JPH0832800B2 - グリツプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、ゴルフクラブやテニス、バドミントン、ス
カッシュ、ラケットボール等のラケット、その他スキー
用ストック等のスポーツ用品用グリップ等に好適な、動
摩擦係数が高く、耐摩耗性、耐候性等に優れたグリップ
に関する。

［従来の技術］ ゴルフクラブやテニス、バドミントン、スカッシュ、
ラケットボール等のラケット、スキー用ストック等のグ
リップとしてゴム製のものがある。このゴム製グリップ
としては、従来、天然ゴム等のジエン系ゴムを主体とし
たゴム組成物を成形、加硫して製造されたものが用いら
れている。

［発明が解決しようとする問題点］ このようなゴム製グリップには、滑りにくいこと、肌
触りが良いこと、耐久性が良いこと等の特性が要求され
るのであるが、上記従来のものは、いずれも、一長一短
があり、改良の余地があった。例えば、従来からゴルフ
クラブ用のグリップに使用されているゴムは動摩擦係数
が1.0以下であり、スウィングした時に滑り易く、所謂
しっとりしたフィーリングに欠けていた。一方、ある程
度滑り難く、しっとりとしたフィーリングを有するグリ
ップもあるが、この場合には、製造後、経時的に動摩擦
係数が低下したり、グリップをクラブに装着後、一定期
間経過後に亀裂が発生したりする等の問題があった。

［問題点を解決するための手段及び作用］ 本発明は上記従来の問題点を解決し、動摩擦係数が高
く、滑り難く、しっとりとしたフィーリングを有し、し
かも高い耐摩耗性、耐候性を有するゴムからグリップを
提供するものであって、 ジエン系ゴム45〜90重量部、エチレン−プロピレン二
元共重合体及び／又はエチレン−プロピレン−ジエン三
元共重合体５〜30重量部、並びに、クロロブチルゴム５
〜25重量部を含むゴム配合物を成形、加硫してなること
を特徴とするグリップ、 を要旨とするものである。

本発明において、ジエン系ゴムに特定量のエチレン−
プロピレン二元共重合体（以下、「EPR」と略称す
る。）及び／又はエチレン−プロピレン−ジエン三元共
重合体（以下、「EPDM」と略称する。）と特定量のクロ
ロブチルゴムを配合することにより、得られるゴムの動
摩擦係数が向上し、しっとりとしたフィーリングを有す
るものとなり、しかも、耐摩耗性、耐候性等が著しく改
善される上に、加硫時間の短縮を図ることにより、生産
性も高められる。

即ち、本発明者らは、グリップとして良好な特性を有
するゴム配合物を得るべく鋭意検討を重ねた結果、 一般に市販されているグリップに使用されている所
謂ジエン系ゴムに、EPR、もしくはEPRにエチリデンノル
ボルネン又はジシクロペンタジエン等のジエン系第三成
分を加えたEPDMを配合したゴム成分からなるグリップで
は、十分な動摩擦係数は得られず、感触も悪い。

ジエン系ゴムのみをゴム成分とするグリップでは過
酷な条件下での耐候性に問題がある。

ジエン系ゴムに耐候性改善を目的としてブチル系ゴ
ムを配合したゴム成分からなるグリップでは、耐候性を
満足させるだけのブチル系ゴムを配合すると、ブチル系
ゴム単独をゴム成分として用いた場合と同様に、耐摩耗
性、低温性（温暖時の特性が寒冷時にも維持される性
質）が低下し、しかも粘着性（べとつき）が生起する。

ブチル系ゴムのうち、特に、クロロブチルゴムは、
加硫特性に優れる。

ことを見出した。

本発明者らは、上記知見を踏まえて、更に鋭意検討し
た結果、ジエン系ゴム45〜90重量部、EPR及び／又はEPD
M5〜30重量部、クロロブチルゴム５〜25重量部を含むゴ
ム配合物が、極めて優れた特性を有することを見出し、
本発明を完成させた。

以下本発明を詳細に説明する。

本発明において、ジエン系ゴムとしては、天然ゴム
（NR）、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム
（SBR）、ニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴ
ム等が挙げられ、これらは単独あるいは２種以上を併用
して用いることができる。ただし、これらのジエン系ゴ
ムのうち、クロロプレンゴムは比重が比較的大きいこと
から、グリップの重量に制限がある場合等には、単独使
用は望ましくない。

また、EPRとしては、エチレンを50〜75重量％、プロ
ピレンを25〜50重量％を含む通常の共重合体が用いら
れ、またEPDMとしては、これらのEPRにエチリデンノル
ボルネン、ジシクロペンタジエン等のジエン系第三成分
を加えたものが挙げられる。

クロロブチルゴムとしては、比較的分子量の低い、所
謂液状ゴムでも良いが、取り扱い易さの点では高分子量
タイプのものが望ましい。

本発明のグリップは、このように配合されたゴム成分
に、必要に応じて適量の充填剤、軟化剤、加工助剤、老
化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、難燃
剤、着色剤等を配合し、得られたゴム配合物を、常法に
従って、所望の形状に成形、加硫し、更に所望により塗
装、表面処理等の後処理を施して製造されるが、その成
形、加硫に当り、加硫時間の短縮を図ることができ生産
性が高い。

本発明に係るゴムは、動摩擦係数が極めて高く、良好
な耐摩耗性、耐候性を有するものであることから、ゴル
フクラブやテニス、バドミントン、スカッシュ、ラケッ
トボール等のラケット、スキー用ストック等のスポーツ
用品のグリップを始めとして、自転車、自動二輪車用グ
リップ、その他各種機械装置のハンドル等のグリップ等
のゴム材料として極めて好適である。

なお、本発明に係るゴムは、このようなグリップに限
られず、履物のソール、床材、ブレーキシュー、搬送用
摩擦ロール等の、一般に高い動摩擦係数や高耐摩耗性、
高耐候性を要求される、その他の広範な用途にも適用す
ることができる。

［実施例］ 以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体
的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以
下の実施例に限定されるものではない。

実施例１〜４、比較例１〜４ 第１表に示す配合に秤量、混練したゴム配合物の練生
地を、スラブシート及びゴルフクラブ用グリップの形状
に、各々成形加硫し、グリップは更に塗装、バフを行っ
て試料とし、各々の特性を試験した。結果を第１表に示
す。

また、実施例３と比較例４については、165℃におけ
る最適加硫時間を調べ、結果を第１表に示した。

第１表より明らかなように、本発明に係るゴムは動摩
擦係数が高く、耐摩耗性、耐候性にも優れている。しか
して、このようなゴム材料よりなる本発明のグリップ
は、滑り難く、べとつきもなくしっとりとしたフィーリ
ングを有し、極めて良好なグリップであることが明らか
である。

また、特に、クロロブチルゴムの配合量が30重量部
で、本発明の範囲より多い比較例３と、実施例１〜４を
比較することにより、クロロブチルゴムの配合量を25重
量部以下とすることにより、耐摩耗性が高められること
が明らかである。

更に、クロロブチルゴムを用いた実施例３とブチルゴ
ムを用いた比較例４とを比較することにより、クロロブ
チルゴムを用いることにより、加硫時間が短縮されるこ
とが明らかである。

なお、第１表中、＊１〜＊７は以下のものを示す。

＊1:EPDM＝日本合成ゴム（株）製EP33 ＊2:クロロブチルゴム＝エクソン化学（株）製クロロブ
チル1066 ＊3:動摩擦係数＝協和科学（株）製動摩擦係数計により
測定 ＊4:耐摩耗性（摩耗指数）＝ピコ摩耗試験機により測定
して評価（摩耗指数は、比較例１の測定結果を１として
算出したもの） ＊5:耐候性＝屋外暴露１ヶ月後の状態の観察結果で評価 ＊6:プロゴルファー２人による評価結果 ＊7:滑り難さ、しっとり感はあるものの、べとつきがあ
り、グリップとして不適 ［発明の効果］ 以上詳述した通り、本発明のグリップはジエン系ゴ
ム、EPR及び／又はEPDM、並びに、クロロブチルゴムの
特定量を配合したゴム配合物を成形、加硫してなるもの
であって、 動摩擦係数が高く、滑り難い。

耐摩耗性及び耐候性に優れる。

このため耐久性が良好で長寿命となる。

低温特性にも優れ、諸特性の温度安定性が良好であ
る。

べたつきがなく、握った時のしっとりとした感触は
極めて良好である。

加硫時間が短く、生産性が高い。

等の優れた特性を有し、各種スポーツ用品、その他機械
装置等のグリップとして極めて有用である。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ジエン系ゴム45〜90重量部、エチレン−プ
   ロピレン二元共重合体及び／又はエチレン−プロピレン
   −ジエン三元共重合体５〜30重量部、並びに、クロロブ
   チルゴム５〜25重量部を含むゴム配合物を成形、加硫し
   てなることを特徴とするグリップ。
2. 【請求項２】ジエン系ゴムは天然ゴム、イソプレンゴ
   ム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエン
   ゴム及びクロロプレンゴムよりなる群から選ばれる少な
   くとも１種であることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項に記載のグリップ。