JPH083875A - セット性に優れた繊維製品の製造方法 - Google Patents
セット性に優れた繊維製品の製造方法Info
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- JPH083875A JPH083875A JP15298394A JP15298394A JPH083875A JP H083875 A JPH083875 A JP H083875A JP 15298394 A JP15298394 A JP 15298394A JP 15298394 A JP15298394 A JP 15298394A JP H083875 A JPH083875 A JP H083875A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】洗濯による表面の凹凸が極めて小さい、セット
性に優れた繊維製品の製造方法を提供する。 【構成】塩素化処理,酸素化処理若しくは酵素処理によ
りスケールの一部若しくは全部を除去した羊毛繊維を含
む繊維より、織物又は編物を製造し、ついで該織物又は
編物に分子量が10,000以下の低分子蛋白質を付与
し、吸着せしめ、ついで該織物又は編物に湿熱処理を施
し、織物又は編物に防縮性を高めるとともに、形態保持
性を高める。
性に優れた繊維製品の製造方法を提供する。 【構成】塩素化処理,酸素化処理若しくは酵素処理によ
りスケールの一部若しくは全部を除去した羊毛繊維を含
む繊維より、織物又は編物を製造し、ついで該織物又は
編物に分子量が10,000以下の低分子蛋白質を付与
し、吸着せしめ、ついで該織物又は編物に湿熱処理を施
し、織物又は編物に防縮性を高めるとともに、形態保持
性を高める。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セット性に優れた繊維
製品の製造方法に関する。
製品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば女学生のスカート(制
服)のプリーツ等において、その形状を維持する方法と
して、MEAS,MEABS等の還元剤を用いてセット
する方法(シロセット加工法)、高温の蒸気でセットす
る方法などが知られている。また、羊毛繊維を用いて製
造した織物若しくは編物の耐洗濯性を向上させる方法と
して、塩素化,酸素化若しくは酵素化により羊毛繊維の
全部若しくは一部のスケールを除去する、又は織物若し
くは編物に樹脂加工を施すといった方法が従来より知ら
れている。これらの方法によれば、洗濯時における羊毛
繊維のフェルト化が防止され、その収縮量を実用範囲に
押さえることができる。
服)のプリーツ等において、その形状を維持する方法と
して、MEAS,MEABS等の還元剤を用いてセット
する方法(シロセット加工法)、高温の蒸気でセットす
る方法などが知られている。また、羊毛繊維を用いて製
造した織物若しくは編物の耐洗濯性を向上させる方法と
して、塩素化,酸素化若しくは酵素化により羊毛繊維の
全部若しくは一部のスケールを除去する、又は織物若し
くは編物に樹脂加工を施すといった方法が従来より知ら
れている。これらの方法によれば、洗濯時における羊毛
繊維のフェルト化が防止され、その収縮量を実用範囲に
押さえることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
還元剤を用いた従来の方法によれば、羊毛繊維,染料が
変色する或いは製品の風合が硬化するという問題があ
り、また、高温の蒸気でセットする方法では、セット効
果が極めて低いという問題があった。また、上述のスケ
ールを除去する方法によれば、フェルト化,収縮につい
ての問題は解決されるものの、洗濯後に織物又は編物の
表面が凹凸状態となるという問題があった。特に、スケ
ール除去後にMEAS,MEABS等の還元剤を用いた
シロセット加工や高温蒸気を用いたセット加工を施す場
合には、これらの加工を施せば施すほどハイグラルエク
スパンション現象が顕著に現れて、前記凹凸が大きくな
るのである。
還元剤を用いた従来の方法によれば、羊毛繊維,染料が
変色する或いは製品の風合が硬化するという問題があ
り、また、高温の蒸気でセットする方法では、セット効
果が極めて低いという問題があった。また、上述のスケ
ールを除去する方法によれば、フェルト化,収縮につい
ての問題は解決されるものの、洗濯後に織物又は編物の
表面が凹凸状態となるという問題があった。特に、スケ
ール除去後にMEAS,MEABS等の還元剤を用いた
シロセット加工や高温蒸気を用いたセット加工を施す場
合には、これらの加工を施せば施すほどハイグラルエク
スパンション現象が顕著に現れて、前記凹凸が大きくな
るのである。
【0004】本発明は以上の実情に鑑みなされたもので
あって、セット性に優れ、洗濯による表面の凹凸が極め
て小さい繊維製品の製造方法の提供を目的とする。
あって、セット性に優れ、洗濯による表面の凹凸が極め
て小さい繊維製品の製造方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の請求項1に係る発明は、塩素化処理,酸素化
処理若しくは酵素処理によりスケールの一部若しくは全
部を除去した羊毛繊維を含む繊維より、織物又は編物を
製造し、ついで該織物又は編物に分子量が10,000
以下の低分子蛋白質を付与して吸着せしめ、ついで該織
物又は編物に湿熱処理を施すことを特徴とするものであ
る。
の本発明の請求項1に係る発明は、塩素化処理,酸素化
処理若しくは酵素処理によりスケールの一部若しくは全
部を除去した羊毛繊維を含む繊維より、織物又は編物を
製造し、ついで該織物又は編物に分子量が10,000
以下の低分子蛋白質を付与して吸着せしめ、ついで該織
物又は編物に湿熱処理を施すことを特徴とするものであ
る。
【0006】前記塩素化処理には、次亜塩素酸塩を用
い、強酸でpHを調整して処理するKroy中性塩素化
法,Melafix法,TCCA法或いはDCCA法等
を適用できる。
い、強酸でpHを調整して処理するKroy中性塩素化
法,Melafix法,TCCA法或いはDCCA法等
を適用できる。
【0007】前記酸素化処理には、KMnO4 (過マン
ガン酸カリウム),H2 O2 (過酸化水素),KHSO
5 (モノ過硫酸カリウム)等を適用できる。
ガン酸カリウム),H2 O2 (過酸化水素),KHSO
5 (モノ過硫酸カリウム)等を適用できる。
【0008】前記酵素処理には、プロテアーゼN,P,
S(天野製薬(株)製)、アルカラーゼ2.5L,エス
ペラーゼ8.0L(ノボ・インダストリージャパン
(株)製)を適用できる。
S(天野製薬(株)製)、アルカラーゼ2.5L,エス
ペラーゼ8.0L(ノボ・インダストリージャパン
(株)製)を適用できる。
【0009】また、分子量が10,000以下の低分子
蛋白質には羊毛タンパク(羊毛ケラチン),絹タンパク
(絹フィブロイン),カゼイン,キトサン,コラーゲン
等が含まれる。尚、かかる低分子蛋白質の製法の一例を
以下に説明する。
蛋白質には羊毛タンパク(羊毛ケラチン),絹タンパク
(絹フィブロイン),カゼイン,キトサン,コラーゲン
等が含まれる。尚、かかる低分子蛋白質の製法の一例を
以下に説明する。
【0010】羊毛タンパクについては、まず、試料羊毛
5gをメチルアミン水溶液(40%)50g/lに入
れ、更にKOHを加えてpH10.5の溶液とし、浴比
1:20,60℃の条件で72時間処理する。ついで、
透析分画分子量が12,000〜14,000の透析膜
を用いて透析処理し、得た羊毛ケラチン固形分に対し酵
素・プロテアーゼN(天野製薬(株)製)を1%owf
加え、50℃の下で5時間反応させる。その後90℃の
下で10分間処理して酵素を失活させることにより、分
子量が10,000以下であり且つ中心分子量が約7,
000である羊毛タンパクを得ることができる。
5gをメチルアミン水溶液(40%)50g/lに入
れ、更にKOHを加えてpH10.5の溶液とし、浴比
1:20,60℃の条件で72時間処理する。ついで、
透析分画分子量が12,000〜14,000の透析膜
を用いて透析処理し、得た羊毛ケラチン固形分に対し酵
素・プロテアーゼN(天野製薬(株)製)を1%owf
加え、50℃の下で5時間反応させる。その後90℃の
下で10分間処理して酵素を失活させることにより、分
子量が10,000以下であり且つ中心分子量が約7,
000である羊毛タンパクを得ることができる。
【0011】絹タンパクについては、まず、試料の絹2
0gをCaCl2 (40%)の溶液に入れ、浴比1:2
0の条件で5時間煮沸する。ついで、透析分画分子量が
12,000〜14,000の透析膜を用いて透析処理
し、得た絹タンパク固形分に対し酵素・プロテアーゼS
(天野製薬(株)製)を1%owf加え、50℃の下で
5時間反応させる。その後90℃の下で10分間処理し
て酵素を失活させることにより、分子量が10,000
以下であり且つ中心分子量が約5,000である絹タン
パクを得ることができる。
0gをCaCl2 (40%)の溶液に入れ、浴比1:2
0の条件で5時間煮沸する。ついで、透析分画分子量が
12,000〜14,000の透析膜を用いて透析処理
し、得た絹タンパク固形分に対し酵素・プロテアーゼS
(天野製薬(株)製)を1%owf加え、50℃の下で
5時間反応させる。その後90℃の下で10分間処理し
て酵素を失活させることにより、分子量が10,000
以下であり且つ中心分子量が約5,000である絹タン
パクを得ることができる。
【0012】請求項2に係る発明は少なくとも羊毛繊維
を含む繊維より、織物又は編物を製造し、ついで該織物
又は編物に樹脂加工を施した後、分子量が10,000
以下の低分子蛋白質を付与して吸着せしめ、ついで該織
物又は編物に湿熱処理を施すことを特徴とするものであ
る。
を含む繊維より、織物又は編物を製造し、ついで該織物
又は編物に樹脂加工を施した後、分子量が10,000
以下の低分子蛋白質を付与して吸着せしめ、ついで該織
物又は編物に湿熱処理を施すことを特徴とするものであ
る。
【0013】ここで低分子蛋白質については上述の通り
であり、樹脂加工についてはポリウレタン系樹脂,例え
ば「エラストロンBAP」(第1工業(株)製)、シリ
コン系樹脂,例えば「バソランMW」(BASF社
製),「X−51−798」(信越化学(株)製)を適
用できる。
であり、樹脂加工についてはポリウレタン系樹脂,例え
ば「エラストロンBAP」(第1工業(株)製)、シリ
コン系樹脂,例えば「バソランMW」(BASF社
製),「X−51−798」(信越化学(株)製)を適
用できる。
【0014】請求項3に係る発明は、少なくとも羊毛繊
維を含む繊維束より紡績糸を製造し、ついで該紡績糸を
酸化剤により酸化処理し、該酸化処理後の紡績糸又は該
紡績糸を用いて織成若しくは編成した織物若しくは編物
を染色し、しかる後、該紡績糸又は織物若しくは編物に
分子量が10,000以下の低分子蛋白質を付与して吸
着せしめ、ついで該紡績糸又は織物若しくは編物に湿熱
処理を施すことを特徴とし、請求項4に係る発明は、少
なくとも羊毛繊維を含む繊維束より紡績糸を製造し、該
紡績糸又は該紡績糸を用いて織成若しくは編成した織物
若しくは編物を染色と同時に酸化剤により酸化処理し、
しかる後、該紡績糸又は織物若しくは編物に分子量が1
0,000以下の低分子蛋白質を付与して吸着せしめ、
ついで該紡績糸又は織物若しくは編物に湿熱処理を施す
ことを特徴とし、請求項5に係る発明は、請求項3又は
4における前記繊維束が塩素化処理,酸素化処理若しく
は酵素処理によりスケールの一部若しくは全部を除去し
た羊毛繊維を含むものであることをその要旨とする。
維を含む繊維束より紡績糸を製造し、ついで該紡績糸を
酸化剤により酸化処理し、該酸化処理後の紡績糸又は該
紡績糸を用いて織成若しくは編成した織物若しくは編物
を染色し、しかる後、該紡績糸又は織物若しくは編物に
分子量が10,000以下の低分子蛋白質を付与して吸
着せしめ、ついで該紡績糸又は織物若しくは編物に湿熱
処理を施すことを特徴とし、請求項4に係る発明は、少
なくとも羊毛繊維を含む繊維束より紡績糸を製造し、該
紡績糸又は該紡績糸を用いて織成若しくは編成した織物
若しくは編物を染色と同時に酸化剤により酸化処理し、
しかる後、該紡績糸又は織物若しくは編物に分子量が1
0,000以下の低分子蛋白質を付与して吸着せしめ、
ついで該紡績糸又は織物若しくは編物に湿熱処理を施す
ことを特徴とし、請求項5に係る発明は、請求項3又は
4における前記繊維束が塩素化処理,酸素化処理若しく
は酵素処理によりスケールの一部若しくは全部を除去し
た羊毛繊維を含むものであることをその要旨とする。
【0015】前記酸化剤にはH2 O2 (過酸化水素),
KBrO3 (臭素酸カリウム),(NH4 )SO5 (ア
ンモニウム過硫酸),NaOCl(次亜塩素酸ソー
ダ),NaO2 Cl(亜塩素酸ソーダ)等を適用でき
る。
KBrO3 (臭素酸カリウム),(NH4 )SO5 (ア
ンモニウム過硫酸),NaOCl(次亜塩素酸ソー
ダ),NaO2 Cl(亜塩素酸ソーダ)等を適用でき
る。
【0016】
【作用】本発明の請求項1の発明によれば、まず、塩素
化処理,酸素化処理若しくは酵素処理によりスケールの
一部若しくは全部を除去した羊毛繊維を含む繊維より、
織物又は編物を製造する。羊毛繊維の内部構造は図1に
示すように、表皮細胞(1),皮質細胞(3),細胞間
複合体(2)の三者からなるが、塩素化処理,酸素化処
理若しくは酵素処理により表皮細胞(1)のクチクル
(1a)(スケール)の一部若しくは全部が除去され、
洗濯時のフェールト化が防止される。
化処理,酸素化処理若しくは酵素処理によりスケールの
一部若しくは全部を除去した羊毛繊維を含む繊維より、
織物又は編物を製造する。羊毛繊維の内部構造は図1に
示すように、表皮細胞(1),皮質細胞(3),細胞間
複合体(2)の三者からなるが、塩素化処理,酸素化処
理若しくは酵素処理により表皮細胞(1)のクチクル
(1a)(スケール)の一部若しくは全部が除去され、
洗濯時のフェールト化が防止される。
【0017】また、前記細胞間複合体(2)は脂質分,
可溶性蛋白質,抵抗性膜よりなり、可溶性蛋白質は細胞
間充填物で、グリシン,チロシン及びフェニールアラニ
ンの含有率が高く、SS結合が少ないため、高い膨潤係
数を持ち、繊維内部への繊維試薬の拡散を優先的に行う
導水管を形成すると考えられている。また、湿潤状態で
はクチクル(1a)(スケール)が立ち上がり、細胞間
(侵入口)が40Å程度となるが、上記処理により予め
スケールを除去しているので細胞間(侵入口)は更に大
きくなっている。
可溶性蛋白質,抵抗性膜よりなり、可溶性蛋白質は細胞
間充填物で、グリシン,チロシン及びフェニールアラニ
ンの含有率が高く、SS結合が少ないため、高い膨潤係
数を持ち、繊維内部への繊維試薬の拡散を優先的に行う
導水管を形成すると考えられている。また、湿潤状態で
はクチクル(1a)(スケール)が立ち上がり、細胞間
(侵入口)が40Å程度となるが、上記処理により予め
スケールを除去しているので細胞間(侵入口)は更に大
きくなっている。
【0018】従って、羊毛繊維をタンパク溶液に浸漬す
ると、低分子量の蛋白質、特に分子量が10,000以
下の蛋白質であればこれが前記細胞間複合体(2)を介
して羊毛繊維内に充填される。尚、分子量が10,00
0以下の蛋白質のうち、前記細胞間を通過し得る大きさ
のもの即ち、断面の大きさが40Å×40Å以下のもの
が特に好適である。
ると、低分子量の蛋白質、特に分子量が10,000以
下の蛋白質であればこれが前記細胞間複合体(2)を介
して羊毛繊維内に充填される。尚、分子量が10,00
0以下の蛋白質のうち、前記細胞間を通過し得る大きさ
のもの即ち、断面の大きさが40Å×40Å以下のもの
が特に好適である。
【0019】次いで、低分子蛋白質を付与した織・編物
を130℃以下の温度で乾燥した後これに湿熱処理を施
し、織・編物の表面を平滑化する。この湿熱処理により
羊毛繊維内に充填された蛋白質が固形化・弾性化(変
成)し、平滑化した織・編物の表面の形態保持性が高ま
る。尚、乾燥条件を130℃以下としたのは蛋白質の変
成を考慮したものである。即ち、この温度以上だと羊毛
繊維内に充填した蛋白質のうち幾分かのものが変成して
いまい、未変成の蛋白質が減少するため湿熱処理による
形態保持力が減少するからである。そして、乾燥温度を
90℃以下とすればさらに好ましい。
を130℃以下の温度で乾燥した後これに湿熱処理を施
し、織・編物の表面を平滑化する。この湿熱処理により
羊毛繊維内に充填された蛋白質が固形化・弾性化(変
成)し、平滑化した織・編物の表面の形態保持性が高ま
る。尚、乾燥条件を130℃以下としたのは蛋白質の変
成を考慮したものである。即ち、この温度以上だと羊毛
繊維内に充填した蛋白質のうち幾分かのものが変成して
いまい、未変成の蛋白質が減少するため湿熱処理による
形態保持力が減少するからである。そして、乾燥温度を
90℃以下とすればさらに好ましい。
【0020】前記請求項2の発明によれば、樹脂加工に
より繊維製品の形状が維持され、蛋白質を付与すること
により、上述した作用により、更に繊維製品の形態保持
力が向上する。
より繊維製品の形状が維持され、蛋白質を付与すること
により、上述した作用により、更に繊維製品の形態保持
力が向上する。
【0021】前記請求項3及び4の発明によれば、ま
ず、羊毛繊維の表面を酸化処理することにより、(SH
−SS)交換反応において、(S−S)結合が切断され
た際に(−S)基が(−SO3 H)基に変換され、この
(−SO3 H)基が比較的安定していることから再架橋
することがなく、羊毛繊維のクリンプが伸びたままセッ
トされることはない。従って、これを乾燥した場合には
前記クリンプが再び発現して、バルキー性の高い糸とな
る。尚、染色時に酸化剤を併用することで更にこの効果
が高くなる。また、前記請求項5の発明によれば、酸化
処理及び/又は染色の前にスケール除去処理を施すの
で、前記酸化による効果がより顕著に現れる。
ず、羊毛繊維の表面を酸化処理することにより、(SH
−SS)交換反応において、(S−S)結合が切断され
た際に(−S)基が(−SO3 H)基に変換され、この
(−SO3 H)基が比較的安定していることから再架橋
することがなく、羊毛繊維のクリンプが伸びたままセッ
トされることはない。従って、これを乾燥した場合には
前記クリンプが再び発現して、バルキー性の高い糸とな
る。尚、染色時に酸化剤を併用することで更にこの効果
が高くなる。また、前記請求項5の発明によれば、酸化
処理及び/又は染色の前にスケール除去処理を施すの
で、前記酸化による効果がより顕著に現れる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0023】(実施例1)まず、スピリッドパッド加工
機(フライスナー社製)を用い、塩素化法により羊毛繊
維100%の繊維束に対し、防縮加工を施した。具体的
には、次亜塩素酸ソーダと硫酸とを反応させて有効塩素
量が2.5%owf(羊毛繊維の重量に対する重量%)
となるように次亜塩素酸を生成させ、これを前記羊毛繊
維束に作用させた。
機(フライスナー社製)を用い、塩素化法により羊毛繊
維100%の繊維束に対し、防縮加工を施した。具体的
には、次亜塩素酸ソーダと硫酸とを反応させて有効塩素
量が2.5%owf(羊毛繊維の重量に対する重量%)
となるように次亜塩素酸を生成させ、これを前記羊毛繊
維束に作用させた。
【0024】次いで、この羊毛繊維束を用いて糸番手が
2/60,下撚数が590T/M,上撚数が630T/
Mの双糸を紡績し、この双糸を用いて、経糸密度が5
7.5本/インチ,緯糸密度が54.0本/インチ,目
付が265g/Mの平織物を製造した。
2/60,下撚数が590T/M,上撚数が630T/
Mの双糸を紡績し、この双糸を用いて、経糸密度が5
7.5本/インチ,緯糸密度が54.0本/インチ,目
付が265g/Mの平織物を製造した。
【0025】しかる後、この平織物に、煮絨−オープン
ソーパ−煮絨−ガス焼−染色−乾絨−連続蒸絨−釜蒸絨
−タンパク加工−乾絨−連続蒸絨の各加工を順次実施
し、仕上げ経糸密度が60.3本/インチ,仕上げ緯糸
密度が57.1本/インチ,目付が260g/Mの実施
例1の織物を得た。尚、前記タンパク加工は、固形分が
15g/lのシルクフィブロイン溶液に30cc/lの
IPA(イソプロピルアルコール)を添加した溶液を用
いて、これをパッドバッチ法により前記平織物に付与す
ることとした(絞り率60%)。また、前記染色加工
は、LanasolYellow 4G,Lanaso
l Red 6G,Lanasol Blue 3G
(酸性染料,Ciba−Geigy社製)を各0.3%
owf、芒硝を5%owf、均染剤を1%owf含む液
に酢酸を添加しpH5.0に調整した染液を用い、これ
に前記平織物を40分間浸漬することとした。
ソーパ−煮絨−ガス焼−染色−乾絨−連続蒸絨−釜蒸絨
−タンパク加工−乾絨−連続蒸絨の各加工を順次実施
し、仕上げ経糸密度が60.3本/インチ,仕上げ緯糸
密度が57.1本/インチ,目付が260g/Mの実施
例1の織物を得た。尚、前記タンパク加工は、固形分が
15g/lのシルクフィブロイン溶液に30cc/lの
IPA(イソプロピルアルコール)を添加した溶液を用
いて、これをパッドバッチ法により前記平織物に付与す
ることとした(絞り率60%)。また、前記染色加工
は、LanasolYellow 4G,Lanaso
l Red 6G,Lanasol Blue 3G
(酸性染料,Ciba−Geigy社製)を各0.3%
owf、芒硝を5%owf、均染剤を1%owf含む液
に酢酸を添加しpH5.0に調整した染液を用い、これ
に前記平織物を40分間浸漬することとした。
【0026】(実施例2)まず、羊毛繊維100%の繊
維束を用いて、糸番手が2/48,下撚数が540T/
M,上撚数が570T/Mの双糸を紡績し、この双糸を
用いて、経糸密度が51.0本/インチ,緯糸密度が5
3.8本/インチ,目付が290g/Mのトロピカル織
物を製造した。
維束を用いて、糸番手が2/48,下撚数が540T/
M,上撚数が570T/Mの双糸を紡績し、この双糸を
用いて、経糸密度が51.0本/インチ,緯糸密度が5
3.8本/インチ,目付が290g/Mのトロピカル織
物を製造した。
【0027】しかる後、このトロピカル織物に、煮絨−
オープンソーパ−煮絨−ガス焼−染色−乾絨−防縮加工
−乾絨−連続蒸絨−釜蒸絨−タンパク加工−乾絨−連続
蒸絨の各加工を順次実施し、仕上げ経糸密度が53.0
本/インチ,仕上げ緯糸密度が54.3本/インチ,目
付が282g/Mの実施例2の織物を得た。尚、前記タ
ンパク加工は、固形分が15g/lのウールタンパク溶
液に30cc/lのIPA(イソプロピルアルコール)
を添加した溶液を用いて、これをパッドバッチ法により
前記トロピカル織物に付与することとした(絞り率60
%)。また、前記染色加工は、C.I.Acid Ye
llow 17,C.I.Acid Red 82,
C.I.AcidC.I.Acid Blue 182
を各0.3%owf、芒硝を5%owf、均染剤を1%
owf、ギ酸(80%)を3%owf含む染液に前記ト
ロピカル織物を40分間浸漬することとした。また、前
記防縮加工は、エラストロン BAP(第一製薬社製)
を5%owf,インプラニール DLN(Bayer社
製)を2%owf,NaHCO3 を0.3%owf含む
溶液を用い、これをパッドバッチ法により前記トロピカ
ル織物に付与することとした(絞り率60%)。
オープンソーパ−煮絨−ガス焼−染色−乾絨−防縮加工
−乾絨−連続蒸絨−釜蒸絨−タンパク加工−乾絨−連続
蒸絨の各加工を順次実施し、仕上げ経糸密度が53.0
本/インチ,仕上げ緯糸密度が54.3本/インチ,目
付が282g/Mの実施例2の織物を得た。尚、前記タ
ンパク加工は、固形分が15g/lのウールタンパク溶
液に30cc/lのIPA(イソプロピルアルコール)
を添加した溶液を用いて、これをパッドバッチ法により
前記トロピカル織物に付与することとした(絞り率60
%)。また、前記染色加工は、C.I.Acid Ye
llow 17,C.I.Acid Red 82,
C.I.AcidC.I.Acid Blue 182
を各0.3%owf、芒硝を5%owf、均染剤を1%
owf、ギ酸(80%)を3%owf含む染液に前記ト
ロピカル織物を40分間浸漬することとした。また、前
記防縮加工は、エラストロン BAP(第一製薬社製)
を5%owf,インプラニール DLN(Bayer社
製)を2%owf,NaHCO3 を0.3%owf含む
溶液を用い、これをパッドバッチ法により前記トロピカ
ル織物に付与することとした(絞り率60%)。
【0028】(実施例3)前述の実施例1における羊毛
繊維束と同じ繊維束を用いて、糸番手が2/48,下撚
数が280T/M,上撚数が480T/Mの双糸を紡績
し、クロム染料(C.I.Black7)を4.5%o
wf含む溶液85℃に前記双糸浸漬して染色した。
繊維束と同じ繊維束を用いて、糸番手が2/48,下撚
数が280T/M,上撚数が480T/Mの双糸を紡績
し、クロム染料(C.I.Black7)を4.5%o
wf含む溶液85℃に前記双糸浸漬して染色した。
【0029】次いで、固形分1%/lを含むシルクフィ
ブロイン溶液40℃に前記染色後の双糸を20分間浸漬
し、脱水後、真空型高周波乾燥機を用いて60℃の下、
前記双糸を60分間乾燥した。しかる後、この双糸を用
いて、カバーファクター0.41で編み立て、ついでホ
フマンプレスを用い、5Kg/cm2 のプレス圧で20
分間この編物にスチーミング処理を施し、その後吸引冷
却し実施例3の編物を得た。
ブロイン溶液40℃に前記染色後の双糸を20分間浸漬
し、脱水後、真空型高周波乾燥機を用いて60℃の下、
前記双糸を60分間乾燥した。しかる後、この双糸を用
いて、カバーファクター0.41で編み立て、ついでホ
フマンプレスを用い、5Kg/cm2 のプレス圧で20
分間この編物にスチーミング処理を施し、その後吸引冷
却し実施例3の編物を得た。
【0030】(比較例1)前述の実施例1における釜蒸
絨−タンパク加工−乾絨−連続蒸絨の各工程を省いて実
施例1を実施し、比較例1の平織物を得た。
絨−タンパク加工−乾絨−連続蒸絨の各工程を省いて実
施例1を実施し、比較例1の平織物を得た。
【0031】(比較例2)前述の実施例2における釜蒸
絨−タンパク加工−乾絨−連続蒸絨の各工程を省いて実
施例2を実施し、比較例2のトロピカル織物を得た。
絨−タンパク加工−乾絨−連続蒸絨の各工程を省いて実
施例2を実施し、比較例2のトロピカル織物を得た。
【0032】(比較例3)実施例3におけるタンパク加
工を省いて実施例3を実施し、比較例3の編物を得た。
工を省いて実施例3を実施し、比較例3の編物を得た。
【0033】以上のようにして製造した実施例1乃至3
の織・編物及び比較例1乃至3の織・編物のそれぞれ
を、10回繰り返して実用的な洗濯を行い(JIS 0
217,103法)、その防縮性及び外観のフラット性
について調査した。その結果を次表表1に示す。尚、防
縮性については洗濯後の面積収縮率を測定して評価し、
外観のフラット性については、AATCC Test
Method 88 C−1975に準拠して5段階の
標準写真と対比して格付け、評価した。
の織・編物及び比較例1乃至3の織・編物のそれぞれ
を、10回繰り返して実用的な洗濯を行い(JIS 0
217,103法)、その防縮性及び外観のフラット性
について調査した。その結果を次表表1に示す。尚、防
縮性については洗濯後の面積収縮率を測定して評価し、
外観のフラット性については、AATCC Test
Method 88 C−1975に準拠して5段階の
標準写真と対比して格付け、評価した。
【0034】
【表1】
【0035】表1に示すように、実施例の織・編物は比
較例のものに比べていずれも防縮性が損なわれておら
ず、しかも外観のフラット性において従来にない高い品
質を示している。
較例のものに比べていずれも防縮性が損なわれておら
ず、しかも外観のフラット性において従来にない高い品
質を示している。
【0036】(実施例4)まず、羊毛繊維100%の繊
維束を用いて糸番手が2/60,下撚数が590T/
M,上撚数が630T/Mの双糸を紡績し、この双糸を
用いて、経糸密度が57.5本/インチ,緯糸密度が5
4.0本/インチ,目付が265g/Mの平織物を製造
した。
維束を用いて糸番手が2/60,下撚数が590T/
M,上撚数が630T/Mの双糸を紡績し、この双糸を
用いて、経糸密度が57.5本/インチ,緯糸密度が5
4.0本/インチ,目付が265g/Mの平織物を製造
した。
【0037】しかる後、この平織物に、煮絨−オープン
ソーパ−煮絨−ガス焼−染色・酸化処理−乾絨−連続蒸
絨−釜蒸絨−タンパク加工−乾絨−連続蒸絨の各加工を
順次実施し、仕上げ経糸密度が60.3本/インチ,仕
上げ緯糸密度が57.1本/インチ,目付が260g/
Mの実施例4の織物を得た。尚、前記タンパク加工は、
固形分が15g/lのシルクフィブロイン溶液に30c
c/lのIPA(イソプロピルアルコール)を添加した
溶液を用いて、これをパッドバッチ法により前記平織物
に付与することとした(絞り率60%)。また、前記染
色・酸化処理加工は、C.I.Acid Yellow
17/Red 82/Blue 182(酸性染料)
を各0.3%owf、H2 O2 を2g/l、芒硝を5%
owf、均染剤を1%owf、蟻酸(80%)を3%o
wf含む染液を用い、これに前記平織物を40分間浸漬
することとした。
ソーパ−煮絨−ガス焼−染色・酸化処理−乾絨−連続蒸
絨−釜蒸絨−タンパク加工−乾絨−連続蒸絨の各加工を
順次実施し、仕上げ経糸密度が60.3本/インチ,仕
上げ緯糸密度が57.1本/インチ,目付が260g/
Mの実施例4の織物を得た。尚、前記タンパク加工は、
固形分が15g/lのシルクフィブロイン溶液に30c
c/lのIPA(イソプロピルアルコール)を添加した
溶液を用いて、これをパッドバッチ法により前記平織物
に付与することとした(絞り率60%)。また、前記染
色・酸化処理加工は、C.I.Acid Yellow
17/Red 82/Blue 182(酸性染料)
を各0.3%owf、H2 O2 を2g/l、芒硝を5%
owf、均染剤を1%owf、蟻酸(80%)を3%o
wf含む染液を用い、これに前記平織物を40分間浸漬
することとした。
【0038】(実施例5)まず、羊毛繊維100%の繊
維束を用いて糸番手が2/48,下撚数が540T/
M,上撚数が570T/Mの双糸を紡績し、この双糸を
用いて、経糸密度が51.0本/インチ,緯糸密度が5
3.8本/インチ,目付が290g/Mのトロピカル織
物を製造した。
維束を用いて糸番手が2/48,下撚数が540T/
M,上撚数が570T/Mの双糸を紡績し、この双糸を
用いて、経糸密度が51.0本/インチ,緯糸密度が5
3.8本/インチ,目付が290g/Mのトロピカル織
物を製造した。
【0039】しかる後、このトロピカル織物に、煮絨−
オープンソーパ−煮絨−ガス焼−染色・酸化処理−乾絨
−連続蒸絨−釜蒸絨−タンパク加工−乾絨−連続蒸絨の
各加工を順次実施し、仕上げ経糸密度が53.0本/イ
ンチ,仕上げ緯糸密度が54.3本/インチ,目付が2
82g/Mの実施例5の織物を得た。尚、前記タンパク
加工は、固形分が15g/lのウールタンパク溶液に3
0cc/lのIPA(イソプロピルアルコール)を添加
した溶液を用いて、これをパッドバッチ法により前記平
織物に付与することとした(絞り率60%)。また、前
記染色・酸化処理加工は、C.I.Acid Yell
ow 17/Red 82/Blue182(酸性染
料)を各0.3%owf、H2 O2 を2g/l、芒硝を
5%owf、均染剤を1%owf、蟻酸(80%)を3
%owf含む染液を用い、これに前記トロピカル織物を
40分間浸漬することとした。
オープンソーパ−煮絨−ガス焼−染色・酸化処理−乾絨
−連続蒸絨−釜蒸絨−タンパク加工−乾絨−連続蒸絨の
各加工を順次実施し、仕上げ経糸密度が53.0本/イ
ンチ,仕上げ緯糸密度が54.3本/インチ,目付が2
82g/Mの実施例5の織物を得た。尚、前記タンパク
加工は、固形分が15g/lのウールタンパク溶液に3
0cc/lのIPA(イソプロピルアルコール)を添加
した溶液を用いて、これをパッドバッチ法により前記平
織物に付与することとした(絞り率60%)。また、前
記染色・酸化処理加工は、C.I.Acid Yell
ow 17/Red 82/Blue182(酸性染
料)を各0.3%owf、H2 O2 を2g/l、芒硝を
5%owf、均染剤を1%owf、蟻酸(80%)を3
%owf含む染液を用い、これに前記トロピカル織物を
40分間浸漬することとした。
【0040】(比較例4)前述の実施例4の染色加工に
おいて、H2 O2 を用いない他は実施例4の方法と同じ
方法を実施して比較例4の織物を得た。
おいて、H2 O2 を用いない他は実施例4の方法と同じ
方法を実施して比較例4の織物を得た。
【0041】(比較例5)前述の実施例4の釜蒸絨−タ
ンパク加工−乾絨−連続蒸絨の一連の工程を除いた他は
実施例4の方法と同じ方法を実施して比較例5の織物を
得た。
ンパク加工−乾絨−連続蒸絨の一連の工程を除いた他は
実施例4の方法と同じ方法を実施して比較例5の織物を
得た。
【0042】(比較例6)前述の実施例5の染色加工に
おいて、H2 O2 を用いないこと並びに、釜蒸絨−タン
パク加工−乾絨−連続蒸絨の一連の工程を除いたことの
他は実施例5の方法と同じ方法を実施して比較例6の織
物を得た。
おいて、H2 O2 を用いないこと並びに、釜蒸絨−タン
パク加工−乾絨−連続蒸絨の一連の工程を除いたことの
他は実施例5の方法と同じ方法を実施して比較例6の織
物を得た。
【0043】以上のようにして得られた実施例4及び5
並びに比較例4乃至6の織物にプリーツ付け加工を施
し、プリーツの耐久性,フラット性及び耐ハイグラルエ
クスパンション性について評価を行った。その結果を次
表表2に示す。尚、プリーツ付け加工の条件は、装置に
ホフマンプレス(プリーツ付け装置)を用い、ホフマン
プレスの加熱板の温度を110℃とし、2.5Kg/c
m2 の蒸気を通し、プレス圧を5Kg/cm2 とし、処
理時間を20秒とした。
並びに比較例4乃至6の織物にプリーツ付け加工を施
し、プリーツの耐久性,フラット性及び耐ハイグラルエ
クスパンション性について評価を行った。その結果を次
表表2に示す。尚、プリーツ付け加工の条件は、装置に
ホフマンプレス(プリーツ付け装置)を用い、ホフマン
プレスの加熱板の温度を110℃とし、2.5Kg/c
m2 の蒸気を通し、プレス圧を5Kg/cm2 とし、処
理時間を20秒とした。
【0044】プリーツの耐久性については、JIS L
1060 A−1法(開角度法)に準拠した。また、
フラット性については、前記ホフマンプレスを用いて、
プリーツ付け加工後の織物に無加圧で2.5Kg/cm
2 の蒸気を10秒間通し、吸引装置により吸引した後の
織物の表面を、AATCC Test Method8
8 C−1975に準拠し、5段階の標準写真と対比
し、格付けを行った。また、耐ハイグラルエクスパンシ
ョン性については、次式により織物の経方向の長さから
ハイグラルエクスパンション値(HE値)を算出し評価
した。 HE(%)=((湿潤時の長さ−絶乾時の長さ)/湿潤
時の長さ)×100
1060 A−1法(開角度法)に準拠した。また、
フラット性については、前記ホフマンプレスを用いて、
プリーツ付け加工後の織物に無加圧で2.5Kg/cm
2 の蒸気を10秒間通し、吸引装置により吸引した後の
織物の表面を、AATCC Test Method8
8 C−1975に準拠し、5段階の標準写真と対比
し、格付けを行った。また、耐ハイグラルエクスパンシ
ョン性については、次式により織物の経方向の長さから
ハイグラルエクスパンション値(HE値)を算出し評価
した。 HE(%)=((湿潤時の長さ−絶乾時の長さ)/湿潤
時の長さ)×100
【0045】
【表2】
【0046】表2に示すように、実施例4,5織物は、
プリーツ性,フラット性,HE値のいずれについいても
比較例のものに比べて優れており、比較例4のものはH
E値について劣り、比較例5及び6のものはプリーツ性
について劣り、比較例6のものはフラット性についても
劣る。
プリーツ性,フラット性,HE値のいずれについいても
比較例のものに比べて優れており、比較例4のものはH
E値について劣り、比較例5及び6のものはプリーツ性
について劣り、比較例6のものはフラット性についても
劣る。
【0047】(実施例6)まず、スピリッドパッド加工
機(フライスナー社製)を用い、塩素化法により羊毛繊
維100%の繊維束に対し、防縮加工を施した。具体的
には、次亜塩素酸ソーダと硫酸とを反応させて有効塩素
量が2.0%owf(羊毛繊維の重量に対する重量%)
となるように前記次亜鉛素酸を生成させ、前記羊毛繊維
束に作用させた。
機(フライスナー社製)を用い、塩素化法により羊毛繊
維100%の繊維束に対し、防縮加工を施した。具体的
には、次亜塩素酸ソーダと硫酸とを反応させて有効塩素
量が2.0%owf(羊毛繊維の重量に対する重量%)
となるように前記次亜鉛素酸を生成させ、前記羊毛繊維
束に作用させた。
【0048】次いで、この羊毛繊維束を用いて糸番手が
2/48,下撚数が300T/M,上撚数が520T/
Mの双糸を紡績し、この双糸を用いてセーターを編み立
てた。具体的にはセーターの身頃をカバーファクター
0.41で編み立てた天竺組織とした。尚、この身頃と
裾のゴム編みの部分との境目に、幅が搾られることによ
る縦筋が多く発生している。
2/48,下撚数が300T/M,上撚数が520T/
Mの双糸を紡績し、この双糸を用いてセーターを編み立
てた。具体的にはセーターの身頃をカバーファクター
0.41で編み立てた天竺組織とした。尚、この身頃と
裾のゴム編みの部分との境目に、幅が搾られることによ
る縦筋が多く発生している。
【0049】しかる後、このセーターに染色・酸化処
理、ついでタンパク加工を順次実施し、実施例6の編物
を得た。前記染色加工は、Lanasol Yello
w 4R(酸性染料,Ciba−Geigy社製)を
1.911%owf,Lanasol Red 6G
(酸性染料,Ciba−Geigy社製)を0.542
%owf,Lanasol Blue 3G(酸性染
料,Ciba−Geigy社製)を1.183%ow
f、Na2 SO4 を10%owf、(NH4 )2 SO4
を5%owf、HH4 OHを2%owf、H2 O2 を2
g/l含む染液を用い、浴比を1:50とし、染色初期
にはpH8.0、染色終了前にはpH6.5となるよう
にpH調整し、浸漬により行った。尚、染色終了時には
80℃に冷却し、HH4 OHを0.5%owf注入し、
pH7.8で15分間処理後水洗した。ついで、0.5
%owfの酢酸により前記編物に酸化処理を施し、これ
を脱水,乾燥した。また、前記タンパク加工は、固形分
が15g/lのシルクフィブロイン溶液に30cc/l
のIPA(イソプロピルアルコール)を添加した溶液を
用いて、これをパッドバッチ法により前記編物に付与す
ることとした(絞り率60%)。
理、ついでタンパク加工を順次実施し、実施例6の編物
を得た。前記染色加工は、Lanasol Yello
w 4R(酸性染料,Ciba−Geigy社製)を
1.911%owf,Lanasol Red 6G
(酸性染料,Ciba−Geigy社製)を0.542
%owf,Lanasol Blue 3G(酸性染
料,Ciba−Geigy社製)を1.183%ow
f、Na2 SO4 を10%owf、(NH4 )2 SO4
を5%owf、HH4 OHを2%owf、H2 O2 を2
g/l含む染液を用い、浴比を1:50とし、染色初期
にはpH8.0、染色終了前にはpH6.5となるよう
にpH調整し、浸漬により行った。尚、染色終了時には
80℃に冷却し、HH4 OHを0.5%owf注入し、
pH7.8で15分間処理後水洗した。ついで、0.5
%owfの酢酸により前記編物に酸化処理を施し、これ
を脱水,乾燥した。また、前記タンパク加工は、固形分
が15g/lのシルクフィブロイン溶液に30cc/l
のIPA(イソプロピルアルコール)を添加した溶液を
用いて、これをパッドバッチ法により前記編物に付与す
ることとした(絞り率60%)。
【0050】(実施例7)実施例6におけるタンパク加
工を以下の通りとする以外は、実施例6の方法と同様の
方法を実施することにより実施例7の編物を得た。尚、
前記タンパク加工は、固形分が15g/lのウールタン
パク溶液に30cc/lのIPA(イソプロピルアルコ
ール)を添加した溶液を用いて、これをパッドバッチ法
により前記編物に付与することとした(絞り率60
%)。
工を以下の通りとする以外は、実施例6の方法と同様の
方法を実施することにより実施例7の編物を得た。尚、
前記タンパク加工は、固形分が15g/lのウールタン
パク溶液に30cc/lのIPA(イソプロピルアルコ
ール)を添加した溶液を用いて、これをパッドバッチ法
により前記編物に付与することとした(絞り率60
%)。
【0051】(比較例7)前述の実施例6の染色・酸化
処理加工においてH2 O2 を用いない他は実施例6と同
じ方法を実施して比較例7の編物を得た。
処理加工においてH2 O2 を用いない他は実施例6と同
じ方法を実施して比較例7の編物を得た。
【0052】(比較例8)前述の実施例6の染色・酸化
処理加工においてH2 O2 を用いないこと並びに、タン
パク加工を行わないことを除いては実施例6と同じ方法
を実施して比較例8の編物を得た。
処理加工においてH2 O2 を用いないこと並びに、タン
パク加工を行わないことを除いては実施例6と同じ方法
を実施して比較例8の編物を得た。
【0053】以上の実施例6及び7並びに比較例7及び
8の各編物について、ゴム編み組織の部分と天竺組織の
部分との間に生じた皺が染色時に固定される度合い、編
地表面の凹凸の程度を目視により評価した。その結果を
下表表3に示す。
8の各編物について、ゴム編み組織の部分と天竺組織の
部分との間に生じた皺が染色時に固定される度合い、編
地表面の凹凸の程度を目視により評価した。その結果を
下表表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】以上のように、実施例に係る編物は、皺や
凹凸感のない、先染め(糸染め)と同様の外観を呈する
ものであった。一方、比較例に係る編物は皺や凹凸が目
立ち、製品としての品位が悪いものであった。
凹凸感のない、先染め(糸染め)と同様の外観を呈する
ものであった。一方、比較例に係る編物は皺や凹凸が目
立ち、製品としての品位が悪いものであった。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば洗
濯による表面の凹凸が極めて小さい、セット性に優れた
繊維製品を得ることができる。従って、当該繊維製品を
スポーツウエア,カジュアルウエア,スーツ等の広範囲
な用途に用いることができる。
濯による表面の凹凸が極めて小さい、セット性に優れた
繊維製品を得ることができる。従って、当該繊維製品を
スポーツウエア,カジュアルウエア,スーツ等の広範囲
な用途に用いることができる。
【図1】羊毛の内部構造を示す説明図である。
1 表皮細胞 1a クチクル 2 細胞間複合体 3 皮質細胞
Claims (5)
- 【請求項1】 塩素化処理,酸素化処理若しくは酵素処
理によりスケールの一部若しくは全部を除去した羊毛繊
維を含む繊維より、織物又は編物を製造し、ついで該織
物又は編物に分子量が10,000以下の低分子蛋白質
を付与して吸着せしめ、しかる後該織物又は編物に湿熱
処理を施すことを特徴とするセット性に優れた繊維製品
の製造方法。 - 【請求項2】 少なくとも羊毛繊維を含む繊維より、織
物又は編物を製造し、ついで該織物又は編物に樹脂加工
を施した後、分子量が10,000以下の低分子蛋白質
を付与して吸着せしめ、しかる後該織物又は編物に湿熱
処理を施すことを特徴とするセット性に優れた繊維製品
の製造方法。 - 【請求項3】 少なくとも羊毛繊維を含む繊維束より紡
績糸を製造し、ついで該紡績糸を酸化剤により酸化処理
し、該酸化処理後の紡績糸又は該紡績糸を用いて織成若
しくは編成した織物若しくは編物を染色し、しかる後、
該紡績糸又は織物若しくは編物に分子量が10,000
以下の低分子蛋白質を付与して吸着せしめ、ついで該紡
績糸又は織物若しくは編物に湿熱処理を施すことを特徴
とするセット性に優れた繊維製品の製造方法。 - 【請求項4】 少なくとも羊毛繊維を含む繊維束より紡
績糸を製造し、該紡績糸又は該紡績糸を用いて織成若し
くは編成した織物若しくは編物を染色と同時に酸化剤に
より酸化処理し、しかる後、該紡績糸又は織物若しくは
編物に分子量が10,000以下の低分子蛋白質を付与
して吸着せしめ、ついで該紡績糸又は織物若しくは編物
に湿熱処理を施すことを特徴とするセット性に優れた繊
維製品の製造方法。 - 【請求項5】 前記繊維束が塩素化処理,酸素化処理若
しくは酵素処理によりスケールの一部若しくは全部を除
去した羊毛繊維を含むものである請求項3又は4記載の
セット性に優れた繊維製品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15298394A JPH083875A (ja) | 1994-06-10 | 1994-06-10 | セット性に優れた繊維製品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15298394A JPH083875A (ja) | 1994-06-10 | 1994-06-10 | セット性に優れた繊維製品の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH083875A true JPH083875A (ja) | 1996-01-09 |
Family
ID=15552406
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15298394A Pending JPH083875A (ja) | 1994-06-10 | 1994-06-10 | セット性に優れた繊維製品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH083875A (ja) |
Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
US5984974A (en) * | 1998-03-02 | 1999-11-16 | Toa Wool Spinning & Weaving Co., Ltd. | Process for producing a silk fibroin modified woolen fiber and a modified woolen fiber |
CN112292487A (zh) * | 2018-03-22 | 2021-01-29 | 株式会社岛精机制作所 | 蛋白纤维的卷曲方法、蛋白纤维的制造方法、蛋白纤维、细纱、及纺织品 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS4882200A (ja) * | 1972-02-05 | 1973-11-02 | ||
JPS4919199A (ja) * | 1972-04-19 | 1974-02-20 | ||
JPS5337959A (en) * | 1976-09-18 | 1978-04-07 | Nippon Enviro Kogyo | Filtrating liquid extractor and method of separating solid and liquid by using said filtrating liquid extractor |
JPS6262990A (ja) * | 1985-09-11 | 1987-03-19 | 大東紡織株式会社 | 形状記憶毛糸の製造方法 |
JPH01280074A (ja) * | 1988-05-02 | 1989-11-10 | Daito Boshoku Kk | 布地およびこの布地の製造方法 |
JPH04100970A (ja) * | 1990-08-14 | 1992-04-02 | Shin Etsu Chem Co Ltd | ケラチン質繊維の防縮処理方法及び処理製品 |
-
1994
- 1994-06-10 JP JP15298394A patent/JPH083875A/ja active Pending
Patent Citations (6)
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