JPH08325589A - 塑性加工用潤滑離型剤、その製造方法およびその使用方法 - Google Patents

塑性加工用潤滑離型剤、その製造方法およびその使用方法

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JPH08325589A
JPH08325589A JP13657795A JP13657795A JPH08325589A JP H08325589 A JPH08325589 A JP H08325589A JP 13657795 A JP13657795 A JP 13657795A JP 13657795 A JP13657795 A JP 13657795A JP H08325589 A JPH08325589 A JP H08325589A
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water
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plastic working
lubricant
soluble polymer
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Tadao Okura
忠雄 大倉
Mamoru Ashida
守 芦田
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Nippon Graphite Industries Ltd
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Nippon Graphite Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】水性塑性加工用潤滑離型剤の問題点である、コ
スト高を解決し、また経時による離型剤の劣化、変質を
防止する。これと同時に、金型等へと付着し易く、潤滑
皮膜を形成し易い塑性加工用潤滑離型剤を提供する。 【構成】水溶性高分子化合物を水に溶解させ、水に不溶
性の固体潤滑剤1および/または水溶性の固体潤滑剤を
水に溶解または分散させることによって調合液を得、こ
の調合液から水分を除去することによって、粉体状の塑
性加工用潤滑離型剤4、5、6を製造する。この塑性加
工用潤滑剤を、水中に再分散及び再溶解させて潤滑性液
体を製造し、この潤滑性液体を塑性加工に適用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な塑性加工用潤滑
離型剤、その製造方法およびその使用方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】現在、塑性加工用潤滑離型剤としては、
潤滑剤を水溶液中に分散させた水溶性分散体タイプと、
水溶液に溶解させた水溶性溶液タイプとが、主に使用さ
れている。しかし、これらは水性分散液ないし水溶液で
あるため、重量が大きく、包装用の容器も必要なので、
包装及び輸送コストが非常に嵩む。また、使用時におい
て希釈倍率が低いので、コストが高い。しかも、時間の
経過によって、腐敗、凍結、分離等の問題がさけられな
い。特に、潤滑剤を水溶液中に分散させた水溶性分散体
タイプにおいては、時間の経過と共に、潤滑剤が沈降、
分離し、品質が劣化するという問題がある。
【0003】これらの問題を解決するために、粒末状な
いし顆粒状の塑性加工用潤滑剤の開発が試みられてい
る。例えば、潤滑剤粉体とバインダー粉体とを所定割合
で乾式混合することによって、粉末離型剤を製造してい
る(特開平3−243242号公報)。また、潤滑剤粉
体をホウ砂の分散液中に分散させてスラリーを製造し、
このスラリーを乾燥させて粉末潤滑剤を製造している
(特開平3−11318号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの粉末状の潤滑
剤や離型剤においては、前記した水溶液や水性分散液の
場合の問題点は改善されている。しかし、こうした粉末
状の潤滑剤や離型剤は、従来の水性の塑性加工用潤滑離
型剤と比べると、金型に付着しにくく、潤滑被膜を形成
することが著しく困難であるため、製品のハリツキ、欠
陥等が発生するため、使用できない。
【0005】そこで、本発明者は、これらの潤滑剤また
は離型剤を、水中に再溶解、再分散させて、塑性加工用
途に使用することも検討した。しかし、この状態で、粉
末の分散安定度が著しく劣っており、特に水溶性分散体
タイプでは潤滑剤の沈降分離が激しいために、やはり上
記の問題が発生し、使用することは困難であった。
【0006】本発明の課題は、前記した水性塑性加工用
潤滑離型剤の問題点である、コスト高を解決し、また経
時による離型剤の劣化、変質を防止できるようにするこ
とである。また、本発明の課題は、これと同時に、金型
等へと付着し易く、潤滑皮膜を形成し易い塑性加工用潤
滑離型剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、固体潤滑剤と
水溶性高分子化合物と水とを含有する調合液から水分を
除去することによって得られる、粉体状の塑性加工用潤
滑離型剤に係るものである。また、本発明は、水溶性高
分子化合物を水に溶解させ、かつ固体潤滑剤を水に溶解
または分散させることによって調合液を得、この調合液
から水分を除去することによって、粉体状の塑性加工用
潤滑離型剤を製造することを特徴とする方法に係るもの
である。
【0008】更に、本発明は、上記の塑性加工用潤滑剤
を水中に再分散及び再溶解させて潤滑性液体を製造し、
この潤滑性液体を塑性加工に適用することを特徴とす
る、塑性加工用潤滑離型剤の使用方法に係るものであ
る。
【0009】
【作用】本発明者は、水溶性高分子化合物を水に溶解さ
せ、固体潤滑剤を水に溶解または分散させることによっ
て調合液を得、この調合液から水分を脱水することによ
って、粉体状の塑性加工用潤滑離型剤を製造することに
想到した。このようにして得られた粉体状の塑性加工用
潤滑離型剤を、再び水中に溶解および分散させてみたと
ころ、きわめて良好な分散性が得られ、かつ安定な分散
状態の水性潤滑性液体が得られることが判明した。しか
も、この水性の潤滑性液体を金型等の表面に塗布して見
ると、非常にその表面に付着し易く、潤滑性の皮膜を形
成し易いことを確認し、本発明を完成するに至った。
【0010】このように、本発明の塑性加工用潤滑離型
剤は、まったく新たな形態のものである。特に、従来
は、粉体状の塑性加工用潤滑離型剤を水中に再度分散し
て潤滑性液体を製造し、この潤滑性液体を金型等に塗布
して使用するという方法は、まったく知られていなかっ
た。本発明は、塑性加工用潤滑離型剤について、こうし
た新規な使用方法を提供するものであり、かつ、こうし
た使用方法を可能とするような塑性加工用潤滑離型剤を
提供するものである。
【0011】本発明においては、水溶性高分子化合物を
水中に溶解させる。この水溶性高分子化合物としては、
カルボキシメチルセルロース、ポリカルボン酸ナトリウ
ム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポ
リアルキレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、
デンプン、ナフタリンスルホン酸ナトリウム、非イオン
界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤
からなる群より選ばれた一種以上の水溶性高分子化合物
を使用することができる。
【0012】固体潤滑剤としては、水に不溶性の固体潤
滑剤を使用することが好ましい。こうした固体潤滑剤と
しては、黒鉛、二硫化モリブデン、窒化硼素、弗化黒
鉛、雲母、タルク、金属酸化物、金属石ケン、四フッ化
ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ABS樹脂、
フェノール樹脂、ポリイミド、ポリジアリルフタレー
ト、セルロース、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエ
ステル樹脂、メラミン樹脂、シアヌレート樹脂からなる
群より選ばれた一種以上の固体潤滑剤を使用することが
できる。
【0013】また、水に不溶性の固体潤滑剤として、カ
ルボン酸のアルカリ金属塩を使用することができる。こ
のカルボン酸としては、アジピン酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、フマル酸、アルキルマレイン酸及びマレイ
ン酸共重合体からなる群より選ばれた一種以上のカルボ
ン酸が好ましく、アルカリとしては、ナトリウム、カリ
ウムが好ましい。
【0014】本発明の塑性加工用潤滑離型剤を製造する
のに際して、水中に水溶性高分子化合物と水に不溶性の
固体潤滑剤とを含有させて調合液を製造し、この調合液
を乾燥させたときには、図1(a)に示す粉体4が得ら
れる。この粉体4においては、水に不溶性の固体潤滑剤
1を、水溶性高分子化合物からなる被覆膜2が被覆して
いる。
【0015】また、水中に水溶性高分子化合物と、水に
不溶性の固体潤滑剤と、カルボン酸のアルカリ金属塩と
を含有させて調合液を製造し、この調合液を乾燥させた
ときには、図1(b)に示す粉体5が得られる。この粉
体5においては、水に不溶性の固体潤滑剤1を、水溶性
高分子化合物およびカルボン酸のアルカリ金属塩からな
る被覆膜3が被覆している。これらのように、水に不溶
性の固体潤滑剤を被覆膜2、3によって被覆したもの
が、潤滑性能が高いので、特に好ましい。また、カルボ
ン酸のアルカリ金属塩は、表面上で潤滑皮膜を形成する
特性を有しているので、この態様が特に好ましい。
【0016】また、水中に水溶性高分子化合物とカルボ
ン酸のアルカリ金属塩とを含有させて調合液を製造し、
この調合液を乾燥させたときには、図1(c)に示す粉
体6が得られる。この粉体6は、水溶性高分子化合物と
カルボン酸のアルカリ金属塩とからなる。
【0017】塑性加工用潤滑離型剤の各粒子の形態は、
粉末状であっても、顆粒状であっても良く、その形状は
特に制限はない。水に不溶性の固体潤滑剤を使用する場
合には、固体潤滑剤の平均粒子径を0.1μm以上、1
0μm以下とすることが好ましい。更に、固体潤滑剤の
粒度分布については、粒子径が0.1μm以下の粒子を
5重量%以下とし、粒子径が10μm以上の粒子が5重
量%以下であることが好ましい。
【0018】固体潤滑剤の平均粒子径が0.1μm未満
であるか、または粒子径が0.1μm以下である粒子が
5重量%より多く含まれていると、水中に塑性加工用潤
滑離型剤を再度分散して、熱間塑性加工に使用する場合
に、酸化分解が速くなり、付着性が低下し、均一な潤滑
皮膜が得られなくなり、潤滑離型性が低下してくる傾向
がある。一方、固体潤滑剤の平均粒子径が10μmより
大きいか、または粒子径が10μm以上の粒子が5重量
%より多く含まれていると、塑性加工用潤滑離型剤を水
に再度分散した使用するときに、機械を停止した時に、
潤滑剤を金型等に供給する配管内に沈降、堆積等が発生
しやすくなり、スプレーが出にくくなり、これによって
潤滑皮膜の形成が悪くなり、潤滑離型性が低下してくる
傾向がある。
【0019】調合液における組成は、水に不溶性の固体
潤滑剤と水溶性高分子化合物とを調合する場合には、水
に不溶性の固体潤滑剤100重量部に対して、水溶性高
分子化合物を0.3〜35重量部添加することが好まし
い。水溶性高分子化合物の添加量が0.3重量部未満で
あると、固体潤滑剤の分散性が悪く、再分散して使用す
るときに、潤滑剤の沈降が発生し易くなる。水溶性高分
子化合物の添加量が35重量部より多いと、分散性につ
いての効果はさほど向上しない代わりに、再分散して使
用するときに、潤滑性液体の粘度が高くなりすぎる。
【0020】また、水溶性高分子化合物とカルボン酸の
アルカリ金属塩とを調合する場合には、カルボン酸アル
カリ金属塩100重量部に対して、水溶性高分子化合物
を0.3〜35重量部の割合で含有させることが好まし
い。
【0021】水に不溶性の固体潤滑剤と水溶性高分子化
合物とカルボン酸のアルカリ金属塩とを調合する場合に
は、水に不溶性の固体潤滑剤100重量部に対して、水
溶性高分子化合物を0.3〜35重量部添加することが
好ましい。また、水に不溶性の固体潤滑剤とカルボン酸
アルカリ金属塩との比率を、(1:10)〜(10:
1)の割合とすることが好ましい。
【0022】本発明の塑性加工用潤滑剤を製造する際に
は、上記の各成分を適当な容器に入れて予め予備混合
し、適切な回分式混合機、例えばボールミルによって常
温常圧で十分に混合して調合液を製造する。この調合液
を、適切な脱水機、例えば遠心脱水機によって脱水する
ことによって、または、適切な乾燥機(例えば温風乾燥
機)によって乾燥することによって、塑性加工用潤滑離
型剤を得ることができる。これを、必要に応じて、解砕
機および/または造粒機を使用して解砕および/または
造粒して粉末や顆粒を製造し、これを必要に応じてふる
い分けする。
【0023】また、本発明の塑性加工用潤滑離型剤を使
用する場合には、これを適当な容器内に水と共に収容
し、適切な攪拌機(例えばプロペラ式攪拌機)で攪拌
し、かつ希釈して潤滑性液体を製造する。潤滑性液体に
おける塑性加工用潤滑離型剤の含有量は、0.1〜10
重量%とすることが好ましい。
【0024】このように、本発明の塑性加工用潤滑離型
剤は、鍛造、押出し伸線、溶湯鍛造等の塑性加工の際
に、水中で攪拌するだけで、従来の塑性加工用水溶生潤
滑離型剤とまったく同様に使用できる。
【0025】以下、更に具体的な実験結果について述べ
る。 〔実験A〕平均粒径1.0μmの黒鉛粉末100重量部
と、カルボキシメチルセルロース(ニチリン化学工業社
製)と、ナフタリンスルホン酸ソーダ(花王株式会社
製)とを配合して配合物を得、この配合物を実験用ボー
ルミル中で常温で十分に混合して調合液を得、この調合
液を、熱風遠赤外線乾燥機によって水分を蒸発させた。
【0026】これによって、図1(b)に示すように、
黒鉛粒子1の表面を、カルボキシメチルセルロース及び
ナフタリンスルホン酸ソーダからなる被覆膜3によって
被覆した塑性加工用潤滑離型剤を得た。更に、この塑性
加工用潤滑離型剤を、ハンマー式解砕機によって解砕
し、解砕物を乾燥篩機によってふるい分けし、−80メ
ッシュの粉末状とした。各成分の配合割合は、表1、表
2のA1 〜A10に示すように種々変更した。
【0027】上記のようにして得た、各実験例の塑性加
工用離型剤を水中に分散および溶解させ、プロペラ式攪
拌機を用いて30分間攪拌を行い、上記の成分を稀釈す
ることによって、成分含有量が1.0重量%である潤滑
性液体を製造した。下記に示した条件下で分散安定度試
験および付着性試験及びを行い、表1、表2及び図2に
試験結果を示した。
【0028】(分散安定度試験)アンドレアゼンピペッ
トを用い、24時間静置後の濃度変化を測定し、次式に
従って分散安定度を算出した。 分散安定度=(24時間静置した後の成分含有量/攪拌
時の成分含有量)×100。 (付着性試験)所定のスプレー実験装置を行い、金型を
想定したダイス鋼板を250℃に加熱し、このダイス鋼
板の表面に各実験例の潤滑性液体を吹き付け、ダイス鋼
板の表面における成分の付着量及び皮膜の形成性を試験
した。この試験結果を、「○」と「×」との2段階評価
により示した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】表1、表2から明らかなように、本発明の
実験例A1〜A9においては、いずれもある程度の分散
安定性と付着性とを得ることができた。本発明の範囲外
である実験例A10においては、分散安定度も付着性も
非常に悪かった。また、本発明の範囲内において、A1
〜A7の実施例においては、水溶性高分子化合物の割合
を0.3重量部以上とすることによって、特に良好な分
散安定性および付着性が得られた。また、実験例A1に
おいては、水溶性高分子化合物の割合が40重量部であ
るが、所望の分散安定性および付着性が得られた。ただ
し、潤滑性液体の粘度が高く、取扱いに難があることが
わかった。
【0032】なお、図2は、調合液における水溶性高分
子化合物の割合を種々変更したときの、分散安定度
(%)の変化を示すグラフである。水溶性高分子化合物
の割合が0.3%のときには既に分散安定性が急激に向
上しており、5%のときには約80%に達し、その後は
ほぼ平坦であった。
【0033】〔実験B〕実験例A1〜A10において、
塑性加工用潤滑離型剤をハンマー式解砕機にて解砕し、
乾式篩機にてふるい分けすることによって、−8メッシ
ュ+80メッシュの顆粒状の塑性加工用潤滑離型剤を得
た。これ以外は、実験例Aとまったく同様にして、本発
明に係る塑性加工用潤滑離型剤を得、これについて実験
A1〜A10と同様の試験を行った。この結果、付着性
は良好であった。また、分散安定性を図2に示す。この
ように、実験Aと同様の結果が得られた。
【0034】〔実験C〕実験Aで用いた、黒鉛粉末、カ
ルボキシメチルセルロース及びナフタリンスルホン酸ソ
ーダを、V型粉末配合機によって乾式配合することによ
って、比較例の粉末塑性加工用潤滑離型剤を製造した。
これについて、実験Aと同様にして試験を行った。付着
性は不良であった。また、分散安定度の結果を図2に示
したが、最大でも約25%程度であった。
【0035】〔実験D〕実験Aで用いた、黒鉛粉末、カ
ルボキシメチルセルロース及びナフタリンスルホン酸ソ
ーダを、攪拌機によって乾式配合することによって、比
較例の粉末塑性加工用潤滑離型剤を製造した。これにつ
いて、実験Aと同様にして試験を行った。付着性は不良
であった。また、分散安定度の結果を図2に示したが、
最大でも約30%程度であった。
【0036】〔実験E〕実験Aで用いた、黒鉛粉末、カ
ルボキシメチルセルロース、ナフタリンスルホン酸ソー
ダおよび水を、実験用ボールミルで常温で十分に混合す
ることによって、本発明の範囲外の潤滑性液体を製造し
た。これについて、実験Aと同様にして試験を行った。
付着性は良好であった。また、分散安定度の結果は、本
発明の実験A、実験Bと同等であった。
【0037】このように、本発明の塑性加工用潤滑離型
剤によれば、従来の水溶液を主体とする潤滑性液体とま
ったく同等以上の離型性能が得られることが分かる。
【0038】〔実験F〕平均粒径1.0μmの黒鉛粉末
100重量部と、カルボキシメチルセルロース8重量部
とを配合して配合物を得、この配合物を実験用ボールミ
ル中で常温で十分に混合して調合液を得、この調合液
を、熱風遠赤外線乾燥機によって水分を蒸発させた。
【0039】これによって、図1(a)に示すように、
黒鉛粒子1の表面を、カルボキシメチルセルロースから
なる被覆膜2によって被覆した塑性加工用潤滑離型剤を
得た。更に、この塑性加工用潤滑離型剤を、ハンマー式
解砕機によって解砕し、解砕物を乾燥篩機によってふる
い分けし、−80メッシュの粉末状とした。
【0040】上記のようにして得た塑性加工用離型剤に
ついて、実験Aと同様にして試験を行った。この結果、
分散安定度は85%であり、付着性も良好であった。
【0041】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の塑性加工用
潤滑離型剤は粉体状であるので、包装、輸送等のコスト
が低く、保管時の変質、成分の沈降といった問題がまっ
たく生じない。しかも、本発明の粉体は、使用時に水中
に分散および溶解させることによって、きわめて良好な
分散安定性が得られ、かつ金型等への付着性能が良好で
あって潤滑性皮膜を容易に形成する。従って、この塑性
加工用潤滑離型剤は、現場で水中に分散して使用するこ
とが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明に係る粉体状の塑性加工用潤
滑離型剤4を模式的に示す断面図であり、(b)は、本
発明の他の態様に係る粉体状の塑性加工用潤滑離型剤5
を模式的に示す断面図であり、(c)は、本発明の更に
他の態様に係る粉体状の塑性加工用潤滑離型剤6を模式
的に示す断面図である。
【図2】水に不溶性の固体潤滑剤の量を100重量部と
したときの、水溶性高分子化合物の含有量と潤滑性液体
の分散安定度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 水に不溶性の固体潤滑剤 2 水溶性高分子化合物からなる被覆膜 3 水溶性高分子化合物およびカルボン酸のアルカリ金
属塩からなる被覆膜 4、5 粉体状の塑性加工用潤滑離型剤 6 水溶性高分子化合物およびカルボン酸のアルカリ金
属塩からなる粉体状の塑性加工用潤滑離型剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 20:06 40:24 40:36 50:08 70:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体潤滑剤と水溶性高分子化合物と水と
    を含有する調合液から水分を除去することによって得ら
    れる、粉体状の塑性加工用潤滑離型剤。
  2. 【請求項2】 水に不溶性の前記固体潤滑剤と、この固
    体潤滑剤を被覆している、前記水溶性高分子化合物を含
    有する被覆膜とを有していることを特徴とする、請求項
    1記載の塑性加工用潤滑離型剤。
  3. 【請求項3】 前記被覆膜が、前記水溶性高分子化合物
    と、カルボン酸のアルカリ金属塩とからなることを特徴
    とする、請求項2記載の塑性加工用潤滑離型剤。
  4. 【請求項4】 前記水溶性高分子化合物と、カルボン酸
    のアルカリ金属塩とを含有する粉体からなることを特徴
    とする、請求項1記載の塑性加工用潤滑離型剤。
  5. 【請求項5】 水溶性高分子化合物を水に溶解させ、か
    つ固体潤滑剤を水に溶解または分散させることによって
    調合液を得、この調合液から水分を除去することによっ
    て、粉体状の塑性加工用潤滑離型剤を製造することを特
    徴とする、塑性加工用潤滑離型剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の塑性加工用潤滑離型剤を
    使用する方法であって、前記塑性加工用潤滑剤を水中に
    再分散及び再溶解させて潤滑性液体を製造し、この潤滑
    性液体を塑性加工に適用することを特徴とする、塑性加
    工用潤滑離型剤の使用方法。
JP13657795A 1995-06-02 1995-06-02 塑性加工用潤滑離型剤、その製造方法およびその使用方法 Pending JPH08325589A (ja)

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