JPH08332172A - 非観血式血圧測定用の手指用カフ構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 カフ圧をより正確に検出することができ、し
かも、フィット感にも富むものとすることができる非観
血式血圧測定用の手指用カフ構造を提供する。 【構成】 手指３１の腹部３１ａ側を中心に半周以上に
わたり覆うに足る長さの凹陥部１４をその周縁部１３を
除く部面に設け、かつ、前記凹陥部１４と連通させた管
継ぎ手部１５を外方に突設してなる非伸縮性の一側シー
ト材１２と、該一側シート材１２に対し前記周縁部１３
を介して封着することで前記凹陥部１４との間に空気室
２０を画成する受圧用の他側シート材１８とで該他側シ
ート材１８の側を介して手指３１の前記腹部３１ａ側と
の対面を自在にして形成される加圧用袋部１１と、前記
管継ぎ手部１５を表出させながらその着脱を自在に前記
加圧用袋部１１を保持して手指３１に周回配置される止
着用ベルト材２１とで構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は非観血式血圧測定用の手
指用カフ構造に係り、さらに詳しくは、空気室の膨出を
阻止して手指の腹部側を集中的に加圧できるようにした
非観血式血圧測定用の手指用カフ構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】血圧測定は、人間の客観的な健康状態を
知る上で極めて有用な手段のひとつであるため長年にわ
たり研究開発が続けられ、現在、その手法を大別すると
直接的血圧測定法と間接的血圧測定法とに分類すること
ができる。

【０００３】このうち、直接的血圧測定法は、被験者に
動脈穿刺という衝撃を与えることから、一般臨床にはあ
まり利用されていない。

【０００４】一方、間接的血圧測定法は、非観血的な測
定手法として今日、一般臨床も含め広くその普及をみて
いるものであり、特にコロトコフ音を判別して行われる
聴診法が主流となっている。

【０００５】ところで、同じく間接的血圧測定法を採用
しながらも、上記聴診法とは別に、測定操作が簡便な種
々の自動血圧計も広く普及してきており、これらの中に
は、オシロメトリック法のもとで、手指に装着したカフ
を介してカフ圧を検出し、この検出データに所定の変換
処理を施して血圧を自動測定できるようにしたものも既
に開発されている。

【０００６】図４は上記手法のもとで従来から用いられ
る手指用カフの一例を示す斜視図であり、図５はその断
面構造を示す説明図である。

【０００７】これらの図によれば、手指用カフ１の全体
は、空気が供給されるチューブの管端部との接続が自在
に形成される管継ぎ手３を備えて手指８の腹部８ａ側に
接触するように配設されるゴム材などの軟質材からなる
空気袋２と、該空気袋２をその外周面２ａを介して保持
しながら先端部４ａ側が固定され、かつ、基端部４ｂ側
を引き込むことで手指８を周回しつつ空気が満たされた
前記空気袋２の内周面２ｂを手指８の腹部８ａ側へと押
し当てることができる軟質プラスチックからなる固定用
支持材４とで構成されている。なお、図中の符号５は筺
体やバンド材などで形成される保護カバーを、符号６は
両面テープをそれぞれ示す。

【０００８】このため、上記従来例によれば、予め設置
されている手指用カフ１の前記空気袋２に対し手指８の
腹部８ａ側が対面するように定置させた後、固定用支持
材４をその基端部４ｂ側を介して所定位置まで引き込
み、前記空気袋２に管継ぎ手３を介して接続したチュー
ブから空気を送り込むことでカフ圧が得られるようにな
っている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来技
術によってもカフ圧を検出し、この検出データに所定の
変換処理を施して血圧を自動測定することはできる。

【００１０】しかし、上記従来技術による場合、前記空
気袋２は、空気が満たされた際に全方位方向に膨出する
構造が採用されているため、空気袋２自体の容積が変化
して手指８の血管内圧の変化を正確に検出できなくな
り、結果的に血圧測定を不正確なものにする不都合があ
った。

【００１１】また、手指用カフ１が備える空気袋２は、
単に手指８の腹部８ａ側に押し当てるものであることか
ら、先細りとなっている手指８にあってある程度膨出し
ている腹部８ａに対し必ずしも適合するものとはなって
おらず、フィット感に劣る不具合もあった。

【００１２】本発明は従来技術にみられた上記課題に鑑
み、カフ圧をより正確に検出することができ、しかも、
フィット感にも富むものとすることができる非観血式血
圧測定用の手指用カフ構造を提供することにその目的が
ある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
しようとするものであり、その構成上の特徴は、手指の
腹部側を中心に半周以上にわたり覆うに足る長さの凹陥
部をその周縁部を除く部面に設け、かつ、前記凹陥部と
連通させた管継ぎ手部を外方に突設してなる非伸縮性の
一側シート材と、該一側シート材に対し前記周縁部を介
して封着することで前記凹陥部との間に空気室を画成す
る受圧用の他側シート材とで該他側シート材の側を介し
て手指の前記腹部側との対面を自在にして形成される加
圧用袋部と、前記管継ぎ手部を表出させながらその着脱
を自在に前記加圧用袋部を保持して手指に周回配置され
る止着用ベルト材とで構成したことにある。なお、前記
一側シート材は、断面略Ｕ字形を呈するように予め成形
して手指の腹部側の曲面に対応させて形成しておくのが
好ましい。

【００１４】

【作用】このため、前記空気室は、一側シート材の周縁
部に他側シート材の対面部位を接合して封着することで
形成される加圧用袋部内に形成することができるので、
管継ぎ手部を介して供給される空気が空気室内に満たさ
れても、非伸縮性であるが故に少なくとも一側シート材
を膨出させることはなく、受圧用としての他側シート材
の側に空気圧が加えられることになる。

【００１５】したがって、手指の腹部側には、空気圧に
より得られる圧力を集中的に加えることができるので、
カフ圧をより正確に検出することができる。

【００１６】なお、前記一側シート材が断面略Ｕ字形を
呈するように成形して形成されている場合には、他側シ
ート材の側を手指の腹部側に対しより密着させた状態の
もとで装着することができるので、好ましいフィット感
を得ることができる。

【００１７】

【実施例】図１は本発明の一実施例につき、図２に示す
使用状態説明図のようにして手指に装着する際の断面構
造を示す説明図であり、その全体は、非伸縮性の一側シ
ート材１２と受圧用の他側シート材１８とで形成される
加圧用袋部１１と、該加圧用袋部１１を保持して手指３
１に周回配置される止着用ベルト材２１とで構成されて
いる。

【００１８】このうち、前記一側シート材１２は、例え
ばその厚さが０．５〜１．０ｍｍ程度あって平面形状が
略扇形を呈する保形性を備える例えばポリエチレンやポ
リ塩化ビニル，ポリプロピレン，フッ素樹脂などからな
るシート状合成樹脂材が用いられ、図３の（イ）に示す
ように周縁部１３を除く部面に成形加工を施すことで同
様に略扇形を呈して形成された凹陥部１４を備えて形成
されている。この場合、前記凹陥部１４は、手指３１の
腹部３１ａ側を中心に半周以上、具体的には１／２周〜
４／５周程度にわたり覆うに足る長さを付与して形成す
るのが望ましい。

【００１９】しかも、前記一側シート材１２の全体は、
その使用時に手指３１の腹部３１ａ側の曲面に円滑に沿
わせることができるように、断面略Ｕ字形を呈するよう
に予め成形加工を施して形成しておくのが望ましい。

【００２０】また、一側シート材１２において前記凹陥
部１４を形成しているシート面の適宜の位置には、図２
に示すように凹陥部１４（空気室２０）内に空気を供給
するために用意されるチューブ３２との接続を自在とし
た管継ぎ手部１５が一体となって外方に向け突設されて
いる。

【００２１】一方、他側シート材１８は、例えばその厚
さが０．１〜０．５ｍｍ程度の例えば天然ゴムや合成ゴ
ム，シリコーンゴムなどのゴム系シートのほか、やＦＥ
Ｐシートやビニルシートなどからなるシート材が用いら
れ、その平面形状は前記一側シート材１２と対面合致す
る形状となって形成されている。

【００２２】この場合、他側シート材１８は、前記一側
シート材１２の凹陥部１４との間に空気室２０を画成す
るため、前記周縁部１３との間に接着剤１６を介在させ
るなど、適宜の接合手段を介することで図３の（ロ）に
示すように前記周縁部１３との間で封着部１９が形成さ
れ、前記一側シート材１２と一体化されたその全体で前
記加圧用袋部１１を形成している。

【００２３】しかも、このようにして形成される前記加
圧用袋部１１は、前記凹陥部１４が手指３１の腹部３１
ａ側を中心に１／２周〜４／５周程度にわたり覆うに足
る長さを備えていることから、前記空気室２０も手指３
１の腹部３１ａ側を中心に半周以上にわたり前記他側シ
ート材１８を介して手指３１側との対面が自在となって
形成されることになる。

【００２４】一方、止着ベルト材２１は、図３の（ハ）
に示すように前記管継ぎ手部１５を表出させながらその
着脱を自在に前記加圧用袋部１１を保持して手指３１に
周回配置できるようにして形成されている。具体的に
は、幅が２５〜３５ｍｍ程度あり、かつ、略扇状を呈し
て手指３１の周面を約１周半程度周回できる程度の長さ
を有する厚さ０．３〜１．０ｍｍ程度の帯状シート材を
基材とすることで形成されている。この場合の帯状シー
ト材としては、柔軟性のある例えば布材や皮材のほか、
ビニル系素材に繊維を混入させたシート材により形成さ
れたものを好適に用いることができる。

【００２５】しかも、前記止着ベルト材２１は、前記加
圧用袋部１１の保持を予定している部位に予め両面テー
プ２３が貼着配置されており、該両面テープ２３の表出
面に対し一側シート材１２の凹陥部１４側を貼着するこ
とで前記加圧用袋部１１が保持されることになる。

【００２６】前記加圧用袋部１１の管継ぎ手部１５との
対面部位に位置する前記止着ベルト材２１の側には、通
孔やスリットなどからなる導出部１９が設けられてお
り、前記加圧用袋部１１を保持させた際に管継ぎ手部１
５を外部に導出できるようになっている。また、前記止
着ベルト材２１の開放端部２１ａとその対面部位は、介
在させた面ファスナー２４によりその着脱を自在にして
止着できるようになっている。

【００２７】なお、前記一側シート材１２が断面略Ｕ字
形を呈するように予め成形加工を施して形成されいる場
合には、他側シート材１８と接合して形成される前記加
圧用袋部１１も断面略Ｕ字形を呈することになる結果、
該加圧用袋部１１を保持させた前記止着ベルト材２１の
該当部位も断面略Ｕ字形を呈する状態を維持することに
なる。

【００２８】本発明はこのようにして構成されているの
で、その使用時には、手指３１（例えば人差し指）の指
先から第１関節までの部位等、適宜の部位における腹部
３１ａ側に受圧用として配設されている他側シート材１
８を接触させ、かつ、前記空気室２０が腹部３１ａ側を
中心にその半周以上にわたり対面する位置関係をとるよ
うに配置した上で止着用ベルト材２１を手指３１に周回
配置し、前記面ファスナー２４を介して止着すること
で、手指３１側に装着することができる。

【００２９】このため、管継ぎ手部１５に接続させたチ
ューブ３２を介して空気が供給されて空気室２０内が加
圧されても、加圧用袋部１１は、止着用ベルト材２１と
の接触側である非伸縮性の一側シート材１２、つまり、
凹陥部１４の側が膨出してその容積が増大するようなこ
とはなく、受圧用としての他側シート材１８の側、つま
り、手指３１の腹部３１ａ側にその際の圧力が加えられ
ることになる。

【００３０】したがって、手指３１の腹部３１ａ側に
は、空気室２０自体の容積を変動させることなく得られ
る圧力を受圧用としての他側シート材１８を介して加え
ることができるので、カフ圧をより正確に検出すること
ができることになる。

【００３１】また、使用を終えた後は、前記面ファスナ
ー２４を引き剥すことで直ちに止着用ベルト材２１によ
り維持されている止着状態を解除し、手指３１の側から
取り外すことができる。

【００３２】さらに、加圧用袋部１１は、止着用ベルト
材２１に対しその着脱を自在にして保持されているの
で、加圧用袋部１１を交換する必要が生じた場合であっ
ても部品交換方式で極く容易に対処するすることができ
る。

【００３３】なお、前記一側シート材１２が断面略Ｕ字
形を呈するように成形して形成されている場合には、他
側シート材１８の側を手指３１の腹部３１ａ側に対しよ
り密着させた状態のもとで装着することができるので、
好ましいフィット感を得ることができる。

【００３４】

【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、前記
空気室は、一側シート材の周縁部に他側シート材の対面
部位を接合して封着することで形成される加圧用袋部内
に形成することができるので、管継ぎ手部を介して供給
される空気が空気室内に満たされても、非伸縮性である
が故に少なくとも一側シート材を膨出させることはな
く、受圧用としての他側シート材の側に空気圧が加えら
れることになる。

【００３５】したがって、手指の腹部側には、空気圧に
より得られる圧力を集中的に加えることができるので、
カフ圧をより正確に検出することができる。

【００３６】なお、前記一側シート材が断面略Ｕ字形を
呈するように成形して形成されている場合には、他側シ
ート材の側を手指の腹部側に対しより密着させた状態の
もとで装着することができるので、好ましいフィット感
を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を手指に装着する際の相互の
関係を断面構造として示す説明図である。

【図２】本発明についての手指への実際の装着状態を示
す説明図である。

【図３】図１に示す実施例についての構成部材相互の関
係を示す説明図であり、このうち、（イ）は一側シート
材を、（ロ）は一側シート材に他側シート材を封着して
形成される加圧用袋部を、（ハ）は止着用ベルト材と加
圧用袋部との関係をそれぞれ示す。

【図４】従来からある手指用カフの一例を示す要部斜視
図である。

【図５】図４に示す従来例につき手指に装着する際の相
互の関係を断面構造として示す説明図である。

【符号の説明】

１１ 加圧用袋部 １２ 一側シート材 １３ 周縁部 １４ 凹陥部 １５ 管継ぎ手部 １６ 接着剤 １８ 他側シート材 １９ 封着部 ２０ 空気室 ２１ 止着用ベルト材 ２１ａ 開放端部 ２２ 導出部 ２３ 両面テープ ２４ 面ファスナー ３１ 手指 ３１ａ 腹部 ３２ チューブ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 敦 長野県上田市大字小泉字桜町81番地 日置 電機株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 手指の腹部側を中心に半周以上にわたり
   覆うに足る長さの凹陥部をその周縁部を除く部面に設
   け、かつ、前記凹陥部と連通させた管継ぎ手部を外方に
   突設してなる非伸縮性の一側シート材と、該一側シート
   材に対し前記周縁部を介して封着することで前記凹陥部
   との間に空気室を画成する受圧用の他側シート材とで該
   他側シート材の側を介して手指の前記腹部側との対面を
   自在にして形成される加圧用袋部と、前記管継ぎ手部を
   表出させながらその着脱を自在に前記加圧用袋部を保持
   して手指に周回配置される止着用ベルト材とで構成した
   ことを特徴とする非観血式血圧測定用の手指用カフ構
   造。
2. 【請求項２】 前記一側シート材は、断面略Ｕ字形を呈
   するように予め成形して手指の腹部側の曲面に対応させ
   て形成したことを特徴とする請求項１記載の非観血式血
   圧測定用の手指用カフ構造。