JPH084461Y2

JPH084461Y2 - シート状製品の容器包装体

Info

Publication number: JPH084461Y2
Application number: JP786590U
Authority: JP
Inventors: 千明大浜; 啓介加藤
Original assignee: 株式会社ミドリ十字
Priority date: 1990-01-30
Filing date: 1990-01-30
Publication date: 1996-02-07
Anticipated expiration: 2005-01-30
Also published as: JPH03100178U

Description

【考案の詳細な説明】（技術分野）本考案は、紙等のシート状製品の容器包装体に関する
ものである。

（従来技術及びその問題点）わさびは、従来から抗菌作用や防カビ作用、腐敗防止
作用を有することは経験上知られている。

しかし、わさびの主成分であるイソチオシアン酸エス
テルを有効成分として含む抗菌剤や、防カビ剤、鮮度保
持剤等の産業的薬剤は未だ開発されていないし、まし
て、容器内を衛生化する薬剤として使用されたことはな
い。

本考案者らは、先にイソチオシアン酸エステルは、微
小ガス濃度ですぐれた殺菌作用又は抗菌作用を有するこ
とを見出し、この知見に基づいて数多くの出願を行って
いる（特願平１−88274号、同１−88275号、同１−8827
6号、同１−88277号、同１−94770号、同１−137792号
等）。

本考案者らは、イソチオシアン酸エステルの用途開発
について種々研究を重ねた結果、中空容器内に、内容物
とともにイソチオシアン酸エステルの蒸気発生体を封入
したものは、その内容物がイソチオシアン酸エステルの
蒸気により殺菌処理を受け、内容物を衛生的に保持し得
ることを見出し、本考案をなすに至った。

（考案の課題）本考案は、内容物を衛生的に保持し得る容器包装体を
提供することをその課題とする。

（課題を解決するための手段）本考案によれば、シート状製品をロール巻き又は折り
たたんで中空容器内に入れ、該シート状製品を容器上蓋
のスリット状開口部から引出すように構成したものにお
いて、該容器内にイソチオシアン酸エステルの蒸気発生
体を同封したことを特徴とするシート状製品の容器包装
体が提供される。

本考案で用いるイソチオシアン酸エステルの蒸気発生
体は、基材に対してイソチオシアン酸エステルを含有さ
せることによって得ることができる。イソチオシアン酸
エステルとしては、イソチオシアン酸の脂肪族系及び芳
香族系の各種エステルが用いられるが、好ましくは、イ
ソチオシアン酸アリルエステル（CH₂＝CHCH₂NCS）や、
イソチオシアン酸アルキルエステル（RNCS、R:アルキル
基）が用いられる。本考案においては、カラシ油をその
まま用いることができる。

また、イソチオシアン酸エステルの蒸気発生体には、
芳香成分を含有させるのが好ましい。芳香成分として
は、常温で液体ないし固体のものが用いられ、固体のも
のは液体に溶解して用いられる。芳香成分の具体例とし
ては、各種の精油（例えば、オリーブオイルや、ラベン
ダーオイル等）や、各種の着香料等が挙げられる。

基材としては、紙、不織布、プラスチックフイルム、
吸着剤等が挙げられる。

本考案で用いるイソチオシアン酸エステルの蒸気発生
体を製造する場合、基材が紙や不織布、吸着剤等の液体
吸収性やガス吸着性のものである場合、基材に対し、イ
ソチオシアン酸エステル及び必要に応じて芳香成分を含
む液体を含浸させることによって、あるいは、その液体
からの混合蒸気を吸着させることによって得ることがで
きる。また、基材がプラスチックフイルム等の液体吸収
性やガス吸着性を有しないものの場合には、イソチオシ
アン酸エステル、充填剤、バインダー樹脂及び必要に応
じて芳香成分を含むコーティン液を作り、このコーティ
ング液を基材に塗布することによってイソチオシアン酸
エステルの蒸気発生体を得ることができる。この場合、
バインダー樹脂としては、熱や紫外線硬化性樹脂が好ま
しく用いられるが、熱可塑性樹脂や、ゴム、天然高分子
等を用いることもできる。充填剤としては、微細シリカ
やゼオライト、炭酸カルシウム、パルプ粉末等の無機ま
たは有機系微粉末を用いることができる。

イソチオシアン酸エステルの蒸気発生体の製造用原料
液として用いるイソチオシアン酸エステル及び必要に応
じて芳香成分を含む液体は、流動パラフィンやポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリ
ン等の実質上無臭の有機液体に、イソチオシアン酸エス
テル及び必要に応じて芳香成分を混合溶解することによ
って得ることができる。この場合、イソチオシアン酸エ
ステルの有機液体中濃度は0.01〜30重量％、好ましくは
0.1〜20重量％の範囲にするのがよい。また、芳香成分
を用いる場合、その芳香成分の濃度は、イソチオシアン
酸エステルの臭気を実質上感じさせないような濃度であ
り、芳香成分の種類にもよるが、通常、イソチオシアン
酸エステルに対して、1.5重量倍以上、好ましくは２〜2
0重量倍程度である。また、原料液は、芳香成分を構成
する精油又は有機液体中にイソチオシアン酸エステルを
混合溶解することによって製造することもできる。この
場合、イソチオシアン酸エステルの精油又は有機液体中
濃度は、0.1〜30重量％、好ましくは１〜20重量％程度
である。

イソチオシアン酸エステルの蒸気発生体は、必要に応
じ、その全体を通気性材料あるいはイソチオシアン酸エ
ステルの蒸気透過性材料、例えば、紙、不織布、有孔プ
ラスチックフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロ
ピレンフィルム等で包装して用いることもできる。

第１図に本考案の実施例の１つについて説明図を示
す。第１図において、１は容器、２はイソチオシアン酸
エステルの蒸気発生体、３はシート状製品、４はスリッ
ト状開口を示す。

シート状製品３としては、ティッシュペーパーやトイ
レットペーパー等の紙や不織布、手ふき用の紙や不織
布、食品包装用のプラスチックフィルム又は袋体等が挙
げられる。これらのシート状製品は、ロール巻き又は折
りたたんで容器内に充填される。

容器１は、図面に示すように全体が好ましくは箱状に
形成されるが、これに限定されるものではなく、円筒状
等の他の形状であってもよい。容器１の材質は、イソチ
オシアン酸エステルの蒸気が実質上透過しないものであ
り、このようなものとしては、アルミ箔や、ナイロン等
のイソチオシアン酸エステルの蒸気非透性材料で表面コ
ーティングした紙や不織布、プラスチックシート、ある
いはナイロン等のイソチオシアン酸エステルの蒸気非透
過性プラスチック等が挙げられる。

開口部４は、シート状製品を外に引出すためのもの
で、通常、スリット状に形成される。また、この開口部
は、あらかじめ封止し、使用に際し、スリット状に開封
し得る構造とすることもできる。このためには、開口部
の形状に応じてミシン目をあらかじめ入れたり、スリッ
ト状開口部面を粘着シートで封止し、使用時に開封し得
るようにすればよい。

イソチオシアン酸エステルの蒸気発生体２は、容器底
部に載置あるいは接着させることができる。また、容器
側壁に接着固定化することもできる。イソチオシアン酸
エステルの蒸気発生体２としては、好ましくは、芳香成
分を含有するものが用いられる。例えば、オリーブ油10
重量部にイソチオシアン酸アリル１重量部を混合溶解し
て得た原料液5mlを濾紙（100cm²）に含浸させて形成し
たものは、それから放散される香りは、オリーブの香り
であって、イソチオシアン酸アリルの臭気は実質的に感
じられないものである。

（考案の効果）本考案のシート状製品の容器包装体は、その内部にイ
ソチオシアン酸エステルの蒸気発生体からのイソチオシ
アン酸エステルの蒸気が充満し、シート状製品はその蒸
気によって殺菌処理を受け、無菌化されている。従っ
て、開口部から順次引出されるシート状製品は、シート
状製品がティッシュペーパーやトイレットペーパー等の
場合には、人体に対して衛生的に適用される。また、シ
ート状製品がプラスチックフィルムやその袋体の場合に
は、カビが発生しやすい食品や、有害微生物により変質
しやすい食品の包装に有利に適用される。

また、本考案において、イソチオシアン酸エステルの
蒸気発生体として芳香成分を含むものを用いる時には、
その包装体内には芳香成分による香りが充満し、この香
りによってイソチオシアン酸エステルの特異な臭気が感
じられなくなり、消費者に対するイソチオシアン酸エス
テルの臭気による不快感は生じない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のシート状製品の容器包装体の一部透視
説明図である。１…容器、２…イソチオシアン酸エステルの蒸気発生
体、３…シート状製品、４…開口部。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】シート状製品をロール巻き又は折りたたん
で中空容器内に入れ、該シート状製品を容器上蓋のスリ
ット状開口部から引出すように構成したものにおいて、
該容器内にイソチオシアン酸エステルの蒸気発生体を同
封したことを特徴とするシート状製品の容器包装体。
【請求項２】該イソチオシアン酸エステルの蒸気発生体
が芳香成分を含有する請求項１の容器包装体。