JPH0847381A - 持久力向上飲食品 - Google Patents

持久力向上飲食品

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JPH0847381A
JPH0847381A JP6185751A JP18575194A JPH0847381A JP H0847381 A JPH0847381 A JP H0847381A JP 6185751 A JP6185751 A JP 6185751A JP 18575194 A JP18575194 A JP 18575194A JP H0847381 A JPH0847381 A JP H0847381A
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hawthorn
group
muscle
exercise
food
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JP6185751A
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Inventor
Yoshio Yamaki
芳夫 八巻
Yutaka Nomura
裕 野村
Chika Itou
千香 伊藤
Toshio Takizawa
登志雄 滝沢
Takashi Adachi
堯 足立
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Meiji Seika Kaisha Ltd
Original Assignee
Meiji Seika Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、持久力向上、筋肉組織の強化、
筋肉疲労回復促進に優れた効果を示す飲食品を、簡便且
つ低コストで提供することにある。 【構成】 サンザシ由来の抽出物を含有することを特
徴とし、且つ持久力向上、筋肉組織の強化、筋肉疲労回
復促進に効力を示すことを特徴とする飲食品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サンザシ由来の抽出物
を含有する飲食品に関し、詳しくは持久力向上、筋肉組
織の強化、筋肉疲労回復促進に効力を示す飲食品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】サンザシはバラ科の落葉低木で、直径
1.5cm程度の赤い果実がなる。中国ではサンザシ(cr
ataegus cuneata)、オオミサンザシ(c.pinnatifida
Bunge )が用いられており、報告されている薬理効果と
しては消化促進作用、血管拡張・血行促進作用、抗菌作
用、アルコール代謝促進作用がある。ヨーロッパではセ
イヨウサンザシ(c.oxyacantha L)が強心剤、狭心症
薬、消化促進剤として用いられている。また中国では菓
子として、拍子木状の干菓子や円盤状にしたサンザシ餅
があり、あるいは日本のリンゴ飴のようにサンザシの赤
い果実の表面を水飴で固めたサンザシ飴などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、健康志向の高ま
りとともに、各種の天然素材を用いて種々の目的の機能
性食品の開発が進められている。一方、積極的に健康を
維持し、体力を高めることを目的としてスポーツがます
ます盛んになりつつある。このような背景の中で、健康
を目指す人々のスポーツライフのあり方と食生活の影
響、スポーツ栄養学に関する研究が進みつつあり、また
関心も高まりつつある。
【0004】しかしながら、各種の天然素材を用いた機
能性食品の中で、持久力向上などを目的とし、またその
効果を裏付けたものは極めて少ないのが現状である。そ
こで天然素材を用いて、低コストで且つ効果の優れた持
久力向上のための飲食品の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、サンザシ由来の
抽出物に優れた持久力向上効果のあることを確認し、こ
の知見に基づき本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明はサンザシ由来の抽出物を含有することを特徴と
する飲食品、さらに該抽出物を含有することにより、持
久力向上、筋肉組織の強化、筋肉疲労回復促進に効力を
示す飲食品を提供するものである。
【0006】本発明における抽出物を得る方法として
は、サンザシを水又はエタノールで抽出することによ
る。原料となるサンザシとしては、果実、葉、花など各
種形態のものを用いることができるが、嗜好性や入手の
容易さなどの点から果実が好ましい。水で抽出する場合
にはサンザシの乾燥果実粉砕物15重量部に対し水85
重量部を加え、60〜95℃、好ましくは80〜95℃
にて0.5〜3時間、好ましくは0.5〜1.5時間抽
出を行い、遠心分離後フィルター濾過して抽出液を得
る。さらに抽出液を減圧濃縮し、濃縮液を凍結乾燥又は
スプレードライ等により粉末とすることもできる。
【0007】エタノールで抽出する場合にはサンザシの
乾燥果実粉砕物15重量部に対し、40%以上のエタノ
ール85重量部を加え、常温下で0.5〜4時間、好ま
しくは1〜2時間攪拌抽出を行う。濾過して得られた抽
出液中に含まれるエタノールを減圧下で除去後、凍結乾
燥又は減圧乾燥等により粉末とすることもできる。この
ようにして得られた抽出物は、食品の用途に応じて濃縮
液又は粉末のいずれを用いてもよい。もちろん食品の用
途によっては抽出物をクロマトグラフィー等によりさら
に精製してもよい。
【0008】ところで体力・持久力などの定義について
は種々の考え方があるが、一般的には体力は身体活動を
行う場合に必要なものであり、「体を上手に使って激し
い作業を長時間に渡って効率を低下させることなく持続
する能力」と定義できる。そして体力は瞬発力、持久
力、抵抗力などの因子から成り立っている。中でも持久
力は体力の中で中心的役割を果たすものであり、体力の
重要構成要素の1つとして欠くことのできないものであ
る。この持久力はさらに筋持久力と呼吸循環持久力など
に区分するのが一般的である。
【0009】以上の見地に基づき本発明者らは、サンザ
シ由来の抽出物について、トレッドミルを用いてマウ
ス、ラットの持久力向上効果を種々の角度から検討し
た。すなわち所定のトレーニングを一定の期間行い、毎
日のトレーニング終了後、サンザシ水抽出物を経口投与
した。そして所定の時期に酸素摂取量、疲労困憊試験、
および血液、肝臓、筋肉の各種生化学的試験を行った。
各種生化学的試験としては乳酸量、乳酸脱水素酵素(L
DH)活性、クレアチンリン酸化酵素(CPK)活性、
過酸化脂質(LPO)量、グリコーゲン量を持久力向
上、筋肉組織の強化、筋肉疲労回復促進などの指標とし
て測定した。
【0010】乳酸は運動中のATP供給源として解糖系
で生産される最終物質であり、発生した乳酸は血流に乗
り筋肉内から除去されると言われている。この乳酸は酸
素供給が十分になった時に酸化されてピルビン酸となり
再びエネルギー源となるが、筋肉内に蓄積すると筋疲労
を起こし運動を継続できなくなると言われている。乳酸
脱水素酵素(LDH)はピルビン酸と乳酸の間の酸化還元
反応に関与する酵素で、生体内には腎、心筋、骨格筋、
脾、肝臓などの組織に分布していると言われている。激
しい運動を行った後では、骨格筋が損傷を受け血中にL
DHが逸脱してくるため、血中LDH値が上昇する。
【0011】クレアチンリン酸化酵素(CPK)はATP
供給源として、ごく短い時間運動を行うときのクレアチ
ンとクレアチンリン酸との間で働き、骨格筋の運動に重
要な役割を果たしている酵素である。100m競争のダッシ
ュや、マラソン等のラストスパート時に無酸素的にAT
Pを必要とするときにクレアチンリン酸の高エネルギー
リン酸をATPに渡すのを触媒している。これも骨格筋
に多く存在し、筋の損傷に伴って血中に逸脱してくるの
で、血中CPK活性を測定することで筋の損傷度が判明
すると言われている。
【0012】過酸化脂質(LPO)と運動との関連につ
いて以下に述べる。近年注目を浴びている活性酸素によ
る傷害も運動と関連がある。運動を行うことによって、
その負荷が強過ぎたりするとホメオスタシスを維持でき
なくなり、健康を害することになる。過度の運動によっ
て心筋が疲労し、それに伴う虚血が起こりうる。また、
運動性貧血などによっても一時的に無酸素状態となり、
組織内酸素濃度が低下し、非共役状態の電子伝達系から
電子がリークされスーパーオキサイドラジカルやその他
ラジカルが生成して脂質の過酸化が起こると考えられて
いる。LPOは組織障害の原因になるとされ、臓器中の
LPO量を測定することで臓器の損傷度が判明すると言
われている。
【0013】グリコーゲン量は運動時のエネルギー源と
して肝臓中に蓄えられていると考えられている。また、
筋肉運動時のエネルギー源として直接関わるのは筋肉内
に蓄えられたグリコーゲンである。これらの生化学的試
験を行った結果、サンザシ由来の抽出物は持久力向上、
筋肉組織の強化、筋肉疲労回復促進などに優れた効果を
持つことが見出された。
【0014】本発明における飲食品は、サンザシ由来の
抽出物を含有する飲食品であって、本物質は人体に対し
て無毒性であるから、その添加割合には特に制限はない
が、各飲食品の特性、呈味性あるいは経済性等を考慮し
て、その添加量としては1〜20%、好ましくは2〜1
0%程度であればよい。本発明の飲食品としては、該抽
出物を添加できるものであればクッキー、キャンデー、
錠菓、ゼリーなどの菓子類、パン、麺類をはじめとする
澱粉系食品、清涼飲料、スポーツドリンクなどの飲料類
等いかなる飲食品にも用いることができる。各飲食品の
特性、目的に応じ、適当な製造工程の段階で、適宜配合
すればよい。
【0015】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明を限定するものではない。実施例1 サンザシ乾燥果実を市販の粉砕器等を用いて粉砕後、こ
のサンザシ粉砕物15重量部に水85重量部を加え、こ
れを攪拌しながら95℃に加熱し、この状態で30分間
抽出した。この抽出液を総量100重量部となるように
水を加え冷却後、5000 RPM,10分間遠心分離して上清
を得、さらにフィルター(TOYO No.5)濾過し、
濾液をサンザシ水抽出液とした。また本抽出液を凍結乾
燥し、サンザシ水抽出粉末とした。
【0016】実施例2 サンザシ乾燥果実を市販の粉砕器等を用いて粉砕後、こ
のサンザシ粉砕物15重量部に50%エタノール85重
量部を加え、1時間攪拌抽出した。得られた抽出液をフ
ィルター(TOYO No.5)濾過し、ロータリーエバ
ポレーターで減圧濃縮後、濃縮液を凍結乾燥し、サンザ
シエタノール抽出粉末とした。
【0017】実施例1で得られたサンザシ水抽出液を用
い、持久力向上、筋肉組織の強化、筋肉疲労回復促進な
どの効果を有することを以下の方法で確認した。 実験動物:ICR系マウス 6週齢 オス(日本クレア) wistar系ラット 6週齢 オス(日本クレア) 試 験 区:非運動群 :通常のトレーニングは行わない 運動群 :トレーニング後水を投与 サンザシ群 :トレーニング後サンザシ水抽出液を投与 ショ糖群 :トレーニング後ショ糖を投与 コントロール群:トレーニングも疲労困憊試験も行わない
【0018】1.実験動物の飼育条件 マウス、ラット共に搬入後1週間の予備飼育の後実験に
供した。餌は固形飼料(MF:オリエンタル酵母)を与
え自由摂取とし、飲水も自由摂取とした。飼育室の環境
は温度23.5±0.5℃、湿度55±10%とし、午前6時から午
後6時を明期とする明暗サイクルで実験期間中を通じ飼
育した。 2.トレッドミルに対する実験動物の対応 マウス、ラット共にランダムに群分け(各群6匹)を行
い、最初の3日間をトレッドミル(CT-2,COLUMBUS社,U
SA)装置に対する慣れの期間とし、装置に入れるだけで
トレッドミルは作動させず30分間放置した。その後、
週5日間トレーニングを実施した。トレーニングはマウ
スで9週間、ラットで3週間行った。
【0019】3.トレーニングプログラム 体重測定後、動物をトレッドミルに入れ5分間放置した
後トレーニングを行った。初日が速度15m/分、20分間走
行させ、以後1日に5分ずつ走行時間を延長させた。走
行時間が40分に達したら速度を増加させ、時間を20分に
戻した。そして再び1日につき5分ずつ走行時間を延長
させた。その結果トレーニング最終日においてマウスの
トレーニング内容は25m/分、40分間、ラットは30m/分、
35分間であった。また、トレッドミルの傾斜角は常に8
°とした。 4.被験物質投与 実施例1で得られたサンザシ水抽出液およびショ糖を被
験物質とした。マウス、ラット共被験物質は毎日トレー
ニング終了後、直ちに経口投与した。投与量は以下の通
りである。 サンザシ水抽出液 : 1.5 g/kg体重 ショ糖 : 1.27g/kg体重
【0020】実施例3 定常走行時の酸素摂取量 持久力向上効果を体力増加の指標としてよく用いられる
酸素摂取量の比較で検討するために、ラットについて測
定を行った。即ち、トレーニング第3週最終日に20m/分
の速度で走行させ、運動が定常状態に達したときの酸素
摂取量をoxymax(columbus社,USA)で測定した。結果を図
1に示す。非運動群の酸素摂取量は約55.0ml/kg/分であ
ったのに対し、トレーニングを継続的に行った運動群の
酸素摂取量は51.2ml/kg/分で有意(p<0.01)に減少した。
サンザシ群は50.0ml/kg/分で運動群と比較した有意性は
得られなかったものの実験を行った各群間で最小値を示
した。これは即ち同じ運動を行うときに酸素の摂取量が
少なくて済むということになる。サンザシ群は同一トレ
ーニングにより持久力がより増強されたことが考えられ
る。
【0021】実施例4 疲労困憊試験 マウスについてはトレーニング第9週終了後、ラットは
第3週後に実施した。即ち、マウスは18m/分、ラットは
25m/分の速度で走行させ続け、動物が疲労して刺激グリ
ッド上から逃げ出さなくなるまでの時間を測定した。結
果を図2に示す。マウスでの試験の結果(図2−A)、
非運動群の走行時間は約3時間であった。これに対し、
連日トレーニングを行った運動群はその2倍の約6時間
走行し続けた。更に、サンザシ群は約10時間走行し、運
動群と比較しても有意に走行時間の延長が認められた(p
<0.001)。また、ラットでの結果(図2−B)におい
て、非運動群は約1.5 時間走行したのに対し、運動群は
マウスで得られた結果と同様の傾向で約2倍の3時間走
行した。サンザシ群は約4時間走行したが、サンザシ水
抽出液中の糖度と同じ濃度に調製したショ糖群では走行
時間は約3時間で、運動群と同じ結果であった。従っ
て、サンザシ水抽出液投与による糖エネルギー以外の何
らかの効果が持久力増強に関与したと考えられた。この
結果から、サンザシ群は同一トレーニングにより持久力
がより増強されたことが考えられる。
【0022】このサンザシ群の体力増加の理由を解明す
るため、以下のように血液、肝臓、筋肉の分析を行っ
た。実験動物は実施例4を実施した翌週、各群共屠殺前
に実施例4の結果より得られた非運動群が走行した時間
(マウス3時間、ラット1.5時間)走行させ、走行後直ち
にエーテル処理し採血、解剖した。なお、摘出した肝臓
と筋肉は直ちに液体窒素中で凍結した。またこれら臓器
の処理は全て0〜4℃で行った。
【0023】実施例5 ラットの実験における血液成分分析 採血を下大静脈より行い、得られた血液を3000rpm,10分
遠心分離して血漿を得た。この血漿について乳酸量(F
キット L−乳酸:ベーリンガーマンハイム)、乳酸脱
水素酵素(LDH)活性(LDH−UV テスト:和光
純薬)、クレアチンキナーゼ(CPK)活性(CPK−
テスト:和光純薬)を測定した。
【0024】[乳酸]血漿中の乳酸量を測定した結果を
図3に示した。乳酸量は非運動群と運動群ではほとんど
差が認められなかったのに対し、運動群とサンザシ群の
間ではサンザシ群が有意(p<0.01)に少なかった。すなわ
ち筋肉の疲労回復が促進されていると考えられる。コン
トロールの値と比較して各群の値が高いのは、1.5時間
のランニングを負荷した結果であると考えられ、その中
でもサンザシ群でこの値が少ないことは、乳酸を体内で
効率的に酸化した結果かあるいは筋肉内での乳酸の発生
を抑えたためのどちらかに起因すると考えられる。
【0025】[乳酸脱水素酵素(LDH)]LDH活性
はコントロール群の活性値を100としたときの比を図4
に示したが、非運動群が約 2.1倍と最も高値を示した。
運動群が約1.6倍でサンザシ群は約1.1倍と、サンザシ群
は有意(p<0.001)に少なく、コントロール群とほぼ同じ
値でこれ以外のどの群と比較しても有意に少なかった。
ショ糖群では運動群と有意差は認められなかった。この
結果からトレーニングを日頃行うことによって、筋の損
傷が少なくなってきている、つまり筋が強くなっている
ことが示唆された。さらに、サンザシ群では運動を負荷
したにも関わらずあまり上昇せず、より筋の損傷度が少
なくなっている、つまり筋肉組織が強化されていると考
えられる。
【0026】[クレアチンリン酸化酵素(CPK)]C
PK活性比もLDHと同様の方法で図5に示したが、非
運動群が約 1.4倍と高く、運動群が1.3倍であった。サ
ンザシ群は1.1倍で最も低値を示し、サンザシ群で筋の
損傷度が最も低いことが示唆された。
【0027】実施例6 ラットの実験における肝臓の分析 肝臓は江頭らの方法(江頭ら,日薬理誌, 100, 345-35
1, 1992)に従って処理し、過酸化脂質(LPO)をチ
オバルビツール酸(TBA)法により測定した。また、
グリコーゲン量はフェノール硫酸法を用いて測定した。
【0028】[過酸化脂質(LPO)]LPOを測定し
た結果を図6に示した。測定結果はTBA値としてマロ
ンジアルデヒド(MDA)のnmol数として示した。非運
動群のLPOが最も多く、ついでショ糖群、運動群と続
き、サンザシ群が最も低値でコントロールとほぼ同じ値
を示した。サンザシ水抽出液投与により、過酸化脂質生
成を何らかの機構で防御していると考えられる。脂質の
過酸化が進行しないで防御されるということは、臓器の
損傷が少ないことが示唆され、持久力向上の要因とな
る。一般にトレーニングによっても過酸化脂質防御因子
(SOD,GSH−Px,カタラーゼ)の活性は上昇す
ると言われており、得られた結果からもショ糖群、運動
群共に非運動群よりも過酸化脂質量は少なく、トレーニ
ングにより生体防御因子の増強が計られたと考えられ
る。
【0029】[グリコーゲン]結果を図7に示したが、
非運動群が極端に低く、その量はコントロールの約1/5
であった。運動群とショ糖群においてはコントロールの
ほぼ半分であるのに対し、サンザシ群はコントロールと
ほとんど変わらない量のグリコーゲンが認められ、運動
負荷にもかかわらずどの群と比較しても有意(p<0.001)
に多かった。すなわち持久力が向上したと考えられる。
これは非常に効果的な運動を行っていたか、もしくはサ
ンザシ水抽出液投与により肝臓中のグリコーゲン貯蔵量
が増大したのかどちらかが考えられるが、疲労困憊試験
における走行時間の延長の一因であることには間違いな
い。
【0030】実施例7 ひらめ筋の分析 ひらめ筋は赤筋に分類され、持久力に関係のある筋肉で
あると言われている。今回、マウスとラットの後肢から
ひらめ筋を摘出し、生化学的調査を行った。筋肉の処理
は原則としてChappellとPerryの方法(J.B.Chappell et
al., Nature, 173, 1094, 1954)に準じて行った。そ
のうち、グリコーゲン量、乳酸量はホモジナイズ後の画
分を用いた。また、LDH活性はホモジナイズ後の筋肉
を650×g, 10分間遠心分離し筋原繊維を除去後、その上
清を更に6000×g,20分間遠心分離し、得られた上清を
用い測定した。
【0031】[乳酸]マウスひらめ筋中の乳酸量を図8
−Aに、ラットにおける結果を図8−Bに示した。マウ
スは筋が微量のため、各群まとめてホモジナイズした結
果を示している。マウスではサンザシ群で乳酸量が最も
低値を示した。ラットでもマウスほど顕著ではないもの
のサンザシ群が低値を示し、筋肉の疲労回復が促進され
ていると考えられる。これはサンザシ群においては筋中
から乳酸が速やかに除去されていると考えられるが、実
施例5のサンザシ群の血漿中乳酸量は少ないという結果
から、筋中で産生された乳酸は筋中で処理されている可
能性が考えられる。
【0032】[乳酸脱水素酵素(LDH)]LDH活性
比を図9−A,Bにそれぞれ示した。マウスの結果から
はサンザシ群のLDH活性がコントロールの約1.8倍を
示した。ラットでの結果からは有意差は認められなかっ
たものの、非運動<運動=ショ糖<サンザシの順で活性
が高くなる傾向があった。サンザシ群のLDHは血漿中
に逸脱しにくい、と言う実施例5の結果とも併せて考え
ると、サンザシ水抽出液投与により筋繊維が強化され、
傷害を受けにくくなり、LDHが十分に作用しているた
め、乳酸が生成しても速やかに除去され持久力が増大し
ていると考えられる。しかし、トレーニングによってL
DH活性は上昇するという報告もあり(八田, 体育の科
学, 43, 350-354, 1993)、サンザシ水抽出液がLDH
活性をより増強した可能性も考えられる。
【0033】[グリコーゲン]グリコーゲン量を測定し
た結果を図10−A,Bに示した。マウス、ラットの両
結果とも、非運動<運動<サンザシの順で筋中グリコー
ゲン量が多く認められた。今回非運動群は疲労困憊状態
になっているが、筋肉内のグリコーゲンは予想に反して
枯渇には至っていなかった。しかし、各群中最も低い値
を示した。サンザシ群、運動群、ショ糖群ともコントロ
ールより高い傾向が認められたが、統計的有意差を得る
には至らなかった。
【0034】以上の結果から、今回得られたサンザシ群
の持久力増加効果は筋肉で発生する乳酸を速やかに除去
する機構が亢進し、筋肉の疲労を抑制し、筋肉組織が強
化され、更に肝臓中に蓄積するような過酸化脂質の発生
を妨げることによってもたらされるものであると考える
ことができる。
【0035】製造例1 実施例2で得られたサンザシエタノール抽出粉末を用
い、常法に従って以下の配合でクッキーを作った。 小麦粉 440 部 砂糖 240 部 マーガリン 200 部 全卵粉 70 部 サンザシエタノール抽出粉末 50 部 バニラエッセンス 2.5部 水 130 部 この製品の試食の結果は、ソフトな歯ごたえをもち、苦
み等の呈味性や呈色性の問題もなく、市販品に対して遜
色のないクッキーであった。
【0036】製造例2 実施例1で得られたサンザシ水抽出粉末を用い、常法に
従って以下の配合で粉末スポーツドリンクを作った。 クエン酸 7.2 部 フレーバー 1.9 部 ビタミンC 1.1 部 クエン酸ナトリウム 1.1 部 食塩 1.1 部 サンザシ水抽出粉末 87.6 部 本粉末スポーツドリンクを1リットルの水に約100g溶か
し、飲用に供した。
【0037】製造例3 実施例2で得られたサンザシエタノール抽出粉末を用
い、常法に従って以下の配合で清涼飲料を作った。 水 81 部 異性化糖 7.6 部 リンゴ果汁 2 部 クエン酸 0.35 部 リンゴ酸 0.05 部 サンザシエタノール抽出粉末 9 部
【0038】製造例4 実施例1で得られたサンザシ水抽出粉末を用い、常法に
従って以下の配合で菓子ゼリーを作った。 水 27.8 部 クエン酸 0.25 部 ペクチン 1.6 部 粉糖 4.0 部 グラニュー糖 15.5 部 水飴 41.7 部 香料 0.15 部 サンザシ水抽出粉末 9 部
【0039】製造例5 実施例1で得られたサンザシ水抽出粉末を用い、常法に
従って以下の配合でキャンデーを作った。 グラニュー糖 46.1 部 水飴 44.5 部 クエン酸 0.3 部 香料 0.1 部 サンザシ水抽出粉末 9 部
【0040】
【発明の効果】本発明に従えば、サンザシ由来の抽出物
を飲食品に含有させることにより、持久力向上、筋肉組
織の強化、筋肉疲労回復促進に優れた効果を示す飲食品
を、簡便且つ低コストで提供することができ、その意義
は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 定常走行時の酸素摂取量を示すグラフ。
【図2】 疲労困憊試験の走行時間を示すグラフ(A:
マウス、B:ラット)。
【図3】 血漿中の乳酸量を示すグラフ。
【図4】 血漿中の乳酸脱水素酵素(LDH)活性比を
示すグラフ。
【図5】 血漿中のクレアチンリン酸化酵素(CPK)
活性比を示すグラフ。
【図6】 肝臓中の過酸化脂質(LPO)量を示すグラ
フ。
【図7】 肝臓中のグリコーゲン量を示すグラフ。
【図8】 ひらめ筋中の乳酸量を示すグラフ(A:マウ
ス、B:ラット)。
【図9】 ひらめ筋中の乳酸脱水素酵素(LDH)活性
比を示すグラフ(A:マウス、B:ラット)。
【図10】 ひらめ筋中のグリコーゲン量を示すグラフ
(A:マウス、B:ラット)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 滝沢 登志雄 埼玉県坂戸市千代田5丁目3番1号 明治 製菓株式会社生物科学研究所内 (72)発明者 足立 堯 埼玉県坂戸市千代田5丁目3番1号 明治 製菓株式会社生物科学研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サンザシ由来の抽出物を含有することを
    特徴とする飲食品。
  2. 【請求項2】 抽出物が、サンザシから水又はエタノー
    ルを使用して抽出したものである請求項1記載の飲食
    品。
  3. 【請求項3】 サンザシ由来の抽出物を含有することに
    より、持久力向上、筋肉組織の強化、筋肉疲労回復促進
    に効力を示すことを特徴とする請求項1記載の飲食品。
JP6185751A 1994-08-08 1994-08-08 持久力向上飲食品 Pending JPH0847381A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
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