JPH0842018A - 建築用構造部材の耐火被覆構造 - Google Patents

建築用構造部材の耐火被覆構造

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JPH0842018A
JPH0842018A JP18130194A JP18130194A JPH0842018A JP H0842018 A JPH0842018 A JP H0842018A JP 18130194 A JP18130194 A JP 18130194A JP 18130194 A JP18130194 A JP 18130194A JP H0842018 A JPH0842018 A JP H0842018A
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Tadashi Sakai
正 左海
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STYLITE KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐火被覆組成物の耐火性能を最も効果的に引
き出すことができ、かつ施工作業性にも優れた建築用構
造部材の耐火被覆構造を目的とする。 【構成】 ウェブ1と、該ウェブ1の両端に該ウェブ1
に対してそれぞれ直角に形成されたフランジ2、3とを
備える建築用構造部材4が、耐火層6で被覆された建築
用構造部材の耐火被覆構造において、前記構造部材4の
対向フランジ2、3の先端部間にウェブ1と平行に耐火
層保持部材5を配置することにより、対向フランジ2、
3間に中空部9が形成されるとともに、前記耐火層6が
構造部材4および耐火層保持部材5の表面に形成されて
いることを特徴とする。また、前記耐火層6は、水硬性
セメントを主成分として含有してなる耐火被覆組成物、
またはエトリンジャイトを主成分として含有してなる耐
火被覆組成物を湿式施工することにより形成されたもの
であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鉄骨梁材や柱材等の
建築用構造部材を耐火層で被覆する耐火被覆構造に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】鉄骨梁材等の建築用構造部材を被覆する
耐火構造は、その耐火性能が建築基準法施工令第107
条により壁、床、柱等の建築物の各部位に応じた耐火時
間として規定されており、その耐火性能の試験法とし
て、昭和44年建設省告示第2999号「耐火構造の指
定の方法」および、JIS A1304「建築構造部分
の耐火試験方法」が規定されている。具体的には、JI
S A1304による耐火性能試験は加熱試験、載荷加
熱試験および衝撃試験から構成されており、例えば加熱
試験法では、30分耐火試験、1時間耐火試験、2時間
耐火試験および3時間耐火試験に区分され、1000℃
程度に加熱した炉内における耐火被覆材を施工した内部
鉄骨温度が前記各時間内に平均温度350℃を越えては
ならないというものである。
【0003】ところで、耐火被覆材はその耐火性能が向
上するほど施工厚さを薄くすることができる。したがっ
て、前述されたような耐火性能基準を満たすことはもと
より、耐火被覆材の施工厚さを可能な限り薄くして構造
部材の荷重負担を軽減するとともに工期を短縮するとい
う観点からも、耐火性能の優れた耐火被覆材が望まれて
いる。
【0004】また、構造部材に対して耐火被覆材を湿式
施工する場合、通常、図5に示されているように、H形
鋼(4)等の表面に直接吹付けあるいはこて塗りによっ
て耐火層(20)を形成する。クロス張り等の内装材の施
工は、前記耐火層(20)の表面にけい酸カルシウム板や
石膏板等の不燃ボード(21)を張り付けて全体を角柱形
状に修正し、さらにパテで表面の細かな凹凸を埋めたの
ちに行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】優れた耐火被覆構造を
形成するには、前述したような耐火性能の優れた耐火被
覆組成物を使用することが重要である一方、さらなる耐
火性能の向上を求めて、耐火被覆材の被覆形態にも注目
されている。
【0006】また、前述した従来の湿式施工法において
は、H形鋼の凹凸のある外形に沿って耐火被覆組成物を
施工するため作業が面倒であるという問題点があった。
さらに、内装材を施工するためには不燃ボードの張付け
およびパテ塗りが不可欠であり、内装仕上げまでの工程
数が多いという問題点もあった。
【0007】この発明は、さらなる耐火性能の向上と前
記問題点を解消することとを目的として、優れた耐火被
覆組成物の耐火性能を最も効果的に引き出すことがで
き、かつ施工作業性にも優れた建築用構造部材の耐火被
覆構造を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の建築用構造部
材の耐火被覆構造は、前記目的を達成するために、ウェ
ブ(1)と、該ウェブ(1)の両端に該ウェブ(1)に
対してそれぞれ直角に形成されたフランジ(2)(3)
とを備える建築用構造部材(4)が、耐火層(6)で被
覆された耐火被覆構造において、前記構造部材(4)の
対向フランジ(2)(3)の先端部間に前記ウェブ
(1)と平行に耐火層保持部材(5)を配置することに
より、対向フランジ(2)(3)間に中空部(9)が形
成されるとともに、前記耐火層(6)が前記構造部材
(4)および耐火層保持部材(5)の表面に形成されて
いることを特徴とするものである。また、前記耐火層
(6)は、水硬性セメントを主成分として含有してなる
耐火被覆組成物、またはエトリンジャイトを主成分とし
て含有してなる耐火被覆組成物を湿式施工することによ
り形成されたものであることが好ましい。
【0009】この発明における建築用構造部材とは、ウ
ェブ(1)と該ウェブ(1)の両端に該ウェブ(1)に
対してそれぞれ直角に形成されたフランジ(2)(3)
とを備えるものであり、具体的には図1等に示されるH
形鋼(4)、H形鋼よりもフランジの短いI形鋼、図3
に示される断面形状がコの字形のみぞ形鋼(13)等であ
る。
【0010】また、耐火層保持部材(5)は、前記構造
部材(4)の対向フランジ(2)(3)の先端部間にウ
ェブ(1)と平行に配置することにより、対向フランジ
(2)(3)間に中空部(9)を形成するとともに、フ
ランジ(2)(3)間の外形上の凹凸を解消する。そし
て、耐火層(6)は、構造部材(4)の露出部分および
耐火層保持部材(5)の外面、すなわち図1に示すH形
鋼またはI形鋼であればフランジ(2)(3)の外面お
よび耐火層保持部材(5)の外面、図3に示すみぞ形鋼
(13)であればフランジ(2)(3)の外面、ウェブ
(1)の外面および耐火層保持部材(5)の外面に形成
される。したがって、耐火層保持部材(5)は、後述の
耐火被覆組成物を湿式施工して耐火層(6)として保持
できるものであれば材質は特に限定されず、けい酸カル
シウム、石膏等の不燃性の板状のものや、ラス等のネッ
ト状のものを使用できる。また、耐火層保持部材(5)
を所定位置に安定して配置するために、スペーサ(8)
等の補助部材を使用しても良い。
【0011】前記耐火層(6)は、前述したように耐火
層保持部材(5)を配置した構造部材(4)に、耐火被
覆組成物を吹付けまたはこて塗り等により湿式施工して
形成される。耐火被覆組成物の種類は、湿式施工される
ものあれば特に限定されず、同じ耐火被覆組成物を用い
て同じ厚さに施工した場合に、前述したような中空部
(9)を有する構造をとることによって、従来の耐火被
覆構造(図5)よりも耐火性を向上させることができ
る。また、前記耐火被覆組成物は、水硬性セメントを主
成分として種々の骨材、水酸化物、炭酸塩等が配合され
た既存のものを使用できる他、以下に詳述するエトリン
ジャイトを主成分とする耐火被覆組成物を使用すること
により、さらに優れた耐火性能を得ることができる。
【0012】ところで、図6に示されているのは前述の
加熱試験における耐火材料で被覆された構造部材の温度
上昇パターンを示すグラフであり、加熱によってまず1
00℃まで立上がり(a)、耐火被覆材に含まれる水分
が水蒸気ガスとして放出されている間は水の沸点である
100℃で停滞し(b)、その後時間の経過とともに温
度が上昇し(c)、350℃に達するまでの時間が耐火
時間として評価される。図6からわかるように、立上が
り域(a)が長いほど耐火時間が長くなり、100℃に
おける停滞域(b)が長いほど耐火時間が長くなり、ま
た温度上昇域(c)における温度勾配が小さいほど35
0℃に達するのが遅くなって耐火時間が長くなり、耐火
性能が良いといえる。
【0013】前記エトリンジャイトとは、結晶骨格間に
大きな空隙を有するカルシウムとアルミニウムの水和硫
酸塩であって、前記空隙に約45〜55重量%もの多量
の結晶水を含んでいる。この発明に使用するエトリンジ
ャイトは、天然に産出するものでも人工的に合成したも
のでも良い。エトリンジャイトは、加熱されると前記結
晶水が60℃付近から結晶骨格から遊離し始め、該結晶
水は不燃性の水蒸気ガスとして放出されるが、前述のよ
うに結晶水量が極めて多いために前述の100℃停滞域
(b)を延ばす効果がある。また、水とともに練るとエ
ナメル状になって硬化し、バインダとしても機能する。
【0014】前記エトリンジャイトは耐火被覆組成物と
して単独でも使用できるが、エトリンジャイトを主成分
とする耐火被覆組成物に、1000℃以下で不燃性ガス
を放出する無機化合物粉粒体および/または酸化チタン
粉粒体を配合することによって、なお一層耐火性能を向
上させることができる。
【0015】前記無機化合物粉粒体としては、100〜
1000℃の温度域で結晶水の放出または分解反応によ
り水蒸気ガスまたは炭酸ガスの不燃性ガスを放出する無
機化合物の水和物または無機炭酸塩の粉粒体、あるいは
これらを主体とする鉱物の粉粒体を使用するが、その重
量の10%以上を不燃性ガスとして放出するものが好ま
しい。具体的には、200〜250℃で水蒸気ガスを生
成する水酸化アルミニウム、約800℃で炭酸ガスを生
成する炭酸カルシウム、約900℃で水蒸気ガスを生成
するベントナイトおよびセピオライト、約150℃で水
蒸気ガスおよび炭酸ガスを生成する重曹、約400℃で
水蒸気ガスを生成する水酸化マグネシウム等を例示で
き、これらのうちの1種を単独で使用しても良く、また
2種以上を併用しても良い。なお、これらの無機化合物
粉粒体の粒度は特に限定されるものではないが、耐火被
覆組成物の均一混合を図るために平均粒径1.0mm程
度以下のものが望ましい。
【0016】前記無機化合物粉粒体においては、不燃性
ガスが生成している間はガス生成のために熱が奪われる
ために温度上昇が抑制され、図6の温度上昇域(c)に
おける温度勾配が小さくなる。このような無機化合物粉
粒体の配合量は、前記エトリンジャイト100重量部に
対して5重量部未満では前記温度勾配を小さくする効果
が殆どなく、また500重量部を超えると相対的に前記
エトリンジャイトの配合量が少なくなって100℃停滞
域(b)の延長効果が減少するとともに硬化も困難にな
る。したがって、無機化合物粉粒体の配合量は、エトリ
ンジャイト100重量部に対して5〜500重量部の範
囲が好ましく、特に好ましい下限値は50重量部であ
り、特に好ましい上限値は400重量部である。
【0017】前記酸化チタンは、高温域においても非常
に安定で分解せず、輻射熱を遮断して耐火被覆材の熱伝
導率を下げる効果がある。したがって、図6の温度上昇
パターンにおいて、100℃までの立上がり域(a)以
降の全区域で耐火時間を延ばす効果がある。また、酸化
チタン粉粒体の粒度は特に限定されるものではないが、
耐火被覆組成物の均一混合を図るために平均粒径1.0
mm程度以下のものが望ましい。このような酸化チタン
粉粒体の配合量は、前記エトリンジャイト100重量部
に対して0.01重量部未満では熱伝導率を低下させる
効果が殆どなく、また50重量部を超えて配合しても熱
伝導率低下効果が飽和するため多量に配合する意味がな
い。したがって、酸化チタン粉粒体の配合量はエトリン
ジャイト00重量部に対して0.01〜50重量部の範
囲が好ましい。特に好ましい下限値は5重量部であり、
特に好ましい上限値は20重量部である。
【0018】また、前述の各成分の他に耐火被覆組成物
の機能向上のための諸材料を、耐火性能を阻害しない範
囲内で任意に配合しても良い。例えば、強度向上および
コストダウンのために水硬性セメントを、軽量化を促進
するために黒曜石パーライト、真珠岩パーライト、焼成
バーミキュライト、シラスバルーン等の軽量骨材を、強
度向上のために水ガラスを、亀裂を防止するために耐ア
ルカリガラス繊維、セラミックファイバー等の繊維類
を、施工作業性の向上のために保水剤等を配合すること
ができ、これらの2種以上を併用することもできる。
【0019】
【作用】この発明にかかる建築用構造部材の耐火被覆構
造においては、対向フランジ(2)(3)の先端部間に
耐火層保持部材(5)が配置されることにより、耐火層
(6)は対向フランジ(2)(3)間に中空部(9)が
形成された状態で構造部材(4)を被覆している。その
ため、この中空部(9)即ち空気層が断熱効果をもたら
し、加熱時において中空部(9)に接する部分の温度上
昇が抑制され、ひいては構造部材(4)の温度上昇が抑
制され、優れた耐火性能を発現する。
【0020】また、前記耐火層(6)の形成に際して
は、前記耐火層保持部材(5)の使用により対向フラン
ジ(2)(3)間が平面的になるため、水硬性セメント
を主成分として含有してなる耐火被覆組成物を湿式施工
して耐火層(6)を形成することが容易である。
【0021】さらに、前記耐火層(6)を形成する耐火
被覆組成物としてエトリンジャイトを主成分として含有
してなる組成物を使用すると、上述のような湿式施工の
容易性に加えて耐火性能が向上する。即ち、エトリンジ
ャイトの結晶水が約60℃で遊離し始め、水蒸気ガスが
生成され放出されている間はその吸熱作用によって温度
上昇が抑制され、また放出された水蒸気ガスが層状にな
って熱伝導率を低下させるため、優れた耐火性能を発現
する。この場合は、耐火層(6)の被覆態様および耐火
層(6)を構成する耐火被覆組成物の両者により、相乗
的に優れた耐火性能を発現する。
【0022】
【実施例】次に、この発明にかかる建築用構造部材の耐
火被覆構造について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】各実施例および比較例において、建築用構
造部材として、図1、図2および図4に示されているよ
うな、ウェブ(1)の両端に該ウェブ(1)に対してそ
れぞれ直角に形成された一対のフランジ(2)(3)を
備えるH形鋼(4)を使用した。また、耐火被覆組成物
を構成する材料には、含水量46重量%のエトリンジャ
イト、平均粒径0.1mmの水酸化アルミニウム、平均
粒径0.1mmの炭酸カルシウム、平均粒径0.2mm
のベントナイト、平均粒径1mmのセピオライト、平均
粒径1μmの酸化チタン、白色セメント、平均粒径2.
5mmのパーライトおよび耐アルカリガラス繊維を用い
た。
【0024】[被覆形態による耐火性能試験]まず、同
一組成の耐火被覆組成物を用いて、被覆態様の相違によ
る耐火性能について試験を行った。
【0025】(実施例)図1(A)(B)に示すよう
に、本実施例の耐火被覆構造においては、H形鋼(4)
の左右の対向フランジ(2)(3)の先端部間に、耐火
層保持部材(5)が配置されており、H形鋼(4)およ
び耐火保持部材(5)の表面に耐火層(6)が形成され
ている。
【0026】前記耐火層保持部材(5)は、図2に示す
ように、板状の本体(7)と、該本体(7)の一面側に
釘打ちによって直角に固着された数個のスペーサ(8)
とから構成され、これら本体(7)およびスペーサ
(8)はいずれも厚さ25mmのけい酸カルシウム板から
なる。また、本体(7)の高さ(h)はH形鋼(4)の
対向フランジ(2)(3)間の間隔(h’)に等しく、
スペーサ(8)の幅(w)はフランジ(2)(3)のウ
ェブ(1)から突出部分の長さ(w’)に等しく形成さ
れている。そして、H形鋼(4)の左右の対向フランジ
(2)(3)間に、前記耐火層保持部材(5)を、スペ
ーサ(5)の先端面がウェブ(1)に当接するまで挿入
することによって、対向フランジ(2)(3)間に中空
部(9)が形成されるとともに、フランジ(2)(3)
の側面と耐火層保持部材(5)の外面とが同じ高さとな
り、対向フランジ(2)(3)間が1つの平面となされ
ている。また、耐火層保持部材(5)は、耐火ボンドに
よりH形鋼(4)に接合されて一体となり、これら
(4)(5)は全体として内部に中空部(9)を有する
角柱形状となされている。
【0027】そして、図1(A)に示す梁材において
は、H形鋼(4)の一方のフランジ(2)をスラブ(1
0)に密着させた状態で、耐火層保持部材(5)を含む
H形鋼(4)の周囲3面に形成された耐火層(6)によ
り、H形鋼(4)は被覆されている。前記耐火層(6)
は、次の配合割合の耐火被覆組成物を所定の厚さにこて
塗りすることにより形成されたものである。また、図1
(B)に示す柱材においては、耐火層保持部材(5)を
含むH形鋼(4)の全周4面に前記組成の耐火被覆組成
物による耐火層(6)が形成されている。 耐火被覆組成物の配合割合 エトリンジャイト 100重量部 耐アルカリガラス繊維 5重量部 (比較例)図4(A)(B)に示すように、梁材および
柱材において、それぞれH形鋼(4)の表面に直接前記
配合の耐火被覆組成物を所定の厚さにこて塗りすること
により耐火層(6’)が形成されている。
【0028】(耐火時間試験)上述の実施例および比較
例の耐火被覆構造について、耐火層(6)(6’)の厚
さの異なる試験体を準備し、JIS A1304「建築
構造部分の耐火試験方法」にもとづき、次の要領で耐火
時間を試験した。前記H形鋼(4)の温度を測定するた
めに、耐火層(6)(6’)を施工する前に、図1
(A)および図4(A)の梁材においては、スラブ(1
0)側フランジ(2)の内面、ウェブ(1)の両面およ
び被覆側フランジ(3)の両面に合計8個の熱電対(1
1)を取り付け、図1(B)および図4(B)の柱材に
おいては、両フランジ(2)(3)の内面および外面、
ウェブ(1)の両面に合計10個の熱電対(12)を取り
付けた。さらに、いずれの試験体にも耐火層(6)
(6’)の表面にも数個の熱伝対を取り付けた(図示省
略)。次に、これらの試験体を加熱炉に入れ、JIS
A1304の方法に従って耐火層(6)(6’)の表面
温度が所定温度となるように加熱炉を昇温させ、この加
熱過程において、前記熱電対(11)(12)によりH型鋼
(4)の温度を測定し、加熱開始後、これらの熱電対
(11)または(12)における平均温度が350℃に達す
るまでの時間を耐火時間とした。耐火時間が1時間、2
時間および3時間のときの耐火層(6)(6’)の厚さ
を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1の結果から、同一の耐火被覆組成物を
用いても、耐火層保持部材(5)を配置して対向フラン
ジ(2)(3)間に中空部(9)を形成することによっ
て、耐火性能が向上することを確認しえた。これは、対
向フランジ(2)(3)間に形成された中空部(9)す
なわち空気層により外部からの熱伝導が遅れ、特にウェ
ブ(1)部分の温度上昇が抑制されたため、H形鋼
(4)全体の温度上昇を抑制することができることによ
るものと推測される。
【0031】[耐火被覆組成物による耐火性能試験]次
に、同一の被覆態様において、耐火被覆組成物の相違に
よる耐火性能について試験を行った。試験体に採用した
耐火被覆構造は、図1(B)に示すような、耐火層保持
部材(5)によって対向フランジ(2)(3)間に中空
部(9)が形成された柱材の表面に耐火層(6)が形成
されたものである。
【0032】耐火層(6)は、前記材料を後掲の表2に
示す各割合で混合した15種類の耐火被覆組成物を使用
し、厚さはいずれも10mmとした。この試験体につい
て、耐火時間により各耐火被覆組成物の耐火性能を評価
した。耐火時間は、前述の被覆形態による耐火性能試験
におけると同じ方法で測定した。これらの耐火時間の評
価を表2に併せて示す。
【0033】
【表2】
【0034】表2の結果から明らかなように、エトリン
ジャイトを含有するNo.1〜12の耐火層(6)はい
ずれも60分以上の耐火時間であり、優れた耐火性能を
示すものであった。これらに対して、エトリンジャイト
を含有しないNo.13〜15は耐火時間が短かった。
【0035】以上の2つの耐火性能試験の結果から、構
造部材(4)を中空部(9)を有する状態にして、耐火
被覆組成物を湿式施工し耐火層(6)で被覆することに
より、構造部材に直接施工するよりも優れた耐火性能を
有する耐火被覆構造となしうることを確認できた。さら
に、エトリンジャイトを含有する耐火被覆組成物を使用
することにより、なお一層耐火性能を向上させることが
できることも確認できた。また、耐火層の施工に際して
も、実施例では耐火層保持部材(5)の使用により耐火
被覆組成物の塗布部分が平面的になるため、凹凸のある
H形鋼(4)の外形に沿って塗布する比較例よりも極め
て簡単に施工でき、塗布面積も少なく耐火被覆組成物の
使用量も少なくて済んだ。さらに、この発明の耐火被覆
構造では、外形に凹凸がないために、不燃ボードの張付
け等を行わずにクロス等の内装材を耐火層(6)に直接
施工することができる。
【0036】
【発明の効果】以上のように、この発明の建築用構造部
材の耐火被覆構造は、ウェブと、該ウェブの両端に該ウ
ェブに対してそれぞれ直角に形成されたフランジとを備
える建築用構造部材が、耐火層で被覆された耐火被覆構
造において、前記構造部材の対向フランジの先端部間に
前記ウェブと平行に耐火層保持部材を配置することによ
り、対向フランジ間に中空部が形成されるとともに、前
記耐火層が前記構造部材および耐火層保持部材の表面に
形成されているために、加熱時に中空部が断熱層となっ
て構造部材の温度上昇を抑制し、優れた耐火性能を発揮
する。また、この発明の耐火被覆構造では、外形に凹凸
がないために、クロス等の内装材は耐火層に直接施工で
き、従来必要であった不燃ボードの張付けやパテ塗りが
不要となり、内装材の施工も簡略化できる。さらに、従
来と同等の耐火性能を有する耐火被覆組成物であれば耐
火層が薄くて済むこと、および内装材の施工に際し不燃
ボード等の介在物が不要となることにより、これらが占
有する体積が減少し、従来よりも居住空間を広く利用で
きる。
【0037】また、前記耐火層の形成に際して、水硬性
セメントを主成分として含有してなる耐火被覆組成物を
湿式施工する場合は、構造部材の外形の凹凸に沿って耐
火被覆組成物を塗布する従来の耐火被覆構造に比べて、
耐火層保持部材の使用により塗布部分が平面的になるた
め、極めて簡単に施工でき、施工面積も少なく耐火被覆
組成物を節約できる。
【0038】また、前記耐火層の形成に際して、エトリ
ンジャイトを主たる成分として含有してなる耐火被覆組
成物を湿式施工する場合は、上述の施工の容易性に加え
て、その結晶骨格間に大量に含まれる結晶水故に多量の
水蒸気ガスを発生するため、なお一層耐火性能を向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例にかかる建築用構造部材の耐
火被覆構造を示す断面図であり、(A)は梁材、(B)
は柱材である。
【図2】図1の耐火被覆構造の施工方法を示す斜視図で
ある。
【図3】この発明の建築用構造部材の耐火被覆構造の他
の例を示す断面図である。
【図4】従来の建築用構造部材の耐火被覆構造を示す断
面図であり、(A)は梁材、(B)は柱材である。
【図5】従来の耐火被覆構造および内装材の施工方法を
示す断面図である。
【図6】加熱試験において、耐火材料で被覆された構造
部材の温度上昇パターンを示すグラフである。
【符号の説明】
1…ウェブ 2、3…フランジ 4…構造部材(H形鋼) 5…耐火層保持部材 9…中空部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウェブ(1)と、該ウェブ(1)の両端
    に該ウェブ(1)に対してそれぞれ直角に形成されたフ
    ランジ(2)(3)とを備える建築用構造部材(4)
    が、耐火層(6)で被覆された耐火被覆構造において、 前記構造部材(4)の対向フランジ(2)(3)の先端
    部間に前記ウェブ(1)と平行に耐火層保持部材(5)
    を配置することにより、対向フランジ(2)(3)間に
    中空部(9)が形成されるとともに、前記耐火層(6)
    が前記構造部材(4)および耐火層保持部材(5)の表
    面に形成されていることを特徴とする建築用構造部材の
    耐火被覆構造。
  2. 【請求項2】 前記耐火層(6)は、水硬性セメントを
    主成分として含有してなる耐火被覆組成物を湿式施工す
    ることにより形成されたものである請求項1に記載の建
    築用構造部材の耐火被覆構造。
  3. 【請求項3】 前記耐火層(6)は、エトリンジャイト
    を主成分として含有してなる耐火被覆組成物を湿式施工
    することにより形成されたものである請求項1に記載の
    建築用構造部材の耐火被覆構造。
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