JPH08322563A - 低温至適アルカリプロテアーゼ、これを生産する微生物及び当該アルカリプロテアーゼの製造法 - Google Patents
低温至適アルカリプロテアーゼ、これを生産する微生物及び当該アルカリプロテアーゼの製造法Info
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- JPH08322563A JPH08322563A JP13505895A JP13505895A JPH08322563A JP H08322563 A JPH08322563 A JP H08322563A JP 13505895 A JP13505895 A JP 13505895A JP 13505895 A JP13505895 A JP 13505895A JP H08322563 A JPH08322563 A JP H08322563A
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Abstract
プロテアーゼ、これを生産する微生物及び当該アルカリ
プロテアーゼの製造法。 1)作用温度及び最適温度 0〜50℃で作用し、最適温度は約20℃にある。Ca
2+イオンが存在すると作用最適温度は40℃に移行す
る。0℃(氷水中)でも約35%の活性を保持する。 2)温度安定性 pH9.0、15分間の処理条件で20℃まで安定であ
り、Ca2+イオンが存在すると40℃まで安定である。 3)作用pH及び最適pH 作用pH範囲はpH5〜11であり、最適pHは10近傍にあ
る。 4)pH安定性 20℃、15分間の処理条件でpH6.3〜9.5までの
各pHで安定である。 【効果】 作用最適温度を低温領域に有し、種々の界面
活性剤によってもほとんど阻害を受けない。
Description
リプロテアーゼ、これを生産する微生物及び当該低温至
適アルカリプロテアーゼの製造法に関する。
解を触媒する酵素群の総称で、微生物、動物及び植物中
に広く分布している。その応用範囲としては、衣料用洗
剤、自動食器洗浄機用洗剤、コンタクトレンズ洗浄剤、
浴用剤、角質除去用化粧料、食品の改質剤(製パン、肉
の軟化、水産加工)、ビールの清澄剤、皮革なめし剤、
写真フィルムのゼラチン除去剤、消化助剤あるいは消炎
剤があり、多分野で盛んに利用されてきた。
模が大きいのは洗剤用プロテアーゼであり、例えばアル
カラーゼ、サビナーゼ(ノボ・ノルディスク社製)、マ
クサカル(ギスト・ブロケイデス社製)、API−21
(昭和電工社製)、ブラップ(ヘンケル社製)及びプロ
テアーゼK(KAP;花王社製)などが知られている。
高温側にあるため、水道水をそのまま用いて低温領域で
衣料等の洗浄を行う場合には、その酵素特性が充分に発
揮されているとは言いがたい。また、前述のプロテアー
ゼは、その応用分野のほとんどにおいて、体温、室温又
は低温条件下で使用されるため、高温至適酵素の使用は
なじまない。加えて、高温至適酵素を用いて高温処理工
程を行うことは、省エネルギーの観点からも好ましいと
は言えない。一方、低温至適プロテアーゼは、反応系に
熱を加えられないようなケース、すなわちチーズの熟成
や肉の軟化等の食品の改質に有効であると思われる。
商品への配合や工業的プロセスなどにおける利用が考え
られているが、この場合、室温から低温領域で有効に作
用する酵素を見出すことは、省エネルギー化に加えて酵
素の機能を十分発揮させるうえで、必須の条件である。
これまでに、寒冷地土壌等の寒冷環境に棲息する生物、
海水あるいは冷蔵中のミルク等から分離されたプロテア
ーゼ生産菌及び生産されるプロテアーゼに関しては数多
くの報告例がある。すなわち、シュードモナスエスピー
(Pseudomonas sp.)No.548株(Agric. Biol. Ch
em.,36巻,1185頁、1970年)、エシェリヒア
フロインディ(Eschreichia freundii)(Eur. J. Bi
ochem., 44巻,87頁,1974年)、キサントモナ
スマルトフィラ(Xanthomonas maltophila)047/0
8株(FEMS Microbiol. Lett., 79巻,257頁,1
991年)、シュードモナス フルオレセンス(Pseudo
monas fluorescens)T16が(Appl. Environ. Microb
iol.,46巻,333頁,1983年)、シュードモナ
ス フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)AF
T36株(Biochim. Biophys. Acta, 717巻,376
頁,1982年)、シュードモナス エスピー(Pseudo
monas sp.)145−2株(Microbios.,36巻,7頁,
1982年)、アエロモナス サルモニシダ(Aeromona
s salmonicida)(J. Appl. Bacteriol., 53巻,28
9頁,1983年)、シュードモナス パウシモビリス
(Pseudomonas paucinomobilis)、バチルス エスピー
(Bacillus sp.)(J. Basic Microbiol., 31巻,3
77頁,1991年)、ビブリオ エスピー(Vibrio s
p.)SA 1株(Antonie van Leeuwenhoek,44巻,1
57頁,1978年)、シュードモナス フルオレセン
ス(Pseudomonas fluorescens)NCDO 2085株
(J. Dairy Res., 53巻,457頁,1986年)、
シュードモナス フルオレセンス(Pseudomonas fluore
scens)(J. Dairy Res.,53巻,97頁,1986
年)、シュードモナス フルオレセンス(Pseudomonas
fluorescens)GR83株(Lebensm.-Wiss. u.-Techno
l., 23巻,106頁,1990年)、ペシロミセス
マルクアンディ(Paecilomyces mairuandii)(WO
88/03948)及びキサントモナス エスピー(Xa
nthomonas sp.)S−1(特開平5−211868号)
等などの低温で生育できる微生物が種々のプロテアーゼ
を生産する。また、好冷細菌(psychrotroph)が生産す
るプロテアーゼに関しては、Fairbainらが要領よく総説
にまとめている(J. Dairy Res., 53巻,139頁,
1986年)。しかしこれらのプロテアーゼについて
も、低温域における作用は、必ずしも満足できるもので
はない。
は、低温条件下においても高い活性を保持するプロテア
ーゼ及びこれを生産する微生物を提供するものである。
かる問題点を解決するため、低温領域において充分作用
するプロテアーゼを自然界に求め、探索してきた。その
結果、北洋に生息するタラの腸から、10℃という低温
条件下においても良好な生育を示す細菌を分離し、これ
らの中で菌体外に、低温領域においても活性を有するプ
ロテアーゼを分泌する微生物を見出し、更に得られたプ
ロテアーゼは低温領域で優れた活性を有するだけでな
く、アルカリ側に至適pHを有するものであることを見出
し、本発明を完成した。
有する低温至適アルカリプロテアーゼ、これを生産する
微生物及び当該アルカリプロテアーゼの製造法を提供す
るものである。
2+イオンが存在すると作用最適温度は40℃に移行す
る。0℃(氷水中)でも最適温度活性値の約35%の活
性を保持する。 2)温度安定性 pH9.0、15分間の処理条件で20℃まで安定であ
り、Ca2+イオンが存在すると40℃まで安定である。 3)作用pH及び最適pH 作用pH範囲は5〜11であり、最適pHは10近傍にあ
る。 4)pH安定性 20℃、15分間の処理条件でpH6.3〜9.5までの
各pHで安定である。 5)分子量 ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動法による推定分子量は、31,000±
1,000である。 6)基質特異性 天然基質であるカゼイン、ジメチルカゼイン、アゾカゼ
イン、ヘモグロビン、尿素変性ヘモグロビン、ケラチ
ン、コラーゲン及びアゾアルブミンに対して作用する。 7)金属イオンの影響 CO2+、Cu2+、Zn2+及びHg2+イオンによって若干
阻害される。 8)阻害剤 EDTA、o−フェナントロリンによって強く阻害を受
け、ジチオスレイトール(DTT)によって阻害を受け
る。フェニルメタンスルフォニルフルオライド(PMS
F)、キモスタチン、p−クロロマーキュリー安息香酸
(PCMB)、N−エチルマレイミド(NEM)及び
5,5′−ジチオ−ビス(2−ニトロ安息香酸)(DT
NB)によって阻害を受けない。 9)界面活性剤の影響 アルカン硫酸ナトリウム(SAS)、α−オレフィン硫
酸ナトリウム(AOS)、ポリオキシエチレンアルキル
硫酸ナトリウム(ES)、ソフタノール70H、α−ス
ルホ脂肪酸エステル(α−SFE)及びドデシル硫酸ナ
トリウム(SDS)に対して極めて安定である。
は、例えばフラボバクテリウム(Flavobacterium)属に
属するプロテアーゼ生産菌を培養し、その培養物から採
取することにより製造することができる。
明プロテアーゼ生産菌としては、フラボバクテリウム属
に属し、上記の本発明プロテアーゼを生産する限り特に
制限されないが、例えば次の分類学的性質を示すKSM
−N43株が挙げられる。本発明のプロテアーゼ生産菌
の分類に用いられる培地を以下に示す。
(和光純薬社製),1.5 培地2. ニュートリエントブロス,0.8 培地3. ニュートリエントブロス,0.8;ゼラチ
ン,2.0;寒天末(和光純薬社製),1.5 培地4. バクトリトマスミルク,10.5 培地5. ニュートリエントブロス,0.8;KN
O3,0.1 培地6. バクトペプトン,0.7;NaCl,0.
5;ブドウ糖,0.5 培地7. SIM寒天培地(栄研化学社製),指示量 培地8. TSI寒天培地(栄研化学社製),指示量 培地9. バクトペプトン,1.5;酵母エキス,0.
5;可溶性澱粉,2.0;K2HPO4,0.1;MgS
O4・7H2O,0.02;寒天末(和光純薬社製),
1.5 培地10.Koserの培地(栄研化学社製)、指示量 培地11.Christensenの培地(栄研化学社
製)、指示量 培地12. (1)酵母エキス,0.05;ブドウ糖,1.0;KH
2PO4,0.1;Na2SO4,0.1 (2)酵母エキス,0.05;ブドウ糖,1.0;KH
2PO4,0.1;MgSO4・7H2O,0.02;Ca
Cl2・2H2O,0.05;FeSO4・7H2O,0.
001;MnSO4・4−6H2O,0.001;窒素源
としては、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、塩化ア
ンモニウム及びリン酸アンモニウムを各々0.25,
0.2,0.16,0.2%となるように、上記(1)
及び(2)の培地に加えて用いた。 培地13.キングA培地“栄研”(栄研化学社製),指
示量 培地14.キングB培地“栄研”(栄研化学社製),指
示量 培地15.尿素培地“栄研”(栄研化学社製),指示量 培地16.チトクロム・オキシダーゼ試験紙濾紙(日水
製薬社製) 培地17.3%過酸化水素水 培地18.バクトペプトン,1.5;酵母エキス,0.
5;KH2PO4,0.1;ブドウ糖,1.0;MgSO
4・7H2O,0.02 培地19.バクトペプトン,2.7;NaCl,5.
5;ブドウ糖,0.5;K2HPO4,0.1;ブロムチ
モールブルー,0.06;寒天末,(和光純薬社製),
1.5 培地20.(NH4)2HPO4,0.1;KCl,0.
02;MgSO4・7H2O,0.02;酵母エキス,
0.05;糖1.0 培地21.カゼイン,0.5;酵母エキス,0.05;
ブドウ糖,1.0;KH2PO4,0.1;MgSO4・
7H2O,0.02;寒天末,(和光純薬社製),1.
5
示す。
0.6μm×1.0×3.0μmの桿菌であり、運動性
はない。 (b)グラム染色性:陰性。 (c)各種培地における生育状態: (1)肉汁寒天平板培養(培地1);生育状態は良い。
集落の周縁は葉状あるいは樹根状である。また、集落の
色調は、黄色である。 (2)肉汁寒天斜面培養(培地1);生育する。 (3)肉汁液体培養(培地2);生育は良好。 (4)肉汁ゼラチン穿刺培養(培地3);生育状態は良
い。ゼラチンの液化が認められる。 (5)リトマスミルク培地(培地4);液化が認められ
る。 (d)生理学的性質 (1)硝酸塩の還元及び脱窒反応(培地5);硝酸塩の
還元及び脱窒反応は陰性。 (2)MRテスト(培地6);陰性。 (3)VPテスト(培地6);陰性。 (4)インドールの生成(培地7);陽性。 (5)硫化水素の生成(培地8);陰性。 (6)澱粉の加水分解(培地9);陰性。 (7)クエン酸の利用(培地10、11);陰性。 (8)無機窒素源の利用(培地12);硝酸塩及びアン
モニウム塩の利用は認められない。 (9)色素の生成(培地13、14);淡黄色あるいは
淡茶色の色素を産生する。 (10)ウレアーゼ(培地15);陰性。 (11)オキシダーゼ(培地16);陽性。 (12)カタラーゼ(培地17);陽性。 (13)生育の範囲(培地18);生育の温度範囲は2〜
35℃である。生育のpH範囲は6〜12である。 (14)酸素に対する態度(培地19);好気的。 (15)O−Fテスト(培地20);酸化型。 (16)糖の利用性;D−ガラクトース、シュクロース、
D−グルコース、D−フラクトース、マルトース、D−
マンノース、ラフィノース、トレハロース、グリセリ
ン、メリビオース及び可溶性澱粉を利用することができ
る。 (17)食塩含有培地における生育(培地1中);食塩濃
度5%では生育できない。 (18)カゼインの分解(培地21);陽性。
き、バージーズ・マニュアル・オブ・システマティク・
バクテリオロジー(Bergey's Mannual of Systematic B
acteriology)第8版を参照し、比較検討した結果、本
菌株は、低温で生育可能なフラボバクテリウム属に近縁
な新種と判断された。
スピー(Flavobacterium sp.)KSM−N43と命名
し、生命工学FERM P−14862号として工業技
術院生命工学工業技術研究所に寄託した。
ゼを得るには、培地に菌株を接種し、常法に従って培養
すればよい。
源及び窒素源を適当量含有せしめておくことが望まし
い。この炭素源及び窒素源は特に制限されないが、例え
ば炭素源として可溶性澱粉、ブルコース、マンノース、
ガラクトース、フラクトース、シュクロース、マルトー
ス、ラフィノース、トレハロース、グリセリン、メリビ
オース及び可溶性澱粉を利用や資化しうる有機酸、例え
ばクエン酸などが挙げられる。また、窒素源としては、
コーングルテンミール、大豆粉、コーンスティプリカ
ー、カザミノ酸、酵母エキス、フーマメディア、肉エキ
ス、トリプトン、ソイトン、ポリペプトン、ソイビーン
ミール、綿実油粕やカルチベータなどの有機窒素源が有
効である。更に、燐酸塩、マグネシウム塩、カルシウム
塩、マンガン塩、亜鉛塩、コバルト塩、ナトリウム塩及
びカリウム塩等の無機塩や、必要に応じて、無機又は有
機微量栄養素やビタミン類を培地中に適宜添加すること
ができる。
が好ましく、pHは6〜12特に8〜10が好ましく、こ
の条件下において通常3〜5日間で培養が完了する。
素であるアルカリプロテアーゼの採取は、一般の酵素採
取の手段に準じて行うことができる。すなわち、培養後
遠心分離又は濾過等の通常の分離手段により菌体を培養
液から除去して粗酵素液を得る。この粗酵素液はそのま
ま使用することもできるが、必要に応じて、限外濾過あ
るいは沈澱法等の手段により回収し、適当な方法を用い
て粉末化して用いることもできる。また、酵素精製の一
般的な手段、例えば、適当な陽イオン交換樹脂、陰イオ
ン交換樹脂、ヒドロキシアパタイトによるクロマトグラ
フィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水クロ
マトグラフィー及びゲル濾過などを適宜組み合せること
によって精製することもできる。
テアーゼの酵素化学的性質について以下に説明する。
0mMの各種緩衝液1mlを0.1mlの酵素溶液と混合し、
20℃、15分間反応させた後、反応停止液(0.11
M トリクロロ酢酸−0.22M 酢酸ナトリウム−
0.33M 酢酸)2mlを加え、30℃、20分間放置
した。次に濾紙(ワットマン社製、No.2)で濾過
し、濾液中の蛋白分解物をフォーリン・ローリー法(Lo
wry, O. H. et al., J. Biol. Chem., 193巻,26
5頁,1951年)によって測定した。また、上記反応
条件下において、1分間に1μmolのチロシンに相当す
る酸可溶性蛋白分解物を生成する酵素量を1単位(1
U)とした。
に各種蛋白質を0.1%又は1%になるように加えた
後、精製酵素を適当量添加して20℃で15分間反応を
行った。カゼインを基質とした場合の分解活性を100
として、それぞれの基質に対する分解活性を表1に示
す。
インに加え、ジメチルカゼイン、アゾカゼイン、ヘモグ
ロビン、尿素変性ヘモグロビン、ケラチン、コラーゲン
及びアゾアルブミン、ゼラチンに対して作用するが、リ
ボヌクレアーゼ及びアルブミンには作用しなかった。
合した合成オリゴペプチド基質を用いて、これらの分解
活性を調べた。しかし、N−スクシニル化したAla-Ala-
Pro-Phe-pNA、Ala-Ala-Pro-Met-pNA、Ala-Ala-Ala-pN
A、Phe-Pro-Phe-pNA、Ala-Ala-pNA、Ala-pNAやN−カル
ボベンゾイル化したAla-Ala-Leu-pNAやGly-Gly-Leu-pNA
等の合成基質からのp−ニトロアニリンの遊離は認めら
れなかった。
ビンソン広域緩衝液(50mM)中に最終濃度0.91%
となるようにカゼインを加え、20℃で15分間反応を
行い、各pHでの活性を測定した。図1から明らかなよう
に、本プロテアーゼの最適pHは10付近に認められる。
また、その作用pHは、pH5〜11と幅広いことがわか
る。
衝液(5mM,各pH)中に本酵素を加え、20℃で15分
間放置し、カゼインを基質とし、残存活性をpH9,20
℃で測定した。その結果、図2に示すとおり、本酵素は
pH6.3〜9.5の広い範囲で安定であった。
0.91%のカゼインを含む50mMホウ酸緩衝液(pH
9.0)に本酵素を加え、15分間各温度で反応を行っ
た。図3から明らかなように、本酵素の最適温度は20
℃であった。また、Ca2+イオンが存在すると、至適温
度は約40℃に移行し、Ca2+イオン非存在下の最適温
度に比べ、約2倍の活性促進が認められた。特徴的なこ
とに本酵素は0℃(氷水中)でも最適温度の活性の約3
5%の活性を示し、低温条件下でも充分作用することが
わかる。
(pH9.0)に本酵素を加え、各温度で15分間熱処理
した後氷冷した。カゼインを基質として、20℃で残存
活性を求め、その結果を図4に示した。本酵素はCa2+
イオン非存在下で20℃、Ca2+イオンの存在下で40
℃まで安定であることがわかる。
ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により測定した。分
子量マーカーには、低分子用マーカーキット(ファルマ
シア社製)のホスホリラーゼb(分子量:94,00
0)、牛血清アルブミン(分子量:67,000)、卵
白オブアルブミン(分子量:43,000)、カルボニ
ックアンヒドラーゼ(分子量:30,000)、大豆ト
リプシンインヒビター(分子量:20,100)、γ−
ラクトアルブミン(分子量:14,400)を用いた。
図5から明らかなように、本精製プロテアーゼ標品は電
気泳動的に均一であり、その分子量は31,000±
1,000と推定される。
本プロテアーゼの等電点を求めた。アクリルアミドゲル
(6.0%)のpH勾配は、両性電界質であるファーマラ
イト(Pharmalyte,pH3〜10;ファルマシア社製)を
使用した。その結果、本プロテアーゼの等電点はpH9.
7近傍にあることが判明した。
mMになるように添加した20mM ホウ酸緩衝液(pH9.
0)に本酵素溶液を添加し、20℃で20分間放置し
た。その後、50mM ホウ酸緩衝液(pH9.0)で適当
希釈を行い、残存活性を測定した。金属塩無添加系で同
様に処理した酵素活性を100%として処理群の残存活
性を求めた。結果を表2に示す。
u2+、Zn2+やHg2+イオンに若干の阻害作用が認めら
れる。
液(pH7.0に各種阻害剤を所定濃度になるように加
え、本酵素を添加し、20℃で20分間放置した後、残
存活性を測定した。結果を表3に示す。
GTAによって強く阻害され、PMSFなどのセリン酵
素阻害剤で全く影響を受けないので金属プロテアーゼ
(metalloprotease)であると考えられる。
2%の界面活性剤を含有する50mM ホウ酸緩衝液(pH
9.0)に加えて、20℃で20分間放置した後、残存
活性を測定した。結果を表4に示す。
S、α−SFE、ソフタノール70HやLAS(それぞ
れ0.2%濃度)などの界面活性剤と長時間接触させて
もほとんど失活せず、強力な界面活性剤耐性を有してい
ることがわかる。
アーゼに関しては数多くの報告があり、その中には金属
プロテアーゼに関する報告もある。しかし、低温至適、
高アルカリ至適を示し、界面活性剤に対して安定なプロ
テアーゼについての報告はないことから、本酵素は新規
な酵素であると考えられる。
最適温度を低温領域に有し、前述の界面活性剤によって
もほとんど阻害を受けず、また、酸性から高アルカリ溶
液中に幅広く安定である。従って、本酵素は洗浄剤組成
物の配合成分として、低温下で有利に使用できるもので
ある。また、低温条件下における、食肉の軟化あるいは
チーズの熟成といった食品の改質にも有効である。
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
ラボラトリー社製)20mlに入れ、ホモゲナイザーで粉
砕した。得られた懸濁液を、以下に示した組成を有する
人工海水平板培地に塗抹し、20℃で5〜7日間培養し
た。
によって生じた透明帯を指標としてプロテアーゼ生産菌
を分離した。得られた分離株の中から、低温至適プロテ
アーゼ生産性を調べ、フラボバクテリウム エスピー
KSM−N43株を選抜した。
SM−N43株を以下に示した液体培地で好気的に20
℃、2日間培養した。
0分間)して得られた上清液を10mM トリス−塩酸緩
衝液(pH7.5;2mM CaCl2含有)で5℃、一昼
夜透析した。透析内液のプロテアーゼ活性を、カゼイン
を基質として20℃で測定したところ(50mMホウ酸緩
衝液中,pH9.0)、0.6〜1.1U/l培養液に相
当するプロテアーゼの生産が認められた。
施例2の液体培地に接種し、20℃で40時間培養し
た。培養後、遠心分離して得られた上清液を限外濾過膜
(分画分子量3,000;アミコン社製)で濃縮した。
この濃縮液を20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0;
2mM CaCl2含有)に対し5℃で一昼夜透析した。
この透析内液を20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.
0;2mM CACl2含有)で平衡化したDEAE−バ
イオゲルA(バイオラッド社製)のカラムを通過させ、
その非吸着画分をプールした。再度、DEAE−バイオ
ゲルAのカラムを通過させて非吸着画分を限外濃縮し
た。この濃縮液を20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.
0;2mM CaCl2含有)で平衡化したCM−バイオ
ゲルA(バイオラッド社製)のカラムに添着した後、0
〜0.125mM 塩化カリウム濃度勾配溶出を行った
(pH8.0;2mM CaCl2含有)。本発明の低温至
適プロテアーゼは非吸着画分の溶出領域から若干遅れて
分画された。活性画分を限外濾過膜上で約1.0mlまで
濃縮した後、平衡化したセファクリル S−200スー
パーファイン(ファルマシア社製)のカラムでゲルクロ
マトグラフィーを行った。得られた活性画分を最終精製
酵素標品として使用した。この結果、約6.8倍まで精
製され(回収率7%)、本精製標品は約54U/mg蛋白
質(仔牛血清アルブミン単位)の比活性を有していた。
テアーゼのpH−活性曲線を示す図である。
3株のプロテアーゼのpH安定性を示す図である。
3株のプロテアーゼの温度−活性曲線を示す図である。
3株のプロテアーゼの温度安定性を示す図である。
3株のプロテアーゼの分子量測定結果を示す図であり、
(a)は分子量とSDS電気泳動距離の相関を示す図、
(b)は完全精製標品のSDS電気泳動写真(12%ア
クリルアミドゲル)を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 次の酵素学的性質を有する低温至適アル
カリプロテアーゼ。 1)作用温度及び最適温度 0〜50℃で作用し、最適温度は約20℃にある。Ca
2+イオンが存在すると作用最適温度は40℃に移行す
る。0℃(氷水中)でも最適温度活性値の約35%の活
性を保持する。 2)温度安定性 pH9.0、15分間の処理条件で20℃まで安定であ
り、Ca2+イオンが存在すると40℃まで安定である。 3)作用pH及び最適pH 作用pH範囲は5〜11であり、最適pHは10近傍にあ
る。 4)pH安定性 20℃、15分間の処理条件でpH6.3〜9.5までの
各pHで安定である。 5)分子量 ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動法による推定分子量は、31,000±
1,000である。 6)基質特異性 天然基質であるカゼイン、ジメチルカゼイン、アゾカゼ
イン、ヘモグロビン、尿素変性ヘモグロビン、ケラチ
ン、コラーゲン及びアゾアルブミンに対して作用する。 7)金属イオンの影響 CO2+、Cu2+、Zn2+及びHg2+イオンによって若干
阻害される。 8)阻害剤 EDTA、o−フェナントロリンによって強く阻害を受
け、ジチオスレイトール(DTT)によって阻害を受け
る。フェニルメタンスルホニルフルオライド(PMS
F)、キモスタチン、p−クロロマーキュリー安息香酸
(PCMB)、N−エチルマレイミド(NEM)及び
5,5′−ジチオ−ビス(2−ニトロ安息香酸)(DT
NB)によって阻害を受けない。 9)界面活性剤の影響 アルカン硫酸ナトリウム(SAS)、α−オレフィン硫
酸ナトリウム(AOS)、ポリオキシエチレンアルキル
硫酸ナトリウム(ES)、ソフタノール70H、α−ス
ルホ脂肪酸エステル(α−SFE)及びドデシル硫酸ナ
トリウム(SDS)に対して極めて安定である。 - 【請求項2】 フラボバクテリウム属に属し,請求項1
記載の低温至適プロテアーゼを生産する微生物。 - 【請求項3】 フラボバクテリウム エスピー(Flavob
acterium sp.)KSM−N43と命名され、FERM
P−14862号として寄託された請求項2記載の微生
物。 - 【請求項4】 請求項2記載の微生物を培養し、その培
養物から該当低温至適アルカリプロテアーゼを採取する
ことを特徴とする請求項1記載のプロテアーゼの製造
法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0876500A1 (en) * | 1996-01-26 | 1998-11-11 | The Procter & Gamble Company | Cold-active protease cp70 |
CN1109750C (zh) * | 2000-08-15 | 2003-05-28 | 中国水产科学研究院黄海水产研究所 | 一种新型低温碱性蛋白酶、制造方法、应用和产生该蛋白酶的微生物 |
-
1995
- 1995-06-01 JP JP13505895A patent/JP3592795B2/ja not_active Expired - Fee Related
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EP0876500A1 (en) * | 1996-01-26 | 1998-11-11 | The Procter & Gamble Company | Cold-active protease cp70 |
EP0876500A4 (en) * | 1996-01-26 | 2002-11-27 | Procter & Gamble | COLD ACTIVE PROTEASE CP70 |
CN1109750C (zh) * | 2000-08-15 | 2003-05-28 | 中国水产科学研究院黄海水产研究所 | 一种新型低温碱性蛋白酶、制造方法、应用和产生该蛋白酶的微生物 |
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