JPH0847774A - 耐摩耗肉盛層形成方法およびその方法を用いる耐摩耗複合材 - Google Patents

耐摩耗肉盛層形成方法およびその方法を用いる耐摩耗複合材

Info

Publication number
JPH0847774A
JPH0847774A JP6201410A JP20141094A JPH0847774A JP H0847774 A JPH0847774 A JP H0847774A JP 6201410 A JP6201410 A JP 6201410A JP 20141094 A JP20141094 A JP 20141094A JP H0847774 A JPH0847774 A JP H0847774A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wear
hard
hard particles
layer
resistant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6201410A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3382730B2 (ja
Inventor
Masaharu Amano
昌春 天野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP20141094A priority Critical patent/JP3382730B2/ja
Application filed by Komatsu Ltd filed Critical Komatsu Ltd
Priority to EP95926530A priority patent/EP0726117B1/en
Priority to CA2634285A priority patent/CA2634285C/en
Priority to US08/624,554 priority patent/US5852272A/en
Priority to CA002173213A priority patent/CA2173213C/en
Priority to PCT/JP1995/001522 priority patent/WO1996004097A1/ja
Priority to DE69529736T priority patent/DE69529736T2/de
Priority to CA002473139A priority patent/CA2473139C/en
Priority to AU30870/95A priority patent/AU693581B2/en
Publication of JPH0847774A publication Critical patent/JPH0847774A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3382730B2 publication Critical patent/JP3382730B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • EFIXED CONSTRUCTIONS
    • E02HYDRAULIC ENGINEERING; FOUNDATIONS; SOIL SHIFTING
    • E02FDREDGING; SOIL-SHIFTING
    • E02F9/00Component parts of dredgers or soil-shifting machines, not restricted to one of the kinds covered by groups E02F3/00 - E02F7/00
    • E02F9/28Small metalwork for digging elements, e.g. teeth scraper bits
    • E02F9/2808Teeth
    • E02F9/285Teeth characterised by the material used

Abstract

(57)【要約】 【目的】 所望の優れた耐摩耗性を付与し得る耐摩耗肉
盛層形成方法を提供する。 【構成】 アーク電極1の先端の延長上の直線と母材2
の表面とが交わる位置より後方側において溶融池3に硬
質粒子4と第2粒子5とをノズル6により合わせて供給
する。アーク電極1は母材2の直角方向より溶接進行方
向に30°傾いており、アークが溶融池3の被投入部分
を溶接進行方向の後方側に押し上げる。この押し上げら
れ固化されつつある溶融池部分に硬質粒子4が供給され
るので硬質粒子4が溶融池中を沈降せず均一に分散し、
得られる肉盛層7の耐摩耗性が優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カッティングエッジ,
リッパポイント等の局所的に耐摩耗性の要求される部位
に耐摩耗性を簡便かつ高能率に付与する耐摩耗肉盛層形
成方法およびその方法を用いる耐摩耗複合材に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従
来、カッティングエッジ,リッパポイント等の局所的に
耐摩耗性の要求される部位に耐摩耗性を付与する際に、
例えば特開平2−6097号公報に開示されているよう
に、母材上に、肉盛溶接法によって金属マトリックス
(軟質素地)と硬質粒子等とよりなる複合組織を有する
耐摩耗肉盛層を形成することが行われている。その場
合、前記耐摩耗肉盛層の形成に際しては、前記公報にも
記載されているように、溶接時に母材上に形成される溶
融池に硬質粒子等を散布,混入するようにするのが一般
的であるが、密度が溶融金属より大きな硬質粒子では溶
融池中で硬質粒子が沈降してしまい硬質粒子が均等に分
散している耐摩耗肉盛層が形成されずに良好な耐摩耗性
が得られないといった問題点がある。
【0003】本発明は、このような問題点を解消するこ
とを目的として、耐摩耗性の肉盛層として硬質粒子が均
等に分散している耐摩耗肉盛層が形成されて所望の優れ
た耐摩耗性を付与し得る耐摩耗肉盛層形成方法およびそ
の方法を用いた耐摩耗複合材を提供することを目的とす
るものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明による耐摩耗肉盛
層形成方法、前述された目的を達成するために、アーク
電極から発生されるアークによって母材上に形成される
溶融池に硬質粒子を供給することによりその母材上に硬
質粒子を含む耐摩耗肉盛層を形成する耐摩耗肉盛層形成
方法であって、この溶融池における前記アークにより押
し上げられ固化されつつある溶融金属部分にその硬質粒
子を供給することを特徴とするものである。
【0005】
【作用】アーク溶接時に形成される溶融池のアークによ
り押し上げられつつある溶融金属部分に硬質粒子を供給
するので硬質粒子が溶融池中に沈降してしまうことなく
その溶融金属部分が固化されるようになることから、固
化後に得られる肉盛層中にその硬質粒子が均一に分散す
るようになる。
【0006】この発明の方法において、母材の表面が溶
接進行方向に水平に対して0°以上25°未満の角度を
なすように配されている状態でその母材の表面に肉盛層
が形成される場合、アーク電極はそのアーク電極の先端
が溶接進行方向の反対方向を向くように前記母材の表面
に対して傾斜して配され、このアーク電極の先端の延長
上の直線と前記母材の表面とが交わる位置より溶接進行
方向の後方側の前記溶融池におけるアークにより押し上
げられつつある溶融金属部分に前記硬質粒子が供給され
る。このようにアークにより前記溶接進行方向の後方側
に押し上げられつつある溶融池における溶融金属部分に
硬質粒子が供給されて、硬質粒子の多くがその溶融池中
を沈降することなくその溶融金属部分は固化されてしま
うことから、硬質粒子が均一に分散している耐摩耗肉盛
層が得られる[肉盛方法1]。なお、この溶接進行方向
は上り方向であっても下り方向であってもよい。
【0007】また、本発明による他の耐摩耗肉盛層形成
方法は、アーク電極から発生されるアークによって母材
上に形成される溶融池に硬質粒子を供給することにより
その母材上に硬質粒子を含む耐摩耗肉盛層を形成する耐
摩耗肉盛層形成方法であって、この溶融池における重力
流下しつつある溶融金属部分にその硬質粒子を供給する
ことを特徴とする。
【0008】
【作用】溶融池における重力流下しつつある溶融金属部
分に硬質粒子を供給するので硬質粒子が溶融池中に沈降
してしまうことなくその溶融金属部分が固化されるよう
になることから、固化後に得られる肉盛層中にその硬質
粒子が均一分散するようになる。
【0009】この発明の方法において、母材の表面が溶
接進行方向に水平に対して25°以上90°未満の角度
をなして上り傾斜面になるように配されている状態でそ
の母材の表面に肉盛層が形成される場合、アーク電極は
そのアーク電極の先端が前記母材の表面に対して直角に
またはそのアーク電極の先端が前記溶接進行方向を向く
ように傾斜させて配され、このアーク電極の先端の延長
上の直線と前記母材の表面とが交わる位置より溶接進行
方向の前方側(上方側)の前記溶融池における重力流下
しつつある溶融金属部分に前記硬質粒子が供給される。
このように硬質粒子が重力流下しつつある溶融池におけ
る溶融金属部分に供給されて硬質粒子がその溶融池中に
沈降することなくその溶融金属部分は固化されてしまう
ことから、硬質粒子が均一に分散している耐摩耗肉盛層
が得られる。[肉盛方法2]。
【0010】さらに、母材の表面が鉛直に立てられた状
態で肉盛層が形成される場合、溶接進行方向はその母材
の表面を上る方向とされ、前記アーク電極の先端が溶接
進行方向を向くようにそのアーク電極の先端が前記母材
の表面に対して傾斜して配され、このアーク電極の先端
の延長上の直線と前記母材の表面とが交わる位置の前記
溶融池における重力流下しつつある溶融金属部分に前記
硬質粒子が供給される。この鉛直態様においては前記2
5°以上90°未満の傾斜の態様より溶融金属が重力流
下しやすいので硬質粒子の供給位置がやや下方に移動さ
れている。そして、この硬質粒子が重力流下しつつある
溶融池における溶融金属部分に供給されて、硬質粒子が
同様にその溶融池中に沈降することなく固化後に得られ
る肉盛層中に均一に分散することになる。[肉盛方法
3]。
【0011】以上のように本発明の方法においてアーク
電極の先端は母材に対して特定の方向に傾斜させてまた
は直角に配されるが、このアーク電極の先端の母材に対
する角度は形成される肉盛層に影響を与える。この理由
は、アーク電極から発せられるプラズマ気流の方向と溶
融池における溶融金属に作用する重力とその溶融金属の
表面張力との作用により母材の溶け込み具合と溶融金属
の押し上げられまたは動力流下する状態が変化し肉盛層
の仕上がり具合が変わるからであると考えられる。例え
ば肉盛層が形成される母材が水平に配されている場合、
アーク電極の先端は母材に直角方向から溶接進行方向に
20〜45°傾いた状態(トーチ角20〜45°の状
態)に配されることが好ましい。トーチ角が20°より
小さくなるとアークによる押し上げ作用が認め難くな
り、また、硬質粒子が添加された溶融金属の母材に対す
る溶け込みが浅くなって融合不良を生じる場合もあり、
45°より大きくなるとアークが不安定になったり大滴
のスパッタ(溶融池の溶融金属が吹き飛ばされたもの)
が多くなる傾向がある。また、母材が鉛直に配されてい
る場合、アーク電極の先端は溶接進行方向と同一方向を
向くように母材の直角方向から10〜20°傾いた状態
(トーチ角−10〜−20°の状態)に配されることが
好ましい。トーチ角が−20°より小さくなるとアーク
が不安定になったり大滴のスパッタが多くなり、−10
°より大きくなると溶融池における溶融金属が下方に垂
れ過ぎて、良好な肉盛層が形成されなくなる傾向があ
る。以上のようにトーチ角がプラスの値の場合はアーク
電極が溶接進行方向に対して後を向いているのでそのト
ーチ角を後退角と呼ぶ場合がある。
【0012】このように好ましいトーチ角の範囲は母材
面の傾斜具合により変化するものであり、このトーチ角
θの好ましい範囲が母材の表面が水平面となす傾斜角α
に対して示されたものが図1(a)のグラフである。こ
のθとαとの関係がそれぞれ図1(b)に図示されてい
る。なお、トーチ角がプラスであるときアーク電極は母
材に対して直角方向から溶接進行方向に傾くように(ア
ーク電極の先端が溶接進行方向と反対方向を向くよう
に)配されており、マイナスであるときアーク電極は母
材に対して直角方向から溶接進行方向の反対方向に傾く
ように(アーク電極の先端が溶接進行方向を向くよう
に)配されている。
【0013】本発明による耐摩耗肉盛層形成方法におい
て、硬質粒子の供給にはノズルが用いられることが多い
が硬質粒子を均等に供給するようにそのノズルを溶接進
行方向に対してウィービングさせることが好ましい。
【0014】本発明においては、前述のように溶着金属
および母材が溶融されているものである溶融池における
溶融金属に硬質粒子、および要すれば第2粒子が投入さ
れる。この硬質粒子の密度は溶融池における溶融金属の
密度の2分の1以上の値を有することが好ましい。な
お、硬質粒子の密度がそれより小さくなるとその硬質粒
子が溶融池の表面に浮上し、固化して得られる肉盛層の
表面から硬質粒子が露出しその硬質粒子が外れ易くな
る。このような硬質粒子の浮上を避けるために硬質粒子
の密度は溶融池における溶融金属の密度と同等以上であ
ることが好ましい。そして、硬質粒子の密度が溶融金属
の密度と同等以上であればその硬質粒子は溶融金属に均
一に分散する。また、硬質粒子が外れにくくするため
に、硬質粒子は溶融金属と濡れ性の良好なものを選択す
るのが良い。但し、硬質粒子の密度が大きいほどその硬
質粒子は溶融池中を沈降してしまい易くなるので、硬質
粒子の密度が溶融金属の密度より大きい場合は、この硬
質粒子に加えて第2粒子を溶融池における溶融金属に供
給することが好ましい。この第2粒子は沈降してくる硬
質粒子を受け止めて硬質粒子が溶融池の底部に沈下する
のを防止し、硬質粒子の均一分散を図るものである。
【0015】この第2粒子は、前述のように沈降してく
る硬質粒子を受け止める以外に、次のような作用をも奏
する。 溶融池の温度を下げることにより溶融金属の粘性を
高くするとともに凝固時間を短くして硬質粒子の沈降を
防止する。 溶融池の温度を下げ凝固時間を短くすることにより
硬質粒子の溶解および変質を抑制する。 混入した第2粒子の体積分だけ溶着量を増やすこと
ができ溶着速度が向上することになる。 このような第2粒子は、材質および添加量を調節す
ることにより肉盛層の組成を制御し、肉盛層の硬度,靱
性,割れ易さなどを調整することができる
【0016】また、前記硬質粒子は、肉盛層に耐摩耗性
を付与する成分であるので溶融池に供給されて溶融しな
いもの、すなわち融点が溶融金属の融点より高いものが
好ましい。同様に、第2粒子も前述のように硬質粒子の
沈降を防止する作用を奏するためにはその融点が溶融金
属の融点よりも高いものが望まれる。さらに、硬質粒子
も第2粒子も溶融金属との濡れ性が良く、強固な結合が
担保されるものであることが好ましい。
【0017】以上のような硬質粒子および第2粒子の好
ましい選定条件を勘案して、実用上用いられる溶着金属
に対するそれら硬質粒子と第2粒子との好ましい組み合
わせを表1に示す。なお、表1の組み合わせにおいて溶
着金属がアルミニウム合金の場合は母材としてアルミニ
ウム合金または銅合金が用いられており、溶着金属が鉄
合金,ニッケル合金,コバルト合金,銅合金の場合は母
材として鉄合金,ニッケル合金,コバルト合金が用いら
れている。これら組み合わせは例示であり限定的なもの
ではない。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
【表5】
【0023】なお、前記硬質粒子および第2粒子は肉盛
層の添加成分として通常の条件を満たすものである。す
なわち、硬質粒子は粒径が0.5〜5mm、好ましくは
0.5〜2.5mmであり、硬度が500〜2000H
v、好ましくは1000〜1800Hvのものであり、
第2粒子は粒径が0.5〜5mm、好ましくは0.5〜
2.5mmのものである。また、硬質粒子の添加量は溶
着金属に対して好ましくは5〜55容量%、より好まし
くは15〜45容量%とされ、55容量%より多くなる
と溶着金属と母材との融合不良、硬質粒子と溶着金属お
よび母材との融合不良が多発し、得られる肉盛層に使用
中欠けや剥がれが生じる傾向があり、5容量%より少な
くなると硬質粒子の分布が不均一になり得られる肉盛層
の耐摩耗性が安定しなくなる傾向がある。また、硬質粒
子と第2粒子との添加量の合計が溶着金属に対して好ま
しくは60容量%以下、より好ましくは50容量%以下
とされ、60容量%より多くなると溶着金属と母材との
融合不良、硬質粒子,第2粒子と溶着金属,母材との融
合不良が生じる傾向がある。
【0024】以上のような耐摩耗肉盛層形成方法によ
り、硬質粒子を含んでなる耐摩耗性を有する硬質肉盛層
が土石の摩擦方向に沿って縞を形成するように母材上に
設けられてなる土石を削り取るための耐摩耗複合材が得
られる[縞状肉盛]。
【0025】
【作用】この耐摩耗複合材は硬質粒子の均一分散により
硬質肉盛層の耐摩耗性が優れているとともに、この硬質
肉盛層が土石の摩擦方向に沿うように縞状に設けられる
ことにより、土石を削り取る際に土石が各縞間の谷間を
通過し、これにより縞状に設けられている硬質肉盛層に
かかる衝撃が緩和されその硬質肉盛層の欠けが防止され
る。
【0026】また、前記耐摩耗肉盛層形成方法により母
材上に形成される硬質粒子を含んでなる硬質肉盛層と、
軟質な材料よりなる軟質肉盛層とがそれぞれ土石の摩擦
方向を横切る方向に沿って縞を形成するようにその摩擦
方向に交互に配されてなる土石を削り取るための耐摩耗
複合材を得ることができる[交互肉盛A]。さらに、本
発明の耐摩耗肉盛層形成方法により母材上に形成される
硬質粒子を含んでなる硬質肉盛層と、軟質な材料よりな
る軟質肉盛層とがそれぞれ土石の摩擦方向に沿って縞を
形成するようにその摩擦方向を横切る方向に交互に配さ
れてなる土石を削り取るための耐摩耗複合材を得ること
ができる[交互肉盛B]。
【0027】
【作用】このような土石を削り取るための耐摩耗複合材
の摩耗形態は土石のサイズにより異なる。すなわち、土
石のサイズが小さいときはスクラッチング(エロージョ
ン)が発生し、このスクラッチングがサイズの増大に伴
いグラインディング、そしてガウジングへと変遷する。
このスクラッチング〜グラインディングが主形態の摩耗
では一般に硬い材料ほど耐摩耗性に優れるので硬い材料
が求められる、グラインディング〜ガウジングが主形態
の摩耗では硬い材料は欠損するので靱性を備える材料が
求められる。そこで、汎用性のある材料として靱性を有
するマトリックスに硬質粒子を複合させてなる耐摩耗複
合材が考えられるが、単に混合しただけでは土石サイズ
の分布が小さい方または大きい方に偏っている場合に充
分に対応しきれない。
【0028】そこで、土石サイズの分布が小さい方に偏
っている場合のために、前述のように硬質粒子を含んで
なる硬質肉盛層と、軟質な材料よりなる軟質肉盛層とが
土石の摩擦方向に交互に配されてなる耐摩耗複合材[交
互肉盛A]が提供される。なお、粒径の小さい砂は軟質
肉盛層を優先的に摩耗させる傾向があるが、土石の摩擦
方向に軟質肉盛層と硬質肉盛層とが交互に配されるので
その硬質肉盛層により軟質肉盛層が保護され主にその硬
質肉盛層がその粒径の小さい砂を効率的に削り取るので
土石の削り取りが良好に成されるとともに、耐摩耗材の
耐久性が確保される。また、少量含まれている大きな岩
石が硬質肉盛層に衝突したときに、この硬質肉盛層への
衝撃を軟質肉盛層が緩和して硬質肉盛層の破損が防止さ
れる。
【0029】また、土石サイズの分布が大きい方に偏っ
ている場合のために、前述のように硬質粒子を含んでな
る硬質肉盛層と、軟質な材料よりなる軟質肉盛層とが土
石の摩擦方向を横切る方向に交互に配されてなる耐摩耗
複合材[交互肉盛B]が提供される。なお、粒径の大き
い岩石は前述のように硬質肉盛層に大きな衝撃を加えそ
の硬質肉盛層を破損しやすいが、土石の摩擦方向に沿っ
て硬質肉盛層が縞状に配されるのでその硬質肉盛層には
大きな衝撃が加わりにくい。また、同様に縞状に配され
る軟質肉盛層が粒径の大きい岩石の衝撃を受け止め緩和
する。
【0030】この土石の摩擦方向を横切る方向の交互配
置の場合も、前述の土石の摩擦方向の交互配置の場合も
軟質肉盛層の靱性変形により硬質肉盛層からなる硬質肉
盛層が把持されることと、硬質肉盛層への土石の直撃を
軽減することによって硬質肉盛層が破壊されにくいとい
う効果がある。
【0031】前述のように土石サイズの分布が小さい方
に偏って(平均土石サイズD≦15cm)いる土石を削
り取るための耐摩耗複合材[交互肉盛A]の肉盛形状の
一例が図5に示されている。なお、図5(a)は肉盛層
の模式的断面図であり、図5(b)は土石サイズの分布
を示すグラフである。また、土石サイズの分布が大きい
方に偏って(平均サイズD≧15cm)いる土石を削り
取るための耐摩耗複合材[交互肉盛B]の肉盛形状の一
例が図6に示されている。なお、図6(a)は肉盛層の
模式的断面図であり、図6(b)は土石サイズの分布を
示すグラフである。
【0032】このように硬質肉盛層Aは断面形状が上が
短い台形、軟質肉盛層Bは断面形状が上が長い台形とな
るように最初に硬質肉盛層A、次に軟質肉盛層Bが形成
されることが好ましい。これは軟質肉盛層Bが塑性変形
により硬質肉盛層Aを把持し保護するという機能を持た
せるためである。また、最初に軟質肉盛層B、次に硬質
肉盛層Aが形成されても硬質肉盛層Aの間が金属で埋め
られているので岩石が硬質肉盛層Aを横から打撃するこ
とがなく、耐衝撃性が向上するという利点は得られる。
なお、硬質肉盛層Aの幅WA(硬質肉盛層Aの厚さの中
間部分における幅)は軟質肉盛層Bの幅WB(軟質肉盛
層Bの厚さの中間部分における幅)の2倍以上あること
が充分な耐摩耗性を得るために望ましい。また、図6の
交互肉盛Bの場合、幅WBは土石の平均サイズDより小
さくことが望ましい。この理由は、幅WBがDより大き
くなると軟質である軟質肉盛層Bの摩耗が激しくなるか
らである。
【0033】さらに本発明による耐摩耗複合材におい
て、前記硬質粒子を含んでなる硬質肉盛層が最初に肉盛
され、次に前記軟質肉盛層が前記硬質肉盛層から前記硬
質粒子が溶け出しその軟質肉盛層中に溶け込むように肉
盛されることができる[硬質粒子溶出肉盛]。
【0034】
【作用】このような順番で肉盛することにより、硬質肉
盛層が硬質粒子の均一分散により優れた耐摩耗性を有す
ることは勿論のこと、軟質肉盛層が靱性を備えるととも
に硬質粒子が溶け込むことにより硬度が上昇する。よっ
て、砂地などの微粒子からなる地盤を掘削する際にも、
前述のように軟質肉盛層が硬質肉盛層を把持するという
効果が得られることは勿論のこと、軟質肉盛層のみが摩
耗により片減りするということが防止される。
【0035】このような本発明の耐摩耗複合材の硬質肉
盛層に用いられる硬質粒子として、使用済の例えば切削
チップ,ドリルのような切削工具を破砕してなるリサイ
クル粒子を用いることができる。これら切削工具は硬い
粒子を含んでいるのでそれら切削工具を破砕してなる粒
子は、本発明による耐摩耗複合材に耐摩耗性を付与する
材料として好適である。また、使用済であることから製
造コストが大きく削減される。
【0036】このようなリサイクル粒子は、次のように
して例えば製造することができる。 使用済の切削工具を導電性の支持部材の上に並べアー
ク放電により加熱するとともに冷却してその切削工具に
亀裂または脆弱相を形成し、亀裂または脆弱相が形成さ
れた切削工具を圧砕機の打撃部上に載置して破砕する。 使用済の切削工具を支持部材の上に並べレーザー光を
照射して加熱するとともに冷却してその切削工具に亀裂
または脆弱相を形成し、と同様に破砕する。 使用済の切削工具を一方の電極である導電性支持体の
上に並べ、他方の電極から放電して加熱するとともに冷
却してその切削工具に亀裂または脆弱相を形成し、と
同様に破砕する。
【0037】なお、これらの前処理は使用済の切削工具
を破砕しやすくするためのものであって、これらの前処
理を施さずにその切削工具を破砕して硬質粒子(リサイ
クル粒子)を製造することもできる。
【0038】
【実施例】次に、本発明による耐摩耗肉盛層形成方法の
具体的実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0039】(実施例1)[肉盛方法1] 図2に示されている肉盛層形成機構により耐摩耗肉盛層
が形成される。この機構において25mm突き出される
溶接ワイヤ(川崎製鉄KC−50(50kg級軟鋼)
製、φ1.2mm)からなるアーク電極1が、水平に配
されている軟鋼SS400製の母材2の直角方向に対し
て角度θ1(トーチ角=30°)をなすように傾斜して
配されている。このアーク電極1による溶接電流は28
0A、溶接電圧は28Vとされ、溶接ワイヤーの供給速
度は100g/分とされ、溶接領域にシールドガスとし
て二酸化炭素が毎分30リッター供給される。また、ア
ーク電極1から発生されるアークによって形成される溶
融池3には粒径1.2mmのWC−7%Co粒子(密度
14.5g/cm3 )からなる硬質粒子4と粒径1.7
mmの鋼球(密度7.8g/cm3 )からなる第2粒子
5とが二股ノズル6を通して供給される。この二股ノズ
ル6は1.5Hzの三角波により溶接進行に対して、す
なわち図2において図面に対して前後方向にウィービン
グ(振動幅30mm)され、そこに硬質粒子4と第2粒
子5とがそれぞれ毎分172g,28gの割合(体積混
合比1:0.3)で供給される。
【0040】前述のような条件で溶接が図中の右方向に
向かって毎分22cmの速度で行われる。なお、硬質粒
子4および第2粒子5が供給される前の溶融池3の溶融
金属の密度は7.06〜7.21g/cm3 である。
【0041】図示されているように、硬質粒子4と第2
粒子5とは、アーク電極1の延長上の直線と母材2の表
面を通る平面とが交わる位置より溶接進行方向の後方
(左)側に供給される。この供給される部分の溶融池3
の溶融金属部分はアークの作用により押し上げられつつ
あるので、硬質粒子4が沈降することなくその溶融金属
部分は固化してしまい、また押し上げられるうちに硬質
粒子4、第2粒子が混合され、したがって硬化して得ら
れる肉盛層7中には硬質粒子4均一に分散されており、
肉盛層7は好ましい耐摩耗性を有するものとなる。
【0042】(実施例2)[肉盛方法2] 実施例1と同じアーク電極1,母材2,硬質粒子4,第
2粒子5を用い、図3に示される肉盛形成機構により、
溶接電流を130A、溶接電圧を23V、二酸化炭素供
給量を毎分15リッターとした以外は実施例1と同じ溶
接条件下に耐摩耗肉盛層が形成される。この機構におい
て実施例1と同様に15mm突き出される溶接ワイヤか
らなるアーク電極1が、水平に対してθ2(=65°)
の角度で傾斜している母材2の直角方向に対して角度θ
3(トーチ角=−10°)をなすように傾斜して配され
ている。また、溶融池3には硬質粒子4と第2粒子5と
が、鉛直方向に対してθ4(=15°)の角度でその出
口が傾斜するように配されている二股ノズル6を通して
それぞれ毎分38g,20gの割合(体積混合比1:
1)で供給される。
【0043】前述のような条件で母材2に沿って上る方
向にアーク溶接が毎分6cmの速度で行われる。
【0044】図示されているように、硬質粒子4と第2
粒子5とは、アーク電極1の延長上の直線と母材2の平
面とが交わる位置より溶接進行方向の前方(上)側に供
給される。この供給部分の溶融池3の溶融金属部分は重
力流下しつつあるので硬質粒子4が沈降することなく溶
融金属部分は固化してしまい、また重力流下中に硬質粒
子4,第2粒子5が混合される。この結果、硬化後の肉
盛層7は、硬質粒子4が均一に分散されており好ましい
耐摩耗性を有するものである。
【0045】(実施例3)[肉盛方法3] 実施例2と同じアーク電極1,母材2,硬質粒子4,第
2粒子5を用い、図4に示される肉盛形成機構により実
施例2と同じ溶接条件下に耐摩耗肉盛層が形成される。
この機構において、母材2は鉛直に配され、母材2の直
角方向に対して角度θ5(トーチ角=−15°)をなす
ようにアーク電極1が傾斜して配されている。また、二
股ノズル6はその出口が鉛直方向に対してθ6(=25
°)の角度をなすように配されており、この二股ノズル
6に硬質粒子4と第2粒子5とがそれぞれ毎分38g,
20gの割合(体積混合比1:1)で供給され、硬質粒
子4と第2粒子5とが合わされて溶融池3に供給され
る。
【0046】前述のような条件で鉛直の母材2を上るよ
うに毎分4cmの速度でアーク溶接が行われる。
【0047】図示されているように、硬質粒子4と第2
粒子5とは、アーク電極1の延長上の直線と母材2の平
面とが交わる位置に供給される。この供給部分の溶融金
属部分は重力流下すると同時に固化されつつあるので硬
質粒子4は溶融池中を沈降せず、また重力流下中に硬質
粒子4,第2粒子5が混合される。したがって、得られ
る肉盛層7中において硬質粒子4が均一に分散されてい
る。
【0048】(実施例4)[耐摩耗試験] 肉盛方法により肉盛層の耐摩耗性が異なることを示すた
めに、次のようなベンチ摩耗試験が行われる。
【0049】 試験体の作製 軟鉄製ブロックに下記条件(i),(ii)で肉盛溶接さ
れ、図7に示されているような試験体A,Bが切り出さ
れる。なお、正面図である図7(a)および側面図であ
る図7(b)に示されているように、これら試験体には
肉盛層7が45×90×4〜5mm(幅×長さ×厚さ)
の寸法で形成される。
【0050】 (i)試験体A 溶接電流 :280A トーチ角度 :5°(後退角) 溶接電圧 :32V 粒子供給位置:アーク直下 溶接速度 :20cm/分 硬質粒子 :WC−7%Co ウィービング:30mm×1.5Hz 粒径1.2mm 突き出し長 :25mm 溶接ワイヤ :軟鋼,φ1.2mm CO2 ガス :30リッター/分 硬質粒子供給量:172g/分 この試験体Aの肉盛層においては硬質粒子が底部に沈下
しており、この硬質粒子のうち熱により変質されている
ものがやや多い。
【0051】 (ii)試験体B 溶接電流 :280A トーチ角度 :30°(後退角) 溶接電圧 :28V 粒子供給位置:アーク後方 溶接速度 :22cm/分 硬質粒子 :WC−7%Co ウィービング:30mm×1.5Hz 粒径1.2mm 突き出し長 :25mm 溶接ワイヤ :軟鋼,φ1.2mm CO2 ガス :30リッター/分 硬質粒子供給量:172g/分 第2粒子(鋼球): 粒径1.7mm 供給量28g/分
【0052】この試験体Bの肉盛層においては硬質粒子
がアーク後方に投入され、第2粒子も投入されているの
で、硬質粒子が均一に分散しておりその硬質粒子のうち
熱の影響により変質しているものは少ない。
【0053】 試験方法 圧縮強度の高いコンクリート上に、水分を充分に含んだ
珪砂が敷かれ、この敷かれた珪砂が模擬岩盤とされる。
この模擬岩盤に肉盛試験体A,Bが0.19MPaの圧
力で押し付けられ、14.5〜32m/分の速度で摺動
され、所定摺動距離における摩耗量(厚さが減少した量
(mm))が測定される。これによる摺動距離と摩耗量
との関係が図8のグラフに示されている。この図8か
ら、本発明の肉盛層形成方法(試験体B)によれば硬質
粒子が均一に分散し硬質粒子の変質が少ないことから耐
摩耗性の優れた肉盛層が形成されることがわかる。
【0054】(実施例5)[交互肉盛A(平均土石サイ
ズD≦15cm)] 交互肉盛Aの効果を示すためにホイルローダのカッティ
ングエッジについて、次のような試験が行われる。
【0055】 試験体の作製 ホイルローダのカッティングエッジに、次のように肉盛
を施すことにより試験体A,Bが作製される。
【0056】(i)試験体A 実施例1の肉盛方法に以下の溶接条件を適用して肉盛を
行うことにより、ホイルローダのカッティングエッジの
刃先に図9に示されているような土石の摩擦方向(土石
が流れる方向)を横切る2本の硬質肉盛層(幅32m
m,盛高さ4〜5mm)8を10mm間隔で形成され
る。なお、図9(b)は図9(a)の矢視断面図であ
る。
【0057】 溶接電流 :260A トーチ角度 :30°(後退角) 溶接電圧 :28V 粒子供給位置:アーク後方 溶接速度 :20cm/分 硬質粒子 :WC−8%Co ウィービング:30mm×1.5Hz 粒径1.2mm 突き出し長 :25mm 溶接ワイヤ :軟鋼,φ1.2mm CO2 ガス :30リッター/分 硬質粒子供給量:185g/分 第2粒子(鋼球): 粒径1.7mm 供給量35g/分
【0058】(ii)試験体B 前記肉盛試験体Aと同様に2本の硬質肉盛層8の形成
後、図10に示されているように刃先から2本目の硬質
肉盛層を挟むように2本の軟質肉盛層9が、次の溶接条
件により盛高さ4〜5mmになるように形成される。こ
こで、図10(b)は図10(a)の矢視断面図であ
る。図示されているように、2本の軟質肉盛層9に挟ま
れている硬質肉盛層8は32mmの幅での肉盛後、軟質
肉盛層9の肉盛の影響により上側の幅が28mmに狭ま
り断面形状が略台形になる。また、軟質肉盛層9の断面
形状は上側の幅が14mmで略上広がりの台形になる。
【0059】 溶接電流 :300A 溶接電圧 :33V 溶接速度 :25cm/分 ウィービング:12mm×2.5Hz 突き出し長 :25mm Arガス :25リッター/分 トーチ角度 :30°(後退角) 溶接ワイヤ:DM55M〔ニッコー熔材工業(株)製〕,φ1.2mm 組成;C0.05,Si0.12,Mn0.67, P0.003,S0.001,Ni56.91, Fe残部
【0060】 試験方法 以上のように作製される試験体A,Bおよび肉盛されて
いないカッティングエッジがホイルローダのバケットに
装着され、砂礫の積み込み作業を行なうことにより耐摩
耗性と硬質肉盛層との欠けの有無が評価される。また、
対象となる砂礫はクラッシャー投入前の原石(サイズ1
0〜15cm)と破砕後の製品砂(サイズ1mm以下)
の2種類であり、作業時間配分をおよそ1:1とされ
る。
【0061】ところで、耐摩耗性は図9(a),図10
(a)に示されている刃先の傾斜部分10が摩耗される
厚さ(mm)が摩耗長さとして評価される。この耐摩耗
性が、ホイルローダの稼働時間(時間)に対する摩耗長
さ(mm)がグラフに表されている図11に示されてい
る。この図11から本発明[交互肉盛A]に相当する試
験体Bの耐摩耗性が優れていることがわかる。
【0062】また、この試験において試験体Aは、クラ
ッシャー投入前の原石積み込み作業時に硬質肉盛層8が
部分的に欠けた。このため硬質肉盛層は早期(稼働時間
約700時間)に消耗され、その後はカッティングエッ
ジの摩耗速度が大きくなった。一方、試験体Bはそのよ
うな欠けがほとんど発生せず、カッティングエッジの摩
耗速度を長時間低く維持することができた。
【0063】(実施例6)[交互肉盛B,硬質粒子溶出
肉盛] 交互肉盛Bおよび軟質肉盛層より硬質肉盛層を先に肉盛
することの効果を示すために油圧ショベルのバケットツ
ースについて、次のような試験が行われる。
【0064】 試験体の作製 油圧ショベルのバケットツースに次のように肉盛が施さ
れることにより試験体A,Bが作製される。
【0065】(i)試験体A 実施例1の肉盛方法に以下の溶接条件を適用して肉盛が
行われることにより、油圧ショベルのバケットツースに
図12(a)に示されているような土石の摩擦方向(土
石が流れる方向)と平行な4本の硬質肉盛層(幅15m
m,盛高さ4〜5mm)8が5mm間隔で形成される。
【0066】 溶接電流 :260A トーチ角度 :30°(後退角) 溶接電圧 :32V 粒子供給位置:アーク後方 溶接速度 :50cm/分 硬質粒子 :WC−7%Co ウィービング:12mm×2.8Hz 粒径1.2mm 突き出し長 :25mm 溶接ワイヤ :軟鋼,φ1.2mm CO2 ガス :30リッター/分 硬質粒子供給量:280g/分
【0067】(ii)試験体B 前記肉盛バケットツースAと同様に4本の硬質肉盛層8
の形成後、図12(b)に示されているようにそれら硬
質肉盛層8の間に軟質肉盛層9が、次の溶接条件により
盛高さ4〜5mmになるように形成される。この硬質肉
盛層8は、図12(b)の矢視部分断面図である図12
(c)に示されるように、15mmの(下側の)幅での
肉盛後、軟質肉盛層9の肉盛により溶かされて下側の幅
が13mmに狭まり上側の幅が8mmとなり断面形状が
略台形になる。また、軟質肉盛層9の断面形状は上側の
幅が14mmで下側の幅が7mmの略上広がりの台形に
なる。
【0068】 溶接電流 :260A 溶接電圧 :32V 溶接速度 :35cm/分 ウィービング:8mm×2.8Hz 突き出し長 :25mm Arガス :30リッター/分 トーチ角度 :30°(後退角) 溶接ワイヤ :軟鋼,φ1.2mm
【0069】この試験体Bの作製においては、軟質肉盛
層9を形成する際に硬質肉盛層8中の硬質粒子が溶け出
し軟質肉盛層9中にその硬質粒子が溶け込み、形成され
る軟質肉盛層9の硬度がやや向上する。この硬度の向上
の程度は硬質肉盛層8中の硬質粒子が溶け出し軟質肉盛
層9中に溶け込む程度により制御される。
【0070】 試験方法 以上のように作製した試験体A,Bおよび肉盛されてい
ないバケットツースが油圧シャベルのバケットに装着さ
れ、砂礫の積み込み作業を行って耐摩耗性と硬質肉盛層
の欠けの有無が評価される。また、対象とされる砂礫
は、砂(サイズ1mm程度)50重量%、砂利(サイズ
1mm〜10cm)40重量%、栗石(サイズ10〜3
0cm)10重量%からなるものである。
【0071】耐摩耗性は図12(d)に示されている刃
先が摩耗された長さx(mm)が摩耗長さとして評価さ
れる。この耐摩耗性が、油圧ショベルの稼働時間(時
間)に対する摩耗長さ(mm)がグラフに表されている
図13に示されている。図13から本発明[交互肉盛
B]に相当する試験体Bの耐摩耗性が優れていることが
わかる。
【0072】また、図12(b)の矢視断面に対応する
試験後の試験体A,Bの断面図がそれぞれ図14
(a),図14(b)に示されている。このように、軟
質肉盛層を有さない試験体Aにおいては、母材であるバ
ケットツースの硬質肉盛層8に挟まれている部分が深く
えぐれるように摩耗される(図14(a))が、本発明
[交互肉盛B]に相当する試験体Bにおいては、硬質肉
盛層8はもちろんのこと軟質肉盛層9も軟鋼ほどは摩耗
しない(図14(b))。この理由は、軟質肉盛層9の
肉盛の際に硬質肉盛層8中の硬質粒子が溶け出して軟質
肉盛層9中に溶け込みその軟質肉盛層9の硬度が上昇し
ているからである。
【0073】実際、硬質粒子が溶け込んだ軟質肉盛層9
の硬度を測定すると273Hvであり、溶接ワイヤのみ
からなる肉盛層の硬度165Hvと比べて硬度が上昇し
ていることがわかった。
【0074】なお、この試験において試験体Aは硬質肉
盛層8が部分的に欠けたが、試験体Bには欠けがほとん
ど発生しなかった。すなわち、軟質肉盛層9は、硬質粒
子の溶け込みにより硬度が上昇しているが硬質肉盛層8
への衝撃を緩和し硬質肉盛層8を把持する機能はなお保
持していることがわかる。
【0075】(実施例7)[交互肉盛B(平均土石サイ
ズD≧15cm)] 交互肉盛Bの効果を示すためにブルドーザのリッパポイ
ントについて、次のような試験を行われる。
【0076】 試験体の作製 実施例1の肉盛方法に以下の溶接条件を適用して肉盛が
行われることにより、ブルドーザのリッパポイントに図
15(a)に示されているような土石の摩擦方向(土石
が流れる方向)と平行な3本の硬質肉盛層(幅18m
m,盛高さ4〜5mm)8が5mm間隔で形成される。
【0077】 溶接電流 :260A トーチ角度 :30°(後退角) 溶接電圧 :32V 粒子供給位置:アーク後方 溶接速度 :45cm/分 硬質粒子 :WC−7%Co ウィービング:15mm×2.8Hz 粒径1.2mm 突き出し長 :25mm 溶接ワイヤ :軟鋼,φ1.2mm CO2 ガス :30リッター/分 硬質粒子供給量:280g/分 第2粒子(鋼球): 粒径1.7mm 供給量15g/分
【0078】次に、形成される硬質肉盛層8の間に軟質
肉盛層9が以下の溶接条件により盛高さ4〜5mmにな
るように形成される。この硬質肉盛層8は、図15
(A)の矢視部分断面図である図15(b)に示される
ように、18mmの幅での肉盛後、軟質肉盛層9の肉盛
の影響により上側の幅が13mmに狭まり断面形状が略
台形になる。また、軟質肉盛層9の断面形状は上側の幅
が10mmで下側の幅が5mmの略上広がりの台形にな
る。
【0079】 溶接電流 :230A 溶接電圧 :30V 溶接速度 :50cm/分 突き出し長 :25mm CO2 ガス :30リッター/分 トーチ角度 :30°(後退角) 溶接ワイヤ :SUS316L(フラックス入),φ
1.2mm
【0080】 試験方法 以上のように作製される試験体および肉盛されていない
リッパポイントがブルドーザーに装着され、ゆるめ発破
をかけていないチャート岩からなる岩盤のリッパ掘削が
行なわれ耐摩耗性と硬質肉盛層の欠けの有無とが評価さ
れる。また、掘削される岩のサイズは10〜80cm
(平均40cm程度)である。
【0081】なお、耐摩耗性は図15(c)に示されて
いる刃先が摩耗される長さy(mm)が摩耗長さとして
評価される。この耐摩耗性が、リッパポイントのリッピ
ング時間(時間)に対する摩耗長さ(mm)がグラフに
表されている図16に示されている。この図16から本
発明[交互肉盛B]に相当する試験体は耐摩耗性が優れ
ている、特に初期摩耗速度が小さいことがわかる。この
ことは、掘削性のよい初期形状を長時間維持できること
を示しており、本発明によりリッパ掘削の優れた作業効
率が得られることがわかる。
【0082】また、この試験において試験体の硬質肉盛
層8の欠けはほとんど発生しなかった。
【0083】(実施例8)[縞状肉盛] ブルドーザのエンドビットに硬質肉盛層のみからなる縞
状肉盛層が形成され、次のような試験が行われる。
【0084】 試験体の作製 実施例1の肉盛方法に以下の溶接条件を適用して肉盛が
行われることにより、ブルドーザのエンドビットに図1
7(a)に示されているような土石の摩擦方向(土石の
流れる方向)と平行な硬質肉盛層(幅32mm,盛高さ
4〜5mm)8を8mm間隔で形成される(コーナー部
7本,エッジ部2本)。この図17(a)のエンドビッ
トは図17(b)に示されるブルドーザの円で囲まれた
部分に配されるものである。
【0085】 溶接電流 :280A トーチ角度 :30°(後退角) 溶接電圧 :28V 粒子供給位置:アーク後方 溶接速度 :22cm/分 硬質粒子 :WC−7%Co ウィービング:30mm×1.5Hz 粒径1.2mm 突き出し長 :25mm 溶接ワイヤ :軟鋼,φ1.2mm CO2 ガス :30リッター/分 硬質粒子供給量:172g/分 第2粒子(鋼球): 粒径1.7mm 供給量28g/分
【0086】 試験方法 以上のように作製される試験体および肉盛されていない
エンドビットがブルドーザーに装着され、硬質砂岩の粉
状にすりつぶされたものから60cm程度の塊までが混
在している土砂についてリッパ掘削とドージング(排
土)の繰り返し作業が行なわれ、耐摩耗性と硬質肉盛層
の欠けの有無が評価される。
【0087】なお、耐摩耗性は図17(c)に示されて
いるエンドビットの試験前の角部から摩耗後の角部の間
の長さz(mm)が摩耗長さとして評価される。この耐
摩耗性が、ブルドーザの稼働時間(時間)に対する摩耗
長さ(mm)がグラフに表されている図18に示されて
いる。この図18から本発明[縞状肉盛]に相当する試
験体は耐摩耗性が優れていることがわかる。
【0088】また、この試験において試験体に発生した
硬質肉盛層8の欠けは僅かであった。この理由は、硬質
肉盛層8が土石の摩擦方向に沿って縞状に設けられその
間に土石の摩擦方向に沿ったスリットが存在するからで
ある。
【0089】なお、以上の実施例2〜8のいずれにおい
ても実施例1と同様に硬質粒子の密度は14.5g/c
3 、第2粒子の密度は7.8g/cm3 、溶融金属の
密度は7.06〜7.21g/cm3 である。
【0090】また、以上の実施例においては第2粒子を
添加した耐摩耗肉盛層が形成されているが、硬質粒子を
均一分散させるために第2粒子を必ず添加しなければな
らないわけではない。第2粒子を添加しない以外は前記
実施例7と同じ条件下にブルドーザのリッパポイントに
硬質粒子4を含む硬質肉盛層8と軟質肉盛層9とを交互
肉盛して耐摩耗肉盛層を形成した。この耐摩耗肉盛層の
断面の金属組織を表す写真が図19として示されてい
る。この写真においてやや白く写っているのが軟質肉盛
層9でありその両側に黒く見える硬質粒子4を含む硬質
肉盛層8が配されていることがわかる。また、軟質肉盛
層9の材料をニッケル系合金に代えて同様に形成された
交互肉盛による耐摩耗肉盛層の断面の金属組織を表す写
真が図20に示されている。この図20の写真におい
て、白っぽく写っている4つの層が軟質肉盛層9であり
その間に配された3つの層が硬質肉盛層8であり黒く見
える硬質粒子4が分散されている。これらの写真からい
ずれの耐摩耗肉盛層においても硬質粒子4が硬質肉盛層
8中において沈降することなく均一に分散しており、図
19に示す前者においては軟質肉盛層9に硬質粒子4が
少量混入されていることわかる。
【0091】
【発明の効果】本発明によれば、溶融池中に硬質粒子が
沈降してしまうことなく硬質粒子が供給される溶融金属
部分が固化されるので硬質粒子が均一に分散し所望の優
れた耐摩耗性を備える肉盛層が得られる。この肉盛層が
形成される母材表面が水平、鉛直またはどのような傾斜
状態にあっても、溶融金属に硬質粒子を供給する位置を
調整することにより硬質粒子の最良の分散状態を得るこ
とができる。また、硬質粒子に加えて第2粒子を加える
ことにより硬質粒子の沈降をより確実に防止することが
でき、更に溶融池における溶融金属,硬質粒子,第2粒
子のそれぞれの密度の相互関係を調整することにより硬
質粒子を肉盛層中にいっそう均一に分散させることがで
き、優れた耐摩耗性の肉盛層を得ることができる。ま
た、第2粒子の添加により肉盛層の硬度,靱性,割れ易
さなどを調整することもできる。
【0092】また、土石の摩擦方向に沿って縞状に硬質
肉盛層が設けられている本発明の耐摩耗複合材は、硬質
肉盛層が欠けにくく優れた耐摩耗性が長期間維持され
る。さらに、硬質肉盛層に加えて軟質肉盛層がその硬質
肉盛層と交互に配されてなる本発明の耐摩耗複合材によ
れば、土石サイズの分布の偏りに応じて優れた耐摩耗性
が長期間にわたり発現され、土石の削り取りが良好に行
われる。この耐摩耗複合材の材料として使用済の切削工
具を破砕してなる粒子を用いれば経済的である。
【0093】前記本発明の耐摩耗複合材の製造におい
て、硬質粒子を含んでなる硬質肉盛層が最初に肉盛さ
れ、次に軟質肉盛層がその硬質肉盛層から前記硬質粒子
が溶け出しその軟質肉盛層中に溶け込むように肉盛され
ることが好ましい。このような順番で肉盛することによ
り、硬質肉盛層の耐摩耗性が優れていることは勿論のこ
と、軟質肉盛層が靱性を備えるとともに硬質粒子が溶け
込むことにより硬度が上昇している耐摩耗複合材を得る
ことができる。よって、砂地などの微粒子からなる地盤
を掘削する際にも、軟質肉盛層のみが摩耗により片減り
するということが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、母材の傾斜角と好ましいトーチ角との
関係を示す図である。
【図2】図2は、一実施例に係る肉盛層形成機構を示す
模式図である。
【図3】図3は、別の実施例に係る肉盛層形成機構を示
す模式図である。
【図4】図4は、もう一つの実施例に係る肉盛層形成機
構を示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の耐摩耗複合材の一実施例を示
す図である。
【図6】図6は、本発明の耐摩耗複合材のもう一つの実
施例例を示す図である。
【図7】図7は、肉盛層の耐摩耗性を調べるための試験
体を示す図である。
【図8】図8は、図7に示す試験体の耐摩耗性の測定結
果を示すグラフである。
【図9】図9は、硬質肉盛層のみが形成されているカッ
ティングエッジを示す図である。
【図10】図10は、硬質肉盛層と軟質肉盛層とが交互
肉盛されているカッティングエッジを示す図である。
【図11】図11は、図9,10のカッティングエッジ
の耐摩耗性を示すグラフである。
【図12】図12は、肉盛が施されたバケットツースを
示す図である。
【図13】図13は、図12のバケットツースの耐摩耗
性を示すグラフである。
【図14】図14は、図13のバケットツースの摩耗具
合を示す断面図である。
【図15】図15は、硬質肉盛層と軟質肉盛層とが交互
肉盛されているリッパツースを示す図である。
【図16】図16は、図15のリッパツースの耐摩耗性
を示すグラフである。
【図17】図17は、硬質肉盛されているブルドーザの
エンドビットを示す図である。
【図18】図18は、図17のエンドビットの耐摩耗性
を示すグラフである。
【図19】図19は、交互肉盛された耐摩耗肉盛層の金
属組織を示す写真である。
【図20】図20は、交互肉盛されたもう一つの耐摩耗
肉盛層の金属組織を示す写真である。
【符号の説明】
1 アーク電極 2 母材 3 溶融池 4 硬質粒子 5 第2粒子 6 二股ノズル 7 肉盛層 8 硬質肉盛層 9 軟質肉盛層 A 硬質肉盛層 B 軟質肉盛層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 E21B 10/46

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アーク電極から発生されるアークによっ
    て母材上に形成される溶融池に硬質粒子を供給すること
    によりその母材上に硬質粒子を含む耐摩耗肉盛層を形成
    する耐摩耗肉盛層形成方法であって、この溶融池におけ
    る前記アークにより押し上げられつつある溶融金属部分
    にその硬質粒子を供給することを特徴とする耐摩耗肉盛
    層形成方法。
  2. 【請求項2】 前記母材の表面を溶接進行方向に水平に
    対して0°以上25°未満の角度なすように配し、前記
    アーク電極の先端が前記溶接進行方向の反対方向を向く
    ようにそのアーク電極の先端を前記母材の表面に対して
    傾斜させて配し、このアーク電極の先端の延長上の直線
    と前記母材の表面とが交わる位置より溶接進行方向の後
    方側の前記溶融池におけるアークにより押し上げられつ
    つある溶融金属部分に前記硬質粒子を供給することを特
    徴とする請求項1に記載の耐摩耗肉盛層形成方法。
  3. 【請求項3】 アーク電極から発生されるアークによっ
    て母材上に形成される溶融池に硬質粒子を供給すること
    によりその母材上に硬質粒子を含む耐摩耗肉盛層を形成
    する耐摩耗肉盛層形成方法であって、この溶融池におけ
    る重力流下しつつある溶融金属部分にその硬質粒子を供
    給することを特徴とする耐摩耗肉盛層形成方法。
  4. 【請求項4】 前記母材の表面を溶接進行方向に水平に
    対して25°以上90°未満の角度をなして上り傾斜面
    になるように配し、前記アーク電極の先端を前記母材の
    表面に対して直角またはそのアーク電極の先端が前記溶
    接進行方向に向くように傾斜させて配し、このアーク電
    極の先端の延長上の直線と前記母材の表面とが交わる位
    置より溶接進行方向の前方側の前記溶融池における重力
    流下しつつある溶融金属部分に前記硬質粒子を供給する
    ことを特徴とする請求項3に記載の耐摩耗肉盛層形成方
    法。
  5. 【請求項5】 前記母材の表面を鉛直方向に配し、溶接
    進行方向がその母材の表面を上る方向とされ、前記アー
    ク電極の先端が溶接進行方向を向くようにそのアーク電
    極の先端を前記母材の表面に対して傾斜させて配し、こ
    のアーク電極の先端の延長上の直線と前記母材の表面と
    が交わる位置の前記溶融池における重力流下しつつある
    溶融金属部分に前記硬質粒子を供給することを特徴とす
    る請求項3に記載の耐摩耗肉盛層形成方法。
  6. 【請求項6】 前記溶融金属部分に前記硬質粒子に加え
    て第2粒子も供給することを特徴とする請求項1乃至5
    のうちのいずれかに記載の耐摩耗肉盛層形成方法。
  7. 【請求項7】 土石を削り取るための耐摩耗複合材にお
    いて、請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の耐摩耗
    肉盛層形成方法により母材上に形成される硬質粒子を含
    んでなる硬質肉盛層が土石の摩擦方向に沿って縞を形成
    するように設けられてなることを特徴とする耐摩耗複合
    材。
  8. 【請求項8】 土石を削り取るための耐摩耗複合材にお
    いて、請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の耐摩耗
    肉盛層形成方法により母材上に形成される硬質粒子を含
    んでなる硬質肉盛層と、軟質な材料よりなる軟質肉盛層
    とがそれぞれ土石の摩擦方向を横切る方向に沿って縞を
    形成するようにその摩擦方向に交互に配されてなること
    を特徴とする耐摩耗複合材。
  9. 【請求項9】 土石を削り取るための耐摩耗複合材にお
    いて、請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の耐摩耗
    肉盛層形成方法により母材上に形成される硬質粒子を含
    んでなる硬質肉盛層と、軟質な材料よりなる軟質肉盛層
    とがそれぞれ土石の摩擦方向に沿って縞を形成するよう
    にしてその摩擦方向を横切る方向に交互に配されてなる
    ことを特徴とする耐摩耗複合材。
  10. 【請求項10】 前記硬質粒子として、使用済の切削工
    具を破砕してなる粒子を用いることを特徴とする請求項
    7乃至9のうちのいずれかに記載の耐摩耗複合材。
  11. 【請求項11】 前記硬質粒子を含んでなる硬質肉盛層
    が最初に肉盛され、次に前記軟質肉盛層が前記硬質肉盛
    層から前記硬質粒子が溶け出しその軟質肉盛層中に溶け
    込むように肉盛されることを特徴とする請求項8乃至1
    0のうちのいずれかに記載の耐摩耗複合材。
  12. 【請求項12】 上面と下面とが先端において会合しそ
    の会合部分が掘削刃先を形成してなる土石を削り取るた
    めの耐摩耗複合材において、この耐摩耗複合材の上面お
    よび下面の少なくとも一方において、硬質粒子を含んで
    なる硬質肉盛層と、軟質な材料よりなる軟質肉盛層とが
    それぞれ土石の摩耗方向を横切る方向に沿って縞を形成
    するようにその摩擦方向に交互に配されてなる耐摩耗層
    が前記掘削刃先から後方に延びるように設けられている
    ことを特徴とする耐摩耗複合材。
  13. 【請求項13】 上面と下面とが先端において会合しそ
    の会合部分が掘削刃先を形成してなる土石を削り取るた
    めの耐摩耗複合材において、この耐摩耗複合材の上面お
    よび下面の少なくとも一方において、硬質粒子を含んで
    なる硬質肉盛層と、軟質な材料よりなる軟質肉盛層とが
    それぞれ土石の摩耗方向に沿って縞を形成するようにそ
    の摩擦方向を横切る方向に交互に配されてなる耐摩耗層
    が前記掘削刃先から後方に延びるように設けられている
    ことを特徴とする耐摩耗複合材。
JP20141094A 1994-08-02 1994-08-02 耐摩耗肉盛層形成方法およびその方法を用いる耐摩耗複合材 Expired - Lifetime JP3382730B2 (ja)

Priority Applications (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20141094A JP3382730B2 (ja) 1994-08-02 1994-08-02 耐摩耗肉盛層形成方法およびその方法を用いる耐摩耗複合材
CA2634285A CA2634285C (en) 1994-08-02 1995-07-31 Wear-resistant overlay forming method and wear-resistant composite members
US08/624,554 US5852272A (en) 1994-08-02 1995-07-31 Wear-resistant overlay forming method and wear-resistant composite members
CA002173213A CA2173213C (en) 1994-08-02 1995-07-31 Wear-resistant overlay forming method and wear-resistant composite members
EP95926530A EP0726117B1 (en) 1994-08-02 1995-07-31 Method of forming wear-resistant padding layer and wear-resistant composite material
PCT/JP1995/001522 WO1996004097A1 (fr) 1994-08-02 1995-07-31 Procede de formation d'une couche de capitonnage resistant a l'usure et materiau composite resistant a l'usure
DE69529736T DE69529736T2 (de) 1994-08-02 1995-07-31 Verfahren zum herstellen einer verschleissbeständigen auspolsterungsschicht und verschleissbeständiges kompositmaterial
CA002473139A CA2473139C (en) 1994-08-02 1995-07-31 Wear-resistant overlay forming method and wear-resistant composite members
AU30870/95A AU693581B2 (en) 1994-08-02 1995-07-31 Method of forming wear-resistant padding layer and wear-resistant composite material

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20141094A JP3382730B2 (ja) 1994-08-02 1994-08-02 耐摩耗肉盛層形成方法およびその方法を用いる耐摩耗複合材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0847774A true JPH0847774A (ja) 1996-02-20
JP3382730B2 JP3382730B2 (ja) 2003-03-04

Family

ID=16440627

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20141094A Expired - Lifetime JP3382730B2 (ja) 1994-08-02 1994-08-02 耐摩耗肉盛層形成方法およびその方法を用いる耐摩耗複合材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3382730B2 (ja)

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001248127A (ja) * 1999-12-27 2001-09-14 Komatsu Ltd カッティングエッジ
JP2006247539A (ja) * 2005-03-11 2006-09-21 Tokushu Denkyoku Kk 焼結クラッシャー受歯
JP2007098532A (ja) * 2005-10-06 2007-04-19 Konyo:Kk 手持ち工具及びその製造方法
JP2008000763A (ja) * 2006-06-20 2008-01-10 Komatsu Ltd 硬化肉盛層形成方法
JP2008000762A (ja) * 2006-06-20 2008-01-10 Komatsu Ltd 硬化肉盛層形成方法
US8679207B2 (en) 2006-03-30 2014-03-25 Komatsu Ltd. Wear resisting particle and wear resisting structure member
WO2016079815A1 (ja) * 2014-11-18 2016-05-26 株式会社小松製作所 スプロケットおよびその製造方法
WO2016079811A1 (ja) * 2014-11-18 2016-05-26 株式会社小松製作所 耐摩耗部品およびその製造方法
WO2016079812A1 (ja) * 2014-11-18 2016-05-26 株式会社小松製作所 機械部品およびその製造方法
WO2016079814A1 (ja) * 2014-11-18 2016-05-26 株式会社小松製作所 機械部品およびその製造方法
WO2016079813A1 (ja) * 2014-11-18 2016-05-26 株式会社小松製作所 機械部品およびその製造方法
JP2017526840A (ja) * 2014-09-09 2017-09-14 ベテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフトBetek GmbH & Co. KG ビット、特に丸形シャンクビット
JP2018053678A (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 株式会社小松製作所 耐土砂摩耗部品およびその製造方法
JP2019217516A (ja) * 2018-06-15 2019-12-26 株式会社丸和技研 硬化肉盛の形成方法および、耐摩耗材、産業機器
JP2022090145A (ja) * 2018-05-25 2022-06-16 アロイ工業株式会社 切削用ビット及びその製法
WO2023190531A1 (ja) * 2022-03-30 2023-10-05 大同メタル工業株式会社 摺動部材、およびこれを用いたギアボックス、風力発電機、ならびに摺動部材の製造方法

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10462963B2 (en) 2012-03-06 2019-11-05 Kondex Corporation Laser clad cutting edge for agricultural cutting components
EP3142475A4 (en) 2014-05-12 2018-01-17 Kondex Corporation Slicing disc mower knives
EP3142476B1 (en) * 2014-05-12 2020-08-12 Kondex Corporation Cutting blade with transverse hardened regions
US10648051B2 (en) 2015-04-24 2020-05-12 Kondex Corporation Reciprocating cutting blade with cladding

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS545379B2 (ja) * 1972-03-29 1979-03-16
JPS5635986B2 (ja) * 1977-04-25 1981-08-20
JPS6289577A (ja) * 1985-10-15 1987-04-24 Toshiba Corp ミグ溶接方法
JPS6437563U (ja) * 1987-08-25 1989-03-07
JPH026097A (ja) * 1988-06-25 1990-01-10 Kubota Ltd 耐摩耗肉盛層
JPH02224884A (ja) * 1989-02-27 1990-09-06 Toshiba Corp 炭化物のレーザ肉盛り方法
JPH0459186A (ja) * 1990-06-29 1992-02-26 Tokushu Denkyoku Kk プラズマアーク溶接法
JPH04371390A (ja) * 1991-06-18 1992-12-24 Kurimoto Ltd 耐摩耗性肉盛層の溶接方法および耐摩耗材
JPH0671451A (ja) * 1992-08-28 1994-03-15 Hitachi Ltd ショベルの製造法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS545379B2 (ja) * 1972-03-29 1979-03-16
JPS5635986B2 (ja) * 1977-04-25 1981-08-20
JPS6289577A (ja) * 1985-10-15 1987-04-24 Toshiba Corp ミグ溶接方法
JPS6437563U (ja) * 1987-08-25 1989-03-07
JPH026097A (ja) * 1988-06-25 1990-01-10 Kubota Ltd 耐摩耗肉盛層
JPH02224884A (ja) * 1989-02-27 1990-09-06 Toshiba Corp 炭化物のレーザ肉盛り方法
JPH0459186A (ja) * 1990-06-29 1992-02-26 Tokushu Denkyoku Kk プラズマアーク溶接法
JPH04371390A (ja) * 1991-06-18 1992-12-24 Kurimoto Ltd 耐摩耗性肉盛層の溶接方法および耐摩耗材
JPH0671451A (ja) * 1992-08-28 1994-03-15 Hitachi Ltd ショベルの製造法

Cited By (32)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001248127A (ja) * 1999-12-27 2001-09-14 Komatsu Ltd カッティングエッジ
JP2006247539A (ja) * 2005-03-11 2006-09-21 Tokushu Denkyoku Kk 焼結クラッシャー受歯
JP2007098532A (ja) * 2005-10-06 2007-04-19 Konyo:Kk 手持ち工具及びその製造方法
US8679207B2 (en) 2006-03-30 2014-03-25 Komatsu Ltd. Wear resisting particle and wear resisting structure member
JP2008000763A (ja) * 2006-06-20 2008-01-10 Komatsu Ltd 硬化肉盛層形成方法
JP2008000762A (ja) * 2006-06-20 2008-01-10 Komatsu Ltd 硬化肉盛層形成方法
JP2017526840A (ja) * 2014-09-09 2017-09-14 ベテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフトBetek GmbH & Co. KG ビット、特に丸形シャンクビット
WO2016079812A1 (ja) * 2014-11-18 2016-05-26 株式会社小松製作所 機械部品およびその製造方法
AU2014411636B2 (en) * 2014-11-18 2018-04-19 Komatsu Ltd. Machine component and production method for same
WO2016079814A1 (ja) * 2014-11-18 2016-05-26 株式会社小松製作所 機械部品およびその製造方法
WO2016079813A1 (ja) * 2014-11-18 2016-05-26 株式会社小松製作所 機械部品およびその製造方法
CN106715021A (zh) * 2014-11-18 2017-05-24 株式会社小松制作所 链轮及其制造方法
CN106715023A (zh) * 2014-11-18 2017-05-24 株式会社小松制作所 机械部件及其制造方法
CN106715024A (zh) * 2014-11-18 2017-05-24 株式会社小松制作所 机械部件及其制造方法
JPWO2016079813A1 (ja) * 2014-11-18 2017-08-31 株式会社小松製作所 機械部品およびその製造方法
JPWO2016079814A1 (ja) * 2014-11-18 2017-08-31 株式会社小松製作所 機械部品およびその製造方法
WO2016079815A1 (ja) * 2014-11-18 2016-05-26 株式会社小松製作所 スプロケットおよびその製造方法
US10835982B2 (en) 2014-11-18 2020-11-17 Komatsu Ltd. Machine component and method for producing the same
US10814437B2 (en) 2014-11-18 2020-10-27 Komatsu Ltd. Machine component and method for producing the same
AU2014411637B2 (en) * 2014-11-18 2018-04-19 Komatsu Ltd. Machine component and production method for same
WO2016079811A1 (ja) * 2014-11-18 2016-05-26 株式会社小松製作所 耐摩耗部品およびその製造方法
US10759481B2 (en) 2014-11-18 2020-09-01 Komatsu Ltd. Sprocket wheel and method for producing the same
CN106715024B (zh) * 2014-11-18 2019-10-25 株式会社小松制作所 机械部件及其制造方法
CN106715023B (zh) * 2014-11-18 2019-11-26 株式会社小松制作所 机械部件及其制造方法
US10500666B2 (en) 2014-11-18 2019-12-10 Komatsu Ltd. Wear-resistant component and method for producing the same
US10730129B2 (en) 2014-11-18 2020-08-04 Komatsu Ltd. Machine component and method for producing the same
DE112017003864T5 (de) 2016-09-30 2019-04-18 Komatsu Ltd. Erd- und sandabriebresistente Komponente und Verfahren zur Herstellung derselben
WO2018062127A1 (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 株式会社小松製作所 耐土砂摩耗部品およびその製造方法
JP2018053678A (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 株式会社小松製作所 耐土砂摩耗部品およびその製造方法
JP2022090145A (ja) * 2018-05-25 2022-06-16 アロイ工業株式会社 切削用ビット及びその製法
JP2019217516A (ja) * 2018-06-15 2019-12-26 株式会社丸和技研 硬化肉盛の形成方法および、耐摩耗材、産業機器
WO2023190531A1 (ja) * 2022-03-30 2023-10-05 大同メタル工業株式会社 摺動部材、およびこれを用いたギアボックス、風力発電機、ならびに摺動部材の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3382730B2 (ja) 2003-03-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3382730B2 (ja) 耐摩耗肉盛層形成方法およびその方法を用いる耐摩耗複合材
WO1996004097A1 (fr) Procede de formation d'une couche de capitonnage resistant a l'usure et materiau composite resistant a l'usure
US8679207B2 (en) Wear resisting particle and wear resisting structure member
US4837417A (en) Method of hard-facing a metal surface
JP4860320B2 (ja) 耐摩耗粒子及び耐摩耗構造部材
US20110248550A1 (en) Weld-on cast carbon steel roll crusher tooth having silver-brazed tungsten carbide inserts on wear surfaces
US10507468B2 (en) Non-forged hammermill hammer
Okechukwu et al. Review on hardfacing as method of improving the service life of critical components subjected to wear in service
MX2011005342A (es) Composicion resistente a la abrasion.
CN108348921A (zh) 用于加工研磨材料的工具
Winczek et al. The evaluation of the wear mechanism of high-carbon hardfacing layers
US4745254A (en) Method of hard-facing a metal surface
US11819913B2 (en) Wear resistant layer
KR101638365B1 (ko) 초경합금 성형체 파쇄 입자를 모재에 용융시켜 초경층을 형성시키는 방법
CN107160056B (zh) 一种碳化钨高耐磨焊条药皮组合物及焊条
JPH11123617A (ja) 微小亀裂進展防止方法およびその方法を適用して得られる耐土砂摩耗部品
KR101565728B1 (ko) 초경합금 성형체 파쇄 입자를 모재에 용융시켜 초경층을 형성시키는 방법
CN204163645U (zh) 耐磨耐蚀可修复钻井用稳定器及其制造设备
KR100917049B1 (ko) 폐 텅스텐 합금강 분쇄입자를 이용한 초경성 내마모성 금속층 형성방법
CA2473139C (en) Wear-resistant overlay forming method and wear-resistant composite members
CN105603290B (zh) 速溶性硬质合金块及其制备方法和用途
RU211309U1 (ru) Нож отвала грейдера
RU2773177C2 (ru) Износостойкий слой
JP4190271B2 (ja) 掘削用切刃
RU2138377C1 (ru) Способ упрочнения индукционной наплавкой деталей

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20021210

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071220

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081220

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081220

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091220

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091220

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101220

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101220

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111220

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111220

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121220

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131220

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term