JPH0839773A - パッド印刷機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ローラ型の転写パッドにより移動するワークに
転写印刷することができながら、ローラ型転写パッドの
周面に平板状の印版により印刷パターンを構成するイン
キを転写できるようにして、製作コストの低減化を図る
こと。 【構成】ローラ型転写パッド１１を前後シリンダ２５に
より平板状の印版４上方の第１転写位置とワーク近傍の
第２転写位置との間で移動させる。印版４を移動シリン
ダ８により水平面内で往復移動させ、その移動により印
版４の印刷パターンにインキを供給する。第１転写位置
では転写パッド１１を印版４に押し付け、印版４の水平
移動に伴う転動でインキを転写パッド１１の周面に付着
させ、第２転写位置では転写パッド１１を移動中のワー
クに押し付け、該ワークの移動に伴う転動で周面に付着
されたインキをワークに転写させる昇降シリンダ１５を
備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、パッド印刷機、特に移
動中のワークにローラ型の転写パッドを接触させて転動
させることにより、該パッドの周面に付着された印刷パ
ターンを構成するインキを上記ワークに転写印刷するタ
イプのパッド印刷機に関する。

【０００２】

【従来の技術】押出成形品等の連続供給される移動中の
ワークにパッド印刷を施すものとして、従来において
は、パッド印刷機と該印刷機にワークを送り込む連続押
出成形機側との間にダンサローラを配設し、該ダンサロ
ーラにより上記成形機から押し出されたワークを弛ませ
ることにより、上記印刷機へのワークの送り込みを一時
的に停止し、この停止状態の下でパッド印刷を行うよう
にしたものや、パッド印刷機をワークの移動方向に往復
動可能に設けて、該印刷機をワークの移動に合わせて移
動させながら移動中のワークに印刷を行うようにしたも
のが知られている。

【０００３】ところが、前者の場合、ワークを弛ませる
必要上、硬質のワークについては採用することができな
いという問題があり、また、後者の場合、ワークの移動
に合わせてパッド印刷機を往復移動させるための複雑な
移動機構が必要となり、しかも、印刷機を移動させるだ
けの大きなスペースを確保しなければならない問題があ
る。

【０００４】この問題に対しては、例えば実開昭６３ー
１７９１２６号公報に開示されたローラ型の転写パッド
を備えたパッド印刷機を用いることが考えられる。これ
は、図１２に示すように、インキを貯留したインキ皿Ａ
と、該インキ皿Ａ内に下部が突入した状態で回転自在に
支持され且つ外周面に印刷パターンが刻設されたドラム
状の版胴Ｂと、該版胴Ｂの周面の余分なインキを掻き落
とすドクターブレードＣと、版胴Ｂに転接する転写パッ
ドＤとからなる。そして、印刷に際しては、版胴Ｂと転
写パッドＤとを矢印方向に回転させて、インキ皿Ａのイ
ンキを版胴Ｂの印刷パターンに供給した後、該版胴Ｂに
転写パッドＤを転接させることにより、印刷パターンに
供給したインキを転写パッドＤに付着させ、かつ該転写
パッドＤを移動するワークＷに転接させて、周面に付着
されたインキをワークＷに転着し、印刷を行うようにな
っている。これにより軟質のワークにしか印刷できなか
ったり、また、構造が複雑となり、しかも大きなスペー
スを必要するといった問題が解消される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このパッド印
刷機にあっては、ローラ型転写パッドＤの周面への印刷
パターンを構成するインキの転写手段として版胴Ｂが用
いられているが、この版胴Ｂは製造が困難でコストが高
価になる問題があった。

【０００６】また、上方が開口するインキ皿Ａを用いて
いるため、インキ皿Ａに貯留したインキに含まれるシン
ナーなどの揮発性を有する溶剤が容易に蒸発して作業場
の環境を悪くすると共に、その蒸発に伴ってインキの粘
度が高くなって印刷むらが生じ、また、インキ皿Ａ内に
ゴミ等が容易に入り込んで、良好な仕上がりが得られな
いおそれがある。このため、作業者はインキの状態を常
に監視して粘度が高くなった場合には、印刷途中に溶剤
を追加して粘度の調整を行わなければならないし、また
インキ皿Ａに入り込んだゴミについてもその都度取り除
いたりしてインキを管理する必要があった。

【０００７】本発明の主たる目的は、ローラ型の転写パ
ッドにより移動するワークに転写印刷することができな
がら、ローラ型転写パッドの周面に平板状の印版により
印刷パターンを構成するインキを転写できるようにし
て、製作コストを低減できるパッド印刷機を得ることに
ある。

【０００８】また、他の目的は、上記目的に加えて、イ
ンキ管理の容易化を図り得るパッド印刷機を得ることに
ある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するする
ために、本発明は次のように構成したことを特徴とす
る。

【００１０】まず、本願の請求項１に記載の発明（以
下、第１発明という）は、上面に印刷パターンが刻設さ
れた平板状の印版と、該印版を水平面内で往復移動させ
る印版駆動手段と、該印版の移動により上記印刷パター
ンにインキを供給するインキ供給手段と、ローラ型の転
写パッドを印版上方の第１転写位置とワーク近傍の第２
転写位置との間で移動させるパッド駆動手段と、転写パ
ッドを上記第１転写位置では印版に押し付けて該印版の
移動に伴って転動させることにより、該印版の印刷パタ
ーンに供給されているインキを転写パッドの周面に付着
させ、上記第２転写位置では転写パッドを移動するワー
クに押し付けて該ワークの移動に伴って転動させること
により、周面に付着されたインキをワークに転写させる
パッド押し付け手段とを有することを特徴とする。

【００１１】また、請求項２に記載の発明（以下、第２
発明という）は、第１発明のインキ供給手段として、上
面が閉鎖され、かつ開口された下端部が印版の上面に接
するように該印版上に設置されて、印版の移動により内
部に貯留したインキを上記印版の印刷パターンに供給す
るインキポットを用いたものである。

【００１２】

【作用】上記のような構成によれば、次のような作用が
得られる。

【００１３】まず、第１発明によれば、印版を水平面内
で移動させることによりインキ供給手段から該印版の印
刷パターンにインキが供給されると共に、パッド駆動手
段によりローラ型転写パッドを該印版上方の第１転写位
置へ移動させ、かつ該転写パッドをパッド押し付け手段
により移動中の印版に押し付ければ、該転写パッドが印
版上をその移動に伴って転動することにより、印版の印
刷パターンに供給されているインキが転写パッドの周面
に付着されることになる。この後、転写パッドをパッド
駆動手段により第１転写位置からワーク近傍の第２転写
位置へと移動させる。そして、この第２転写位置で転写
パッドをパッド押し付け手段によりワークに押し付けて
該転写パッドをワークの移動に伴って転動させることに
より、上面に付着されたインキを移動中のワークに印刷
されることになる。

【００１４】また、第２発明によれば、上面が閉鎖さ
れ、かつ開口された下端部が印版の上面に接するように
該印版上に設置されて、印版の移動により内部に貯留し
たインキを上記印版の印刷パターンに供給するインキポ
ットを用いたから、インキに含まれるシンナーなどの揮
発性を有する溶剤の蒸発が抑えられ、また、インキポッ
ト内へのゴミ等の入り込みも防止される。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１６】図１ないし図８は本発明に係るパッド印刷
機の第１実施例を示す。

【００１７】図１及び図２において、パッド印刷機の本
体１は基台部２と、該基台部２の後部に立設されて前方
へ突出する側面視略逆Ｌ状の突出ケース部３とを有す
る。

【００１８】この本体１の基台部２上には、上面に印刷
パターンＰが刻設された平板状の印版４が本体１の左右
方向に水平移動可能に支持されると共に、該印版４の移
動により上記印刷パターンＰにインキを供給するインキ
ポット５が設けられ、また、基台部２の前部にはワーク
支持台６が配置され、該支持台６の上には案内レール等
の案内部材６ａを介して例えば連続成形機（図示せず）
から押し出し成形された樋やコード或はホース等のワー
クＷが本体１の前面に対して平行状に移動可能に支持さ
れる。

【００１９】上記印版４は、図２に示したように印版４
は摺動体４ａの上面に取付けられると共に、該摺動体４
ａを介して基台部２の前部上に設けた下方が開放する正
面視コ字状の架台７の上面に摺動自在に支持される。そ
して、上記摺動体４ａの下部には架台７中央部に形成さ
れた長孔７ａを介して架台７内に突入する連結片４ｂが
設けられると共に、該連結片４ｂが架台７の一側方に設
けられた移動シリンダ８のピストンロッド８ａに連結さ
れている。これにより印版４は移動シリンダ８の作動で
図２において実線で示した印刷パターンＰがインキポッ
ト５の直下に位置するインキ塗布位置と、図２において
仮想線で示した後記する転写パッドの第１転写位置直下
の転写位置とにわたり左右方向に往復移動される。

【００２０】また、インキポット５は、図２に示したよ
うに下部が開口され、上部に蓋５ｂがビス５ｃにより着
脱可能に取付られた筒状の容器本体５ａと、該本体５ａ
の下端面に形成した環状溝に嵌合保持され、かつ本体５
ａの下端開口部を囲むセラミックもしくは超鋼製のリン
グブレード５ｄとからなるもので、容器本体５ａの内部
にはインキが貯留される。このインキポット５は、その
上部が基台部２に設ける保持部材９を介して印版４の上
面にリングブレード５ｄが常時接するように載置されて
いる。保持部材９は図２に示したように基台部２に固定
される第１保持片９ａと、第１保持片９ａの側壁に設け
た一対の螺子体９ｂ．９ｂに位置調節可能に取付けられ
る逆Ｌ型の第２保持片９ｃと、第２保持片９ｃに上に固
定され、両側に一対の揺動杆９ａ，９ａを上下揺動可能
に支持した第３保持片９ｃとからなる。そして、上記揺
動杆９ｅ，９ｅの先端部間にはインクポット５が揺動自
在に支持され、該インクポット５はその自重により揺動
杆９ｅ，９ｅを第３保持片９に対し常時下方側へ揺動さ
せて、リングブレード５ｄの先端環状部分が印版４の上
面に常時接するように載置される。こうして、印版４の
移動により容器本体５ａ内に貯留したインキを印版４の
印刷パターンＰに供給するようになっている。

【００２１】一方、本体１の突出ケース部３には、図
３，４及び図６に示したように先端にローラ型の転写パ
ッド１１が取り付けられたパッド支持部材１０が、上記
ワークＷの移動方向に平行な軸心回りに揺動可能に支持
されると共に、該支持部材１０を揺動させることにより
転写パッド１１を印版４上方の第１転写位置ａとワーク
Ｗ近傍の第２転写位置ｂとの間で移動させるパッド駆動
手段と転写パッドを上記第１転写位置ａでは印版４に押
し付け、上記第２転写位置ｂでは転写パッド１１をワー
クＷに押し付けるパッド押し付け手段とが収納されてい
る。

【００２２】すなわち、図３及び図４において上記本体
１の突出ケース部３は、左右一対のサイドフレーム３
１，３１と、これらサイドフレーム３１，３１の前後面
並びに上面を覆うカバー３２とからなり、両サドフレー
ム３１，３１の前部には、パッド支持部材１０を支持す
るための軸受３３をもつ支持孔３１ａが相対向状にそれ
ぞれ形成されると共に、一方のサイドフレーム３１の下
端には前後方向に延びる切欠窓３１ｂが形成され、かつ
突出ケース部３内には、前部両側に左右一対の前部フレ
ーム３４，３４が、後部に後部フレーム３５がそれぞれ
立設されている。

【００２３】そして、上記パッド支持部材１０は、図３
及び図４に示したように中央に貫通孔１２ａをもつ基板
１２と、該基板１２の左右両端側から相対向して立ち上
がる一対の支持アーム１３，１３と、これら支持アーム
１３，１３の各遊端部から外側方に突出する一対の支持
軸１４，１４とを備え、これら両支持軸１４，１４がワ
ークＷ及び印版４の移動方向に平行となるようにサイド
フレーム３１，３１の各支持孔３１ａに軸受３３を介し
て支持され、上記基板１２が両支持軸１４，１４を中心
に回動自在に支持されている。また、基板１２の上面中
央部にはパッド押し付け手段を構成する昇降シリンダ１
５が設けられると共に、基板１２の下面両側にはガイド
スリーブ１６，１６が上下方向に設けられ、これらのス
リーブ１６，１６内にガイドロッド１７，１７が上下動
自在に嵌合されている。これら両ガイドロッド１７，１
７の下端部は連結部材１９によって互いに連結されると
共に、該連結部材１９の上面中央部には上記昇降シリン
ダ１５におけるピストンロッド１５ａが連結され、下面
にはパッド取付部材２０を介して転写パッド１１が取付
られている。これにより、上記昇降シリンダ１５の作動
によるピストンロッド１５ａの伸縮動作で、転写パッド
１１が基板１２に対し連結部材１９及びガイドロッド１
７，１７を介して昇降可能となっている。また、転写パ
ッド１１はパッド取付部材２０への取付時、図３に示す
ようにワークＷの移動方向及び印版４の移動方向と直交
する支軸２１を中心として回動自在に支持され、かつ転
写ローラ１１と支軸２４との間には所定の摩擦力が付与
されていて、常時はフリー回転せず、印版４又はワーク
Ｗに押し付けられたとき、印版４又はワークＷの移動に
伴って転動するようなっている。なお、図３において符
号１５ｂはピストンロッド１５ａ、つまり転写ローラ１
１の下死点を設定するストッパーである。

【００２４】また、図３において上記突出ケース部３内
に設けた前部フレーム３４．３４と後部フレーム３５と
の間でその左右両側位置には一対のガイド杆２３，２３
が架設され、これらのガイド杆２３，２３に、ガイド杆
挿通用孔２４ａを有するスライダ２４が前後方向へ移動
自在に支持される一方、このスライダ２４の後方には前
後シリンダ２５が後部フレーム３５を介して配設され、
該シリンダ２５のピストンロッド２５ａにスライダ２４
の後部が連結されている。そして、スライダ２４の一側
部にはサイドフレーム３１の切欠窓３１ｂから外方に突
出する突出軸２６が設けられ、該突出軸２６の突出端に
揺動リンク２７が軸受２８を介して揺動可能に支持され
ている。また、上記支持軸１４，１４のうち、上記突出
軸２６と対応する側の支持軸１４を外方に延長し、該支
持軸１４の延長端にその半径方向に延び、かつ円弧状の
角度調整溝２９ａをもつ従動リンク２９が一体的に取付
けられている。そして、上記従動リンク２９には図５に
示したように揺動リンク２７の先端部が連結ボルト４０
と該ボルト４０の外周支持される軸受４１及び間座４１
ａを介して連結される。この場合、連結ボルト４０はナ
ット４２の締め付けにより従動リンク２９と一体化して
角度調整溝２９ａの任意の位置に固定され、揺動リンク
２７に対しては軸受４１を介することで相対回転可能と
なっている。これにより、上記前後シリンダ２５の伸縮
動作によりスライダ２４がガイド杆２３，２３に沿って
前後方向に移動したとき、揺動リンク２７を介して従動
リンク２９が支持軸１４，１４を中心に揺動され、これ
に伴ってパッド支持部材１０、つまり転写ローラ１１が
図３又は図６に示すように印版４上方の第１転写位置ａ
とワークＷ近傍の第２転写位置ｂとの間で移動されるよ
うになっている。

【００２５】従って、第１実施例ではスライダ２４、前
後シリンダ、揺動リンク乃至従動リンク２９によりパッ
ド駆動手段を構成している。

【００２６】また、本実施例では、上記連続押出成形機
（図示せず）から押し出されたワークＷの移動方向が、
印版４による転写パッド１１の転動方向に対し逆方向と
なるように連続押出成形機を配置している。

【００２７】次に上記パッド印刷機を用いて連続押出成
形機から押し出されて移動するワークＷに転写印刷を行
うに際の動作について説明する。

【００２８】まず、印版４を移動シリンダ８によりイン
キポット５の直下に位置するインキ塗布位置から転写パ
ッド１１の第１転写位置ａ直下に位置する転写位置へと
水平移動させ、インキポット５から印版４の印刷パター
ンＰにインキを供給したうえで転写位置に移動させる。
一方、転写パッド１１を図６に示すワークＷ上方のホー
ムポジションとなる第２転写位置ｂから図３に示す印版
４上方の第１転写位置ａへと移動させる。この場合、ス
ライダ２４を前後シリンダ２５で後退移動させることに
より揺動リンク２７を介して従動リンク２９を後方へ揺
動させ、この従動リンク２９の揺動によりパッド支持部
材１０を支持軸１４，１４を中心に後方へ揺動させて、
転写パッド１１を第１転写位置ａへと移動させる。

【００２９】そして、この第１転写位置ａにて転写パッ
ド１１を昇降シリンダ１５により下降させて印版４に押
し付ける。この押し付け状態で、該印版４を移動シリン
ダ８で後退移動することにより、その後退移動に伴い転
写パッド１１が転動して、印版４の印刷パターンＰに供
給されているインキが転写パッド１１の周面に付着され
る。この付着後、転写パッド１１を昇降シリンダ２５に
より第１転写位置ａへと上昇させ、次いでスライダ２４
を前後シリンダ２５で前方に移動させることによりパッ
ド支持部材１０を前方へ揺動させて転写パッド１１を第
１転写位置ａからワークＷ近傍の第２転写位置ｂへと移
動させる。この場合、前後シリンダ２５でスライダ２４
を前方に移動させることにより揺動リンク２７を介して
従動リンク２９が支持軸１４，１４を中心に前方へ揺動
され、これにより、パッド支持部材１０、つまり転写パ
ッド１１が図６に示すようにワーク上方の第２転写位置
に揺動され、この揺動により転写パッド１１の周面がワ
ークＷの側方上部の転写面に対応することになる。この
後、転写パッド１１を昇降シリンダ１５により下降させ
てワークＷに押し付け、該ワークＷの移動に伴って転写
パッド１１を転動させることにより、周面に付着された
インキをワークＷに転写させる。

【００３０】また、転写後は、昇降シリンダ１５により
第２転写位置ｂに上昇させ、ホームポジションにセット
するのである。そして、ワークＷに一定間隔をおいて転
写印刷を行う場合には、上記した一連の動作、つまり転
写パッド１１を第１転写位置ａと第２転写位置ｂで昇降
させる動作と、両者の転写位置間で揺動させる動作との
組み合わせからなる印刷動作を繰り返し行うのである。

【００３１】以上のように転写パッド１１の第１転写位
置ａから第２転写位置ｂへの移動に際し、揺動方式から
なるパッド駆動手段を用いたことにより、ローラ型転写
パッドでありながら、移動するワークの上面ではない部
分に転写印刷を行うことができる。

【００３２】また、本実施例では、上記従動リンク２９
に角度調整溝２９ａを設けているので、連結ボルト４０
のナット４２を緩めることにより、連結ボルト４０を従
動リンク２９の角度調整溝２９ａにおける任意の位置に
移動させてその固定位置を選択することができ、これに
より例えば図７及び図８に示したように転写ローラ１１
の第１転写位置ａからワークの側面と対向する第２転写
位置ｂへと揺動角度を任意に調節することができ、この
結果、移動するワークＷの上面を除く任意の面に転写印
刷を行うことができる。

【００３３】また、上記押出成形機から押し出されたワ
ークＷの移動方向を、印版４による転写パッド１１の転
動方向に対し逆方向としたから、転写パッド１１のワー
クＷの移動による転動で直ちに転写パッドからワークＷ
に転写でき、これにより転写パッド１１を不必要に回転
させることがなく、転写能率を向上できる。

【００３４】さらに、上記印版４へのインキ供給手段と
して、上面が閉鎖され、かつ開口された下端部が印版４
の上面に接するように該印版４上に設置されて、印版４
の移動により内部に貯留したインキを上記印版４の印刷
パターンＰに供給するインキポット５を用いたから、イ
ンキに含まれるシンナーなどの溶剤が揮発するのを抑え
ることができ、これにより作業場の環境を悪くして、作
業者の身体に悪影響を与えることがないし、インキの粘
度を一定に保って印刷むらなく良好な転写印刷を行うこ
とができ、その上、インキポット５内にゴミ等が入り込
んだりするのも防止でき、この結果、殊更に作業者がイ
ンキの状態を監視して管理したりするのを不要にでき
る。

【００３５】図９ないし図１１は本発明に係るパッド印
刷機の第２実施例を示す。

【００３６】第２実施例では、第１実施例における揺動
方式のパッド駆動手段に代えて水平移動方式のパッド駆
動手段を用いたもので、転写パッド１１が印版４の第１
転写位置ａとワークＷ近傍の第２転写位置ｂで垂直方向
に、また両者の転写位置で水平移動して全体として門型
の移動経路を往復動しながら印刷動作を繰り返し行うよ
うにしたものである。

【００３７】すなわち、パッド駆動手段として、図１０
及び図１１に示したように前部フレーム３４と後部フレ
ーム３５との間で、その左右両側位置に一対のガイド杆
４３，４３が架設されると共に、これらのガイド杆４
３，４３に、該ガイド杆４３の挿通孔４４ａをもつスラ
イダ４４が支持され、該スライダ４４を後部フレーム３
５に固定された前後シリンダ２５により前後方向、つま
り上記転写パッド１１が印版４上方の第１転写位置ａと
ワークＷ近傍の第２転写位置ｂとの間において水平移動
させるように構成する。一方、このスライダ４４上に
は、昇降シリンダ１５が設けられると共に、該シリンダ
１５の両側にガイドスリーブ４５，４５が上下方向に固
設されると共に、これらのスリーブ４５，４５内にガイ
ドロッド４６，４６が上下動自在に嵌め合わされてい
る。そして、両ガイドロッド４６，４６の下端部が連結
部材４７によって互いに連結されると共に、連結部材４
７の上面中央部に上記昇降シリンダ１５のピストンロッ
ド１５ａが連結され、かつ連結部材４７の下面には、パ
ッド取付部材４８を介して転写パッド１１が取付けられ
ている。これにより、昇降シリンダ２５の作動でピスト
ンロッド２５ａが伸縮することにより転写パッド１１が
連結部材４７及びガイドロッド４６を介して上下に移動
されるようになっている。その他の構成は同一符号を付
して図示したように先の実施例と同じである。

【００３８】次に、上記パッド印刷機の動作に付いて説
明する。

【００３９】まず、印版４を移動シリンダ８によりイン
キポット５の直下に位置するインキ塗布位置から転写パ
ッドの第１転写位置直下に位置する転写位置へと水平移
動させ、インキポット５から印版４の印刷パターンＰに
インキを供給したうえで転写位置に移動させる。一方、
図１０に示すようにスライダ４４を前後シリンダ２５に
より後退移動させて転写パッド１１をワークＷ上方の第
２転写位置ａから印版４上方の第１転写位置ａへと移動
し、第１転写位置ａにて転写パッド１１を昇降シリンダ
１５により下降させて印版４に押し付ける。この押し付
け状態で、該印版４を移動シリンダ８で後退させること
により、その後退移動に伴って転写パッド１１が転動さ
れて、印版４のパターンＰに供給されているインキが転
写パッド１１の周面に付着される。

【００４０】この付着後、転写パッド１１を昇降シリン
ダ１５により第１転写位置ａへと上昇させ、かつ前後シ
リンダ２５でスライダ４４を前方に移動させることによ
り転写パッド１１を第１転写位置ａからワークＷ近傍の
第２転写位置ｂへと移動させる。この前進移動により転
写パッド１１の転写面がワークＷの上面に対応する。こ
の後、転写パッドを昇降シリンダ１５により下降させて
ワークＷ上面に押し付け、ワークＷの移動に伴って転動
させることにより、周面に付着されたインキをワークＷ
上面に転写させるのである。

【００４１】また、転写後は、昇降シリンダ１５により
転写パッド１１を第２転写位置ｂに上昇させて、元のホ
ームポジションへとセットするのである。

【００４２】以上のように転写ローラ１１の第１転写位
置ａから第２転写位置ｂへの移動に際し、水平移動方式
によりからなるパッド駆動手段を用いた場合には、移動
するワークの上面位置に転写印刷を行うことができる
し、また第１実施例と同様にローラ型転写パッド１１に
より移動するワークＷに転写印刷することができなが
ら、ローラ型転写パッド１１の周面に平板状の印版４に
より印刷パターンＰを構成するインキを転写することが
できて、製作コストを低減でき、かつインキ管理を容易
にできる効果を奏する。

【００４３】

【発明の効果】以上のごとく、第１発明によれば、ロー
ラ型転写パッドを用いて、軟質、硬質に拘らず移動する
ワークに転写印刷することができると共に、構造が簡単
で大きなスペースも不要にでき、しかも平板状の印版を
用いて該印版の水平面内での往復移動でローラ型転写パ
ッドの周面に印刷パターンを構成するインキを転写でき
て、製作コストを低減できる。

【００４４】また、第２発明によれば、上面が閉鎖さ
れ、かつ開口された下端部が印版の上面に接するように
該印版上に設置されて、印版の移動により内部に貯留し
たインキを上記印版の印刷パターンに供給するインキポ
ットを用いたから、第１発明の効果に加えて、インキに
含まれるシンナーなどの揮発性を有する溶剤の蒸発が抑
えられ、これにより作業場の環境が悪くなるのを防止で
きるし、また、インキの粘度を一定に保って印刷むらな
く良好な転写印刷を行うことができると共に、インキポ
ット内へのゴミ等の入り込みも防止でき、その結果、殊
更に作業者がインキの状態を監視して管理したりするの
を不要にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のパッド印刷機に係る第１実施例の概
略側面図である。

【図２】 図１のＸーＸ線断面図である。

【図３】 パッド駆動手段の一部切欠側面図である。

【図４】 図３のＹーＹ線断面図である。

【図５】 図４のＺーＺ線断面図である。

【図６】 転写パッドのワーク転写位置への移動状態を
示す一部切欠側面図である。

【図７】 パッド駆動手段の揺動角度を変更した場合の
第１転写位置における一部切欠側面図である。

【図８】 パッド駆動手段の揺動角度を変更した場合の
第２転写位置における一部切欠側面図である。

【図９】 第２実施例のパッド印刷機を示す概略側面図
である。

【図１０】 同パッド駆動手段を示す一部切欠側面図で
ある。

【図１１】 図パッド駆動手段の縦断正面図である。

【図１２】 従来例の説明図である。

【符号の説明】

４ 印版 ５ インキポット（インキ供給手段） ８ 移動シリンダ（印版駆動手段） １０ パッド支持部材 １１ 転写パッド １５ 昇降シリンダ（パッド押し付け手段） ２５ 前後シリンダ（パッド駆動手段）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 移動中のワークにローラ型の転写パッド
   を接触させて転動させることにより、該パッドの周面に
   付着された印刷パターンを構成するインキを上記ワーク
   に転写印刷するパッド印刷機であって、上面に上記印刷
   パターンが刻設された平板状の印版と、該印版を水平面
   内で往復移動させる印版駆動手段と、該印版の移動によ
   り上記印刷パターンにインキを供給するインキ供給手段
   と、上記ローラ型転写パッドを印版上方の第１転写位置
   とワーク近傍の第２転写位置との間で移動させるパッド
   駆動手段と、転写パッドを上記第１転写位置では印版に
   押し付けて該印版の移動に伴って転動させることによ
   り、該印版の印刷パターンに供給されているインキを転
   写パッドの周面に付着させ、上記第２転写位置では転写
   パッドをワークに押し付けて該ワークの移動に伴って転
   動させることにより、周面に付着されたインキをワーク
   に転写させるパッド押し付け手段とを有することを特徴
   とするパッド印刷機。
2. 【請求項２】 インキ供給手段は、上面が閉鎖され、か
   つ開口された下端部が印版の上面に接するように該印版
   上に設置されて、印版の移動により内部に貯留したイン
   キを上記印版の印刷パターンに供給するインキポットで
   あることを特徴とする請求項１に記載のパッド印刷機。