JPH0847622A - 透析装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】透析液供給配管中に透析液濾過用の膜モジュ−
ルを単純で、かつ充分に短い配管で挿入できて、配管内
での透析液の滞留防止並びにエア−溜りの防止を良好に
保証でき、膜モジュ−ルへの透析液の導入時のエア−抜
きも容易、確実に行い得る透析装置を提供する。 【構成】筒状ケ−ス１の片端側にのみ濾過液取出し用キ
ャップ４を取付け、筒状ケ−ス外周面における樹脂隔壁
Ａに近接する位置に原液入口１１を、同じく樹脂隔壁Ｂ
に近接する位置にエア−抜き口１２をそれぞれ設けてな
る膜モジュ−ルＦを上記濾過液取出し用キャップ４を上
側に向けて垂直にダイアライザ−５の下方に配設し、該
膜モジュ−ルＦの原液入口１１を透析液供給源にホ−ス
８１により接続し、同膜モジュ−ルＦの濾過液取出し用
キャップ４をダイアライザ−５の透析液入口５３１にホ
−ス８２により接続した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は血液の透析装置、即ち人
口腎臓に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】人口腎臓においては、透析を行う本体で
あるダイアライザ−、ダイアライザ−に透析液を供給す
る透析液供給ライン、透析条件の設定並びに監視を行う
モニタ−等から構成されており、透析液がモニタ−によ
り所定の温度や濃度にコントロ−ルされつつダイアライ
ザ−に送られ、この透析液がダイアライザ−内の透析膜
を隔てて血液に接し、血液と透析液中の物質濃度の差に
応じ、拡散により血液中の不純物が透析液中に除去され
ていく。

【０００３】上記の人口腎臓における透析液の供給配管
が複雑であったり長い場合は、透析液の滞留やエア−ト
ラップによる給液の不安定化、配管内面による透析液汚
染等が懸念されるから、透析供給配管は単純で短くする
ことが有利である。ところで、上記透析液配管中に全量
濾過方式の膜モジュ−ルを挿入し、透析液中のエンドト
キシン等の不純物を除去することが提案されている。

【０００４】この場合、膜モジュ−ルとして、図２の
（イ）に示すように、筒状ケ−ス１’内に束状中空糸膜
２’，…を収納し、筒状ケ−ス内両端に樹脂隔壁Ａ’，
Ｂ’を形成し、各樹脂隔壁Ａ’，Ｂ’の外面に中空糸膜
両端２１’，２２’の各端を開口させ、筒状ケ−ス１’
の両端に濾過液取出し用キャップ４’を取付け、筒状ケ
−スと上記両樹脂隔壁で囲まれた空間３’を原液室と
し、筒状ケ−ス外周面における上記の各樹脂隔壁Ａ’，
Ｂ’に近接する各位置に原液入口１１’，１２’を設け
たものを使用し、図２の（ロ）に示すように、透析液供
給ホ−ス８１’にＴ型継手８１０’を介して２本の枝ホ
−ス８１１’，８１２’を接続し、各枝ホ−ス８１
１’，８１２’を膜モジュ−ルの各原液入口１１’，１
２’に接続し、更に、膜モジュ−ルの各濾過液取出し用
キャップ４’，４’に枝ホ−ス８２１’，８２２’をそ
れぞれ接続し、両枝ホ−ス８２１’，８２２’をＴ字型
継手８２０’を介して中間幹ホ−ス８２’に接続し、こ
の中間幹ホ−ス８２’をダイアライザ−５’の透析液入
口５３１’に接続することが考えられている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この膜
モジュ−ル挿入のための配管構造では、膜モジュ−ル挿
入前の配管構造、すなわち、透析液供給ホ−スとダイア
ライザ−の透析液入口との直結に較べ、配管が複雑かつ
長尺になり、透析液の滞留が生じ易くなる、エア−トラ
ップが生じ易くなる、配管内面による透析液の汚染が増
大する等の不都合がある。

【０００６】また、膜モジュ−ルの原液室に透析液を導
入する初期において、原液室内からエア−を追い出すこ
とが容易ではなく（両方の原液入口１１’，１２’にそ
れぞれ枝ホ−ス８１１’，８１２’が接続されているた
め）、原液室内のエア−の追い出しが不完全となって、
透析液の濾過に支障となる畏れもある。更に、配管に広
いスペ−スを必要とし、透析現場のベッド近傍のかなり
のスペ−スが配管スペ−スとして専用されてしまい、透
析作業の支障になることも懸念される。

【０００７】本発明の目的は、透析液供給配管中に透析
液濾過用の膜モジュ−ルを単純で、かつ充分に短い配管
で挿入できて、配管内での透析液の滞留防止並びにエア
−溜りの防止を良好に保証でき、膜モジュ−ルへの透析
液の導入時のエア−抜きも容易、確実に行い得る透析装
置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係る透析装置
は、図１に示すように、筒状ケ−ス１内に束状中空糸膜
２，…を収納し、筒状ケ−ス内両端に樹脂隔壁Ａ，Ｂを
形成し、筒状ケ−ス一端側の樹脂隔壁Ａには、全中空糸
膜２，…の一端２１を埋入・封止し、筒状ケ−ス他端側
の樹脂隔壁Ｂの外面には、全中空糸膜２，…の他端２２
を開口させ、筒状ケ−ス１の他端に濾過液取出し用キャ
ップ４を取付け、筒状ケ−ス１と上記両樹脂隔壁Ａ，Ｂ
で囲まれた空間を原液室３とし、筒状ケ−ス外周面にお
ける上記樹脂隔壁Ａに近接する位置に原液入口１１を、
同じく上記樹脂隔壁Ｂに近接する位置にエア−抜き口１
２をそれぞれ設けてなる膜モジュ−ルＦを上記濾過液取
出し用キャップ４を上側に向けて垂直にダイアライザ−
５の下方に配設し、該膜モジュ−ルＦの原液入口１１を
透析液供給源にホ−ス８１により接続し、同膜モジュ−
ルＦの濾過液取出し用キャップ４をダイアライザ−５の
透析液入口５３１にホ−ス８２により接続したことを特
徴とする構成である。

【０００９】

【作用】透析液が透析液供給ホ−スを得て中空糸膜モジ
ュ−ルの原液室に所定の圧力で送入され、中空糸膜によ
り全量濾過され、この濾過に対しエンドトキシン等の不
純物の通過が阻止され、この精製された透析液がダイア
ライザ−の透析液室に送られていく。

【００１０】この膜モジュ−ルの挿入に必要な配管は、
透析液タンクと膜モジュ−ルの原液入口との間を直結す
るホ−スと膜モジュ−ルの濾過液取出し用キャップとダ
イアライザ−の透析液入口とを直結するホ−スのみで済
み、直線状でかつ短尺であるから、液の滞留やエア−ト
ラツプをよく排除できる。また、濾過後での配管内面に
よる透析液の汚損もその配管長さが短いためによく排除
できる。

【００１１】更に、膜モジュ−ルの原液室に透析液を導
入する際、原液室内のエア−をエア−抜きから排気で
き、また、膜モジュ−ルの濾過側とダイアライザ−の透
析液室とが下方から上方へと、途中に上下屈曲路を介す
ること無くストレ−トに連通させることができるから、
膜モジュ−ルの濾過側並びにダイアライザ−の透析液室
からのエア−排除もスム−ズに行われる。

【００１２】

【実施例】以下、図面を参照しつつ本発明の実施例につ
いて説明する。図１の（イ）は本発明において使用する
透析液濾過用の膜モジュ−ルを示している。図１の
（イ）において、１は筒状ケ−スであり、透明なプラス
チック筒を使用できる。２，…は束状の中空糸膜であ
り、筒状ケ−ス１内に収納されている。この中空糸膜２
には、エンドトキシン等に対する分離特性に優れた限外
濾過膜が使用され、例えば、剛性の高いポリスルホン系
の中空糸膜を使用することが好ましい。Ａは筒状ケ−ス
１内の一端側に硬化性樹脂液の注入により形成した樹脂
隔壁で、全中空糸膜２，…の一端２１をこの樹脂隔壁Ａ
に埋入し封止してある。Ｂは筒状ケ−ス１内の他端側に
硬化性樹脂液の注入により形成した樹脂隔壁で、全中空
糸膜２，…の他端２２をこの樹脂隔壁Ｂの外面に開口さ
せてある。これら樹脂隔壁Ａ，Ｂの硬化性樹脂には、エ
ポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂、ウレタン樹脂等を使用で
きる。

【００１３】３はこれらの両樹脂隔壁Ａ，Ｂと筒状ケ−
ス１とで囲まれた空間を示し、原液室として使用され
る。１１は筒状ケ−ス１の外周面において、上記樹脂隔
壁Ａに近接する位置に設けた原液入口であり、樹脂隔壁
Ａの内面ａに原液入口内面１１ａが接する位置関係にあ
る。１２は筒状ケ−ス１の外周面において、上記樹脂隔
壁Ｂに近接する位置に設けたエア−抜き口であり、樹脂
隔壁Ｂの内面ｂにエア−抜き口内面１２ｂが接する位置
関係にある。４は筒状ケ−ス１の他端側に取着した濾過
液取出し用キャップであり、頂部に濾過液取出し口４１
を備えている。

【００１４】図１の（ロ）は本発明に係る透析装置を示
している。図１の（ロ）において、５はダイアライザ−
であり、再生セルロ−ス等を透析膜に使用したコイル
型、平板積層型、中空糸型等を使用でき、図示の例で
は、中空糸型、すなわち、筒状ケ−ス５１内に束状透析
中空糸膜を収納し、筒状ケ−ス内両端に樹脂隔壁（下側
樹脂隔壁並びに上側樹脂隔壁）を形成し、各樹脂隔壁の
外面に中空糸膜両端の各端を開口させ、筒状ケ−ス５１
の一端（上端）に血液入口５２１を、筒状ケ−ス５１の
他端（下端）に血液出口５２２をそれぞれ設け、筒状ケ
−スと上記両樹脂隔壁で囲まれた空間を透析液室とし、
筒状ケ−ス外周面における上記の下側樹脂隔壁に近接す
る位置に透析液入口５３１を、同じく上記の上側樹脂隔
壁に近接する位置に透析液出口５３２をそれぞれ設けた
ものが使用されている。図示の例では、中空糸型ダイア
ライザ−５を血液入口５２１を上側とする垂直配置で設
置してあるが、水平設置とすることも可能である。

【００１５】６はベッドサイドモニタ−であり、血液系
統に対しては圧力モニタ−や気泡検出器を備え、透析液
系統に対しては温度モニタ−、濃度検出器、圧力モニタ
−並びに混血検出器等を備え、上記ダイアライザ−５を
このベッドサイドにクランプ７１により支持し、動脈側
連通ホ−ス７１をダイアライザ−５の血液入口５２１に
接続し、静脈側連通ホ−ス７２をダイアライザ−５の血
液出口５２２に接続してある。

【００１６】Ｆは上記した透析液濾過用の膜モジュ−ル
であり、上記ダイアライザ−５の下方において、ベッド
サイドにクランプ６２により支持し、透析液供給ホ−ス
８１を膜モジュ−ルの原液入口１１に接続し、膜モジュ
−ルの濾過液取出し用キャップ４とダイアライザ−５の
透析液入口５３１とをホ−ス８２により接続してある。

【００１７】本発明の透析装置を使用しての透析にあた
っては、通常のように、洗浄液の流通による配管内、膜
モジュ−ル内等の洗浄を行う必要があるが、本発明の透
析装置においては、透析濾過用の膜モジュ−ルを挿入し
たにもかかわらず、挿入無しの場合に較べ配管長さを殆
ど増加することなく、また、図２に示す従来例とは異な
り、分岐路を有さず、単純配管とし得るから、配管内洗
浄を確実・容易に行うことができる。

【００１８】また、透析においては、血液を矢印ｍ方向
にダイアライザ−５並びに人体を経て循環させると共に
透析液を透析液タンク（図示せず）⇒透析液送りポンプ
（図示せず）⇒モニタ−（図示せず）⇒透析液供給ホ−
ス８１⇒膜モジュ−ルＦの原液入口１１⇒膜モジュ−ル
Ｆの原液室⇒膜⇒膜モジュ−ルＦの濾過液出口４⇒連結
ホ−ス８２⇒ダイアライザ−５の透析液入口５３１⇒ダ
イアライザ−５の透析液室⇒ダイアライザ−５の透析液
出口５３２の経路で流通させていくが、この経路は下方
から上方に向うのみで、途中に上下に屈曲する流路が実
質上存在しないから、透析液の滞留やエア−トラップを
よく排除しつつ透析液をスム−ズに流通させることがで
きる（例えば、図２の（イ）に示す従来の膜モジュ−ル
において、筒状ケ−ス下端側の濾過液取出し用キャツプ
４’を閉栓する場合、この下端側キャツプ４’内で透析
液の滞留が避けられないが、本発明の場合、かかる滞留
を完全に排除できる）。

【００１９】

【発明の効果】本発明に係る透析装置においては、透析
液供給配管に透析液濾過用膜モジュ−ルを挿入したにも
かかわらず、透析液供給配管を挿入無しの場合と実質上
異なることのない単純な短い配管にでき、また、膜モジ
ュ−ル内の液の流れも下から上に向く方向であり、しか
も膜モジュ−ルをダイアライザ−の下方に位置させ両者
間でもその下から上へ向かう方向性をよく保証できるか
ら、透析液の滞留やエア−トラップを良好に防止しつ
つ、透析液をスム−ズに流通させ得る。

【００２０】更に、膜モジュ−ルの原液室からエア−を
確実に追い出し得、膜モジュ−ルの濾過側配管長さも充
分に短くできから、膜モジュ−ルの膜面でのエア−トラ
ップを排除して当該膜モジュ−ルにより透析液を効率よ
く濾過精製でき、この精製透析液を配管内面汚染や気泡
の混入をよく排除してダイアライザ−にスム−ズに供給
できる。更にまた、配管スペ−スを小さくでき、透析の
作業性も良好である。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１の（イ）は本発明において使用する膜モジ
ュ−ルを示す説明図、図１の（ロ）は本発明の実施例を
示す説明図である。

【図２】図２の（イ）は従来の透析装置の透析液の濾過
に使用されている膜モジュ−ルを示す説明図、図２の
（ロ）は従来の透析装置を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 筒状ケ−ス １１ 原液入口 １２ エア−抜き口 ２ 中空糸膜 Ａ 樹脂隔壁 Ｂ 樹脂隔壁 ２１ 中空糸膜一端 ２２ 中空糸膜一端 ３ 原液室 ４ 濾過液取出し用キャップ ５ ダイアライザ− ５３１ 透析液入口 ８１ ホ−ス ８２ ホ−ス

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】筒状ケ−ス内に束状中空糸膜を収納し、筒
   状ケ−ス内両端に樹脂隔壁を形成し、筒状ケ−ス一端側
   の樹脂隔壁Ａには、全中空糸膜の一端を埋入・封止し、
   筒状ケ−ス他端側の樹脂隔壁Ｂの外面には、全中空糸膜
   の他端を開口させ、筒状ケ−スの他端に濾過液取出し用
   キャップを取付け、筒状ケ−スと上記両樹脂隔壁で囲ま
   れた空間を原液室とし、筒状ケ−ス外周面における上記
   樹脂隔壁Ａに近接する位置に原液入口を、同じく上記樹
   脂隔壁Ｂに近接する位置にエア−抜き口をそれぞれ設け
   てなる膜モジュ−ルを上記濾過液取出し用キャップを上
   側に向けて垂直配置でダイアライザ−の下方に設置し、
   該膜モジュ−ルの原液入口を透析液供給源にホ−スによ
   り接続し、同膜モジュ−ルの濾過液取出し用キャップを
   ダイアライザ−の透析液入口にホ−スにより接続したこ
   とを特徴とする透析装置。