JPH08325277A - 1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの製造方法 - Google Patents

1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの製造方法

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JPH08325277A
JPH08325277A JP7158611A JP15861195A JPH08325277A JP H08325277 A JPH08325277 A JP H08325277A JP 7158611 A JP7158611 A JP 7158611A JP 15861195 A JP15861195 A JP 15861195A JP H08325277 A JPH08325277 A JP H08325277A
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Koichi Higuchi
浩一 樋口
Minoru Igarashi
実 五十嵐
Masaharu Takahashi
政晴 高橋
Seiji Ichinohe
省二 一戸
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラ
メチルジシロキサンとアンモニアガスとを溶媒の存在下
或いは不存在下において、反応温度−12〜10℃で接
触させ、液状シロキサザンの有機層と固体塩化アンモニ
ウムを生成させ、この固体塩化アンモニウムを水で溶解
し水層とし、この水層を有機層から分離除去し、次いで
有機層にメタノールを加え、反応温度60〜200℃で
接触し、得られた生成混合物から蒸留によりメタノール
を留去し1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラ
メチルジシロキサンを合成することを特徴とする1,3
−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サンの製造方法。 【効果】 副生するポリマーの生成をおさえ、かつプロ
セス上、副生塩の分離に濾過のような煩雑な工程を用い
ることなく高収率で1,3−ジメトキシ−1,1,3,
3−テトラメチルジシロキサン得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリコーンオイルやシ
リコーンゴムの原料として重要である1,3−ジヒドロ
キシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの前
駆体として有用な1,3−ジメトキシ−1,1,3,3
−テトラメチルジシロキサンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジ
シロキサンの製造方法はタナカらによって既に報告され
ており[Toshio Tanakaand Roku
ro Okawara,Bull.Chem.Soc.
Japan 28,5,364(1955)]、これに
は下記反応式(1)で示したように、ジメチルメトキシ
クロロシランと重曹(NaHCO3)とを反応させるこ
とにより、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テト
ラメチルジシロキサンを製造する方法が記載されてい
る。
【0003】
【化1】
【0004】しかしながら、上記タナカらの方法では、
多量の他のジメチルポリシロキサン(線状或いは環状)
が副生し、目的物とする1,3−ジメトキシ−1,1,
3,3−テトラメチルジシロキサンの収率が30%に過
ぎず、生産効率が悪いという欠点があった。
【0005】また、ジメチルジメトキシシランの部分加
水分解による1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テ
トラメチルジシロキサンの製造方法も提案されているが
(特公平6−89006号公報)、この場合において
も、分子中にSiOH基を持つ各種ポリマーが同時に多
量に副生するために目的物である1,3−ジメトキシ−
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの収率が極
めて低くなるという欠点があった。
【0006】更に、脱塩化水素剤としてトリエチルアミ
ンのような有機塩基の存在下で1,3−ジクロロ−1,
1,3,3−テトラメチルジシロキサンとメタノールと
を反応させ、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テ
トラメチルジシロキサンを製造する方法が試みられてい
る。しかしながら、副生する(C252N・HClの
如き固体有機塩の濾過分離という煩雑な工程が必要とな
り、生産効率も悪くなり、工業的製造に適しないという
欠点があった。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、副生するポリマーの生成をおさえ、製造プロセス
上、副生塩の分離に濾過のような煩雑な工程を用いるこ
となく、効率よく高純度の1,3−ジメトキシ−1,
1,3,3−テトラメチルジシロキサンを高収率で製造
する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は、上
記目的を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、原料
として1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラメチ
ルジシロキサンを用い、これにアンモニアガスを溶媒の
存在下或いは不存在下において接触させ、得られたシロ
キサザンに一定量のメタノールを添加し、反応させるこ
とにより、副生するポリマーの生成をおさえ、濾過等の
煩雑な工程を用いることなく、効率よく高純度の1,3
−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サンを95%以上の高収率で製造できることを知見し
た。
【0009】即ち、下記反応式(2)に示したように、
原料である1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラ
メチルジシロキサンに3当量以上のアンモニアガスを溶
媒の存在下或いは不存在下において、反応温度−20〜
140℃で接触させると液状のシロキサザンと固体のN
4Clが生じ、この生成混合物に水を添加すると、下
記反応式(3)に示したように、固体のNH4Clは水
により完全に溶解しNH4Cl水溶液となって下層に沈
み、一方シロキサザンは水に不溶であるため有機層とな
って上層に浮き、両者は互いに混じり合わないため、煩
雑な濾過工程等を必要とせずに下層のNH4Cl水溶液
部分を除去することにより容易かつ確実に目的とするシ
ロキサザンのみが得られること、更に、得られたシロキ
サザンは、そのまま下記反応式(4)に示したように2
当量以上のメタノールを加え、反応温度60〜200℃
で反応させると、他のジメチルポリシロキサン(線状或
いは環状)等の副生のない、高純度の1,3−ジメトキ
シ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを効率
よく製造することができる新規な方法を見い出し、本発
明をなすに至ったものである。
【0010】なお、本発明の1,3−ジメトキシ−1,
1,3,3−テトラメチルジシロキサンの製造方法で
は、下記反応式(4)で示した反応終了後に残存する過
剰なメタノールを、目的物である1,3−ジメトキシ−
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとの沸点差
を利用し、簡単な蒸留操作により留去でき、生産効率に
優れ、工業的製造に適したものである。
【0011】
【化2】
【0012】従って、本発明は、1,3−ジクロロ−
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとアンモニ
アガスとを溶媒の存在下或いは不存在下において、反応
温度−20〜140℃で接触させ、液状シロキサザンの
有機層と固体塩化アンモニウムとを生成させた後、水を
加えて上記固体塩化アンモニウムを溶解し、生じた水層
と有機層とから水層を分離除去し、次いで有機層にメタ
ノールを加え、反応温度60〜200℃で接触後、生じ
た生成混合物から蒸留操作によりメタノールを留去する
ことを特徴とする1,3−ジメトキシ−1,1,3,3
−テトラメチルジシロキサンの製造方法を提供する。
【0013】以下、本発明につき更に詳しく説明する
と、本発明の1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テ
トラメチルジシロキサンの製造方法は、副生するポリマ
ーの生成をおさえ、またプロセス上、副生塩の分離に濾
過のような煩雑な工程を用いることなく効率よく1,3
−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サンを製造できるものであり、その反応は(A)1,3
−ジクロロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ン(液体)とアンモニア(気体)との反応、(B)シロ
キサザン(液体)と塩化アンモニウム(固体)の分離、
(C)シロキサザンとメタノールとの反応、(D)1,
3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロ
キサンの蒸留精製の4プロセスから構成される。
【0014】まず、第一に(A)1,3−ジクロロ−
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(固体)と
アンモニア(気体)との反応について説明すると、本プ
ロセスには、溶媒を使用しても、或いは使用しなくても
よいが、生成する固体の塩化アンモニウム(NH4
l)の撹拌が容易になる点から溶媒を使用する方が好ま
しい。この場合、使用可能な溶媒としては、ベンゼン、
トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、n−ペンタン、
n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族溶媒、テトラメ
チルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルテ
トラシロキサン等のケイ素化合物溶媒などが挙げられ、
特にn−ヘキサン、トルエン、シロキサン類等が生成効
率の上から好ましい。
【0015】なお、ジクロロメタン、1,2−ジクロロ
エタン等のような塩素系溶媒も使用し得るが、これらは
比重が大きく分液が困難であり、またジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエー
テル系溶媒も使用し得るが、これらは水からの回収が困
難であり、いずれも生成効率の上から好ましくない。
【0016】本プロセスでの反応温度は、−20〜14
0℃の範囲が好ましく、特に取り扱いやすく、収率も高
いのは0〜30℃の範囲である。反応温度が−20℃よ
り低くても反応は進行し得るが、極めて反応速度が遅く
なる上に通常の工業冷媒のブライン(CaCl2水溶
液)では−20℃程度が限界となるため下限温度は−2
0℃である。一方、反応温度が140℃より高くなる
と、原料である1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テ
トラメチルジシロキサンの沸点(約140℃)を超え、
原料が沸騰するため好ましくない。
【0017】添加するアンモニアガスの量は、原料であ
る1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラメチルジ
シロキサンの1当量に対して3当量以上、より好ましく
は3〜5当量、更に好ましくは3.01〜3.5当量で
ある。上記反応式(2)から過不足なく反応させるため
には少なくとも3当量以上は必要であり、5当量を超え
る多量のアンモニアガスを使用しても不経済となるだけ
である。なお、反応終了後、過剰のアンモニアガスは、
フラスコ内に不活性雰囲気である窒素ガス等をとおして
排出することができる。
【0018】次に、(B)シロキサザン(液体)と塩化
アンモニウム(固体)の分離プロセスについて説明する
と、上記(A)プロセスで生じたシロキサザン(液体)
と塩化アンモニウム(NH4Cl;固体)のうち、固体
NH4Clは水に溶解し、水に不溶であるシロキサザン
を分離する。
【0019】この場合、固体NH4Clの水100g中
での溶解度は0℃において29.4g、100℃におい
て77.3gであり、通常の製造(合成)条件では生成
NH4Cl全量に対し重量で3倍以上、特に3〜100
倍の水を使用することが経済的な面、即ちフラスコ内の
有効シロキサザンの収量の点から好適である。
【0020】用いる水は、特に制限されず、工業用水等
の普通に用いられる水をそのまま使用することができ
る。また、水の温度は、特に制限されず、夏場から冬場
の水温である0〜40℃の範囲内で十分使用可能である
が、加熱しても差し支えない。
【0021】このプロセスにおいて、固体のNH4Cl
は、水により完全に溶解し、NH4Cl水溶液となって
下層に沈み、一方、シロキサザンは水に不溶であるため
有機層となって上層に浮き、両者は互いに混じり合わな
いため、濾過等の煩雑な工程を必要とせずに確実に目的
とするシロキサザンのみを分離回収して得ることができ
る。
【0022】(C)プロセスのシロキサザンとメタノー
ルとの反応について説明すると、本プロセスでは、生成
したシロキサザンを最初の(A)プロセスの反応容器の
外部へ取り出さずそのまま反応を実施することができ、
上記最初の(A)プロセスを無溶媒で行えば無溶媒反応
となり、n−ヘキサン或いはトルエン等の溶媒中で行え
ば溶媒反応となる。
【0023】本プロセスにおいて、シロキサザンとメタ
ノールとの反応温度は60〜200℃の範囲が好まし
く、特にメタノールの沸点(65℃)以上がより好まし
い。また、上限温度は200℃であり、この温度では生
成する1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメ
チルジシロキサンが沸騰し気化するので加圧反応となる
ため、より好ましくは1,3−ジメトキシ−1,1,
3,3−テトラメチルジシロキサンの沸点(139℃)
近傍の温度、即ち130〜150℃が好適である。ま
た、この際の反応時間は通常60〜120分である。
【0024】用いるメタノールのモル比は、シロキサザ
ン1当量に対して2当量以上、より好ましくは2〜5当
量、更に好ましくは2.01〜2.5当量である。メタ
ノールが2当量より少ないと上記反応式(4)から過不
足なく反応が進行せず、5当量より多くのメタノールを
使用しても反応には影響を与えず不経済となる。
【0025】なお、本プロセスではアンモニアが発生す
るが、上記(A)プロセスで説明したと同様の方法で除
去することができる。
【0026】(D)プロセスの1,3−ジメトキシ−
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの蒸留精製
について説明すると、上記(C)プロセスの反応終了後
の過剰のメタノールは、メタノール(沸点65℃)と
1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジ
シロキサン(沸点139℃)の沸点差は74℃あり、共
沸組成物も生成しないので、通常の蒸留塔を用いて簡単
にメタノールを留去することができ、高純度の1,3−
ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ンを得ることができる。
【0027】なお、本発明の製造方法で得られた1,3
−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サンは、例えば、イオン交換水と陽イオン交換樹脂を添
加し、撹拌し、副生物を留去することで高純度の1,3
−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロ
キサンを得ることができ、得られた1,3−ジヒドロキ
シ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンはシリ
コーンオイルやシリコーンゴムの中間体として重要な原
料となる。
【0028】また、本発明の製造方法の出発原料である
1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラメチルジシ
ロキサンに関しては、公知の方法、例えば、ウイントン
・パットノード及びドナルド・ウイルコックの方法[W
inton Patnodeand Donold
F.Wilcock,J.Am.Chem.Soc.,
68,358(1946)]等により製造することがで
きる。
【0029】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるもの
ではない。
【0030】[実施例1]撹拌機、温度計、滴下ロー
ト、圧力栓、下口分液コック、ガス導入管、及び先端に
ガス排出管付きの冷却器を備えた2Lのガラス製フラス
コに、溶媒としてトルエン800gと原料として1,3
−ジクロロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ン203.2g(1.0モル)とを仕込み、撹拌混合し
た。外部から冷却し、内容物が15℃になった時点で、
アンモニアガスを吹き込んだ。吹き込みと同時に白色の
副生塩NH4Clの生成が認められた。アンモニアガス
の吹き込み時間は60分間であり、アンモニアガスの吹
き込み総重量は52.8g(3.1モル)であった。こ
の間、反応温度を14〜16℃に保った。反応終了後、
過剰のアンモニアガスを排出するために窒素ガスを系中
に通した。
【0031】その後、窒素ガスの導入を止め、反応生成
物をガスクロマトグラフィー、赤外吸光分析器、GPC
で分析した。その結果、原料の1,3−ジクロロ−1,
1,3,3−テトラメチルジシロキサンは完全に消失し
ており、ジメチル系シロキサザンが生成していることが
わかった。その組成は下記に示すとおりであった。
【0032】
【化3】
【0033】直ちに、上記反応混合物をフラスコの外に
取り出すことなくそのまま15℃の温度で撹拌下に急速
に滴下ロートから500gの水を反応フラスコ内に投入
した(投入時間5分間)。この操作中にガスの発生は全
くなく、5分後には副生塩NH4Clは水中に溶解して
しまい、有機層(トルエン中のジメチル系シロキサザン
層)と水層(水中のNH4Cl層)とが明瞭に生じた。
【0034】水層部分をフラスコ下部の分液コックを開
き排出し、フラスコ中に有機層を残した。この有機層を
上記同様にガスクロマトグラフィー、赤外吸光分析器、
GPCで分析したところ、ジメチル系シロキサザンが1
00%残っており、その組成比は水洗前と同一であっ
た。
【0035】次に、フラスコ中の有機層を外部から加熱
して100℃に保ち、撹拌下に滴下ロートから、60分
間かけて70.5g(2.2モル)のメタノールを滴下
した。この間にアンモニアガスの発生があった。滴下終
了後、フラスコ内温を110℃に上げ30分間撹拌し
た。反応終了後、有機層を常圧蒸留したところ、沸点1
39℃を持つ液体191.5gを得た。この液体のガス
クロマトグラフィーでの分析結果は、単一ピークを示
し、99%以上の高純度であることがわかった(収率9
8.5%)。なお、この生成物について、元素分析、赤
外吸収スペクトル及びNMR分析を行った。結果を以下
に示す。この結果から生成物は1,3−ジメトキシ−
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンであること
が確認できた。 元素分析 C H Si 計算値(%) 37.07 9.33 28.90 実測値(%) 37.08 9.34 28.89 但し、計算値はC6183Si2としてのものである。赤外吸収スペクトル 特定吸収 1064cm-1 ; Si−O結合 2966、2838cm-1; C−H結合 1H−NMRスペクトル(四塩化炭素溶媒、内部標準ク
ロロホルム) δ値(ppm) −0.08 ; (S,Si−CH3,12H) 3.25 ; (S,Si−OCH3,6H)
【0036】[参考例1]実施例1で得られた1,3−
ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ン10.0gに電気伝導度が1015MΩのイオン交換水
2.0gを加え、これに陽イオン交換樹脂(CT−17
5;ピュロライト社製)0.03gを添加し20℃で8
0分間撹拌した。濾過により固体のイオン交換樹脂を除
去した後、5mmHg、50℃の条件下で副生したメタ
ノール、水、低沸シロキサンを留去したところ、白色結
晶が7.7g得られた(下記反応式(5))。これをト
リメチルシリル化法によるガスクロマトグラフィー分析
したところ、1,3−ジヒドロキシ−1,1,3,3−
テトラメチルジシロキサンが98.2%含まれていた。
【0037】
【化4】
【0038】上記固体混合物をn−ヘキサンで再結晶さ
せると、融点65.5〜66℃を持つ白色結晶体が得ら
れた。分析の結果、純度の高い1,3−ジヒドロキシ−
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンであること
がわかった(文献記載のこのシロキサンの融点は65.
5〜66℃であった。;J.Am.Chem.So
c.,75,2713(1953))。
【0039】[実施例2]実施例1において、溶媒とし
てトルエンの替わりに、n−ヘキサンを用いることの他
は、同一の条件にて、反応を行ったところ、収率98.
4%で1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメ
チルジシロキサンが得られた。
【0040】[実施例3]実施例1において、溶媒とし
てトルエンの替わりに、無溶媒で反応を行う他は、同一
の条件にて、反応を行ったところ、収率95.8%で
1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジ
シロキサンが得られた。
【0041】[実施例4]実施例1において、1,3−
ジクロロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン
とアンモニアガスとの反応を温度が−20℃でアンモニ
アガス吹き込みを始め、全般の反応温度を−19〜−1
8℃で行う他は、同一の条件にて、反応を行ったとこ
ろ、収率97.6%で1,3−ジメトキシ−1,1,
3,3−テトラメチルジシロキサンが得られた。
【0042】[実施例5]実施例1において、1,3−
ジクロロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン
とアンモニアガスとの反応をキシレン溶媒中で行い、反
応温度130℃でアンモニアガス吹き込みを始め、全般
の反応温度を138〜139℃で行う他は、同一の条件
にて、反応を行ったところ、収率96.2%で1,3−
ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ンが得られた。
【0043】[実施例6]実施例1において、シロキサ
ザンとメタノールとの反応を60℃で行い、かつ後撹拌
温度を70℃にあげて実施した他は同一の条件で全反応
を実施したところ、収率96.5%で1,3−ジメトキ
シ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが得ら
れた。
【0044】[実施例7]実施例1において、1,3−
ジクロロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン
とアンモニアガスとの反応をトルエンの替わりに溶媒と
してデカメチルテトラシロキサン(下記式(6))中で
行い、かつシロキサザンとメタノールとの反応を180
℃で行い、かつ後撹拌温度を200℃にあげて実施した
他は同一の条件で全反応を実施したところ、収率95.
1%で1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメ
チルジシロキサンが得られた。
【0045】
【化5】
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の1,3−
ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ンの製造方法によれば、副生するポリマーの生成をおさ
え、かつプロセス上、副生塩の分離に濾過のような煩雑
な工程を用いることなく高収率で1,3−ジメトキシ−
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた1,3−ジメトキシ−1,
1,3,3−テトラメチルジシロキサンの赤外吸収スペ
クトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五十嵐 実 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内 (72)発明者 高橋 政晴 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内 (72)発明者 一戸 省二 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テ
    トラメチルジシロキサンとアンモニアガスとを溶媒の存
    在下或いは不存在下において、反応温度−20〜140
    ℃で接触させ、液状シロキサザンの有機層と固体塩化ア
    ンモニウムとを生成させた後、水を加えて上記固体塩化
    アンモニウムを溶解し、生じた水層と有機層とから水層
    を分離除去し、次いで有機層にメタノールを加え、反応
    温度60〜200℃で接触後、生じた混合物から蒸留操
    作によりメタノールを留去することを特徴とする1,3
    −ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
    サンの製造方法。
  2. 【請求項2】 用いる水の量が生成した固体塩化アンモ
    ニウムの全量に対し、重量で3倍以上である請求項1記
    載の1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチ
    ルジシロキサンの製造方法。
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