JPH08323157A - 中空糸膜モジュール製造方法およびそのモジュール - Google Patents

中空糸膜モジュール製造方法およびそのモジュール

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JPH08323157A
JPH08323157A JP13827695A JP13827695A JPH08323157A JP H08323157 A JPH08323157 A JP H08323157A JP 13827695 A JP13827695 A JP 13827695A JP 13827695 A JP13827695 A JP 13827695A JP H08323157 A JPH08323157 A JP H08323157A
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JP
Japan
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hollow fiber
epoxy resin
fiber membrane
curing agent
membrane module
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JP13827695A
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English (en)
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Seiji Mizumoto
清治 水元
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】エポキシ樹脂とカチオン重合型硬化剤またはア
ニオン重合型硬化剤からなる接着剤で中空糸膜の集束体
の端部を封止固定するにあたり、2時間以上をもって反
応率40〜75%までエポキシ樹脂を前硬化させた後、
前硬化温度より高い温度で後硬化させることを特徴とす
る中空糸膜モジュールの製造方法。および、本製造法で
得られる中空糸膜モジュールの封止固定部の架橋密度が
1×10-2mol/cm3以上であることを特徴とする中空糸膜
モジュール。 【効果】本発明の中空糸膜モジュールの製造方法によれ
ば、エポキシ樹脂とカチオン重合硬化剤またはアニオン
重合硬化剤からなる接着剤により、中空糸膜の集束体の
端部を封止固定する際に、接着剤の硬化時の発熱温度を
低く抑えることができ、しかも、耐溶剤性、耐熱性、強
度に優れた封止固定部となる。これにより、中空糸束を
強固に封止固定でき、耐溶剤性に優れ、長期に亘り被処
理流体を安定に膜分離できる中空糸膜モジュールが得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐溶剤性に優れ、液体な
どの被処理液体を効率良く膜分離する上で有用な中空糸
膜モジュールおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、逆浸透型、イオン交換型、浸透気
化型、限外濾過型などの種々の分離特性を有する半透膜
が開発されている。これらの半透膜は、例えば、平膜
状、スパイラル状、中空糸状などの形態でモジュール化
されている。
【0003】これらのモジュールのうち、中空糸膜モジ
ュールは、装置の単位体積当たりの膜面積を大きくで
き、装置の小型化及びコストダウンができるという利点
があり、各分野で広く用いられている。
【0004】中空糸膜モジュールは、通常、集束された
中空糸膜がケーシングに収容され、中空糸膜間および中
空糸束とケーシングとの間が、ケーシング端部などにお
いて、封止固定されている。
【0005】一方、中空糸膜モジュールによる分離操作
は、一次側から高圧下で中空糸膜に流体を供給し、液体
内の所定の成分を中空糸膜を通じて選択的に二次側に透
過させ、非透過成分を濃縮している。また、透過効率を
高めるためには、加熱流体を供給するのが有利である。
このような中空糸膜モジュール、特に封止固定部には圧
力履歴、熱履歴が作用するので、モジュールには、中空
糸束とケースとの間の高い封止性が要求される。中空糸
束を封止固定するための材料としては、従来からエポキ
シ樹脂系、ウレタン樹脂系接着剤が汎用されている。
【0006】しかし、これらの接着剤を用いて作製した
モジュールでは、有機溶剤の瀘過をはじめとする高温で
の薬品処理中に、接着剤が膨潤したりクラックなどが生
じ、接着性、ひいては封止性が低下する。そのため、被
処理体の種類が制限される。また、高温高圧下で被処理
流体を膜分離に供すると、封止固定部から短時間内に被
処理流体がリークし、膜分離操作を継続できなくなる。
【0007】特開昭61−129006号公報には、耐
薬品性に優れたゴムを加硫して中空糸束の端部を封止す
る技術が開示されている。しかし、ゴムを加硫するため
には160℃以上の高温処理を必要とする。そのため、
耐熱性の低い中空糸膜を使用できず、特定の素材からな
る中空糸膜しか使用できない。しかも、モジュールの製
造プロセスも複雑である。
【0008】特開平2−268815号公報には、ポリ
サルファイド結合を有するエポキシ樹脂と脂環式アミン
との反応物からなる樹脂で、多数本の多孔質膜の端部と
膜モジュールケースとを固定する技術が開示されている
が、この反応物中にはアミン結合が存在するため、有機
溶剤の中でも特に酢酸等の有機酸と反応し、膨潤がはな
はだしく、クラック等が生じるため、使用が制限され
る。
【0009】特開平3−221128号公報には、不飽
和カルボン酸類を共重合したポリオレフィンを少なくと
も一成分として含む接着性樹脂で、中空糸束の端部を封
止固定する技術が開示されている。しかし、不飽和カル
ボン酸を共重合したポリオレフィンだけでは、耐熱性が
低く、高温での膜分離には使用できない。さらに、他の
ポリオレフィンとの相溶性が悪く、長期に亘り安定性に
膜分離に供することが困難である。
【0010】特開平6−170176号公報において、
本発明者らは、エポキシ樹脂とカチオン重合型硬化剤ま
たはアニオン型硬化剤からなる接着剤を用いることによ
り、中空糸膜の集束体が良好に接着されるため封止性に
優れ、かつ有機溶剤による膨潤が少なく、クラック等が
生じない耐久性に優れた中空糸膜モジュールを提案し
た。
【0011】しかしながら、潜在型硬化剤であるカチオ
ン重合型硬化剤、アニオン重合型硬化剤は、ある温度以
上で活性を示し、その後、エポキシ樹脂は急速に硬化す
るため発熱温度が高くなる。そこで、中空糸膜が、熱溶
融したり、熱劣化しないように、硬化発熱温度を下げる
必要があり、硬化剤の添加量などが制約されるため、接
着剤本来の性能が得られないことがあった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、中空糸束が強固に接着固定されていると共に、有機
溶剤であっても比較的高温で、長期に亘り安定に膜分離
することができる中空糸膜モジュールとその製造方法を
提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討の
結果、エポキシ樹脂と、カチオン重合型硬化剤またはア
ニオン重合型硬化剤からなる接着剤を所定の硬化条件で
硬化することにより、急速な硬化が起こらないため、発
熱温度が高くならないことを見いだした。さらに、この
硬化条件で得られる硬化物は耐溶剤性、耐熱性、強度な
どに非常に優れていることを見いだし、本発明を完成し
た。
【0014】すなわち、本発明は、エポキシ樹脂と、カ
チオン重合型硬化剤またはアニオン重合型硬化剤からな
る接着剤で中空糸膜の集束体の端部を封止固定するにあ
たり、2時間以上をもって反応率が40〜75%に達す
るようにエポキシ樹脂を前硬化させた後、この前硬化温
度よりも高い温度で後硬化させることを特徴とする中空
糸膜モジュールの製造方法に関する。
【0015】また、本製造法で得られる封止固定部の架
橋密度が1×10-2mol/cm3以上であることを特徴とする
中空糸膜モジュールに関する。
【0016】以下に、本発明を詳細に説明する。
【0017】本発明には、従来公知のエポキシ樹脂を用
いることができる。常温で液状のエポキシ樹脂として
は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェ
ノールFジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリ
シジルエーテル、トリグリシジルエーテルトリフェニル
メタンおよびテトラグリシジルエーテルテトラフェニル
エタンなどのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フタ
ル酸ジグリシジルエステルおよびダイマー酸ジグリシジ
ルエステルなどのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、
テトラグリシジルメタキシメンジアミンなどのグリシジ
ルアミン型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキ
シルメチルカルボキシレートなどの脂環式エポキシド、
エポキシ化大豆油などの線状脂肪族エポキシドが挙げら
れる。常温で固体状のエポキシ樹脂としては、ビスフェ
ノールSジグリシジルエーテル、クレゾールノボラック
グリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート
およびテトラブロムビスフェノールAジグリシジルエー
テルなどが挙げられる。
【0018】耐溶剤性の点からは、樹脂中にアミン結
合、エステル結合を持たないものが好ましく、ノボラッ
ク型エポキシ樹脂、芳香族グリシジルエーテル型エポキ
シ樹脂が特に好ましい。さらに、耐熱性、強度を向上す
るために、3官能以上の多官能エポキシ樹脂を配合して
架橋密度を上げることが好ましい。この3官能以上の多
官能エポキシ樹脂の配合量は、使用するエポキシ樹脂全
量に対して10重量%以上が好ましい。
【0019】エポキシ樹脂には必要に応じて、可とう性
付与剤、耐衝撃性改良剤、充填剤、流動性調整剤、溶
剤、消泡剤、粘着付与剤などを添加することができる。
【0020】本発明で用いるカチオン重合型硬化剤とし
ては、エポキシ樹脂の硬化用触媒としての作用を示すも
ので、常温で液状又は固体状の従来公知のものを用いる
ことができる。このようなものとしては、三フッ化ホウ
素−モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素−ベンジル
アミン錯体、三フッ化ホウ素−アニリン錯体、三フッ化
ホウ素−クロロアニリン錯体などの三フッ化ホウ素−ア
ミン錯体、およびこれらの液状化変性物、ベンジルスル
ホニウム塩などのスルホニウム塩、トリス(アセチルア
セトナト)アルミニウムなどのアルミニウム錯体とジフ
ェニルジメトキシシランなどのアルコキシシランとから
なる複合触媒などが挙げられる。
【0021】カチオン重合型硬化剤の配合量はエポキシ
樹脂100重量部に対して、1〜20重量部、好ましく
は3〜15重量部である。
【0022】カチオン重合型硬化剤の中では、エポキシ
樹脂に対する溶解性、硬化物の強度の点から三フッ化ホ
ウ素−アミン錯体が好ましく、特に三フッ化ホウ素−芳
香族アミン錯体が好ましい。また、必要に応じて上記の
硬化剤を混合して使用することができる。
【0023】三フッ化ホウ素−芳香族アミン錯体の芳香
族アミンとしては、例えば、アニリン、2−クロロアニ
リン、3−クロロアニリン、4−クロロアニリン、2,
3−ジクロロアニリン、2,4−ジクロロアニリン、
2,5−ジクロロアニリン、2,6−ジクロロアニリ
ン、3,4−ジクロロアニリン、3,5−ジクロロアニ
リン、2−エチルアニリン、3−エチルアニリンン、4
−エチルアニリン、2,6ジエチルアニリン、2−プロ
ピルアニリン、4−プロピルアニリン、2−メトキシア
ニリン、3−メトキシアニリン、4−メトキシアニリ
ン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネ
チジン、1−アミノナフタレンおよび2−アミノナフタ
レンなどが挙げられる。
【0024】一般的にアミンの塩基性度が低いほど、三
フッ化ホウ素−芳香族アミン錯体の活性化温度は低くな
るため、塩基性度を一つの基準にして、アミンを選定す
ることができる。
【0025】本発明で用いるアニオン重合型硬化剤とし
ては、エポキシ樹脂の硬化用触媒としての作用を示すも
ので、常温で液状又は固体状の従来公知のものを用いる
ことができる。このようなものとしては、N,N−ジメ
チル−n−ヘキシルアミン、N,N´−ジメチルピペラ
ジン、ピリジン、ベンジルジメチルアミンおよび2,
4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノールなどの第
三アミン化合物、2−エチル−4−メチルイミダゾール
および1−ベンジル−2−メチルイミダゾールなどのイ
ミダゾール化合物などが挙げられる。アニオン重合型硬
化剤の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、
1〜20重量部、好ましくは3〜15重量部である。ま
た、必要に応じて上記の硬化剤を混合して使用すること
ができる。ここで、エポキシ樹脂の反応率は種々の方法
で測定できるが、一般的には示差走査熱量分析により行
われる。この方法では、ある条件で硬化したエポキシ樹
脂の反応率(R)は次のように求められる。このエポキ
シ樹脂が十分に硬化する温度まで定速で昇温した時の発
熱量を(A)とし、未硬化のエポキシ樹脂を同じ条件で
測定したときの発熱量を(B)とすると、R=100
(B−A)/Bとなる。
【0026】また、エポキシ樹脂硬化物の架橋密度
(ρ)はゴム弾性理論により、そのゴム状領域でのヤン
グ率(E)から求められ、ρ=E/3φRTである。こ
こで、φはフロント係数(0.7〜1.6)、Rは気体定数、
Tは絶対温度である。Eは通常、ガラス転移温度よりも
40〜60℃高い温度の値をとる。φは通常1として計
算される。
【0027】本発明者らは、エポキシ樹脂とカチオン重
合型硬化剤またはアニオン重合型硬化剤からなる接着剤
の硬化条件と硬化物の物性について詳細に調べたとこ
ろ、次のことを見いだした。すなわち、2時間以上か
けてエポキシ樹脂を反応率40〜75%まで前硬化させ
ると、高い発熱を伴う急速な硬化は起こらない。エポ
キシ樹脂を反応率40〜75%まで硬化させたあと、硬
化温度を上げて後硬化させると、さらに硬化が進むが、
この際にも高い発熱を伴う急速な硬化は起こらない。後
硬化させる温度は、前硬化温度よりもさらに20℃以上
高くすることが望ましい。なお、前硬化、後硬化では、
温度を必要に応じて段階的または連続的に変化させても
よい。この硬化法で得られる架橋密度が1×10-2mol
/cm3以上である硬化物は非常に優れた耐溶剤性を示
す。架橋密度がこれ未満では充分な耐溶剤性が得られな
い。
【0028】また、後硬化時間および温度は硬化物の架
橋密度が1×10-2mol/cm3以上になるように、必要に応
じて適宜決定すればよい。
【0029】中空糸膜モジュールの製造における接着工
程時間を短縮するには、前記の硬化条件を満足する範囲
で接着剤の硬化温度をなるべく高く設定する必要があ
る。この温度は、エポキシ樹脂の種類と配合量、硬化剤
の種類と配合量、封止部の形状等により決定される。
【0030】本発明で用いる中空糸膜を構成するポリマ
ーとしては、例えば、ポリエチレン、エチレン−プロピ
レン共重合体、ポリプロピレンおよびポリ−4−メチル
ペンテン−1などのオレフィン系ポリマー、ポリテトラ
フルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、
ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン
−エチレン共重合体およびテトラフルオロエチレン−パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ
素含有ポリマー、酢酸セルロースなどのセルロース系ポ
リマー、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレートな
どのアクリル系ポリマー、アクリロニトリル−メタクリ
ル酸メチル共重合体などのアクリロニトリル系ポリマ
ー、シリコーン樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリエ
ーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサ
イド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリーレート、
ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポ
リカーボネートおよびポリビニルアルコール系ポリマー
などが挙げられる。
【0031】中空糸膜としては、外表面が多孔質である
ことが好ましく、粗面による接着表面積の増大及びアン
カー効果などにより、前記接着剤による接着封止性が高
くなる。ただし、表面粗さ、孔径などは特に制限され
ず、分離方式や分離成分の種類などに応じて選択でき
る。
【0032】また、必要に応じて、中空糸膜は、有機溶
剤による処理、プラズマ放電処理、コロナ放電処理、オ
ゾン処理などの表面処理を施した後、接着封止に供して
もよい。
【0033】ケーシングの形状は、用途などに応じて選
択できるが、通常、円筒状であり、ノズル状供給口など
を側部に有している場合が多い。ケーシングの材質は、
被処理流体や分離成分の種類などに応じて選択でき、例
えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、(メタ)ア
クリル系ポリマー、ポリスルホンおよびポリエーテルス
ルホンなどのプラスチックやステンレススチールなどの
金属などであってもよい。ケーシングは、通常、耐溶剤
性の点からポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよび
ステンレススチールなどで形成される場合が多い。
【0034】ケーシングは必要に応じて、前記流出口を
通じて透過側が減圧可能であってもよく、減圧可能なチ
ャンバ内に配設されていてもよい。また、前記とは逆
に、必要に応じて、ケーシングの流出口から被処理流体
を供給し、中空糸膜の開口部から透過成分を流出させて
もよい。
【0035】なお、中空糸膜は、両端面のうち少なくと
も一方の端面が開口していればよい。例えば、複数の中
空糸膜の一方の端部は、端面が開口した状態で封止固定
部で接着封止され、中空糸膜の他方の端部の中空部は閉
塞されていてもよい。また、複数の中空糸膜の両端部を
集束し、中空糸膜の両端が開口した状態で、集束部を接
着封止してもよい。
【0036】さらに、膜モジュールは、ケーシングを備
えることなく、複数の中空糸膜の少なくとも一方の端部
が接着封止され、かつケースに装着可能であってもよ
い。この場合、膜モジュールを、ケースにカートリッジ
式に装着できる。好ましい中空糸膜モジュールにおい
て、複数の中空糸膜の少なくとも一方の端部は、前記封
止固定部でケーシングに接着封止されている場合が多
い。
【0037】封止固定部とケーシングとの間の適所に
は、弾性O−リングなどの封止部材を挾圧状態で配し、
封止性を高めても良い。
【0038】被処理流体は、中空糸膜の分離特性に応じ
て選択でき、空気、酸素および窒素などの気体や液体を
含む流体が使用できる。液体としては、水、メタノー
ル、エタノールおよびイソプロピルアルコールなどのア
ルコール類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテルお
よびブチルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチルおよびプロピオン酸エチルなどの
エステル類、アセトンおよびメチルエチルケトンなどの
ケトン類、アセトアミドおよびベンズアミドなどのアミ
ド類、酢酸およびプロピオン酸などの有機酸類、無水酢
酸および無水プロピオン酸などの酸無水物類、ジエチル
アミンおよびアニリンなどのアミン類、ヘキサンおよび
オクタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼンおよびトル
エンなどの芳香族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂
環族炭化水素類、クロロホルム、四塩化炭素およびトリ
クロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類などが挙げ
られる。
【0039】本発明による中空糸膜モジュールは、例え
ば以下のようにして製造することができる。
【0040】複数の中空糸膜を束ねて、必要に応じて中
空糸膜の端面開口部を接着剤などの密封手段により密封
して、ケーシング内に収容する。ケーシングの両端をプ
ラスッチク容器等で仮封止し、エポキシ樹脂とカチオン
重合型硬化剤またはアニオン重合型硬化剤からなる接着
剤を遠心法により注入する。接着剤を前記条件で硬化さ
せたのち、封止固定部の先端部を切断して、中空糸膜の
端面を開口させることにより、中空糸膜モジュールが得
られる。なお、ケーシング内壁と封止固定部との間に隙
間が生じる場合には、前記のように、弾性O−リングな
どの封止部材により封止できる。
【0041】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明する。
【0042】(実施例1)内径500μm、外径800
μmのアクリロニトリル/メタクリル酸メチル共重合体
(モル比=95/5)からなる中空糸膜を均一に集束し
て先端を密封し、円筒状のステンレススチールケースに
収納した。レゾルシノールジグリシジルエーテル(ヘロ
キシ69、ローヌプーラン社製)、4官能エポキシ樹脂
であるテトラグリシギルエーテルテトラフェニルエタン
(エピコート1031S、油化シェルエポキシ社製)、
三フッ化ホウ素−アニリン錯体(アンカー1171、ア
ンカーケミカル社製)を60:40:5の重量比で配合
した後、脱泡した。遠心法によりケース端部に充填し、
40℃で4時間前硬化した後、80℃で12時間後硬化
して中空糸束を固定した。ケース内壁と封止固定部との
間の隙間をO−リングを用いて封止した。中空糸膜を開
口するため両端部を切断してモジュールを完成させた。
【0043】そして、中空糸膜モジュールに80重量%
酢酸水溶液を80℃で供給したところ、分離係数α=
1,650、透過速度Q=330g/m2・hの分離性能
を示した。前記評価を20日間連続で行ったところ、封
止固定部に何ら異常が認められなかった。
【0044】上記の接着剤をシリコン型中で40℃で4
時間前硬化した後、80℃で12時間後硬化した。熱温
度計を樹脂中に差し込み、硬化時の発熱温度を測定する
とともに、硬化物の反応率、ガラス転移温度、架橋密
度、曲げ強度を測定した。また、硬化物を酢酸エチル:
酢酸:水=6:2:2(重量比)の溶剤中に80℃で浸
漬し、500時間後に曲げ強度と重量増加率を測定し
た。結果を表1に示したが、硬化時の反応温度は低く、
硬化物は優れた耐溶剤性、耐熱性、強度を有しているこ
とが認められた。
【0045】(比較例1)実施例1と同じ中空糸膜、ケ
−ス、接着剤を用いてモジュールを作製する際に、接着
剤を60℃で4時間前硬化した後、80℃で12時間後
硬化して中空糸束を固定したところ、かなりの発熱が認
められた。中空糸膜を開口するため両端部を切断した
が、中空糸膜は閉塞しており評価できなかった。
【0046】上記の接着剤をシリコン型中で60℃で4
時間前硬化した後、80℃で12時間後硬化した。熱温
度計を樹脂中に差し込み、硬化時の発熱温度を測定する
とともに、硬化物の反応率、ガラス転移温度、架橋密
度、曲げ強度を測定した。また、硬化物を酢酸エチル:
酢酸:水=6:2:2(重量比)の溶剤中に80℃で浸
漬し、500時間後に曲げ強度と重量増加率を測定し
た。結果を表1に示したが、硬化時の反応温度が高く、
硬化物の耐溶剤性、耐熱性、強度は実施例1の場合より
も劣っていることが認められた。
【0047】(比較例2)内径500μm、外径800
μmのアクリロニトリル/メタアクリル酸メチル共重合
体(モル比=95/5)からなる中空糸膜を均一に集束
して先端を密封し、円筒状のステンレススチルケースに
収納した。エポキシ系接着剤として、主剤にエピコート
828(油化シェルエポキシ社製)、硬化剤にアミン系
硬化剤エピキュアU(油化シェルエポキシ社製)を用
い、主剤と硬化剤を100:25の重量比で配合したの
ち、脱泡した。遠心法によりケース端部に充填し、40
℃で5時間、前硬化したのち、80℃で12時間、後硬
化して中空糸束を固定した。ケース内壁と封止固定部と
の間の隙間をO−リングを用いて封止した。中空糸膜を
開口するため両端部を切断してモジュールを完成させ
た。
【0048】そして、中空糸膜モジュールに80重量%
酢酸水溶液を80℃で供給したところ、分離係数α=
1,700、透過速度Q=300g/m2・hの分離性能
を示した。前記操作を継続したところ、24時間後に、
封止部にクラックが生じ、被処理液がリークした。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】本発明の中空糸膜モジュールの製造方法
によれば、エポキシ樹脂とカチオン重合型硬化剤または
アニオン重合型硬化剤からなる接着剤により、中空糸膜
の集束体の端部を封止固定する際に、接着剤の硬化時の
発熱温度を低く抑えることができ、しかも、耐溶剤性、
耐熱性、強度に優れた硬化物となる。これにより、中空
糸束を強固に接着固定でき、耐溶剤性に優れ、長期に亘
り被処理流体を安定に膜分離できる中空糸膜モジュール
が得られる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂と、カチオン重合型硬化剤
    またはアニオン重合型硬化剤からなる接着剤で中空糸膜
    の集束体の端部を封止固定するにあたり、2時間以上を
    もって反応率が40〜75%に達するようにエポキシ樹
    脂を前硬化させた後、この前硬化温度よりも高い温度で
    後硬化させることを特徴とする中空糸膜モジュールの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 カチオン重合型硬化剤が三フッ化ホウ素
    −アミン錯体である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 三フッ化ホウ素−アミン錯体が三フッ化
    ホウ素−芳香族アミン錯体である請求項2記載の方法
  4. 【請求項4】 エポキシ樹脂と、カチオン重合型硬化剤
    またはアニオン重合型硬化剤からなる接着剤で中空糸膜
    の集束体の端部を封止固定する中空糸膜モジュールにお
    いて、封止固定部の架橋密度が1×10-2mol/cm3以上で
    あることを特徴とする中空糸膜モジュール。
  5. 【請求項5】 エポキシ樹脂が少なくとも3官能以上の
    エポキシ樹脂を含み、その含有量がエポキシ樹脂全量に
    対して10重量%以上である請求項4記載の中空糸膜モ
    ジュール。
  6. 【請求項6】 カチオン重合型硬化剤が三フッ化ホウ素
    −アミン錯体である請求項4記載の中空糸膜モジュー
    ル。
  7. 【請求項7】 三フッ化ホウ素−アミン錯体が三フッ化
    ホウ素−芳香族アミン錯体である請求項6記載の中空糸
    膜モジュール。
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