同じ基準で30〜40重量
部の強化用シリカフィラーを含む。沈降シリカとヒュー
ムドシリカの両方が使用可能であるが、好ましくはヒュ
ームドシリカである。強化用シリカフィラーは50m2
/gより高い表面積を有することが好ましい。好ましい
シリカフィラーは、300〜500m2 /gの表面積を
有するヒュームドシリカである。
【0015】また、本発明のオルガノポリシロキサン基
剤は、(A)の(1)のビニルジオルガノシロキシ基で
末端を停止されたポリシロキサン流体の100重量部に
つき5〜20重量部のジシラザンを含む。このジシラザ
ンは式:(R1 3Si)2 NH(R1 は前記のR又は1〜
7の炭素原子を含むアルケニルから選択される)。好ま
しくは、各々のR1 はメチル又はビニルから独立して選
択される。ジシラザンは、米国特許第3481964号
の方法のように、対応するハロシランとアンモニアを反
応させることによって調製される。また、ジシラザンは
ジシラザンの混合物であってもよい。好ましくは、前記
と同じ基準で7〜15重量部のジシラザンを添加する。
より好ましくは、前記と同じ基準で約12重量部のヘキ
サメチルジシラザンを添加する。
【0016】本発明のオルガノポリシロキサン基剤の調
製は、(A)の(1)のビニルジオルガノシロキシ基で
末端を停止されたポリシロキサン流体の100重量部に
つき1〜10重量部の水の存在を必要とする。好ましく
は、同じ基準で2〜7重量部の水が存在する。当業者
は、(A)の(2)の石英粉末と(A)の(3)のシリ
カに付帯の水が、このプロセスに必要な水の少なくとも
一部を提供することができると認識するであろう。必要
により脱イオン水や蒸留水のような追加の水をプロセス
に添加することができる。
【0017】所望により、(A)のオルガノポリシロキ
サン基剤はさらに、(A)の(6)の式:HO〔(Si
2 O)x (SiRViO)y 〕Hで表されるヒドロキ
シジオルガノシロキシ基で末端を停止されたビニルオル
ガノシロキサン(各々のRは1〜7の炭素原子を含む1
価の炭化水素基(但し、アルケニル基ではない)、Vi
はビニル、x+y=6〜20、y≧2)を0.05〜1
0重量部含むことができる。好ましくは、ヒドロキシジ
オルガノシロキシ基で末端を停止されたビニルオルガノ
シロキサンは、(A)の(1)のビニルジオルガノシロ
キシ基で末端を停止されたポリシロキサン流体の100
重量部につき、1〜5重量部である。置換基Rは、アル
キル例えばメチル、エチル、プロピル、第3ブチル、ヘ
キシル、シクロアルキル例えばシクロヘキシル、アリー
ル例えばフェニル、トリル、ハロゲン置換アルキル例え
ば3,3,3-トリフルオロプロピル、ペルフルオロプロピル
である。好ましくは、これらの有機置換基はメチルであ
る。
【0018】前記の(A)の(1)〜(A)の(5)、
所望により(A)の(6)を含むオルガノポリシロキサ
ン基剤は、60℃以下の温度で実質的に均一な配合物が
得られるに充分な時間まで混合する。用語「実質的に均
一な配合物」とは、肉眼の観察で混合物が均一に見える
ことを意味する。本発明者らは、この混合プロセスの間
に成分(A)の(1)〜(A)の(5)、所望により
(A)の(6)を含む混合物の温度を60℃以下に維持
すると、得られる基剤は、比較的高い温度で調製した同
等なフィラーのレベルの同様な基剤に比較して、より良
好な流動特性(即ち、低粘度)と改良された保存寿命を
有することができることを見出した。したがって、液体
シリコーンゴム組成物が有する典型的な流動性を維持し
ながら、多い量のフィラーを基剤に混和することができ
る。この方法によって調製されたオルガノポリシロキサ
ン基剤は、10秒あたり1000Pa・s(0.067
×106 センチストークス)〜0.9秒あたり2500
0Pa・s(1.68×10 6 センチストークス)の範
囲の粘度を典型的に有する。
【0019】混合を行うための具体的な装置は本発明に
おいてはそれ程重要ではなく、混合プロセスの間に混合
物の成分が60℃以下に維持される任意の混合装置でよ
い。例えば、混合装置は、水冷のシグマブレードミキサ
ー又は水冷のパンドウミキサーでよい。好ましい態様に
おいて、成分(A)の(1)〜(A)の(5)、所望に
より(A)の(6)を含む混合物は、50℃〜60℃の
温度範囲で、成分(A)の(1)〜(A)の(5)、及
び所望により(A)の(6)のいずれかを段階的に混合
装置に添加することによって調製する。例えば、成分
(A)の(1)の50〜75重量%を混合装置に添加
し、成分(A)の(4)の50重量%と、成分(A)の
(5)と(A)の(6)全てを添加し、液体混合物を作
成する。成分(A)の(2)の石英粉末の少なくとも7
5重量%を成分(A)の(3)のシリカの1/3と一緒
に添加する。実質的に均一な配合物が得られるに充分な
時間までこれら成分を混合する。残りの成分の(A)の
(3)のシリカと(A)の(4)のジシラザンを、混合
しながら2回以上に分けて約同じ量で添加する。次いで
アンモニアに特有な臭いがなくなるまで減圧下の140
℃〜160℃の温度範囲に加熱する。この混合物を50
℃〜60℃の温度範囲まで冷し、残りの成分(A)の
(1)と(A)の(2)を添加し、本発明のオルガノポ
リシロキサン基剤物質を得る。
【0020】オルガノポリシロキサン基剤(A)を作成
するための好ましい添加順序は次の通りである。成分
(A)の(1)と(A)の(5)、所望により(A)の
(6)を含む混合物を作成し、この混合物に(A)の
(4)を添加して混和し、この混合物に(A)の(2)
を添加して混和し、最後に(A)の(3)を添加して混
和し、得られた混合物を前記のようにして加熱する。
【0021】本発明のオルガノポリシロキサン基剤物質
は、さらにオルガノ水素シロキサン架橋剤(B)、白金
族金属触媒(C)、随意の抑制剤(D)を添加し、硬化
性の液体シリコーンゴム組成物を作成することができ
る。オルガノ水素シロキサン架橋剤(B)は、1分子に
つき平均で少なくとも2つのケイ素結合の水素原子と、
1つのケイ素原子につき1以下のケイ素結合の水素原子
を含む。ケイ素原子の残りの原子価は、2価の酸素原子
又は1〜7の炭素原子を含む1価の炭化水素基で満たさ
れる。1価の炭化水素基は、アルキル例えばメチル、エ
チル、プロピル、第3ブチル、ヘキシル、シクロアルキ
ル例えばシクロヘキシル、アリール例えばフェニル、ト
リル、ハロゲン置換アルキル例えば3,3,3-トリフルオロ
プロピル、ペルフルオロプロピルである。好ましくは、
1価の炭化水素基は全てメチルである。本発明の架橋剤
として有用なオルガノ水素シロキサンの例は米国特許第
3989668号に記載されている。オルガノ水素シロ
キサン架橋剤(B)は、線状、環状、又は枝分かれのシ
ロキサンポリマー又はそれらの混合物であることができ
る。
【0022】本発明の組成物の有用な架橋剤(B)の量
は、成分(B)のケイ素結合の水素原子の数と、成分
(A)の(1)のビニルジオルガノシロキシ基で末端を
停止されたビニル置換基の数との比が1:10〜10:
1の範囲であるに充分とする。好ましくは、成分(B)
のケイ素結合の水素原子と、成分(A)の(1)のビニ
ル置換基の数との比が1:1〜5:1の範囲である。よ
り好ましくは、この比が2:1〜3:1である。
【0023】白金族金属含有触媒は、ケイ素結合の水素
原子とケイ素結合のビニル基との反応を触媒する公知の
触媒の任意のものでよい。「白金族金属」とは、ルテニ
ウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウ
ム、白金を意味する。本発明の組成物に特に有用な白金
族金属含有触媒は、米国特許第3419593号に開示
の塩化白金酸から調製された錯体であり、この特許はこ
のような錯体とその調製法を開示している。好ましい触
媒は、塩化白金酸とsym-ジビニルテトラメチルジシロキ
サンの反応生成物である白金含有錯体である。有用な白
金族金属含有触媒のこの他の例としては、米国特許第3
989668号、同5036117号、同315960
1号、同3220972号、同3296291号、同3
516946号、同3814730号、同392862
9号に有用な白金族金属含有触媒とその調製方法が開示
されている。
【0024】本発明の液体シリコーンゴム組成物を硬化
させるために使用される白金族金属含有触媒の量は、オ
ルガノ水素シロキサン架橋剤(B)のケイ素結合の水素
原子と、ビニルジオルガノシロキシ基で末端を停止され
たポリシロキサン流体(A)の(1)のビニル置換基と
の反応を促進するに充分な量で存在するのであれば、狭
義に限定されない。
【0025】白金族金属含有触媒の適切な量は、使用す
る特定の触媒に依存するであろう。一般に、成分(A)
の(1)の100万重量部につき(ppm)0.001
重量部の白金族金属の如く少ない量で使用することがで
きる。好ましくは、白金族金属の量は同じ基準で少なく
とも1.0ppmである。より好ましくは、同じ基準で
1.0〜10000ppmの白金族金属である。
【0026】架橋剤と触媒を含む本発明のオルガノポリ
シロキサン基剤は、室温で早期に硬化させることもでき
る。この硬化プロセスを抑制するために組成物に抑制剤
(D)を添加することもできる。この抑制剤は、白金族
金属含有触媒の触媒活性を抑制する公知の任意の物質で
よい。「抑制剤」は、組成物の10重量%未満で組成物
に混和したとき、高温における組成物の硬化を妨げるこ
となく、室温での組成物の硬化を遅くする物質を意味す
る。
【0027】白金族金属含有触媒の抑制剤は、有機ケイ
素の技術分野で周知である。本発明の組成物に有用な抑
制剤の好ましい部類は、米国特許第3445420号に
開示のアセチレン系アルコールである。このようなアセ
チレン系アルコールには、例えばエチニルシクロヘキサ
ノール、メチルブチノールがある。本発明の有用な他の
部類の例は、米国特許第5036117号に開示されて
いる。
【0028】本発明の組成物に使用する抑制剤(D)の
量はそれ程重要でないことが知られており、高温での反
応を妨げないという条件で、成分(B)の架橋剤のケイ
素結合の水素原子と、成分(A)の(1)のビニル基と
の白金族金属含有触媒の触媒反応を遅くする任意の量で
よい。抑制剤(D)の具体的な量は、使用する特定の抑
制剤、触媒の種類と濃度、成分(A)の(1)と成分
(B)のオルガノ水素シロキサン架橋剤の性質と量に依
存するであろう。一般に、組成物中の白金の1モルにつ
き少なくとも1モルの抑制剤が存在し、抑制剤が組成物
の1重量%を超えないことが好ましい。
【0029】また、本発明の硬化性液体シリコーンゴム
組成物は、離型剤、顔料、熱安定化剤のような他の成分
を含むこともできる。また、これらの液体シリコーンゴ
ム組成物は、混合した後適当な温度にすると硬化する2
成分系に作成することができる。例えば、同じ量の2つ
のオルガノポリシロキサン基剤(A)を作成し、一方は
白金族金属含有触媒を含み、他方はオルガノ水素シロキ
サン架橋剤と随意の抑制剤を含む。本発明の組成物は、
オルガノポリシロキサン基剤を60℃より高い温度で調
製した同様な組成物に比較して改良された保存寿命を有
する。
【0030】また、本発明の液体シリコーンゴム組成物
は、硬化させてシリコーンエラストマーを作成すること
ができる。「硬化」とは、成分(A)の(1)のビニル
置換基と成分(B)のオルガノ水素シロキサン架橋剤の
ケイ素結合の水素原子との間で反応が生じ、液体シリコ
ーンゴム組成物が固体に変わることを意味する。本発明
の組成物は液体シリコーンゴムの特性を有し、シリコー
ンゴムの成形体を作成するための射出成形法に特に有用
である。本発明の組成物から調製された硬化シリコーン
ゴム成形品は、オイル中での膨れと劣化に耐え、低圧縮
永久歪、改良された引裂き強度、伸び、引張の値を有す
る。さらに、本発明の組成物から調製された硬化シリコ
ーンゴム成形体は、典型的に後硬化を必要としない。
【0031】
【実施例】例1 60℃未満の温度でオルガノポリシロキサン基剤を調製
し、硬化したサンプルを作成し、その物理的特性を評価
した。Baker Perkins(商標)ミキサー中
でオルガノポリシロキサン基剤を調製した。この基剤の
最終的な組成を下記の表1に示した。
【0032】水冷によって基剤の温度を60℃未満に維
持した3.8リットル(1ガロン)のBaker Pe
rkins(商標)ミキサー中で基剤を調製した。成分
(1)の1/2、成分(4)の1/3、成分(5)と
(6)の全てをミキサーに添加し、10分間混合した。
次いで成分(2)の3/4をミキサーに添加し、混合を
さらに15分間継続した。次いで成分(3)の1/3を
ミキサーに添加し、混合をさらに5分間継続した。成分
(3)と(4)の各々の1/3をミキサーに添加し、混
合をさらに5分間継続した。成分(3)と(4)の各々
の残りの1/3をミキサーに添加し、混合をさらに1.
5時間継続した。次いでミキサーを150℃まで加熱
し、混合を2.5時間継続し、その後混合物を60℃未
満まで冷やした。成分(1)と(2)の残りと成分
(7)の全部を混合物に添加して混和し、基剤物質を作
成した。
【0033】基剤物質の粘度をASTM標準D4287
によって測定し、表2に示した。この基剤をA部分とB
部分に表示した2つの等量の部分に分けた。A部分の中
に、塩化白金酸とsym-ジビニルテトラメチルジシロキサ
ンの反応生成物である白金含有錯体を0.43重量%
(27ppm)混和した。B部分の中に、1-エチニルシ
クロヘキサン-2- オールを0.07重量%、ケイ素結合
の水素を1.05重量%有する低分子量のメチル水素シ
ロキサンを1.42重量%混和した。
【0034】等量のA部分とB部分を水冷の3本ロール
ミルで混合した。ブレンドした物質を、物理的特性の評
価に適当なサンプル作成のための標準型枠に移液し、1
77℃で5分間硬化させた。次いで硬化したエラストマ
ーを、表2に示すような標準試験法によって試験した。
また、硬化エラストマーを204℃で1時間後硬化さ
せ、物理的特性を評価した。採用した試験法とその結果
を表3に示した。
【0035】硬化エラストマーのサンプルを、ASTM
No.1オイルを用いてASTMD741−79にし
たがって耐オイル性を試験した。ASTM No.1オ
イルに150℃で70時間接触させた後のエラストマー
の物理的特性を表4に示した。硬化エラストマーのサン
プルを、JIS No.3オイルを用いてJIS K6
310−1975にしたがって耐オイル性を試験した。
JIS No.3オイルに150℃で70時間接触させ
た後のエラストマーの物理的特性を表5に示した。 表1 ──────────────────────────────────── 成分 重量部 内容 ──────────────────────────────────── (1)100 ビニルジオルガノシロキシ基で末端を停止されたポリシロ キサン(粘度49500mPa・s又はセンチボイズ) (2)104.2 石英粉末(Minusil(商標)、2〜15μm、 米国シリカ、Millcreek、オクラハマ州) (3) 32.0 シリカ(S−17、BET表面積400m2 /g、キャボ ット社、Tuscola、イリノイ州) (4) 12.9 ヘキサメチルジシラザン (5) 4.1 水 (6) 1.8 式:HO〔(SiR2 O)x (SiRViO)y 〕Hで表 されるヒドロキシジメチルシロキシ基で末端を停止された ビニルメチルシロキサン(ここでx/y=2、x+y=8 〜10) (7) 1.2 低分子量のヒドロキシジメチルシロキシ基で末端を停止さ れたジメチルポリシロキサン ────────────────────────────────────例2 比較のため、例1で記載したと実質的に同じ組成のオル
ガノポリシロキサン基剤を、例1と実質的に同じ方法に
よって調製した。但し、加熱過程の前の組成物の調製の
間にBaker Perkins(商標)ミキサーを水
冷しなかった。このため、初期の混合の間にミキサーの
温度は80℃〜90℃まで上昇した。この基剤の粘度を
例1と同じ方法で測定し、その結果を表2に示した。次
いでこのオルガノポリシロキサン基剤を使用し、例1と
同様にして硬化シリコーンエラストマーを作成し、その
エラストマーを表2に示した標準試験法によって評価
し、その試験結果を表2に示した。例1に示した方法に
よるこのエラストマーへの後硬化、オイル接触の物理的
特性への影響を表3、4、5に示した。例3 比較のため、例1で記載したと実質的に同じ組成のオル
ガノポリシロキサン基剤を、例1と実質的に同じ方法に
よって調製した。但し、加熱過程の前の組成物の調製の
間にBaker Perkins(商標)ミキサーを水
冷せず、成分(2)のMinusil(商標)を加熱過
程の後に添加しなかった。この基剤の粘度を例1と同じ
方法で測定し、その結果を表2に示した。次いでこのオ
ルガノポリシロキサン基剤を使用し、例1と同様にして
硬化シリコーンエラストマーを作成し、そのエラストマ
ーを表2に示した標準試験法によって評価し、その試験
結果を表2に示した。例1に示した方法によるこのエラ
ストマーへの後硬化、オイル接触の物理的特性への影響
を表3、4、5に示した。 表2.オルガノポリシロキサン基剤とそれから作成した エラストマーの物理的特性 ─────────────────────────────── 試験法 評価項目 例1 例2 例3 ─────────────────────────────── ASTM D4287 粘度 (Pa・s) /0.9秒(@ 0.9 1/s) 11,400 26,981 29,817 /10秒(@ 10 1/s) 800 1,485 1,912 ASTM D2240 ジュロメーター 65 63 64 (ポイント) ASTM D412 引張強度(psi) 949 948 949 (MPa) 6.54 6.54 6.54 ASTM D412 伸び(%) 246 237 216 ASTM D624 引裂きB(Ppi) 101 80 76 (kN/m) 17.7 14.0 13.3 ASTM D395 圧縮永久歪(%) 16.4 25.7 30.6 ─────────────────────────────── 表3.オルガノポリシロキサン基剤から作成したエラストマーの 物理的特性への後硬化の影響 ─────────────────────────────── 試験法 試験内容 例1 例2 例3 ─────────────────────────────── ASTM D2240 ジュロメーター 66 68 71 (ポイント) ASTM D412 引張強度(psi) 1005 958 873 (MPa) 6.93 6.61 6.02 ASTM D412 伸び(%) 229 198 175 ASTM D624 引裂きB(Ppi) 88 71 72 (kN/m) 15.4 12.5 12.6 ASTM D395 圧縮永久歪(%) 16.1 18.8 18.4 ─────────────────────────────── 表4.オルガノポリシロキサン基剤から作成したエラストマーの 物理的特性へのASTM No.1オイルとの接触の影響 ─────────────────────────────── 試験法 試験内容 例1 例2 例3 ─────────────────────────────── ASTM D2240 ジュロメーター 61 60 63 (ポイント) ASTM D412 引張強度(psi) 1136 1069 988 (MPa) 7.83 7.37 6.81 ASTM D412 伸び(%) 234 198 185 ASTM D471-79 体積膨潤度(%) 3.8 4.0 3.5 ─────────────────────────────── 表5.オルガノポリシロキサン基剤から作成したエラストマーの 物理的特性へのJIS No.3オイルとの接触の影響 ─────────────────────────────── 試験法 試験内容 例1 例2 例3 ─────────────────────────────── ASTM D2240 ジュロメーター 46 45 39 (ポイント) ASTM D412 引張強度(psi) 851 716 741 (MPa) 5.87 4.94 5.11 ASTM D412 伸び(%) 238 193 196 ASTM D471-79 体積膨潤度(%) 25.9 26.3 24.6 ───────────────────────────────
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 フィリップ ジョセフ グリフィス アメリカ合衆国,ミシガン,ミッドラン ド,イーストローン ドライブ 1811 (72)発明者 ウィリアム ジェームス スカルツ,ジュ ニア アメリカ合衆国,ミシガン,ミッドラン ド,オールド パイン トレイル 3841

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)100重量部の、25℃で30m
    Pa・s〜1000mPa・sの範囲の粘度を有するビ
    ニルジオルガノシロキシ基で末端を停止されたポリシロ
    キサン流体、 (2)80〜120重量部の、1〜20μmの範囲の平
    均粒子サイズを有する石英粉末、 (3)50重量部までのシリカ、 (4)5〜20重量部のジシラザン、 (5)1〜10重量部の水、を含む混合物を作成するこ
    とを含み、成分(1)〜(5)を60℃以下の温度で実
    質的に均一な配合物が生成するに充分な時間まで前記成
    分を混合することを含むオルガノポリシロキサン基剤の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記混合物が、(6)0.05〜5重量
    部の式:HO〔(SiR2 O)x (SiRViO)y
    Hで表されるヒドロキシジオルガノシロキシ基で末端を
    停止されたビニルオルガノシロキサン(各々のRは1〜
    7の炭素原子を含む1価の炭化水素基(但し、アルケニ
    ル基ではない)、Viはビニル、x+y=6〜20、y
    ≧2)をさらに含む請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記の(1)と(5)、及び随意の
    (6)を含む混合物を作成し、その混合物に(4)を添
    加して混和し、次いでその混合物に(2)を添加して混
    和し、次いでその混合物に(3)を添加して混和し、そ
    れによってオルガノポリシロキサン基剤を作成する請求
    項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 (A)請求項1に記載のオルガノポリシ
    ロキサン基剤、 (B)1分子につき平均で少なくとも2つのケイ素結合
    の水素原子を含むオルガノ水素シロキサン架橋剤(成分
    (B)と成分(A)の(1)の量は、成分(B)のケイ
    素結合の水素原子の数と、成分(A)の(1)のビニル
    置換基の数との比が1:10〜10:1の範囲を提供す
    るに充分である量)、及び(C)白金族金属を含む触媒
    (触媒の量は成分(A)の(1)のビニル置換基と成分
    (B)のケイ素結合の水素原子の間の硬化反応を促進す
    るに充分であり、成分(A)の(1)に対し1〜100
    00ppmの白金金属である量)、を含んでなる液体シ
    リコーンゴム組成物。
  5. 【請求項5】 さらに(D)抑制剤を、高温における組
    成物の硬化を妨げるには不充分であるが室温での組成物
    の硬化反応を遅くするに充分な量で含む請求項4に記載
    の組成物。
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