JPH08331816A - 同期機 - Google Patents

同期機

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JPH08331816A
JPH08331816A JP7155312A JP15531295A JPH08331816A JP H08331816 A JPH08331816 A JP H08331816A JP 7155312 A JP7155312 A JP 7155312A JP 15531295 A JP15531295 A JP 15531295A JP H08331816 A JPH08331816 A JP H08331816A
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欽志郎 内藤
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覺 松原
Tokuzo Sekiyama
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】固定子側に界磁巻線及び電機子巻線の両方を設
け、回転子に電流を供給するためのスリップリングや回
転トランスを設けなくてもよく、磁束の大きさを固定子
側の巻線で自由に制御できる。 【構成】界磁コア6,7及び電機子コア5は固定子に分
離されて設けられている。界磁コア6,7には、回転磁
極を発生する界磁巻線が、電機子コア5には電機子巻線
が巻回されている。回転子8は界磁コア及び電機子コア
に対しては磁気的に結合しているが、回転方向に沿った
方向では相互に磁気的に分離されている。回転子8に発
生した磁極は回転子8及び電機子コア5を磁路として磁
気的に結合するようになる。従って、この回転子に発生
した磁極に応じた3相交流電流を電機子巻線に流すこと
によって、トルクが発生し、回転子は電動機として同期
速度で回転するようになる。このトルクの大きさは界磁
巻線及び電機子巻線に流す電流の大きさを制御するだけ
でよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、同期電動機や同期発電
機などの同期機に係り、特に界磁巻線及び電機子巻線を
固定子(ステータ)側に有する同期機に関する。
【0002】
【従来の技術】同期電動機には、回転電機子形、回転界
磁形、誘導子形などがある。回転電機子形同期電動機は
固定子に設けられた界磁極と、回転子に巻回された電機
子巻線とから構成される。回転界磁形同期電動機は、固
定子に巻回された電機子巻線と、回転子に設けられた界
磁極とから構成される。回転界磁形同期電動機における
界磁極は回転子に永久磁石を取り付けたものや直流電流
で励磁される界磁巻線で構成される。誘導子形同期電動
機は、固定子に設けられた界磁極及び電機子巻線と、回
転子に設けられた歯車状の凹凸の誘導子とから構成され
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】回転界磁形同期電動機
は、電機子巻線が固定子に設けられているので、機械的
損傷や破損がなく、絶縁も容易であり、工作機械の主軸
などの回転駆動力源として広く利用されている。ところ
が、界磁極として回転子に永久磁石を設けたものは、永
久磁石自体が高価であること、永久磁石が分離しないよ
うに回転子に強固に取り付けなければならないこと、及
び界磁が一定なので大容量化が困難であることなどの欠
点がある。一方、界磁極として回転子に界磁巻線を巻回
したものは、界磁電流を回転子側に供給するためのスリ
ップリングや回転トランスなどが必要であり、構造が複
雑であるという欠点を有する。
【0004】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
あり、固定子側に界磁巻線及び電機子巻線の両方を設
け、回転子に電流を供給するためのスリップリングや回
転トランスを設けなくてもよく、磁束の大きさを固定子
側の巻線で自由に制御することのできる同期機を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係る同期機
は、固定子と、前記固定子に設けられ、回転磁極を発生
するための界磁巻線の巻回された界磁コアと、前記固定
子に前記界磁コアとは分離されて設けられ、電機子巻線
の巻回された電機子コアと、前記界磁コア及び前記電機
子コアに対しては磁気的に結合され、前記回転磁極の回
転方向に沿った方向では相互に磁気的に分離されている
複数の磁性体から構成された回転子とを備えたものであ
る。
【0006】第2の発明に係る同期機は、固定子と、前
記固定子に設けられ、直線移動する磁極を発生するため
の界磁巻線の巻回された界磁コアと、前記固定子に前記
界磁コアとは分離されて設けられ、電機子巻線の巻回さ
れた電機子コアと、前記界磁コア及び前記電機子コアに
対しては磁気的に結合され、前記直線移動する磁極の移
動方向に沿った方向では相互に磁気的に分離されている
複数の磁性体から構成された移動子とを備えたものであ
る。
【0007】
【作用】第1の発明に係る同期機は、固定子と回転子と
から構成される。界磁コア及び電機子コアは固定子に分
離されて設けられている。界磁コアには、回転磁極を発
生する界磁巻線が巻回されており、電機子コアには電機
子巻線が巻回されている。回転子は界磁コア及び電機子
コアに対しては磁気的に結合しているが、回転方向に沿
った方向では相互に磁気的に分離されている。すなわ
ち、界磁コアが3相交流電流によって回転磁極(回転磁
界)を発生するものである場合には、回転子を構成する
複数の磁性体のうち界磁コアのN極に対向する部分の磁
性体はS極となり、S極に対応する部分の磁性体はN極
となる。このとき、回転子は回転方向に沿って磁気的に
分離されているので、界磁コアの回転磁極に対向して回
転子に発生したN極及びS極は回転子を介して磁気的に
結合することはできない。
【0008】ところが、回転子は電機子コアに対して磁
気的に結合しているので、回転子に発生したN極及びS
極は電機子コアを介して磁気的に結合するようになる。
すなわち、回転子に発生した磁極は回転子及び電機子コ
アを磁路として結合するようになる。従って、この回転
子に発生した磁極に応じた3相交流電流を電機子巻線に
流すことによって、フレミングの法則により、トルクが
発生し、回転子は電動機として同期速度で回転するよう
になる。このトルクの大きさを制御するには、界磁巻線
及び電機子巻線に流す電流の大きさを制御するだけでよ
い。一方、回転子を外部駆動力によって回転させて、そ
の回転子の回転位置に応じた電流を界磁巻線に流すこと
によって、電機子巻線には誘導起電力が発生し、同期機
は発電機となる。第2の発明に係る同期機は、移動子を
直線方向に移動させるリニア同期機に関するものであ
り、その構成及び作用は前述の回転形のものを直線方向
に展開したものと同じである。従って、この移動子に発
生した磁極に応じた3相交流電流を電機子巻線に流すこ
とによって、フレミングの法則により、推力が発生し、
移動子はこの推力に応じた同期速度で直線移動するよう
になる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に従って詳
細に説明する。図1、図2及び図3は本発明に係る同期
機の一実施例である回転形同期電動機の構成を示す図で
あり、図1はこの回転形同期電動機の回転軸を含む断面
構造を示す図であり、図2は図1の回転形同期電動機に
おけるA−A面の断面構造を示す図であり、図3は図1
の回転形同期電動機におけるB−B面の断面構造を示す
図である。この回転形同期電動機は、磁極数が4極の3
相交流駆動型の電動機である。この回転形同期電動機は
円筒状の固定子枠1と、この固定子枠1に軸受2及び軸
受3を介して回転自在に設けられた回転軸4とから構成
される。固定子枠1には電機子コア5と、2つの界磁コ
ア6及び7が設けられ、回転軸4側に磁性体と非磁性体
から構成された回転子8が設けられている。
【0010】電機子コア5は固定子枠1の内周面に沿っ
て設けられた円筒状の成層鉄心で構成され、その内周面
側に図2に示すような回転軸を中心とした半径方向に延
びた24個のスロットを有する。電機子コア5の各スロ
ットには3相電機子巻線が巻回されている。電機子コア
5の成層鉄心は薄いけい素鋼板を軸方向に沿って複数枚
積み重ねて構成されたものである。界磁コア6及び界磁
コア7は、固定子枠1の内側平面であって、回転子8の
両端に設けられた平板形の環状鉄心で構成されている。
図4は界磁コア単体の形状を示す図であり、図4(A)
は回転子8側から見た図であり、図4(B)はそのC−
C面の断面構造を示す図である。なお、図において界磁
巻線は省略してある。界磁コア6及び界磁コア7は、共
に回転子8側に対向する面に図4に示すような放射状に
延びた24個のスロットを有する。界磁コア6及び界磁
コア7の各スロットには2組の3相界磁巻線が巻回され
ている。界磁コア5は薄いけい素鋼板からなるリングを
回転軸を中心とする半径方向に沿って複数枚積み重ねて
構成されたものである。
【0011】電機子コア5に巻回されている3相電機子
はそれぞれ電気角で120度ずれた位置に巻回されたU
相巻線、V相巻線及びW相巻線から構成される。以下、
明細書及び図面中では電機子巻線を大文字英数字で、界
磁巻線を小文字英数字で示す。すなわち、U相巻線は8
つのスロットを介して巻線U1−巻線U2−巻線U3−
巻線U4−巻線U5−巻線U6−巻線U7−巻線U8の
順番で電機子コア5に巻回されている。V相巻線は8つ
のスロットを介して巻線V1−巻線V2−巻線V3−巻
線V4−巻線V5−巻線V6−巻線V7−巻線V8の順
番で電機子コア5に巻回されている。W相巻線は8つの
スロットを介して巻線W1−巻線W2−巻線W3−巻線
W4−巻線W5−巻線W6−巻線W7−巻線W8の順番
で電機子コア5に巻回されている。U相巻線とV相巻線
との間、V相巻線とW相巻線との間は、それぞれ電気角
で120度ずれた位置に巻回されている。すなわち、図
では各U相巻線、V相巻線及びW相巻線は互いにスロッ
トで4個分だけ時計方向にずれた位置に巻回されてい
る。
【0012】界磁コア6に巻回されている3相界磁巻線
も3相電機子巻線と同様に、それぞれ電気角で120度
ずれた位置に巻回されたu相巻線、v相巻線及びw相巻
線からなる。u相巻線は、4つのスロットを介して巻線
端uaから巻線端ubに向かって界磁コア6に巻回され
たものと、4つのスロットを介して巻線端ucから巻線
端udに向かって界磁コア6に巻回されたものとで構成
される。v相巻線は4つのスロットを介して巻線端va
から巻線端vbに向かって界磁コア6に巻回されたもの
と、4つのスロットを介して巻線端vcから巻線vdに
向かって界磁コア6に巻回されたものとで構成される。
w相巻線は4つのスロットを介して巻線端waから巻線
端wbに向かって界磁コア6に巻回されたものと、4つ
のスロットを介して巻線端wcから巻線端wdに向かっ
て界磁コア6に巻回されたものとで構成される。
【0013】界磁コア7に巻回されている3相界磁巻線
は、界磁コア6に巻回されている3相界磁巻線が回転子
8を中心に線対称となるように巻回されている。そし
て、界磁コア6及び界磁コア7にそれぞれ巻回されてい
る3相界磁巻線は、電機子巻線に対して電気角で90度
ずつずれるように巻回されている。すなわち、界磁巻線
のu相巻線は、電機子巻線のU相巻線に対してスロット
で3個分(電気角で90度)だけ時計方向にずれて巻回
されている。同様に、v相巻線及びw相巻線もV相巻線
及びW相巻線に対してスロットで3個分(電気角で90
度)だけ時計方向にずれて巻回されている。なお、同期
電動機の構造によっては正確に電気角90度でなくて
も、これに近い角度であればよい。
【0014】回転子8は、回転軸4の外周面に沿って設
けられており、全体的に円筒形状をしている。回転子8
は、界磁コア6及び界磁コア7に発生する磁極(N極及
びS極)から出る磁束の方向(回転軸方向)に沿って設
けられた4つの磁性体81〜磁性体84と、非磁性体8
5〜非磁性体88とから構成される。非磁性体85〜非
磁性体88は磁性体81〜磁性体84が円周方向で磁気
的に結合しないように分離している。磁性体81〜磁性
体84は電機子コア5に対しては磁気的に結合し、界磁
コア6及び界磁コア7に対しても磁気的に結合してい
る。具体的には、非磁性体85〜非磁性体88の間隔を
約3〜10mm程度とすると、磁性体81〜磁性体84
と電機子コア5、界磁コア6及び界磁コア7との間隔を
約0.5〜3mm程度すればよい。また、磁性体81〜
磁性体84が互いに非磁性体85〜非磁性体88によっ
て磁気的に分離されていることによって、界磁コア6及
び界磁コア7のN極から出た磁束は磁性体81〜磁性体
84を介して電機子コア5の方に容易に進入するように
なる。
【0015】界磁コア6の3相界磁巻線には互いに位相
角で120度ずつずれた次のような交流電流iu,i
v,iwが流される。 iu=im・sinωt iv=im・sin(ωt−2π/3) iw=im・sin(ωt−4π/3) ここで、imは電流の最大値である。界磁コア6の3相
界磁巻線にこのような電流iu,iv,iwが流される
ことによって図3に示すような回転子8の磁性体82及
び磁性体84に向かう方向に磁束を発生する磁極(N
極)、及び回転子8の磁性体81及び磁性体83から界
磁コア6に向かう磁束を吸収する磁極(S極)がそれぞ
れ界磁コア6の回転子8側の平面上を時計方向に回転す
るようになる。界磁コア7の3相界磁巻線にも同様の電
流iu,iv,iwが流され、界磁コア6と同じような
磁極(N極及びS極)が界磁コア7の回転子8側の平面
上を同じ回転するようになる。
【0016】この3相界磁巻線によって生じた磁極(N
極及びS極)における磁界の磁束分布は回転方向に沿っ
て正弦波状となり、最大磁束をΦm、磁極中心をθ=0
とすると磁束は次のように表される。 Φ=Φm・cosθ また、この3相界磁巻線に流される電流によって発生す
る磁界の磁極中心が、回転子8の最も磁化容易な面に合
致するように界磁巻線に流れる電流を制御すると、回転
子8は所定の方向に磁化され、その磁束密度は近似的に
次のようになる。 B=Bm・cosθ
【0017】すなわち、界磁コア6及び界磁コア7に発
生した磁極(N極及びS極)に対応して回転子8の磁性
体81〜磁性体84は所定の方向に磁化されるようにな
る。例えば、電流iu,iv,iwによって、図示のよ
うに界磁コア6及び界磁コア7の磁性体82及び磁性体
84に対向する面にN極が発生し、磁性体81及び磁性
体83に対向する面にS極が発生すると、これに応じて
磁性体82及び磁性体84の界磁コア6及び界磁コア7
に対向する平面側がS極となり、磁性体82及び磁性体
84の電機子コア5に対向する曲面側がN極となる。同
様に、磁性体81及び磁性体83の界磁コア6及び界磁
コア7に対向する面はN極となり、磁性体81及び磁性
体83の電機子コア5に対向する曲面側がS極となる。
【0018】すなわち、図示のように、界磁コア6及び
界磁コア7のN極から出た磁束は、磁性体82及び磁性
体84のS極平面から磁性体82及び磁性体84内部に
進入する。そして、磁性体82及び磁性体84内部に進
入した磁束はそのN極曲面から電機子コア5に進入し、
電機子コア5の外周部を通り磁性体81及び磁性体83
のS極曲面から磁性体81及び磁性体83内部に進入す
る。そして、磁性体81及び磁性体83内部に進入した
磁束はそのN極平面から界磁コア6及び7のS極平面に
進入する。この同期電動機では、界磁コア6及び界磁コ
ア7、回転子8及び電機子コア5によって所定の磁気回
路が形成されている。
【0019】一方、電機子コア5の3相電機子巻線に
は、次のような互いに位相角で120度ずつずれた3相
の交流電流IU,IV,IWが流される。 IU=Im×sinωt IV=Im×sin(ωt−2π/3) IW=Im×sin(ωt−4π/3) このとき、3相電機子巻線は界磁巻線に対して電気角で
約90度位相が進んでいるので、フレミングの法則によ
り、トルクTが発生し、回転子8(回転軸4)は回転す
る。なお、このトルクTの大きさを制御するには、界磁
巻線及び電機子巻線に流す電流の大きさを制御するだけ
でよくなる。なお、電機子電流によっても磁束を生じる
が、その磁束方向の回転子の磁気抵抗は大きくしてあ
り、磁化されにくくなっているので、その影響は少な
い。このように、この実施例によれば、従来の同期機の
ように回転子に界磁コイルを巻回したり、永久磁石を取
り付けたりする必要もなく、また、誘導電動機のよう
に、回転子にけい素鋼板を用い、その中にスロットを設
け、アルミ、銅などによるかご形巻線を施す必要もな
く、誘導電流による発熱のない回転磁界磁極形の同期機
を構成することができる。
【0020】図5は電機子巻線と界磁巻線の結線方法を
示す図である。図2のように、界磁巻線と電機子巻線と
が電気角で90度位相ずれとなるように機械的に巻回さ
れている場合には、このように電機子巻線と界磁巻線を
直巻にすることができ、1つのインバータで直巻特性の
ACモータとして制御することができるようになる。な
お、界磁巻線と電機子巻線とが電気角で90度位相ずれ
ることなく同位相となるように機械的に巻回されている
場合には、界磁電流と電機子電流との位相を90度ずら
せばよい。
【0021】図6及び図7は、図2の4極形回転子8の
他の実施例を示す図である。図6の回転子8aは、界磁
巻線の発生する磁束の通過方向8(回転軸方向)に沿っ
て設けられた磁性体81〜磁性体84が非磁性体8A〜
非磁性体8Fによって回転方向に沿ってさらに細かく磁
気的に分離されている。なお、磁性体82〜磁性体84
を分離している非磁性体については符号を省略してあ
る。但し、この磁気的分離の程度は図2の非磁性体85
〜非磁性体88のものよりも極めて小さい。すなわち、
非磁性体85〜非磁性体88の円周方向における厚さ
(ギャップ)が3〜10mm程度であるとすれば、この
非磁性体8A〜非磁性体8Fの円周方向における厚さ
(ギャップ)は0.3〜3mm程度に設定される。この
回転子8aによれば、電機子電流によって生じる磁束の
影響、すなわち電機子反作用を取り除くことができる。
【0022】図7の回転子8bは、界磁巻線の発生する
磁束の通過方向8(回転軸方向)に沿って設けられた磁
性体81〜磁性体84を、非磁性体8G〜8Lによって
回転方向に沿ってさらに細かく磁気的に分離している点
では図6のものと同じである。この回転子8bが回転子
8aと異なる点は、非磁性体8G〜非磁性体8Lによっ
て分離された磁性体81〜磁性体84の回転方向におけ
る厚さが界磁コアによって発生する磁束の正弦波状の分
布密度に対応している点である。なお、磁性体82〜磁
性体84を分離している非磁性体については符号を省略
してある。すなわち、回転子8aの場合は非磁性体8A
〜非磁性体8Fによって分離された磁性体82〜磁性体
84の回転方向における厚さは全て同じであるが、回転
子8bの場合は、非磁性体8G〜非磁性体8Lによって
分離された磁性体81〜磁性体84の回転方向における
厚さが正弦波状の磁束分布密度に対応して、各非磁性体
85〜非磁性体88間の中央付近では厚く、各非磁性体
85〜非磁性体88近傍では薄くなっている。すなわ
ち、非磁性体8G、非磁性体8J、非磁性体8Jの順番
で徐々に薄くなり、非磁性体8I、非磁性体8K、非磁
性体8Lの順番で徐々に厚くなるように構成されてい
る。この回転子8bによれば、界磁電流によって生じた
正弦波状の磁束分布に対応した磁極(N極及びS極)を
その外周面上に形成することができるので、回転特性を
飛躍的に向上させることができる。
【0023】図8は本発明の同期機の別の実施例である
回転形同期電動機の構成を示す図である。図8において
図1と同じ構成のものには同一の符号が付してあるの
で、その説明は省略する。図9は図8の同期電動機のD
−D面の断面構造を示す図である。なお、図8の同期電
動機のB−B面の断面構造は図2に示すものと同じであ
る。図8の同期電動機が図1のものと異なる点は、界磁
コア6A及び界磁コア7Aが電機子コア5と同じように
固定子枠1の内周面に沿って設けられた円筒状の成層鉄
心で構成され、回転子8dが界磁コア6A及び界磁コア
7Aに磁気的に結合するように、軸方向に延長されてい
る点である。界磁コア6Aの円筒状の内周面側には電機
子コア5と同様に24個のスロットを有し、各スロット
には2組の3相界磁巻線が巻回されている。界磁コア6
A及び界磁コア7Aの成層鉄心は薄いけい素鋼板を軸方
向に複数枚積み重ねて構成されたものである。
【0024】界磁コア6Aに巻回されている3相界磁巻
線はそれぞれ電気角で120度ずれて設けられたu相巻
線、v相巻線及びw相巻線から構成される。u相巻線は
8つのスロットを介して巻線ua−巻線u2−巻線u3
−巻線ub−巻線uc−巻線u6−巻線u7−巻線ud
の順番で界磁コア6Aに巻回されている。v相巻線は8
つのスロットを介して巻線va−巻線v2−巻線v3−
巻線vb−巻線vc−巻線v6−巻線v7−巻線vdの
順番で界磁コア6Aに巻回されている。w相巻線は8つ
のスロットを介して巻線wa−巻線w2−巻線w3−巻
線wb−巻線wc−巻線w6−巻線w7−巻線wdの順
番で界磁コア6Aに巻回されている。
【0025】u相巻線とv相巻線との間、v相巻線とw
相巻線との間は、それぞれ電気角で120度ずれた位置
に巻回されている。すなわち、図では各u相巻線、v相
巻線及びw相巻線は互いにスロットで4個分だけ時計方
向にずれた位置に巻回されている。
【0026】界磁コア7Aにも界磁コア6Aと同じよう
に2組の3相界磁巻線が巻回されている。そして、界磁
コア6A及び界磁コア7Aにそれぞれ巻回されている3
相界磁巻線は、電機子巻線に対して電気角で90度ずつ
ずれて巻回されている。すなわち、界磁巻線の第1のu
相巻線は、電機子巻線の第1のU相巻線に対してスロッ
トで3個分(電気角で90度)だけ時計方向にずれて巻
回されている。同様に、v相巻線及びw相巻線もV相巻
線及びW相巻線に対してスロットで3個分(電気角で9
0度)だけ時計方向にずれて巻回されている。
【0027】回転子8dの構成は図1のものと同じであ
り、回転軸4の外周側に沿って設けられた円筒体で構成
されている。すなわち、回転子8dは回転軸方向に沿っ
て設けられた4つの磁性体81〜磁性体84と、非磁性
体85〜非磁性体88とから構成される。非磁性体85
〜非磁性体88は磁性体81〜磁性体84が円周方向で
磁気的に結合しないように分離している。磁性体81〜
磁性体84は電機子コア5に対しては磁気的に結合し、
界磁コア6及び界磁コア7に対しても磁気的に結合して
いる。また、磁性体81〜磁性体84が互いに非磁性体
85〜非磁性体88によって磁気的に分離されているこ
とによって、界磁コア6A及び界磁コア7AのN極から
出た磁束は磁性体81〜磁性体84を介して電機子コア
5に容易に進入するようになる。
【0028】界磁コア6Aの3相界磁巻線には互いに位
相角で120度ずつずれた交流電流iu,iv,iwが
流される。界磁コア6Aの3相界磁巻線にこのような交
流電流iu,iv,iwが流されることによって、図9
に示すような回転子8dの磁性体82及び磁性体84の
曲面に向かって磁束を発生するN極、及び磁性体81及
び磁性体83の曲面から界磁コア6Aに向かう磁束を吸
収するS極がそれぞれ界磁コア6Aの内周面側に発生
し、それぞれの磁極が界磁コア6Aの内周面上を時計方
向に回転するようになる。界磁コア7Aの3相界磁巻線
にも同様の電流iu,iv,iwが流され、界磁コア6
Aと同じようにN極及びS極が界磁コア7Aの内周面上
を同じ方向に回転するようになる。
【0029】この3相界磁巻線に流される電流によって
発生する磁極中心が、回転子8の最も磁化容易な面、す
なわち磁性体81〜磁性体84の曲面の中央付近に位置
するように界磁巻線に流れる電流を制御すると、回転子
8dは所定の方向に磁化されるようになる。すなわち、
界磁コア6A及び界磁コア7Aに発生したN極及びS極
に応じて回転子8dの磁性体81〜磁性体84は所定の
方向に磁化されるようになる。例えば、電流iu,i
v,iwによって、図示のように界磁コア6A及び界磁
コア7Aの磁性体82及び磁性体84の曲面側に対向す
る内周面上にN極が発生し、磁性体81及び磁性体83
の曲面側に対向する内周面側にS極が発生すると、これ
に応じて磁性体82及び磁性体84の界磁コア6A及び
界磁コア7Aに対向する外周曲面側がS極となり、磁性
体82及び磁性体84の電機子コア5に対向する外周曲
面側がN極となる。同様に、磁性体81及び磁性体83
の界磁コア6A及び界磁コア7Aに対向する外周曲面側
がN極となり、磁性体81及び磁性体83の電機子コア
5に対向する外周曲面側がS極となる。
【0030】すなわち、図9に示すように、界磁コア6
A及び界磁コア7AのN極から出た磁束は、磁性体82
及び磁性体84のS極外周曲面から磁性体82及び磁性
体84内に進入する。そして、磁性体82及び磁性体8
4内に進入した磁束は、軸方向に沿って電機子コア5側
に進行し、図2に示すように磁性体82及び磁性体84
のN極外周曲面から電機子コア5に進入し、電機子コア
5の外周部を通り磁性体81及び磁性体83のS極外周
曲面から磁性体81及び磁性体83内に進入する。そし
て、磁性体81及び磁性体83内に進入した磁束は今度
は軸方向に沿って進み、磁性体81及び磁性体83のN
極外周曲面から界磁コア6A及び界磁コア7AのS極内
周面に進入する。このようにして、この回転形同期電動
機では、界磁コア6A及び界磁コア7A、回転子8d及
び電機子コア5によって所定の閉磁気回路が形成される
ようになっている。
【0031】一方、電機子コア5の3相電機子巻線に、
互いに位相角で120度ずつずれた3相の交流電流I
U,IV,IWが流されることによって、フレミングの
法則により、トルクTが発生し、回転子8(回転軸4)
は回転するようになる。このように、図9の実施例によ
れば、界磁コアと電機子コアを同じような構成にするこ
とができるので、製造工程の簡略化を達成できる。
【0032】図10は、図1及び図2の4極形回転子8
の他の実施例を示す図である。図10の回転子8eが回
転子8と異なる点は、界磁巻線の発生する磁束の通過方
向8(回転軸方向)に沿って設けられた磁性体81〜磁
性体84が永久磁石85A〜永久磁石88Aによって磁
気的に分離されている点である。すなわち、磁性体81
及び磁性体83に対しては永久磁石85A〜永久磁石8
8AのS極が対向し、磁性体82及び磁性体84に対し
ては永久磁石85A〜永久磁石88AのN極が対向し
て、それぞれの磁性体を磁気的に分離している。このよ
うにして永久磁石85A〜永久磁石88Aで磁性体81
〜磁性体84を磁気的に分離することによって、界磁巻
線に励磁電流を流さなくても回転子8を回転することが
できるが、この場合の回転トルクは永久磁石85A〜永
久磁石88Aの磁極の強さ及び電機子電流の大きさに依
存するため、広範囲に渡って最適なトルク制御を行うこ
とはできない。そこで、本発明の回転形同期電動機によ
れば界磁巻線に流される電流の大きさを適宜制御するこ
とによって永久磁石による磁束に界磁巻線による磁束を
加えたり減じたりして磁極の強さを制御するハイブリッ
ド形回転子8となり、回転トルクを広範囲に制御するこ
とが可能となる。
【0033】なお、図6の回転子8a及び図7の回転子
8bの場合にも同様にして非磁性体85〜非磁性体88
の代わりに永久磁石を設けてもよい。また、図2の回転
子8、図6の回転子8a、図7の回転子8b及び図10
の回転子8eの磁性体81〜磁性体84と、回転軸4と
の間に、磁性体81及び磁性体83に対してS極が対向
し、磁性体82及び磁性体84に対してN極が対向する
ように永久磁石を設けてもよいことはいうまでもない。
なお、図8(図9)の回転子8dに永久磁石を設ける場
合には、回転子8dにおいて電機子コア5と磁気的に結
合する部分、すなわち電機子コア5に囲まれた部分のみ
に設け、界磁コア6A及び界磁コア7Aと磁気的に結合
する部分には設けないようにしなければならない。
【0034】図11は、本発明の同期電動機を利用した
ACサーボモータシステムのブロック構成を示す図であ
る。ここでは、同期電動機の電機子巻線及び界磁巻線
は、電気角で90度位相ずれとなるように機械的に巻回
され、図5のように結線されているものとする。同期電
動機の回転軸には、回転速度と磁極位置を検出するため
の検出器26(例えばロータリエンコーダやロータリレ
ゾルバなど)が結合されている。従って、検出器26か
らは、同期電動機の回転速度を示す信号S2が速度アン
プ21に、同期電動機の界磁の回転位置すなわち磁極位
置を示す信号S6がPWMアンプ23にフィードバック
される。
【0035】速度アンプ21は回転速度指令S1と検出
器26からの同期電動機の回転速度信号S2とを入力
し、両者の速度偏差を求め、この速度偏差に応じた電流
指令信号(トルク信号)S3を電流アンプ22に出力す
る。電流アンプ22は、電流検出アイソレータ25で検
出された電流フィードバック信号(U相検出電流とV相
検出電流)S4と、速度アンプ22からの電流指令信号
S2との差を増幅し、それをPWMアンプ23の入力信
号S5として出力する。PWMアンプ23は、電流アン
プ22からの入力信号S5と、検出器26からの界磁の
磁極位置信号S6とに基づいて3相のPWM信号すなわ
ちインバータ制御信号S7をインバータ24に出力す
る。インバータ24はインバータ制御信号S7に応じて
駆動され、同期電動機の電機子巻線及び界磁巻線の各相
に駆動電流を供給する。
【0036】図12は、本発明の同期電動機を利用した
ACサーボモータシステムの別のブロック構成を示す図
である。ここでは、同期電動機の電機子巻線及び界磁巻
線が、電気角で90度位相ずれることなく同位相となる
ように機械的に別々に巻回されており、界磁巻線及び電
機子巻線に互いに90度位相となるような界磁電流と電
機子電流とが供給される場合について説明する。図11
のACサーボモータシステムでは電機子電流と界磁電流
が同じでるが、図12のACサーボモータシステムで
は、界磁電流を独立して任意に制御することができる。
このACサーボモータシステムにおいて、電機子電流の
制御系は図12と基本的には同じであり、速度アンプ2
1a、電機子電流アンプ22a、電機子PWMアンプ2
3a、電機子インバータ24a及び電機子電流検出アイ
ソレータ25aから構成され、U相、V相及びW相の電
機子巻線に所望の電機子電流が供給される。一方、界磁
電流の制御系は、速度アンプ21aを省略した形であ
り、界磁電流アンプ22f、界磁PWMアンプ23f、
界磁インバータ24f及び界磁電流検出アイソレータ2
5fから構成される。従って、界磁電流アンプ22fに
は界磁電流指令信号FSが直接入力されるようになって
いる。
【0037】図11及び図12に示すようなACサーボ
モータシステムを構成することによって、本発明の同期
電動機はACサーボモータとして動作し、所望の回転速
度で回転するようになる。また、回転軸がどの位置にあ
っても回転軸の磁極中心と回転磁界の磁界中心とが一致
するように回転軸の回転位置を検出し3相界磁電流の位
相を制御しているので、常に最大トルクで効率的に回転
させることができる。
【0038】図13は、本発明に係る同期機の別の実施
例であるリニア同期電動機の構成を示す一部断面図であ
る。このリニア同期電動機は、図8の回転形同期電動機
と同じ3相交流駆動型の電動機である。このリニア同期
電動機は図8の回転形同期電動機の電機子コア5(図2
に示すもの)及び界磁コア6A(図9に示すもの)の2
極分(12スロット分)をそのまま直線方向に展開し、
それを直線移動子9の上下左右に設けることによって構
成されたリニア電機子コア5B、リニア電機子コア5
C、リニア界磁コア6B及びリニア界磁コア6Cと、同
じく図2の回転子8を直線方向に展開することによって
構成された直線移動子9とからなる。リニア電機子コア
5B及びリニア電機子コア5Cと、リニア界磁コア6B
及びリニア界磁コア6Cは同じ固定子枠(図示せず)に
固定される。なお、直線移動子9を固定すれば、電機子
コア及び界磁コア側が直線移動し、逆に電機子コア及び
界磁コアを固定すれば、直線移動子9が移動することは
いうまでもない。
【0039】リニア電機子コア5Bとリニア電機子コア
5Cの構成は同じなのでリニア電機子コア5Bの構成に
ついてだけ説明する。リニア電機子コア5Bはくし形形
状をしており、移動方向(X方向)に沿って12個のス
ロットを有する。各スロットには図2と同じように3相
(U相・V相・W相)の電機子巻線が巻回されている。
U相巻線は4つのスロットを介して巻線U1−巻線U2
−巻線U3−巻線U4の順番でリニア電機子コア5Bに
巻回されている。V相巻線は4つのスロットを介して巻
線V1−巻線V2−巻線V3−巻線V4の順番で電機子
コア5Bに巻回されている。W相巻線は4つのスロット
を介して巻線W1−巻線W2−巻線W3−巻線W4の順
番で電機子コア5Bに巻回されている。
【0040】リニア界磁コア6Bとリニア界磁コア6C
の構成は同じなのでリニア界磁コア6Bの構成について
だけ説明する。リニア界磁コア6Bは電機子コアと同様
のくし形形状をしており、移動方向(X方向)に沿って
12個のスロットを有する。各スロットには図9と同じ
ように3相(u相・v相・w相)の界磁巻線が巻回され
ている。この3相界磁巻線は3相電機子巻線に対して電
気角で90度ずつずれるように巻回されている。すなわ
ち、図では3相界磁巻線は3相電機子巻線に対してスロ
ットで3個分だけX方向にずれて巻回されている。u相
巻線は4つのスロットを介して巻線ua−巻線u2−巻
線u3−巻線ubの順番でリニア界磁コア6Bに巻回さ
れている。v相巻線は4つのスロットを介して巻線va
−巻線v2−巻線v3−巻線vbの順番でリニア界磁コ
ア6Bに巻回されている。w相巻線は4つのスロットを
介して巻線wa−巻線w2−巻線w3−巻線wbの順番
でリニア界磁コア6Bに巻回されている。
【0041】直線移動子9は図2の回転子8を直線方向
に展開したものである。すなわち、直線移動子9は移動
方向(X方向)に沿って設けられた磁性体91〜磁性体
94と、非磁性体95〜非磁性体97とから構成され
る。非磁性体95〜非磁性体97は磁性体91〜磁性体
94が移動方向で磁気的に結合しないように分離してい
る。また、磁性体91〜磁性体94は互いに非磁性体9
5〜非磁性体97によって磁気的に分離されていること
によって、リニア界磁コア6B及びリニア界磁コア6C
のN極から出た磁束は磁性体92及び磁性体93を介し
てリニア電機子コア5B及びリニア電機子コア5Cに結
合するようになっている。
【0042】リニア界磁コア6Bの3相界磁巻線に界磁
電流iu,iv,iwが流されることによって図13に
示すように直線移動子9の磁性体92に向かって磁束を
発生するN極、及び直線移動子9の磁性体93からリニ
ア界磁コア6Bに向かう磁束を吸収するS極がそれぞれ
リニア界磁コア6Bの内側に発生し、それぞれの磁極
(N極及びS極)が移動方向(X方向)に移動するよう
になる。リニア界磁コア6Cの3相界磁巻線にも同様の
電流iu,iv,iwが流され、リニア界磁コア6Bと
同じように磁極(N極及びS極)が同じ方向に移動する
ようになる。
【0043】この3相界磁巻線に流される電流によって
発生する磁極中心が、直線移動子9の最も磁化容易な
面、すなわち磁性体92及び磁性体93の中央付近に位
置するように各相の界磁巻線に流れる電流を制御するこ
とによってと、直線移動子9は所定の方向に磁化される
ようになる。すなわち、リニア界磁コア6B及びリニア
界磁コア6Cに発生したN極及びS極に応じて直線移動
子9の磁性体92及び磁性体93は所定の方向に磁化さ
れるようになる。例えば、電流iu,iv,iwによっ
て、図示のようにリニア界磁コア6B及びリニア界磁コ
ア6Cの磁性体92に対向する面側にN極が発生し、磁
性体93に対向する面側にS極が発生すると、これに応
じて磁性体92のリニア界磁コア6B及びリニア界磁コ
ア6Cに対向する面側がS極となり、磁性体93のリニ
ア電機子コア5B及びリニア電機子コア5Cに対向する
面側がN極となる。
【0044】図13に示すように、リニア界磁コア6B
のN極から出た磁束は、磁性体92のS極面から磁性体
92内に進入する。そして、磁性体92内に進入した磁
束は、磁性体92のN極面からリニア電機子コア5Bに
進入し、リニア電機子コア5B内を移動方向に沿って通
り磁性体93のS極面から磁性体93内に進入する。そ
して、磁性体93内に進入した磁束は磁性体93のN極
面からリニア界磁コア6BのS極面に進入する。このよ
うにして、このリニア同期電動機では、リニア界磁コ
ア、直線移動子及びリニア電機子コアによって所定の閉
磁気回路が形成されるようになっている。一方、リニア
電機子コア5B及びリニア電機子コア5Cの3相電機子
巻線に、3相の交流電流(電機子電流)IU,IV,I
Wが流されることによって、フレミングの法則により、
駆動推力が発生し、直線移動子9は所定の方向に移動す
るようになる。
【0045】なお、上述の実施例では、直線移動子9を
図2の回転子8を直線方向に展開したものについて説明
したが、図6の回転子8a、図7の回転子8b又は図1
0の回転子8e、これらを適宜組み合わせたものなどを
直線方向に展開したものを直線移動子9として使用して
もよいことはいうまでもない。また、図13のリニア同
期電動機では、直線移動子9の周囲にそれぞれ2個の電
機子コアと界磁コアを設ける場合について説明したが、
少なくとも電機子コアと界磁コアの組が存在すれば、そ
の数はどのようになっていてもよいことはいうまでもな
い。例えば、界磁コアが2個で電機子コアが1個であっ
たり、界磁コア1個で電機子コアが2個であったり、界
磁コア及び電機子コアが共に3個であったりしてもよ
い。また、図13のリニア同期電動機では、直線移動子
9が直方体の場合について説明したが、これに限らず、
円柱体、円筒体、楕円体などのあらゆる形状であっても
よい。この場合、これらの外周面に沿った形状となるよ
うに界磁コア及び電機子コアの対向面の形状を構成する
必要がある。例えば、直線移動子9が円柱体で構成され
ている場合には、界磁コア及び電機子コアの対向面をこ
の円柱体の外周曲面に一致するような曲面にすればよ
い。図13のリニア同期電動機を図11又は図12のA
Cサーボモータシステムで制御してもよい。
【0046】磁性体は、鉄系材料(純鉄・軟鉄・炭素
鋼、鋳鋼、磁性鋼帯、無方向性けい素鋼帯、方向性けい
素鋼帯など)、鉄−ニッケル合金(パーマロイ、イソパ
ーム、パーミンバーなど)、圧粉磁心(カーボニル圧粉
磁心、パーマロイ圧粉磁心、センダスト圧粉磁心な
ど)、フェライト(スピネル系フェライト、複合フェラ
イト(Mn−Znフェライト、Cu−Znフェライト、
Ni−Znフェライト、Cu−Zn−Mgフェライト)
など)で構成される。
【0047】図1及び図8の実施例では、界磁コアを回
転子の両側に設ける場合について説明したが、いずれか
一方に設けてもよい。また、1つの回転子に対して図1
界磁コアと図8の界磁コアを両方設けてもよい。また、
図1又は図8の回転子を軸受2だけで支持し、回転子の
直径を界磁コアよりも大きくして、回転子の他方の面か
ら界磁コア及び電機子巻線に対する配線をとるようにし
てもよい。また、図13の場合も直線移動子9を界磁コ
ア及び電機子コアよりも大きくし、直線移動子9内に界
磁コア及び電機子コアを設けるようにしてもよい。この
場合、界磁コア及び電機子コアへの配線は直線移動子に
直線状のスリットを設ければよい。上述の実施例では、
同期電動機を例に説明したが、回転子の回転位置に対応
した電流を界磁巻線に流すことによって、電機子巻線に
誘導起電力が発生するので、それを取り出すことによっ
て同期発電機として利用することができる。このとき回
転子の回転位置を検出するための回転位置検出装置を回
転子と同じ回転軸に設け、その回転位置に応じて電流を
制御すればよい。上述の実施例では、4極24スロット
又は2極12スロットの同期機について説明したが、極
数とスロット数との関係はこれに限定されるものではな
く、任意の組み合わせを適宜採用することができること
はいうまでもない。また、図3では、界磁巻線を単層重
巻を例に説明したが、これに限らず、2層重巻にしても
よい。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、固定子側に界磁巻線及
び電機子巻線の両方を設けることができるので、回転子
に電流を供給するためのスリップリングや回転トランス
を設けなくてもよく、回転子の構造を簡単かつ堅牢にす
ることができ、また、磁束の大きさを固定子側の界磁巻
線で自由に制御することができるという優れた効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る同期機の一実施例である回転
形同期電動機の回転軸を含む断面構造を示す図である。
【図2】 図1の回転形同期電動機におけるA−A面の
断面構造を示す図である。
【図3】 図1の回転形同期電動機におけるB−B面の
断面構造を示す図である。
【図4】 図1の界磁コア単体の形状を示す図である。
【図5】 図1の回転形同期電動機を構成する電機子巻
線と界磁巻線の結線方法を示す図である。
【図6】 図2の4極形回転子8の他の実施例を示す図
である。
【図7】 図2の4極形回転子8の他の実施例を示す図
である。
【図8】 この発明に係る同期機の別の実施例である回
転形同期電動機の回転軸を含む断面構造を示す図であ
る。
【図9】 図8の回転形同期電動機におけるD−D面の
断面構造を示す図である。
【図10】 図2の4極形回転子8の他の実施例を示す
図である。
【図11】 本発明の同期電動機を利用したACサーボ
モータシステムのブロック構成を示す図である。
【図12】 本発明の同期電動機を利用したACサーボ
モータシステムの別のブロック構成を示す図である。
【図13】 本発明に係る同期機の別の実施例であるリ
ニア同期電動機の構成を示す一部断面図である。
【符号の説明】
1…固定子枠、2,3…軸受、4…回転軸、5,5B,
5C…電機子コア、6,7,6A,7A,6B,6C…
界磁コア、8,8a,8b,8d,8e…回転子、81
〜84…磁性体、85〜88…非磁性体、8A〜8L…
非磁性体、85A〜88A…永久磁石、9…直線移動
子、91〜94…磁性体、95〜97…非磁性体

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定子と、 前記固定子に設けられ、回転磁極を発生するための界磁
    巻線の巻回された界磁コアと、 前記固定子に前記界磁コアとは分離されて設けられ、電
    機子巻線の巻回された電機子コアと、 前記界磁コア及び前記電機子コアに対しては磁気的に結
    合され、前記回転磁極の回転方向に沿った方向では相互
    に磁気的に分離されている複数の磁性体から構成された
    回転子とを備えたことを特徴とする同期機。
  2. 【請求項2】 前記回転子は、前記界磁コアに発生する
    N極及びS極を前記複数の磁性体及び前記電機子コアを
    介して磁気的に結合するように構成されていることを特
    徴とする請求項1に記載の同期機。
  3. 【請求項3】 前記回転子は、前記複数の磁性体のうち
    前記界磁コアのN極に対向するものにおけるその対向部
    分がS極となり、前記電機子コアに対向する部分がN極
    となるように構成され、前記複数の磁性体のうち前記界
    磁コアのS極に対向するものにけおけるその対向部分が
    N極となり、前記電機子コアに対向する部分がS極とな
    るように構成されていることを特徴とする請求項2に記
    載の同期機。
  4. 【請求項4】 前記回転子は前記界磁コアに発生する磁
    極の数と同じ数の磁性体で構成されていることを特徴と
    する請求項1に記載の同期機。
  5. 【請求項5】 前記磁性体は回転方向に沿ってさらに分
    離された複数の磁性体から構成されることを特徴とする
    請求項4に記載の同期機。
  6. 【請求項6】 前記磁性体は回転方向に沿ってさらに分
    離され、回転方向における厚さが前記回転磁極の磁束分
    布に対応して磁軸付近で厚く、磁軸を離れるに従って徐
    々に薄くなるような複数の磁性体で構成されることを特
    徴とする請求項4に記載の同期機。
  7. 【請求項7】 前記電機子巻線には前記回転磁極の位置
    に応じた電流が流されることを特徴とする請求項1に記
    載の同期機。
  8. 【請求項8】 前記電機子コアは前記回転子の外周面に
    対向し、前記界磁コアは前記回転子の2つの側平面に対
    向していることを特徴とする請求項1に記載の同期機。
  9. 【請求項9】 前記電機子コア及び前記界磁コアが共に
    前記回転子の外周面に対向していることを特徴とする請
    求項1に記載の同期機。
  10. 【請求項10】 固定子と、 前記固定子に設けられ、直線移動する磁極を発生するた
    めの界磁巻線の巻回された界磁コアと、 前記固定子に前記界磁コアとは分離されて設けられ、電
    機子巻線の巻回された電機子コアと、 前記界磁コア及び前記電機子コアに対しては磁気的に結
    合され、前記直線移動する磁極の移動方向に沿った方向
    では相互に磁気的に分離されている複数の磁性体から構
    成された移動子とを備えたことを特徴とする同期機。
  11. 【請求項11】 前記移動子は、前記界磁コアに発生す
    るN極及びS極を前記複数の磁性体及び前記電機子コア
    を介して磁気的に結合するように構成されていることを
    特徴とする請求項10に記載の同期機。
  12. 【請求項12】 前記移動子は、前記複数の磁性体のう
    ち前記界磁コアのN極に対向するものにおけるその対向
    部分がS極となり、前記電機子コアに対向する部分がN
    極となるように構成され、前記複数の磁性体のうち前記
    界磁コアのS極に対向するものにおけるその対向部分が
    N極となり、前記電機子コアに対向する部分がS極とな
    るように構成されていることを特徴とする請求項11に
    記載の同期機。
  13. 【請求項13】 前記磁性体は移動方向に沿った方向に
    さらに分離された複数の磁性体から構成されることを特
    徴とする請求項10に記載の同期機。
  14. 【請求項14】 前記磁性体は移動方向に沿った方向に
    さらに分離され、前記移動方向におけるにおける厚さが
    前記直線移動する磁極の移動方向に沿った磁束分布に対
    応して磁軸付近で厚く、磁軸を離れるに従って徐々に薄
    くなるような複数の磁性体で構成されることを特徴とす
    る請求項10に記載の同期機。
  15. 【請求項15】 前記電機子巻線には前記直線移動する
    磁極の位置に応じた電流が流されることを特徴とする請
    求項10に記載の同期機。
  16. 【請求項16】 前記移動子は、前記磁性体の前記直線
    移動方向における厚さが前記移動磁界の磁束分布に対応
    していることを特徴とする請求項10に記載の同期機。
  17. 【請求項17】 前記界磁巻線は電気角で120度ずつ
    ずれるようにして前記界磁コアに設けられた少なくとも
    3つの巻線からなり、電気角で120度ずつずれた3相
    交流電流によって励磁され、 前記電機子巻線は前記界磁巻線に対して電気角で90度
    ずれた位置であって、電気角で120度ずつずれるよう
    にして前記電機子コアに設けられた少なくとも3つの巻
    線からなり、前記3相交流電流と同位相の3相交流電流
    が流されることを特徴とする請求項1又は10に記載の
    同期機。
  18. 【請求項18】 前記磁性体を磁気的に分離するのに非
    磁性体を用いたことを特徴とする請求項1又は10に記
    載の同期機。
  19. 【請求項19】 前記非磁性体を銅、アルミニウム等の
    導電体で構成したことを特徴する請求項18に記載の同
    期機。
  20. 【請求項20】 前記非磁性体を磁気的に分離するのに
    永久磁石を用いたことを特徴する請求項1又は10に記
    載の同期機。
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